JPH07268636A - 薄膜の形成装置および形成方法 - Google Patents
薄膜の形成装置および形成方法Info
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- JPH07268636A JPH07268636A JP5841894A JP5841894A JPH07268636A JP H07268636 A JPH07268636 A JP H07268636A JP 5841894 A JP5841894 A JP 5841894A JP 5841894 A JP5841894 A JP 5841894A JP H07268636 A JPH07268636 A JP H07268636A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 異常放電を発生させず安定なプラズマを形成
維持し膜物性、膜品質の優れた薄膜の形成方法と、バッ
チあたりの処理個数増加を可能とする薄膜形成装置を提
供すること。 【構成】 ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部の中
央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正電圧
が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなるプラ
ズマ発生部と、該プラズマ発生部の外側に負電圧が印加
される複数のカソ−ド電極が隣接されて配設されたこと
を特徴とする薄膜の形成装置において、前記カソード電
極間を50mm以上あけ、前記真空槽内部の圧力を2.
0×10-3Torr以上に保ち薄膜形成を行うことを特
徴とした薄膜の形成装置と形成方法。 【効果】 バッチ当たりの処理個数を増加させ生産性を
高めることが可能となり、薄膜の外観品質および耐摩耗
性の向上に格別の効果がある。
維持し膜物性、膜品質の優れた薄膜の形成方法と、バッ
チあたりの処理個数増加を可能とする薄膜形成装置を提
供すること。 【構成】 ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部の中
央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正電圧
が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなるプラ
ズマ発生部と、該プラズマ発生部の外側に負電圧が印加
される複数のカソ−ド電極が隣接されて配設されたこと
を特徴とする薄膜の形成装置において、前記カソード電
極間を50mm以上あけ、前記真空槽内部の圧力を2.
0×10-3Torr以上に保ち薄膜形成を行うことを特
徴とした薄膜の形成装置と形成方法。 【効果】 バッチ当たりの処理個数を増加させ生産性を
高めることが可能となり、薄膜の外観品質および耐摩耗
性の向上に格別の効果がある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラズマ化学的蒸着法
(プラズマCVD)による薄膜の形成及び形成装置に関
し、特に膜品質、生産性に優れた薄膜の形成方法とプラ
ズマCVD法による薄膜の形成装置の構造に関する。
(プラズマCVD)による薄膜の形成及び形成装置に関
し、特に膜品質、生産性に優れた薄膜の形成方法とプラ
ズマCVD法による薄膜の形成装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の直流グロ−プラズマCVD法によ
る薄膜の形成装置の模式図を図3に示す。ガス導入口3
2と、排気口34を備えた真空槽30の内部にはカソ−
ド電極44と、これと電気的に結合した状態で基材46
が載置されている成膜部42と、プラズマ発生手段を有
するプラズマ発生部36が配置されている。プラズマ発
生手段は熱電子を放出するための高融点金属からなるフ
ィラメント電極38と正電圧が印加されるアノ−ド電極
40の組み合わせから構成されている。この装置空間に
薄膜形成用のモノマ−ガスを導入した後、フィラメント
電極38への加熱により放出された熱電子がアノ−ド電
極40に加速衝突し放電のトリガ−となる。放電が開始
されると熱電子はアノ−ド電極の他にモノマ−ガス分子
にも衝突し、モノマ−ガスの電離、分解により真空槽内
全域にモノマ−ガスのプラズマが形成される。カソ−ド
