JPH09216900A - 抗体を用いるmapキナーゼまたは活性型mapキナーゼの定量法 - Google Patents

抗体を用いるmapキナーゼまたは活性型mapキナーゼの定量法

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JPH09216900A
JPH09216900A JP8071659A JP7165996A JPH09216900A JP H09216900 A JPH09216900 A JP H09216900A JP 8071659 A JP8071659 A JP 8071659A JP 7165996 A JP7165996 A JP 7165996A JP H09216900 A JPH09216900 A JP H09216900A
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JP
Japan
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map kinase
antibody
erk1
human
leu
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JP8071659A
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English (en)
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Akiyoshi Tani
昭義 谷
Yuuzou Ichimori
有三 市森
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】種々の動物種由来あるいは種々の分子種のMA
Pキナーゼ、活性型あるいは不活性型MAPキナーゼに
高度に結合する抗体を作成して、MAPキナーゼの検
出、定量を行ない、各MAPキナーゼの細胞、組織での
発現の分布およびその発現量やリン酸化活性の変化、生
体内等におけるMAPキナーゼの役割をさらに解明す
る。 【解決手段】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)で免疫す
ることにより得られるモノクローナル抗体、MAPキナ
ーゼのリン酸化された活性型部分あるいはヒトMAPキ
ナーゼのフラグメントで免疫することにより得られるポ
リクローナル抗体を、各々、あるいは組合せて用いるこ
とにより、各種MAPキナーゼの検出、定量を可能とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗体を用いるMAP
キナーゼまたは活性型MAPキナーゼの定量法に関し、
特にヒトMAPキナーゼ(ERK1)に結合性を有する
モノクローナル抗体、その製造法、活性型MAPキナー
ゼに結合性を有する抗体、その製造法、各種MAPキナ
ーゼ〔MAPキナーゼ(ERK1)、MAPキナーゼ
(ERK2)、および、活性型MAPキナーゼ〕に特異
的に結合するポリクローナル抗体、および上記各種抗体
の用途、即ちこれら抗体を用いるMAPキナーゼまたは
活性型MAPキナーゼの検出、定量法に関する。
【0002】
【従来の技術】MAPキナーゼ(mitogen−ac
tivated protein kinase)は、
最初は増殖因子を培養細胞に添加すると活性化する蛋白
質リン酸化酵素として同定された〔プロシージングス・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA),第84巻、第1502−1506頁(1
987)〕。しかし、その後の研究から、神経細胞の分
化〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.),第265巻、第473
0−4735頁(1990)〕、免疫細胞の活性化〔ジ
ャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immuno
l.),第144巻、第2683−2689頁(199
0)〕、分泌〔ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー
