JPH0726303B2 - 特殊な構造を有する布帛の製造法 - Google Patents

特殊な構造を有する布帛の製造法

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JPH0726303B2
JPH0726303B2 JP1308488A JP30848889A JPH0726303B2 JP H0726303 B2 JPH0726303 B2 JP H0726303B2 JP 1308488 A JP1308488 A JP 1308488A JP 30848889 A JP30848889 A JP 30848889A JP H0726303 B2 JPH0726303 B2 JP H0726303B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、特殊な構造を有する布帛の製造方法に関する
ものである。
本発明の方法によって得られる特殊な構造を有する布帛
は、例えば、衣服に用いられた際には、日光や雨など
が、直接に着用者の肌に当たるのを防ぎ、しかも非常に
風通し性の良好な通気性能を有しかつファッション性も
豊かであるという従来にはない特徴的な機能を有する衣
服を構成し得るものであり、例えば、衣服の場合、具体
的には、アウトドアウェア用布帛、特にゴルフ、野球の
ユニフォームまたはアンダーシャツ、テニスなどのスポ
ーツウェア用や、あるいはTシャツ、ポロシャツなどの
カジュアルウェア用や、さらにはレインコートなどの雨
具用の布帛として好適に新規な構造を有する布帛に関す
るものである。
また、本発明の方法によって得られる布帛は、上述のよ
うな衣服用途以外にも、その特徴的な構造に基づく機能
特性をうまく活用して各種の特徴的な物品を構成し得る
ものである。
かかる各種の特徴的な物品はまた、それぞれの当該分野
において従来は存在しなかった、新規な物品をそれぞれ
実現するものであって、具体的にそれら物品とは、上述
した衣服以外の各種衣料、あるいは寝装具類であり、あ
るいは土砂止めシートであり、あるいは農業もしくは園
芸用ハウスであり、あるいは履物類であり、あるいは生
鮮物用梱包ケースであり、さらにあるいは、雨傘、パラ
ソル、ビーチパラソル等の傘、パラソル類であり、ある
いはテント類であり、あるいは衝立であり、あるいは濾
過材であり、あるいは椅子張り材であり、あるいはカー
テン類などに有効に使用することのできる新規な布帛が
提供されるものである。
[従来の技術] 従来、蓑、瓦、校倉建造物などに見られるごとき通気
性、防水生、遮光性などの機能性を布帛に付与する手段
として、これまで素材からの検討が主としてなされてき
た。
さらに、構造により該機能性を付与する方法も種々考え
られてきたが、残念ながら製造法がネックとなり具体化
に至っていないのが実情である。
すなわち、例えば、ゴルフウェアもしくはテニスウェア
などアウトドアを主体とするスポーツウェア等の商品設
計の傾向として、色、デザイン等のファッション性ある
いはブランド名が優先されることが多く、通気性、防水
性等の機能面については、単にその繊維素材自身が1次
的に有する特性(例えば、綿使いにおける吸水性)にゆ
だねられているのが現状である。
しかしながら、夏期など直射日光が強く、暑くて多量に
汗をかく時期においては、単なる繊維素材自身の持つ機
能特性のみでは不十分である。特に、女性にあっては、
夏期などには日焼けを防ぐために長袖を着用する人も多
く、なおのこと、高い通気性、快適性などの機能性が要
求される。また、高い通気性を得るためにメッシュ状に
した布帛も見られるが、そのような布帛は肌やアンダー
ウェアが透けて見えたり、メッシュ状の日焼けあとが残
ったりするので一般には敬遠されている。
また、このような機能性の要求は、衣料分野ばかりでは