電極44に負の直流高電圧を印加することによりガスプ
ラズマ中のモノマ−ガスイオンを基材46に加速衝突さ
せ薄膜形成を行っている。
る薄膜の形成装置の模式図を図3に示す。ガス導入口3
2と、排気口34を備えた真空槽30の内部にはカソ−
ド電極44と、これと電気的に結合した状態で基材46
が載置されている成膜部42と、プラズマ発生手段を有
するプラズマ発生部36が配置されている。プラズマ発
生手段は熱電子を放出するための高融点金属からなるフ
ィラメント電極38と正電圧が印加されるアノ−ド電極
40の組み合わせから構成されている。この装置空間に
薄膜形成用のモノマ−ガスを導入した後、フィラメント
電極38への加熱により放出された熱電子がアノ−ド電
極40に加速衝突し放電のトリガ−となる。放電が開始
されると熱電子はアノ−ド電極の他にモノマ−ガス分子
にも衝突し、モノマ−ガスの電離、分解により真空槽内
全域にモノマ−ガスのプラズマが形成される。カソ−ド
電極44に負の直流高電圧を印加することによりガスプ
ラズマ中のモノマ−ガスイオンを基材46に加速衝突さ
せ薄膜形成を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような直流グロ−
プラズマCVD法による薄膜の形成装置において、1つ
のフィラメント電極にアノ−ド電極を対向させて配置し
フィラメント電極から放出された熱電子の多くをアノ−
ド電極に衝突させて、フィラメント電極とアノ−ド電極
間に高密度のガスプラズマを形成し、このガスプラズマ
中のモノマ−ガスの電離、分解により生成されるモノマ
−ガスイオンをカソ−ド電極に加速衝突させて薄膜形成
を行うが、真空槽内の圧力によってはフィラメント電極
から多量の熱電子が放出され、フィラメント電極とアノ
−ド電極間で局部的に熱電子が供給過剰状態となり時に
はこの間で明るい発光を伴う過剰な電子流が発生して、
大電流がアノ−ド電極に流れ込みプラズマが制御できな
くなるア−ク放電現象がある。その他異常放電現象には
隣接するカソ−ド電極間で発光するホロ−放電があり、
これが発生すると、隣接するカソ−ド電極間で局部的に
プラズマ密度が高くなり、瞬間的に発光を伴いながら電
離、分解が発生し過剰なモノマ−ガスイオンが多数生成
されて気相中反応により粉体、微粒子などが生成されて
瞬間的にカソ−ド電極に流れ込み膜外観品質や耐摩耗性
を低下させる原因ともなる。他にも、カソ−ド電極と真
空槽内部のカソ−ド電極以外の場所間での異常放電があ
り、カソ−ド電極上に粉体、微粒子などの異物が存在す
ると、直流高電圧が印加されているカソ−ド電極と真空
槽内部のカソ−ド電極以外の場所間は電位差が大きいた
めに、絶縁不良箇所から電流がリ−クしてカソ−ド電極
上の局部的な場所にから真空槽内部のカソ−ド電極以外
の場所に向かってア−ク放電が発生し、時にはカソ−ド
電極表面を溶かしてしまうこともある。またカソ−ド電
極近傍に粉体、微粒子などが存在すると、これらがトリ
ガ−となってカソ−ド電極上やカソ−ド電極が作るプラ
ズマシ−ス内、及びカソ−ド電極近傍の空間でもア−ク
放電などの異常放電が誘発され、カソ−ド電極上及び近
傍で安定なプラズマを維持することが困難となり、カソ
−ド電極へ加速衝突するモノマ−ガスイオン電流値が大
幅に変動し成膜プロセスを阻害する。
プラズマCVD法による薄膜の形成装置において、1つ
のフィラメント電極にアノ−ド電極を対向させて配置し
フィラメント電極から放出された熱電子の多くをアノ−
ド電極に衝突させて、フィラメント電極とアノ−ド電極
間に高密度のガスプラズマを形成し、このガスプラズマ
中のモノマ−ガスの電離、分解により生成されるモノマ
−ガスイオンをカソ−ド電極に加速衝突させて薄膜形成
を行うが、真空槽内の圧力によってはフィラメント電極
から多量の熱電子が放出され、フィラメント電極とアノ
−ド電極間で局部的に熱電子が供給過剰状態となり時に
はこの間で明るい発光を伴う過剰な電子流が発生して、
大電流がアノ−ド電極に流れ込みプラズマが制御できな
くなるア−ク放電現象がある。その他異常放電現象には
隣接するカソ−ド電極間で発光するホロ−放電があり、
これが発生すると、隣接するカソ−ド電極間で局部的に
プラズマ密度が高くなり、瞬間的に発光を伴いながら電
離、分解が発生し過剰なモノマ−ガスイオンが多数生成
されて気相中反応により粉体、微粒子などが生成されて
瞬間的にカソ−ド電極に流れ込み膜外観品質や耐摩耗性
