JPH07268264A - インキ組成物、及びその製造方法 - Google Patents

インキ組成物、及びその製造方法

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JPH07268264A
JPH07268264A JP5854794A JP5854794A JPH07268264A JP H07268264 A JPH07268264 A JP H07268264A JP 5854794 A JP5854794 A JP 5854794A JP 5854794 A JP5854794 A JP 5854794A JP H07268264 A JPH07268264 A JP H07268264A
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麻純 西澤
Masayuki Iijima
正行 飯嶋
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 共重合樹脂粒子と分散媒とが、共重合樹脂に
おける少なくとも1種のモノマー成分のみから構成され
るホモポリマーの溶解度パラメータ値δp1 と分散媒の
SP値δs1 との差Δδ1 が1.0以上の範囲であると
共に、他の少なくとも1種のモノマー成分のみから構成
されるホモポリマーの溶解度パラメータ値δp2 と分散
媒のSP値δs1 との差Δδ2 が1.0以下であり、か
つΔδ1 とΔδ2 との差Δが少なくとも0.5以上の関
係を有し、共重合樹脂粒子が分散媒に不溶な核部分と、
分散媒に溶解、又は膨潤する外縁部部分とからなること
を特徴とするインキ組成物。 【効果】 顔料等の粒子の含有量を増大させても、沈
降、凝集等を生じることがなく、分散性に優れると共
に、ゲル化等を生じることなく、コーティング適性に優
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顔料を含有、または含
有しない共重合樹脂粒子を分散媒中に分散したインキ組
成物及びその製造方法に関し、グラビアインキ、カラー
フィルター用インキ、塗料等として使用されるインキ組
成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グラビアインキ等に使用されるインキ組
成物としては、一般に、分散媒とその分散媒に可溶なバ
インダー樹脂、及び顔料等の粒子、分散剤とからなる
が、顔料等の粒子の含有率を上げるにつれて、インキ中
での密度差により顔料が沈降したり、また顔料の静電電
荷に起因する顔料の凝集が生じ、顔料の分散性を上げる
ためには、顔料の含有率を低く設定せざるを得ないとい
う問題がある。
【0003】また、分散性を保持しつつ顔料濃度を上げ
るために、例えばバインダー樹脂濃度を高くすることも
考えられるが、バインダー樹脂濃度を高くするとゲル化
が生じやすく、コーティング適性がなくなるという問題
があり、また、分散剤濃度を高めても、その効果には限
界があり、却って粘度の上昇や保存安定性が低下すると
いう問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのため、本発明は、
顔料等の粒子の含有量を増大させても、沈降、凝集等を
生じることがなく、分散性に優れると共に、ゲル化等を
生じることなく、コーティング適性に優れるインキ組成
物及びその製造方法の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のインキ組成物
は、分散媒中に少なくとも2種以上のモノマー成分から
なる共重合樹脂粒子が分散したインキ組成物において、
共重合樹脂粒子と分散媒とが、共重合樹脂における少な
くとも1種のモノマー成分のみから構成されるホモポリ
マーの溶解度パラメータ値(以下、SP値と称する)δ
1 と分散媒のSP値δs1 との差Δδ1 が1.0以上
であると共に、他の少なくとも1種のモノマー成分のみ
から構成されるホモポリマーのSP値δp2 と分散媒の
SP値δs1 との差Δδ2 が1.0以下であり、かつΔ
δ1 とΔδ2 との差Δ(Δδ1 −Δδ2 )が少なくとも
0.5以上の関係を有し、共重合樹脂粒子が分散媒に不
溶な核部分と、該核部分を包む、分散媒に溶解、又は膨
潤する外縁部部分とからなることを特徴とする。
【0006】また、本発明のインキ組成物は、上記の共
重合樹脂粒子が、顔料を包含するものであることを特徴
とする。
【0007】本発明のインキ組成物の製造方法は、少な
くとも2種以上のモノマー成分からなる共重合樹脂を溶
媒に溶解した後、その溶液を分散媒と混合し、共重合樹
脂粒子を造粒するにあたり、前記分散媒と共重合樹脂と
を共重合樹脂における少なくとも1種のモノマー成分の
みから構成されるホモポリマーのSP値δp1 と分散媒
のSP値との差Δδ1 が1.0以上であると共に、他の
少なくとも1種のモノマー成分のみから構成されるホモ
ポリマーのSP値δp2 と分散媒のSP値との差Δδ2
が1.0以下であって、かつΔδ1 とΔδ2 との差Δ
(Δδ1 −Δδ2)が少なくとも0.5以上の関係を有
する分散媒と混合し、次いで溶媒を除去し、分散媒に不
溶な核部分と、該核部分を包む、分散媒に溶解又は膨潤
する外縁部分とからなる共重合樹脂粒子を形成させるこ
とを特徴とする。
【0008】また、本発明のインキ組成物の製造方法
は、上記のインキ組成物の製造方法において、共重合樹
脂粒子を顔料の存在下で形成させ、顔料を包含した共重
合樹脂粒子とすることを特徴とする。
【0009】一般に、SP値は物質同士の相溶性、非相
溶性を示すものとして知られているが、樹脂とその溶媒
との関係を例にすると、SP値により樹脂のその溶媒に
対する溶解性の程度を示すことができ、両者のSP値の
差が小さければ、樹脂のその溶媒に対する溶解性が大き
く、その差が大きければ溶解性が小さく、不溶性である
ことを示すものである。
【0010】樹脂のSP値を測定する方法としては、例
えば、(1)溶解法によるもの、即ち、樹脂を溶解する
溶媒のSP値から推定する方法( H.Burrell,Official
Digest,27(369),726(1950)) 、(2)膨潤法、即ち、溶
解困難な樹脂については、膨潤度が最大となるような溶
媒のSP値から推定する方法(同上)、(3)樹脂の極
限粘度から求める方法、即ち、溶媒中における樹脂の極
限粘度は、樹脂のSP値と溶媒のSP値とが一致する
時、最大値を示す。そのため、樹脂を各種のSP値を有
する溶媒に溶解させてそれぞれ極限粘度を測定し、その
極限粘度として最大値を与える溶媒の溶解度パラメータ
値から樹脂のSP値を推定する方法( H.Ahmed,M,Yasse
n,J.Coat.Technol.,50,86(1970) 、W.R.Song,D.W.Brown
awell,Polym.Eng.Sci.,10,222(1970))、(4)分子引力
定数から求める方法、即ち、樹脂分子を構成する各官能
基又は原子団の分子引力定数(G)及びモル容積(V)
から、式 SP値=ΣG/Vにより求める方法( D.A.S
mall,J.Appl.Chem.,3,71,(1953) 、K.L.Hoy,J.Paint Te
chnol.,42,76(1970)) が知られている。
【0011】以下、本発明においては、樹脂のSP値と
しては分子引力定数により求められる値を使用し、ま
た、溶媒のSP値としては、Hildebrand-Scatchardの溶