なく、カーテン類、椅子張り地類などの装飾分野におい
てもほぼ同様である。
また、最近、スポーツウェア、レインコート地、傘地用
途などの新素材として、透湿性と撥水性とが付与された
高密度織編物よりなる布帛が市場に多く見受けられる
が、この布帛はどちらかと言えば低通気性(防風性)素
材であり、風通し感はほとんどなく、本発明でねらいと
する高通気性布帛とは全く相反するものといってよかろ
う。
上述のように、高い通気性と、遮光性や防水性という相
反する双方の機能を兼備して、しかもファッション性に
おいても豊かである布帛は、いまだかつて見られないの
が現状である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上述のような従来技術の問題点に鑑
み、例えば衣料分野や、カーテン類、椅子張り地などの
装飾分野に用いられた際には、直射日光をさえぎること
により肌の日焼けを防いだり、室内の快適性を維持し、
さらに、外側から肌が透けて見えたり、室内がのぞかれ
て見えるのを防ぎ、しかも、高い通気性を有することに
より夏期や高温時においても非常に涼しく、快適であ
り、かつ雨滴の内部浸入を防ぐことができ、さらには新
規で斬新なファッション感覚に富んだ外観特性をも有す
る機能性とファッション性の豊かな衣料および装飾品類
を実現する新規な布帛の製造方法を提供せんとするもの
である。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の目的を達成するためには、次の構成か
らなるものである。
すなわち、本発明の特殊な構造を有する布帛の製造法
は、次の工程からなることを特徴とするものである。
a) 仮固定材(剤)が全面および/または一部に付与
された連続した細幅シートおよび/または切断された多
数の細幅シートを位置をずらしながら順次重ねて、前記
細幅シートよりなる重畳構造状態を移動する支持体また
は固定された支持体上に形成せしめ、前記仮固定材
(剤)により該細幅シートどうしを仮固定し、しかる
後、該支持体から該細幅シートを離す工程、 あるいは、 b) 連続した細幅シートおよび/または切断された多
数の細幅シートを位置をずらして順次重ねて、該細幅シ
ートよりなる重畳構造状態を移動する支持体または固定
された支持体上に形成せしめた後、該細幅シートどうし
を仮固定し、しかる後、該支持体から該細幅シートを離
す工程、 しかる後、 c) 前記重畳構造状態を維持したまま隣接する細幅シ
ートどうしを連繋し、その後、前記仮固定を解除する工
程。
また、本発明の特殊な構造を有する布帛の製造方法は、
仮固定材(剤)が付与された支持体シート状物上に、連
続した細幅シートおよび/または切断された多数の細幅
シートを位置をずらして順次重ねて、該細幅シートより
なる重畳構造を形成せしめ、該細幅シートと該支持体シ
ート状物を仮固定した後、該重畳された細幅シートを連
繋せしめ、しかる後、該支持体シート状物および/また
は仮固定材(剤)を除去することを特徴とするものであ
る。
さらに、また、本発明の特殊な構造を有する布帛の製造
法は、支持体上に、連続した細幅シートおよび/または
切断された多数の細幅シートを位置をずらしながら順次
重ねて該細幅シートよりなる重畳構造状態を形成せし
め、該細幅シートの重畳構造体状物を仮固定した後、該
支持体から離し、しかる後、該細幅シートの重畳構造体
に縫製と該仮固定を解除することとを行うことを特徴と
するものである。
[作用] 以下、図面等に基づいて本発明の特殊な構造を有する布
帛の製造法について、さらに詳しく説明する。
本発明の特殊な構造を有する布帛の製造法において、布
帛は、多数の細幅シート状物より重畳構造となって形成
されるものである。
本発明で言う細幅シートよりなる「重畳構造状態」と