を低下させる原因ともなる。他にも、カソ−ド電極と真
空槽内部のカソ−ド電極以外の場所間での異常放電があ
り、カソ−ド電極上に粉体、微粒子などの異物が存在す
ると、直流高電圧が印加されているカソ−ド電極と真空
槽内部のカソ−ド電極以外の場所間は電位差が大きいた
めに、絶縁不良箇所から電流がリ−クしてカソ−ド電極
上の局部的な場所にから真空槽内部のカソ−ド電極以外
の場所に向かってア−ク放電が発生し、時にはカソ−ド
電極表面を溶かしてしまうこともある。またカソ−ド電
極近傍に粉体、微粒子などが存在すると、これらがトリ
ガ−となってカソ−ド電極上やカソ−ド電極が作るプラ
ズマシ−ス内、及びカソ−ド電極近傍の空間でもア−ク
放電などの異常放電が誘発され、カソ−ド電極上及び近
傍で安定なプラズマを維持することが困難となり、カソ
−ド電極へ加速衝突するモノマ−ガスイオン電流値が大
幅に変動し成膜プロセスを阻害する。
【0004】異常放電を抑制するための手段として、成
膜時の圧力を高真空側に上げることがあげられ、この手
法を採用すれば異常放電は減少しプラズマは安定する
が、その反面成膜レ−トが極端に低下するため処理効率
を考慮すると好ましくない。また、隣接するカソ−ド電
極とカソ−ド電極間の距離を拡げれば異常放電は発生し
ないが、バッチあたりの処理個数増とは両立しない。
膜時の圧力を高真空側に上げることがあげられ、この手
法を採用すれば異常放電は減少しプラズマは安定する
が、その反面成膜レ−トが極端に低下するため処理効率
を考慮すると好ましくない。また、隣接するカソ−ド電
極とカソ−ド電極間の距離を拡げれば異常放電は発生し
ないが、バッチあたりの処理個数増とは両立しない。
【0005】本発明の課題は、上記目的を解決し、異常
放電を発生させず安定なプラズマを形成維持し膜物性、
膜品質の優れた薄膜の形成方法と、バッチあたりの処理
個数増加を可能とする薄膜形成装置を提供することにあ
る。
放電を発生させず安定なプラズマを形成維持し膜物性、
膜品質の優れた薄膜の形成方法と、バッチあたりの処理
個数増加を可能とする薄膜形成装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部
の中央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正
電圧が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなる
プラズマ発生部と、該プラズマ発生部の外側に負電圧が
印加される複数のカソ−ド電極が隣接されて配設されて
おり、導入ガスをプラズマにより電離、分解させてその
生成物を前記カソ−ド電極上に載置された基材の表面に
薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法におい
て、成膜プロセスを阻害する異常放電の発生を抑制する
ため、隣接するカソ−ド電極間距離、圧力を限定してガ
スプラズマを発生させモノマ−ガスイオンの電離、分解
によりその生成物を前記カソ−ド電極上に載置された基
材表面に形成する手段から構成される。
に、本発明は、ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部
の中央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正
電圧が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなる
プラズマ発生部と、該プラズマ発生部の外側に負電圧が
印加される複数のカソ−ド電極が隣接されて配設されて
おり、導入ガスをプラズマにより電離、分解させてその
生成物を前記カソ−ド電極上に載置された基材の表面に
薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法におい
て、成膜プロセスを阻害する異常放電の発生を抑制する
ため、隣接するカソ−ド電極間距離、圧力を限定してガ
スプラズマを発生させモノマ−ガスイオンの電離、分解
によりその生成物を前記カソ−ド電極上に載置された基
材表面に形成する手段から構成される。
【0007】
【作用】隣接されたカソ−ド電極間の距離を50mm以
上あけること、圧力を2×10 -3Torr以上の高真空
側に限定してガスプラズマを形成したため、カソ−ド電
極上やカソ−ド電極が作るプラズマシ−ス内、及びカソ
