JPH0726554Y2 - 天井収納型扉のパネル連結構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、複数のパネルを上下に連結した扉体を、開口
部の上方から屋内側に向けて湾曲延出した案内レールに
沿わせて開口部を開閉する天井収納型扉のパネル連結構
造に関するものである。

［従来の技術］ 従来、複数のパネルを上下に連結した扉体を開口部から
屋内天井に沿わせて開閉するように構成した天井型収納
扉では、各パネルの上下端縁に段差状の相決り部ｂを形
成し、隣接するパネルを上下方向に嵌着させた状態で裏
面側から丁番により枢支連結して扉体を構成するように
なっている。

そして、この種の天井収納型扉では、第４図、第５図に
示すように、開口部１から屋内天井２に沿い垂直から水
平方向に湾曲する案内レール３の曲げ半径を余り小さく
設定できない関係で、ヘッドスペース４が十分とれない
場合には、案内レール３の湾曲部3aは開口部１のたれ壁
５下端よりやや下位から湾曲されている。

このため、最上段パネル６の案内ローラ７は、他のパネ
ルの案内ローラよりパネル内面から長さａだけ張り出し
たローラブラケットａ′を突設して、閉鎖時における扉
体８の外表面が一平面となるように構成されている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記構成のものでは、簡単な連結構造でありながら、扉
体８の閉鎖時に下位のパネルがその上端面で上位のパネ
ルを支承するため、パネル重量の多大な負担が丁番にか
かることがなく、扉体８自体の耐久性を向上させること
ができるうえ、隣接する上下パネルの隙間が相決り部ｂ
により封鎖されるので、気密性の向上と雨水等の浸入を
防止することができる、等の長所を有するものの、扉体
８の開閉移動に際して、天井２に沿う案内レール３の水
平部3bを扉体８が移動する時に、最上段パネル６はロー
ラブラケットａ′の突設により長さａだけ張り出した案
内ローラ７によって次段のパネル６′に対して扉体８の
外面側に反曲されるにもかかわらず、最上段パネル６と
次段のパネル６′との連結は、丁番による裏面側にのみ
の屈曲しか考慮されていないので次段のパネル６′を相
決り部ｂにおいて浮き上がらせてしまい、次段パネル
６′の案内ローラ７′を案内レール3bに圧接させること
となり、扉体８の開閉抵抗が増大して扉体８の開閉を円
滑に行うことができない、という問題があった。

本考案は、上記の如き実状に鑑み従来の欠点を解消すべ
く創案されたものであって、その目的とするところは、
丁番による上下パネルの連結構造の長所を有効に活かし
つつ、扉体が天井に沿う案内レールの水平部を移動する
際には、最上段のパネルに突設したローラブラケットの
反曲作用の影響を受けることなく、最上段パネルと次段
のパネルとを連結することができ、円滑かつ軽快に扉体
の開閉移動を行うことができる天井収納型扉のパネル連
結構造を提供しようとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 問題点を解決するため、本考案が採用した技術的手段
は、案内ローラを設けた複数のパネル裏面側を丁番によ
り上下方向に連結して裏面側にのみ屈曲自在な扉体を形
成し、かつ上記案内ローラを、開口部両側の上方から屋
内側に向けて湾曲延出した案内レールに沿わせて扉体を
開閉移動させるに、閉鎖時において上記扉体の最上段に
位置するパネルを鉛直状に保持すべく、最上段パネル
に、案内ローラを先端に枢支したローラブラケットを案
内レールの湾曲部に向けて突設すると共に、上記最上段
パネルと次段パネルとを連結する丁番の次段パネル側の
丁番羽根に、長孔を穿設した側板を設け、かつ最上段パ
ネル側に位置する丁番羽根に設けた軸部を、上記長孔に
嵌入して両パネルを連結したことを特徴とするものであ
る。

［考案の作用］ したがって、本考案によれば、扉体の開閉移動に際し
て、最上段パネルと次段のパネルとの間の緊張状態を一
掃することができ、もって次段パネルの案内ローラに何
ら拘束を与えることなく案内レールを円滑に転動させ
て、扉体を軽快に開閉移動することができる。

