JPH0446685B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、例えばタレツト旋盤等に於て使用
される交換工具の工具ホルダロツク機構に係わ
り、更に詳しくは工作機械の基部に取付けられた
交換工具に対して各種の工具を装着した工具ホル
ダを確実にかつ容易にロツクすることが出来る交
換工具の工具ホルダロツク機構に関するものであ
る。

〔従来技術〕

一般に、タレツト旋盤等の各種工作機械の刃物
台等の基部に設けられた交換工具に、各種の工具
を装着した工具ホルダを取付ける場合には、その
取付けが簡単に行えることに加えて、交換工具の
スリーブに対する工具ホルダの取付け状態の良否
がワークの加工精度に重大な影響を及ぼすことが
知られている。

ところで、従来の交換工具としては、例えば実
開昭58−110303号公報（出願人・ケンナメタル）
等に開示されているように、刃物台の基部に装着
された交換工具のスリーブの嵌合孔に対し、各種
の工具が取付けられた工具ホルダのシヤンクを挿
入し、前記スリーブの嵌合孔に形成された係合溝
に上記シヤンクの内部に設けられた複数個のロツ
ク用ボールを押し拡げて係合させ、該ボールをス
リーブの径方向に押圧することによつてロツクさ
せるようにした交換工具が提案されている。

しかしながら、上記従来の交換工具にあつて
は、ボールを工具ホルダの溝にスリーブの直径方
向に押圧させた状態でロツクさせる形式のもので
ある為、工具ホルダをスリーブの長手方向に対し
て引張力を作用させたとしても、その推力は垂直
方向（スリーブの直径方向）の分力となつてしま
い、従つて、スリーブの長手方向に対して充分に
引張力を発生させることができないと言う問題が
あり、また従来の交換工具の場合には、工具ホル
ダの後端フランジ部がスリーブの嵌合孔端面に必
ずしも当接した状態でロツクされるものでないた
め、重切削等を行なつた場合には、工具ホルダに
曲げモーメントが作用してボールのロツク部分を
支点としてグラツキが生じ、加工精度が低下する
という欠点があつた。

また、スリーブの嵌合部と工具ホルダのシヤン
ク部分とに誤差があつたり、シヤンクが摩耗等に
より小径になつてくると、工具ホルダの曲げモー
メント等によりシヤンクの後端部分がガタついて
複数個のボールにより均等に当接させてロツクす
ることができなくなると言う問題があつた。

〔発明の目的〕

この発明は、かかる従来の問題点に着目して案
出されたもので、その目的とするところは、工具
ホルダのシヤンク軸及びシヤンク鍔部を交換工具
のスリーブの嵌合孔及び端面に当接させて確実に
ロツクできるように構成することにより、重切削
等を行う場合にも工具ホルダの自励振動を有効に
防止し、以て切削性の向上及び加工精度を向上さ
せた交換工具の工具ホルダロツク機構を提供する
ものである。

〔発明の構成〕

この発明は、上記目的を達成するために、工具
機械の基部に装着された交換工具と、この交換工
具に着脱自在に装着される工具ホルダとかなる交
換工具の工具ホルダロツク機構であつて、前記工
具ホルダは、一端側に工具を取付けるための工具
取付部を設け、他端側に前記交換工具に装着され
るシヤンク軸とシヤンク鍔部とを有し、さらにシ
ヤンク軸端内周部に係合溝を備え、前記交換工具
は、前記工具ホルダを装着したときに前記シヤン
ク鍔部と当接する端面及びこの端面に直角な方向
に前記シヤンク軸と嵌合する嵌合孔が形成された
スリーブと、前記嵌合孔の軸線方向に進退移動自
在に、かつ前記工具ホルダと対向する側に前記工
具ホルダの係合溝と係脱するロツク用ボールを有
して設けられ、前記工具ホルダから離間する方向
に移動したとき前記係合溝に前記ロツク用ボール
が係合して前記スリーブの嵌合孔に前記工具ホル
ダのシヤンク軸を膨張圧着させる工具ホルダロツ
ク手段とを有し、前記シヤンク軸を前記嵌合孔に
装着し、かつ、スリーブ端面にシヤンク鍔部を当
接させたとき、前記工具ホルダロツク手段を前記
工具ホルダから離間する方向に移動させ、前記工
具ホルダロツク手段と前記係合溝とを係合させる
とともに、前記スリーブ端面に前記シヤンク鍔部
を圧着させ、さらに前記シヤンク軸の係合溝外方
の外周部を前記ロツク用ボールを介して拡開させ
てスリーブの嵌合孔内周面に径方向へ膨張圧着さ
せることにより工具ホルダを交換工具にロツクす
るようにしたことを要旨とするものである。