液理論( J.H.Hildebrand,R.L.Scott,「 The Solubilit
y of Nonelectrolytes」3rd Ed.,Reinhold Publishing
cop.,New York (1949)、G.Scatchard,Chem.Rev.,8,321
(1931) に基づき分子間の引き合う力を考えて得られる
もので、 SP値(δ)=(ΔEv /ΔV1 1/2 (但し、ΔEv :蒸発エネルギー、V1 :分子容、ΔE
v /V1 :凝集エネルギー)で示されるもので、本発明
においては、K.L.Hoy,「 J. Paint Technol.,42,76(197
0)に記載されている、25℃での値を使用する。
【0012】樹脂を溶媒に溶解する場合を例として、樹
脂と溶媒のそれぞれのSP値の関係について説明する
と、SP値が9.1のポリスチレンは、SP値が9.1
のテトラヒドロフランには非常に溶解しやすく、SP値
が8.5〜9.3の範囲の溶媒には可溶性があり、SP
値が7.3のn−ヘキサンには全く溶解しない。このよ
うに、樹脂と溶媒のそれぞれのSP値の差を見ること
で、溶媒中における樹脂の状態を推定することができ
る。
【0013】また、比較的希薄な状態で樹脂をその良溶
媒中に溶解させた後、その溶液を貧溶媒中に添加し、良
溶媒を除去する操作を行なうと樹脂粒子を析出させるこ
とができるが、これは、良溶媒中では単分子状で、かつ
分子鎖が伸びた状態で存在していた樹脂が、貧溶媒中で
は分子鎖が縮まり、粒子化し、析出するに至るものと考
えることができる。従って、貧溶媒として、樹脂が膨潤
する程度のSP値の差を有する溶媒とするか、また、S
P値の差が大きく、樹脂が完全に不溶性の溶媒とするか
により溶媒中での粒子の状態が相違する。
【0014】樹脂とその溶媒との間には、このような一
般的な関係があるが、本発明者等は、樹脂として共重合
樹脂を使用し、その粒子を特定のSP値を有する溶媒中
に存在させると、共重合樹脂におけるモノマー構成の割
合が変化するにつれて、樹脂粒子の粒径が比例して変化
することを、実験的に見出した。
【0015】そして、その法則性を検討する中で、少な
くとも2種以上のモノマー成分からなる共重合樹脂を、
その少なくとも1種のモノマー成分のみから構成される
ホモポリマーと、他の少なくとも1種のモノマー成分の
みから構成されるホモポリマーとからなるものと見做す
ことにより、それぞれのホモポリマーの溶媒に対する溶
解性から、溶媒中における共重合樹脂の溶解状態を規定
できることを見出したものである。
【0016】このような考察を踏まえ、本発明は、共重
合樹脂粒子と分散媒との関係において、(1)共重合樹
脂における少なくとも1種のモノマー成分のみから構成
されるホモポリマーのSP値δp1 と分散媒のSP値δ
1 との差Δδ1 が1.0以上、好ましくは1.5以上
であり、(2)他の少なくとも1種のモノマー成分のみ
から構成されるホモポリマーのSP値δp2 と分散媒の
SP値δs1 との差Δδ2 が1.0以下、好ましくは
0.5≦Δδ1 ≦1.0の範囲にあり、かつ、(3)こ
れら、Δδ1 とΔδ2 との差Δ(Δδ1 −Δδ2 )が少
なくとも0.5以上、好ましくは1.0以上と規定する
ことにより、(1)で規定される分散媒に対する不溶部
分と、(2)で規定される溶解、または膨潤部分とから
なるものとして、共重合樹脂粒子の状態を規定すること
ができるものである。
【0017】そして、得られる共重合樹脂粒子の形状と
しては、分散媒に不溶な部分は分散媒とは非親和性であ
り、また、分散媒に溶解、または膨潤する部分は分散媒
とは親和性を有する結果、不溶な部分を核部分とし、溶
解、または膨潤する部分を外縁部分とする二重層の粒子
構造を有するに至るものであり、その膨潤部分の割合が
大きくなるとその粒径は大きくなり、また膨潤部分の割
合が小さくなるとその粒径は小さくなるものと考えられ
る。
【0018】次に、共重合樹脂粒子及び分散媒について
具体的に説明する。共重合樹脂及び分散媒としては、上
記した関係を有する共重合樹脂及び分散媒であればその
組合せに特に限定されないが、インキ組成物における共
重合樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合
樹脂、エチレン−アクリレート共重合樹脂、エチレン−
アクリル酸共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート
共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹
脂、酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合樹脂、ア
クリル酸−メチルメタクリレート共重合樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重
合樹脂、スチレン−イソプレン共重合樹脂、スチレン−
アクリロニトリル共重合樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げら
れ、メルトフローレート(MFR)が1dg/min〜
400dg/min、好ましくは2dg/min〜15
0dg/minのものが好ましい。
【0019】また、それぞれの共重合樹脂における、分
散媒に対して溶解、又は膨潤部分を形成すると見做され
る重合単位と分散媒に対して不溶部分を形成すると見做
される重合単位との割合は、重量比で95/5〜5/9
5、好ましくは85/15〜15/85の割合とすると
よく、この範囲を外れると、ホモポリマーとしての性格
が強くなり、共重合樹脂粒子としての特徴である、分散
媒に対して溶解、又は膨潤する部分と不溶部分とからな
るものが得られない。
【0020】また、重合単位が3成分以上からなる共重
合樹脂粒子の場合には、第3成分が分散媒のSP値との
関係で溶解または不溶性部分を形成する各成分のいずれ
か一方と同様のSP値を与えるものであれば、それと同
等の成分として見做してよく、また、分散媒のSP値と
の関係で、SP値がそれぞれ相違する場合は、分散媒の
SP値との差の一番大きいものと一番小さいものを選択
するとよく、その割合は、上記の2成分からなる共重合
樹脂の場合と同様とするとよい。
【0021】次に、これらの共重合樹脂粒子を分散させ
る分散媒としては、上記した樹脂との関係を基準にして
選択されるが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
の場合、ポリエチレンのSP値は8.1、ポリ酢酸ビニ
ルのSP値は9.4であり、分散媒としてn−ヘキサン
(SP値7.3)を使用するとΔδ1 は9.4−7.3
=2.1、Δδ2 は8.1−7.3=0.8であり、Δ
(Δδ1 −Δδ2 )は2.5となるので、上記関係を満
足するものであり、本発明のインキ組成物における共重
合樹脂と分散媒の組合せとして適するものである。ま
た、このエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂粒子は、分散
媒中において、エチレン成分に由来する部分が溶解、ま
たは膨潤部分として外縁部分を形成し、酢酸ビニル成分
に由来する部分が不溶性の核部分を形成した形状を有す
るものである。
【0022】ここで、上記した共重合樹脂を使用する場
合に、分散媒のSP値との関係で指標となるホモポリマ
ー及びそのSP値を記載しておく。ポリエチレン(8.
