JPH0725877A - ヘミンとプロトポルフィリンジエステル及びプロトポルフィリンジナトリウム塩の製造法 - Google Patents

ヘミンとプロトポルフィリンジエステル及びプロトポルフィリンジナトリウム塩の製造法

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JPH0725877A
JPH0725877A JP17028793A JP17028793A JPH0725877A JP H0725877 A JPH0725877 A JP H0725877A JP 17028793 A JP17028793 A JP 17028793A JP 17028793 A JP17028793 A JP 17028793A JP H0725877 A JPH0725877 A JP H0725877A
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protoporphyrin
diester
producing
hematin
hemin
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Toyoro Nakamura
豊郎 中村
Masahiro Numata
正寛 沼田
Kashio Okada
甲子男 岡田
Kazuya Abe
和也 阿部
Atsushi Ogoshi
篤 大越
Yuji Murakami
雄司 村上
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IWAKI SEIYAKU KK
Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
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IWAKI SEIYAKU KK
Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 肝臓薬として用いられるプロトポルフィリン
ジナトリウムの中間体として有用なヘミン、ヘマチン、
及びプロトポルフィリンジエステルの製造法、並びに当
該プロトポルフィリンジナトリウムの製造方法の提供。 【構成】 ヘム鉄濃縮物を、塩化水素ガスと第一鉄塩類
と有機溶媒中で反応せしめ、プロトポルフィリンジエス
テルを製造する方法;ヘム鉄濃縮物をシュウ酸、苛性ア
ルカリ、アンモニア、又はピリジンで処理して、当該ヘ
ム鉄濃縮物中に存在するヘムをヘマチンに変換して、当
該ヘマチンを有機溶媒で抽出分離することを特徴とする
ヘマチンの製造方法;当該ヘマチンを、酢酸中で塩化ナ
トリウムと共に加熱処理して塩化ヘミンを製造する方
法;当該塩化ヘミンを、塩化水素ガスと第一鉄塩類と有
機溶媒中で反応せしめて、プロトポルフィリンジエステ
ルを製造する方法;当該有機溶媒中でメタノール苛性ア
ルカリを作用させることを特徴とする、プロトポルフィ
リンジナトリウムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、肝臓薬として用いら
れるプロトポルフィリンジナトリウムの中間体として有
用なヘミン、ヘマチン、及びプロトポルフィリンジエス
テルの製造法、並びに当該プロトポルフィリンジナトリ
ウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血球、ヘモグロビン、若しくは血粉か
ら、肝臓薬として用いられるプロトポルフィリンジナト
リウムの中間体として有用なヘミン、ヘマチン、若しく
はプロトポルフィリンジエステルを製造する方法は既に
知られている方法である。すなわち、現在プロトポルフ
ィリンジエステルは、血球若しくは血粉から直接分離精