［実施例］ 本考案の構成を、図面に示した手動式天井収納型扉の一
実施例について詳細に説明する。

第１図は案内レールの垂直部における要部側面図、第２
図は案内レールの水平部における要部側面図、第３図は
天井収納型扉の一部省略全体側面図であって、扉体の閉
鎖位置と開放位置の双方を併記してある。

図において、10は建物の開口部、11は開口部10の両側に
立設された案内レールであり、該案内レール11は、開口
部両側においてやや屋内側に傾斜された垂直部11aと、
開口部10上部において大きく屋内側に湾曲された湾曲部
11bと、天井12に沿って屋内側にやや上方へ傾斜する水
平部11cとからなり、上記湾曲部11bは開口部10のたれ壁
13下端よりやや下位から湾曲されている。

14は開口部10を開閉する扉体で、上下端縁に相決り部ｂ
を設けた複数のパネル15、15…が各内側面に取付けた丁
番16、16…によって上下方向に一体に連結されていると
共に、上記丁番16、16…のうち、最上段パネル15′と次
段パネル15″とを連結する丁番16′以外は、貫通孔に軸
部19を挿通した通常の軸位置固定の構造を有し、パネル
15、15…は互いに扉体14の裏面側にのみ屈曲可能となっ
ている。

前記丁番16′は、パネル15″側に取付けられた半部の丁
番羽根16′ａとパネル15′側に取付けられた他半部の丁
番羽根16′ｂとからなり、上記丁番羽根16′ａに一体に
曲成された側板17、17に長孔18を穿設し、該長孔18に軸
部19を介して丁番羽根16′ｂを枢結するようになってい
ると共に、上記長孔18は、パネル15′とパネル15″との
裏面側端縁Ａを中心とする円弧線上に沿って穿設され、
両パネル15′および15″は、上記裏面側端縁Ａを支点と
する裏面側への屈曲と、第２図に示すような外面側の端
縁Ｂを支点とする外面側への屈曲とを可能とするように
なっている。

また、前記各丁番16、16…および16′の側板17、17…に
は案内ローラ21、21…がそれぞれ軸着されており、上記
各案内ローラ21、21…を案内レール11に係合して各パネ
ル15、15″および15′を開閉移動するようになってい
る。

一方、前記最上段パネル15′の両側端上部には、ローラ
ブラケット20、20が案内レール11側に向けて突設されて
おり、該ローラブラケット20、20の先端部に案内ローラ
21、21が軸着されていると共に、扉体14の閉鎖時におい
て、案内レール11の湾曲部11bから水平方向の長さａだ
け張り出した垂直位置に、ローラブラケット20、20を介
してパネル15′を位置させ、次段以降のパネル15、15…
と同一平面となるように構成されている。

なお、22は開口部10の上方に位置して配設されたワイヤ
ドラム、23はワイヤドラム22に巻装されたワイヤであ
り、ワイヤドラム22は、図示しないバランススプリング
によりワイヤ23を巻取方向に付勢すると共に、上記ワイ
ヤ23の先端は、最下段のパネル15に止め金具24を介し
て止着され、操作紐25の引き操作で扉体14を下降させて
開口部10を閉鎖するものである。

叙上の如き構成において、閉鎖状態の扉体14を手動で引
き上げると、各パネル15、15…は案内レール11に案内さ
れて一体に上昇し、湾曲部11bを通過する際には、丁番1
6、16…によって各パネル15、15…は、裏面側に無理な
く屈曲されて円滑に案内レール11の水平部11cに向けて
案内される。

そして、開口部10の開放が完了すると、最上段パネル1
5′を除いたパネル15、15…は、水平部11cにおいて平面
状に復帰するが、上記最上段パネル15′の上部は、長さ
ａだけ張り出したローラブラケット20、20により支持さ
れているので、次段パネル15″に対して外面側端縁Ｂを
支点として外面側に反曲することになる。