1)、ポリブタジエン(8.4)、ポリイソプレン
(8.15)、ポリイソブチレン(7.7)、ポリラウ
リルメタクリレート(8.2)、ポリステアリルメタク
リレート(8.2)、ポリイソボニルメタクリレート
(8.2)、ポリ−t−ブチルメタクリレート(8.
2)、ポリスチレン(9.1)、ポリエチルメタクリレ
ート(9.1)、ポリメチルメタクリレート(9.
3)、ポリメチルアクリレート(9.7)、ポリエチル
アクリレート(9.2)、ポリアクリロニトリル(1
2.8)である。
【0023】また、使用できる分散媒とSP値として
は、n−ヘキサン(7.3)、n−オクタン(7.
5)、シクロヘキサン(8.2)、酢酸セロソルブ
(9.4)、トルエン(8.9)、テトラヒドロフラン
(9.1)、メチルエチルケトン(9.5)、シクロヘ
キサノン(10.4)、アセトン(9.6)、ジオキサ
ン(10.1)、エチルセロソルブ(10.7)、シク
ロヘキサノール(11.4)、メチルセロソルブ(1
1.7)、イソプロピルアルコール(11.4)、エタ
ノール(12.8)、メタノール(14.5)が挙げら
れる。
【0024】また、その他、インキ用溶剤として通常使
用される溶剤である例えばn−ヘプタン(7.5)、ゴ
ム揮発油、ミネラルスピリット、高沸点石油溶剤、キシ
レン(8.8)、ソルベントナフタ、ソルベソ#10
0、ソルベソ#150、テトラリン、n−プロピルアル
コール(12.2)、n−ブチルアルコール(11.
6)、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコー
ル、2−メチルシクロヘキシルアルコール、エチレング
リコール(17.1)、ジエチレングリコール(14.
2)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール(15.0)、ジプロピレン
グリコール(11.5)、グリセリン(17.7)、エ
チレングリコールモノブチルエーテル(9.9)、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル(10.3)、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.
4)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト(8.9)、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテート(9.5)、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテルアセテート(9.1)、酢酸エチル(8.
9)、酢酸イソプロピル(8.6)、酢酸−n−ブチル
(8.7)、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘ
キサノン、イソホロン(9.4)、ジアセトンアルコー
ル(9.8)等もSP値を考慮して適宜使用される。
【0025】次に、本発明のインキ組成物として、好ま
しい共重合樹脂と分散媒との組合せについて例示する。 (1)グラビアインキとする場合、分散媒としては、一
般に、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等が使用さ
れ、バインダー樹脂としては石灰ロジン、亜鉛ロジン、
エステルガム、ギルソナイト等を溶解したものが用いら
れている。これらの分散媒中において適した共重合樹脂
と分散媒との関係を例示する。
【0026】まず、n−ヘキサン(SP値=7.3)を
分散媒とする場合について、好ましい共重合樹脂と、そ
の共重合樹脂における一方のモノマー成分のみから構成
されるホモポリマーの溶解度パラメータ値δp1 と分散
媒の溶解度パラメータ値δs1 との差Δδ1 、他方のモ
ノマー成分のみから構成されるホモポリマーの溶解度パ
ラメータ値δp2 と分散媒の溶解度パラメータ値δs1
との差Δδ2 、Δδ1とΔδ2 との差Δ(Δδ1 −Δδ
2 )を記載しておく。但し、括弧内の数値は、そのモノ
マー成分のみから構成されるホモポリマーの溶解度パラ
メータ値を示す。
【0027】エチレン(8.1)−酢酸ビニル(9.
4)共重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2 =2.1 エチレン(8.1)−メチルアクリレート(9.7)共
重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2 =2.4 エチレン(8.1)−エチルアクリレート(9.2)共
重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2 =1.9 スチレン(9.1)−ブタジエン(8.4)共重合樹
脂、Δδ1 =1.1、Δδ2 =1.8 スチレン(9.1)−イソプレン(8.15)共重合樹
脂、Δδ1 =0.9、Δδ2 =1.8 ラウリルメタクリレート(8.2)−メチルメタクリレ
ート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
2.0 ラウリルメタクリレート(8.2)−エチルメタクリレ
ート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
1.8 ラウリルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレー
ト(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
2.4 ラウリルメタクリレート(8.2)−エチルアクリレー
ト(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
1.9 ラウリルメタクリレート(8.2)−プロピルアクリレ
ート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
1.7 ステアリルメタクリレート(8.2)−メチルメタクリ
レート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=2.0 ステアリルメタクリレート(8.2)−エチルメタクリ
レート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=1.8 ステアリルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
2.4 ステアリルメタクリレート(8.2)−エチルアクリレ
ート(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
1.9 ステアリルメタクリレート(8.2)−プロピルアクリ
レート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=1.7 イソボニルメタクリレート(8.2)−メチルメタクリ
レート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=2.0 イソボニルメタクリレート(8.2)−エチルメタクリ
レート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=1.8 イソボニルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
2.4 イソボニルメタクリレート(8.2)−エチルアクリレ
ート(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
1.9 イソボニルメタクリレート(8.2)−プロピルアクリ
レート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=1.7 t−ブチルメタクリレート(8.3)−メチルメタクリ
レート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
=2.0 t−ブチルメタクリレート(8.3)−エチルメタクリ
レート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
=1.8 t−ブチルメタクリレート(8.3)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
