JPH07259594A - 駆動力制御装置 - Google Patents

駆動力制御装置

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JPH07259594A
JPH07259594A JP4745894A JP4745894A JPH07259594A JP H07259594 A JPH07259594 A JP H07259594A JP 4745894 A JP4745894 A JP 4745894A JP 4745894 A JP4745894 A JP 4745894A JP H07259594 A JPH07259594 A JP H07259594A
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throttle opening
engine
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Tomohiro Fukumura
友博 福村
Hitoshi Ono
仁 小野
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】トルクコンバータのトルク増幅作用の補償代が
なくなる或いは小さくなるようにして,フィードバック
制御によるエンジン出力制御の制御量を調整することに
より、十分な車両加速性を確保して運転者への減速感を
抑制防止する。 【構成】トルクコンバータの入出力軸のトルクTin,T
out を検出し、両者に比からトルク比Tを算出し、この
トルク比Tの増大に伴ってフィードバック制御ゲインK
P ,KI を小さく設定し、この制御ゲインを用いて算出
されるエンジンの駆動トルク増減量ΔTがトルク増幅作
用の大きいときには小さくなるようにして、前記トルク
コンバータによるトルク増幅作用が補償されない又はそ
の補償代が小さくなるようにエンジンの出力低減制御が
実行される構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は駆動輪に係る駆動力を制
御する駆動力制御装置に関し、特に機関(エンジン)の
出力を制御することによって当該各駆動輪への駆動力を
制御可能とする駆動力制御装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】運転者がアクセルペダルを踏込んで車両
を加速しようとするとき、当該路面の摩擦係数状態(以
下,単にμとも記す)が,運転者の想定しているμより
も小さい(低い)場合や、タイヤ特性としての総グリッ
プ力(総摩擦力)が小さい場合には、駆動輪がスリップ
して十分な加速性や走行安定性が得られないことがあ
る。このような状態を回避するために駆動輪に係る駆動
力,具体的には駆動輪から路面に伝達される駆動力を制
御して当該駆動輪のスリップを抑制防止し、もって車両
の加速性や走行安定性を確保しようとする駆動力制御装
置が種々に開発されている。
【0003】このような駆動力制御装置の制御対象機構
若しくはその制御量は様々であるが、その一つに機関
(エンジン)の出力を制御しようとするものもある。具
体的には、例えばエンジンの吸気系に、アクセルペダル
によって直接的又は間接的に開度制御されるスロットル
バルブ(以下,メインスロットルバルブとも記す)とは
個別に,アクチュエータによって開度制御可能なスロッ
トルバルブ(以下,サブスロットルバルブとも記す)を
設け、一方、車体速と等価な又はほぼ等価な被駆動輪
(以下,従動輪とも記す)の車輪速と駆動輪の車輪速と
の偏差から当該駆動輪のスリップ量やスリップ率等のス
リップ状態を検出又は算出し、この駆動輪のスリップ状
態検出値が予め設定されたスリップ状態よりも大きくな
った場合に、常時開のサブスロットルバルブの開度(以
下,単にスロットル開度とも記す)を閉じ方向に開度制
御してエンジンの出力を一時的に減少し、これにより前
記駆動輪のスリップ状態を小さくしようとするものであ
る。このとき、スロットル開度制御に対するエンジンの
出力変更制御の応答性は,予め開発されたエンジンの基
本的な出力向上及び燃費向上の目的から,比較的遅れ気
味であるため、制御工学に言うフィードフォワード制御
とフィードバック制御とを組合わせて前記スロットル開
度制御を行うものもある。即ち、駆動輪のスリップ状態
が或る程度大きくなると、まずフィードフォワード制御
によって,当該路面μに凡そ見合った駆動輪の駆動力が
得られるようなエンジンの出力が達成されるように所定
のスロットル開度までサブスロットルバルブを閉じ、そ
の後,駆動輪のスリップ状態の増減に応じてフィードバ
ック制御によりサブスロットルバルブのスロットル開度
を微調整するものである。一般に、前記フィードバック
制御によるスロットル開度制御では,駆動輪のスリップ
状態と制御量であるスロットル開度とはリニアな関係に
あると捉えている。
【0004】ここで問題になるのは、何時から前記フィ
ードバック制御によるスロットル開度制御を開始するか
である。例えば、駆動輪のスリップ状態が所定の状態ま
で収束する以前から,当該駆動輪のスリップ状態とリニ
アなフィードバック制御によるスロットル開度制御を開
始してしまうと、前述のようにスロットル開度制御によ
るエンジン出力制御の応答遅れから,未だエンジン出力
が十分に低下していないために駆動輪のスリップ状態も
未だ減少していないが、前記フィードフォワード制御に
よるスロットル開度制御では,既に当該路面μに応じた
十分なスロットル開度の閉じ方向制御量を達成してお
り、当該フィードバック制御によるスロットル開度制御
では,前記未だ十分減少していない駆動輪のスリップ状
態のみにリニアに応じて更にスロットル開度を閉じ方向
に制御しようとする可能性がある。このため、エンジン
の出力は,当該路面μに応じて車両を加速するための出
力よりも,そのスロットル開度制御に対する制御応答遅
れ分だけ遅れて更に減少(低下)されることになるか
ら、結果的に駆動輪のスリップ状態が或る程度収束して
車両加速可能状態に移行した後に,実際には車両は加速
せず、逆に運転者にはアクセルペダルの踏込みに見合わ
ない加速性の乏しさが減速感として感じられることがあ
る。
【0005】このような問題を解決するために、例えば
特開平4−66336号公報に記載される駆動力制御装
置が提案されている。この駆動力制御装置は、前記フィ
ードフォワード制御によるスロットル開度制御から,前
記駆動輪のスリップ状態に応じたフィードバック制御に
よるスロットル開度制御に移行した後の所定時間、当該
フィードバック制御に係るエンジン出力減少側の制御ゲ
イン,具体的にはスリップ状態に乗じてスロットル開度
の閉じ方向への制御量を算出するための制御ゲインを、
通常のフィードバック制御によるスロットル開度制御時
に比して小さく設定するものである。この駆動力制御装
置によれば、前記フィードバック制御によるスロットル
開度制御が開始された後の,具体的にスロットル開度の
閉じ方向への制御量が小さく設定されるから、その分だ
けエンジンの出力減少量が小さく抑制され、少なくとも
前記駆動輪のスリップ状態が或る程度収束して車両加速
可能状態に移行した後に,運転者に感じられる減速感は
抑制され得る。
【0006】勿論、前述のようにサブスロットルバルブ
を設けないでメインスロットルバルブのスロットル開度
を,アクセルペダルの踏込み量と前記エンジンの出力低
減量とに応じて直接的に制御しようとするものもある
が、基本的なスロットル開度の制御態様は前述と同等又
はほぼ同等であると考えてよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記特開平
4−66336号公報に記載される駆動力制御装置のフ
ィードバック制御によるスロットル開度制御において,
制御ゲインを小さく設定すること及びその所定時間につ
いて子細に考察する。例えば、当該公報に記載されるよ
うに前記制御ゲインを小さく設定する所定時間を,駆動
輪のスリップ状態が所定の状態に収束するまでの時間に
設定するなどし、更に前述のように単純にスリップ状態
に乗じてスロットル開度の閉じ方向への制御量を算出す
るための制御ゲインを,例えば“0”まで小さくした場
合には、実質的に前記フィードバック制御によるスロッ
トル開度制御は,当該駆動輪のスリップ状態が所定の状
態に収束するまで開始されず、その間,例えば前記フィ
ードフォワード制御によるスロットル開度制御によって
達成された路面μに応じた駆動輪の駆動力,即ちエンジ
ン出力に維持されることになる。少なくともこのエンジ
ン出力のみに着目した場合、前記駆動輪のスリップ状態
が或る程度収束して車両加速可能状態に移行した後に,
エンジンの出力は前記フィードフォワード制御によるス
ロットル開度制御で設定された路面μに応じたものであ
るから、車両は十分な加速性を発揮することもあろう。
【0008】しかしながら、ここでエンジンの出力がト
ルクコンバータを介して駆動輪に伝達される,所謂自動
変速機を搭載した車両等について、前記従来の駆動力制
御装置の作用を考察してみる。既知のように,こうした
トルクコンバータは、その作動領域が,所謂コンバータ
領域とフルードカップリング領域とに区分される。この
うち,フルードカップリング領域が,トルクコンバータ
の入出力軸間で直結又はほぼ直結状態であるのに対し
て、コンバータ領域は,トルクコンバータの出力軸の軸
力(トルク)を入力軸のそれに比して増幅する,所謂ト
ルク増幅作用をもった連結状態である。従って、トルク
コンバータの作動領域が未だコンバータ領域であるとき
に,前記フィードバック制御による通常のスロットル開
度制御を開始してしまうと、例えばエンジンの出力が当
該エンジンの出力軸の回転数若しくは回転速度等の回転
状態とリニアな関係にあるとして,当該フィードバック
制御による通常のスロットル開度制御がエンジンの出力
軸の回転状態を減少してしまい、その結果,トルクコン
バータの入出力軸間の速度差がなくなって或いは速度比
が大きくなって,強制的にフルードカップリング領域に
移行されるなどして,当該トルクコンバータによるトル
ク増幅作用分をも補償してしまう虞れがあり、そのよう
になると当該エンジンの出力はトルクコンバータのフル
ードカップリング領域で十分な車両加速性を発揮する出
力よりも減少しているから,結果的に車両加速性が乏し
くなり、それが運転者に減速感として感じられてしまう
虞れがある。
【0009】本発明はこれらの諸問題を解決すべく開発
されたものであり、トルクコンバータの作動領域を検出
しながら,前記フィードフォワード制御によるエンジン
出力制御及びフィードバック制御によるエンジン出力制
御を選択したり、或いはトルクコンバータによるトルク
増幅作用を検出しながら,前記フィードバック制御によ
るエンジン出力制御の制御量を調整したりすることによ
り、十分な車両加速性を確保して運転者への減速感を抑
制防止可能な駆動力制御装置を提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係る駆動力制御装置は、図
1aの基本構成図に示すように、機関の出力がトルクコ
ンバータを介して駆動輪に伝達される車両であって、駆
動輪のスリップ状態を検出する駆動輪スリップ状態検出
手段と、前記トルクコンバータの作動領域を検出する作
動領域検出手段と、路面から受ける駆動輪の負荷に見合
った機関出力の低減量を算出する第1出力低減量演算手
段と、前記駆動輪スリップ状態検出手段で検出された駆
動輪のスリップ状態に応じて機関出力の低減量を算出す
る第2出力低減量演算手段と、前記作動領域検出手段で
検出されたトルクコンバータの作動領域に応じて前記第
1出力低減量演算手段及び第2出力低減量演算手段の何
れか一方を選択する選択手段と、前記選択手段で選択さ
れた何れかの出力低減量演算手段の機関出力低減量に応
じて機関の出力を調整する機関出力調整手段とを備えた
ことを特徴とするものである。
【0011】また本発明のうち請求項2に係る駆動力制
御装置は、図1aの基本構成図に示すように、前記選択
手段は、前記作動領域検出手段で検出されるトルクコン
バータの作動領域がコンバータ領域であるときに前記第
1出力低減量演算手段を選択し、フルードカップリング
領域であるときに前記第2出力低減量演算手段を選択す
ることを特徴とするものである。
【0012】また本発明のうち請求項3に係る駆動力制
御装置は、図1bの基本構成図に示すように、機関の出
力がトルクコンバータを介して駆動輪に伝達される車両
であって、駆動輪のスリップ状態を検出する駆動輪スリ
ップ状態検出手段と、前記トルクコンバータのトルク増
大量を検出するトルク増大量検出手段と、路面から受け
る駆動輪の負荷に見合った機関出力の低減量を算出する
第1出力低減量演算手段と、前記駆動輪スリップ状態検
出手段で検出された駆動輪のスリップ状態に応じて所定
の制御ゲインを用いて機関出力の低減量を算出する第2
出力低減量演算手段と、前記トルク増大量検出手段で検
出されたトルクコンバータのトルク増大量に応じて前記
第2出力低減量演算手段の制御ゲインを小さく設定する
制御ゲイン設定手段と、前記何れかの出力低減量演算手
段の機関出力低減量に応じて機関の出力を調整する機関
出力調整手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明のうち請求項1に係る駆動力制御装置で
は、図1aの基本構成図に示すように、機関の出力が,
自動変速機等との間に内挿されているトルクコンバータ
を介して駆動輪に伝達される車両にあって、前記駆動輪
スリップ状態検出手段は、例えば被駆動輪(従動輪)の
車輪速を車体速と等価であると見なし、この車体速,即
ち従動輪の車輪速と駆動輪の車輪速との偏差等から得ら
れる当該駆動輪のスリップ量を駆動輪のスリップ状態検
出値として検出する。また、前記作動領域検出手段は、
例えばトルクコンバータの入出力軸の回転数若しくは回
転速度等の回転状態の比や,トルクコンバータの入出力
軸の伝達トルクの比等から、当該トルクコンバータの作
動領域が,例えば前記コンバータ領域なのかフルードカ
ップリング領域なのかを検出する。そして、前述のよう
に,例えば機関(エンジン)の吸気系に設けられた常時
開のサブスロットルバルブの閉じ方向への開度制御量を
用いて,このスロットル開度制御量を機関出力の低減量
とし、当該路面から受ける駆動輪の負荷に見合った機関
出力の低減量が,例えば車両に発生する前後方向加速度
又は横方向加速度等の路面μと等価な因子,即ち直接的
な駆動輪のスリップ状態に無関係な車両状態量や入力物
理量を用いて前記第1出力低減量演算手段で算出され
る。つまり、この第1出力低減量演算手段は,前記従来
のフィードフォワード制御によるスロットル開度制御の
機関出力低減量演算手段に相当する。一方、同じく前記
サブスロットルバルブのスロットル開度制御量を機関出
力の低減量とし、この機関出力の低減量が,前記駆動輪
スリップ状態検出手段で検出された駆動輪のスリップ状
態検出値に,例えば単純に所定の制御ゲインを乗じるな
どして前記第2出力低減量演算手段で算出される。つま
り、この第2出力低減量演算手段は,前記従来のフィー
ドバック制御によるスロットル開度制御の機関出力低減
量演算手段に相当する。そして、前記選択手段は,例え
ば本発明のうち請求項2に係る駆動力制御装置に記載さ
れるように,前記作動領域検出手段で検出されるトルク
コンバータの作動領域がコンバータ領域であるときに前
記第1出力低減量演算手段を選択し、フルードカップリ
ング領域であるときに前記第2出力低減量演算手段を選
択し、この選択手段で選択された何れかの出力低減量演
算手段の機関出力低減量に応じて,前記機関出力調整手
段が,例えば前記サブスロットルバルブのスロットル開
度制御を行うことで機関の出力を調整する。従って、前
記選択手段で第1出力低減量演算手段が選択された場合
には,前記トルクコンバータの作動領域がコンバータ領
域であるときに,前記従来のフィードフォワード制御に
よる機関出力低減制御が実行されることになるから、駆
動輪のスリップ状態に依存したトルクコンバータのトル
ク増幅作用の補償はなく、例えばトルクコンバータの入
出力軸間の速度差がなくなって或いは速度比が大きくな
って,フルードカップリング領域に移行されるなどし、
その結果,エンジンの出力がトルクコンバータのフルー
ドカップリング領域で十分な車両加速性を発揮する出力
よりも減少してしまうことはない。また、前記選択手段
で第2出力低減量演算手段が選択された場合には,前記
トルクコンバータの作動領域がフルードカップリング領
域であるときに,前記従来のフィードバック制御による
機関出力低減制御が実行されることになるから、当該ト
ルクコンバータはその入出力軸間,即ちエンジンと駆動
輪とを直結又はほぼ直結状態に連結しており、このとき
駆動輪のスリップ状態の増減に応じて機関の出力を低減
すれば,当該時刻における車両走行状態又は路面摩擦係
数状態に応じた最適な駆動力制御が可能となる。
【0014】本発明のうち請求項3に係る駆動力制御装
置では、図1bの基本構成図に示すように、機関の出力
が,自動変速機等との間に内挿されているトルクコンバ
ータを介して駆動輪に伝達される車両にあって、前記駆
動輪スリップ状態検出手段は、例えば被駆動輪(従動
輪)の車輪速を車体速と等価であると見なし、この車体
速,即ち従動輪の車輪速と駆動輪の車輪速との偏差等か
ら得られる当該駆動輪のスリップ量を駆動輪のスリップ
状態検出値として検出する。また、トルク増大量検出手
段は、例えばトルクコンバータの入出力軸の伝達トルク
の比等から、当該トルクコンバータのトルク増大量を検
出する。そして、前述のように,例えば機関(エンジ
ン)の吸気系に設けられた常時開のサブスロットルバル
ブの閉じ方向への開度制御量を用いて,このスロットル
開度制御量を機関出力の低減量とし、当該路面から受け
る駆動輪の負荷に見合った機関出力の低減量が,例えば
車両に発生する前後方向加速度又は横方向加速度等の路
面μと等価な因子,即ち直接的な駆動輪のスリップ状態
に無関係な車両状態量や入力物理量を用いて前記第1出
力低減量演算手段で算出される。つまり、この第1出力
低減量演算手段は,前記従来のフィードフォワード制御
によるスロットル開度制御の機関出力低減量演算手段に
相当する。一方、同じく前記サブスロットルバルブのス
ロットル開度制御量を機関出力の低減量とし、この機関
出力の低減量が,前記駆動輪スリップ状態検出手段で検
出された駆動輪のスリップ状態検出値に,例えば単純に
所定の制御ゲインを乗じるなどして前記第2出力低減量
演算手段で算出される。つまり、この第2出力低減量演
算手段は,前記従来のフィードバック制御によるスロッ
トル開度制御の機関出力低減量演算手段に相当する。ま
た、前記制御ゲイン設定手段は、前記トルク増大量検出
手段で検出されたトルクコンバータのトルク増大量に応
じて,例えばそのトルク増大量が大きければ大きいほ
ど,設定される値が小さくなるように,前記第2出力低
減量演算手段の制御ゲインを小さく設定する。そして、
