JPH0725875Y2 - カセツト装填装置の開蓋機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ビデオテープカセットに代表される磁気テー
プカセット（以下、カセットという）の前部に備えられ
たテープ保護用の前蓋を、カセット装填作動に伴って開
放するために、カセット装填装置に組み込まれた開蓋機
構に関する。

〈従来の技術〉 ビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置のセット本
体に備えられた従来のカセット装填装置の一つとして、
第９図に示すように、ケース本体１に対して水平前後方
向に往復移動自在なスライダー３に一対のパンタグラフ
状のリンク5a,5bを介してカセットガレージ８を昇降自
在に装備したものがある。

このカセット装填装置においては、図に示すスライダー
３のイジェクト完了状態で、上昇付勢されたカセットガ
レージ８上にカセット10を挿入、セットする。このセッ
トののち、モータ15を起動することで、これにギヤ連動
させたピニオンギヤ25を時計回りに駆動して、スライダ
ー３を所定の退入終了位置まで水平に後退移行させる。
次に、同じくモータ15の駆動で回動する溝カム34によっ
てカセット圧着レバー31を下方へ揺動駆動し、このカセ
ット圧着レバー31の下方への揺動でカセット10を下方に
押圧し、カセットガレージ８を上方付勢力に抗して下降
させ、これによってカセット10を、テープ駆動機構等を
備えたシャーシ13上の位置決めピン36およびカセットス
テイ37上に圧着、セットするよう構成されている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところで、この種の装置においては、カセットの装填
後、カセット前部に備えたテープ保護用の前蓋を開い
て、テープローディング機構によりテープを前方に引き
出せる状態にしておく必要がある。

そこで、従来ではスライダー３が退入終了した状態で、
第10図に示すように、カセット10の前蓋10aの下方に位
置する蓋開けピン49を、シャーシ13に立設した支柱48を
介して固設しておき、カセット10の押し下げ作動に伴っ
て、第11図に示すように、相対的に蓋開けピン49によっ
て前蓋10aを押し上げ開放させていた。

ところが、上記従来構造では、カセット10が水平退入移
動の間、前蓋10aは閉じられたままであり、退入が完了
してカセット10が降下を始めてから、前蓋10aが開き始
める。そのため、カセット内のテープ56に作用させるべ
きテープ引き出し用ローラ55等のローディング機構は、
カセット10の水平移動経路よりも下方に配備しておく必
要があった。また、カセット10の降下中に前蓋10aを閉
蓋状態から完全に開放するために、カセット10およびカ
セットガレージ８の昇降ストロークを充分に大きく設定
しておく必要があった。

したがって、ローディング機構が設けられたシャーシ13
に対するカセット10の水平移動経路の高さは、少なくと
もシャーシ13上の部品の上方を通過できる高さにしてお
く必要があり、このために、セット本体の全高の下限値
が定まり、これ以上低くすることが困難であった。

本考案は、このような事情のもとで考えられたものであ
り、その目的は、開蓋機構を改良することで、シャーシ
に対するカセット水平移動経路の高さを低くして、もっ
て、セット本体の全高のコンパクト化を図ることを目的
とする。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、上記目的を達成するために、セット本体に対
して水平方向に往復移動可能なスライダーと、このスラ
イダーに対して昇降可能に装備されたカセットガレージ
と、前記スライダーの水平駆動手段と、前記スライダー
の退入後にカセットガレージを、水平状態を維持しつつ
垂直方向に下降させる昇降駆動手段とを備えたカセット
装填装置の開蓋機構であって、上昇位置にあるカセット
ガレージ上のカセットの前蓋下方に相当する下方位置
と、前蓋を少し持ち上げ開放させる上方位置とにわたっ
て上下動自在な蓋開けピンを前記スライダーに備え、ス
ライダーのイジェクト位置から退入終了位置までの間に
前記蓋開けピンを下方位置から上方位置に移動させるよ
う、スライダー水平駆動機構と蓋開けピンの上下駆動機
構とを連動させ、前記蓋開けピンがスライダーに上下揺
動自在に枢支された蓋開けレバーの先端に設けられ、こ
のレバーが、スライダーの水平移動に伴って一定範囲で
上下揺動されるよう、セット本体側の固定部材に設けた
カムに係合されているものである。