2.4 t−ブチルメタクリレート(8.3)−エチルアクリレ
ート(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
1.9 t−ブチルメタクリレート(8.3)−プロピルアクリ
レート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
=1.7等が例示される。
【0028】また、トルエン(8.9)を分散媒とする
場合には、 ラウリルメタクリレート(8.2)−エチルメタクリレ
ート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =0.7、Δδ2
0.2 ラウリルメタクリレート(8.2)−プロピルメタクリ
レート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =0.7、Δδ2
=0.1 エチレン(8.1)−エチルアクリレート(9.2)共
重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2 =0.3 スチレン(9.1)−イソプレン(8.15)共重合樹
脂、Δδ1 =0.2、Δδ2 =0.7等が例示される。
【0029】また、o−キシレン(8.8)を分散媒と
する場合には、ラウリルメタクリレート(8.2)−n
−プロピルメタクリレート(8.8)共重合樹脂、Δδ
1 =0.6、Δδ2 =0等が例示される。
【0030】(2)特殊グラビアインキとしては、バイ
ンダー樹脂としてニトロセルロースを使用した場合には
分散媒として酢酸エチル、エチルセロソルブ、アセトン
等が、またビニル樹脂を使用した場合にはメチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等、ポリアミド樹脂を
使用した場合にはイソプロパノール等が使用される。
【0031】まず、酢酸エチル(8.9)を分散媒とす
る場合、 ラウリルメタクリレート(8.2)−エチルメタクリレ
ート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =0.7、Δδ2
0.2 ラウリルメタクリレート(8.2)−プロピルメタクリ
レート(9.0)共重合樹脂、Δδ1 =0.7、Δδ2
=0.1 エチレン(8.1)−エチルアクリレート(9.2)共
重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2 =0.3 スチレン(9.1)−イソプレン(8.15)共重合樹
脂、Δδ1 =0.2、Δδ2 =0.7等が例示される。
【0032】また、アセトン(9.6)を分散媒とする
場合には、 n−プロピルメタクリレート(8.8)−メチルアクリ
レート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ2
=0.1 n−プロピルメタクリレート(8.8)−メチルメタク
リレート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =0.8、Δδ
2 =0.3 n−ブチルメタクリレート(8.7)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
0.1 n−ブチルメタクリレート(8.7)−エチルアクリレ
ート(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
0.4 n−ブチルメタクリレート(8.7)−メチルメタクリ
レート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =0.9、Δδ2
=0.3 n−ヘキシルメタクリレート(8.6)−メチルアクリ
レート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
=0.1 n−ヘキシルメタクリレート(8.6)−エチルアクリ
レート(9.2)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ2
=0.4 n−ヘキシルメタクリレート(8.6)−メチルメタク
リレート(9.3)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ
2 =0.3 n−ヘキシルメタクリレート(8.6)−エチルメタク
リレート(9.1)共重合樹脂、Δδ1 =1.0、Δδ
2 =0.5等が例示される。
【0033】また、エチルセロソルブ(10.7)を分
散媒とした場合には、 ラウリルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレー
ト(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =2.5、Δδ2
1.0 ステアリルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =2.5、Δδ2
1.0 イソボニルメタクリレート(8.2)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =2.5、Δδ2
1.0 t−ブチルメタクリレート(8.3)−メチルアクリレ
ート(9.7)共重合樹脂、Δδ1 =2.4、Δδ2
1.0等が例示される。
【0034】また、カラーフィルター用インキとして
は、分散媒として酢酸セロソルブ(セロソルブアセテー
ト、SP値9.4)を使用する場合、スチレン−ブタジ
エン共重合樹脂、スチレン−イソプレン共重合樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルメタ
クリレート共重合樹脂、エチレン−エチルメタクリレー
ト共重合樹脂等との組合せが例示される。
【0035】また、本発明のインキ組成物における分散
媒は、共重合樹脂粒子との関係の他に、例えばグラビア
インキ等においては、後述するバインダーに対する溶解
性、その他添加剤に対する溶解、または分散性が必要で
あり、適度の乾燥性を有する液体であることが望まし
い。また、必要に応じて、インキの速乾性を遅らせるた
めに遅乾性の溶剤を併用してもよいが、その選択にあた
っては上記の溶媒としての条件をも考慮する必要があ
る。
【0036】本発明における共重合樹脂粒子の粒径とし
ては、インキ組成物の使用用途、要求物性に応じて適宜
選定するとよいが、通常、0.1μm〜100μmの範
囲内で適宜選定するとよい。また、インキ組成物中にお
ける共重合樹脂粒子の含有割合は15重量%〜60重量
%、好ましくは20重量%〜50重量%の割合とすると
よく、通常のインキ組成物に比してその含有割合を高く
することができる。
【0037】本発明における共重合樹脂粒子は、インキ
組成物中において、分散媒に不溶部分を核とし、分散媒
との親和性部分を外縁部とするものであり、分散媒との
表面親和性により、粒子濃度を高くしても、凝集、沈澱
等が生じることがなく、分散安定性に優れるものとでき
るものである。
【0038】また、本発明における共重合樹脂粒子中に
は、顔料を包含させることができる。顔料としては、イ
ンキ組成物として通常使用される有機又は無機系顔料が
使用できる。黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、
ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔
料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイ
エロー、アンチモン黄等の無機顔料、赤色顔料として
は、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キ
ナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッ
ド、クロムバーミリオン等の無機顔料、青色顔料として
は、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有
機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料、黒
色顔料としてはアニリンブラック等の有機顔料、カーボ