前記何れかの出力低減量演算手段の機関出力低減量に応
じて,前記機関出力調整手段が,例えば前記サブスロッ
トルバルブのスロットル開度制御を行うことで機関の出
力を調整する。従って、例えば前記フィードフォワード
制御によるスロットル開度制御の機関出力低減量演算手
段に相当する第1出力低減量演算手段の機関出力低減量
に応じて,エンジンの出力低減制御を実行した直後に、
前記フィードバック制御によるスロットル開度制御の機
関出力低減量演算手段に相当する第2出力低減量演算手
段の機関出力低減量に応じてエンジンの出力低減制御を
開始したときに、前記トルクコンバータによる入出力軸
のトルク増大量が大きい,即ち当該トルクコンバータの
作動領域が未だコンバータ領域である場合、当該トルク
コンバータのトルク増大量が大きければ大きいほど,制
御ゲインが小さく設定されるから、達成される機関出力
の低減量は小さくなって,当該トルクコンバータのコン
バータ領域におけるトルク増幅作用の補償量は小さくな
り、例えばトルクコンバータの入出力軸間の速度差がな
くなって或いは速度比が小さくなって,強制的にフルー
ドカップリング領域に移行されるなどし、その結果,エ
ンジンの出力がトルクコンバータのフルードカップリン
グ領域で十分な車両加速性が発揮する出力よりも減少さ
れてしまうことを抑制防止することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は本発明の第1実施例を示す概略構成図であ
って、後輪駆動車である場合を示している。図中、10
FL,10FRは非駆動輪となる前左輪,前右輪、10
RL,10RRは駆動輪となる後左輪,後右輪を示す。
つまり、機関(エンジン)20の出力(回転駆動力)
は、既存のトルクコンバータ18を介して自動変速機1
4に伝達され、この自動変速機14で自動的に選択され
たギヤ比で減速されることにより駆動トルクが調整さ
れ、更にプロペダシャフト22,差動装置(ディファレ
ンシャルギヤ)24を介して後左右車軸12に分岐さ
れ、その回転駆動力が両後輪10RL,10RRから路
面に伝達される。
【0016】前記エンジン20の吸気管路(具体的には
インテークマニホールド)36には、アクセルペダル4
6の踏込み量に応じて常時閉から開き方向への開度が調
整制御されるメインスロットルバルブ48と、ステップ
モータ36をアクチュエータとし,そのステップ数に応
じた回転角により,常時開から閉じ方向への開度が調整
制御されるサブスロットルバルブ44とが備えられてい
る。従って、メインスロットルバルブ48の開き方向へ
のスロットル開度調整制御によってエンジン20の出力
(回転駆動力)は増大し、サブスロットルバルブ44の
閉じ方向へのスロットル開度調整制御によってエンジン
20の出力(回転駆動力)は減少すると考えてよい(勿
論、エンジン20の出力特性によって一概にはこのとお
りであるとは言えないが、本実施例の説明はこの基本原
理に則って推論する)。
【0017】前記メインスロットルバルブ48は、アク
セルペダル46の踏込み量に機械的に連動するか,或い
は当該アクセルペダル46の踏込み量を検出するアクセ
ルセンサ47の踏込み量検出値に応じて図示されないエ
ンジンコントローラが電気的に調整制御して,その開き
方向へのスロットル開度が調整される。また、前記サブ
スロットルバルブ44は、後述するコントローラ30か
らの駆動信号によってステップモータ45のステップ数
(回転角)が調整制御され、この回転角に応じて閉じ方
向へのスロットル開度が調整される。なお、このサブス
ロットルバルブ44にはスロットルセンサ42が設けら
れており、このスロットルセンサ42で検出されるスロ
ットル開度検出値THに基づいて前記ステップモータ4
5のステップ数は原則的にフィードバック制御される。
また、前記アクセルセンサ47の踏込み量検出値Aもコ
ントローラ30に向けて出力される。
【0018】前記トルクコンバータ18は、所謂既存の
ものと同等又はほぼ同等の構成となっており、図示され
ないエンジン20の出力軸(具体的にはクランクシャフ
ト)に連結された入力軸18iには,所謂ポンプインペ
ラ18bが設けられ、出力軸18oには,所謂タービン
ライナ18aが設けられ、両者の間にはステータ18c
が配設されている。このトルクコンバータ18は、既知
のように,ステータ18cが空転し始める以前でタービ
ンライナ18aの回転速度がポンプインペラ18bの回
転速度よりも小さいときには,所謂入出力軸18i,1
8o間でトルクの増幅作用があり、この状態或いはこの
作動領域がコンバータ領域と称せられる。一方、ステー
タ18cが空転し始めてタービンライナ18aの回転速
度がポンプインペラ18bの回転速度と等しい又はやや
小さいときには,所謂入出力軸18i,18o間が直結
又はほぼ直結状態で連結されており、この状態或いはこ
の作動領域がフルードカップリング領域と称せられる。
本実施例では、このようなトルクコンバータ18の作動
領域を検出するために、当該トルクコンバータ18の入
力軸18iには入力軸回転速度センサ39aが,出力軸
18oには出力軸回転速度センサ39bが設けられてい
る。これらの各回転速度センサ39a,39bは、既存
の回転速度センサと同様に,検出対象体の回転速度に応
じたパルス信号を,夫々入力軸回転速度検出値Nin及び
出力軸回転速度検出値Nout として後述するコントロー
ラ30に向けて出力する。
【0019】前記自動変速機14は、所謂既存のものと
同等又はほぼ同等の構成となっており、自動変速機制御
装置34からの制御信号又は駆動信号によってアクチュ
エータユニット32を駆動し、これにより自動変速機1
4内のギヤ比は,原理的に車速及びスロットル開度を変
数とし且つ機関回転数(エンジン回転数)に応じた最適
な車両減速比が達成されるように制御される。前記自動
変速機制御装置34は、本実施例では,前記図示されな
いエンジンコントローラと相互に情報の授受を行って前
記エンジン20及び自動変速機14の通常走行時におけ
る最適化制御を実施しており、この自動変速機制御装置
34からは,後述するコントローラ30に向けて現在の
ギヤ比i及びエンジン回転速度Neが出力される。
【0020】また、各車輪10FL〜10RRは、ブレ
ーキペダル50の踏力に応じたブレーキマスターシリン
ダ51からの液圧PM により作動されるホイールシリン
ダ52FL〜52RRを備え、これらホイールシリンダ
の作動により対応車輪が個々に制動される。而して、駆
動輪である後輪10RL,10RRのブレーキ液圧系に
は、夫々トラクションコントロール用の液圧制御弁54
L,54Rが介挿され、これら液圧制御弁54L,54
Rは互いに同仕様、同構造を有し、スプール55がリタ
ーンスプリング56により図示の左限位置に押圧され、
プランジャ57がリターンスプリング58により図示の
左限位置に押圧された構成を有する。
【0021】前記液圧制御弁54L,54Rは夫々、図
示の状態でマスターシリンダ側の入口ポート59への液
圧PM をそのままホイールシリンダ側の出口ポート60
より対応するホイールシリンダに出力し、スプール55
の右動時プランジャ57によりポート59,60間を遮
断することにより圧力室の容積減少によってホイールシ
リンダへの液圧を上昇させ、スプール55の右動停止時
ホイールシリンダの上昇液圧を保持する。
【0022】前記スプール55の上記右動及びその停止
は室61内の圧力により制御され、この圧力を夫々電磁
弁70L,70Rにより個別に制御する。これら電磁弁
70L,70Rも同様の構成を有し、ソレノイド71の
オフ状態で符号(A)で示すポート間接続位置となって
圧力室61をドレン回路72に連通させると共に、アキ
ュムレータ73から遮断し、ソレノイド71の小電流に
よるオン状態で符号(B)で示すポート間接続位置とな
って圧力室61をドレン回路72及びアキュムレータ7
3の双方から遮断し、ソレノイド71の大電流によるオ
ン状態で符号(C)で示すポート間接続位置となって圧
力室61をドレン回路72から遮断すると共に、アキュ
ムレータ73に連通する。
【0023】そして、電磁弁70L,70Rの(A)位
置で圧力室61は無圧状態となってスプール55を図示
位置にし、電磁弁70L,70Rの(C)位置で室61
はアキュムレータ73の一定圧PC が供給されてスプー
ル55を図中右動させ、電磁弁70L,70Rの(B)
位置で圧力室61は圧力の給排を中止されてスプール5
5をそのときの右動位置に保持する。
【0024】また、前記アキュムレータ73には、モー
タ74で駆動されるポンプ75からの油圧をチェック弁
76を介して蓄圧し、アキュムレータ73の蓄圧値が一
定圧PC にある時、これを検出してオフ状態となる圧力
スイッチ77からの信号を受けて後述するようにコント
ローラ30がモータ74(ポンプ75)を停止させる。
電磁弁70L,70Rのソレノイド71も同様にコント
ローラ30によって駆動制御される。
【0025】また、前記各車輪10FL〜10RRには
車輪速センサ28FL〜28RRが設けられており、各
車輪速センサ28FL〜28RRからは,当該車輪10
FL〜10RRの回転速度に応じたパルス信号が,その
車輪速検出値Vwj (j=FL〜RR)として後述する
コントローラ30に向けて出力される。また、車両に
は、当該車両に発生する前後方向への加速度を検出する
前後加速度センサ40及び車両に発生する横方向への加
速度を検出する横加速度センサ26が配設されている。
このうち、前後加速度センサ40は,車両の前進又は後
退に関わらず,車両の前後方向に向けて作用する加速度
の大きさに応じた正の電圧値からなる前後加速度検出値
G を後述するコントローラ30に向けて出力する。ま
た、横加速度センサ26は,車両の右旋回又は左旋回に
関わらず,車両の横方向に向けて作用する加速度の大き
さに応じた正の電圧値からなる横加速度検出値YG を後
述するコントローラ30に向けて出力する。
【0026】前記コントローラ30は、図3に示すよう
に、前記各車輪速センサ28FL〜28RRからの車輪
速に応じたパルス信号VwFL〜VwRRを電圧に変換する
周波数−電圧変換器81FL〜81RRと、これら変換
器81FL〜81RRの変換出力をディジタル信号に変
換するA/D変換器82FL〜82RRと、前記横加速
度センサ26の横加速度検出値YG をディジタル値に変
換するA/D変換器83Aと、前記前後加速度センサ4
0の前後加速度検出値XG をディジタル値に変換するA
/D変換器83Dと、アクセルセンサ47及びスロット
ルセンサ42の踏込み量検出値A及びスロットル開度検
出値THを夫々ディジタル値に変換するA/D変換器8
3B,83Cと、前記トルクコンバータ18の入力軸回
転速度センサ39aからの入力軸回転速度に応じたパル
ス信号Ninを電圧に変換する周波数−電圧変換器81a
と、この変換器81aの変換出力をディジタル信号に変
換するA/D変換器83Eと、前記トルクコンバータ1
8の出力軸回転速度センサ39bからの出力軸回転速度
に応じたパルス信号Nout を電圧に変換する周波数−電
圧変換器81bと、この変換器81bの変換出力をディ
ジタル信号に変換するA/D変換器83Fと、各A/D
変換器82FL〜82RR、83A〜83Fの変換出力
信号,圧力スイッチ77の出力信号及び自動変速機制御
装置34からの信号が入力されるマイクロコンピュータ
84と、このマイクロコンピュータ84から出力される
電磁弁70L,70Rに対する指令値をアナログ値に変
換するD/A変換器87L,87Rと、これらD/A変
換器の変換出力が入力され、これらに基づいて各電磁弁
70L,70Rのソレノイドに対する励磁電流をiSL,
SRを出力するソレノイド駆動回路88L,88Rと、
マイクロコンピュータ44から出力されるモータ駆動信
号に応じてステップモータ45及びモータ74を回転駆
動するモータ駆動回路89及び90とを備えている。
【0027】ここで、マイクロコンピュータ84は、少
なくとも入力インタフェース回路84a、出力インタフ
ェース回路84b、演算処理装置84c及び記憶装置8
4dを備え、前記演算処理装置84cは,前記各車輪速
センサ28FL〜28RRからの車輪速検出値VwFL
VwRRを用いて駆動輪である後輪10RL,10RRの
スリップ率SL ,SR 及びその変化率VSL,VSRを算出
し、この後輪スリップ率SL ,SR 及びその変化率
SL,VSRに基づいて当該駆動輪である後輪10RL,
10RR側のホイールシリンダ52RL,52RRの作
動液圧(ブレーキ液圧)を制御すると共に、前記入力軸
回転速度センサ39aからのトルクコンバータ入力軸回
転速度検出値Nin及び出力軸回転速度センサ39bから
のトルクコンバータ出力軸回転速度検出値Nout に基づ
いてトルクコンバータ18の作動領域を検出し、同時に
駆動輪である後輪10RL,10RRの現在のスリップ
量S(n ) を算出又は検出し、この現在のスリップ量S
(n) が所定値S0 を越えたときに,前記前後加速度セン
サ40からの前後加速度検出値XG 及び横加速度センサ
26からの横加速度検出値YG 及び現在の自動変速機1
4のギヤ比iに基づいて必要なエンジン20の目標出力
(目標駆動トルク)T* (n) を算出し、この目標駆動ト
ルクT* (n) 及びエンジン回転速度Neに基づいてサブ
スロットルバルブ44の目標スロットル開度θ* を算出
し、この目標スロットル開度θ* を達成する回転駆動信
号を前記ステップモータ45に向けて出力する,所謂駆
動輪のスリップ状態だけには応答しないフィードフォワ
ード制御によるスロットル開度制御を開始し、然る後,
このフィードフォワード制御によるスロットル開度制御
を所定時間継続し、やがてトルクコンバータ入力軸回転
速度検出値Nin及び出力軸回転速度検出値Nout の比N
が所定値N0 より大きくなったら,当該トルクコンバー
タ18の作動領域は前記フルードカップリング領域にな
ったと判断し且つ前記駆動輪である後輪10RL,10
RRの現在のスリップ量S(n) がピークを越えて所定値
2 以下となったときに、前記前後加速度検出値XG
び横加速度検出値YG 及び車体速と等価な平均前輪速V
F に基づいて駆動輪である後輪10RL,10RRの目
標スリップ量S* を算出し、この目標スリップ量S*
び現在のスリップ量S(n) 及び前回のスリップ量S
(n-1) を用い且つ所定の比例制御ゲインKP 及び積分制
御ゲインKI を用いて現在のエンジン駆動トルク増減量
ΔT(n)を算出し、この現在のエンジン駆動トルク増減
量ΔT(n) 及び前回の目標駆動トルクT* (n-1) を用い
て目標駆動トルクT* (n) を算出し、この目標駆動トル
クT* (n) 及びエンジン回転速度Neに基づいてサブス
ロットルバルブの目標スロットル開度θ* を算出し、こ
の目標スロットル開度θ* を達成する回転駆動信号を前
記ステップモータ45に向けて出力する,所謂駆動輪の
スリップ状態に応じたフィードバック制御によるスロッ
トル開度制御を開始して、エンジンの出力低減制御を実
行する。
【0028】前記記憶装置84dは、演算処理装置84
cの演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶してい
ると共に、演算処理装置の処理結果を逐次記憶し、且つ
前記駆動輪である後輪10RL,10RRのスリップ率
L ,SR とその変化率(スリップ率変化速度)VSL
SRとから電磁弁70L,70Rの制御モードを設定す
る制御モード変換マップを予め記憶している。
【0029】それでは、まず前記マイクロコンピュータ
84の演算処理装置84cで実行される駆動輪である後
輪10RL,10RR側のホイールシリンダ52RL,
52RRの作動液圧(ブレーキ液圧)制御のための演算
処理について,図4,図5に基づいて説明する。なお、
このブレーキ液圧制御のための演算処理は,本出願人が
先に提案した特開平4−274914号公報に記載され
る駆動力制御を可能とする駆動力制御装置のブレーキ液
圧制御のための演算処理の抜粋であり、必要に応じて当
該公報を参照されるものとして,その演算処理の内容を
簡潔に説明する。なお、このブレーキ液圧制御のため
に,前記電磁弁70L,70Rの制御指令値出力に用い
られる液圧制御弁54L,54Rの制御モードは、後述
する図5の制御マップから検索され、この制御マップは
前記記憶装置84dに予め記憶されている。この制御マ
ップについて簡潔に説明すると、前記各車輪速センサ2
8FL〜28RRで検出された各車輪速検出値Vwj
ら算出されるスリップ率変化速度VSL, SRとスリップ
率SL,R とによって、急減圧、緩減圧、保圧、緩増圧
及び急増圧の5つのモードが設定される。
【0030】この演算処理は,前記マイクロコンピュー
タ84で例えば5msec. 程度の所定時間ΔT毎のタイマ
割込みとして実行され、まずステップS101で各車輪
速センサ28FL〜28RRからの各車輪速検出値Vw
j (j=FL〜RR)を読込む。
【0031】次にステップS102に移行して、前記圧
力スイッチ77からの出力信号を読込む。次にステップ
S103に移行して、前記ステップS101で読込まれ
た各車輪速検出値VwFL〜VwRRに基づいて,車体速と
等価な従動輪である前左右輪10FL,10FRに対す
る駆動輪である後左右輪10RL,10RRの偏差の比
から,下記1式及び2式の演算を行って駆動輪となる後
輪10RL,10RRのスリップ率の今回値SL(n),S
R(n)を算出する。
【0032】 SL(n)=(VRL−VFL)/VFL ……… (1) SR(n)=(VRR−VFR)/VFR ……… (2) 次にステップS104に移行して、前記ステップS10
3で算出したスリップ率の今回値SL(n),SR(n)と前回
のタイマ割込処理時に算出したスリップ率の前回値S
L(n-1),SR(n-1)とを用いて,下記3式及び4式の演算
を行ってスリップ率変化速度VSL及びVSRを算出する。
【0033】 VSL=SL(n)−SL(n-1) ……… (3) VSR=SR(n)−SR(n-1) ……… (4) 次にステップS105に移行して、前記ステップS10
3及びS104で算出したスリップ率の今回値SL(n)
R(n)及びスリップ率変化速度VSL,VSRに基づいて,
図5の制動圧制御モード変換マップを参照して液圧制御
弁54L,54Rの制御モードを設定し、次いでステッ
プS106に移行して、前記ステップS105で設定さ
れた制御態様に対応した指令値を駆動回路88L,88
Rに出力してからステップS107に移行する。
【0034】前記ステップS107では、前記ステップ
102で読込まれた圧力スイッチ77のスイッチ信号が
オン状態であるか否かを判定し、オン状態であるときに
は、アキュムレータ73の蓄圧が設定値より低下してい
るものと判断してステップS108に移行し、モータ7
4を駆動する例えば論理値“1”の駆動信号をモータ駆
動回路90に出力してからタイマ割込処理を終了して所
定のメインプログラムに復帰し、スイッチ信号がオフ状
態であるときには、アキュムレータ73の蓄圧が設定値