−ド電極近傍の空間での異常放電が抑制され安定なプラ
ズマが形成維持され、過剰な気相中反応が抑制されるた
め、基材表面に付着し膜外観品質や膜物性を低下させる
粉体、微粒子などの生成が抑制され基材と密着性強固な
薄膜が形成できる。隣接されたカソ−ド電極間の距離を
50mm以上とることによりプラズマ中で成膜に有効に
作用するエリアを確保でき、真空層内部の治具配置によ
っては1バッチあたりの処理個数増が計られ生産性を高
めることが可能となる。
上あけること、圧力を2×10 -3Torr以上の高真空
側に限定してガスプラズマを形成したため、カソ−ド電
極上やカソ−ド電極が作るプラズマシ−ス内、及びカソ
−ド電極近傍の空間での異常放電が抑制され安定なプラ
ズマが形成維持され、過剰な気相中反応が抑制されるた
め、基材表面に付着し膜外観品質や膜物性を低下させる
粉体、微粒子などの生成が抑制され基材と密着性強固な
薄膜が形成できる。隣接されたカソ−ド電極間の距離を
50mm以上とることによりプラズマ中で成膜に有効に
作用するエリアを確保でき、真空層内部の治具配置によ
っては1バッチあたりの処理個数増が計られ生産性を高
めることが可能となる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を硬質カ−ボン膜形成
を例にとって説明する。図1、図2は本発明によるプラ
ズマCVD装置の構造を説明するための模式図で、図1
が装置上面図、図2が装置断面図である。真空槽2は真
空ポンプ6を通じて真空排気が可能で、圧力調整器8に
より任意の圧力に調整できる構造となっている。該真空
槽2中央のプラズマ発生部10にはプラズマ発生手段を
構成するために必要なフィラメント電極12と、アノ−
ド電極14が15mmの距離をとって配置され、プラズ
マ発生部であるフィラメント電極とアノ−ド電極の中心
から外側に200mm離れたところにある成膜部16に
カソ−ド電極18が複数個配置され、隣接するカソ−ド
電極とカソ−ド電極間は50mmの距離があけられ、カ
ソ−ド電極18と電気的に結合した状態で基材20が配
置されている。膜厚分布が一定となるようにプラズマ発
生部10と基材20との相対的な位置関係を同等に保つ
ためにカソ−ド電極18には自公転機構を持たせてい
る。真空槽2の外部からガス導入口4を通じて炭化水素
ガスが導入可能な装置構造となっている。電極駆動回路
22は、フィラメント電極12と電気的に結合したフィ
ラメント電源24と、アノ−ド電極12と電気的に結合
したアノ−ド電源26と、カソ−ド電極18と電気的に
結合したカソ−ド電源28とから構成される。
を例にとって説明する。図1、図2は本発明によるプラ
ズマCVD装置の構造を説明するための模式図で、図1
が装置上面図、図2が装置断面図である。真空槽2は真
空ポンプ6を通じて真空排気が可能で、圧力調整器8に
より任意の圧力に調整できる構造となっている。該真空
槽2中央のプラズマ発生部10にはプラズマ発生手段を
構成するために必要なフィラメント電極12と、アノ−
ド電極14が15mmの距離をとって配置され、プラズ
マ発生部であるフィラメント電極とアノ−ド電極の中心
から外側に200mm離れたところにある成膜部16に
カソ−ド電極18が複数個配置され、隣接するカソ−ド
電極とカソ−ド電極間は50mmの距離があけられ、カ
ソ−ド電極18と電気的に結合した状態で基材20が配
置されている。膜厚分布が一定となるようにプラズマ発
生部10と基材20との相対的な位置関係を同等に保つ
ためにカソ−ド電極18には自公転機構を持たせてい
る。真空槽2の外部からガス導入口4を通じて炭化水素
ガスが導入可能な装置構造となっている。電極駆動回路
22は、フィラメント電極12と電気的に結合したフィ
ラメント電源24と、アノ−ド電極12と電気的に結合
したアノ−ド電源26と、カソ−ド電極18と電気的に
結合したカソ−ド電源28とから構成される。
【0009】本実施例においては真空槽を真空ポンプ6
を通じて2×10-5Torr程度の圧力まで真空排気し
た後、ガス導入口4よりモノマ−ガスとしてベンゼンを
導入し、圧力調整器8により圧力が2×10-3Torr
となるように調整した。プラズマ発生部10に配置され
たプラズマ発生手段を構成するフィラメント電極12か
ら熱電子を放出させ、100Vの電圧を印加したアノ−
ド電極14に衝突させることで放電開始のトリガ−とし
ベンゼンガスにも熱電子を衝突させ真空槽内にベンゼン
