JPH07258299A - Pgamアイソザイムに対する抗体 - Google Patents

Pgamアイソザイムに対する抗体

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JPH07258299A
JPH07258299A JP7986794A JP7986794A JPH07258299A JP H07258299 A JPH07258299 A JP H07258299A JP 7986794 A JP7986794 A JP 7986794A JP 7986794 A JP7986794 A JP 7986794A JP H07258299 A JPH07258299 A JP H07258299A
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JP
Japan
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type
pgam
isozyme
antibody
igg
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JP7986794A
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English (en)
Inventor
Koji Uchida
田 浩 二 内
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Oriental Yeast Co Ltd
Original Assignee
Oriental Yeast Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 E.coliでの遺伝子組換えによるヒトP
GAM(ホスホグリセリン酸ムターゼ)のM型及びB型
アイソザイムの新規生産、これ(ら)を抗原とするM型
(又はB型)アイソザイムに特異的な新規抗体の作製、
及び、該抗体を用いる各アイソザイムの分別定量。 【効果】 該抗体は特異性が高いので各アイソザイムの
正確な定量が可能となり、各種診断薬に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホスホグリセリン酸ム
ターゼ(PGAM)アイソザイムに対する抗体、及び該
抗体を用いるPGAMアイソザイムの測定システムに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ホスホグリセリン酸ムターゼ(Phos
phoglyceric acidmutase)(P
GAMということもある);EC5.4.2.1かって
はEC2.7.5.3)は、解糖系酵素の一つで、2,
3−ビスホスホグリセリン酸(2,3−bisphos
phoglycerate:2,3−BPG)の存在
下、2−ホスホグリセリン酸(2−phosphogl
ycerate)と3−ホスホグリセリン酸(3−ph
osphoglycerate)の相互交換を触媒す
る。
【0003】哺乳動物のPGAMは、Mサブユニットと
Bサブユニットの組合わせから成る三つのダイマー構造
を有する;MMホモダイマー(M型アイソザイム)、B
Bホモダイマー(B型アイソザイム)およびMBヘテロ
ダイマー(MB型アイソザイム)、M型は骨格筋に、B
型は脳、肝臓、腎臓および赤血球にそれぞれ存在する。
心筋には、MB型が、M型やB型とともに存在する。
【0004】すなわち、哺乳動物にはPGAMをコード
する遺伝子が二つ存在する。Mサブユニット(分子量約
3万)の遺伝子は成人の骨格筋、心筋で発現され、これ
らの組織ではMMホモダイマー(M型PGAM又はM型
アイソザイムともいう)が存在する。Bサブユニット
(分子量約3万)の遺伝子は成人の脳、肝、腎および赤
血球で発現され、これらの組織ではBBホモダイマー
(B型PGAM又はB型アイソザイムともいう)が存在
する。従って、M型PGAMは筋肉特異的アイソザイム
に、またB型PGAMは非筋肉型あるいは脳型アイソザ
イムに分類される。MおよびBの両サブユニットの遺伝
子は心筋で特異的に発現されており、この組織ではB型
およびM型PGAMに加えてMBヘテロダイマー(MB
型PGAM又はMB型アイソザイムともいう)も存在す
る。胎児および新生児骨格筋ではM型以外にB型とMB
型が存在する。YatesらはPGAMアイソザイムを
分別できるisoelectric focusing
を使って、正常血しょう中のPGAM活性が専らB型P
GAMに由来すること、一方これまでに調べられた全て
のDuchenne muscular dystro
phy患者の血しょう中にはM型とB型が混在すること
を示した。正常ヒト胎児および成人の脳では、主にB型
PGAMが存在するが、腫瘍脳組織ではM型PGAMが
認められ、発現レベルが腫瘍の悪性度と相関することが
示されている。
【0005】したがって、各アイソザイムを分別定量す
る方法を確立することは非常に有用であり、例えば、M
B型は心筋梗塞のよいマーカーとして期待される。
【0006】一方、臨床検査において重要な測定法の一
つであるイムノアッセイは抗原と抗体の品質に依存して
いる。しかし、抗原がヒト由来の場合は多くの制限があ
る;原料の入手が困難である、その取扱いに種々の問題
がある、含量が低い、その結果として安定供給が難し
く、標品の純度も低い。遺伝子工学の発達により、ヒト
由来の蛋白/酵素を大量に、高純度で調製できるように
なった。従って、これまでのイムノアッセイで使われて
いるヒト由来抗原を組換え型として、上記の欠点を改良
することも可能であるし、また、新種の蛋白やアイソザ
イムに意図的に着目し、新しい臨床検査法の開発も困難
ではなくなった。
【0007】しかし、実際には組換え型が生理活性を保
持していなかったり、発現量が十分ではない、などの理
由でヒト由来蛋白や酵素の分野での実用化は遅れてい