ンブラック等の無機顔料、更に白色顔料としては二酸化
チタン、亜鉛華、三酸化二アンチモン等の無機顔料が挙
げられる。
【0039】また、光輝性顔料としては、アルミニウム
粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉、金属薄片、金属蒸着合成
樹脂フイルム裁断片等の金属光沢を有する金属粉顔料が
挙げられ、また、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩
化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する真珠光沢顔
料(パール顔料)、更に、ポリエステル樹脂層とアクリ
ル樹脂層のごとき屈折率を相違する2種以上の樹脂層を
数μm以下程度の厚みで多層積層して、光干渉による虹
彩色を生じさせたフイルム(例えばマール社製、マール
フイルム)を裁断した箔粉からなる顔料等の光干渉性箔
粉顔料、また、粉径が0.1〜10μm程度の炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、ガラスバル
ーン、シラスバルーン、ポリエチレン等の微粉末からな
る艶消し顔料等が挙げられる。
【0040】また、樹脂の球体微粒子よりなる顔料で、
必要に応じ内部に顔料、染料等の着色材を包含するビー
ズ顔料も使用できる。特に艶消し効果、耐擦傷性に優れ
た形態のものとしては、三二酸化鉄、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、キナクリドン等の常用の顔料微粉末を、
ポリウレタン、エポキシ、アクリル、ポリエステル、ポ
リアミド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体等の弾力性のある樹脂、更に必要に応じ可塑剤、
安定剤、界面活性剤等を添加した組成物中に分散させた
り、また、顔料を上記組成物で被覆したりして球又は球
類似の粒子としたものである。粒径は、その分布範囲が
5〜80μm、かつ分布の極大値が10〜35μmの範
囲のものが特に良好な艶消し効果を与える。また、必要
に応じて着色剤無添加のものを用いたり、2色以上のビ
ーズ顔料を混合して使用することもでき、特にスウェー
ド調の艶消しを表現するのに好適である。
【0041】また、耐候性顔料として、まず、黄色顔料
であるイソインドリノン、スレインイエローG及びパー
マネントイエローHR等の有機顔料、黄色酸化鉄、ニッ
ケルチタンイエロー等の無機顔料が挙げられ、また、赤
色顔料であるキナクリドンレッド、パーマネントレッド
FGR、及びパーマネントレッドF4RH等の有機顔
料、弁柄、硫化水銀カドミウム等の無機顔料、また、青
色顔料であるフタロシアニンブルー、インダスレンブル
ーRS等の有機顔料、群青、紺青等の無機顔料、更に黒
色顔料であるカーボンブラック等、また白色顔料である
二酸化チタン、三酸化二アンチモン等が挙げられる。
【0042】本発明における共重合樹脂粒子中に包含さ
れる顔料における粒径としては、インキ組成物の用途に
応じて必要とされる共重合樹脂粒子の粒径に規定される
が、通常0.1〜100μmのものを使用することがで
きる。
【0043】例えば、本発明のインキ組成物をグラビア
印刷用とする場合には、使用する版の版深、セル径より
も共重合樹脂粒子の粒径が十分小さいものとすることが
必要であり、顔料としては通常0.1〜10μmのもの
を使用するとよい。
【0044】このような顔料は、共重合樹脂粒子中、8
0重量%、好ましくは75重量%まで包含させることが
できるが、本発明のインキ組成物においては、上述した
ように、共重合樹脂粒子の含有量を多くすることができ
るので、通常のインキ組成物に比して、凝集、沈降等の
問題を生じることなく、顔料の含有量を飛躍的に増大さ
せると共に塗布適性にも優れたものとできる。
【0045】また、本発明のインキ組成物においては、
上述した顔料を包含した共重合樹脂粒子にバインダー樹
脂としての機能を持たせることができるが、インキ組成
物の用途、要求される物性に応じて、適宜バインダー樹
脂を含有させてもよい。バインダー樹脂としては、粒子
を形成する共重合樹脂とは相違し、分散媒に溶解してい
ることが必要である。
【0046】分散媒に溶解するとは、バインダー樹脂が
ホモボリマーである場合には、そのSP値が分散媒と類
似し、単分子状で溶解している状態を意味し、また共重
合樹脂である場合には、その構成成分により不溶性部分
を有していても、分散媒中で粒子形態を有しない状態を
いう。
【0047】このようなバインダー樹脂としては熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の中か
らインキ組成物としての用途に応じ、また必要な物性、
更に印刷適性等を考慮して適宜選択される。
【0048】まず、熱可塑性樹脂としては、エチルセル
ロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒド
ロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピ
オネート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−
α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、またはスチレン
共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル
酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチ
ル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニブチラ
ール等のビニル重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸
樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジ
ンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、
ポリアミド樹脂等の天然又は合成樹脂等が挙げられる。
【0049】また、熱硬化性樹脂としては、フェノール
樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹
脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹
脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキ
サン樹脂等が挙げられる。また、架橋剤、重合開始剤等
の硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤等が適宜添加剤とし
て添加されるが、硬化剤としては、熱硬化樹脂が不飽和
ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂である場合に
はイソシアネートが、エポキシ樹脂である場合にはアミ
ン類が、更に、不飽和ポリエステル系樹脂には、メチル
エチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリル等のラジカル発生剤が例示される。
【0050】イソシアネートとしては、2価以上の脂肪
族または芳香族イソシアネートを使用することができる
が、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネート
が望ましい。具体例としては、トリレンジイソシアネー
ト、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】また、硬化反応を促進するために、必要に
応じてインキ組成物を塗工後加熱してもよい。例えば、
イソシアネート硬化ウレタン硬化型不飽和ポリエステル
系樹脂又はポリウレタン系樹脂の場合は、通常、40〜
60℃で1〜5日間程度、またポリシロキサン樹脂の場
合は通常80〜150℃で1〜30分程度である。
【0052】また、電離放射線硬化性樹脂としては、分
子中に重合性不飽和結合、又はエポキシ基を有するプレ
ポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体を適宜混合し
た組成物が用いられる。
【0053】プレポリマー、オリゴマーとしては不飽和
ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリ
エステル類が例示され、また、ポリエステルメタクリレ
ート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタク
リレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート
類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等
のアクリレート類、シロキサン等の珪素樹脂が挙げられ
る。
【0054】また、単量体としては、スチレン、α−メ
チルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メト
キシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル
等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル
酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルア
ミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジエチル
アミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジ
ルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメ
チルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエ
チルアミノ)プロピル等の不飽和酸の置換アミノアルコ
ールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等
の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアク
リレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の
化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールアクリレート、プロピレングリコールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト等の多官能性化合物、分子中に2個以上のチオール基
を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプ
ロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテ
トラチオグリコール等が挙げられ、また、これらの単量
体の混合物が挙げられる。樹脂組成物に塗布適性を付与
するには、前記プレポリマー又はオリゴマーを5重量%
以上、前記単量体及び/又はポリチオールを95重量%
以下とすることが好ましい。
【0055】また、単量体の選定にあたっては、硬化物
の可撓性が要求される場合は、塗工適性上支障のない範
囲で単量体の量を少なめにしたり、1官能または2官能
アクリレート単量体を使用し、比較的低架橋密度の構造
とする。また、硬化物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等が要
求される場合には塗工適性上支障のない範囲で単量耐の
量を多めにしたり、3官能以上のアクリレート系単量体
を使用し高架橋密度の構造とするとよい。1、2官能単
量体と3官能以上の単量体を混合し、塗工適性と硬化物
の物性とを調整することもできる。
【0056】このような1官能アクリレート系単量体と
しては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げら
れる。また、2官能アクリレート系単量体としては、エ
チレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジアクリレート等が例示され、また3官能以上の
アクリレート系単量体としてはトリメチロールプロパン
トリアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等
が例示される。
【0057】これらの電離放射線硬化性樹脂には、硬化
物の可撓性、表面硬度等の物性を調節するために前記プ
レポリマー、オリゴマー、単量体の少なくとも1種に対
して、電離放射線非硬化性樹脂を1〜70重量%、好ま
しくは5〜50重量%混合するとよい。
【0058】電離放射線非硬化性樹脂としては、ウレタ
ン系繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラー
ル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性
樹脂を使用することができるが、特に可撓性の点からは
繊維素系、ウレタン系、ブチラール樹脂が好ましい。
【0059】また、特に紫外線で硬化させる場合には、
前記電離放射線硬化性樹脂組成物に、光開始剤としてア
セトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイ
ルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメ
チルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類及び
/又は光増感剤としてはn−ブチルアミン、トリエチル
アミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用い
ることもできる。
【0060】ここで電離放射線とは、電磁波、または荷
電粒子線のうち分子を重合、架橋しうるエネルギー量子
を有するものであり、通常、紫外線、電子線が使用され
る。紫外線源としては超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧
水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタ
ルハライドランプ灯の光源が使用される。また、電子線
源としてはコックロフトワルトン型、絶縁コア変圧器
型、或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各
種の電子線加速器が使用され、100〜1000ke
V、好ましくは100〜300keVのエネルギーをも
つ電子を照射する。照射線量としては、通常0.5〜3
0Mradである。
【0061】このようなバインダー樹脂において、熱可
塑性樹脂を使用する場合には、本発明のインキ組成物
中、5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜3
0重量%含有させるとよく、また、熱硬化性樹脂、電離
放射線硬化型樹脂を使用する場合は、インキ組成物中、
3重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜25重量
%含有させるとよい。
【0062】更に、本発明のインキ組成物には、分散剤
を必要に応じて添加してもよい。本発明における共重合
樹脂粒子はそれ自体分散媒との親和性に優れるので、分
散剤は必ずしも必要ではないが、共重合樹脂粒子の造粒
工程において存在させることにより、良溶媒中での樹脂
の分散性を向上させることができ、かつ樹脂粒子が形成
されるに際して分子鎖の絡まりあいを抑制するので、よ
り粒径の小さな樹脂粒子を造粒することができ、サブミ
クロン単位でかつ粒径分布の狭いものとできる。そし
て、得られた樹脂粒子分散液においては、分散剤が上述
した造粒調整機能の他に、溶媒中に樹脂粒子を安定的に
分散させる機能をも有するものである。
【0063】このような分散剤としては、ナフテン酸ジ
ルコニウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸
類、レシチン等の天然リン酸エステル類、脂肪族アミン