以上であるものと判断してステップS109に移行し、
モータ74を停止させる例えば論理値“0”の駆動信号
をモータ駆動回路90に出力してからタイマ割込処理を
終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0035】従って、今、車両がエンジンをアイドリン
グ状態として停車しているものとすると、この状態で
は、各車輪速検出値VwFL〜VwRRが零であることか
ら、前記ステップS103で算出されるスリップ率の今
回値SL(n),SR(n)も零となり、また前記ステップS1
04で算出されるスリップ率変化速度VSL,VSRも零で
あるので、ステップS105で図5のマップを参照して
緩減圧モードが設定され、次いでステップS106で前
述のように小電流値と零とを所定時間毎に交互に繰り返
す電流指令値をD/A変換器87L,87Rに夫々出力
する。これによって、ソレノイド駆動回路88L,88
Rから小電流値と零とを交互に繰り返す励磁電流が電磁
弁70L,70Rのソレノイド71に出力され、これら
電磁弁70L,70Rがその切換位置(A)及び(B)
間に交互に切換えられて液圧制御弁54L,54Rの圧
力室61が所定時間毎にタンクに連通されて緩減圧状態
となる。このとき、圧力室61の圧力が大気圧又はほぼ
大気圧であるときには、スプール55が図2に示すよう
にリターンスプリング56によって左動された状態とな
り、ブレーキマスターシリンダ50からの液圧PM を後
輪10RL,10RRのホイールシリンダ52RL,5
2RRに供給可能な状態となり、このときブレーキペダ
ル50を踏込んでいるときには、そのときにブレーキマ
スターシリンダ51で発生するブレーキ液圧PM が後輪
側ホイールシリンダ52RL,52RRに供給されて制
動状態を維持する。
【0036】この停車状態から、ブレーキペダル50の
踏込を解除すると、ブレーキマスターシリンダ51で発
生されるブレーキ液圧PM が大気圧又はほぼ大気圧とな
ることにより、前輪側及び後輪側のホイールシリンダ5
2FL〜52RRの圧力が大気圧又はほぼ大気圧となっ
て、制動状態が解除される。この状態からアクセルペダ
ル46を踏込むことにより、エンジンの出力(回転駆動
力)が大きくなり、この出力を駆動力として後輪10R
L,10RRに伝達することにより車両が発進状態とな
る。このように、車両が発進状態となると、各車輪10
FL〜10RRが回転を開始し、各車輪速センサ28F
L〜28RRの車輪速検出値VwFL〜VwRRが増加す
る。このとき、車両が乾燥したアスファルト路面やコン
クリート路面等の高μ路面で緩発進したときには、駆動
輪となる後輪10FL,10RRにさほどスリップを生
じることがなく、ステップS103で算出される駆動輪
のスリップ率の今回値SL(n),SR(n)は零近傍の値とな
り、また前記ステップS104で算出されるスリップ率
変化速度VSL,VSRも小さな値となるため、電磁弁70
L,70Rも緩減圧モードを維持して液圧制御弁54
L,54Rのスプール55が左動位置に保持される。こ
のとき、ブレーキペダル46の踏込みがなければ,ブレ
ーキマスターシリンダ51で発生されるブレーキ液圧P
M は大気圧又はほぼ大気圧となり、この状態で前記緩減
圧モードに設定された電磁弁70L,70R及び液圧制
御弁54L,54Rの作用によって前輪側及び後輪側の
ホイールシリンダ52FL〜52RRの圧力が大気圧又
はほぼ大気圧となって各車輪10FL〜10RRへの制
動力は発生しない。
【0037】また、凍結路、雪路、降雨路等の低μ路面
での緩発進や、乾燥路等の高μ路面での急発進を行う場
合には、前記高μ路面での緩発進時に比して,駆動輪と
なる左右後輪10RL,10RRには,その駆動力によ
るトラクションロスからスリップがやや増大し、従って
その後輪速検出値VwRL,VwRRの増大に伴って前記ス
テップS103で算出されるスリップ率の今回値
L(n),SR(n)が増加すると共に、前記ステップS10
4で算出されるスリップ率変化速度VSL,VSRが正方向
に増加することにより、前記ステップS105で緩増圧
モード(又は急増圧モード)が設定され、これに応じて
ステップS106で、電磁弁70L,70Rに対して大
励磁電流を指示する指令値と零の指令値とが交互に繰り
返し(又は大励磁電流を指示する指令値が連続して)ソ
レノイド駆動回路88L,88Rに出力されることによ
り、これら駆動回路88L,88Rから大励磁電流が電
磁弁70L,70Rに出力されて、これら電磁弁が
(C)位置に切換えられる。このため、アキュムレータ
73の圧力PA が電磁弁70L,70Rを介して液圧制
御弁54L,54Rの圧力室61に供給されるので、ス
プール55がリターンスプリング56に抗して右動す
る。そして、スプール55の右端とプランジャ57の左
端とが当接すると、入力ポート59と出力ポート60と
が遮断状態となり、この遮断状態を保ってスプール55
及びプランジャ57が右動することにより、プランジャ
57側の圧力室の圧力が増加し、これが左右後輪10R
L,10RR側のホイールシリンダ52RL,52RR
に伝達されて、後輪10RL,10RRに対して制動力
が作用し、これによって駆動輪となる後輪10RL,1
0RRのスリップが抑制されるから、当該駆動輪である
後輪10RL,10RRへの駆動力は当該発進時に必要
な大きさに規制されて車両全体としての総駆動力が向上
される。
【0038】また、前述のような低μ路面で車両が急発
進しようとした際には,前記高μ路面での急発進時や低
μ路面での緩発進時に比して、駆動輪となる左右後輪1
0RL,10RRには,その駆動力によるトラクション
ロスからスリップが更に増大するために、その後輪速検
出値VwRL,VwRRの増大に伴って前記ステップS10
3で算出されるスリップ率の今回値SL(n),SR(n)が増
加すると共に、前記ステップS104で算出されるスリ
ップ率変化速度VSL,VSRが正方向に増加することによ
り、前記ステップS105で急増圧モードが設定され、
これに応じてステップS106で、電磁弁70L,70
Rに対して大励磁電流を指示する指令値が連続してソレ
ノイド駆動回路88L,88Rに出力されることによ
り、これら駆動回路88L,88Rから大励磁電流が電
磁弁70L,70Rに出力されて、これら電磁弁が
(C)位置に切換えられる。このため、アキュムレータ
73の圧力PA が電磁弁70L,70Rを介して液圧制
御弁54L,54Rの圧力室61に供給されるので、ス
プール55がリターンスプリング56に抗して右動し、
スプール55の右端とプランジャ57の左端とが当接す
ると、入力ポート59と出力ポート60とが遮断状態と
なり、この遮断状態を保ってスプール55及びプランジ
ャ57が右動することにより、プランジャ57側の圧力
室の圧力が増加し、これが左右後輪10RL,10RR
側のホイールシリンダ52RL,52RRに伝達され
て、後輪10RL,10RRに対して制動力が作用し、
これによって駆動輪となる後輪10RL,10RRのス
リップが抑制されるから、当該駆動輪である後輪10R
L,10RRへの駆動力は当該発進時に必要な大きさに
規制されて車両全体としての総駆動力が向上される。
【0039】ところが、走行路の左半部が例えば乾燥し
た高μ路面で、右半部が例えば凍結した低μ路面である
所謂スプリット路で発進する場合には、左側の駆動輪1
0RLの車輪速検出値VwRLに対して右側の駆動輪10
RRの車輪速検出値VwRRが大きい値となるため、図4
の演算処理の前記ステップS103で算出される駆動輪
のスリップ率の今回値SL(n),SR(n)も左後輪側のスリ
ップ率の今回値SL(n)に対して右後輪側のスリップ率S
R(n)が大きな値となると共に、前記ステップS104で
算出される左後輪側のスリップ率変化速度VSLに対して
右後輪側のスリップ率変化速度VSRが大きい値となり、
従って前記ステップS105では,左後輪10RLのホ
イールシリンダ52RLへの液圧制御弁54Lの制動液
圧制御モードが,例えば緩減圧モードに設定されたのに
対して、右後輪10RRのホイールシリンダ52RRへ
の液圧制御弁54Rの制動液圧制御モードは,例えば急
増圧モードに設定されるなどして、低μ路面側の駆動
輪,ここでは右後輪10RRへのホイールシリンダ52
RRへの制動液圧は、高μ路面の駆動輪,ここでは左後
輪10RLへのホイールシリンダ52RLへの制動液圧
よりも相対的に大きくなり、結果的にスリップし易い低
μ路面側の駆動輪の制動力が大きくなって当該駆動輪の
駆動力を低減し、スリップしにくい高μ路面側の駆動輪
の制動力が小さくなるために、両μ路面間のトラクショ
ンロスを相殺して各駆動輪には当該路面μに必要な駆動
力が伝達され、その結果,車両全体の総駆動力が向上さ
れる。
【0040】また、旋回中に発生する各駆動輪のスリッ
プに応じて前記と同様の制動力制御,つまり駆動力制御
が実行されることになるが、旋回内外輪の回転速度の偏
差については,該当する前輪の車輪速を基準値として当
該駆動輪のスリップ率やスリップ率変化速度を算出して
いるために、当該旋回半径の大きさ,即ち旋回内外輪の
回転速度の偏差を除去したスリップ状態に依存する最適
な制動力の制御によって駆動力向上制御が可能となる。
【0041】次に本実施例で実行される前記サブスロッ
トルバルブ44のスロットル開度制御による駆動力制御
の基本原理について説明する。本実施例のスロットル開
度制御でも、駆動輪のスリップ状態を考慮しない,具体
的には車両に発生する又は作用する物理量等に基づいて
スロットル開度を制御するフィードフォワード制御と、
駆動輪のスリップ状態を考慮してそのスリップ状態検出
値に基づいてスロットル開度を制御するフィードバック
制御とを併用する。このうち,駆動輪のスリップ状態検
出値に基づくフィードバック制御によるスロットル開度
制御は、車両運動が基本的に運転者を介在するフィード
バック制御系で制御されていることからも容易に理解さ
れよう。一方、前記駆動輪のスリップ状態を考慮しない
フィードフォワード制御によるスロットル開度制御は、
前述のようにエンジン20の基本的な設計思想が,少な
くとも現今では出力向上重視並びに燃費向上重視であっ
て、例えば前記サブスロットルバルブ44のスロットル
開度を閉じ方向に制御しても,実質的にエンジン20の
出力が低下するまでにやや時間を要する,即ち制御応答
性が遅いのに対して、実際の車両で駆動輪のスリップ状
態が過剰であることは、加速性のみならず車両挙動,具
体的には走行安定性に関わることであるから可及的速や
かに当該駆動輪のスリップ状態を抑制しなければならな
いという背反する目的と作用とを両立させるために実行
される。
【0042】具体的に、本実施例では,前記フィードフ
ォワード制御によるスロットル開度制御では、まず前記
前後加速度センサ40からの前後加速度検出値XG 及び
横加速度センサ26からの横加速度検出値YG 及び現在
の自動変速機14のギヤ比iを用い、下記5式に基づい
て,当該路面における現在の車両挙動を達成するための
エンジンの駆動トルクの今回値Tf(n) を,予め車両特
性やタイヤ特性を考慮して設定された所定関数fに則っ
て算出し、この駆動トルクの今回値Tf(n) を目標駆動
トルクの今回値T* (n) に設定する。なお、この駆動ト
ルクの今回値Tf(n) は、例えば各変数,即ち前後加速
度検出値XG ,横加速度検出値YG ,ギヤ比iに応じ
て,制御マップ検索等により算出設定することとしても
よい。
【0043】 Tf(n) =(1/i)・f(XG ,YG ) ……… (5) 一方、前記フィードバック制御によるスロットル開度制
御では、まず後段に詳述するように車体速と等価な値と
して算出された平均前輪速VF 及び前後加速度センサ4
0からの前後加速度検出値XG 及び横加速度センサ26
からの横加速度検出値YG を用い、下記6式に従って目
標スリップ量S* を算出する。なお、式中,K1
2 ,K3 は夫々予め設定された比例定数である。
【0044】 S* =K1 ・VF +K2 ・XG +K3 ・YG ……… (6) 次に、この目標スリップ量S* ,及び後段に詳述するよ
うに駆動力のフィードバック制御の対象物理量として算
出された駆動輪である後輪10RL,10RRの平均後
輪速VR と前記平均前輪速VF との偏差から得られる後
輪スリップ量の今回値S(n) ,及び前回演算時に算出さ
れ且つ更新記憶されている後輪スリップ量の前回値S
(n-1) を用い、下記7式に従ってエンジンの駆動トルク
増減量の今回値ΔT(n) を算出する。なお、式中,KP
は比例制御ゲイン,KI は積分制御ゲインであって、本
実施例では夫々予め設定された所定値KP0,所定値KI0
と等しいと理解すればよい。
【0045】 ΔT(n) =KP (S(n) −S(n-1) )+KI (S(n) −S* ) ……… (7) 次に、この駆動トルク増減量の今回値ΔT(n) 及び更新
記憶されているエンジンの目標駆動トルクの前回値T*
(n-1) を用い、下記8式に従って目標駆動トルクの今回
値T* (n) を算出する。 T* (n) =T* (n-1) +ΔT(n) ……… (8) そして、前記5式又は8式で算出された目標駆動トルク
の今回値T* (n) 及びエンジンの現在の回転速度Ne
(n) を用い、下記9式に従って,常時開のサブスロット
ルバルブ44の閉じ方向への目標スロットル開度の今回
値θ* (n) を,予め車両特性やタイヤ特性を考慮して設
定された所定関数gに則って算出する。なお、この目標
スロットル開度の今回値θ* (n) は,当該サブスロット
ルバルブ44の全開時を“0”とし、閉じ方向への制御
量として正方向に増加する。
【0046】 θ* (n) =g(T* (n) ,Ne(n) ) ……… (9) このようにして算出された目標スロットル開度の今回値
θ* (n) に応じ、例えば当該目標スロットル開度の今回
値θ* (n) が前記スロットルセンサ42のスロットル開
度検出値THよりも大きい場合には,前記ステップモー
タ45に向けて正転信号を出力して閉じ方向へのサブス
ロットル開度を増加し、当該目標スロットル開度の今回
値θ* (n) が前記スロットルセンサ42のスロットル開
度検出値THよりも小さい場合には,前記ステップモー
タ45に向けて逆転信号を出力して閉じ方向へのサブス
ロットル開度を減少するようにする。
【0047】ここで問題なのは、前記フィードフォワー
ド制御によるスロットル開度制御を何時開始して何時終
了するか,或いは前記フィードバック制御によるスロッ
トル開度制御を何時開始して何時終了するかである。前
述のように駆動輪のスリップ状態又は車両の挙動のつい
てのみ前記フィードフォワード制御によるスロットル開
度制御からフィードバック制御によるスロットル開度制
御への切換え(移行)を実施したのでは、トルクコンバ
ータを内装する本実施例のような車両にあっては,エン
ジンの出力トルクの増幅作用の問題が発生する。
【0048】つまり、前述のように,こうしたトルクコ
ンバータは、その作動領域が,所謂コンバータ領域とフ
ルードカップリング領域とに区分される。このうち,フ
ルードカップリング領域が,トルクコンバータの入出力
軸間で直結又はほぼ直結状態であるのに対して、コンバ
ータ領域は,トルクコンバータの出力軸の軸力(トル
ク)を入力軸,つまりエンジンの出力軸のそれに比して
増幅する,所謂トルク増幅作用をもった連結状態であ
る。従って、トルクコンバータの作動領域が未だコンバ
ータ領域であるときに,前記フィードバック制御による
通常のスロットル開度制御を開始してしまうと、例えば
当該フィードバック制御による通常のスロットル開度制
御がエンジンの出力軸の回転状態を減少してしまい、そ
の結果,トルクコンバータの入出力軸間の速度差がなく
なって或いは速度比が大きくなって,強制的にフルード
カップリング領域に移行されるなどして,当該トルクコ
ンバータによるトルク増幅作用分をも補償してしまい、
そのようになると当該エンジンの出力はトルクコンバー
タのフルードカップリング領域で十分な車両加速性を発
揮する出力よりも減少しているから,結果的に車両加速
性が乏しくなり、それが運転者に減速感として感じられ
てしまう虞れがある。
【0049】このようなトルクコンバータのトルク増幅
作用に鑑み、本実施例では前記フィードフォワード制御
によるスロットル開度制御及びフィードバック制御によ
るスロットル開度制御を以下のように設定する。まず、
これらのスロットル開度制御の因子として,以下の物理
量を算出する。前述のように,エンジンの回転駆動力は
基本的に駆動輪である後左右輪10RL,10RRの双
方に分割されて伝達されるものとし、これらの両駆動輪
である後左右輪10RL,10RRの車輪速検出値Vw
RL,VwRRから,平均後輪速VRを下記10式に従って
算出する。
【0050】 VR =(VwRL+VwRR)/2 ………(10) また、本来的には前記平均後輪速VR の比較対象となる
車体速を,前記従動輪である前左右輪10FL,10F
Rの車輪速検出値VwFL,VwFRの平均値と等価である
として、これらの両従動輪である前左右輪10FL,1
0FRの車輪速検出値VwFL,VwFRから,平均前輪速
F を下記11式に従って算出する。
【0051】 VF =(VwFL+VwFR)/2 ………(11) また、前記平均後輪速VR と平均前輪速VF との偏差か
ら,当該後輪10RL,10RRの平均的なスリップ速
度を、駆動輪スリップ量の今回値S(n) として,下記1
2式に従って算出する。 S(n) =VR −VF ………(12) また、前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) と前回演算
処理時の駆動輪スリップ量の前回値S(n-1) との偏差
を、スリップ量の変化量αとして,下記13式に従って
算出する。
【0052】 α=S(n-1) −S(n) ………(13) また、前記トルクコンバータ入力軸回転速度検出値Nin
及び出力軸回転速度検出値Nout の比を、入出力軸回転
速度比Nとして,下記14式に従って算出する。 N=Nout /Nin ………(14) ここで既知のように、トルクコンバータ18の入出力軸
18i,18oの回転速度の比,つまり前記入出力軸回
転速度比Nは、効率η一定の下に,当該トルクコンバー
タ18の入出力軸18i,18oの伝達トルク比Tの逆
比と等価であることから、この入出力軸回転速度比Nが
所定値N0 よりも小さい場合には当該トルクコンバータ
18の入出力軸18i,18oでトルク増幅作用があ
る,即ち当該トルクコンバータ18の作動領域はコンバ
ータ領域であると考えられるから、この所定値N0 を適
宜に設定することで,入出力軸回転速度比Nが所定値N
0 よりも小さい場合にはフルードカップリング領域制御
フラグFT を“0”のリセット状態にし、一方、前記入
出力軸回転速度比Nが所定値N0 よりも小さくない場合
には当該トルクコンバータ18の入出力軸18i,18
oは直結又はほぼ直結状態である,即ち当該トルクコン