は、細幅シートが幾重にも重なって形成されている構造
のことであり、例えば、瓦ぶきの屋根もしくは縦断面構
造で見れば重なり合った蓑の如き構造のものである。
細幅シートとは、長さに比較して幅が細いシート状のも
のであればよく、その幅としては特に限定されるもので
はないが、一般的に好ましくは1mm〜200mmの幅である織
物、編物、不織布、フィルム、プラスチック薄板などの
シート状物であり、また本発明の効果をより有効ならし
め、また製造する際の作業性などにおいて織編物あるい
は不織布であるものが最も好ましく、特に、衣服や衣料
用途、寝装具類、生鮮物用梱包ケース、パラソル、テン
トなどの用途には、該編織物あるいは不織布を用いるの
が好ましいものである。
ただし、上述の細幅シートの幅は、その好ましい範囲
も、適宜、本発明にかかる布帛の具体的用途にも応じて
変わるべきものであって、たとえば、大型の農業もしく
は園芸用ハウスや、大寸法の土砂止めシートなどの、概
して大きなサイズのものに使用するときなどには、細幅
シートの幅は上述した範囲よりも大きなものでも好まし
いものである。
また、該細幅シートの素材も、適宜用途に応じて好まし
い材質は変わってもよく、やはり、農業もしくは園芸用
ハウスや、土砂止めシートや濾過材などの分野では、強
度の大きい不織布やフィルムやプラスチック薄板なども
好ましく用いることができる。
また、該細幅シートを用いて重畳構造布帛を形成する場
合、長さ方向に連続した状態のテープを用いて、ら旋状
に順次配列して所定の径を有する円筒状に布帛形成する
か、もしくは、所定の布帛形成幅で折り返して位置をず
らして順次配列してもよく、あるいはまた、予め所定の
長さに切断された細幅シートを位置をずらして順次配列
し、重畳構造布帛を形成してもよい。したがって、連続
シートを用いて平板状に布帛形成する場合は、行きと帰
りにおいて細幅シートが正転、もしくは反転してもかま
わないものである。
すなわち、多数の細幅シートを使用してこれを重畳構造
布帛に形成する方法は、いくつかの具体的方法がある
が、細幅シートを支持体上で位置をずらせながら順次重
ねて重畳構造状態を形成せしめ、その状態を維持したま
ま、隣接する細幅シートどうしを連繋せしめるという方
法が最も具体的なものである。
このとき、上述の如くに、該細幅シートは長さ方向に連
続した細幅シートを用いて、所定の布帛幅で折り返しな
がら順次重ねてゆくのもよく、あるいはあらかじめ所望
の幅に切断された細幅シートの多数を用いて順次配列し
てもよい。
重畳構造状態を維持するために仮固定材(剤)を用い
る。仮固定材(剤)は細幅シートにあらかじめ付与して
おいてもよく、あるいは、重畳構造を形成した後仮固定
材(剤)を付与してもよい。仮固定材(剤)としては、
樹脂、接着剤(糊)、縫糸、金具、接着テープ(ガムテ
ープ)など形態固定可能なものであれば制約されない。
以下本発明で仮固定材(剤)を単に仮固定剤という)ポ
リビニルアルコールなどの水溶性糊剤が一般的なもので
ある。
重畳構造を形成する支持体は、表面がフラットな状態の
ものが好ましい。また支持体は固定された状態のもので
あってもよく、あるいは移動可能なものであってもよい
が、作業能率の面からは、移動可能な支持体である方が
よい。具体的には、ベルトコンベア式の支持体であり、
該コンベアと乾燥機を直結あるいは、該コンベア式の乾
燥機を用いることにより、仮固定剤の乾燥を連続して行
うことができる。
あるいは、支持体として、特に、仮固定剤が付与された
支持体シート状物を用い該支持体シート状物上に細幅シ
ートを順次配列し、仮固定をされた重畳構造を形成する
ようにしてもよい。
上述のいずれの方法によるものであっても、細幅シート
が支持体上に位置をずらしながら順次配列されて形成さ
れた重畳構造状態を固定するために、さらに、隣接する