〔発明の実施例〕

以下、添付図面に基づいて、この発明の実施例
を説明する。

第１図は、タレツト旋盤（工作機械）に取付け
れた交換工具に工具ホルダを装着した際の概略斜
視図を示し、交換工具１は、タレツト旋盤２のタ
レツト刃物台３のベースホルダ（基部）１０に取
付けられている。そして、この交換工具１には、
工具Ｘを有する工具ホルダ５０が装着されてい
る。なお、Ｗは被加工物であるワーク、５はワー
クＷをクランプするチヤツク、６は交換工具１か
ら工具ホルダ５０を着脱操作するシリンダ、６ａ
はそのロツドを示している。

前記工具ホルダ５０は、図２に示すように、一
端側に工具Ｘを取付けるための工具取付部５５を
備え、他端側に前記交換工具１に装着されるテー
パ状のシヤンク軸５１とシヤンク鍔部５４とを有
し、さらにシヤンク軸５１の挿入端面５１ａの中
心部には、所定の深さの穴部５２が形成され、こ
の穴部５２の内周面には環状の係合溝５３が設け
られている。そしてこの係合溝５３の外方の外周
部５３ａは、後述するロツク用ボール２３により
クランプされた時に、シヤンク軸５１の径方向に
拡開可能、即ち弾性変形可能な肉厚を有するよう
に形成されている。

前記交換工具１は、第２図及び第３図に示すよ
うに、前記タレツト刃物台３上にボルト等の締結
具を介して固定されたベースホルダ１０の先端側
に、テーパ状の嵌合孔１１を備えたスリーブ１２
がそのフランジ部１４をボルト１３を介して固定
されている。このスリーブ１２の嵌合孔１１に
は、バイト等の通常の工具Ｘを取付けた工具ホル
ダ５０のシヤンク軸５１が着脱自在に嵌合され
る。

また前記スリーブ１２のフランジ部１４には、
工具ホルダ５０のシヤンク鍔部５４の端面５４ａ
を当接させるための端面１４ａが形成され、この
端面１４ａには工具ホルダ５０を位置決めするブ
ロツク１５がボルト１６を介して固定されてい
る。

そして、前記ベースホルダ１０とスリーブ１２
との中空部内には、前記工具ホルダ５０が交換工
具１に装着された際に工具ホルダ５０をロツクす
るための工具ホルダロツク手段Ｒが設けられてい
る。この工具ホルダロツク手段Ｒは、先端側から
小径部１７と、中径部１８及び大径部１９とを備
え、かつ後端側にストツパリング２０をネジ２１
を介して固定したドローロツド２２を前記中空部
内に摺動自在に内装した状態で有している。

前記ドローロツド２２の小径部１７の外周面に
は、複数個（この実施例では３個）のロツク用ボ
ール２３を出没自在に収容する円弧状の環状凹部
２４（逃し溝）が形成され、また中径部１８の外
周面には、ストツパ用のガイド溝２５が形成され
ている。

また、ドローロツド２２の小径部１７及び中径
部１８の外周面と、前記スリーブ１２の嵌合孔１
１及びシヤンク軸５１の挿入端面５１ａ中心部に
形成された穴部５２の内壁面との間には、夫々に
対して若干の遊びを持つた摺動自在なドローカラ
ー２６が摺動自在に介装されている。

このドローカラー２６の先端部には、ロツク用
ボール２３が出没する貫通孔２７が複数個所（こ
の実施例では３個所）に形成され、また後端部内
面にはストツパ部材で言うところのボール２８を
嵌合した環状のストツパ溝２９が形成されてい
る。