る。特に、酵素のように特異的な生理活性を持つ蛋白の
場合は封入体として発現される変性蛋白ではなく、高次
構造を保持した活性型組換え蛋白が必須である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した技術背景に鑑
み、本発明は、遺伝子操作による酵素活性をもつ組換え
ヒトM型及びB型PGAMの高発現と、そのアイソザイ
ムに対する特異的抗体の調製を行い、もって、感度及び
特異性の高い血しょう中PGAMアイソザイムのイムノ
アッセイシステムを新たに開発する目的でなされたもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、鋭意研究を行い、各方面から検討した結果、次のよ
うな遺伝子操作を行うことにより、ヒト組換え型PGA
MのM型及びB型アイソザイムの効率的生産にはじめて
成功した。
【0010】トリプトファンプロモーターをもつ発現ベ
クターに、ヒトM型又はB型PGAM遺伝子を挿入し、
E.coli JM109を形質転換して、ヒトPGA
Mアイソザイムの発現を行った。M型遺伝子は、ヒト胎
盤由来の染色体DNAを鋳型として、mPCR法で作製
した。B型遺伝子は、ラットPGAMのB型cDNAか
ら部位特異的変異によって作製した。
【0011】ヒトPGAMアイソザイムは、E.col
iの細胞内に活性のある可溶性蛋白として発現された。
E.coliの高密度培養によって得られた菌体から組
換え型酵素を精製した。精製酵素は、N末アミノ酸、熱
安定性、酸化剤に対する感受性において天然型アイソザ
イムと同一であった。
【0012】次いで、このようにして得た精製アイソザ
イムを用いて以下の操作を行うことにより、特異的抗体
を調製するのにはじめて成功した。
【0013】すなわち、精製アイソザイムを抗原として
調製したウサギ抗血清から、ヒト人組換え型PGAMア
イソザイムを固定化した抗原カラムによるアフィニティ
クロマトグラフィによって、M型およびB型アイソザイ
ムに特異的なIgGを調製するのに成功した。
【0014】このようにして得られた抗体は、新規なも
のであり、しかも抗原であるアイソザイムとの特異的反
応性が非常に高いことも確認された。本発明は、これら
の新知見に基づいて更に研究の結果、完成されたもので
ある。以下、本発明について詳述する。
【0015】本発明は、PGAMアイソザイムに対する
抗体であって、M型及びB型アイソザイムに特異的な抗
体MM IgG及びBB IgGに関するものであり、
また更に、これらの抗体を利用する各アイソザイムのイ
ムノアッセイに関するものである。
【0016】抗原として利用される各アイソザイムは、
trpプロモーターを含有する発現ベクターを用い、こ
れに各アイソザイム遺伝子を挿入して各PGAM発現プ
ラスミドを構築し、例えば大腸菌等の微生物を形質転換
し、得られた形質転換体を培養して、発現せしめる。
【0017】このようにして得られた各アイソザイムを
精製した後、これを抗原として常法によりウサギ等の動
物を免疫し、得られた抗血清をアフィニティクロマト処
理等によって精製して、目的とする精製された特異性の
高いポリクローナル抗体を得る。
【0018】本発明においては、このようにして調製さ
れた抗体を利用して、アイソザイムのイムノアッセイを
行う。イムノアッセイは、免疫染色法、放射免疫測定法
(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定
法等常法が適宜利用できる。
【0019】これらの内、固相免疫測定法も有利に利用
され、二抗体イムノアッセイ法、例えば固相化したMM
IgGと検体とを反応させた後、酵素E1標識したM
MIgG Fab′断片又は酵素E2標識したBB I
gG Fab′断片と反応させ、酵素E1の反応値から
M型PGAM量が、そして酵素E2の反応値からMB型
PGAM量が求められる。固相化したBB IgGを用
いると、同様にして、MB型及びB型PGAM量が求め
られる。
【0020】抗体の固相化は、酵素その他蛋白質を固相
に結合する常法にしたがって適宜行うことができる。例
えば、固相としてビーズ、マイクロプレート等を用い、
物理吸着や化学結合等既知の固定化技術を適宜利用すれ
ばよい。
【0021】酵素標識抗体も、グルタルアルデヒド法や
マレイミド法等常法にしたがって調製すればよい。標識
酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ウシ小腸
アルカリホスファターゼ、ウレアーゼ、グルコースオキ
シダーゼ、β−ガラクトシダーゼ等、EIAに常用され
る酵素が広く使用される。また、基質も既知のものが適
宜使用され、例えばアルカリホスファターゼを用いる場
合には、p−ニトロフェニルリン酸を用いると好適であ
る。以下、本発明の実施例について述べる。
【0022】
【実施例】
(1)発現ベクターの構築 基本的なクローニング方法は、Sambrookらの方
法で行った。発現ベクターpTRPは、次のようにして
構築した(図1)。
【0023】i)pTZ19UをSalIとEcoRI
で切断後、DNAを平滑末端となるようにT4DNAポ
リメラーゼで修復し、ライゲーションにより再環化し
た。従って、得られたプラスミド、pTZ19seはp
TZ19UがもつSalIとEcoRI間のクローニン
グ部位をもたない。 ii)E.coli trpプロモーターに対するジーン
カセット(図2)としてセンスおよびアンチセンスを混
合し、pTZseのHindIIとEcoRI部位の間に
挿入して、pTZtrpを得た。 iii)pTZ19UからEcoRIとPstIの間にク
ローニング部位をもつDNA断片をGENECLEAN
IIキット(BIO 101 Inc.)で精製し、pT
ZtrpのEcoRIとPstIの間の部位に挿入し、
発現ベクターpTRP(2928bp)を得た。pTR
Pは外来遺伝子に対するクローニング部位としてEco
RI、SacI、KpnI、SmaI、BamHI、X