ガスプラズマを発生させ、成膜部16に配置されたカソ
−ド電極18に負の直流高電圧−5kVを印加し、ガス
イオンを加速衝突させ基材上に硬質カ−ボン膜を3μm
形成した。ここでは基材としてステンレス鋼を用いた。
を通じて2×10-5Torr程度の圧力まで真空排気し
た後、ガス導入口4よりモノマ−ガスとしてベンゼンを
導入し、圧力調整器8により圧力が2×10-3Torr
となるように調整した。プラズマ発生部10に配置され
たプラズマ発生手段を構成するフィラメント電極12か
ら熱電子を放出させ、100Vの電圧を印加したアノ−
ド電極14に衝突させることで放電開始のトリガ−とし
ベンゼンガスにも熱電子を衝突させ真空槽内にベンゼン
ガスプラズマを発生させ、成膜部16に配置されたカソ
−ド電極18に負の直流高電圧−5kVを印加し、ガス
イオンを加速衝突させ基材上に硬質カ−ボン膜を3μm
形成した。ここでは基材としてステンレス鋼を用いた。
【0010】(比較例1)本発明の効果を確認するため
に、実施例と同一装置構成で圧力調整器8によりガス圧
力が5×10-3Torrとなるように調整し、その他の
成膜条件は実施例と同一条件で同一のステンレス鋼基材
上に硬質カ−ボン膜を3μm形成した。
に、実施例と同一装置構成で圧力調整器8によりガス圧
力が5×10-3Torrとなるように調整し、その他の
成膜条件は実施例と同一条件で同一のステンレス鋼基材
上に硬質カ−ボン膜を3μm形成した。
【0011】(比較例2)本比較例においては隣接する
カソ−ド電極とカソ−ド電極間は100mmの距離があ
けられ、その他の装置構成は実施例と同一で、かつ成膜
条件は実施例と同一条件で同一のステンレス鋼基材上に
硬質カ−ボン膜を3μm形成した。
カソ−ド電極とカソ−ド電極間は100mmの距離があ
けられ、その他の装置構成は実施例と同一で、かつ成膜
条件は実施例と同一条件で同一のステンレス鋼基材上に
硬質カ−ボン膜を3μm形成した。
【0012】実施例、比較例1、比較例2で、得られた
硬質カ−ボン膜の密着性、耐摩耗性の評価結果を下記表
1に示す。密着性は引っかき試験を行い、剥離開始荷重
を測定した。耐摩耗性は摩耗試験機で荷重350gfを
印加した炭化けい素#800の研磨紙による400回往
復テストにより摩耗した膜厚を測定した。硬質カ−ボン
膜の密着性と耐摩耗性を改善する上で、成膜時に異常放
電が多数発生する従来膜(比較例1)は効果がなく、異
常放電を抑制するために隣接するカソ−ド電極とカソ−
ド電極間を拡げた場合(比較例2)では、実施例と同様
に著しく改善されるが、1バッチあたりの処理個数が大
幅に低下し生産効率とは両立しない。本実施例において
は密着性、耐摩耗性がともに飛躍的に向上することが明
らかに認められ、かつ処理個数を著しく増加させ生産性
を高めることが可能となる。
硬質カ−ボン膜の密着性、耐摩耗性の評価結果を下記表
1に示す。密着性は引っかき試験を行い、剥離開始荷重
を測定した。耐摩耗性は摩耗試験機で荷重350gfを
印加した炭化けい素#800の研磨紙による400回往
復テストにより摩耗した膜厚を測定した。硬質カ−ボン
膜の密着性と耐摩耗性を改善する上で、成膜時に異常放
電が多数発生する従来膜(比較例1)は効果がなく、異
常放電を抑制するために隣接するカソ−ド電極とカソ−
ド電極間を拡げた場合(比較例2)では、実施例と同様
に著しく改善されるが、1バッチあたりの処理個数が大
幅に低下し生産効率とは両立しない。本実施例において
は密着性、耐摩耗性がともに飛躍的に向上することが明
らかに認められ、かつ処理個数を著しく増加させ生産性
を高めることが可能となる。
【0013】
【表1】
【0014】本実施例においてはステンレス鋼基材上に
硬質カ−ボン膜を形成したが、鉄鋼系材料、銅合金材料
などの任意の材料を使用してもさしつかえなく、ガスプ
ラズマ中でモノマ−ガスを電離、分解させモノマ−ガス
イオンにより薄膜形成を行うならば形成する薄膜は硬質
カ−ボン膜に限定する必要はなくいずれの薄膜でもよ
い。また基材材料と薄膜の間に基材の腐蝕防止や密着強
度の向上を目的として中間層を導入してもよい。ここで
はモノマ−ガスとしてベンゼンを用いたが、プラズマ中
で電離、分解可能なモノマ−ガスであればいずれのガス
を用いてもよい。フィラメント電極とアノ−ド電極の位
置関係はカソ−ド電極に対しアノ−ド電極、フィラメン
ト電極の順またはカソ−ド電極に対しフィラメント電