〈実施例〉 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第１図は、本考案に係る開蓋機構を備えたカセット装填
装置のイジェクト完了状態を、第２図はそのカセット装
填作動中の状態を、更に、第３図はカセット装填完了状
態をそれぞれ示している。

本体ケース１の内部上方には、前後一組のガイドローラ
2,2に案内されたスライダー３が、本体ケース１の前面
開口４より突出したイジェクト位置と、開口４内に退入
したカセット装填用位置に亙って水平に前後（図では左
が前方）往復移動可能に装備されている。このスライダ
ー３の前部には、一組のパンタグラフリンク5a,5bの一
端が枢支ピン6a及びガイドピン7aを介して取付けられる
とともに、両リンク5a,5bの遊端に亙ってカセットガレ
ージ８が枢支ピン6b及びガイドピン7bを介して連結さ
れ、このパンタグラフリンク5a,5bの上下方向の伸縮に
よってカセットガレージ８が水平姿勢のまま平行に昇降
可能に構成されている。又、下側の枢支ピン6bに外嵌装
着したつる巻バネによってパンタグラフリンク5a,5b
は、第１図に示す収縮状態（上昇位置）に弾性的に復帰
付勢されている。

そして、イジェクト位置のカセットガレージ８に挿入さ
れるカセット10は、スライダー３の前部に形成されたガ
イド部11とガレージ８の後部に設けたストッパー12によ
って前後の位置決めがなされるとともに、カセットガレ
ージ８の左右に立設したガイド片8a,8bによって左右方
向の位置決めがなされる。

本体ケース１内の下部には、カセット駆動機構やテープ
ローディング機構を備えたシャーシ13が設けられ、これ
に左右一対の側板14a、14bが立設されている。手前側の
側板14aの外側に設けられたモータ15の出力が、ベルト1
6を介してウォーム17に伝達されたのち、ウォームホィ
ール18、中継用ギヤ19、20、21を介して原動ギヤ22に伝
えられ、更にこの原動ギヤ22に並設した部分ギヤ23と、
これに噛合するギヤ24とを介して側板4a内のピニオンギ
ヤ25に伝達される。前記ピニオンギヤ25は、スライダー
３の下縁に形成したラックに26に噛合されていて、原動
ギヤ22の時計回り回転によってスライダー３はイジェク
ト方向（前方）に駆動され、原動ギヤ22の反時計回り回
転によってスライダー３がカセット装填方向（後方）に
駆動されるようになっている。そして、退入駆動された
スライダー３が、第２図に示ように、前記シャーシ13の
上方所定位置に至ると、部分ギヤ23とギヤ24との噛合が
外れてスライダー３の退入移動が停止されるように、部
分ギヤ23が所定の回動位相に亙ってのみ形成されてい
る。

又、前記側板4a、4bには支軸30を介して上下揺動自在な
カセット圧着レバー31が支承されるとともに、前記支軸
30の端部に植設したピン33が前記原動ギヤ22の側面に形
成したカム溝34に係入されている。

前記カム溝34は、カセットガレージ８がイジェクト位置
からシャーシ13の上方所定位置に退入するまでの回動位
相においては原動ギヤ22と同軸心の円弧状に構成され、
それ以降の回動位相においては半径方向外方に向かう形
状に形成されている。従って、スライダー３が第２図に
示す所定位置まで退入移動して停止したのち、更に原動
ギヤ22が引き続き反時計回りに回転されることでカム溝
34にピン係合されたカセット下降用レバー32が反時計回
りに回動される。これに伴ってカセット圧着レバー31が
下方に揺動され、そのレバー先端に設けたバネ片35を介
してカセット10の上面が下方に押圧され、カセットガレ
ージ８はつる巻きバネ９の復帰付勢力に抗して下降され
る。