細幅シートどうしを連繋する。該連繋法は、所望の間隔
で連繋糸を用いてミシンがけを行うのが一般的である。
また、連繋装置としては、キルティング装置が一般的で
あるが、マリモ機、マリワット機、マリオフリース機等
も用いることができる。
このとき連繋部は、1本の連繋糸で縫合されていてもよ
く、あるいはより連繋力を得るために、連繋部が例えば
1cm幅あたり2本以上の連繋糸で平行配列あるいは交叉
した状態で連繋されてもよい。
また、以上の如き仮固定剤により重畳構造を維持しつ
つ、連繋糸により連繋する方法とは別に、次の如き連繋
方法であってもよい。
すなわち、仮固定剤として仮固定可能な糸を用い、この
糸と連繋糸とで連繋する方法であってもよい。仮固定可
能な糸とは、最終製品において実存しない糸のことであ
り、例えば温水などで溶解する低ケン化度のポリビニー
ルアルコールからなる繊維で構成される糸や、5−ソジ
ュウムスルフォイソフタレートとポリエチレンテレフタ
レートの共重合物からなる繊維のごとき弱アルカリ溶液
で溶解する繊維で構成される糸のことである。
すなわち、例えば、ミシンの縫製部に、細幅シートを幅
方向に位置をずらして重なり合うように連続供給して、
重畳構造を順次形成しながら仮固定可能な糸を用いて該
細幅シートどうしを縫製することにより該重畳構造を仮
固定し、しかる後、さらに、連繋糸を用いて該仮固定さ
れた重畳構造体における隣接する細幅シートどうしを連
繋し、しかる後、該仮固定可能な糸を除去することによ
り、連繋糸で連繋をされた重畳構造を有する布帛を製造
する方法としてもよい。
さらに、連繋方法としては、縫合によらずに超音波ミシ
ンや高周波ミシンによる接合方法あるいは、接着剤など
による連繋方法であってもよい。要は、隣接する細幅シ
ートがバラバラにならない方法を適宜用いればよい。
かかる仮固定剤(仮固定糸)により仮固定され、さらに
縫合糸や熱融着により隣接する細幅シートどうしが連繋
された後、適宜の時点で該仮固定剤は除去される。該除
去方法は、熱水や、あるいは弱アルカリ水溶液あるい
は、界面活性剤溶液、あるいはこれらが適宜組み合さっ
た水溶液中で行なうのが一般的であるが、これらに限定
されるものではなく、仮固定剤が除去される方法であれ
ばどのような方法であってもよい。
また、連繋方法に連繋糸を用いた場合、仮固定剤として
糸を用いる場合は、該糸が膨潤性あるいは、撥水性を有
する糸を使用することは、縫目からの水の浸入を防止で
きるのでより好ましい。前者の糸としては、ケン化度の
高いポリビニールアルコール繊維糸やポリアクリル酸系
の繊維糸のごとき、水や湿気を含むと膨潤する繊維がそ
の代表例である。
本発明に用いられる細幅シートの製造法としては、たと
えば、織物の場合、所望の織幅でリボン織機やテープ織
機などで製織する方法、あるいは広幅織機で製織し、機
上でもしくは製織終了後に溶断カッター等で所望の幅に
溶融裁断する方法、あるいは、さらに、易溶解性繊維を
スリット(分断)すべき境界部に交織しておき、製織後
に該易溶解性繊維を溶解させる液中で処理することによ
り所望の細幅織物を得る方法などがあり、作業性、所望
の細幅シートの仕様等を考慮して具体的製造方法を適宜
に選択すればよい。編織物や不織布、フィルム、プラス
チック薄板などの、いずれの素材を採用するにしても、
いったん幅の広いものを製造してから細幅に切断する方
法、あるいは、最初から細幅のものとして製造する方法
のどちらでも使用できる。
細幅シートの幅についての好ましい範囲は前述の通りで
あるが、特に、衣服や衣料、寝装具類、あるいは履物
類、生鮮物梱包ケースなどの小物に適用する場合につい
てさらに詳しく説明をすると、該幅が1mm未満では該シ
ートを製造することが一般に難しいこと、また重畳構造
にして布帛を形成することが一般に難しいので好ましく