(J.Cell Biol.),第110巻、第731
−742頁(1990)〕等の生命現象に関与している
ことが明らかになってきた。ヒトMAPキナーゼについ
ては、遺伝子のクローニングから、非常に相同性の高
い、いくつかの分子種の存在が知られているが、主なも
のはERK1とERK2の2種類であり、この2種の蛋
白は非常に高い相同性を有する(84.7%)〔フェブ
スレターズ(FEBS LETT.),第304巻、第
170−178頁(1992)〕。ERK1とERK2
について、その機能の違いが推測されているものの、こ
れまで、試験管内で、その機能や活性の違いは見出され
ていない。このMAPキナーゼに対しては、これまで数
種の抗体が得られているが、その大半がポリクローナル
抗体である。また、たとえば次のような数種のモノクロ
ーナル抗体が知られている。即ち、クローンMK12
〔Julian Gomez−Cambronero
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
第89巻、第7551−7555頁(1992)又は生
化学工業カタログ(1993/94)第184頁〕やク
ローンB9〔UBIカタログ(1993)第33頁〕等
である。しかし、ERK1とERK2を識別し得るモノ
クローナル抗体についての報告はない。また、ヒトのM
APキナーゼを用いて、ヒト以外の動物(マウスなど)
を免疫し、モノクローナル抗体を取得した事例も、これ
まで知られていない。これまで、ERK1とERK2を
識別し得る抗体としては、Simon J.Cookら
が報告している、それぞれに特異的に結合するポリクロ
ーナル抗体〔エンボ・ジャーナル(EMBO Jour
nal)、第12巻、第3475−3485頁(199
3)〕等が知られているが、いずれもウエスタンブロッ
ティングや免疫沈降に用いているのみで、MAPキナー
ゼの蛋白量の正確な定量は行なわれていない。また、M
APキナーゼは、Thr−Glu−Tyr配列のThr
とTyr残基が両方共、リン酸化されて活性化するセリ
ン/スレオニンキナーゼであり、この両方の残基のリン
酸化が、活性化に必要かつ十分な条件であると考えられ
ている〔Neil G.Andersonら、ネイチャ
ー(Nature)、第343巻、第651−653頁
(1990)〕。このリン酸化されたMAPキナーゼと
特異的に結合する抗体としては、伊藤ら〔1994年日
本生化学会大会 要旨集、講演番号4887〕、もしく
は、NEW ENGLAND BIOLABSの抗体が知
られているが、活性型MAPキナーゼのウエスタンブロ
ッティング、免疫沈降、および細胞の免疫染色に用いら
れているのみで、活性型MAPキナーゼの定量化はされ
ていない。
【0003】これまで、MAPキナーゼの活性を測定す
る方法としては、γ−32P−ATPを用いてMBP(M
yelin basic protein)をリン酸化
し、MBPに取り込まれた放射活性を測定する方法〔A
hn,Nら、J.Biol.Chem.、第266巻、
第4220−4227頁(1991)〕や、細胞抽出液
をSDS−PAGEにかけ、そのゲルの中でMBPのリ
ン酸化を行う方法〔Leevers S.J.ら、EM
BO J.、第11巻、第569−574頁(199
2)〕が主に行なわれるが、これらの方法は放射性同位
体を用いるという欠点がある。より簡便な方法として、
活性型と不活性型の電気泳動度の違いを利用する方法
〔例えばJohan Van Lintら、モレキュラー
・アンド・セルラー・バイオケミストリー(Molec
ular and Cellular Biochemi
stry)、第127/128巻、第171−178頁
(1993)〕が知られているが、定量は困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、種々の動
物種由来あるいは種々の分子種のMAPキナーゼに、ま
たは活性型あるいは不活性型のMAPキナーゼに対して
高感度に結合性を示すモノクローナル抗体またはポリク
ローナル抗体をそれぞれ作製することができれば、各M
APキナーゼの細胞、組織での発現の分布およびその発
現量やリン酸化活性の変化などを知ることができると同
時に、生体内等におけるMAPキナーゼの役割をさらに
解明することが可能となる。また、リン酸化されたMA