バータ18の作動領域はフルードカップリング領域であ
ると考えられるから、フルードカップリング領域制御フ
ラグFT を“1”のセット状態にする。
【0053】また、前記駆動輪スリップ量の今回値S
(n) が所定値S0 よりも大きく且つ前記スリップ量の変
化量αが或る負の値である所定値α0 よりも小さい場合
に、前記フィードフォワード制御によるスロットル開度
制御のための制御フラグ(以下,単にフィードフォワー
ド制御フラグと記す)FF を“1”のセット状態にす
る。ここで、駆動輪スリップ量の今回値S(n) が,或る
所定値S0 よりも大きいことは、駆動輪である後輪10
RL,10RRのスリップ量が過大であることを判定で
きるから、この所定値S0 を適宜に設定することで,前
述のような意味合いから実行されるべきフィードフォワ
ード制御によるスロットル開度制御開始の一つの判定基
準とすることができる。また、このように駆動輪のスリ
ップ量の今回値S(n) が前回値S(n-1) に対して急激に
増加しているような場合も,前述のような意味合いから
実行されるべきフィードフォワード制御によるスロット
ル開度制御開始の一つの判定基準とすることができる
が、ここで前記13式から算出されるスリップ量の変化
量αは,このような時点で負の値となるはずであり(何
となれば駆動輪スリップ量S(n) そのものが,平均後輪
速VR の平均前輪速VF に対する偏差であることか
ら)、従って前記所定値α0 は或る負の値に適宜設定さ
れなければならないことになる。
【0054】ここで、前記フィードフォワード制御フラ
グFF が“1”のセット状態であるときに、前述のフィ
ードフォワード制御によるスロットル開度制御を開始す
るわけであるが、このようなフィードフォワード制御に
よるスロットル開度制御が開始されれば,必然的にサブ
スロットルバルブ44のスロットル開度は閉じ方向に制
御されて、前述のように前記図2によればこれに遅れて
エンジン20の回転駆動力が低下し、これにより駆動輪
スリップ量の今回値S(n) もやがてピーク点を越えて減
少を開始する。そこで、今回の駆動輪スリップ量のピー
ク値SP(n-1)を、駆動輪スリップ量の今回値S(n) が,
駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)として前回更新記
憶された前回演算時の駆動輪スリップ量の今回値(即ち
駆動輪スリップ量の前回値S(n-1) を下回った時点で更
新記憶し、且つこの今回の駆動輪スリップ量のピーク値
P(n-1)から駆動輪スリップ量の今回値S(n) を減じた
値が,或る正の所定値α2 よりも小さくなったときに,
当該駆動輪である後輪10RL,10RRのスリップ量
は安定してピークを越えたとして、ピーク制御フラグF
P を“1”のセット状態にする。そして、このピーク制
御フラグFP が“1”のセット状態である,即ちピーク
点を越えて減少し始めた駆動輪スリップ量の今回値S
(n) が,所定値S2 を下回った時点で、当該駆動輪のス
リップ量は安定して収束方向にあると判定できるから、
この所定値S2 を適宜設定することでスリップ量収束制
御フラグFS を“1”のセット状態にする。
【0055】そして、前記フルードカップリング領域制
御フラグFT 及びスリップ量収束制御フラグFS が共に
“1”のセット状態にあるときに、フィードバック制御
によるスロットル開度制御のための制御フラグ(以下,
単にフィードバック制御フラグと記す)FC を“1”の
セット状態とする。ここで、実際には前記駆動輪スリッ
プ量の今回値S(n) が前記所定値S0 より大きくなく且
つ前記スリップ量の変化量αが前記所定値α0 より大き
くない場合であって、尚且つ前記フィードバック制御フ
ラグFC が“1”のセット状態にあるときに,始めて前
記フィードバック制御によるスロットル開度制御が開始
される。
【0056】それでは次に、前記発明原理に基づいて前
記サブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロットル
開度制御を実行するための演算処理を図6に基づいて説
明する。なお、図中の各制御フラグは前述のとおりであ
る。この演算処理は、例えば前記マイクロコンピュータ
84の演算処理装置84cにおいて、例えば10msec.
程度の所定時間ΔT毎にタイマ割込み処理によって実行
され、まずステップS1で前記前後加速度センサ40か
らの前後加速度検出値XG 及び横加速度センサ26から
の横加速度検出値YG を読込む。
【0057】次にステップS2に移行して、各車輪速セ
ンサ28FL〜28RRからの車輪速検出値Vwj (j
=FL〜RR)を読込む。次にステップS3に移行し
て、前記ステップS2で読込まれた後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRを用いて,前記10式に従
って平均後輪速VRを算出する。
【0058】次にステップS4に移行して、前記ステッ
プS2で読込まれた前輪10FL,10FRの車輪速V
FL,VwFRを用いて,前記11式に従って車体速と等
価な平均前輪速VF を算出する。次にステップS5に移
行して、前記ステップS3で算出された平均後輪速VR
及びステップS4で算出された平均前輪速VF を用い
て,前記12式に従って駆動輪スリップ量の今回値S
(n) を算出する。
【0059】次にステップS6に移行して、前回の演算
処理で前記記憶装置84dに更新記憶されている駆動輪
スリップ量の前回値S(n-1) を読込む。次にステップS
7に移行して、前記ステップS5で算出された駆動輪ス
リップ量の今回値S(n) 及びステップS6で読込まれた
駆動輪スリップ量の前回値S(n -1) を用いて,前記13
式に従ってスリップ量の変化量αを算出する。
【0060】次にステップS8に移行して、前記トルク
コンバータ18に設けられて入力軸回転速度センサ39
aで検出された入力軸回転速度検出値Nin及び出力軸回
転速度センサ39bで検出された出力軸回転速度検出値
out を読込む。次にステップS9に移行して、前記ス
テップS8で読込まれた入力軸回転速度検出値Nin及び
出力軸回転速度検出値Nout を用いて,前記14式に従
って入出力軸回転速度比Nを算出する。
【0061】次にステップS10に移行して、前記ステ
ップS9で算出された入出力軸回転速度比Nが前記予め
設定された所定値N0 よりも大きいか否かを判定し、当
該入出力軸回転速度比Nが所定値N0 よりも大きい場合
にはステップS11に移行し、そうでない場合にはステ
ップS12に移行する。前記ステップS11では、前記
入出力軸回転速度比Nが前記予め設定された所定値N0
よりも大きいために,トルクコンバータ18の作動領域
はフルードカップリング領域であると判断して前記フル
ードカップリング領域制御フラグFT を“1”にセット
してから、ステップS13に移行する。
【0062】一方、前記ステップS12では、前記入出
力軸回転速度比Nが前記予め設定された所定値N0 以下
であるために,トルクコンバータ18の作動領域はコン
バータ領域であると判断して前記フルードカップリング
領域制御フラグFT を“0”にリセットしてから、前記
ステップS13に移行する。前記ステップS13では、
前記ステップS5で算出された駆動輪スリップ量の今回
値S(n) が前記予め設定された所定値S0 より大きいか
否かを判定し、当該駆動輪スリップ量の今回値S(n)
所定値S0 より大きい場合にはステップS14に移行
し、そうでない場合にはステップS15に移行する。
【0063】前記ステップS14では、前回演算処理時
に前記記憶装置84dに更新記憶されている駆動輪スリ
ップ量のピーク値SP(n-1)を読込んでから、ステップS
16に移行する。前記ステップS16では、前記ステッ
プS5で算出された駆動輪スリップ量の今回値S(n)
ステップS14で読込まれた駆動輪スリップ量のピーク
値SP(n- 1)より大きいか否かを判定し、当該駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) が駆動輪スリップ量のピーク値S
P(n-1)より大きい場合にはステップS16に移行し、そ
うでない場合にはステップS18に移行する。
【0064】前記ステップS17では、前記駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) を駆動輪スリップ量のピーク値S
P(n-1)として記憶装置84dに更新記憶してから、前記
ステップS15に移行する。前記ステップS18では、
駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)から駆動輪スリッ
プ量の今回値S(n) を減じた値が前記予め設定された所
定値α2 より小さいか否かを判定し、そうである場合に
はステップS19に移行し、そうでない場合には前記ス
テップS15に移行する。
【0065】前記ステップS15では、前記ステップS
13又はステップS14〜S17又はステップS18の
全ての条件を満足していないから駆動輪スリップ量の今
回値S(n) は未だピークを越えていないと判断し、前記
ピーク制御フラグFP を“0”にリセットしてからステ
ップS20に移行する。一方、前記ステップS19で
は、前記ステップS13及びステップS14〜S16及
びステップS18の全ての条件を満足しているから駆動
輪スリップ量の今回値S(n) はピークを越えたと判断
し、前記ピーク制御フラグFP を“1”にセットしてか
らステップS21に移行する。
【0066】前記ステップS21では、前記駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) がスリップ量収束の閾値である前
記所定値S2 より小さいか否かを判定し、当該駆動輪ス
リップ量の今回値S(n) が所定値S2 より小さい場合に
はステップS22に移行し、そうでない場合には前記ス
テップS20に移行する。前記ステップS20では、前
記ステップS21までの演算処理ステップで,未だ駆動
輪である後輪10RL,10RRのスリップは収束傾向
にないと判断し、前記スリップ量収束制御フラグFS
“0”のリセット状態にしてからステップS23に移行
する。
【0067】一方、前記ステップS22では、前記ステ
ップS21までの演算処理ステップで,駆動輪である後
輪10RL,10RRのスリップは収束傾向にあると判
断し、前記スリップ量収束制御フラグFS を“1”のセ
ット状態にしてからステップS24に移行する。前記ス
テップS24では、前記記憶装置84dに更新記憶され
ている駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)を“0”に
クリアしてから前記ステップS23に移行する。
【0068】前記ステップS23では、前記スリップ量
収束制御フラグFS が“1”のセット状態であるか否か
を判定し、当該スリップ量収束制御フラグFS が“1”
のセット状態である場合にはステップS25に移行し、
そうでない場合にはステップS26に移行する。前記ス
テップS25では、前記フルードカップリング領域制御
フラグFT が“1”のセット状態であるか否かを判定
し、当該フルードカップリング領域制御フラグFT
“1”のセット状態である場合にはステップS27に移
行し、そうでない場合には前記ステップS26に移行す
る。
【0069】前記ステップS27では、前記スリップ量
収束制御フラグFS が“1”のセット状態であり且つフ
ルードカップリング領域制御フラグFT が“1”のセッ
ト状態であるから、前述のようにフィードバック制御に
よるスロットル開度制御を開始してもよいという意味か
ら,フィードバック制御フラグFC を“1”のセット状
態にしてからステップS28に移行する。
【0070】一方、前記ステップS26では、前記スリ
ップ量収束制御フラグFS が“0”のリセット状態であ
るか,又はフルードカップリング領域制御フラグFT
“0”のリセット状態であるから、前述のようにフィー
ドバック制御によるスロットル開度制御を開始してはい
けないという意味から,フィードバック制御フラグF C
を“0”のリセット状態にしてから前記ステップS28
に移行する。
【0071】前記ステップS28では、前記自動変速機
制御装置34からのエンジン回転速度Ne及び自動変速
機ギヤ比iを読込む。次にステップS29に移行して、
前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) が前記所定値S0
よりも大きいか否かを判定し、当該駆動輪スリップ量の
今回値S(n)が所定値S0 よりも大きい場合にはステッ
プS30に移行し、そうでない場合にはステップS31
に移行する。
【0072】前記ステップS30では、前記スリップ量
の変化量αが前記所定値α0 よりも小さいか否かを判定
し、当該スリップ量の変化量αが所定値α0 よりも小さ
い場合にはステップS32に移行し、そうでない場合に
は前記ステップS31に移行する。前記ステップS32
では、前記ステップS29及びS30の各演算処理ステ
ップを満足して,前記フィードフォワード制御によるス
ロットル開度制御を実行すべきであると判断し、前記フ
ィードフォワード制御フラグFF を“1”のセット状態
にしてからステップS33に移行する。
【0073】前記ステップS33では、前記ステップS
1で読込まれた前後加速度検出値X G ,横加速度検出値
G 及び前記ステップS28で読込まれたギヤ比iを用
いて,前記5式に従って駆動トルクの今回値Tf(n)
算出してからステップS34に移行する。前記ステップ
S34では、前記ステップS33で算出された駆動トル
クの今回値Tf(n) を目標駆動トルクの今回値T* (n)
に設定してからステップS35に移行する。
【0074】一方、前記ステップS31では、フィード
バック制御フラグFC が“1”のセット状態であるか否
かを判定し、当該フィードバック制御フラグFC
“1”のセット状態である場合にはステップS36に移
行し、そうでない場合にはステップS37に移行する。
前記ステップS36では、前記駆動輪スリップ量の今回
値S(n) が予め設定されたほぼ零に近い小さな正の値で
ある所定値S1 より大きいか否かを判定し、当該駆動輪
スリップ量の今回値S(n) が所定値S1 より大きい場合
にはステップS38に移行し、そうでない場合にはステ
ップS39に移行する。
【0075】前記ステップS39では、前記スリップ量
の変化量αが予め設定されたほぼ零に近い小さな正の値
である所定値α1 より大きいか否かを判定し、当該駆動
輪スリップ量の今回値S(n) が所定値α1 より大きい場
合には前記ステップS38に移行し、そうでない場合に
はステップS40に移行する。前記ステップS38で
は、前記ステップS4で算出された平均前輪速VF 及び
前記ステップS1で読込まれた前後加速度検出値XG
横加速度検出値YG を用いて,前記6式に従って目標ス
リップ量S* を算出してからステップS41に移行す
る。
【0076】前記ステップS41では、前記ステップS
38で算出された目標スリップ量S * ,及び駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) ,及び前記ステップS6で読込ま
れた駆動輪スリップ量の前回値S(n-1) を用いて,前記
7式に従ってエンジンの駆動トルク増減量の今回値ΔT
(n) を算出してからステップS42に移行する。前記ス
テップS42では、前記ステップS41で算出された駆
動トルク増減量の今回値ΔT(n) 及び更新記憶されてい
るエンジンの目標駆動トルクの前回値T * (n-1) を用い
て,前記8式に従って目標駆動トルクの今回値T* (n)
を算出してからステップS35に移行する。
【0077】前記ステップS35では、前記ステップS
34又はステップS42で算出設定された目標駆動トル
クの今回値T* (n) 及び前記ステップS28で読込まれ
た現在のエンジン回転速度Ne(n) を用いて,前記9式
に従って目標スロットル開度の今回値θ* (n) を算出し
てからステップS43に移行する。一方、前記ステップ
S37では、前記フィードフォワード制御フラグFF
“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該フィ
ードフォワード制御フラグFF が“0”のリセット状態
である場合には前記ステップS40に移行し、そうでな
い場合にはステップS44に移行する。
【0078】前記ステップS40では、例えば前記ステ
ップS36,S39で駆動輪スリップ量Sが或る程度収
束し且つその変化量αも収束して駆動輪である後輪10
RL,10RRの車輪速VwRL,VwRRが安定している
場合等のように,如何なるスロットル開度制御も実行す
べきではないと判断し、前記フィードバック制御フラグ
C を“0”のリセット状態にし、次いでステップS4
5に移行して、前記フィードフォワード制御フラグFF
を“0”のリセット状態にし、次いでステップS46に
移行して、目標スロットル開度の今回値θ* (n)
“0”に設定してから、前記ステップS43に移行す
る。
【0079】一方、前記ステップS44では、未だフィ
ードフォワード制御によるスロットル開度制御量を維持
すべきであると判断し、目標スロットル開度の今回値θ
* (n ) を,前記記憶装置84dに更新記憶されている目
標スロットル開度の前回値θ * (n-1) に設定してから、
前記ステップS43に移行する。前記ステップS43で
は、前記各演算処理ステップで算出又は設定された目標
駆動トルクの今回値T* (n) ,目標スロットル開度の今
回値θ* (n) ,駆動輪スリップ量の今回値S(n) を、夫
々,前回値として添字を(n−1)に置換した形式で,
前記記憶装置84dに更新記憶する。
【0080】次にステップS47に移行して、目標スロ
ットル開度の今回値θ* (n) とスロットル開度検出値と
を比較して、両者が等しい場合にはメインプログラムに
復帰し、前者が大きい場合にはステップS48に移行
し、後者が大きい場合にはステップS49に移行する。
前記ステップS48では、サブスロットルバルブ44の
閉じ方向へのスロットル開度を増加すべく,前記ステッ
プモータ45に向けて正転信号を出力してからメインプ
ログラムに復帰する。
【0081】一方、前記ステップS49では、サブスロ
ットルバルブ44の閉じ方向へのスロットル開度を減少
すべく,前記ステップモータ45に向けて逆転信号を出
力してからメインプログラムに復帰する。それでは、こ
の演算処理によるスロットル開度制御の作用について図
7のタイムチャートを用いて説明する。
【0082】このタイムチャートは、停車していた車両
が,所謂低μ路面で急発進した状態を想定している。そ
して、図7aに駆動輪である後輪10RL,10RRの
駆動輪スリップ量Sの経時変化を,同図bにトルクコン
バータ18の入出力軸回転速度比N及び入出力軸トルク
比Tの経時変化を,同図cにサブスロットルバルブ44