極、アノ−ド電極の順のいずれでもよく、フィラメント
電極とアノ−ド電極間の距離Lは、3mm≦L<30m
mの範囲内であればいずれの値でもよい。プラズマ発生
部であるフィラメント電極とアノ−ド電極の中心から成
膜部までの距離Μは、50mm≦M<400mmの範囲
内であればいずれの値でもよい。カソ−ド電極に印加す
る直流高電圧は−1kV以上であればいずれでもよい。
隣接されたカソ−ド電極とカソ−ド電極間の異常放電を
抑制するためにカソ−ド電極間の距離を少なくとも50
mm以上あけなければならない。モノマ−ガス圧力を2
×10-3Torrとしたが、この値はカソ−ド電極上や
その近傍及び真空槽内の各部での異常放電を抑制するた
めの低圧力側の限界値であるが、これより高圧力側、例
えば1.5×10-3Torr等で成膜を行うことは差し
支えない。
硬質カ−ボン膜を形成したが、鉄鋼系材料、銅合金材料
などの任意の材料を使用してもさしつかえなく、ガスプ
ラズマ中でモノマ−ガスを電離、分解させモノマ−ガス
イオンにより薄膜形成を行うならば形成する薄膜は硬質
カ−ボン膜に限定する必要はなくいずれの薄膜でもよ
い。また基材材料と薄膜の間に基材の腐蝕防止や密着強
度の向上を目的として中間層を導入してもよい。ここで
はモノマ−ガスとしてベンゼンを用いたが、プラズマ中
で電離、分解可能なモノマ−ガスであればいずれのガス
を用いてもよい。フィラメント電極とアノ−ド電極の位
置関係はカソ−ド電極に対しアノ−ド電極、フィラメン
ト電極の順またはカソ−ド電極に対しフィラメント電
極、アノ−ド電極の順のいずれでもよく、フィラメント
電極とアノ−ド電極間の距離Lは、3mm≦L<30m
mの範囲内であればいずれの値でもよい。プラズマ発生
部であるフィラメント電極とアノ−ド電極の中心から成
膜部までの距離Μは、50mm≦M<400mmの範囲
内であればいずれの値でもよい。カソ−ド電極に印加す
る直流高電圧は−1kV以上であればいずれでもよい。
隣接されたカソ−ド電極とカソ−ド電極間の異常放電を
抑制するためにカソ−ド電極間の距離を少なくとも50
mm以上あけなければならない。モノマ−ガス圧力を2
×10-3Torrとしたが、この値はカソ−ド電極上や
その近傍及び真空槽内の各部での異常放電を抑制するた
めの低圧力側の限界値であるが、これより高圧力側、例
えば1.5×10-3Torr等で成膜を行うことは差し
支えない。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、隣接するカソ−ド電極
間距離と圧力を限定してガスプラズマを形成したため、
カソ−ド電極上やカソ−ド電極近傍で成膜プロセスを阻
害する異常放電の発生が抑制され安定なガスプラズマが
形成維持され、このガスプラズマ中で各種基材上に密着
性、耐摩耗性が良好な薄膜を形成することが可能とな
る。また隣接するカソ−ド電極間の距離限定により、装
置内の基材配置よっては処理個数を増加させ生産性を高
めることが可能となり被膜の外観品質、耐摩耗性が飛躍
的に向上し、時計、眼鏡など装飾部品への応用被膜や、
特に密着性、耐摩耗性などが要求される機構機械部品な
どに施される表面処理法として格別の効果がある。
間距離と圧力を限定してガスプラズマを形成したため、
カソ−ド電極上やカソ−ド電極近傍で成膜プロセスを阻
害する異常放電の発生が抑制され安定なガスプラズマが
形成維持され、このガスプラズマ中で各種基材上に密着
性、耐摩耗性が良好な薄膜を形成することが可能とな
る。また隣接するカソ−ド電極間の距離限定により、装
置内の基材配置よっては処理個数を増加させ生産性を高
めることが可能となり被膜の外観品質、耐摩耗性が飛躍
的に向上し、時計、眼鏡など装飾部品への応用被膜や、
特に密着性、耐摩耗性などが要求される機構機械部品な
どに施される表面処理法として格別の効果がある。
【図1】本発明の実施例における薄膜の形成装置を示す
装置構造の模式上面図である。
装置構造の模式上面図である。
【図2】本発明の実施例における薄膜の形成装置を示す
装置構造の模式断面図である。
装置構造の模式断面図である。
【図3】従来の薄膜の形成装置を示す装置構造の模式図
である。
である。
2 真空槽 4 ガス導入口 6 真空ポンプ 8 圧力調整器 10 プラズマ発生部 12 フィラメント電極 14 アノ−ド電極 16 成膜部 18 カソ−ド電極 20 基材 22 電極駆動回路 24 フィラメント電源 26 アノ−ド電源 28 カソ−ド電源 30 真空槽 32 ガス導入口 34 排気口 36 プラズマ発生部 38 フィラメント電極 40 アノ−ド電極 42 成膜部 44 カソ−ド電極 46 基材