類、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオ
ン界面活性剤等が使用されるほか、ポリヒドロキシカル
ボン酸エステル等の高分子分散剤を好適に使用すること
ができる。
【0064】ポリヒドロキシカルボン酸エステルの重合
原料であるヒドロキシカルボン酸エステルは、式HO−
X−COOHのエステル等の誘導体であり、式中Xは少
なくとも12の炭素原子を含む2価の飽和または不飽和
の脂肪族炭化水素、または少なくとも6個の炭素原子を
含む2価の芳香族炭化水素で、またヒドロキシ基とカル
ボキシル基との間には少なくとも4個の炭素原子があ
る。このようなヒドロキシカルボン酸誘導体として好ま
しいのは、例えば12−ヒドロキシステアリン酸メチル
エステル、12−ヒドロキシステアリン酸エチルエステ
ル等のヒドロキシカルボンアルキルエステル、12−ヒ
ドロキシカルボン酸リチウム、12−ヒドロキシカルボ
ン酸アルミニウム等のヒドロキシカルボン酸の金属塩、
またヒドロキシカルボン酸アマイド、硬化ヒマシ油等が
挙げられる。
【0065】ポリヒドロキシカルボン酸エステルは、ヒ
ドロキシカルボン酸エステルを少量のアミン類もしくは
触媒の存在下、部分鹸化することにより、重合させ、得
られるもの、その重合形態として分子間でのエステル化
によるもの、また分子内でのエステル化によるもの等の
種々の形態のものを含有するものである。
【0066】ポリヒドロキシカルボン酸エステルは、ヒ
ドロキシカルボン酸エステルの3〜10量体が好まし
く、淡灰褐色のワックス状物質である。ポリヒドロキシ
カルボン酸エステルは、その重合度が3より小さいか、
または10より大きいと、n−ヘキサン等の分散媒との
相溶性がなく、造粒工程に使用しても、得られる樹脂粒
子の粒度分布として所期のものは得られない。ポリヒド
ロキシカルボン酸エステルの添加量は、特に限定されな
いが、樹脂重量あたり、0.01重量%〜200重量%
の割合で使用される。
【0067】これらの分散剤は、後述するインキ組成物
製造工程中における造粒工程において、共重合樹脂あた
り10重量%以下、好ましくは5重量%以下添加される
とよく、また、得られるインキ組成物においては5重量
%以下、好ましくは2.5重量%以下の割合で含有させ
るとよい。
【0068】また、本発明のインキ組成物には、その
他、乾燥制御を目的としてドライヤー、皮張り剤、粘度
制御を目的としてコンパウンド、増粘剤、色調性の制御
を目的としてトナー、艶消し剤、更に湿潤剤、消し泡
剤、防黴剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0069】次に、本発明におけるインキ組成物の製造
方法の製造方法は、(1)共重合樹脂を、溶媒に溶解す
る工程、(2)共重合樹脂を溶解した溶液を、顔料の存
在下、又は非存在下で分散媒と混合して共重合樹脂粒子
を造粒する工程(3)溶媒を除去する工程、(4)所望
するインクの調製工程とからなる。
【0070】まず、(1)の工程において使用される溶
媒としては、共重合樹脂を室温で溶解することができる
ものであり、少なくとも1種のモノマー成分のみから構
成されるホモポリマーのSP値δp1 、及び他の少なく
とも1種のモノマー成分のみから構成されるホモポリマ
ーのSP値δp2 のいずれとも類似するSP値を有する
溶媒が好ましい。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂の場合、ポリエチレンのSP値は7.8、ポリ酢酸ビ
ニルのSP値は9.3であり、例えばテトラヒドロフラ
ンに溶解させることができる。この場合、構成成分によ
っては溶解または膨潤状態とはならず、不溶状態にある
としても、単分子鎖の分散状態が良好であればよい。な
お、溶液中に分散剤を0.3重量%〜0.5重量%の範
囲で含有させておくと、樹脂の分散状態を良好なものと
できる。また、共重合樹脂は溶媒中に30重量%以下の
濃度で溶解させるとよいが、好ましくは5重量%〜10
重量%の希薄溶液の状態とするとよい。
【0071】次に、(2)の造粒工程においては、
(1)で調製した溶液は、共重合樹脂と下記の関係を有
する分散媒と混合される。即ち、共重合樹脂と分散媒と
は、共重合樹脂における少なくとも1種のモノマー成分
のみから構成されるホモポリマーの溶解度パラメータ値
δp1 と分散媒の溶解度パラメータ値との差Δδ1
1.0以上であると共に、他の少なくとも1種のモノマ
ー成分のみから構成されるホモポリマーの溶解度パラメ
ータ値δp2 と分散媒の溶解度パラメータ値との差Δδ
2 が1.0以下であって、かつΔδ1 とΔδ2 との差Δ
(Δδ1 −Δδ2 )が少なくとも0.5以上の関係を有
するものであり、この関係を満足する溶媒を選択し、分
散媒とするとよい。
【0072】例えば、上述したエチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂のテトラヒドロフラン溶液の場合には、n−ヘ
キサン(SP値7.3)中に添加されるとよい。即ち、
Δδ1 は9.4−7.3=2.1、Δδ2 は8.1−
7.3=0.8であり、Δ(Δδ1 −Δδ2 )は1.3
となるので、n−ヘキサンは、上記の関係を満足するも
のであり、この場合の適した分散媒であり、テトラヒド
ロフラン溶液を添加すると樹脂粒子の析出が明瞭に観察
される。この場合、n−ヘキサンの他に類似するSP値
を有するアイソパーGを使用しても同様である。
【0073】また、この段階で、必要に応じて顔料を樹
脂溶液中、または分散媒中に添加し、顔料の存在下で樹
脂を造粒させると、共重合樹脂粒子中に顔料を包含させ
ることができる。その際、溶液中に分散した樹脂分子鎖
は、貧溶媒である分散媒中に添加されることにより、顔
料を包み込む形で絡まり合い粒子形成がなされるもので
あり、顔料を包み込んだ樹脂粒子表面は、共重合樹脂に
おける溶解、または膨潤部分となるもので、顔料を含有
させても、顔料同士の接触を生じなく、かつ分散安定性
に優れるものとできるものである。また、分散剤を存在
させて、上述するように造粒調整機能を果たさせてもよ
く、また、形成された樹脂粒子の分散安定性を更に向上
させてもよい。
【0074】このようにして得られる樹脂粒子の粒径は
0.1μm〜100μmのものであり、沈降しても攪拌
すれば容易に再分散が可能である。樹脂溶液を調製する
のに使用した溶媒は、デカンテーション、エバポレータ
ー等により除去するのが、造粒性の観点から好ましい。
また、樹脂粒子の粒径を更に調整するために、ボールミ
ル、アトライター、サンドグラインダー、ケディミル、
三本ロール等を使用して更に微粒子化してもよい。
【0075】そして、得られた樹脂粒子分散液は、その
使用目的に応じて、濃度調整、バインダー樹脂等の添加
剤を混合して、所望するインキ組成物とされる。
【0076】
【作用及び発明の効果】本発明は、樹脂粒子として共重
合樹脂粒子を使用し、分散媒として、特定のSP値を有
するものとすると、共重合樹脂におけるモノマー構成の
割合が変化するにつれて、析出する樹脂粒子の粒径が比
例して変化することを、実験的に見出したことに基づき
完成されたものであり、その法則性を検討する中で、共
重合樹脂を、その一方のモノマー成分のみから構成され
るホモポリマーと、他方のモノマー成分のみから構成さ
れるホモポリマーとの結合体であると仮定し、それぞれ
のホモポリマーの溶媒に対する溶解性から、溶媒中にお
ける共重合樹脂の溶解状態を規定できることを見出した
ものである。
【0077】そして、分散媒における共重合樹脂粒子の
形状としては、分散媒に不溶な部分は溶媒とは非親和性
であり、また、分散媒に溶解、または膨潤する部分は溶
媒とは親和性を有する結果、不溶な部分を核部分とし、
溶解、または膨潤する部分を外縁部分とする二重層の粒
子構造を有するものであり、分散媒との表面親和性によ
り、粒子濃度を高くしても、凝集、沈澱等が生じること
がなく、分散安定性に優れ、またコーティング適性に優
れるものとできる。
【0078】このような、共重合樹脂粒子は、共重合樹
脂を良溶媒に溶解した溶液を特定のSP値を有する分散
媒中に添加することにより、粒子化されるものであり、
特に顔料の存在下で造粒させると、共重合樹脂粒子中に
顔料を包含させることができ、顔料を包み込んだ樹脂粒
子表面は、共重合樹脂における溶解、または膨潤部分と
なるもので、顔料を含有させても、顔料同士の接触を生