baI、SalIそしてPstIをもつ(図1)。
【0024】(2)PGAM発現プラスミドの構築 ヒトM型およびB型PGAMの遺伝子クローニングおよ
びヌクレオチド配列は既に報告されている。ヒトM型P
GAMをコードするDNAはヒトM型PGAM遺伝子の
3つのエキソンを、mPCR法によって一度に連結して
調製した。ヒトM型PGAMをコードするDNAを鋳型
として図3に示したプライマーを用いてPCRを行い、
そのPCR産物をEcoRIとPstIで切断してpT
RPへ組み込み、M型PGAM発現プラスミドpTRP
−M1および−M2を構築した。ラットB型PGAMの
アミノ酸配列はC末端に近い251番目のアミノ酸(ラ
ットではバリン、ヒトではアラニン)を除いてヒトB型
PGAMのアミノ酸配列と同一である。ヒトB型PGA
MをコードするDNAはラットB型PGAM cDNA
から図3に示すプライマーを用いたPCR mutag
enesisによって作製した。得られたDNAをEc
oRIとBamHIで切断してpTRPへ組み込み、B
型PGAM発現プラスミドpTRP−B1および−B2
を構築した。
【0025】PCRは既知の方法で行った。全てのプラ
スミド構築とPGAM遺伝子の全遺伝子配列の忠実さは
自動DNA配列決定装置で行った。mRNAの二次構造
計測は、GENETYXプログラムを用いて計算した。
【0026】(3)E.coliの形質転換とその培養 E.coli JM109 competent ce
llsをコントロールプラスミドおよびPGAMアイソ
ザイム遺伝子をもつ組換えプラスミドで形質転換し、形
質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培
地中で、37℃で24h培養した。菌体からの粗抽出液
は、界面活性剤としてdeoxycholic aci
dの代わりにLubrol PXを用いた以外、Mar
stonの方法で溶菌して調製した。
【0027】組換え型ヒトPGAMアイソザイム精製用
には、16L New Brunswick Scie
ntific Fermentor SF−116(E
dison,NJ,USA)を用いて高密度培養を行っ
た。温度(37℃)、pH(7.4)、攪拌速度(80
0rpm)、通気量(15mL/min)の培養パラメ
ータはML−4100(multi−loop mic
roprocessor controller)によ
って制御した。pHの調整は10%ammonia s
olutionを添加して行った。1晩前培養した培養
液(240mL)を25μg/mlのアンピシリンを含
むLB培地(8L)へ植菌して2時間培養を行い、その
後10時間目まで添加培地を連続的に合計2L加えなが
ら培養を続けた。
【0028】添加培地は、10%glucose、15
%yeast extract、0.1%MgSO4
7H2O、0.75%L−glutamic aci
d、0.75%L−threonine、0.04%L
−tyrosine、0.4%himidine、0.
4%methionine(pH7.4)から成る。培
地の添加は100mL/hの速度で開始して、2時間ご
とに200mL/h、300mL/h、400mL/h
の順で増加させて行った。集菌は12時間目に遠心分離
(11,000g×20min)で行った。菌体の増殖
は培養液の600nmでの吸光度を測定して調べた。
【0029】(4)PGAM活性の測定法 PGAM活性はBergmeyerらの方法を改変して
行った。反応混液(全量2.92ml)は8.5mM
triethanolamine(pH7.6)、1m
M MgSO4、4.7mM 3−phosphogl
ycerate、0.12mM 2,3−BPG、0.
20mM NADH、0.57mM ADP、8.5U
/ml lactate dehydrogenas
e、8.5U/ml pyruvate kinase
および3.4U/ml enolaseから成る。反応
は10μlの酵素サンプルを添加して開始し、NADH
のA340nmの減少を測定した。酵素の1単位は30℃
で1分間当たりに1μmolNADHを減少させる酵素
量と定義する。NADHの定量は、吸光度係数6.2×
103l/mole/cmを用いて求めた。
【0030】(5)蛋白測定と分析 蛋白量は牛血清アルブミンを標準としてbicinch
oninic acid法で行った。SDS−poly
acrylamide gel electropho
resis(PAGE)による蛋白分析は10−20%
勾配の市販ゲル(第一化学;84mm高×90mm巾×
1mm厚)を用いてLaemmliの方法で行った。蛋
白はCoomassie Brilliant Blu
e R−250(CBBR)で染色した。アミノ酸配列
の決定は、HPLC Model120A装置付ABI
社477A protein/peptide seq
uencerで行った。
【0031】(6)組換え菌体から粗抽出液の調製 pTRP−M2で形質転換されたJM109の菌体を3
倍量の0.15M NaCl、1mM EDTA、1m
M β−mercaptoethanolを含む50m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁し、p
TRP−B2によって形質転換されたJM109の菌体
は、3倍量の1mM EDTAを含む10mM Tri
s−HCl緩衝液(pH7.0)に懸濁した。菌体を破
砕した後、10%LUBROL PXを1/50容量加
え、遠心分離(22,000g×30min、4℃)
し、得られた上清を粗抽出液とした。菌体の破砕は、D
YNO−Laboratory mill type
KDL(Willy A.Bachofen AG,B
asel,Switzerland)で行った;600
ml grinding elements,30ml
/min continuous operatio
n,grinding beads MK−IGX0.