Pキナーゼに対して高感度に結合性を示す抗体を作製す
ることができれば、MAPキナーゼの活性を酵素免疫測
定法やウエスタンブロッティング法で検出または測定す
ることが可能になる。さらに、これらの抗体を組み合わ
せることにより、ERK1とERK2の活性を分けて定
量できると同時にサンドイッチ法での酵素免疫測定法が
可能になり、生体内等におけるMAPキナーゼの役割、
さらにはERK1とERK2の役割の違いを、これまで
以上に解明することが可能になる。また、MAPキナー
ゼの量や活性を簡便に測定することができれば、種々の
MAPキナーゼ関連疾患の診断や、薬物の作用機作を解
析することが可能になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、鋭意研究した結果、MAPキナーゼの一種であ
るヒトMAPキナーゼ(ERK1)を免疫原として、該
蛋白質に対して特異的な結合能を有するモノクローナル
抗体を作製することに成功した。該モノクローナル抗体
は、ヒトMAPキナーゼ(ERK2)やラットMAPキ
ナーゼ(ERK1)には結合しないため、免疫化学測定
法に付すと、ヒト細胞由来MAPキナーゼ(ERK1)
を特異的に感度よく検出または定量できる。また該モノ
クローナル抗体を用いることにより、ヒト由来細胞等か
らヒトMAPキナーゼ(ERK1)を効率よく精製する
ことができる。また、MAPキナーゼの被リン酸化部位
のアミノ酸配列をリン酸化したペプチド(合成ペプチ
ド)を免疫原として、活性型MAPキナーゼに対して特
異的な結合能を有する抗体を作製することに成功した。
該抗体は、不活性型のMAPキナーゼには結合しないの
で、免疫化学測定法に付すと、ヒト、ラット、マウス等
の活性型MAPキナーゼを、ERK1とERK2の区別
なく、特異的に感度良く検出または定量できる。また、
該抗体を用いることにより、活性型のMAPキナーゼを
効率よく精製することができる。これらの知見に基づい
てさらに研究した結果、本発明を完成した。すなわち、
本発明は、(1)ヒトMAPキナーゼ(ERK1)を免
疫原とし、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)に結合性を
示す、IgG型モノクローナル抗体、(2)ヒトMAP
キナーゼ(ERK1)に結合性を示し、かつヒトMAP
キナーゼ(ERK2)、ラットMPAキナーゼ(ERK
1)、およびラットMAPキナーゼ(ERK2)に結合
性を示さないモノクローナル抗体、(3)ヒトMAPキ
ナーゼ(ERK1)で免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、
同種または異種のリンパ球様細胞からなるクローン化さ
れたハイブリドーマ、(4)ヒトMAPキナーゼ(ER
K1)で免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、異種または同
種のリンパ球様細胞とを細胞融合し、クローニングする
ことを特徴とする上記(3)記載のハイブリドーマの製
造法、(5)上記(3)記載のハイブリドーマを液体培
地中または哺乳動物の腹腔内で増殖させることを特徴と
する上記(1)または(2)記載のモノクローナル抗体
の製造法、(6)上記(1)または(2)記載のモノク
ローナル抗体を用いることを特徴とするヒトMAPキナ
ーゼ(ERK1)の検出または定量法、(7)酵素免疫
測定法である(6)記載の検出または定量法、(8)上
記(1)または(2)記載のモノクローナル抗体を用い
ることを特徴とするヒトMAPキナーゼ(ERK1)の
活性測定法、(9)上記(1)または(2)記載のモノ
クローナル抗体を用いることを特徴とするヒトMAPキ
ナーゼ(ERK1)の精製法、(10)配列がHis−
Thr−Gly−Phe−Leu(Thr−PO32
−Glu−(Tyr−PO32)−Val−Ala−T
hr−Arg(配列番号:1)であるペプチドに特異的
に結合する抗MAPキナーゼ抗体、(11)上記(1
0)記載の抗体を用いることを特徴とする、活性型MA
Pキナーゼの検出または定量法、(12)酵素免疫測定
法である(11)記載の検出または定量法、(13)上
記(10)記載の抗体を用いることを特徴とする、活性
型MAPキナーゼの精製法、(14)上記(1)または
(2)記載のモノクローナル抗体と、上記(10)記載