また前記スリーブ１２の後端には、ドローカラ
ー２６の後端位置を規制するストツパリング３０
がボルト３１を介して固定され、このストツパリ
ング３０と前記ドローロツド２２の後端側に設け
られたストツパリング２０との間には、摺動自在
に挿通されたリング部材３２を介して前記ドロー
カラー２６及びドローロツド２２を常時第２図の
右方向（矢印方向）に付勢する皿バネ３３が介設
されている。

なお、２０ａはベースホルダ１０の後端部に取
付けられたカバーで、切粉等が前記ベースホルダ
１０内に侵入するのを防止するようにしたもので
ある。

次に、作用について説明する。

先ず、第２図に於ける交換工具１の中心線下部
は、工具ホルダ５０とスリーブ１２とアンロツク
状態を示し、また中心線上部はロツク状態を示し
ている。

上記アンロツク状態では、シリンダ６のロツク
６ａにより、ドローロツド２２が工具ホルダ５０
側に押圧され、ロツク用ボール２３はドローロツ
ド２２の環状凹部２４に収納され、またドローカ
ラー２６のストツパ溝２９に係合しているボール
２８は、ガイド溝２５の後端２５ａ側に位置して
いる。

このような状態から、工具ホルダ５０をロツク
状態にするには、先ず工具ホルダ５０のシヤンク
軸５１をスリーブ１２の嵌合孔１１に挿入した状
態で、シヤンク鍔部５４の端面５４ａをスリーブ
１２の端面１４ａに当接させ、そして前記シリン
ダ６のロツド６ａを収縮させる。するとドローロ
ツド２２は皿バネ３３の弾性力により軸線方向
（第２図の右方向）に引つ張られる。これと同時
に、ガイド溝２５の後端２５ａ側に位置していた
ボール２８がガイド溝２５の先端側２５ｂに移動
して当接し、また前記環状凹部２４に収納されて
いたロツク用ボール２３は断面円弧状の環状凹部
２４から押出されてドローカラー２６の貫通孔２
７とシヤンク軸５１の係合溝５３に入り込む。ま
たこの時ボール２８を介してドラーカラー２６
は、ドローロツド２２と同一方向（第２図の右方
向）に引つ張られる。

ドローカラー２６が皿バネ３３の弾性力により
ボール２８を介してドローロツド２２と同一方向
に引つ張られると、前記ドローカラー２６の貫通
孔２７と、ドローロツド２２の環状凹部２４から
押出されたロツク用ボール２３は、第４図に示す
ように先ずドローカラー２６の貫通孔２７の内壁
面のＡ点でロツク用ボール２３の球芯部を押圧さ
れ、次いでドローロツド２２の小径部１７の外周
のＢ点に当接して押圧され、そしてロツク用ボー
ル２３は係合溝５３のＣ点において角度θの略水
平方向の推力を受けてロツクされる。

即ち、この発明の実施例では、ロツク用ボール
２３を押圧するＡ点は、ロツク用ボール２３の球
芯Ｏと略同じ位置にて水平方向に押圧するため、
ベースホルダ１０の径方向に押圧する分力Ｆは、
従来のものよりも極めて小さくなり、その代り上
記のように角度θが極めて小さいことからロツク
用ボール２３を水平（ドローロツド２２の軸線方
向）に作用する推力が大きくなつて、工具ホルダ
５０の軸方向に引つ張る力が大きくなるものであ
る。

また、シヤンク軸５１の係合溝５３外方の外周
部５３ａは、前記ドローカラー２６及びドローロ
ツド２２の引張力によりロツク用ボール２３を介
して拡開されてスリーブ１２の嵌合孔１１の内周
面に膨脹圧着され、シヤンク軸５１の外周面が嵌
合孔１１の内周面に常に追従密着した状態であ
り、また同時に前記スリーブ１２の端面１４ａと
工具ホルダ５０のシヤンク鍔部５４の端面５４ａ
とが当接して圧着されるので、工具ホルダ５０が
交換工具１に強固に装着され、工具ホルダ５０が
グラ付いたりする自励振動が有効に防止される。

また、複数のロツク用ボール２３は、ドローロ
ツド２２のガイド溝２５に嵌合されたボール２８
を介してドローカラー２６の貫通孔２７により引
つ張られてシヤンク軸５１の係合溝５３と係合す
るので、シヤンク軸５１が摩耗しても常に係合溝
５３と均等に当接し、工具ホルダ５０を軸方向へ
均等の力で引つ張ることが出来る。