1−0.2mmΦ。
【0032】(7)精製方法 1)M型PGAMの精製:DEAE−Sepharos
e CL−6B(700g wet weight)は
2M NaCl、1mM β−mercapto−et
hanol含有10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.0)5Lで洗浄後、1mM β−mercapto
−ethanol含有10mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH7.0)で平衡化して使用した。このDEAE−
Sepharose CL−6Bを粗抽出液2Lに加
え、室温で2時間バッチ吸着を行い、得られた非吸着画
分を次の工程に使用した。Phenyl−Sephar
oseカラム(5.0×1.5cm)は1.7M硫安と
1mM β−mercaptoethanolを含む5
0mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化
して、疎水クロマトグラフィを行った。溶出は硫安の
1.7Mから0Mへの直線的濃度勾配で行った。
【0033】2)B型PGAMの精製:2M硫安を含む
10mM Tris−HCl緩衝液 (pH7.0)で平衡化されたphenyl−Seph
aroseカラム(5.0×1.5cm)を用いて疎水
クロマトグラフィを行った。溶出は硫安の2.0Mから
0Mへの直線的濃度勾配で行った。分子ふるいクロマト
グラフィは10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)で平衡化したSephacryl S−200カラ
ム(4.5×78.6cm)で行った。MB型PGAMの調製 M型PGAMおよびB型PGAMは適当な変性剤によっ
てモノマーに解離し、希釈等の繰作によってダイマーに
戻る(再生する)。この性質を利用することによって、
MB型PGAMを調製することができる。即ち、変性剤
によってモノマーに解離したM型PGAMとB型PGA
Mを混合し、希釈することによってMB型PGAMが再
構成される。たとえば、次のような方法で効率よくMB
型PGAMを調製することができる。M型PGAM
(0.5mg/ml)とB型PGAM(0.5mg/m
l)を等量混合後、尿素を7Mになるように加え、室温
で5hインキュベーションした。それを0.1Mリン酸
ナトリウム緩衝液(pH7.0)で30倍に希釈し、
0.1M2−メルカプトエタノールを含む0.1Mリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に対して4℃、一晩
透析を行って、MB型PGAMを得た。
【0034】(8)免疫学的方法 ウサギ抗PGAMアイソザイム抗血清は、Harlow
らの方法で調製した。EIAおよびpA(AB)カラム
を用いる血清からのIgGの調製は、紀平らの方法で行
った。A492nmは、A4 microplate r
eader(Tosoh,Tokyo,Japan)で
測定した。ウエスタンブロット分析は、polyvin
ylidene difluoride膜を使ってTo
wbinらの方法で行った。二次抗体として西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgGを用いた。I
gG含量は1mg/ml溶液のA280=1.5として求
めた。
【0035】(9)抗原固定化カラムの調製 Formyl−Cellulofine 100mL
(約77g wet gel)に、0.15M NaC
l含有0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)80mlに溶解した精製組換えM型およびB型PG
AM(480mg)を加えた。室温で3h振とう後、t
rimethylamine boraneを539m
g加え、4℃で一晩振とうした。次いで0.1M hy
droxylammonium chiorideを5
0ml加え、室温で2h振とう後ろ過し、ゲルを20倍
量の蒸留水で洗浄した。さらに、20倍量のPBSと
0.3M KCl−HCl(pH2.3)による洗浄を
3回繰り返した。リガンド結合量は85〜90%であっ
た。こうして調製したPGAM−Cellulofin
eゲルをカラム(5×5cm)につめた。ウサギ抗PG
AM抗血清から調製したIgG(約6.5mg/mL、
100mL)をPBS(100mL)で希釈して、M型
PGAM−カラムあるいはB型PGAM−カラムに添加
した。4倍量のPBSで洗浄後、0.3M KCl−H
Cl(pH2.3)で溶出した。溶出液に1/10容量
の10倍濃縮のPBSを加えた後、B型PGAM−カラ
ムあるいはM型PGAM−カラムに添加して、同様の操
作を行った。
【0036】(10)E.coliにおけるヒトPGA
Mアイソザイムの高発現 PGAM発現プラスミドpTRP−M1およびpTRP
−B1は、trpプロモーターの下流にヒトPGAMの
MおよびBサブユニットをコードするDNAをそれぞれ
もつ、これらの発現プラスミドによって形質転換された
E.coliJM109を培養し、得られた菌体抽出液
のPGAM活性を測定した。コントロールと比較してp
TRP−M1の場合、PGAM活性レベルは約2倍に、
pTRP−B1の場合、約5倍に増加した。E.col