の抗体とを用いることを特徴とする、活性型ヒトMAP
キナーゼ(ERK1)の検出または定量法、および(1
5)酵素免疫測定法である上記(14)記載の検出また
は定量法、に関するものである。
【0006】一方、本発明者らは、MAPキナーゼの一
種であるERK1およびERK2のアミノ酸配列をもつ
ペプチドを免疫原として、それぞれのMAPキナーゼに
特異的な結合能を有する抗体を作製することにも成功し
た。得られた抗ERK1抗体は、ヒトおよびラットのE
RK1に結合能を有するが、ヒトおよびラットのERK
2には結合しない。一方、抗ERK2抗体は、ヒトおよ
びラットのERK2のみに結合能を有し、ヒトおよびラ
ットのERK1には結合しない。このことから、これら
の抗体を用いることにより、免疫化学測定法で、ERK
1とERK2を区別して、MAPキナーゼの検出または
定量ができる。また、先にMAPキナーゼの被リン酸化
部位付近のアミノ酸配列をもつ合成ペプチド(リン酸化
ペプチド)を免疫原として、活性型MAPキナーゼに特
異的な結合能を有する抗体を作製することに成功した。
この抗体は、活性化されたヒトおよびラットのMAPキ
ナーゼ(ERK1、ERK2どちらにも)に特異的な結
合能を有し、不活性型のMAPキナーゼや他のリン酸基
をもつ蛋白には結合しないので、この抗体を用いて免疫
化学測定法を行うと、活性型MAPキナーゼを特異的に
感度よく検出または定量できることは前述の通りである
が、上記のERK1またはERK2に特異的に結合する
抗体と組み合わせて用いれば、活性型ERK1と活性型
ERK2を区別して検出または定量できる。
【0007】これらの知見に基いてさらに研究した結
果、本発明を完成した。即ち、本発明は、(16)Se
r−Leu−Pro−Ser−Lys−Thr−Lys
−Val−Ala−Trp−Ala−Lys−Leu−
Phe−Pro−Lys−Ser−Asp(配列番号:
11,peptide(図6))を含有するアミノ酸
配列を有するペプチドに特異的に結合する抗MAPキナ
ーゼ抗体、(17)Ile−Phe−Gln−Glu−
Thr−Ala−Arg−Phe−Gln−Pro−G
ly−Val−Leu−Glu−Ala−Pro(配列
番号:12,peptide(図6))を含有するア
ミノ酸配列を有するペプチドに特異的に結合する抗MA
Pキナーゼ抗体、(18)Ser−Leu−Pro−H
is−Lys−Asn−Lys−Val−Pro−Tr
p−Asn−Arg−Leu−Phe−Pro−Asn
−Ala−Asp(配列番号:15,peptide
(図11))を含有するアミノ酸配列を有するペプチド
に特異的に結合する抗MAPキナーゼ抗体、(19)I
le−Phe−Glu−Glu−Thr−Ala−Ar
g−Phe−Gln−Pro−Gly−Tyr−Arg
−Ser(配列番号:16,peptide(図1
1))を含有するアミノ酸配列を有するペプチドに特異
的に結合する抗MAPキナーゼ抗体、(20)Glu−
His−Asp−His−Thr−Gly−Phe−L
eu−Thr−Glu−Tyr−Val−Ala−Th
r−Arg−Trp(配列番号:10,peptide
(図6))を含有するアミノ酸配列を有するペプチド
に特異的に結合する抗MAPキナーゼ抗体、(21)M
APキナーゼ、MAPキナーゼのムテインもしくはMA
Pキナーゼのフラグメントに特異的に結合する抗体を用
いることを特徴とするMAPキナーゼの定量法、(2
2)抗体が(16)、(17)、(18)、(19)ま
たは(20)記載のものである(21)記載のMAPキ
ナーゼの定量法、(23)酵素免疫測定法である(2
1)または(22)記載の定量法、(24)サンドイッ
チ法による(23)記載の定量法、(25)MAPキナ
ーゼがERK1である(21)、(22)、(23)ま
たは(24)記載の定量法、(26)(16)、(1
7)もしくは(20)記載の抗体を用いる(25)記載
の定量法、(27)MAPキナーゼがERK2である
(21)、(22)、(23)または(24)記載の定
量法、(28)(18)もしくは(19)記載の抗体を
用いる(27)記載の定量法、(29)MAPキナーゼ
が活性型ERK1である(21)、(22)、(23)
または(24)記載の定量法、(30)(10)記載の
抗体と(16)、(17)もしくは(20)記載の抗体