の閉じ方向へのスロットル開度TH(ここでは前記目標
スロットル開度θ* に対して遅れがなく,両者は等価で
あると想定する)の経時変化を示す。なお、前記トルク
コンバータ18の入出力軸回転速度比Nと入出力軸トル
ク比Tとは互いに逆比をスカラー倍した関係にあると捉
え(実質的には効率ηの関係から必ずしもリニアの関係
ではなく,所謂ヒステリシスが存在する)、入出力軸回
転速度比Nが“0”から“1”までの間で増減可能であ
るのに対して,入出力軸トルク比Tは“1”からTMAX
までの間で増減可能である。また、本実施例の演算処理
によるスロットル開度制御の制御曲線を夫々実線で,フ
ィードフォワード制御によるスロットル開度制御を実行
した直後にフィードバック制御によるスロットル開度制
御を実行した従来の制御曲線を夫々仮想線で且つ添字P
を添えて示す。また、フィードフォワード制御によるス
ロットル開度制御に対するエンジン出力の制御応答時間
や,フィードバック制御によるスロットル開度制御に対
するエンジン出力の制御応答時間は、夫々の制御で同等
かほぼ同等であるとする。また、前記所定値S2 は前記
所定値S0 よりも大きい正の値であるとする。
【0083】まず、車両停車中である時刻t01以前で
は、シフトポジションが所謂Nレンジであるとして,前
記図6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎に、
そのステップS2で読込まれる各車輪速検出値Vwj
零又は略零であるから、ステップS3で算出される平均
後輪速VR も,ステップS4で算出される平均前輪速V
F も零又は略零であり、ステップS5で算出される駆動
輪スリップ量の今回値S (n) も,ステップS6で読込ま
れる駆動輪スリップ量の前回値S(n-1) も零又は略零と
なり、ステップS7で算出されるスリップ量の変化量α
も零又は略零となる。一方、同演算処理が実行されるサ
ンプリング時間毎に,シフトポジションがNレンジであ
るために、自動変速機内のギヤの噛合がなく,従ってト
ルクコンバータ18の入出力軸18i,18oは,互い
に無負荷状態であるポンプインペラ18bとタービンラ
イナ18aとの直結回転によって等速回転しており、そ
れらの入出力軸回転速度比Nは“1”又は略“1”にな
る。そのため、この入出力軸回転速度比Nは前記所定値
0 より大きく、従って同演算処理のステップS10か
らステップS11に移行して,フルードカップリング領
域制御フラグFT が“1”にセットされる。しかしなが
ら、前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) は未だ前記所
定値S0 より小さいために、同演算処理が実行されるサ
ンプリング時間毎に,前記ステップS13からステップ
15に移行して,ピーク制御フラグFPは“0”のリセ
ット状態に保持され、また同ステップS20ではスリッ
プ量収束制御フラグFS は“0”のリセット状態に保持
され、結果的に同ステップS23又はステップS25を
経てステップS26に移行してフィードバック制御フラ
グFC は“0”のリセット状態に保持される。また、こ
の演算処理が実行されるサンプリング時間毎に,前記ス
テップS29又はステップS30を経てステップS31
に移行するが、フィードバック制御フラグFC が未だ
“0”のリセット状態であるためにステップS37に移
行し、フィードフォワード制御フラグFF が未だ“0”
のリセット状態であるためにステップS40に移行し、
次いでステップS45,S46で各制御フラグFC ,F
F を“0”のリセット状態にしながら目標スロットル開
度の今回値θ* (n) は“0”に設定される。従って、ス
テップS43を経てステップS47〜S49で達成され
るサブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロットル
開度検出値THは零に保持され、所謂全開状態が維持さ
れる。ここで、アクセルペダル46の踏込みがなけれ
ば、エンジン20の回転速度Neは,所謂アイドル回転
状態のそれに維持されることになる。
【0084】次に、停車中であった車両では,時刻t01
でシフトポジションを通常走行に有効なDレンジに移行
すると共に急激なアクセルペダル46の踏込みが入力と
して与えられ、その後,その踏込み量が一定に保持され
た。この時刻t01から駆動輪である後輪10RL,10
RRは急激にその車輪速VwRL,VwRRが増大し、一
方,車体速と等価である従動輪の前輪10FL,10F
Rの車輪速VwFL,Vw FRは増大せず又はさほど増大せ
ず、その結果,前記図6の演算処理が実行されるサンプ
リング時間毎に,前記ステップS5で算出される駆動輪
スリップ量Sは急激に増加した。また、このとき駆動輪
である後輪10RL,10RRの車輪速VwRL,VwRR
のみの急激な増大に伴って,トルクコンバータ18の入
力軸18iの回転速度検出値Ninのみが急激に増大する
ことになるから、同演算処理が実行されるサンプリング
時間毎に,前記ステップS9で算出される前記入出力軸
回転速度比Nは急激に減少し、これに対して前記入出力
軸トルク比Tは急激に増加することになる。
【0085】やがて、前記図6の演算処理のサンプリン
グ時間毎にそのステップS5で算出される駆動輪スリッ
プ量Sは,時刻t02で前記所定値S0 を越える。この時
刻t 01から時刻t02までの時間,前記入出力軸回転速度
比Nが比較的大きくて前記所定値N0 よりも大きい時刻
01の直後に、前記図6の演算処理が実行されるサンプ
リング時間毎にステップS10からステップS11に移
行して,フルードカップリング領域制御フラグFT
“1”にセットされる。しかしながら、前記駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) は未だ前記所定値S0 より小さい
ために、同演算処理が実行されるサンプリング時間毎
に,前記ステップS13からステップ15に移行して,
ピーク制御フラグFP は“0”のリセット状態に保持さ
れ、また同ステップS20ではスリップ量収束制御フラ
グFS は“0”のリセット状態に保持され、結果的に同
ステップS23又はステップS25を経てステップS2
6に移行してフィードバック制御フラグFC は“0”の
リセット状態に保持される。また、この演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に,前記ステップS29又は
ステップS30を経てステップS31に移行するが、フ
ィードバック制御フラグFC が未だ“0”のリセット状
態であるためにステップS37に移行し、フィードフォ
ワード制御フラグFF が未だ“0”のリセット状態であ
るためにステップS40に移行し、次いでステップS4
5,S46で各制御フラグFC ,FF を“0”のリセッ
ト状態にしながら目標スロットル開度の今回値θ* (n)
は“0”に設定される。従って、ステップS43を経て
ステップS47〜S49で達成されるサブスロットルバ
ルブ44の閉じ方向へのスロットル開度検出値THは零
に保持され、所謂全開状態が維持される。ここで、アク
セルペダル46の踏込み量に応じて(実質的には相応の
応答遅れを伴って)、エンジン20の回転速度Neは増
加する。また、前記図6の演算処理のステップS10で
入出力軸回転速度比Nが前記所定値N0 以下となる時刻
以後は,同ステップS12でフルードカップリング領域
制御フラグFT が“0”のリセット状態に維持されるだ
けで、その他の演算処理のフローは前述と同等であるか
ら、サブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロット
ル開度検出値THは零に保持され、所謂全開状態が維持
され、アクセルペダル46の踏込み量に応じて(実質的
には相応の応答遅れを伴って)、エンジン20の回転速
度Neは増加する。
【0086】ところが、前記図6の演算処理のステップ
S5で算出される駆動輪スリップ量Sが前記所定値S0
を越える時刻t02以後の最初の当該演算処理で、未だ前
記入出力軸回転速度比Nは未だ所定値N0 以下であるか
ら同ステップS10から同ステップS12に移行して,
フルードカップリング領域制御フラグFT は“0”に維
持されるが、前述のように駆動輪スリップ量Sは前記所
定値S0 より大きくなるので、同ステップS13からス
テップS14に移行して未だ“0”に設定されている駆
動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)が読込まれ、次いで
ステップS16に移行してこの未だ“0”である駆動輪
スリップ量のピーク値SP(n-1)よりも,前記駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) が大きいためにステップS17に
移行し、この駆動輪スリップ量の今回値S(n) を駆動輪
スリップ量のピーク値SP(n-1)として記憶装置84dに
更新記憶する。そして、今回の演算処理のステップS1
5でピーク制御フラグFP は“0”のリセット状態に保
持され、また同ステップS20ではスリップ量収束制御
フラグFS は“0”のリセット状態に保持され、結果的
に同ステップS23又はステップS25を経てステップ
S26に移行してフィードバック制御フラグFC
“0”のリセット状態に保持される。一方、今回の演算
処理で,前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) は前記所
定値S0 よりも大きく、また前記ステップS7で算出さ
れたスリップ量の変化量αが前記負の値の所定値α0
り小さいと想定すれば,即ち十分な増加速度を以て駆動
輪スリップ量の今回値S(n) が増加していると想定すれ
ば、前記ステップS29からステップS30を経てステ
ップS32に移行して,フィードフォワード制御フラグ
Fを“1”のセット状態にし、次いでステップS33
に移行して現在のギヤ比i,前後加速度検出値XG ,横
加速度検出値YG に応じた駆動トルクの今回値Tf(n )
が算出され、次いでステップ34でこの駆動トルクの今
回値Tf(n) が目標駆動トルクの今回値T* (n) に設定
され、次いでステップS35に移行してこの目標駆動ト
ルクの今回値T* (n) 及び現在のエンジン回転速度Ne
(n) に基づいて目標スロットル開度の今回値θ* (n)
算出される。このとき、過大と評価されるエンジンの回
転駆動トルクは低減すべきであるから,この目標スロッ
トル開度の今回値θ* (n) はサブスロットルバルブ44
を閉じ方向に制御するために正の値であるはずであり、
従って、今回の演算処理のステップS47〜S49で
は,サブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロット
ル開度検出値THは正方向に増加し、このサブスロット
ルバルブ44の閉じ方向へのスロットル開度及びアクセ
ルペダル46の踏込み量に応じて(実質的には相応の応
答遅れを伴って)、エンジン20の回転速度Neはその
増加傾きを減少しながら未だ増加し続けようとする。
【0087】一般にこのようにサブスロットルバルブ4
4の閉じ方向へのスロットル開度制御を実行すると、前
述のように実質的には相応の応答遅れはあるから,エン
ジン20の回転駆動力はその増加傾きを減少しながら増
加し続け、これに伴って駆動輪である後輪10RL,1
0RRの車輪速検出値VwRL,VwRRもその増加傾きを
減少しながら増加し続けようとする。従って、前回の図
6の演算処理以後の当該演算処理が実行されるサンプリ
ング時間毎に,前記ステップS5で算出される駆動輪ス
リップ量の今回値S(n) は未だ増加傾向を維持するが、
同ステップS7で算出されるスリップ量の変化量αは次
第に減少し、今,このスリップ量の変化量αが前記所定
値α0 以上になったと想定すると、未だ増加し続けるス
リップ量に対応して減少し続ける前記入出力軸回転速度
比Nは未だ所定値N0 以下であるから同ステップS10
から同ステップS12に移行して,フルードカップリン
グ領域制御フラグFT は“0”に維持されるが、前述の
ように駆動輪スリップ量Sは前記所定値S0 より大きい
ために、同ステップS13からステップS14に移行し
て前回演算処理時に更新記憶されている駆動輪スリップ
量のピーク値SP(n- 1)が読込まれ、次いでステップS1
6に移行してこの駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)
よりも,前記増加し続ける駆動輪スリップ量の今回値S
(n) が大きいためにステップS17に移行し、この駆動
輪スリップ量の今回値S(n) を駆動輪スリップ量のピー
ク値SP(n-1)として記憶装置84dに更新記憶する。そ
して、今回以後の演算処理が実行されるサンプリング時
間毎に,同ステップS15でピーク制御フラグFP
“0”のリセット状態に保持され、また同ステップS2
0ではスリップ量収束制御フラグFS は“0”のリセッ
ト状態に保持され、結果的に同ステップS23又はステ
ップS25を経てステップS26に移行してフィードバ
ック制御フラグFC は“0”のリセット状態に保持され
る。一方、今回以後の演算処理が実行されるサンプリン
グ時間毎に,前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) は前
記所定値S0 よりも大きく、また前記ステップS7で算
出されたスリップ量の変化量αが前記負の所定値α0
上であると想定したから、前記ステップS29からステ
ップS30を経てステップS31に移行して,未だフィ
ードバック制御フラグFC は“0”のリセット状態であ
るからステップS37に移行し、前記時刻t02直後の演
算処理でフィードフォワード制御フラグFF が“1”の
セット状態になっているからステップS44に移行し、
ここで更新記憶されている目標スロットル開度の前回値
θ* (n-1) に目標スロットル開度の今回値θ* (n ) が設
定され、従って前記時刻t02直後と同等の目標スロット
ル開度の今回値θ * (n) はサブスロットルバルブ44を
閉じ方向に制御するために正の値であるはずであるか
ら、今回以後の演算処理が実行されるサンプリング時間
毎に前記ステップS47〜S49では,サブスロットル
バルブ44の閉じ方向へのスロットル開度検出値THは
正方向に増加した状態に維持され、このサブスロットル
バルブ44の閉じ方向へのスロットル開度及びアクセル
ペダル46の踏込み量に応じて(実質的には相応の応答
遅れを伴って)、エンジン20の回転速度Neは少なく
ともその増加傾きが減少するであろう。これにより、前
記5式で算出された車両挙動に応じたフィードフォワー
ド制御を可能とするエンジン駆動トルクTfが達成され
続けることになるから、このエンジン駆動トルクTfが
当該路面μに応じた発進加速性或いは走行安定性を可能
とするものであれば,駆動輪である後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRは次第に減少し、従って図
6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎に,前記
ステップS6で算出される駆動輪スリップ量の今回値S
(n) はその増加傾きをより一層減少しながら増加し続
け,やがてその傾きは減少傾きとなって減少を開始する
ことになろう。また、当然,前記ステップS7で算出さ
れるスリップ量の変化量αは負の領域で次第に絶対値を
小さくしながら,やがて正の領域で次第に絶対値が大き
くなってゆくであろう。従って、前記時刻t02以後,本
実施例の駆動力制御装置では、図7cに示すように前記
フィードフォワード制御によるスロットル開度制御によ
って,そのスロットル開度検出値TH(又は目標スロッ
トル開度θ* )は、路面μに応じたスロットル開度TH
RF(又は路面μに応じた目標スロットル開度θ* RFに維
持されることになる。
【0088】若し、前記時刻t02以後の図6の演算処理
が実行されるサンプリング時間毎に,前記ステップS3
0でスリップ量の変化量αが負の所定値α0 より小さい
と判定された場合には,前述のフィードフォワード制御
によるスロットル開度制御を再び実行することになる
が、これは駆動輪である後輪10RL,10RRのスリ
ップ量の今回値S(n) が前回値S(n-1) に対して十分な
増加速度の減少を達成していないことになるから、車両
にとっては再び車両挙動に応じたサブスロットルバルブ
44の開度制御を実行すべきであることを実施している
ことになり、フィードフォワード制御によるスロットル
開度制御,つまり駆動力制御の本来的な目的を達成して
いると考えられる。
【0089】また、従来の駆動力制御装置によれば、前
記時刻t02の直後にフィードフォワード制御によるスロ
ットル開度制御から,直ぐさまフィードバック制御によ
るスロットル開度制御が開始されることになるが、この
ときフィードバック制御によるスロットル開度制御の制
御因子である駆動輪スリップ量の今回値S(n) のみに着
目すると未だ増加し続けようとしているから、当該フィ
ードバック制御によるスロットル開度制御ではサブスロ
ットルバルブ44のスロットル開度検出値TH P (又は
目標スロットル開度θ* (n) )は更に閉じ方向に増加し
続けるであろう。このサブスロットルバルブ44のスロ
ットル開度検出値THP (又は目標スロットル開度θ*
(n) )の経時的推移及びその影響については後段に説明
する。
【0090】さて、前記時刻t02以後のサンプリング時
間毎に実行される図6の演算処理によって,そのスロッ
トル開度検出値TH(又は目標スロットル開度θ*
は、路面μに応じたスロットル開度THRF(又は路面μ
に応じた目標スロットル開度θ * RFに維持され続けたと
すると、前述のように駆動輪である後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRは次第に減少し、従って図
6の演算処理が実行されるサンプリング時間毎に,前記
ステップS6で算出される駆動輪スリップ量の今回値S
(n) は,やがてその傾きは減少傾きとなって減少を開始
することになり、前記ステップS7で算出されるスリッ
プ量の変化量αは,やがて正の領域で次第に絶対値が大
きくなる。これに伴って前記図6の演算処理のステップ
S9で算出されるトルクコンバータ18の入出力軸回転
速度比Nも、前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) の減
少開始と時刻を前後して,増加し始め、その逆比である
入出力軸トルク比は減少し始めることになる。ここで、
前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) が減少し始め、そ
のピーク値SP(n-1)との偏差が前記α2 よりも小さく安
定し、しかし当該駆動輪スリップ量の今回値S(n) は未
だ前記所定値S2 よりも大きく、また前記入出力軸回転