iでのヒト酵素の発現量は、mRNAの二次構造が影響
することがよく知られている。発現プラスミドから合成
されたPGAMのMおよびBサブユニットのmRNA中
の5′領域の二次構造形成を予測し、これに基づいてア
ミノ酸置換がおきないようにヒトPGAM遺伝子の5′
翻訳領域を再構築した。
【0037】図3に示されるように、P2とP3を用い
てpTRP−M2を、P5とP6を用いてpTRP−B
2を調製した。これらのプラスミドpTRP−M2およ
びpTRP−B2を用いて、E.coli JM109
を形質転換し、培養後PGAM活性を測定した。pTR
P−M1およびpTRP−B1を用いた場合と比較する
と、PGAMの発現量が活性レベルで約10倍増加し
た;コントロールと比較するとM型PGAMで20倍
に、B型PGAMで50倍に増加した。SDS−PAG
Eの典型例(図4)から明らかなように、M型およびB
型サブユニットの分子サイズに相当する約30,000
の位置に濃いバンドが認められた。
【0038】図4は、5種のプラスミドをもつE.co
li菌体抽出液中の蛋白(20μg)のSDS−PAG
Eで分析した結果であって、レーン1、p−TRP;レ
ーン2、pTRP−M1;レーン3、pTRP−M2;
レーン4、pTRP−B1;レーン5、pTRP−B
2、純度検定実験;レーン6はpTRP−M2をもつ
E.coliからの精製品(2μg)。レーン7はpT
RP−B2をもつE.coliからの精製品(2μ
g)。レーンMはIgG結合性分子量マーカー。矢印
は、PGAMの分子サイズ(約3万)から予想される泳
動位置をそれぞれ示す。
【0039】(11)組換え型ヒトPGAMアイソザイ
ムの精製 組換えヒトB型PGAMは、Sasakiらの方法を改
変し、硫安分画、phenyl−Sepharoseに
よる疎水クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィ
により、均一に精製した(下記表1);40%の収率で
比活性は1487U/mgであった。生産量は菌体1k
g(湿重量)当たり酵素蛋白1.4gであった。組換え
ヒトM型PGAMは粗抽出液をi)70℃で15分間処
理により熱安定なM型を上清に分画し、ii)DEAE−
Sepharose(pH7.0)によるバッチ吸着処
理でpI10のM型を非吸着分画に回収し、iii)30
%硫安分画の上清に分画し、次いでiv)Edwards
らの方法に従ってphenyl−Sepharoseカ
ラムで疎水クロマトグラフィを行い16倍に精製した;
比活性2182U/mgの精製品を40%収率で得た。
生産量は菌体1kg(湿重量)当たり酵素蛋白2.2g
であった。精製M型およびB型PGAMはいずれもSD
S−PAGEで分子サイズ約30,000の位置に単一
バンドを示した(図4)。
【0040】
【表1】
【0041】上記結果から明らかなように、高発現によ
り酵素含量を高めることができたので、従来報告された
ものよりもM型PGAMは約10倍高い比活性を持ち、
B型PGAMは約2倍高い比活性を持つことがわかっ
た。E.coli由来の内在性PGAMは、M型PGA
Mとは熱安定性の差で組換えPGAMと区別することが
できる。また粗抽出液中の内在性PGAMの比活性は2
U/mg以下と極めて低い。従って、内在性PGAMの
精製組換え標品への混在は無視することができると思わ
れる。
【0042】(12)精製ヒト組換え型PGAMアイソ
ザイムの性質 1)分子量(サイズ):塩基配列から求められた分子量
はB型サブユニットが28,784、M型サブユニット
が28,830である。SDS−PAGEでは両者とも
約30,000である(Fig.2)。変性剤の存在し
ない条件下のSuperdex200カラムによるゲル
ろ過クロマトグラフィでは天然型の報告と同様に約6
0,000と測定された。従って、組換え型アイソザイ
ムは天然型と同様二量体で存在する。
【0043】2)N−末端分析:組換え型PGAMはM
型もB型ともにN−末はアラニンである。天然型PGA
MはN−アセチル化アラニンである。従って、N−アセ
チル化は、E.coli中で起こらず、活性発現には必
要ないと思われる。
【0044】3)熱安定性:精製したM型及びB型標品
(1.5mg/ml)を、2,3−bisphosph
oglycerate(2,3−BPG)の存在(+)
及び不存在(−)下、10mMリン酸ナトリウム バッ
ファー(pH7.0)中で、20分間各温度(60、7
0、75℃)でインキュベートし、残存活性を測定し、
下記表2の結果を得た。
【0045】
【表2】
【0046】上記表2(ヒト組換え型PGAMのM型及
びB型アイソザイムの熱安定性)の結果から明らかなよ
うに、2,3−BPGの存在下、60℃の熱処理に対し
てM型もB型PGAMも安定であるが、70℃および7
5℃ではM型の方が熱に対して安定であった。M型PG
AMの熱安定性は、2,3−BPG非存在下でも認めら
れた。これらの結果は、天然型の酵素を用いて行われた
実験結果とよく一致した。
【0047】4)SH酸化剤による失活:精製アイソザ
イム(15mg/ml)を10mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.0)で、1mM K246と20℃で