とを用いる(29)記載の定量法、(31)MAPキナ
ーゼが活性型ERK2である(21)、(22)、(2
3)または(24)記載の定量法、および(32)(1
0)記載の抗体と(18)もしくは(19)記載の抗体
とを用いる(31)記載の定量法、(33)被検体と
(1),(2),(10),(16)、(17)、(1
8)、(19)または(20)記載の抗体とを接触さ
せ、被検体中のMAPキナーゼを定量することを特徴と
するMAPキナーゼ関連疾患の診断法、(34)
(1),(2),(10),(16)、(17)、(1
8)、(19)または(20)記載の抗体を含有するこ
とを特徴とするMAPキナーゼ関連疾患の診断剤、にも
関するものである。
【0008】本発明において哺乳動物の免疫に用いるヒ
トMAPキナーゼ(ERK1)などのMAPキナーゼ
(ERK1あるいはERK2)としては、哺乳動物細胞
由来のMAPキナーゼ(ERK1あるいはERK2)で
あればいずれでもよく、分子としては天然型のみならず
部分ペプチドおよびムテイン(mutein)であって
もよい。例えば、ヒト細胞由来のMAPキナーゼ(ER
K1あるいはERK2)は、例えば、EGFで刺激した
A431細胞からL.Bryan Rayらの示した方
法〔J.Biol.Chem,第263巻、第1272
1−12727頁〕により精製することができる。免疫
原としては上述のMAPキナーゼを組織や細胞から分離
してもよく、またMAPキナーゼをコードする塩基配列
を有するDNAを含有する発現ベクターを作製し、適当
な宿主細胞に導入してMAPキナーゼを大量に産生させ
たものでもよい。発現ベクターは例えば、(イ)MAP
キナーゼをコードするRNAを分離し、(ロ)該RNA
から単鎖の相補DNA(cDNA)を、次いで二重鎖D
NAを合成し、(ハ)該相補DNAをプラスミドに組み
込み、(ニ)得られた組み換えプラスミドで宿主を形質
転換し、(ホ)得られた形質転換体を培養後、形質転換
体から適当な方法、例えばDNAプローブを用いたコロ
ニーハイブリダイゼーション法により目的とするDNA
を含有するプラスミドを単離し、(ヘ)該プラスミドか
ら目的とするクローン化DNAを切り出し、(ト)該ク
ローン化DNAをベクターのプロモーターの下流に連結
する、ことにより、それぞれ製造することができる。
【0009】このようにして得られた発現ベクターを、
適当な宿主(例、大腸菌、枯草菌、酵母、動物細胞な
ど)に組み込み、得られた形質転換体を培地に培養する
ことにより、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)などのM
APキナーゼ(ERK1あるいはERK2)を製造する
ことができる。上記MAPキナーゼ蛋白質としては、M
APキナーゼのムテインも含まれる。MAPキナーゼム
テインとしては、本来、元のペプチドあるいは蛋白質の
アミノ酸配列が変異したものであり、アミノ酸の付加、
構成アミノ酸の欠損、他のアミノ酸への置換が挙げられ
る。該アミノ酸の付加としては、少なくとも1個のアミ
ノ酸が付加しているものが挙げられる。該構成アミノ酸
の欠損としては、少なくとも1個のMAPキナーゼ構成
アミノ酸が欠損しているものが挙げられる。該他のアミ
ノ酸への置換としては、少なくとも1個のMAPキナー
ゼ構成アミノ酸が別のアミノ酸で置換されているものが
挙げられる。MAPキナーゼにアミノ酸が付加している
ムテインにおけるアミノ酸の付加としては、ペプチドを
発現する際に用いられる開始コドンに基因するメチオニ
ンや、シグナルペプチドの付加はこれに含まれないもの
である。付加されるアミノ酸の数としては、少なくとも
1個であるが、MAPキナーゼの特徴を失わない限り何
個でもよい。さらに好ましくは、MAPキナーゼ間で高
い相同性(ホモロジー)が認められているアミノ酸配列
の一部あるいはすべてが挙げられる。構成アミノ酸が欠
損しているMAPキナーゼのムテインにおける欠損して
いる構成アミノ酸の数としては、少なくとも1個である
がMAPキナーゼの有する特徴を失わない限り何個でも
よい。構成アミノ酸が別のアミノ酸で置換されているM
APキナーゼのムテインにおける置換される前のMAP
キナーゼの構成アミノ酸(被置換アミノ酸)の数として
は、少なくとも1個であるがMAPキナーゼの特徴を失
わない限り何個でもよい。置換される構成アミノ酸(被