速度比Nも未だ前記所定値N0 よりも小さい場合を想定
する。ここで、図6の演算処理が実行されると,前記ス
テップS10から同ステップS12に移行して,フルー
ドカップリング領域制御フラグFT は“0”に維持され
るが、前述のように駆動輪スリップ量Sは前記所定値S
0 より大きいために、同ステップS13からステップS
14に移行して前回演算処理時に更新記憶されている駆
動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)が読込まれ、次いで
ステップS16に移行してこの駆動輪スリップ量のピー
ク値SP(n-1)よりも,前記減少し始めた駆動輪スリップ
量の今回値S(n) が小さいためにステップS18に移行
し、この駆動輪スリップ量の今回値S(n) と前記駆動輪
スリップ量のピーク値SP(n-1)との偏差が前記正の所定
値α2 よりも小さいためにステップS19に移行してピ
ーク制御フラグFP は“1”のセット状態に変更される
が、次のステップS21で駆動輪スリップ量の今回値S
(n) は未だ前記所定値S2 よりも大きいために,同ステ
ップS20ではスリップ量収束制御フラグFS は“0”
のリセット状態に保持され、結果的に同ステップS23
又はステップS25を経てステップS26に移行してフ
ィードバック制御フラグFC は“0”のリセット状態に
保持される。一方、今回の演算処理で,前記駆動輪スリ
ップ量の今回値S(n) は前記所定値S0 よりも大きく、
また前記ステップS7で算出されたスリップ量の変化量
αが前記負の所定値α0 以上であるはずであるから、前
記ステップS29からステップS30を経てステップS
31に移行して,未だフィードバック制御フラグFC
“0”のリセット状態であるからステップS37に移行
し、前記フィードフォワード制御フラグFF は未だ
“1”のセット状態になっているからステップS44に
移行し、ここで更新記憶されている目標スロットル開度
の前回値θ* (n-1) に目標スロットル開度の今回値θ*
(n) が設定され続け、従って前記ステップS47〜S4
9では,前記フィードフォワード制御によるスロットル
開度制御と同等のスロットル開度検出値THが維持され
続け、この後も,当該図6の演算処理が実行されるサン
プリング時間毎に、上記と同様のフローが繰り返される
ことになるから,前記駆動輪である後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRの減少に伴って,駆動輪ス
リップ量の今回値S(n) は減少し続け、入出力軸回転速
度比Nは増加し続け、入出力軸トルク比Tは減少し続
け、閉じ方向へのスロットル開度検出値THは前記路面
μに応じたスロットル開度THRFに維持され続ける。
【0091】次いで、減少し続ける後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRに伴って,図7の時刻t03
で前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) が前記所定値S
2 より小さくなり、しかし前記入出力軸回転速度比Nは
未だ前記所定値N0 よりも小さい場合を想定する。ここ
で、図6の演算処理が実行されると,前記ステップS1
0から同ステップS12に移行して,フルードカップリ
ング領域制御フラグF T は“0”に維持されるが、前述
のように駆動輪スリップ量Sは前記所定値S0より大き
いために、同ステップS13からステップS14で読込
まれた駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)よりも減少
を続ける駆動輪スリップ量の今回値S(n ) が小さいから
ステップS16,S18を経てステップS19でピーク
制御フラグFP を“1”のセット状態に維持し続け、次
のステップS21で駆動輪スリップ量の今回値S(n)
前記所定値S2 よりも小さいために,同ステップS22
ではスリップ量収束制御フラグFS が“1”のセット状
態に変更され、更にステップS24で駆動輪スリップ量
のピーク値SP(n-1)を“0”にリセットし、従って前記
ステップS23からステップS25に移行するものの,
フルードカップリング領域制御フラグFT は未だ“0”
のリセット状態であるから、結果的にステップS26に
移行してフィードバック制御フラグFC は“0”のリセ
ット状態に保持される。一方、今回の演算処理で,前記
駆動輪スリップ量の今回値S(n) は未だ前記所定値S0
よりも大きく、また前記ステップS7で算出されたスリ
ップ量の変化量αが前記負の所定値α0 以上であるはず
であるから、前記ステップS29からステップS30を
経てステップS31に移行して,未だフィードバック制
御フラグFC は“0”のリセット状態であるからステッ
プS37に移行し、前記フィードフォワード制御フラグ
F は未だ“1”のセット状態になっているからステッ
プS44に移行し、ここで更新記憶されている目標スロ
ットル開度の前回値θ* (n-1) に目標スロットル開度の
今回値θ* (n) が設定され続け、従って前記ステップS
47〜S49では,前記フィードフォワード制御による
スロットル開度制御と同等のスロットル開度検出値TH
が維持され続け、この後も,当該図6の演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に、上記と同様のフローが繰
り返されることになるから,前記駆動輪である後輪10
RL,10RRの車輪速Vw RL,VwRRの減少に伴っ
て,駆動輪スリップ量の今回値S(n) は減少し続け、入
出力軸回転速度比Nは増加し続け、入出力軸トルク比T
は減少し続け、閉じ方向へのスロットル開度検出値TH
は前記路面μに応じたスロットル開度THRFに維持され
続ける。
【0092】次いで、減少し続ける後輪10RL,10
RRの車輪速VwRL,VwRRに伴って,図7の時刻t04
で前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) が前記所定値S
2 より小さく、しかも前記入出力軸回転速度比Nが前記
所定値N0 よりも大きくなった場合を想定する。ここ
で、図6の演算処理が実行されると,前記ステップS1
0から同ステップS11に移行して,フルードカップリ
ング領域制御フラグFTは“1”のセット状態に変更さ
れるが、前述のように駆動輪スリップ量Sは前記所定値
0 より大きいために、同ステップS13からステップ
S14で読込まれた駆動輪スリップ量のピーク値S
P(n-1)よりも減少を続ける駆動輪スリップ量の今回値S
(n) が小さいからステップS16,S18を経てステッ
プS19でピーク制御フラグFP を“1”のセット状態
に維持し続け、次のステップS21で駆動輪スリップ量
の今回値S(n) は前記所定値S2 よりも小さいために,
同ステップS22ではスリップ量収束制御フラグFS
“1”のセット状態に変更され、更にステップS24で
駆動輪スリップ量のピーク値SP(n-1)を“0”にリセッ
トし、従って前記ステップS23からステップS25に
移行した後,フルードカップリング領域制御フラグFT
が“1”のセット状態であるから、この時点で始めてス
テップS27に移行してフィードバック制御フラグFC
が“1”のセット状態に変更される。そして、今回の演
算処理で,前記駆動輪スリップ量の今回値S (n) は未だ
前記所定値S0 よりも大きく、また前記ステップS7で
算出されたスリップ量の変化量αが前記負の所定値α0
以上であるはずであるから、前記ステップS29からス
テップS30を経てステップS31に移行して,フィー
ドバック制御フラグFC が“1”のセット状態であるか
らステップS36に移行し、前記駆動輪スリップ量の今
回値S(n) は未だ極めて小さい正の値の所定値S1 より
も大きいからステップS38,S41,S42と移行
し、目標スリップ量S* ,駆動トルク増減量の今回値Δ
(n) ,目標駆動トルクの今回値T* (n) を夫々算出し
てからステップS35に移行し、この目標駆動トルクの
今回値T* (n) 及び現在のエンジン回転速度Ne(n)
基づいて目標スロットル開度の今回値θ* (n ) が算出さ
れ、従って前記ステップS47〜S49では,前記フィ
ードバック制御によるスロットル開度制御が実行され、
この後も,当該図6の演算処理が実行されるサンプリン
グ時間毎に、上記と同様のフローが繰り返されることに
なるから,前記駆動輪である後輪10RL,10RRの
車輪速VwRL,VwRRの変化,即ち駆動輪スリップ量の
今回値S(n) の変化に応じたフィードバック制御による
スロットル開度制御が開始されることになり、路面μが
変化しない限り,閉じ方向へのスロットル開度検出値T
Hは前記路面μに応じたスロットル開度THRF近傍で推
移されるであろう。実際には,駆動輪スリップ量の今回
値S(n) が当該路面で安定すると考えられる駆動輪スリ
ップ量を下回るようにオーバシュートが発生したため、
このオーバシュートに対して,スロットル開度検出値T
Hは、前記路面μに応じたスロットル開度THRFよりや
や減少方向に変化したが、然る後,再び増加されて前記
路面μに応じたスロットル開度THRFに漸近した。
【0093】この間、トルクコンバータ18の入出力軸
回転速度比Nは滑らかに増加し続け,これによりその入
出力軸トルク比Tも滑らかに減少し続けるから、実質的
に車両が発進加速する際に運転者が感じる加速感は安定
したものとなり、また同時に車両は安定した発進加速を
実現することができよう。勿論、駆動輪である後輪10
RL,10RRのスリップは、前記フィードフォワード
制御によるスロットル開度制御によって比較的短時間に
収束されるから、当該車両の発進加速時に走行安定性が
損なわれることもない。
【0094】一方、前述のようにフィードフォワード制
御によるスロットル開度制御の直後からフィードバック
制御によるスロットル開度制御に移行した従来のスロッ
トル開度検出値THP は、前述のように更に駆動輪のス
リップ量Sに応じて,閉じ方向に増加制御される。その
結果,エンジンの回転駆動力は大幅に減少される(同時
に回転速度Neも減少すると考えられる)から、図7a
に示すように駆動輪スリップ量SP の減少は早まる。し
かしながら、これらに伴ってトルクコンバータの入出力
軸回転速度比NP も急激に増加することになり、同時に
入出力軸トルク比TP は急激に減少されることになるか
ら、前述のように未だコンバータ領域にあるトルクコン
バータの作動領域は強制的にフルードカップリング領域
に移行又はその方向に移行されることになる。ところ
が、その一方でエンジンの回転駆動力も大幅に減少され
ているから、このフルードカップリング領域,つまり直
結状態又はほぼ直結状態で駆動輪を十分に回転駆動する
ことができず、例えば図7aに示すように駆動輪スリッ
プ量SP は略零まで落ち込む,つまり単に惰性走行或い
は慣性走行しているに過ぎない状態となるから、運転者
には加速感の乏しさが逆に減速感として感じられる。
【0095】なお、本実施例の駆動力制御の演算処理
で,例えば高μ路面等で安定した定常走行状態に移行
し、その結果,前記駆動輪スリップ量の今回値S(n)
前記極めて小さい正の値の所定値S1 よりも小さくな
り、同時にその変化量αが前記極めて小さい正の値の所
定値α1 よりも小さくなると、前記図6の演算処理のス
テップS36,S39を経てステップS40,S45で
各制御フラグFC ,FF を“0”にリセットし、然る
後,前記ステップS46で目標スロットル開度の今回値
θ* (n) を“0”にセットして、サブスロットルバルブ
44を全開状態に復帰させ、エンジン20の回転駆動力
をアクセルペダル46の踏込み量に応じて最大限に引き
出す制御に移行する。
【0096】以上より本実施例は本発明のうち請求項1
及び2に係る駆動力制御装置を実施化したものであると
考えられるから、前記図6の演算処理のステップS2〜
S7が本発明のうち請求項1及び2に係る駆動力制御装
置の駆動輪スリップ状態検出手段に相当し、以下同様
に,図6の演算処理のステップS8〜S12が作動領域
検出手段に相当し、図6の演算処理のステップS33,
S34が第1出力低減量演算手段に相当し、図6の演算
処理のステップS38,S41,S42が第2出力低減
量演算手段に相当し、図6の演算処理のステップS13
〜SS31,S36,S37,S39が選択手段に相当
し、図6の演算処理のその他の演算処理ステップが機関
出力調整手段に相当する。
【0097】なお、前記実施例において、トルクコンバ
ータの作動領域を,その速度比から判断しているが、こ
れに限定されるものではなく、トルク比伝達効率或いは
ステータの回転の有無から判断してもよい。次に本発明
の駆動力制御装置の第2実施例について説明する。図8
は本発明の第2実施例を示す概略構成図であって、基本
的な車両の構成については前記第1実施例を示す図2の
ものと同様又はほぼ同様であるから,その詳細な説明を
割愛する。また、エンジン20及びメインスロットルバ
ルブ48,サブスロットルバルブ44の基本的な構成や
各センサ42,47の構成・作用についても第1実施例
を示す図2のものと同様又はほぼ同様であるから,その
詳細な説明を割愛する。
【0098】また、トルクコンバータ18や自動変速機
14の基本的な構成や自動変速機制御装置34,アクチ
ュエータユニット32の構成・作用についても前記第1
実施例を示す図2のものと同様又はほぼ同様であるか
ら,その詳細な説明を割愛する。但し、本実施例ではト
ルクコンバータ18の入力軸18iには前記入力軸回転
速度センサ39aの代わりに入力軸トルクセンサ38a
が,出力軸18oには前記出力軸回転速度センサ39b
の代わりに出力軸トルクセンサ38bが設けられてお
り、これらの各トルクセンサ39a,39bで検出され
た軸トルクの大きさに応じた電圧信号は,夫々入力軸ト
ルク検出値Tin及び出力軸トルク検出値Tou t として後
述するコントローラ30に向けて出力される。
【0099】また、各車輪10FL〜10RRに設けら
れたホイールシリンダ52FL〜52RRや、駆動輪で
ある後輪10RL,10RRのブレーキ液圧系に設けら
れたトラクションコントロール用の液圧制御弁54L,
54R等の構成・作用は、前記第1実施例を示す図2の
ものと同様又はほぼ同様であるから,その詳細な説明を
割愛する。
【0100】また、図8,図9に示すように前記各車輪
10FL〜10RRに設けられた車輪速センサ28FL
〜28RR,車両に設けられた前後加速度センサ40及
び横加速度センサ26の構成・作用についても、前記第
1実施例を示す図2,図3のものと同様又はほぼ同様で
あるから,その詳細な説明を割愛する。また、図8,図
9に示すようにコントローラ30の基本的な構成につい
ては前記第1実施例を示す図2,図3のものと同様又は
ほぼ同様であるから,その詳細な説明を割愛する。但
し、前記入力軸トルクセンサ38a,出力軸トルクセン
サ38bからの検出電圧信号は,周波数−電圧変換する
必要がないから、前記図3における周波数−電圧変換器
81a,81bはなく、各センサ38a,38bからの
検出信号はA/D変換器83E,83Fによって直接的
にディジタル信号に変換されて,マイクロコンピュータ
84の入力インターフェース84aを介して入力され
る。
【0101】ここで、図9に示すようにマイクロコンピ
ュータ84の基本的な構成や,当該マイクロコンピュー
タ84で実行される駆動輪である後輪10RL,10R
R側のホイールシリンダ52RL,52RRの作動液圧
(ブレーキ液圧)制御の構成・作用は、前記第1実施例
を示す図3〜図5のものと同様又はほぼ同様であるか
ら,その詳細な説明を割愛する。但し、本実施例におい
てこのマイクロコンピュータ84で実行されるエンジン
の出力低減制御,つまり駆動力制御は、第1実施例のそ
れと異なり、駆動輪である後輪10RL,10RRの現
在のスリップ量S (n) を算出又は検出し、この現在のス
リップ量S(n) が所定値S0 を越えたときに,前記前後
加速度センサ40からの前後加速度検出値XG 及び横加
速度センサ26からの横加速度検出値YG 及び現在の自
動変速機14のギヤ比iに基づいて必要なエンジン20
の目標出力(目標駆動トルク)T* (n) を算出し、この
目標駆動トルクT* (n) 及びエンジン回転速度Neに基
づいてサブスロットルバルブ44の目標スロットル開度
θ* を算出し、この目標スロットル開度θ* を達成する
回転駆動信号を前記ステップモータ45に向けて出力す
る,所謂駆動輪のスリップ状態だけには応答しないフィ
ードフォワード制御によるスロットル開度制御を開始
し、然る後,前記前後加速度検出値XG 及び横加速度検
出値YG 及び車体速と等価な平均前輪速VF に基づいて
駆動輪である後輪10RL,10RRの目標スリップ量
* を算出し、前記入力軸トルクセンサ38aからのト
ルクコンバータ入力軸トルク検出値Tin及び出力軸トル
クセンサ38bからのトルクコンバータ出力軸トルク検
出値Tout に基づいてトルクコンバータ18の作動領域
を検出すると共にそのトルク増幅比を入出力軸トルク比
Tとして算出し、この入出力軸トルク比Tの減少と共に
比例制御ゲインKP 及び積分制御ゲインKI を大きく設
定し、前記目標スリップ量S* 及び現在のスリップ量S
(n) 及び前回のスリップ量S(n-1) を用いこの比例制御
ゲインKP 及び積分制御ゲインKI を用いて現在のエン
ジン駆動トルク増減量ΔT(n) を算出し、この現在のエ
ンジン駆動トルク増減量ΔT(n) 及び前回の目標駆動ト
ルクT* (n-1) を用いて目標駆動トルクT* (n) を算出
し、この目標駆動トルクT* (n) 及びエンジン回転速度
Neに基づいてサブスロットルバルブの目標スロットル
開度θ* を算出し、この目標スロットル開度θ* を達成
する回転駆動信号を前記ステップモータ45に向けて出
力する,所謂駆動輪のスリップ状態に応じたフィードバ
ック制御によるスロットル開度制御を開始する。
【0102】次に本実施例で実行される前記サブスロッ
トルバルブ44のスロットル開度制御による駆動力制御
の基本原理について説明する。前述のように,フィード
フォワード制御によるスロットル開度制御とフィードバ
ック制御によるスロットル開度制御とを実行する際に、
特に問題となるのはフィードフォワード制御によってエ
ンジンの回転駆動力を低減制御した直後にフィードバッ
ク制御のよるスロットル開度制御が,未だ十分に低減さ
れていないエンジンの回転駆動力を更に低減してしま
い、これによりトルクコンバータのコンバータ領域にお
けるトルク増幅作用が補償されてしまうことである。そ
うであれば、このトルクコンバータによるトルク増幅作
用を検出し、このトルク増幅作用を補償しないようにフ
ィードバック制御によるスロットル開度の制御量を変更
すればよいことになる。具体的には、前記入出力軸トル
ク比Tに応じて,当該フィードバック制御系の制御ゲイ
ンを変更して対応する。つまり、この入出力軸トルク比