前記シャーシ13上には位置決めピン36とカセットステイ
37とが立設されていて、押圧下降されたカセット10は、
これらの部材36,37に所定レベルに位置決めされた状態
で圧着され、これでカセット装填が完了する。

尚、図示しないが、このカセット装填に伴ってシャーシ
13上の左右一対のリール駆動軸がカセット下面より突入
されて、内部の巻取りリール及び巻き戻しリールに係合
連結される。又、カセット10の取出しは前述の作動が逆
に行なわれることになる。

上記カセット装填作動の間に、カセット前蓋のロックが
解除されて開放が行なわれるものであり、次に、そのた
めの各機構の構成及び動作を説明する。

まず、前蓋10aのロックを解除する機構とその動作を説
明する。第４図にイジェクト状態におけるカセットガレ
ージ８の部分平面が、又、第５図にその退入状態での平
面がそれぞれ示されている。

前記カセットガレージ８の左端側の下面に、前蓋ロック
解除爪40を立設した可動部材としてのスライド板41が、
ガレージ８にカシメ付けた一対のピン42、42と前後方向
長孔43、43を介して所定範囲で前後方向にスライド自在
に支持されている。そして、このスライド板41とガレー
ジ８の前端に横架固定したステイ軸44とに亙ってバネ45
が張設されて、スライド板41が常時前方にスライド付勢
されている。又、スライド板41の後端には下方に屈折し
た係止爪46が設けられ、この係合爪46が前記シャーシ13
の前端に立設したストッパー47に後方より接当可能に構
成されている。

前記スライド板41は、第５図に示すように、カセットガ
レージ８がカセット装填用の所定位置まで退入した状態
においては、ストッパー47に対して係合爪46が後方に大
きく離れるためにバネ45によって長孔43の限界まで前方
に付勢移動しており、このときの前蓋ロック解除爪40の
位置がカセット10に対する正規のロック解除作用位置に
ある。そして第４図に示すように、カセットガレージ８
がイジェクト位置に移動すると、係合爪46がストッパー
47の後面に接当してスライド板41のそれ以上の前方移動
が阻止され、更にガレージ８が前方に移動することで、
スライド板41はバネ45に抗して相対的にガレージ８に対
して後方にスライドされる。この時、前蓋ロック解除爪
40はカセット10の前蓋側端部材の位置決めを行うストッ
パー12より後方にある。

従って、前蓋ロック解除爪40は、ガレージ８へのカセッ
ト挿入時にはカセット挿入に全く邪魔にならない位置に
あり、カセットガレージ８のセット本体内への移動に伴
って正規の作用位置に自動的に移動するのである。

次に前蓋10aの開放機構の構成とその動作を説明する。
スライダー３の側面には、蓋開けレバー50が支点51を中
心に上下揺動自在に枢支され、このレバー50の前端に蓋
開けピン49が取り付けられるとともに、レバー50の後端
に設けたガイドピン52がスライダー３側面の孔53を貫通
して外方に突設されている。このガイドピン53は、本体
ケース１内の他方の固定側板14bに形成した前後に長い
段違い状のカム溝54に係入されていて、スライダー３の
前後水平移動に伴って蓋開けレバー50が所定角度だけ上
下揺動されるようになっている。

そして、スライダー３がイジェクト位置にあるときは、
第１図及び第６図に示すように、前記蓋開けピン49はカ
セットガレージ８に装填されたカセット10の前蓋10a下
方に位置し、スライダー３の退入行程の前半では、ガイ
ドピン52がカム溝54の前半水平部分に係入されて、蓋開
けピン49の位置は変わることがない。スライダー３の退
入行程の中間で、カム溝54の段差を通過するために蓋開
けピン49は少し上方に移動され、カセット10の前蓋10a
が少し開けられる。スライダー３の退入行程の後半で
は、ガイドピン52がカム溝54の後半水平部分に係入され
るため、蓋開けピン49の位置は変わらず、第２図及び第
７図に示すように、前蓋10aが少し開いた状態で退入限
度まで移行する。

