JPH07269752A - 絶縁継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】異種金属接触腐食を完全に防止することができ
るとともに、強度的にも、接続作業性にも優れた絶縁継
手を提供することを目的としている。 【構成】接続される配管材のねじ部が螺合するねじ部を
両側に有する絶縁継手において、両ねじ部がそれぞれ接
続される配管材と同じ材質で形成されているとともに、
継手内部に設けられたセラミック層によって電気的に絶
縁されている構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２つの金属管、特に、
自然電位の異なる材質で形成された金属管を接続するの
に用いる絶縁継手に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、給水配管には、内部に錆が発生し
て赤水が発生しないように内面を樹脂ライニングしたラ
イニング鋼管が使用されている。一方、この給水配管か
ら給水された水を加熱して供給する給湯器などの給湯ラ
インには、通常銅や銅合金製（砲金が多い）の給水配管
が使用されている。

【０００３】これらライニング鋼管と銅や銅合金製配管
材とは、一般に、いずれか一方の配管材と同じ材質で形
成された管継手、バルブ、ニップル等の接続用配管材を
用いてねじ接続されている。したがって、いずれか一方
のねじ接続部では、自然電位の異なる金属と金属とが接
触することになる。

【０００４】しかし、短ねじ嵌合などの場合のように、
ねじ込みが浅く、この自然電位の異なる金属が接触して
いるねじ接続部に配管中の水が浸入したりすると、鋼管
側が異種金属接触腐食を起こし、配管中に赤水が発生す
る恐れがある。そこで、特開平５−２３１５６９号公報
では、異種の金属で形成された配管材とねじ接続される
側のねじ表面をセラミック皮膜で被覆した管継手が提案
されている。

【０００５】すなわち、この管継手は、セラミック皮膜
によって管継手と接続される配管材との絶縁を図り、異
種金属接触腐食を防止するようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ックは、非常に絶縁性に優れた材料である反面、金属に
比べて脆く、応力が集中すると、比較的容易に破砕され
る。したがって、上記公報の管継手のような構造である
と、あまり強くねじ込むことができず、作業性が極めて
悪いと言う問題がある。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みて、異種
金属接触腐食を完全に防止することができるとともに、
強度的にも、接続作業性にも優れた絶縁継手を提供する
ことを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる絶縁継手
は、このような目的を達成するために、接続される配管
材のねじ部が螺合するねじ部を両側に有する絶縁継手に
おいて、両ねじ部がそれぞれ接続される配管材と同じ材
質で形成されているとともに、継手内部に設けられたセ
ラミック層によって電気的に絶縁されている構成とし
た。

【０００９】また、少なくとも一方のねじ部が雌ねじで
あって、この雌ねじにライニング鋼管がねじ接続される
場合、ライニング鋼管の内周面に圧接するシール部をこ
の雌ねじに対面するように有する樹脂コアを継手本体内
に設けることが好ましい。上記構成において、セラミッ
クとしては、絶縁性を備えていれば、特に限定されない
が、たとえば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
酸化カルシウム、窒化シリコン等が挙げられ、これらを
単独でまたは混合して用いることができる。

【００１０】また、絶縁継手とは、直管の管継手（ソケ
ット）は勿論のこと、配管と配管とを接続できるもの、
すなわち、エルボ、チーズ、バルブなども含まれる。樹
脂コアを構成する合成樹脂としては、特に限定されない
が、たとえば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポ
リブテン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。そして、
樹脂コアは、これらの樹脂を射出成形することで形成す
ることができる。

【００１１】

【作用】上記構成によれば、ねじ部が接続される配管材
と同じ材質であるとともに、セラミックが配管材内部に
層として設けられ、両ねじ部が絶縁されているので、ね
じ接合部で異種金属接触腐食を起こすことがない。しか
も、しっかりと締め込んでもセラミック層に応力がかか
らない。

【００１２】

【実施例】以下に、本発明を、その実施例をあらわす図
面を参照しつつ詳しく説明する。図１は本発明にかかる
絶縁継手の第１実施例としての管継手をあらわしてい
る。図に示すように、この管継手Ａは、継手本体１と樹
脂コア２とを備えている。