ここで、最上段パネル15′と次段パネル15″を連結する
丁番16′では、半部の丁番羽根16′ａと他半部の丁番羽
根16′ｂとを連結する軸部19が長孔18内を移動し、反曲
が無理なく行われ、丁番16′に軸支された案内ローラ21
は、上記反曲の影響を受けることなく自由に案内レール
11を転動することができ、扉体10の開閉移動を円滑に行
うことができる。

［考案の効果］ これを要するに、本考案は、案内ローラを設けた複数の
パネル裏面側を丁番により上下方向に連結して裏面側に
のみ屈曲自在な扉体を形成し、かつ上記案内ローラを、
開口部両側の上方から屋内側に向けて湾曲延出した案内
レールに沿わせて扉体を開閉移動させるに、閉鎖時にお
いて上記扉体の最上段に位置するパネルを鉛直状に保持
すべく、最上段パネルに、案内ローラを先端に枢支した
ローラブラケットを案内レールの湾曲部に向けて突設す
ると共に、上記最上段パネルと次段パネルとを連結する
丁番の次段パネル側の丁番羽根に、長孔を穿設した側板
を設け、かつ最上段パネル側に位置する丁番羽根に設け
た軸部を、上記長孔に嵌入して両パネルを連結したか
ら、裏面側にのみ屈曲自在な扉体の構造を有するもので
ありながら、従来の丁番による連結構造の長所を有効に
活かしつつ、その欠点を解消し得て、扉体が天井に沿う
案内レールの水平部を開閉移動する際に、最上段パネル
がローラブラケットの突設により外面側に張り出して反
曲する場合にも、何ら反曲の影響を次段パネルに与える
ことなく自由に反曲させることができるので、次段パネ
ルに設けた案内ローラの開閉抵抗を一掃することがで
き、扉体を円滑かつ軽快に開閉移動させることができる
と共に、既設の天井収納型扉にも、パネル間の連結に使
用される従来の丁番の一方の丁番羽根に長孔を設け、該
長孔に他方の丁番羽根の軸部を嵌入するのみで簡単に対
応することができ、しかも裏面側から容易に目視するこ
とができるので、天井収納型扉を設置したままの状態で
点検、保守およびパネルの交換も速やかに行うことがで
き、もって円滑かつ軽快な扉体の開閉移動を長期に亘っ
て維持することができる、等の極めて有用な実用的効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る天井収納型扉のパネル連結構造の
一実施例を示すものであって、第１図は案内レールの垂
直部における要部側面図、第２図は案内レールの水平部
における要部側面図、第３図は天井収納型扉の一部省略
全体側面図、第４図および第５図は夫々従来の天井収納
扉を説明する要部略側面図である。 図中、 １、10……開口部、３、11……案内レール、11b……湾
曲部、７、７′、21、21′……案内ローラ、14……扉
体、15……パネル、15′……最上段パネル、15″……次
段パネル、16、16′……丁番、16′ａ、16′ｂ……丁番
羽根、18……長孔、19……軸部、ａ′、20……ローラブ
ラケットである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】案内ローラを設けた複数のパネル裏面側を
   丁番により上下方向に連結して裏面側にのみ屈曲自在な
   扉体を形成し、かつ上記案内ローラを、開口部両側の上
   方から屋内側に向けて湾曲延出した案内レールに沿わせ
   て扉体を開閉移動させるに、閉鎖時において上記扉体の
   最上段に位置するパネルを鉛直状に保持すべく、最上段
   パネルに、案内ローラを先端に枢支したローラブラケッ
   トを案内レールの湾曲部に向けて突設すると共に、上記
   最上段パネルと次段パネルとを連結する丁番の次段パネ
   ル側の丁番羽根に、長孔を穿設した側板を設け、かつ最
   上段パネル側に位置する丁番羽根に設けた軸部を、上記
   長孔に嵌入して両パネルを連結したことを特徴とする天
   井収納型扉のパネル連結構造。