Tが大きいときには前記比例制御ゲインKP や積分制御
ゲインKI を小さく設定して,前記トルクコンバータに
よるトルク増幅作用を補償しない或いはその補償代を小
さくし、入出力軸トルク比Tが小さいときには前記比例
制御ゲインKPや積分制御ゲインKI を大きく設定し
て,駆動力低減制御の応答性を向上すればよい。
【0103】ここで、前記入出力軸トルク比Tを,前記
入力軸トルクセンサ38aからのトルクコンバータ入力
軸トルク検出値Tin及び出力軸トルクセンサ38bから
のトルクコンバータ出力軸トルク検出値Tout を用い
て、下記15式に従って算出するものとする。 T=Tout /Tin ………(15) そして、これをマップ化したものが図11である。この
うち、図11aは前記比例制御ゲインKP の制御マップ
であり、入出力軸トルク比Tが或る程度大きい所定値T
1 以上であるときには,比例制御ゲインKP は比較的小
さい所定値KP1に維持され、入出力軸トルク比Tが
“1”以下であるときには,比例制御ゲインKP は比較
的大きい所定値KP0に維持され、入出力軸トルク比Tが
“1”から前記所定値T1 までの間であるときには,当
該入出力軸トルク比Tの増加に応じて前記所定値KP0
ら所定値KP1までリニアに減少する値に設定される。ま
た、図11bは前記積分制御ゲインKI の制御マップで
あり、入出力軸トルク比Tが或る程度大きい所定値T1
以上であるときには,積分制御ゲインKI は比較的小さ
い所定値KI1に維持され、入出力軸トルク比Tが“1”
以下であるときには,積分制御ゲインKI は比較的大き
い所定値KI0に維持され、入出力軸トルク比Tが“1”
から前記所定値T1 までの間であるときには,当該入出
力軸トルク比Tの増加に応じて前記所定値KI0から所定
値KI1までリニアに減少する値に設定される。
【0104】そして、前述と同様に前記10式〜12式
で算出される駆動輪スリップ量の今回値S(n) が所定値
0 よりも大きく且つ前記13式で算出されるスリップ
量の変化量αが或る負の値である所定値α0 よりも小さ
い場合に、フィードフォワード制御によるスロットル開
度制御を開始し、その直後からフィードバック制御によ
るスロットル開度制御に移行する。
【0105】それでは次に、前記発明原理に基づいて前
記サブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロットル
開度制御を実行するための演算処理を図10に基づいて
説明する。なお、図中の各制御フラグFC は,フィード
バック制御によるスロットル開度制御を許可するフィー
ドバック制御フラグである。この演算処理は、例えば前
記マイクロコンピュータ84の演算処理装置84cにお
いて、例えば10msec. 程度の所定時間ΔT毎にタイマ
割込み処理によって実行され、まずステップS51で前
記前後加速度センサ40からの前後加速度検出値XG
び横加速度センサ26からの横加速度検出値YG を読込
む。
【0106】次にステップS52に移行して、各車輪速
センサ28FL〜28RRからの車輪速検出値Vw
j (j=FL〜RR)を読込む。次にステップS53に
移行して、前記ステップS52で読込まれた後輪10R
L,10RRの車輪速VwRL,VwRRを用いて,前記1
0式に従って平均後輪速VR を算出する。
【0107】次にステップS54に移行して、前記ステ
ップS52で読込まれた前輪10FL,10FRの車輪
速VwFL,VwFRを用いて,前記11式に従って車体速
と等価な平均前輪速VF を算出する。次にステップS5
5に移行して、前記ステップS53で算出された平均後
輪速VR 及びステップS54で算出された平均前輪速V
F を用いて,前記12式に従って駆動輪スリップ量の今
回値S(n) を算出する。
【0108】次にステップS56に移行して、前回の演
算処理で前記記憶装置84dに更新記憶されている駆動
輪スリップ量の前回値S(n-1) を読込む。次にステップ
S57に移行して、前記ステップS55で算出された駆
動輪スリップ量の今回値S(n) 及びステップS56で読
込まれた駆動輪スリップ量の前回値S(n-1) を用いて,
前記13式に従ってスリップ量の変化量αを算出する。
【0109】次にステップS58に移行して、前記自動
変速機制御装置34からのエンジン回転速度Ne及び自
動変速機ギヤ比iを読込む。次にステップS59に移行
して、前記駆動輪スリップ量の今回値S(n) が前記所定
値S0 よりも大きいか否かを判定し、当該駆動輪スリッ
プ量の今回値S(n)が所定値S0 よりも大きい場合には
ステップS60に移行し、そうでない場合にはステップ
S61に移行する。
【0110】前記ステップS60では、前記スリップ量
の変化量αが前記所定値α0 よりも小さいか否かを判定
し、当該スリップ量の変化量αが所定値α0 よりも小さ
い場合にはステップS62に移行し、そうでない場合に
は前記ステップS61に移行する。前記ステップS62
では、前記ステップS59及びS60の各演算処理ステ
ップを満足して,前記フィードフォワード制御によるス
ロットル開度制御を実行した後は、前記フィードバック
制御によるスロットル開度制御に移行すべきであると判
断し、前記フィードバック制御フラグFC を“1”のセ
ット状態にしてからステップS63に移行する。
【0111】前記ステップS63では、前記ステップS
51で読込まれた前後加速度検出値XG ,横加速度検出
値YG 及び前記ステップS58で読込まれたギヤ比iを
用いて,前記5式に従って駆動トルクの今回値Tf(n)
を算出してからステップS64に移行する。前記ステッ
プS64では、前記ステップS63で算出された駆動ト
ルクの今回値Tf(n) を目標駆動トルクの今回値T*
(n) に設定してからステップS65に移行する。
【0112】一方、前記ステップS61では、フィード
バック制御フラグFC が“1”のセット状態であるか否
かを判定し、当該フィードバック制御フラグFC
“1”のセット状態である場合にはステップS66に移
行し、そうでない場合にはステップS67に移行する。
前記ステップS66では、前記駆動輪スリップ量の今回
値S(n) が予め設定されたほぼ零に近い小さな正の値で
ある所定値S1 より大きいか否かを判定し、当該駆動輪
スリップ量の今回値S(n) が所定値S1 より大きい場合
にはステップS68に移行し、そうでない場合にはステ
ップS69に移行する。
【0113】前記ステップS69では、前記スリップ量
の変化量αが予め設定されたほぼ零に近い小さな正の値
である所定値α1 より大きいか否かを判定し、当該駆動
輪スリップ量の今回値S(n) が所定値α1 より大きい場
合には前記ステップS38に移行し、そうでない場合に
は前記ステップS67に移行する。前記ステップS68
では、前記ステップS4で算出された平均前輪速VF
び前記ステップS51で読込まれた前後加速度検出値X
G ,横加速度検出値YG を用いて,前記6式に従って目
標スリップ量S* を算出してからステップS70に移行
する。
【0114】前記ステップS70では、前記入力軸トル
クセンサ38aからのトルクコンバータ入力軸トルク検
出値Tin及び出力軸トルクセンサ38bからのトルクコ
ンバータ出力軸トルク検出値Tout を読込んでから,ス
テップS71に移行する。前記ステップS71では、前
記ステップS70で読込まれたトルクコンバータ入力軸
トルク検出値Tin及びトルクコンバータ出力軸トルク検
出値Tout を用いて,前記15式に従って入出力軸トル
ク比Tを算出してから,ステップS72に移行する。
【0115】前記ステップS72では、前記ステップS
71で算出された入出力軸トルク比Tに従って,前記図
11の各制御マップから比例制御ゲインKP 及び積分制
御ゲインKI を検索設定してから,ステップS73に移
行する。前記ステップS73では、前記ステップS72
で設定された比例制御ゲインK P 及び積分制御ゲインK
I ,前記ステップS68で算出された目標スリップ量S
* ,及び駆動輪スリップ量の今回値S(n) ,及び前記ス
テップS56で読込まれた駆動輪スリップ量の前回値S
(n-1) を用いて,前記7式に従ってエンジンの駆動トル
ク増減量の今回値ΔT(n) を算出してからステップS7
4に移行する。
【0116】前記ステップS74では、前記ステップS
71で算出された駆動トルク増減量の今回値ΔT(n)
び更新記憶されているエンジンの目標駆動トルクの前回
値T * (n-1) を用いて,前記8式に従って目標駆動トル
クの今回値T* (n) を算出してから前記ステップS65
に移行する。前記ステップS65では、前記ステップS
64又はステップS74で算出設定された目標駆動トル
クの今回値T* (n) 及び前記ステップS58で読込まれ
た現在のエンジン回転速度Ne(n) を用いて,前記9式
に従って目標スロットル開度の今回値θ* (n) を算出し
てからステップS75に移行する。
【0117】一方、前記ステップS67では,例えば前
記ステップS66,S69で駆動輪スリップ量Sが或る
程度収束し且つその変化量αも収束して駆動輪である後
輪10RL,10RRの車輪速VwRL,VwRRが安定し
ている場合等のように,如何なるスロットル開度制御も
実行すべきではないと判断し、前記フィードバック制御
フラグFC を“0”のリセット状態にし、次いでステッ
プS76に移行して、目標スロットル開度の今回値θ*
(n) を“0”に設定してから、前記ステップS75に移
行する。
【0118】前記ステップS75では、前記各演算処理
ステップで算出又は設定された目標駆動トルクの今回値
* (n) ,目標スロットル開度の今回値θ* (n) ,駆動
輪スリップ量の今回値S(n) を、夫々,前回値として添
字を(n−1)に置換した形式で,前記記憶装置84d
に更新記憶する。次にステップS77に移行して、目標
スロットル開度の今回値θ* (n) とスロットル開度検出
値とを比較して、両者が等しい場合にはメインプログラ
ムに復帰し、前者が大きい場合にはステップS78に移
行し、後者が大きい場合にはステップS79に移行す
る。
【0119】前記ステップS78では、サブスロットル
バルブ44の閉じ方向へのスロットル開度を増加すべ
く,前記ステップモータ45に向けて正転信号を出力し
てからメインプログラムに復帰する。一方、前記ステッ
プS79では、サブスロットルバルブ44の閉じ方向へ
のスロットル開度を減少すべく,前記ステップモータ4
5に向けて逆転信号を出力してからメインプログラムに
復帰する。
【0120】それでは、この演算処理によるスロットル
開度制御の作用について図12のタイムチャートを用い
て説明する。このタイムチャートは、停車していた車両
が,所謂低μ路面で急発進した状態を想定している。そ
して、図12aに駆動輪である後輪10RL,10RR
の駆動輪スリップ量Sの経時変化を,同図bにトルクコ
ンバータ18の入出力軸回転速度比N及び入出力軸トル
ク比Tの経時変化を,同図cにサブスロットルバルブ4
4の閉じ方向へのスロットル開度TH(ここでは前記目
標スロットル開度θ*に対して遅れがなく,両者は等価
であると想定する)の経時変化を示す。なお、前記トル
クコンバータ18の入出力軸回転速度比Nと入出力軸ト
ルク比Tとは互いに逆比をスカラー倍した関係にあると
捉え(実質的には効率ηの関係から必ずしもリニアの関
係ではなく,所謂ヒステリシスが存在する)、入出力軸
回転速度比Nが“0”から“1”までの間で増減可能で
あるのに対して,入出力軸トルク比Tは“1”からT
MAX までの間で増減可能である。また、本実施例の演算
処理によるスロットル開度制御の制御曲線を夫々実線
で,フィードフォワード制御によるスロットル開度制御
を実行した直後に通常のフィードバック制御によるスロ
ットル開度制御を実行した従来の制御曲線を夫々仮想線
で且つ添字Pを添えて示す。また、フィードフォワード
制御によるスロットル開度制御に対するエンジン出力の
制御応答時間や,フィードバック制御によるスロットル
開度制御に対するエンジン出力の制御応答時間は、夫々
の制御で同等かほぼ同等であるとする。また、前記所定
値S2 は前記所定値S0 よりも大きい正の値であるとす
る。
【0121】まず、車両停車中である時刻t21以前で
は、シフトポジションが所謂Nレンジであるとして,前
記図10の演算処理が実行されるサンプリング時間毎
に、そのステップS52で読込まれる各車輪速検出値V
j は零又は略零であるから、ステップS53で算出さ
れる平均後輪速VR も,ステップS54で算出される平
均前輪速VF も零又は略零であり、ステップS55で算
出される駆動輪スリップ量の今回値S(n) も,ステップ
S56で読込まれる駆動輪スリップ量の前回値S(n -1)
も零又は略零となり、ステップS57で算出されるスリ
ップ量の変化量αも零又は略零となる。従って、この演
算処理が実行されるサンプリング時間毎に,前記ステッ
プS59又はステップS60を経てステップS61に移
行するが、フィードバック制御フラグFC が未だ“0”
のリセット状態であるためにステップS67に移行し、
当該フィードバック制御フラグFC を“0”のリセット
状態に維持して、次いでステップS76で目標スロット
ル開度の今回値θ* (n) は“0”に設定される。従っ
て、ステップS75を経てステップS77〜S79で達
成されるサブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロ
ットル開度検出値THは零に保持され、所謂全開状態が
維持される。ここで、アクセルペダル46の踏込みがな
ければ、エンジン20の回転速度Neは,所謂アイドル
回転状態のそれに維持されることになる。
【0122】次に、停車中であった車両では,時刻t21
でシフトポジションを通常走行に有効なDレンジに移行
すると共に急激なアクセルペダル46の踏込みが入力と
して与えられ、その後,その踏込み量が一定に保持され
た。この時刻t21から駆動輪である後輪10RL,10
RRは急激にその車輪速VwRL,VwRRが増大し、一
方,車体速と等価である従動輪の前輪10FL,10F
Rの車輪速VwFL,Vw FRは増大せず又はさほど増大せ
ず、その結果,前記図10の演算処理が実行されるサン
プリング時間毎に,前記ステップS55で算出される駆
動輪スリップ量Sは急激に増加した。また、このとき駆
動輪である後輪10RL,10RRの車輪速VwRL,V
RRのみの急激な増大に伴って,トルクコンバータ18
の入力軸18iの回転速度Ninのみが急激に増大するこ
とになるから、前記入出力軸回転速度比Nは急激に減少
し、これに対して前記入出力軸トルク比Tは急激に増加
することになる。
【0123】やがて、前記図10の演算処理のサンプリ
ング時間毎にそのステップS55で算出される駆動輪ス
リップ量Sは,時刻t22で前記所定値S0 を越える。こ
の時刻t21から時刻t22までの時間,前記駆動輪スリッ
プ量の今回値S(n) は未だ前記所定値S0 より小さいた
めに、同演算処理が実行されるサンプリング時間毎に,
前記ステップS59からステップ61に移行して,フィ
ードバック制御フラグFC が未だ“0”のリセット状態
であるためにステップS67に移行し、フィードバック
制御フラグFC を“0”のリセット状態に維持しなが
ら,ステップS76で目標スロットル開度の今回値θ*
(n) は“0”に設定される。従って、ステップS75を
経てステップS77〜S79で達成されるサブスロット
ルバルブ44の閉じ方向へのスロットル開度検出値TH
は零に保持され、所謂全開状態が維持される。ここで、
アクセルペダル46の踏込み量に応じて(実質的には相
応の応答遅れを伴って)、エンジン20の回転速度Ne
は増加する。
【0124】ところが、前記図10の演算処理のステッ
プS55で算出される駆動輪スリップ量Sが前記所定値
0 を越える時刻t22以後の最初の当該演算処理で、前
記ステップS57で算出されたスリップ量の変化量αが
前記負の値の所定値α0 より小さいと想定すれば,即ち
十分な増加速度を以て駆動輪スリップ量の今回値S(n )
が増加していると想定すれば、前記ステップS59から
ステップS60を経てステップS62に移行して,フィ
ードバック制御フラグFC を“1”のセット状態にし、
次いでステップS63に移行して現在のギヤ比i,前後
加速度検出値X G ,横加速度検出値YG に応じた駆動ト
ルクの今回値Tf(n) が算出され、次いでステップ64
でこの駆動トルクの今回値Tf(n) が目標駆動トルクの
今回値T * (n) に設定され、次いでステップS65に移
行してこの目標駆動トルクの今回値T* (n) 及び現在の
エンジン回転速度Ne(n) に基づいて目標スロットル開
度の今回値θ* (n) が算出される。このとき、過大と評
価されるエンジンの回転駆動トルクは低減すべきである
から,この目標スロットル開度の今回値θ* (n) はサブ
スロットルバルブ44を閉じ方向に制御するために正の
値であるはずであり、従って、今回の演算処理のステッ
プS77〜S79では,サブスロットルバルブ44の閉
じ方向へのスロットル開度検出値THは正方向に増加
し、このサブスロットルバルブ44の閉じ方向へのスロ
ットル開度及びアクセルペダル46の踏込み量に応じて
(実質的には相応の応答遅れを伴って)、エンジン20
の回転速度Neはその増加傾きを減少しながら未だ増加
し続けようとする。
【0125】一般にこのようにサブスロットルバルブ4
4の閉じ方向へのスロットル開度制御を実行すると、前
述のように実質的には相応の応答遅れはあるから,エン
ジン20の回転駆動力はその増加傾きを減少しながら増
加し続け、これに伴って駆動輪である後輪10RL,1
0RRの車輪速検出値VwRL,VwRRもその増加傾きを
減少しながら増加し続けようとする。従って図10の演
算処理が実行されるサンプリング時間毎に,前記ステッ
プS56で算出される駆動輪スリップ量の今回値S(n)
はその増加傾きをより一層減少しながら増加し続け,や
がてその傾きは減少傾きとなって減少を開始することに
なろう。また、当然,前記ステップS57で算出される
スリップ量の変化量αは負の領域で次第に絶対値を小さ
くしながら,やがて正の領域で次第に絶対値が大きくな
ってゆくであろう。従って、前記時刻t22直後の図10
の演算処理によって本実施例の駆動力制御装置では、図
12cに示すように前記フィードフォワード制御による
スロットル開度制御によって,そのスロットル開度検出
値TH(又は目標スロットル開度θ* )は、路面μに応
じたスロットル開度THRF(又は路面μに応じた目標ス
ロットル開度θ* RFに変更されることになる。
【0126】若し、前記時刻t22以後の図10の演算処
理が実行されるサンプリング時間毎に,前記ステップS
60でスリップ量の変化量αが負の所定値α0 より小さ
いと判定された場合には,前述のフィードフォワード制
御によるスロットル開度制御を再び実行することになる
が、これは駆動輪である後輪10RL,10RRのスリ