更に、シヤンク軸５１のテーパ小径部分の肉厚
を薄く出来るので、強度が必要とされるドローカ
ラー２６の肉厚を厚くすることも可能である。

また、この実施例ではテーパ状のシヤンク軸５
１を有する工具ホルダ５０について説明したが、
ストレート状のシヤンク軸でも実施することは可
能であり、またこの工具ホルダ５０は従来の工具
Ｘを取付けることも可能であり、広い範囲にわた
り使用することが出来る。

〔発明の効果〕

この発明は上記のように構成され、工具ホルダ
の係合溝の外周部が拡開して、シヤンク軸の外周
面がスリーブの嵌合孔内周面に膨張圧着され、更
にシヤンク鍔部がスリーブの端面にも圧着される
ので、工具ホルダを交換工具に極めて強固にクラ
ンプすることが出来、工具ホルダの自励振動を有
効に防止して、切削性及び加工精度の向上を大幅
に図ることが出来る効果がある。

また、拡開されたシヤンク軸の外周面がスリー
ブの嵌合孔内周面に常に追従密着することが出来
るので、工具ホルダのシヤンク軸やスリーブの嵌
合孔の部分に加工誤差や摩耗等により間〓が生じ
たとしても、その間〓を有効に吸収出来、特に重
切削加工等を行う場合において極めて有効であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はタレツト旋盤に装着された交換工具に
工具ホルダを取付けた際の概略斜視図、第２図は
工具ホルダが装着された交換工具の一部断面図、
第３図は交換工具の側面図、第４図はロツク部分
の説明図である。 １……交換工具、２……タレツト旋盤（工作機
械）、１０……ベースホルダ（基部）、１１……嵌
合孔、１２……スリーブ、１４……フランジ、１
４ａ……端面、２２……ドローロツド、２３……
ロツク用ボール、２４……環状凹部、２６……ド
ローカラー、２８……ストツパ部材（ボール）、
５０……工具ホルダ、５１……シヤンク軸、５１
ａ……挿入端面、５２……穴部、５３……係合
溝、５３ａ……外周部、５４……シヤンク鍔部、
５４……端面、Ｒ……工具ホルダロツク手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工作機械の基部に装着された交換工具と、こ
   の交換工具に着脱自在に装着される工具ホルダと
   からなる交換工具の工具ホルダロツク機構であつ
   て、 前記工具ホルダーは、一端側に工具を取付ける
   ための工具取付部を設け、他端側に前記交換工具
   に装着されるシヤンク軸とシヤンク鍔部とを有
   し、さらにシヤンク軸端内周部に係合溝を備え、 前記交換工具は、前記工具ホルダを装着したと
   きに前記シヤンク鍔部と当接する端面及びこの端
   面に直角な方向に前記シヤンク軸と嵌合する嵌合
   孔が形成されたスリーブと、前記嵌合孔の軸線方
   向に進退移動自在に、かつ前記工具ホルダと対向
   する側に前記工具ホルダの係合溝と係脱するロツ
   ク用ボールを有して設けられ、前記工具ホルダか
   ら離間する方向に移動したとき前記係合溝に前記
   ロツク用ボールが係合して前記スリーブの嵌合孔
   に前記工具ホルダのシヤンク軸を膨張圧着させる
   工具ホルダロツク手段とを有し、 前記シヤンク軸を前記嵌合孔に装着し、かつ、
   スリーブ端面にシヤンク鍔部を当接させたとき、
   前記工具ホルダロツク手段を前記工具ホルダから
   離間する方向に移動させ、前記工具ホルダロツク
   手段と前記係合溝とを係合させるとともに、前記
   スリーブ端面に前記シヤンク鍔部を圧着させ、さ
   らに前記シヤンク軸の係合溝外方の外周部を前記
   ロツク用ボールを介して拡開させてスリーブの嵌
   合孔内周面に径方向へ膨張圧着させることにより
   工具ホルダを交換工具にロツクするようにしたこ
   とを特徴とする交換工具の工具ホルダロツク機
   構。