【００１３】継手本体１は、第１部材１１と第２部材１
２とから構成されている。第１部材１１は、一方に第２
部材１２が螺合される内径の大きなねじ部１１ａを有す
るとともに、他方に耐蝕性金属材料からなる耐蝕性配管
材３が接続される内径の小さなねじ部１１ｂとを有して
いて、前記配管材３と同じ耐蝕性金属材料から形成され
ている。

【００１４】第２部材１２は、外側層１２ａが第１部材
１１と同じ耐蝕性金属材料で形成されていて、内側層１
２ｂが鉄系材料で形成されている。そして、外側層１２
ａと内側層１２ｂとは、その間にセラミック層１２ｃが
設けられていて、このセラミック層１２ｃによって電気
的に絶縁されている。なお、外側層１２ａ、セラミック
層１２ｃおよび内側層１２ｂは、接着剤を介して一体化
されている。

【００１５】外側層１２ａの外周面には、ねじ部１１ａ
と螺合する雄ねじ１２ｄが設けられている。したがっ
て、継手本体１は、第１部材１１のねじ部１１ａに第２
部材１２の雄ねじ１２ｄを螺合することで、第１部材１
１と第２部材１２とが一体化されている。

【００１６】また、第２部材１２の内側層１２ｂの内周
面には、塩ビライニング鋼管４のねじ部４１が螺合する
ねじ部としての雌ねじ１２ｅが設けられている。樹脂コ
ア２は、塩ビライニング鋼管４の内面に水密に圧接する
シール部２１が、この雌ねじ１２ｅに対面するように設
けられている。そして、この管継手Ａは、ねじ部１１ａ
側に耐蝕性配管材３を、雌ねじ１２ｅ側に塩ビライニン
グ鋼管４をそれぞれ接続できるようになっているが、雌
ねじ１２ｅが設けられた第２部材１２の内側層１２ｄ
が、鋼管と略同じ自然電位を持つ鉄系材料で形成され、
かつ、セラミック層１２ｃを介してこの内側層１２ｂが
第１部材１２と絶縁されているので、ねじ接続部で異種
金属接触腐食が起きることがない。

【００１７】また、セラミック層１２ｃが継手本体１の
内部に設けられているので、ねじ接続する際に、セラミ
ック層１２ｃが応力によって破壊されることがなく、し
っかりとした接続を得ることができる。さらに、この管
継手Ａは、樹脂ライニング鋼管４がねじ接続されると、
シール部２１が樹脂ライニング鋼管４の内周面、すなわ
ち、ライニング層４２の内周面に水密に密着するため、
鋼管４の端面の非ライニング部分が配管内の湯や水に触
れることがなく、非ライニング部の腐食を防ぐことがで
きる。

【００１８】図２は、本発明にかかる絶縁継手の第２実
施例としての管継手をあらわしている。図に示すよう
に、この管継手Ｂは、第１部材１４が鉄系材料で形成さ
れている。そして、第２部材１５の外側層１５ａが鉄系
材料で形成され、内側層１５ｂが砲金で形成されてい
て、外側層１５ａと内側層１５ｂとの間にセラミック層
１５ｃが設けられている。また、樹脂コア２のシール部
２１が第１部材１４のねじ部１４ａに対面して設けられ
ていて、それ以外は第１実施例と同様になっている。

【００１９】なお、図中、１５ｄは外側層１５ａの外周
面に設けた雄ねじ、１５ｅは内側層１５ｂの内周面に設
けたねじ部としての雌ねじ、１４ｂは雄ねじ１５ｄが螺
合されるねじ部である。図３は、本発明にかかる絶縁継
手としての管継手の第３実施例をあらわしている。

【００２０】図に示すように、この管継手Ｃは、継手本
体５が砲金製の第１部材５１と鉄系材料製の第２部材５
２とを備え、第１部材５１と第２部材５２とがセラミッ
ク層５３を介して絶縁されている。なお、第１部材５
１、セラミック層５３および第２部材５２は接着剤を介
して一体化されている以外は、第１実施例と同じであ
る。図中、５１ａおよび５２ａはねじ部である。