なく、また、200mmを越える幅になると、機能性やファ
ッション性の点、特に本発明で最も特徴的である通気性
において、通常の布帛使いのものと大差が無くなる傾向
にあるので好ましくないものであり、したがって、上述
の分野において、より好ましいシート幅としては2mm〜1
00mm、さらに好ましくは5mm〜70mmの範囲のものなので
ある。
細幅シートは、適度な凹凸状や波形状を示すような異形
断面の細幅シートであってもよく、たとえば、その横断
面形状は、平べったいフラットな形状のものの他、
「へ」の字型あるいは「〉」の字型、さらにはこれらの
組み合わさった「W」の字型など、あるい
は]、〕、)、】、}、」、∫、I、〜型状等に折れ曲
った断面構造を持つものなどであってもよい。また、細
幅シートの構造は、通常、一重のものであってよいが、
場合によっては、筒状のものやあるいは2重織物などの
2重構造のシートであってもよい。なお、筒状のものに
おけるシート幅とは該筒における直径を言う。
細幅シートは、衣服、衣料などの身体に接して使用する
ものに適用する場合には、肌触りの点などから、織物、
編物、不織布などの繊維製品であることが好ましく、そ
の際、該細幅シート基材に使用される繊維としては、ポ
リエチレンテレフタレート、あるいはその共重合体(例
えば、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
の如き共重合成分等)、ポリブチレンテレフタレートあ
るいはその共重合体等のポリエステル、ナイロン6、1
1、12、66、610等に代表されるポリアミドおよびそれら
の共重合体、アクリル系重合体、ポリウレタン、ポリエ
チレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンおよ
びその共重合体、ポリビニールアルコールなどに代表さ
れる合成繊維類、レーヨン、キュプラなどのセルロース
系再生繊維類、アセテート、トリアセテートなどの半合
成繊維類、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維類のいず
れもが使用可能であり、これらの繊維を単独で、もしく
は複合、混織、混紡、交撚、交織など適宜目的に応じて
組合せて用いてもよい。
これらのうちでも、ポリエステル繊維とポリアミド繊維
との組合せになる複合糸使い細幅シート、さらに、ポリ
エステル繊維においてイソフタル酸を共重合させてなる
高収縮性繊維糸と低収縮性繊維糸などの異繊維糸との組
合せになる複合糸使い細幅シート、さらに低ケン化度の
ポリビニルアルコールを紡糸して得られる水感性繊維な
どを用いてなる細幅シートは、加工中に収縮性能を発揮
し、バルキーアップ(嵩高性向上)となり、良好な嵩高
性やシャリ感が得られることによって、肌への密着性が
なくなり空隙度が大となるので通気性がより向上した
り、サラリとした肌触りが得られるなど、より高い快適
感が得られる点で好ましいものである。さらに嵩高性を
得る方法として、単一のマルチフィラメントにウーリィ
加工などの嵩高加工を施した糸を用いて細幅シートを構
成せしめる方法もある。
上述した重畳構造に基づく特異な効果、機能特性を、以
下、図面などに基づいて説明をする。
すなわち、第1図(A)は、本発明の方法により得られ
る細幅シートからなる重畳構造を有する特殊布帛のシー
ト縫合接合部における横断面図であり、細幅シートS1
S2、S3、S4、S5、S6、S7が幾重にも重なった、ちょうど
瓦ぶきの屋根もしくは蓑の如き構造をモデル的に示した
ものであり、また、第1図(B)は、本発明の細幅シー
トからなる重畳構造布帛の細幅シートS1、S2、S3、S4
S5、S6、S7どうしが適宜の空隙をもちつつ幾重にも重な
って存在する構造をモデル的に示したものである。