製されたヘミンに塩化水素ガスと第一鉄塩類を作用させ
て製造する(特開昭63-284179 号公報)か、若しくは血
粉から直接プロトポルフィリンジエステルを製造する方
法(特開平1−263385号公報)が知られている。
【0003】しかしながら、上記の血球、ヘモグロビ
ン、若しくは血粉からヘミン、ヘマチン、若しくはプロ
トポルフィリンジエステルを製造する場合おいて、当該
血球等中の成分の大半が蛋白性の不用物である。すなわ
ち、ヘミン等の上記目的物は上記血球等中のわずか1〜
2%に過ぎず、所望の成分を高純度で取ることが難し
い。また、仮に高純度で取り得るとしても取得効率が大
変悪く、採算上も問題がある。さらに、反応系から所望
の成分を分離精製する方法(M.Grinstein,J.Biol.Che
m.,167,515(1947))を採る場合にも多量の蛋白性固形物
からの分離を伴い煩雑である。また、これに加えて何回
もの分離精製操作が必要であり、使用薬剤が多量になり
洗浄液や廃棄物が多くなり、コストや生産性が著しく悪
くなり、工業的製法の経済性が著しく損なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明が解決し
ようとする課題は、上記の従来技術に挙げた欠点を克服
する手段を提供すること、より具体的にはヘミン等の所
望の成分を高純度に、かつ簡便に取得する手段を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
の解決のために鋭意検討を重ねた結果、ヘム鉄濃縮物を
従来の血球、ヘモグロビン、若しくは血粉に代えて用い
ることにより、当該課題を解決し得ること、すなわち、
ヘム鉄濃縮物はヘミンとプロトポルフィリンジエステル
の原料として安定であり、また目的物の変性もなく、な
おかつ当該濃縮物から目的物を得る方法は煩雑な工程な
くしてなおかつ不用な蛋白質から大量の溶媒を用いずし
て高純度のヘミン及びプロトポルフィリンジエステルを
効率よく製造することを見出し本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は以下の事項をその要旨
とするものである。 (1)ヘム鉄濃縮物を、塩化水素ガスと第一鉄塩類と有機
溶媒中で反応せしめ、プロトポルフィリンジエステルを
製造する方法。 (2)ヘム鉄濃縮物をシュウ酸、苛性アルカリ、又はアン
モニアで処理して、当該ヘム鉄濃縮物中に存在するヘム
をヘマチンに変換して、当該ヘマチンを有機溶媒で抽出
分離することを特徴とするヘマチンの製造方法。
【0007】(3)前記(2)の製造方法によって得たヘマチ
ンを、酢酸中で塩化ナトリウムと共に加熱処理して塩化
ヘミンを製造する方法。 (4)前記(2)の製造方法によって得られた塩化ヘミンを、
塩化水素ガスと第一鉄塩類と有機溶媒中で反応せしめ
て、プロトポルフィリンジエステルを製造する方法。
【0008】(5)プロトポルフィリンジエステルがメチ
ルエステル若しくはエチルエステルである、前記(1)又
は(4)に記載されたプロトポルフィリンジエステルの製
造方法。 (6)前記(1)、(4)、又は(5)のいずれかに記載されたプロ
トポルフィリンジエステルの製造方法によって得られた
プロトポルフィリンジエステルを、有機溶媒中でメタノ
ール苛性アルカリを作用させることを特徴とする、プロ
トポルフィリンナトリウムの製造方法。
【0009】(7)ヘム鉄中のヘム含量が、5〜90%であ
ることを特徴とする、前記(1)、(4)、又は(5)のいずれ
かに記載されたプロトポルフィリンジエステルの製造方
法。以下、本発明について詳細に説明する。 A.ヘム鉄濃縮物の製造 本発明において「ヘム鉄濃縮物」とは、ヘモグロビン中
のヘム蛋白質の一部を除去したヘム成分とグロブリン成
分の混合物である。