【００２１】図４は、本発明にかかる絶縁継手の第４実
施例としての管継手をあらわしている。図に示すよう
に、この管継手Ｄは、継手本体６が、筒状で内周面に両
側からねじ６１ａが設けられた鋳鉄製の第１部材６１
と、外側層６２ａおよび内側層６２ｂが鉄系材料で形成
され、外側層６２ａと内側層６２ｂとの間にセラミック
層６２ｃが設けられた２つの第２部材６２とから構成さ
れている。そして、第１部材６１と第２部材６２とは、
第２部材６２の外側層６２ａの外周面に設けられたねじ
部６２ｄを第１部材６１のねじ部６１ａに螺合させるこ
とによって一体化されている。

【００２２】また、内側層６２ｂの内周面にもねじ部６
２ｅが設けられていて、樹脂コア２は、両側のねじ部６
２ｅに対面させるようにシール部２１，２１が設けれら
ている。図５は、本発明にかかる絶縁継手の第５実施例
としてのニップルをあらわしている。

【００２３】図に示すように、このニップルＥは、ニッ
プル本体８が第１部材８１と第２部材８２とから構成さ
れている。第１部材８１は、鋳鉄で形成されていて、フ
ランジ部８１ａを挟んで一側に大径のねじ部８１ｂ、他
側に小径のねじ部８１ｃを備えている。第２部材８２
は、砲金製の外側層８２ａと鉄系材料で形成された内側
層８２ｂとを有し、外側層８２ａと内側層８２ｂとの間
にセラミック層８２ｃが設けられている。そして、外側
層８２ａ、セラミック層８２ｃおよび内側層８２ｂは、
接着剤を介して一体化されている。

【００２４】また、ニップル本体８の内周面および端面
は、樹脂ライニング層８３によって被覆されている。そ
して、このニップルＥには、ねじ部８１ｂが鉄系配管材
９に螺合され、外側層８２ａの外周面に設けられたねじ
部としての雄ねじ８２ｄが砲金製配管材７に螺合される
ようになっている。

【００２５】

【発明の効果】本発明にかかる絶縁継手は、以上のよう
に構成されているので、異種金属接触腐食を完全に防止
することができるとともに、強度的にも、接続作業性に
も優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる絶縁継手の第１実施例としての
管継手をあらわす半断面図である。

【図２】本発明にかかる絶縁継手の第２実施例としての
管継手をあらわす半断面図である。

【図３】本発明にかかる絶縁継手の第３実施例としての
管継手をあらわす半断面図である。

【図４】本発明にかかる絶縁継手の第４実施例としての
管継手をあらわす半断面図である。

【図５】本発明にかかる絶縁継手の第５実施例としての
ニップルをあらわす半断面図である。

【符号の説明】

Ａ 管継手（絶縁継手） Ｂ 管継手（絶縁継手） Ｃ 管継手（絶縁継手） Ｄ 管継手（絶縁継手） Ｅ ニップル（絶縁継手） １ 継手本体 ２ 樹脂コア ３ 配管材 ４ 配管材 ７ 配管材 ９ 配管材 １１ｂ ねじ部 １２ｃ セラミック層 １２ｅ ねじ部 １４ａ ねじ部 １５ｃ セラミック層 １５ｅ 雌ねじ（ねじ部） ５１ａ ねじ部 ５２ａ ねじ部 ５３ セラミック層 ６２ｃ セラミック層 ６２ｅ ねじ部 ８１ｂ ねじ部 ８２ｃ セラミック層 ８２ｄ 雄ねじ（ねじ部）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接続される配管材のねじ部が螺合するねじ
   部を両側に有する絶縁継手において、両ねじ部がそれぞ
   れ接続される配管材と同じ材質で形成されているととも
   に、継手内部に設けられたセラミック層によって電気的
   に絶縁されていることを特徴とする絶縁継手