反応させると、M型PGAMアイソザイムは残存活性が
0.1%と不安定であるのに対して、B型は100%で
酸化処理に対して安定であった。失活したM型PGAM
はDTT処理によりほぼ80%元のレベルに回復した。
B型PGAMはこれらの処理に対して全く影響を受けな
かった。以上の結果は天然型酵素のものとよく一致し
た。
【0048】以上のことから、組換えPGAMアイソザ
イムはN−末アミノ酸がアセチル化されていない点を除
いて天然型と同一であることが明らかとなった。
【0049】(13)アイソザイム特異的ポリクローナ
ル抗体の調製 組換え型PGAMアイソザイムを50mg調製し、これ
を用いてウサギポリクローナル抗体と、特異抗体の調製
のための抗原固定化カラムを作製した。
【0050】1)IgGの調製:ウサギ抗血清600m
lからIgG結合性人工蛋白質、pA(AB)4−カラ
ム〔18〕を用いてM型PGAMのIgGを約7.1
g、B型PGAMのIgGを約8.6g調製した。
【0051】2)特異IgGの調製:M型PGAMに対
するIgGをまずM型PGAM固定化カラムに添加し、
得られた溶出画分(eluate)を、次にB型PGA
M固定化カラムにかけ、非吸着画分と吸着画分を得た。
非吸着画分はM型PGAMに対して高い親和性を示し、
B型PGAMに対しては親和性が低いので、M型特異的
IgGである(MM IgGと称す)。一方、吸着画分
はM型にもB型にも反応するIgGである(MM/BB
IgGと称す);7.1gのIgGから380mgの
MM IgGと480mgのMM/BB IgGが得ら
れた。同様にして、B型PGAMに対して高い特異性を
もつBB IgGと同PGAMアイソザイムと反応する
MM/BB IgGを調製した;8.6gのIgGから
1.01gのBB IgGと440mgのMM/BB
IgGが得られた。得られたMMIgG、BB Ig
G、MM/BB IgGの特異性をEIAとウエスタン
ブロッティングで調べた。
【0052】すなわち、精製されたヒトM型PGAM、
B型PGAMを0.25μgずつ固相化し、0.05μ
gのIgG試料と反応させた。ウサギ抗M型PGAM抗
血清から調製したIgG(642mg)を用いて固定化
M型PGAMカラム(MMカラム;100ml)に添加
し、吸着されたIgGを溶出した(吸着フラクション;
82mg)。これを次に固定化B型PGAMカラム(B
Bカラム;100ml)に添加し、吸着されないIgG
(非吸着フラクション)と、吸着されたIgG(吸着フ
ラクション)を調製した。得られたIgGの反応性を組
換えB型PGAMとM型PGAMについて調べた。同上
の実験をウサギ抗B型PGAM抗血清から調製したIg
Gを用いて行った。
【0053】得られた結果を、下記表3(組換え抗原固
定化カラムで調製した特異的IgGのEIAでの反応
性)及び図5(ウエスタンブロット後の免疫染色法によ
る組換えヒトPGAMアイソザイムIgGの特異性の検
定)に示した。図5において、Mは分子量マーカー、レ
ーン1,3,5,7にはM型PGAMを、レーン2,
4,6,8にはB型PGAMを加えた。色素染色(レー
ン1,2)には1μg蛋白を免疫染色(レーン3〜8)
には0.1μgを使用した。レーン3と4はM型PGA
MとB型PGAMに反応するIgG(MM/BB Ig
G)で、レーン5と6はM型PGAMに特異的なIgG
(MM IgG)、レーン7と8はB型PGAMに特異
的なIgG(BB IgG)で免疫染色した。
【0054】
【表3】
【0055】上記表3の結果及び図5に示されるよう
に、MM IgGはM型PGAMに、MM IgGはB
型PGAMに対して特異性の高い反応性を示した。これ
らの結果からMM IgGはM型に、BB IgGはB
型に特異的なIgGで、MM/BB IgGはM型、B
型いずれにも反応を示すことが明らかとなった。
【0056】ヒトB型PGAMに対するchicken
antisurumについての報告を除いて、ヒトP
GAMに対する特異的抗体に関する報告はない。本発明
では、ヒトPGAMのM、B両アイソザイム間における
アミノ酸配列の相同性が80.6%であるにもかかわら
ず、PGAM反応性IgGの内の40〜70%がM型P
GAMおよびB型PGAMに対して特異的なポリクロー
ナルIgG(MM IgGおよびBB IgG)である
ことが示された。
【0057】(14)二抗体EIAによるPGAMアイ
ソザイムの分別定量 図6に示したアッセイ原理図にしたがい各アイソザイム
の分別定量を行った。
【0058】(i)固相化したMM IgGとPGAM
アイソザイム試料と反応させた後、酵素E1で標識した
MM IgG Fab′断片または酵素E2で標識した
BBIgG Fab′断片と反応させる。酵素E1の反
応値からB型PGAMがE2からはMB型PGAM量が
求められる。ii)同様に、固相化したBB IgGと抗
原を反応させた後、酵素E1で標識したMM IgG
Fab′断片または酵素E2で標識したBB IgG
Fab′断片と反応させる。酵素E1の反応値からMB
型PGAM量が、E2からB型PGAM量が求められ
る。
【0059】酵素E1としては、ウシ小腸アルカリホス
ファターゼを用い、酵素E2としては、西洋ワサビペル
オキシダーゼを用い定量を行った。その結果、M型、B
型及びMB型PGAM量が、それぞれ94%、91%、
93%の確度で測定された。