【0010】かかるヘム鉄濃縮物の調製方法は、通常公
知の方法を採用することができる。当該方法の一実施態
様を以下に記載する。すなわち、血球、ヘモグロビン、
又は血粉(以下、血球等と記載する)に酵素分解処理を
施した後、当該酵素分解物をpH2.0〜7.0の範囲内に保ち
つつ、凍結、溶融及び加熱を繰り返し、しかる後、当該
処理物に遠心分離又は限外濾過処理を施し、これによっ
てヘムタンパク質の一部が除去されたヘム鉄濃縮物を調
製することができる。
【0011】当該方法において、血球等の原料となる血
液の供給源となる動物は、哺乳動物であれば特に限定さ
れないが、その入手の容易性を鑑みれば、ウシ、ブタ、
ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜の血液を用いるのが好まし
い。なお、当該血液からの血球等の調製方法は通常公知
の方法により行うことができる(Dill,C.W.and Landman
n,W.A.:Edible Meat By-Produgts(Person,A.M. andDuts
on,T.R.eds.),p.127,Elsevier Applied Science,London
(1988))。
【0012】次に、上記血球等に酵素処理を施す。当該
酵素処理については既に公知であり、例えば西ドイツ公
開特許公報DE 2904239号に当該酵素処理について記載さ
れている。かかる酵素分解後に、得られた酵素分解物を
濃縮する。当該濃縮はpH2.0〜7.0の範囲で、緩慢凍結、
緩慢溶融、及び60〜90℃での加熱を繰り返した後、当該
処理物に遠心分離若しくは限外瀘過による処理をさらに
施すことにより行われる。上記のpH範囲外のpHでの上記
酵素分解物の処理や、90℃を越えた温度による過度の加
熱は目的物の変性を招くことになり適切ではない。また
急激な凍結・溶融は濃縮度の低下を招き、目的物の収率
の低下につながり適切ではない。
【0013】上記の操作に酵素処理、及び濃縮操作によ
って得られるヘム鉄濃縮物は、残存するタンパク質残基
が適度に分解される。よって、当該濃縮物からヘミン及
びプロトポルフィリンジエステルを効率よく製造する上
で著しく有利である。なお、かかる工程によって得られ
るヘム鉄濃縮物のヘム含量は、5以上の範囲内で用いる
ことができる。5%よりも少ないと血球から上記ヘミン
等を調製するに際して精製工程が煩雑になり適当ではな
い。 B.ヘム鉄濃縮物を出発物質とする、プロトポルフィリ
ンジエステル、ヘマチン、及び塩化ヘミンの製造 (1)プロトポルフィリンジエステルの製造 上記において得られたヘム鉄濃縮物から直接プロトポル
フィリンジエステルを製造することができる。
【0014】すなわち、上記ヘム鉄濃縮物を、有機溶媒
中で第一鉄塩類と塩化水素ガスを用いて脱鉄エステル化
を単一工程で行いプロトポルフィリンを製造する。ここ
で用いられる有機溶媒は、アルコール系溶媒を基本的な
溶媒として用いることができる。すなわち、アルコール
系溶媒を単独で若しくは他の種類の溶媒と組み合わせて
用いることができる。しかしながら、アルコール系溶媒
を他の種類の溶媒と組み合わせて用いるのが反応の進行
上好ましい。アルコール系溶媒としては、例えばメタノ
ール、エタノール等を挙げることができる。また、他の
種類の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン系溶媒;クロル系溶媒、又は炭化水素系溶媒を
挙げることができる。かかる溶媒の組み合わせのうち、
好ましい組み合わせとしては、アルコール系とケトン系
の組み合わせが好ましい。
【0015】第一鉄塩類としては、例えば塩化第一鉄、
硫酸ストロンチウム、硫酸第一鉄等を挙げることができ
るが、取扱いが容易であることと汎用性に優れていると