じなく、かつ分散安定性に優れるものとできるものであ
る。
【0079】そして、分散媒と共重合樹脂粒子とからな
る分散液に、その使用用途、要求物性に応じてバインダ
ー等の添加剤を配合することにより、例えばグラビアイ
ンキ、カラーフィルター用インキ、塗料等として有用な
インキ組成物となしうるものである。
【0080】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、実施例中「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0081】
【実施例1】 (共重合樹脂粒子分散液の製造例 1)エチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂である、三井デュポンケミカル(株)
製のEVA250(酢酸ビニル成分量28%、MFR=
15dg/min)、EVA450(酢酸ビニル成分量
19%、MFR=15dg/min)、EVA550
(酢酸ビニル成分量14%、MFR=15dg/mi
n)の3種類をそれぞれ使用し、下記の方法により共重
合樹脂粒子分散液を製造した。
【0082】各共重合樹脂2.5gを、テトラヒドロフ
ラン100g中に超音波ホモジナイザーを使用して室温
で溶解させた後、室温のn−ヘキサン500g中に超音
波ホモジナイザーを照射しつつ添加し、次いでエバポレ
ーターを使用して、テトラヒドロフランを除去し、共重
合樹脂粒子分散液を得た。
【0083】得られたそれぞれの分散液における共重合
樹脂粒子の粒度分布、及び粒径(D50値)を、日機装
(株)製マイクロトラック−IISRA型を使用して測
定した結果を下記に示す。
【0084】なお、EVA250を使用して得られた粒
子の粒度分布は、0.43μm〜7.46μmの間で、
また、EVA450の場合は、0.66μm〜14.9
2μmの間で、EVA550の場合は、2.63μm〜
40.13μmの間でそれぞれ正規分布するものであっ
た。
【0085】また、得られた分散液を6ケ月放置した後
も、粒子の凝集は認めらず、分散安定性に優れるもので
あった。
【0086】
【表1】
【0087】この表からわかるように、酢酸ビニルモノ
マー成分が減少し、エチレン成分が多くなると、得られ
る粒子の粒径は大きくなることがわかる。これらの樹脂
のMFR値は同一であり、その分子量も同程度と推定さ
れるので、粒径の差は分子量の相違によるものではない
ことがわかる。
【0088】(共重合樹脂粒子分散液の製造例 2)ス
チレン−ブタジエン共重合樹脂である、グッドイヤー社
製のPliolite S−5E(スチレン成分量20
%、重量平均分子量71,000)5.0g、黄色顔料
(ジスアゾエローHR(C.I.No83)5.0gと
を、シクロヘキサン100g中に超音波ホモジナイザー
を使用して、25℃で5分間、分散させた後、この分散
液に25℃のセロソルブアセテート(SP値9.4)4
00gを超音波ホモジナイザーを照射しつつ添加し、更
に15分間分散させた。
【0089】分散後、エバポレーターを使用してシクロ
ヘキサンを除去し、共重合樹脂粒子分散液を得た。
【0090】得られた分散液における共重合樹脂粒子の
粒度分布、及び粒径(D50値)を、日機装(株)製マイ
クロトラック−IISRA型を使用して測定したとこ
ろ、0.17μm〜1.01μmの間で正規分布を有
し、D50値が0.36nmであった。
【0091】また、得られた分散液を6ケ月放置した後
も、粒子の凝集は認めらず、分散安定性に優れるもので
あった。
【0092】(カラーフィルターインキの調製)上記の
製造例2で作製した共重合樹脂粒子分散液を、超音波ホ
モジナイザー及びガラスビーズを使用して、樹脂粒子を
更に微粒子化した後、エバポレーターを使用して分散媒
(セロソルブアセテート)を除去し、全固形分が20%
(顔料分10%)となるまで濃縮し、カラーフィルター
インキを調製した。
【0093】このカラーフィルターインキを、6ケ月放
置したところ、粒子の凝集は認めらず、分散安定性に優
れるものであった。
【0094】また、スピンコーターを使用して、酸化イ
ンジウム錫膜を被覆したガラス基板上に塗布したが、流
動性が良く、十分に平滑な面が得られ、塗布適性に優れ
るものであった。
【0095】
【実施例2】 (グラビア印刷用インキの調製)スチレン−イソプレン
共重合樹脂である、シェルジャパン(株)製のクレイト
ンD1112(スチレン成分量14%、MFR=23d
g/min)5.0g、赤色顔料(ブリリアントカーミ
ン6B(C.I.No57:1)5.0gとを、テトラ
ヒドロフラン100g中に超音波ホモジナイザーを使用
して、25℃で5分間、分散させた後、この分散液に2
5℃のn−ヘキサン400gを超音波ホモジナイザーを
照射しつつ添加し、更に15分間分散させた。
【0096】分散後、エバポレーターを使用してテトラ
ヒドロフランを除去した後、更に濃縮し、総固形分30
%の共重合樹脂粒子分散液を得た。
【0097】得られた分散液における共重合樹脂粒子の
粒度分布、及び粒径(D50値)を、日機装(株)製マイ
クロトラック−IISRA型を使用して測定したとこ
ろ、0.17μm〜5.27μmの間で正規分布を有
し、D50値が0.81nmであった。
【0098】次いで、上記で得られた共重合樹脂粒子分
散液100部に、ロジン変性フェノール樹脂(ハーキュ
レス社製、ペンタリン859)30部を投入して溶解さ
せた後、更に超音波ホモジナイザーを使用して、25℃
で15分間、分散させ、更にガラスビーズを加えてペイ
ントシェーカーを使用し5時間振とうさせ、グラビア印
刷用インキとした。
【0099】このグラビア印刷用インキは、6ケ月間放
置した後も、粒子の沈降、凝集は認めらず、分散安定性
に優れるものであった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒中に少なくとも2種以上のモノマ
    ー成分からなる共重合樹脂粒子が分散したインキ組成物
    において、共重合樹脂粒子と分散媒とが、共重合樹脂に
    おける少なくとも1種のモノマー成分のみから構成され
    るホモポリマーの溶解度パラメータ値δp1 と分散媒の
    溶解度パラメータ値δs1 との差Δδ1 が1.0以上で
    あると共に、他の少なくとも1種のモノマー成分のみか
    ら構成されるホモポリマーの溶解度パラメータ値δp2
    と分散媒の溶解度パラメータ値δs1 との差Δδ2
    1.0以下であり、かつΔδ1 とΔδ2 との差Δ(Δδ
    1−Δδ2 )が少なくとも0.5以上の関係を有し、共
    重合樹脂粒子が分散媒に不溶な核部分と、該核部分を包
    む、分散媒に溶解、又は膨潤する外縁部部分とからなる
    ことを特徴とするインキ組成物。
  2. 【請求項2】 共重合樹脂粒子が、顔料を包含するもの
    である請求項1記載のインキ組成物。
  3. 【請求項3】 少なくとも2種以上のモノマー成分から
    なる共重合樹脂を溶媒に溶解した後、その溶液を分散媒
    と混合し、共重合樹脂粒子を造粒するにあたり、前記分
    散媒と共重合樹脂とを、共重合樹脂における少なくとも
    1種のモノマー成分のみから構成されるホモポリマーの
    溶解度パラメータ値δp1 と分散媒の溶解度パラメータ
    値との差Δδ1 が1.0以上であると共に、他の少なく
    とも1種のモノマー成分のみから構成されるホモポリマ
    ーの溶解度パラメータ値δp2と分散媒の溶解度パラメ
    ータ値との差Δδ2 が1.0以下であって、かつΔδ1
    とΔδ2 との差Δ(Δδ1 −Δδ2 )が少なくとも0.
    5以上の関係を有する分散媒と混合し、次いで溶媒を除
    去し、分散媒に不溶な核部分と、該核部分を包む、分散
    媒に溶解、又は膨潤する外縁部分とからなる共重合樹脂
    粒子を形成させることを特徴とするインキ組成物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 共重合樹脂粒子を顔料の存在下で形成さ
    せ、顔料を包含した共重合樹脂粒子とすることを特徴と
    する請求項3記載のインキ組成物の製造方法。
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