この布帛は、かかる図面からわかるように、細幅シート
どうしの重畳部は、該細幅シートの幅方向に開口した状
態を形成しつつ、これら多数(2以上)の細幅シートが
連繋されて構成されている。
本発明にかかる布帛は、このような特異な構造を有する
ことにより、たとえば、雨が降りかかるケースを想定す
ると、第1図(B)のモデル図上に示したように、雨滴
は矢印bのようにはじかれて内部に浸入することができ
ず、また、矢印cのように通過でき、良好な撥水効果と
高度な通気性を得ることができるのである。特に、細幅
シートとして撥水、撥油加工を施したものを用いれば、
特に高度な撥水、撥油効果を得ることができる。
なお、第1図(A)、(B)において、矢印a方向は、
重畳構造の順方向を示している。
なお一方、これに対して、第3図は、本発明によらない
布帛構造をモデル的に示した横断面図であり、かかる第
3図に示したもののように、ベースとなる基布Bに対し
て細幅シート片S1、S2、S3、…の多数を一部重ねて接合
させることによって重畳構造を一応形成させたものは、
細幅シート片どうしの重畳部は該細幅シート片の幅方向
に開口した状態を形成していないものであって、かかる
構造のものは、第1図(B)で示した矢印bの雨滴をは
じく効果はあっても、矢印cで示した通気性効果は基体
できないものであり、本発明で所期のねらいとする高い
通気性と、遮光性や防水性を兼備しているという高い機
能性は得られないものである。かかる点は、ベースとな
る基布Bとして通気性のある布帛を使用したとしても、
やはり、本発明にかかるものよりも劣り、いずれにして
もベース基布を用いた構造のものは、本発明にかかるも
のとは効果上明らかに相異するものである。
第2図は、第1図(A)、(B)に示した本発明の重畳
構造を持つ特殊布帛の1実施態様における構造をモデル
的に示した平面図であり、細幅シート片の幅方向下にミ
シンがけをすることにより縫合されてなる布帛の平面図
である。同図において、点線1、2、3、4はミシン縫
合線であり、また、該縫合線に近いd−d断面図が上述
第1図(A)に該当し、該縫合線に遠いe−e断面図が
上述第1図(B)に該当するものである。
本発明の方法において、細幅シートの一枚一枚の重なり
度合いは、全て規則正しく同一幅に重なり合っていても
よく、あるいはランダム幅で重なり合っているものであ
ってもよく、要は、重畳構造となっていればよいもので
ある。
さらにまた、本発明において、細幅シートとして特にク
レープ加工が施されたシートを用いることは、柔軟性、
通気性を向上させるので好ましい。クレープを付与する
方法としては、押込み加工方法がその一例である。
[実施例] 以下に本発明を実施例にて詳細に説明するが、これらの
実施例によって本発明が制約、限定されるものではな
い。
実施例1 30デニール(D)−12フィラメント(F)からなるナイ
ロンフィラメント糸をタテ糸、ヨコ糸として、リボン織
機にて幅36mmの織物を製織して細幅シートを得た。得ら
れたシートの織密度は、タテ80本/cm、ヨコ26本/cmであ
った。
この細幅シートを1m長さに切断し、該シートを水溶性ポ
リビニールアルコール糊剤中に浸漬し、ニップロール間
を通すことにより糊剤を細幅シート全面に均一塗布する
とともに過剰の糊剤を除去し、ネットコンベア形式の乾
燥機のコンベア支持体上に幅1m、重なり幅が18mmとなる
ように、コンベア速度1m/分の速度で駆動させつつ、位
置をずらしながら所望の長さに重畳形成した。このよう
にして得られたシートを、乾燥ゾーンに通して、前述水
溶性糊剤により仮接着固定されたシートを得た。
次いで、該シートを通常のミシンにより43mmの等間隔
で、細幅シート片の幅方向にまた細幅シート片がめくり
上がらない方向(順方向)に、ミシンがけを行なって縫
合して布帛を得た。