いう点で、硫酸第一鉄を好ましい第一塩類として挙げる
ことができる。反応は、有期溶媒は10倍から20倍量使用
し、塩酸ガスはヘム鉄濃縮物中のヘムに対して10倍から
50倍使用し、また第一鉄塩類は同様にヘム鉄濃縮物中の
ヘムに対して10倍から25倍モル使用する。反応は塩化水
素ガス導入時の発熱は別にして使用する溶媒の還流温度
に応じた温度に設定して行うことができる。反応時間は
30分から1時間で十分である。反応を十分に行わせるた
めには塩化水素ガスと第一鉄塩類を両者とも10倍モル以
上使用することにより収率が向上する。
【0016】このようにして、ヘム鉄濃縮物から直接プ
ロトポルフィリンジエステルを製造し得る。 (2)ヘマチン及び塩化ヘミンの製造 上記において得られたヘム鉄濃縮物から、ヘミン及びヘ
マチンを調製し得る。 ヘマチンの製造 すなわち、前記ヘム鉄濃縮物をシュウ酸、苛性アルカ
リ、アンモニア、又はピリジンで処理して、当該ヘム鉄
濃縮物中に存在するヘムをヘマチンに変換して、当該ヘ
マチンを有機溶媒で抽出分離してヘマチンを製造するこ
とができる。
【0017】なお本発明において「苛性アルカリ」と
は、具体的には水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウ
ムを意味する。まず、上記ヘム鉄濃縮物を有機溶媒に懸
濁する。当該有機溶媒は特に限定されないが、通常は抽
出効率を良好にし得るという観点からメタノール、エタ
ノール、若しくはイソプロピルアルコール等のアルコー
ル系溶媒を好ましく用い得る。
【0018】上記ヘム鉄濃縮物の懸濁液に対し、シュウ
酸、苛性アルカリ、アンモニア、若しくはピリジンは、
ヘム鉄濃縮物中のヘムに対して5〜20倍モル添加して用
いることが可能である。また反応温度は、最低10℃から
個々の溶媒の還流温度に応じた温度範囲で反応を進行さ
せることができる。そして、収率を考慮すれば使用する
溶剤の還流温度で行うのが好ましい。反応時間は、上記
反応温度によっても異なるが、上記の好適な反応温度の
範囲で反応を行う場合には、1時間程度程度反応を行う
ことが必要である。
【0019】当該反応の後に、反応物を有機溶媒で抽出
分離して所望のヘマチンを単離する。かかる抽出に用い
られる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノー
ル等のアルコール系溶媒を用いることができる。このよ
うにして製造したヘマチンは、前記のプロトポルフィリ
ンジエステルや次に述べる塩化ヘミン製造中間体として
有用である。
【0020】塩化ヘミンの製造 塩化ヘミンの製造方法としては、前記の製造方法によ
って得たヘマチンを、酢酸中で塩化ナトリウムと共に加
熱処理して塩化ヘミンを製造する方法を挙げることがで
きる。ヘマチンを酢酸中で、ヘマチンの2〜5倍モルの
塩化ナトリウムの存在下、酢酸の沸点、すなわち還流温
度で1〜2時間、好ましくは1時間程度反応させること
によって変化ヘミンを得ることができる。
【0021】なお、上記反応後、室温において熟成を行
うのが得量が多いという点で好ましい。かかる熟成時間
は可能な限り長期に行うのが好ましいが、通常は、1日
〜5日程度の熟成期間が採用される。このようにして製
造したヘマチンは、前記のプロトポルフィリンジエステ
ルの製造中間体として有用である。
【0022】このヘマチンを前記ヘム鉄濃縮物からプロ
トポルフィリンジエステルを得る方法と同様に有機溶剤
に懸濁し、塩化水素ガスと第一鉄塩類と前記と同様に反
応させることによりプロトポルフィリンジエステルを得
ることができる。反応条件は前記条件と全く同様であ
る。ただ、ヘム鉄濃縮物との違いは、ヘマチン中にはグ
ロブリン等の蛋白質性不要物が存在しないので、塩化水
素ガスや第一鉄塩類の使用量を半減することができる点