置換アミノ酸)の例としては、システインあるいはシス
テイン以外のいずれのアミノ酸も対象となり得るが、シ
ステインが特に好ましく置換される。システイン以外の
被置換アミノ酸としては、アスパラギン酸、アルギニ
ン、グリシン、バリンなどが挙げられる。被置換アミノ
酸がシステインである場合には、置換するアミノ酸(置
換アミノ酸)としては、たとえば中性アミノ酸が好まし
い。該中性アミノ酸の具体例としては、たとえば、グリ
シン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、チ
ロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファ
ン、セリン、スレオニン、メチオニンなどが挙げられ
る。特に、セリン、スレオニンが好ましい。被置換アミ
ノ酸がシステイン以外のものである場合には、置換アミ
ノ酸としては、たとえば、アミノ酸の親水性、疎水性あ
るいは電荷の点で、被置換アミノ酸とは異なる性質をも
つものを選ぶ。具体的には被置換アミノ酸がアスパラギ
ン酸の場合には、置換アミノ酸としてアスパラギン、ス
レオニン、バリン、フェニルアラニン、アルギニンなど
が挙げられるが、特にアスパラギン、アルギニンが好ま
しい。被置換アミノ酸がアルギニンの場合には置換アミ
ノ酸としてグルタミン、スレオニン、ロイシン、フェニ
ルアラニン、アスパラギン酸が挙げられるが、特にグル
タミンが好ましい。被置換アミノ酸がグリシンである場
合には、置換アミノ酸としては、スレオニン、ロイシ
ン、フェニルアラニン、セリン、グルタミン酸、アルギ
ニンなどが挙げられ、特にスレオニンが好ましい。被置
換アミノ酸がセリンである場合には、置換アミノ酸とし
ては、メチオニン、アラニン、ロイシン、システイン、
グルタミン、アルギニン、アスパラギン酸などが挙げら
れ、特にメチオニンが好ましい。被置換アミノ酸がバリ
ンである場合には、置換アミノ酸としては、セリン、ロ
イシン、プロリン、グリシン、リジン、アスパラギン酸
などが挙げられ、特にセリンが好ましい。被置換アミノ
酸としては、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、
セリン、バリンが好ましく、置換アミノ酸としては、ア
スパラギン、グルタミン、アルギニン、スレオニン、メ
チオニン、セリン、ロイシンが好ましい。上記の置換に
おいては、2以上の置換を同時に行なってもよい。特
に、2または3個の構成アミノ酸が置換されるのが好ま
しい。上記のムテインは、上記した付加、欠損、置換の
2つまたは3つが組み合わさったものでもよい。該ムテ
インを製造するためには、特定部位指向性変異誘発技術
(Sitedirected mutegenesi
s)が採用される。該技術は周知であり、アール・エフ
・レイサー(Lather,R.F.)及びジェイ・ピ
ー・レコック(Lecoq,J.P.)、ジェネティッ
ク・エンジニアリング(Genetic Engine
ering)、アカデミックプレス社(1983年)第
31−50頁、に示されている。オリゴヌクレオチドに
指示された変異誘発はエム・スミス(Smith,
M.)及びエス・ギラム(Gillam,S.)、ジェ
ネティック・エンジニアリング:原理と方法、プレナム
プレス社(1981年)第3巻 第1−32頁に示され
ている。
【0010】該ムテインをコードする構造遺伝子を製造
するためには、たとえば、(a)MAPキナーゼの構造
遺伝子の1本鎖からなる1本鎖DNAを突然変異株オリ
ゴヌクレオチドプライマーと雑種形成させる(この1本
鎖で代替すべきシステイン用コドン、又は場合によりこ
のコドンと対合をつくるアンチセンス・トリプレットを
包含する領域に対して上記プライマーは相補的なもので
ある。但し、当該コドンの他のアミノ酸暗号化用コド
ン、又は場合によりアンチセンス・トリプレットとの不
一致はこの限りでない)、(b)DNAポリメラーゼに
よりプライマーを伸長させ、突然変異性ヘテロニ量体
(heteroduplex)を形成させる、及び、
(c)この突然変異性ヘテロニ量体を複製する。次に突
然変異化された遺伝子を運搬するファージDNAを単離
し、プラスミドへ組み込む。このようにして得られたプ
ラスミドで適当な宿主を形成転換し、得られた形質転換