該布帛を用いてゴルフウェアを作成した。次いで、80℃
の熱水中に浸漬処理を行ない、水溶性糊剤を溶解除去し
た。こうして幅36mm、重なり幅18mm、縫合ピッチ幅43mm
からなる重畳構造を持つ生地よりなるゴルフウェアを得
た。
該布帛からなるゴルフウェアを着用してみたところ、試
験着用の当日は、非常にむし暑く、陽射しが強いにもか
かわらず、同ウェアは太陽光線の肌への直射をさえぎ
り、しかも通気性にも優れシャリッとした肌触り感があ
り、非常に快適な着ごこちが得られ、ゴルフウェアとし
てすばらしい着ごこちと性能を有するものであった。
実施例2 実施例1と同様の細幅シートの連続シートを、幅1mmで
順次折り返しつつ、重なり幅が18mmとなるように順次配
列した。配列と同時にナイロンミシン糸を連繋糸とし
て、連結幅40mmで縫合した。さらに該連繋糸とは別に仮
固定剤として水溶性ポリビニールアルコール糸を連繋幅
40mmの間に5mm間隔で7ヶ所縫合して重畳構造布帛を得
た。
次いで、該布帛を用いて、カーテンを縫製した後、90℃
の熱水中に浸漬して前述水溶性ポリビニールアルコール
糸の仮固定剤を溶出除去した。
こうして幅36mm、重なり幅18mm、縫合ピッチ幅40mmから
なる重畳構造を有するカーテンを得た。
このカーテンを使用したところ、通風性、遮光性、遮蔽
性にすぐれ、非常に快適な室内環境が得られた。
実施例3 綿糸として100番手の糸を用い、織機にて幅36mmの細幅
シートを作成した。この細幅シートを用いて、周長が1.
5mのループ状となる如くに、まず、該細幅シートの一端
から1.5m離れた位置に該端部を幅方向に位置をずらせ、
重なり幅が12mmとなる如くに重ね、ミシンの縫製部に該
細幅シートを供給した。しかる後、該細幅シートを重な
り幅が12mmとなる如く重ね、順次、ループを形成せしめ
る如くに連続供給しつつ、ミシン掛けを行なった。ここ
で、ミシン掛けは該細幅シートの重なり部のほぼ中央を
直線縫いした。また、ミシン糸としては、上糸、下糸と
もに5−ソジュウムスルホイソフタレートを共重合した
ポリエステル繊維を使用した。
かかる方法によって、細幅シートがら旋状に巻かれ、か
つ、該細幅シートの重なり幅が12mmで重なり、かつ該重
なり部分のほぼ中央部がミシン糸で仮固定されてなる筒
状物を作成した。
しかる後、該筒状物の1ケ所を切断し、幅1.5mの広幅シ
ート状物を得た。
次いで、該シート状物をキルティングミシンを用いて、
50mmの間隔でミシン掛けを行ない、連繋加工を施した。
しかる後、該シート状物を用いて、カッターシャツを縫
製した。次いで、水酸化ナトリウムの弱アルカリ水溶液
でもって、仮固定に用いた5−ソジュウムスルホイソフ
タレートを共重合したポリエステル繊維からなるミシン
糸を除去した。
こうして、幅36mm、重なり幅12mm、縫合ピッチ50mmから
なる重畳構造を有する生地からなるカッターシャツを得
た。
該布帛からなるカッターシャツを、夏の暑い日に着用し
てみたところ、肌への直射日光がさえぎられるだけでな
く、長袖にもかかわらず、通気性に優れ、腕まくりせず
とも、涼しく蒸れることがなく、着用感はすこぶる快適
なものであった。
[発明の効果] 以上述べた通りの本発明は、通常はうまく工業的に製造
することが難しい下記する如き構造的特徴を有する新規
な布帛を、工業的にうまくかつまた非常に効率良く製造
する方法を見事に実現したものである。
すなわち、本発明の方法によって得られる特殊な構造を
有する布帛は、その特異な重畳構造により、高い通気性
と、遮光性や防水性という一般的には相反する双方の機
能を兼備して、しかもファッション性においても豊かな
ものである。
かかる布帛は、例えば、衣服に用いられた際には、日光
や雨などが、直接に着用者の肌に当たるのを防ぎ、しか
も非常に風通し性の良好な通気性能を有しかつファッシ