Claims (2)
- 【請求項1】 ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部
の中央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正
電圧が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなる
プラズマ発生部と、該プラズマ発生部の外周に負電圧が
印加される複数のカソ−ド電極が配設されていることを
特徴とする薄膜の形成装置において、前記カソ−ド電極
間の距離が50mm以上あけられていることを特徴とす
る薄膜の形成装置。 - 【請求項2】 ガス導入口と排気口を備えた真空槽内部
の中央に熱電子を放出するためのフィラメント電極と正
電圧が印加されるアノ−ド電極との組み合わせからなる
プラズマ発生部と、該プラズマ発生部の外周に負電圧が
印加される複数のカソ−ド電極がそれぞれ50mm以上
の間隔で配設されている薄膜の形成装置を用いた薄膜の
形成方法において、前記真空槽内部の圧力を2.0×1
0-3Torr以上に保ち薄膜の形成を行うことを特徴と
する薄膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05841894A JP3397878B2 (ja) | 1994-03-29 | 1994-03-29 | 薄膜の形成装置および形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05841894A JP3397878B2 (ja) | 1994-03-29 | 1994-03-29 | 薄膜の形成装置および形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07268636A true JPH07268636A (ja) | 1995-10-17 |
JP3397878B2 JP3397878B2 (ja) | 2003-04-21 |
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ID=13083842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05841894A Expired - Fee Related JP3397878B2 (ja) | 1994-03-29 | 1994-03-29 | 薄膜の形成装置および形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3397878B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111893455A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-11-06 | 河北美普兰地环保科技有限公司 | 金属基材碳纳米膜材料制造设备及其制备方法 |
-
1994
- 1994-03-29 JP JP05841894A patent/JP3397878B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111893455A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-11-06 | 河北美普兰地环保科技有限公司 | 金属基材碳纳米膜材料制造设备及其制备方法 |
CN111893455B (zh) * | 2020-09-08 | 2023-10-03 | 河北美普兰地环保科技有限公司 | 金属基材碳纳米膜材料制造设备及其制备方法 |
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Publication number | Publication date |
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JP3397878B2 (ja) | 2003-04-21 |
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