【0060】酵素標識抗体の作製 MMIgGおよびBBIgGからペプシン消化によって
F(ab)2をそれぞれ作製し、還元によってFab′断
片を得る。さらに、マレイミド化した酵素を結合させる
ことによって、酵素標識したMMIgGFab′断片お
よびBBIgGFab′断片を常法によって作製するこ
とができる。
【0061】1)F(ab′)2断片の作製 酢酸緩衝液(0.1M酢酸、0.15MNaCl、pH
4.5)に溶解したMMIgGおよびBBIgG(各1
0mg/ml)に対して、1%(w/w)および2%
(w/w)になるようにそれぞれペプシン溶液(ブタ胃
由来、SIGMA)を加え、37℃、24h反応させ
た。反応液を0.1MNaClを含む50mMリン酸ナ
トリウム緩衝液(pH7.2)で平衡化したSuper
dex200カラム(2.6×60cm)にかけて分子
ふるいクロマトグラフィを行い、F(ab′)2断片を分
画した。さらに、F(ab′)2に混在するIgGおよび
FcをpA(AB)4ゲルに吸着させて除去した。非吸
着画分をPE緩衝液(0.1MNaH2PO4、5mM
EDTA・2Na、pH6.0)に対して透析を行い、
F(ab′)2断片を得た。MMIgGおよびBBIgG
それぞれ25mgからF(ab′)2断片が8.3mgお
よび16.5mg得られた。
【0062】2)Fab′断片の作製 F(ab′)2断片(約4mg/ml)に2−メルカプト
エチルアミン塩酸を10mMになるように加え、37
℃、90min撹拌した後、Superdex200か
ラム(2.6×60cm)にかけて分子ふるいクロマト
グラフィを行い、Fab′断片を分画した。その結果、
MMIgGおよびBBIgGそれぞれ25mgからFa
b′断片が7.0mgおよび13.9mg得られた。
【0063】 3)アルカリホスファターゼ(ALP)のマレイミド化 PBS緩衝液(8g/l NaCl,0.2g/l K
Cl,2.9g/lNa2HPO4・12H2O,0.2
g/l KH2PO4,pH7.4)に溶解されたALP
(ウシ小腸由来、オリエンタル酵母)1molに対して
Sulfo−SMCC(Sulfosuccinimi
dyl 4−(n−maleimidomethyl)
cyclohexane−1−carboxylat
e,PIERCE)を100mol加え37℃、1h振
とうした。PBS緩衝液で平衡化されたSephade
x G−25カラム(1.5×60cm)に反応液をか
け、マレイミド化ALPを得た。
【0064】4)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HR
P)のマレイミド化 0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解
されたHRP(typeII,TOYOBO)を用いて、
3)と同様にしてマレイミド化HRPを得た。
【0065】 5)ALP標識MMIgGFab′断片の作製 MMIgGFab′断片5molに対してマレイミド化
ALPを1mol加え、4℃、20h静置反応した。2
−メルカプトエチルアミン塩酸を10mMになるように
加え、30℃、30min撹拌して反応を停止させた
後、ALP溶解液(10mM Tris−HCl,0.
2M NaCl,5mM MgCl2,0.1mM Z
nCl2)で平衡化されたSuperdex200にか
け、ALP標識Fab′断片を分画した。その結果、A
LP標識MMIgGFab′断片が4.6mg調製され
た。
【0066】6)HRP標識BBIgGFab′の作製 BBIgGFab′断片5molに対してマレイミド化
ALPを1mol加え、5)と同様にして反応させ、
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡
化されたSuperdex200にかけ、HRP標識F
ab′断片を分画した。その結果、HRP標識BBIg
GFab′断片が14.9mg調製された。
【0067】二抗体EIAによるPGAMアイソザイムの分別定量 図6の原理に基づいてPGAMアイソザイムの分別定量
を行った。
【0068】1)方 法 50mM炭酸ナトリウム緩衝液に溶解したMMIgGあ
るいはBBIgG(各0.5mg/ml)を100μl
ずつ96ウエルマイクロタイタープレートに入れ、4
℃、一晩インキュベーション後、PBS−Tween
(0.05%(v/v)Tween−20を含むPB
S)による洗浄4回、0.5%PBS−Tweenに溶
解したBSAによるブロッキング(室温、1h)、PB
S−Tweenによる洗浄4回を行い、MMIgGある
いはBBIgG固相化プレートを作製した。次に、血清
試料あるいは標準試料(既知量のPGAMアイソザイ
ム)を100μl加え、室温、1hインキュベーション
後洗浄操作を行った。さらに、ALP標識MMIgGF
ab′断片あるいはHRP標識BBIgGFab′断片
(各5μg/ml)を100μl加え、さらにALP標
識MMIgGFab′断片あるいはHRP標識BBIg
GFab′断片(各5μg/ml)を100μl加え、
室温、2hインキュベーシヨン後洗浄操作を行った。最
後に、発色試薬(ALPの場合は0.25mM MgC
2を含む1Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.