この場合、シャーシ13の上方には、テープローディング
機構のテープ引き出し用ローラ55が待機しており、上記
のように前蓋10aが少し開かれた状態のカセット10の前
面に巻回案内されたテープ56の下を通過し、カセット前
端に形成されたテープ引き出し用空間57の下部に前記ロ
ーラ55の上端が入り込む。なお、前蓋10aの開放に伴っ
て、その内部に備えられた内蓋10bも少し開く。

引き続き、上述のようにカセット圧着レバー31を介した
カセット10の押し下げ作動に伴って、蓋開けピン49がカ
セット10に対して相対的に上方に移動し、これによって
第３図及び第８図に示すように、前蓋10aが大きく開か
れるとともに、ローラ55がテープ引き出し用空間57内に
突入してテープ56の背部にセットされ、その後、テープ
56の引き出しローディング作動が行われ、図外右方の記
録再生用ヘッドもしくは再生用ヘッドに導かれるのであ
る。

なお、蓋開けピン49の上下駆動機構としては、実施例の
ように上下動の各々にカムを利用する他に、例えば蓋開
けピン49を備えた蓋開け部材を下方にバネ付勢してお
き、上方移動をカムで行い、下方移動をバネ付勢力によ
って行うことも可能である。さらに又、前蓋10aの予備
開放作動は、カセット退入行程の途中でのみ行う必要は
なく、退入開始と同時に開蓋作動が始まってもよく、要
は、テープ引き出しローラ55がカセット前部を通過する
ときに、前蓋10aが少し開いていればよいのである。

〈考案の効果〉 以上説明したように、本考案によれば、カセットが水平
に退入して降下する際、退入途中で前蓋が開放し始める
から、シャーシ上のテープ引き出しローラ等の部品がカ
セットの前端下方をくぐって、カセット前部のテープ引
き出し用空間に入り込むことができる。そのため、ロー
ラ等の部品が入り込める分だけカセット水平移動経路の
高さを従来より低くすることが可能となり、カセットの
昇降ストロークを減少させることができ、その結果、セ
ット本体の全高を低く抑えてコンパクト化を図ることが
できた。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図は本考案に係る開蓋機構を備えたカ
セット装填装置を示し、第１図はイジェクト完了状態で
の側面図、第２図はカセット水平退入終了状態での側面
図、第３図はカセット装填完了状態での側面図、第４図
はイジェクト状態でのカセットガレージ部分を示す部分
平面図、第５図はそのスライダー退入状態での部分平面
図、第６図はイジェクト完了状態での開蓋機構を示す側
面図、第７図はカセット退入終了状態での開蓋機構を示
す側面図、第８図はカセット装填完了状態での開蓋機構
を示す側面図である。 第９図ないし第11図は従来のカセット装填装置を示し、
第９図は第１図に、第10図は第７図に、さらに、第11図
は第８図に各々対応する側面図である。 ３…スライダー、８…カセットガレージ、10…カセッ
ト、10a…前蓋、49…蓋開けピン、50…蓋開けレバー、5
4…カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】セット本体に対して水平方向に往復移動可
   能なスライダーと、このスライダーに対して昇降可能に
   装備されたカセットガレージと、前記スライダーの水平
   駆動手段と、前記スライダーの退入後にカセットガレー
   ジを、水平状態を維持しつつ垂直方向に下降させる昇降
   駆動手段とを備えたカセット装填装置の開蓋機構であっ
   て、 上昇位置にあるカセットガレージ上のカセットの前蓋下
   方に相当する下方位置と、前蓋を少し持ち上げ開放させ
   る上方位置とにわたって上下動自在な蓋開けピンを前記
   スライダーに備え、スライダーのイジェクト位置から退
   入終了位置までの間に前記蓋開けピンを下方位置から上
   方位置に移動させるよう、スライダー水平駆動機構と蓋
   開けピンの上下駆動機構とを連動させ、 前記蓋開けピンがスライダーに上下揺動自在に枢支され
   た蓋開けレバーの先端に設けられ、このレバーが、スラ
   イダーの水平移動に伴って一定範囲で上下揺動されるよ
   う、セット本体側の固定部材に設けたカムに係合されて
   いることを特徴とするカセット装填装置の開蓋機構。