である。 (3) プロトポルフィリンジエステルの製造 すなわち、前記ヘム鉄濃縮物にメタノール、塩化水素ガ
ス、及び第1鉄塩を作用させてプロトポルフィリンジエ
ステルを調製し、プロトポルフィリンジナトリウム塩と
することができる。
【0023】この方法は、上記したヘム鉄濃縮物からの
ヘマチンの抽出工程を経ずに、1工程でヘムからプロト
ポルフィリンジエステルへの脱鉄反応とエステル化が可
能である。そしてさらに、従来行われていた血液や血粉
からのプロトポルフィリンジエステルの製造方法(例え
ば、特開平1−203385号公報記載の方法等)において
は、反応終了後優れた溶媒系でも強酸性下での瀘過を必
要とし、更に非水系溶媒の洗浄も不用蛋白変性物で妨害
され容易ではない。しかしながら、本法では前記のよう
なろ過が必要なく、非水溶媒系に対して1〜2容の水で
数回洗浄し、さらにアンモニア水で中和して、非水溶媒
層を乾燥して減圧留去することで高純度かつ高収率でプ
ロトポルフィリンジエステルを得ることができる点にお
いて有利である。
【0024】なお、当該方法で調製することのできるプ
ロトポルフィリンジエステルの種類は特に限定されない
が、肝臓薬であるプロトポルフィリンジナトリウムへの
変換が容易であるという点から、メチルエステル若しく
はエチルエステルであることが好ましい。上記の製造に
おいて、メチルエステルの製造を企図する場合には、反
応をメタノール単独か、メタノールと他の有機溶剤との
混合溶剤を使用して反応することが必要である。また、
エチルエステルの製造を企図する場合には、同様にエタ
ノールと他の有機溶媒との組み合わせにおいて反応を行
うことができる。 C.本発明方法においては、従来法において反応開始時
に、若しくは反応中に生じた多量の不要の蛋白質、さら
には反応により当然に生じる変性蛋白の反応系への混入
や妨害がなく、容易にヘミンやプロトポルフィリンジエ
ステルが高純度、かつ高収率で得られる。すなわち、従
来分離精製に非常にコストがかかったヘミンの分離精製
工程が単純化され、廉価に供給可能となり工業的に極め
て有利である。
【0025】さらに、従来法では簡単に得られなかった
肝臓薬として用いられる、プロトポルフィリンジナトリ
ウムをも容易に得ることが出来るし、従来分離精製に非
常にコストが係ったヘミンも分離精製が単純化され廉価
に供給可能となり、工業的に極めて有利である。また、
本発明を他面より見れば、従来においては回収が極めて
困難であった不要タンパク質を、酵素分解物として容易
に回収可能である。そして、当該回収物を食品用素材と
して有効利用をすることが可能となる。
【0026】すなわち、本発明は医薬品分野及び食品分
野の二面にわたる、極めて有用かつ経済性にすぐれた発
明である。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、肝臓薬として用いられ
るプロトポルフィリンジナトリウム塩の中間体として有
用なヘミン、ヘマチン、及びプロトポルフィリンジエス
テルの製造法、並びに当該プロトポルフィリンジナトリ
ウムの製造方法が提供される。
【0028】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明
する。 〔実施例1〕 ヘム鉄濃縮物の製造法 pH8.5に調整したヘモグロビン溶液30Lをタンパク質分解
酵素で6時間加水分解した。分解後、pHを4.0に調整
し、85℃で酵素を加熱失活させ、遠心分離した。遠心残
査を−25℃で緩慢凍結、12時間保持後、室温で緩慢溶融
させた。その後、残査の1.25倍量の水を加え、80℃で1
時間加熱後、同様に遠心分離した。分離後、遠心残査の
pHを4.0に調整し、さらにこのpH4.0での緩慢凍結、緩慢
溶融、加熱を2回繰り返して濃縮した。最終的にpHを7.