8)に溶解した1mM p−ニトロフェニルリン酸溶
液、HRPの場合は0.015%(v/v)過酸化水素
を含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.0)に溶解し
た8mM o−フェニレンジアミン溶液)を200μl
加え、5minインキュベーシヨョン後、A405あるい
はA492の吸光度を測定した。
【0069】2)標準試料による検量線の作成 M型PGAMの検量線は、MMIgGを固相化したプレ
ートに標準試料(既知量のM型、B型およびMB型PG
AMからなる試料)を加えた後、ALP標識MMIgG
Fab′断片を反応させて作成した(図7)。B型PG
AMの検量線はBBIgGを固相化したプレートに標準
試料を加えた後、HRP標識BBIgGFab′断片を
反応させて作成した(図8)。MB型PGAMの検量線
は、BBIgGを固相化したプレートに標準試料を加え
た後、ALP標識MMIgGFab′断片を反応させて
作成した(図9)。また、MB型PGAMの検量線は、
MMIgGを固相化したプレートに標準試料を加えた
後、HRP標識BBIgGFab′断片を反応させて作
成することもできる。
【0070】3)血清試料によるヒトPGAMアイソザ
イムの分別定量 正常血清および急性心筋梗塞患者血清についてアイソザ
イムの分別定量を行って結果、血清試料においても標準
試料と同様に測定することができることがわかった。ま
た、急性心筋梗塞症におけるMB型PGAMの経時変化
はクレアチンキナーゼ(心筋梗塞のマーカー酵素、C
K)の推移とほぼ同じであった(図10)。
【0071】
【発明の効果】本発明にしたがって、遺伝子操作を活用
することにより、ヒト組換え型PGAMのM型及びB型
アイソザイムを高純度でしかも効率的に生産することが
可能となり、その結果、これらに対する特異的抗体を調
製することがはじめて可能となった。
【0072】該新規抗体は、これらのアイソザイムに対
する特異性が非常に高いので、EIA等イムノアッセイ
による各アイソザイムの分別定量に利用することがで
き、例えば、二抗体イムノアッセイ法によってMB型P
GAMを定量することにより、各種疾患、特に心筋疾患
の診断を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発現ベクターpTRP構築の戦略図であって、
EはEcoRI、HはHindIII、SはSalI、P
はPstIを示す。
【図2】トリプトファン プロモーター用のジーンカセ
ットを示す。
【図3】本発明で使用したプライマーのヌクレオチド及
びアミノ酸配列を示す。なお、下線のヌクレオチドは制
限酵素部位用のリンカーを示す。P3とP6の下線引き
ヌクレオチドがそれぞれPstI、BamHI用のリン
カーで、これ以外のものはEcoRI用のリンカーであ
る。プライマー中の置換したヌクレオチドはアステリス
クで示した。アミノ酸配列中のTerは終止コドンを意
味する。Primer P6中の印はラットB型PGA
MのcDNAを鋳型としてヒトB型PGAMをコードす
るDNAを調製するための変異を示す。
【図4】SDS−PAGEで調べた4種のプラスミドを
もつE.coli JM109におけるヒトPGAMア
イソザイムの発現ならびに精製標品の純度検定を示す。
【図5】ウエスタンブロット後の免疫染色法による組換
えヒトPGAMアイソザイムIgGの特異性の検定図を
示す。
【図6】二抗体EIAによるPGAMアソソザイムの分
別定量図を示す。
【図7】M型PGAMの検量線を示す。
【図8】B型PGAMの検量線を示す。
【図9】MB型PGAMの検量線を示す。
【図10】急性心筋梗塞症におけるCKとPGAMアイ
ソザイムの経時変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 D 33/573 B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGA
    M)アイソザイムに対する抗体であって、M型アイソザ
    イムに特異的な抗体MM IgG及び/又はB型アイソ
    ザイムに特異的な抗体BB IgG。
  2. 【請求項2】 抗体MM IgG又は抗体BB IgG
    が、それぞれ、ヒト組換え型PGAMのM型アイソザイ
    ム又はB型アイソザイムを抗原として調製した動物抗血
    清から分離精製したもの、であることを特徴とする請求
    項1に記載の抗体。
  3. 【請求項3】 ヒト組換え型PGAMのM型アイソザイ
    ム又はB型アイソザイムが、トリプトファンプロモータ
    ーをもつ発現ベクターに、ヒトM型又はB型PGAM遺
    伝子を挿入し、微生物を形質転換して発現させて得られ
    たもの、であることを特徴とする請求項2に記載の抗
    体。
  4. 【請求項4】 M型遺伝子は、ヒト胎盤由来の染色体D
    NAを鋳型としてmPCR法で作製したものであり、B
    型遺伝子は、ラットPGAMのB型cDNAから部位特
    異的変異によって作製したものであること、を特徴とす
    る請求項3に記載の抗体。
  5. 【請求項5】 PGAMアイソザイム発現プラスミド
    が、発現ベクターとしてpTRPを用い、M型アイソザ
    イムの場合はこれにM型遺伝子を挿入して得たM型PG
    AM発現プラスミドpTRP−M1及び/又はM2であ
    り、B型アイソザイムの場合はこれにB型遺伝子を挿入
    して得たB型PGAM発現プラスミドpTRP−B1及
    び/又はB2であること、を特徴とする請求項3又は請
    求項4に記載の抗体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記
    載の抗体を使用することを特徴とするPGAMアイソザ
    イムの分別測定方法。
  7. 【請求項7】 免疫測定法によることを特徴とする請求
    項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 免疫測定法が、免疫染色法、放射免疫測
    定法、酵素免疫測定法、及び/又は、蛍光免疫測定法で
    あること、を特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記
    載の抗体を含有すること、を特徴とするPGAMアイソ
    ザイム測定用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010106788A1 (ja) * 2009-03-17 2010-09-23 凸版印刷株式会社 妊孕性検査方法、妊孕性検査キット、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び抗体

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