ップ量の今回値S(n) が前回値S(n-1) に対して十分な
増加速度の減少を達成していないことになるから、車両
にとっては再び車両挙動に応じたサブスロットルバルブ
44の開度制御を実行すべきであることを実施している
ことになり、フィードフォワード制御によるスロットル
開度制御,つまり駆動力制御の本来的な目的を達成して
いると考えられる。
【0127】さて、前記時刻t22直後の図10の演算処
理によって,そのスロットル開度検出値TH(又は目標
スロットル開度θ* )は、路面μに応じたスロットル開
度THRF(又は路面μに応じた目標スロットル開度θ*
RFに変更制御され続けたとすると、前述のように駆動輪
である後輪10RL,10RRの車輪速VwRL,Vw RR
は次第に減少し、従って図10の演算処理が実行される
サンプリング時間毎に,前記ステップS56で算出され
る駆動輪スリップ量の今回値S(n) は,やがてその傾き
は減少傾きとなって減少を開始することになり、前記ス
テップS57で算出されるスリップ量の変化量αは,や
がて正の領域で次第に絶対値が大きくなる。これに伴っ
てトルクコンバータ18の入出力軸回転速度比Nも、前
記駆動輪スリップ量の今回値S(n) の減少開始と時刻を
前後して,増加し始め、その逆比である入出力軸トルク
比Tは減少し始めることになる。ここで、前記時刻t22
以後の図10の演算処理が実行されるサンプリング時間
毎に,前記ステップS55で算出された駆動輪スリップ
量の今回値S(n) は前記所定値S0 よりも大きく、また
前記ステップS57で算出されたスリップ量の変化量α
が前記負の所定値α 0 以上であるはずであるから、前記
ステップS59又はステップS60を経てステップS6
1に移行して,フィードバック制御フラグFC は“1”
のセット状態であるからステップS66に移行し、前記
駆動輪スリップ量の今回値S(n) は未だ極めて小さい正
の値の所定値S1 よりも大きいからステップS68に移
行して目標スリップ量S* を算出してからステップS7
0に移行し、前記入力軸トルク検出値Tin及び出力軸ト
ルク検出値Tout を読み込んでステップS72で入出力
軸トルク比Tを算出し、ステップS73で比例制御ゲイ
ンKP 及び積分制御ゲインKI をマップ検索する。しか
しながら、このときの各サンプリング時間では,前記ス
テップS72で算出される入出力軸トルク比Tは増加中
で,しかも比較的大きな値であると考えられるから、前
記ステップS73で検索設定される各制御ゲインKP
I は,図11に従って比較的小さな値に設定される。
従って、次のステップS73で算出される駆動トルク増
減量の今回値ΔT(n) は、この小さな値の各制御ゲイン
P ,KI によって小さな値に設定され、この小さな値
のトルク増減量の今回値ΔT(n) を用いて,ステップS
74では目標駆動トルクの今回値T* (n) が算出され、
従って比較的増減代の小さいこの目標駆動トルクの今回
値T* (n) 及び現在のエンジン回転速度Ne(n) に基づ
いて前記ステップS65では目標スロットル開度の今回
値θ* (n) が算出され、従って前記ステップS77〜S
79では,前記フィードバック制御によるスロットル開
度制御が実行され、この後も,当該図10の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に、上記と同様のフロー
が繰り返されることになるから,前記駆動輪である後輪
10RL,10RRの車輪速VwRL,VwRRの変化,即
ち駆動輪スリップ量の今回値S(n ) の変化に応じたフィ
ードバック制御によるスロットル開度制御が開始される
ことになる。しかし、前述のように達成されるスロット
ル開度検出値THは、常に増減代の小さなものとなるか
ら、路面μが大幅に変化しない限り,閉じ方向へのスロ
ットル開度検出値THは、前記フィードフォワード制御
によるスロットル開度制御で達成された路面μに応じた
スロットル開度THRF近傍で推移されるであろう。
【0128】やがて、前記駆動輪である後輪10RL,
10RRの車輪速VwRL,VwRRの減少に伴って,駆動
輪スリップ量の今回値S(n) は減少し続け,つまり当該
路面μに応じて車両を発進加速できる状態に収束し続
け、入出力軸回転速度比Nは増加し続け、入出力軸トル
ク比Tは減少し続け、この間,前記各制御ゲインKP
I を変更しながらフィードバック制御によるスロット
ル開度制御が継続されて行われるから、閉じ方向へのス
ロットル開度検出値THは前記路面μに応じたスロット
ル開度THRFの近傍で推移し続ける。やがて、前記減少
を続ける入出力軸トルク比Tが,“1”になる時刻t23
を考える。この時刻t23以後,図10の演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に,前記ステップS55で算
出された駆動輪スリップ量の今回値S(n) が前記所定値
0 よりも大きいか否かに関わらず、前記ステップS5
7で算出されたスリップ量の変化量αが前記負の所定値
α0以上であるはずであるから、前記ステップS59又
はステップS60を経てステップS61に移行して,フ
ィードバック制御フラグFC は“1”のセット状態であ
るからステップS66に移行し、前記駆動輪スリップ量
の今回値S(n) は未だ極めて小さい正の値の所定値S1
よりも大きいからステップS68に移行して目標スリッ
プ量S* を算出してからステップS70に移行し、前記
入力軸トルク検出値Tin及び出力軸トルク検出値Tout
を読み込んでステップS72で入出力軸トルク比Tを算
出し、ステップS73で比例制御ゲインKP 及び積分制
御ゲインKI をマップ検索する。しかしながら、このと
きの各サンプリング時間では,前記ステップS72で算
出される入出力軸トルク比Tは“1”であり,即ち前記
トルクコンバータ18のトルク増幅作用はなくなったと
考えられるから、前記ステップS73で検索設定される
各制御ゲインKP ,KI は,図11に従って夫々比較的
大きな値の前記各所定値KP0,KI0に設定される。従っ
て、次のステップS73で算出される駆動トルク増減量
の今回値ΔT(n) は、この大きな値の各制御ゲイン
P ,KI によって大きな値に設定され、この大きな値
のトルク増減量の今回値ΔT(n) を用いて,ステップS
74では目標駆動トルクの今回値T* (n)が算出され、
従って比較的増減代の小さいこの目標駆動トルクの今回
値T* (n)及び現在のエンジン回転速度Ne(n) に基づ
いて前記ステップS65では目標スロットル開度の今回
値θ* (n) が算出され、従って前記ステップS77〜S
79では,前記フィードバック制御によるスロットル開
度制御が実行され、この後も,当該図10の演算処理が
実行されるサンプリング時間毎に、上記と同様のフロー
が繰り返されることになるから,前記駆動輪である後輪
10RL,10RRの車輪速VwRL,VwRRの変化,即
ち駆動輪スリップ量の今回値S(n) の変化に応じたフィ
ードバック制御によるスロットル開度制御が開始される
ことになる。このとき、前述のように達成されるスロッ
トル開度検出値THは、増減代の大きなものとなるか
ら、制御の応答性が向上すると共に、前記駆動輪スリッ
プ量の今回値S(n) は当該路面μで車両を発進加速する
に十分な状態に収束していると考えられるから、前記閉
じ方向へのスロットル開度検出値THは、前記フィード
フォワード制御によるスロットル開度制御で達成された
路面μに応じたスロットル開度THRF近傍で推移される
であろう。
【0129】この間、トルクコンバータ18の入出力軸
回転速度比Nは滑らかに増加し続け,これによりその入
出力軸トルク比Tも滑らかに減少し続けるから、実質的
に車両が発進加速する際に運転者が感じる加速感は安定
したものとなり、また同時に車両は安定した発進加速を
実現することができよう。勿論、駆動輪である後輪10
RL,10RRのスリップは、前記フィードフォワード
制御によるスロットル開度制御によって比較的短時間に
収束されるから、当該車両の発進加速時に走行安定性が
損なわれることもない。
【0130】一方、従来の駆動力制御装置によれば、前
記時刻t22の直後にフィードフォワード制御によるフロ
ットル開度制御から,直ぐさま通常の制御ゲインKP
I(=所定値KP0,KI0)を用いたフィードバック制
御によるスロットル開度制御が開始されることになる
が、このときフィードバック制御によるスロットル開度
制御の制御因子である駆動輪スリップ量の今回値S(n)
のみに着目すると未だ増加し続けようとしているから、
当該フィードバック制御によるスロットル開度制御では
サブスロットルバルブ44のスロットル開度検出値TH
P (又は目標スロットル開度θ* (n) )は更に閉じ方向
に増加し続けるであろう。その結果,エンジンの回転駆
動力は大幅に減少される(同時に回転速度Neも減少す
ると考えられる)から、図12aに示すように駆動輪ス
リップ量SP の減少は早まる。しかしながら、これらに
伴ってトルクコンバータの入出力軸回転速度比NP も急
激に増加することになり、同時に入出力軸トルク比TP
は急激に減少されることになるから、前述のように未だ
コンバータ領域にあるトルクコンバータの作動領域は強
制的にフルードカップリング領域に移行又はその方向に
移行されることになる。ところが、その一方でエンジン
の回転駆動力も大幅に減少されているから、このフルー
ドカップリング領域,つまり直結状態又はほぼ直結状態
で駆動輪を十分に回転駆動することができず、例えば図
12aに示すように駆動輪スリップ量S P は略零まで落
ち込む,つまり単に惰性走行或いは慣性走行しているに
過ぎない状態となるから、運転者には加速感の乏しさが
逆に減速感として感じられる。
【0131】なお、本実施例の駆動力制御の演算処理
で,例えば高μ路面等で安定した定常走行状態に移行
し、その結果,前記駆動輪スリップ量の今回値S(n)
前記極めて小さい正の値の所定値S1 よりも小さくな
り、同時にその変化量αが前記極めて小さい正の値の所
定値α1 よりも小さくなると、前記図10の演算処理の
ステップS66,S69を経てステップS67でフィー
ドバック制御フラグFC を“0”にリセットし、然る
後,前記ステップS76で目標スロットル開度の今回値
θ* (n) を“0”にセットして、サブスロットルバルブ
44を全開状態に復帰させ、エンジン20の回転駆動力
をアクセルペダル46の踏込み量に応じて最大限に引き
出す制御に移行する。
【0132】以上より本実施例は本発明のうち請求項3
に係る駆動力制御装置を実施化したものであると考えら
れるから、前記図10の演算処理のステップS52〜S
57が本発明のうち請求項3に係る駆動力制御装置の駆
動輪スリップ状態検出手段に相当し、以下同様に,図1
0の演算処理のステップS10,S71がトルク増大量
検出手段に相当し、図10の演算処理のステップS72
が制御ゲイン設定手段に相当し、図10の演算処理のス
テップS63,S64が第1出力低減量演算手段に相当
し、図10の演算処理のステップS68,S73,S7
4が第2出力低減量演算手段に相当し、図10の演算処
理のその他の演算処理ステップが機関出力調整手段に相
当する。
【0133】なお、上記実施例においては、コントロー
ラ30としてマイクロコンピュータを適用した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、関数
発生器、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成する
こともできる。また、上記実施例においては、制御弁と
して圧力制御弁を適用して圧力制御を行う場合について
説明したが、これに限らず流量制御弁を適用して流量制
御を行うようにしてもよい。
【0134】また、上記実施例においては、駆動力制御
装置として、スロットル開度及び駆動輪の制動力の双方
を制御する場合について説明したが、少なくとも本発明
では駆動輪の制動力の制御は必須用件としないから,こ
れを省略することも可能である。しかしながら、前述の
ようにスロットル開度制御によるエンジン回転駆動力制
御はその応答遅れから,前記駆動輪の制動力制御を併設
するのが望ましい。
【0135】また、上記実施例においては、スリップ率
やスリップ量を算出するにあたり、非駆動輪,つまり従
動輪の車輪速検出値と駆動輪の車輪速検出値とを用いた
が、これに限定されるものではなく、例えばアンチスキ
ッド制御装置に使用する擬似車速演算手段を適用して擬
似車速を算出し、この擬似車速を車輪速に変換して従動
輪の車輪速,即ち車体速として使用するようにしてもよ
い。
【0136】また、上記実施例においては、作動流体と
して作動油を適用した場合について説明したが、これに
限定されるものではなく、他の圧縮性の低い流体を適用
することができる。また、上記実施例においては、後輪
駆動車に本発明の駆動力制御装置を適用した場合につい
て説明したが、前輪駆動車や四輪駆動車にも本発明を適
用することができる。但し、四輪駆動車の場合には、非
駆動輪,従動輪が原則的に存在しないので、前述したよ
うにアンチスキッド制御装置に使用する擬似車速演算手
段を適用するようにすればよい。
【0137】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1又は2に係る駆動力制御装置によれば、例えばトル
クコンバータの作動領域がフルードカップリング領域の
ときにフィードバック制御量である第2出力低減量演算
手段による機関出力低減量を選択し、コンバータ領域の
ときにフィードフォワード制御量である第2出力低減量
演算手段による機関出力低減量を選択し、これらの基づ
いて機関の出力低減制御を実行するために、当該トルク
コンバータのトルク増幅作用をも補償してしまうことが
なく、十分な車両加速性を確保しながら走行安定性をも
向上することができる。
【0138】また、本発明のうち請求項3に係る駆動力
制御装置によれば、トルクコンバータのトルク増大量に
応じて,フィードバック制御量の算出に用いられる第2
出力低減量演算手段の制御ゲインを小さく設定し、この
機関出力低減量に基づいて機関の出力低減制御を実行す
るために、当該トルクコンバータのトルク増幅作用をも
補償してしまうことがなく,或いはその補償代が小さく
なり、十分な車両加速性を確保しながら走行安定性をも
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す基本構成図である。
【図2】本発明の駆動力制御装置の第1実施例を示す概
略構成図である。
【図3】図2に示すコントローラの一例を示すブロック
図である。
【図4】図3のコントローラで実行される制動力制御の
演算処理のフローチャートである。
【図5】図4の演算処理で適用し得るスリップ率とスリ
ップ率変化速度とによって制御モードを設定する制御モ
ード変換マップを示す説明図である。
【図6】図3のコントローラで実行される機関出力低減
制御の演算処理のフローチャートである。
【図7】図6の演算処理で実行された機関出力低減制御
の作用説明図である。
【図8】本発明の駆動力制御装置の第2実施例を示す概
略構成図である。
【図9】図8に示すコントローラの一例を示すブロック
図である。
【図10】図9のコントローラで実行される機関出力低
減制御の演算処理のフローチャートである。
【図11】図10の演算処理で適用し得る入出力軸トル
ク比と各制御ゲインの制御マップを示す説明図である。
【図12】図10の演算処理で実行された機関出力低減
制御の作用説明図である。
【符号の説明】
10FL,10FRは前輪(非駆動輪) 10RL,10RRは後輪(駆動輪) 14は自動変速機 18はトルクコンバータ 20はエンジン 26は横加速度センサ 28FL〜28RRは車輪速センサ 30はコントローラ 34は自動変速機制御装置 38a,38bはトルクセンサ 39a,39bは回転速度センサ 40は前後加速度センサ 42はスロットル開度センサ 44はサブスロットルバルブ 45はステップモータ 46はアクセルペダル 47はアクセルセンサ 48はメインスロットルバルブ 50はブレーキペダル 51はブレーキマスターシリンダ 52FL〜52RRはホイールシリンダ 54L,54Rは液圧制御弁 70L,70Rは電磁弁 84はマイクロコンピュータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関の出力がトルクコンバータを介して
    駆動輪に伝達される車両であって、駆動輪のスリップ状
    態を検出する駆動輪スリップ状態検出手段と、前記トル
    クコンバータの作動領域を検出する作動領域検出手段
    と、路面から受ける駆動輪の負荷に見合った機関出力の
    低減量を算出する第1出力低減量演算手段と、前記駆動
    輪スリップ状態検出手段で検出された駆動輪のスリップ
    状態に応じて機関出力の低減量を算出する第2出力低減
    量演算手段と、前記作動領域検出手段で検出されたトル
    クコンバータの作動領域に応じて前記第1出力低減量演
    算手段及び第2出力低減量演算手段の何れか一方を選択
    する選択手段と、前記選択手段で選択された何れかの出
    力低減量演算手段の機関出力低減量に応じて機関の出力
    を調整する機関出力調整手段とを備えたことを特徴とす
    る駆動力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記選択手段は、前記作動領域検出手段
    で検出されるトルクコンバータの作動領域がコンバータ
    領域であるときに前記第1出力低減量演算手段を選択
    し、フルードカップリング領域であるときに前記第2出
    力低減量演算手段を選択することを特徴とする請求項1
    に記載の駆動力制御装置。
  3. 【請求項3】 機関の出力がトルクコンバータを介して
    駆動輪に伝達される車両であって、駆動輪のスリップ状
    態を検出する駆動輪スリップ状態検出手段と、前記トル
    クコンバータのトルク増大量を検出するトルク増大量検
    出手段と、路面から受ける駆動輪の負荷に見合った機関
    出力の低減量を算出する第1出力低減量演算手段と、前
    記駆動輪スリップ状態検出手段で検出された駆動輪のス
    リップ状態に応じて所定の制御ゲインを用いて機関出力
    の低減量を算出する第2出力低減量演算手段と、前記ト
    ルク増大量検出手段で検出されたトルクコンバータのト
    ルク増大量に応じて前記第2出力低減量演算手段の制御
    ゲインを小さく設定する制御ゲイン設定手段と、前記何
    れかの出力低減量演算手段の機関出力低減量に応じて機
    関の出力を調整する機関出力調整手段とを備えたことを
    特徴とする駆動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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