0に調整後、乾燥してヘム鉄濃縮物10gを得た。当該ヘム
鉄濃縮物のヘム含量は50%であった。
【0029】なお、上記ヘム含量は、純品のヘマチンを
2.8%アンモニアに溶解させて濃度勾配を形成させ、こ
れをO.D=390 で吸光度を測定して検量線を作成し、これ
を基にして求めた。かかる測定方法は後記の実施例3ま
でにおいて、同様である。 〔実施例2〕ヘマチンの製造法 ヘム鉄濃縮物(ヘム含量45%)10gをメタノール150mlに
懸濁して攪拌した。これをシュウ酸6.2g(10倍モル) を
加え、水浴上で加熱還流を1時間行った。反応終了後、
室温に戻し、反応物をろ過した。ろ過物をさらにメタノ
ールで洗浄して洗液とろ液を併せて減圧濃縮した。得ら
れた乾物5.5gをメタノール10mlでバッチ洗浄してろ過乾
燥すると純度70%のヘマチン5.0gが得られた。 〔実施例3〕塩化ヘミンの製造法 実施例2で得られたヘマチン5.0gを酢酸150mlに懸濁
し、さらに塩化ナトリウム0.5gを加えて、加熱還流を1
時間してそのまま一晩放置した。更にこれを2日間放置
し赤褐色の結晶を析出させ、これをろ過してメタノール
で十分に洗浄後、乾燥して純度99.0%の高純度塩化ヘミ
ンが90%の収率で得られた。 〔実施例4〕プロトポルフィリンジエステルの製造法
(1) ヘム鉄濃縮物10g(ヘム含量45%)をメタノール100mlと
クロロホルム100mlの混合溶媒に加えて、これに塩化第
1鉄10.4g(10倍モル)を加えて攪拌した。これに塩化
水素ガスを5g(20倍モル)をこれに吹込み、系を発熱
させて溶媒を還流した。塩化水素ガス導入後、更に加熱
還流を1時間して反応を終了した。室温でクロロホルム
50mlを加えて、更に水150mlを加えて洗浄して分液し
た。更に水洗を3回行い同様に分液した。次いでアンモ
ニア水で中和し、無水硫酸ナトリウムで有機溶媒層を乾
燥し、次いで有機溶媒を減圧留去すると濃紫黒色のプロ
トポルフィリンジエステル4.0gが得られた。ここで得ら
れたプロトポルフィリンジエステルは高速液体クロマト
グラフィーの分析で純度98.0%であった。これをトルエ
ン50mlに溶かし、メタノール−水酸化ナトリウムで加熱
還流し、そして放冷後、ろ過しエタノールで洗浄後乾燥
して、プロトポルフィリンジナトリウム塩を得た。 〔実施例5〕プロトポルフィリンジエステルの製造法
(2) 実施例3で得られたヘミン4g に、実施例4と同様の処
理を施し、高純度プロトポルフィリンジエステルを得
た。更に実施例4と同様に高純度プロトポルフィリンジ
ナトリウム塩2.4gを得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 甲子男 長崎県北松浦郡小佐々町黒石免字小島370 −2 アリアケジャパン株式会社内 (72)発明者 阿部 和也 神奈川県緑区桂台1丁目13番13号 (72)発明者 大越 篤 神奈川県磯子区杉田3丁目22番13号 (72)発明者 村上 雄司 神奈川県相模原市文京2丁目22番12号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘム鉄濃縮物を、塩化水素ガスと第一鉄
    塩類と有機溶媒中で反応せしめ、プロトポルフィリンジ
    エステルを製造する方法。
  2. 【請求項2】 ヘム鉄濃縮物をシュウ酸、苛性アルカ
    リ、アンモニア、又はピリジンで処理して、当該ヘム鉄
    濃縮物中に存在するヘムをヘマチンに変換して、当該ヘ
    マチンを有機溶媒で抽出分離することを特徴とするヘマ
    チンの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の製造方法によって得たヘマチ
    ンを、酢酸中で塩化ナトリウムと共に加熱処理して塩化
    ヘミンを製造する方法。
  4. 【請求項4】 請求項2の製造方法によって得られた塩
    化ヘミンを、塩化水素ガスと第一鉄塩類と有機溶媒中で
    反応せしめて、プロトポルフィリンジエステルを製造す
    る方法。
  5. 【請求項5】 プロトポルフィリンジエステルがメチル
    エステル若しくはエチルエステルである、請求項1又は
    請求項4に記載されたプロトポルフィリンジエステルの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項4、又は請求項5のい
    ずれかに記載されたプロトポルフィリンジエステルの製
    造方法によって得られたプロトポルフィリンジエステル
    を、有機溶媒中でメタノール苛性アルカリを作用させる
    ことを特徴とする、プロトポルフィリンナトリウムの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 ヘム鉄中のヘム含量が、5〜90%である
    ことを特徴とする、請求項1、請求項4、又は請求項5
    のいずれかに記載されたプロトポルフィリンジエステル
    の製造方法。
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