ョン性も豊かであるという従来にはない特徴的な機能を
有する衣服を構成し得る。
すなわち、例えば、衣服の場合、具体的には、アウトド
アウェア用布帛、特にゴルフ、野球のユニフォームまた
はアンダーシャツ、テニスなどのスポーツウェア用や、
あるいはTシャツ、ポロシャツなどのカジュアルウェア
用や、さらにはレインコートなどの雨具用の布帛として
使用することができる。
また、上述した通り、これら衣服以外の各種衣料の分野
にも、あるいは寝装具類、土砂止めシート、農業もしく
は園芸用ハウス、履物類、生鮮物用梱包ケース、雨傘・
パラソル・ビーチパラソル等の傘・パラソル類、あるい
はテント類、濾過布・過材、椅子張り布、衝立、カー
テン類などにも、本発明の方法により得られる布帛はそ
の特徴、機能を生かして適用できるものであり、その適
用用途、分野は非常に広く、計り知れないものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)、(B)は、それぞれ本発明の製造方法に
より得られる特殊な構造を有する布帛の1例構造をモデ
ル的に説明するものである。 第2図は、第1図(A)、(B)に示した特殊構造を有
する布帛の構造をモデル的に示した平面図である。 第3図は、第1図(A)、(B)に対する比較構造をモ
デル的に説明する概略モデル図である。 S1〜S7:細幅シート 1、2、3、4:連繋部 矢印a:重畳構造の順方向 矢印b:雨滴のはじかれる方向 矢印c:空気の通過する方向 B:基布

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程からなることを特徴とする特殊な
    構造を有する布帛の製造法。 a) 仮固定材(剤)が全面および/または一部に付与
    された連続した細幅シートおよび/または切断された多
    数の細幅シートを位置をずらしながら順次重ねて、前記
    細幅シートよりなる重畳構造状態を移動する支持体また
    は固定された支持体上に形成せしめ、前記仮固定材
    (剤)により該細幅シートどうしを仮固定し、しかる
    後、該支持体から該細幅シートを離す工程、 あるいは、 b) 連続した細幅シートおよび/または切断された多
    数の細幅シートを位置をずらして順次重ねて、該細幅シ
    ートよりなる重畳構造状態を移動する支持体または固定
    された支持体上に形成せしめた後、該細幅シートどうし
    を仮固定し、しかる後、該支持体から該細幅シートを離
    す工程、 しかる後、 c) 前記重畳構造状態を維持したまま隣接する細幅シ
    ートどうしを連繋し、その後、前記仮固定を解除する工
    程。
  2. 【請求項2】仮固定材(剤)が付与された支持体シート
    状物上に、連続した細幅シートおよび/または切断され
    た多数の細幅シートを位置をずらしながら順次重ねて、
    該細幅シートよりなる重畳構造を形成せしめ、該細幅シ
    ートと該支持体シート状物を仮固定した後、該重畳され
    た細幅シートを連繋せしめ、しかる後、該支持体シート
    状物および/または仮固定材(剤)を除去することを特
    徴とする特殊な構造を有する布帛の製造法。
  3. 【請求項3】支持体上に、連続した細幅シートおよび/
    または切断された多数の細幅シートを位置をずらして順
    次重ねて該細幅シートよりなる重畳構造状態を形成せし
    め、該細幅シートの重畳構造体を仮固定した後、該支持
    体から離し、しかる後、該細幅シートの重畳構造体に縫
    製と該仮固定を解除することとを行うことを特徴とする
    特殊な構造を有する布帛の製造法。
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