体を培地に培養することにより、ムテインを製造するこ
とができる。本発明における抗原としてのMAPキナー
ゼの構成アミノ酸が欠損したムテインとしては、MAP
キナーゼのアミノ酸配列のうちのアミノ酸の個数が10
0個以上のものからなるムテインが好ましく、さらに好
ましくは110個以上のムテインがあげられる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のヒトMAPキナーゼ(E
RK1)、ヒトMAPキナーゼ(ERK2)などのMA
Pキナーゼに対するモノクローナル抗体を製造するに
は、MAPキナーゼ、そのムテインまたはその部分ペプ
チドを哺乳動物に免疫し、得られた脾臓細胞と哺乳動物
のリンパ球様細胞とを細胞融合させ、次いでクローン化
することにより製造される。該MAPキナーゼ、そのム
テインまたはその部分ペプチドを免疫するに際しては、
MAPキナーゼをキャリヤー蛋白との複合体としてか
ら、これを免疫に用いてもよい。該キャリヤー蛋白とし
ては、たとえばウシ血清アルブミン、ウシサイログロブ
リン、ヘモシアニンなどが挙げられる。キャリヤー蛋白
複合体を用いる場合に、キャリヤー蛋白とMAPキナー
ゼとのカップリング比率は、約0.1〜30倍(キャリ
ヤー/MAPキナーゼ:重量比)で用いられる。望まし
くは約0.5〜5倍が用いられる。また、ハプテンとキ
ャリヤーとのカップリングには、種々の縮合剤を用いる
ことが出来るが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド
等が好都合に用いられる。
【0012】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)などのM
APキナーゼまたは複合体を用いて免疫するに際し、免
疫する哺乳動物は、羊、山羊、兎、モルモット、ラッ
ト、マウス等の実験動物が使われるが、モノクローナル
抗体を得るためには、ラット、マウスが好ましい。免疫
方法は、例えばマウスを免疫する場合、腹腔内、静脈
内、筋肉内、皮内、皮下等のいずれのルートからでも可
能であるが、主として皮下、腹腔内、静脈内に(とりわ
け皮下)注入するのが好ましい。また、免疫間隔、免疫
量等も可変度は高く、種々の方法が可能であるが、たと
えば2週間隔で約2〜6回免疫し、最終免疫後、約1〜
5日、好ましくは約2〜4日後に摘出した脾臓細胞を用
いる方法がよく用いられる。免疫量は1回にペプチド量
として、マウス当り約0.1μg以上、好ましくは約1
0μg〜300μg用いることが望ましい。又、脾臓を
摘出する前には、部分採血を行い、血中の抗体価の上昇
を確認した上で、脾臓細胞を用いる融合を行うことが望
ましい。上記の細胞融合は例えば摘出したマウスの脾臓
細胞を、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルト
ランスフェラーゼ欠損(HGPRT~)や、チミジンキ
ナーゼ欠損(TK~)の様なマーカーを持った適切な同
種または異種(好ましくは同種)のミエローマ〔例、P
3−X63−Ag・8U1(市森他 ジャーナル・オブ
・イムノロジカル・メソッド、第80巻、第55頁(1
985)〕等の、リンパ球様細胞株との間で融合させ
る。例えばケーラーおよびミルスタインらの方法〔ネイ
チャー(Nature)第256巻、第495頁(19
75)〕に準じ融合させることにより製造される。たと
えばミエローマ細胞と脾細胞とを約1:5の割合で、た
とえばイスコフ培地とハムF−12培地を1:1に混合
した培地(以下IH培地と称する。)に懸濁させ、セン
ダイウイルス、ポリエチレングリコール(PEG)等の
融合剤が用いて融合することができる。もちろんジメチ
ルスルホキシド(DMSO)その他の融合促進剤をこれ
らに替えて加えることも可能である。PEGの平均分子
量は、ふつう約1000〜9000、反応時間は約0.
5〜30分、濃度は約10%〜80%等が用いられる
が、好ましい条件の一例として、PEG6000を約3
5〜55%で約4〜10分処理することにより、効率よ
く融合させることが出来る。融合細胞は、ヒポキサンチ
ン−アミノプテリン−チミジン培地〔HAT培地:ネイ
チャー、第256巻、第495頁(1975)〕等を用
いて、選択的に増殖させることが出来る。
【0013】増殖してきた細胞の培養上清は、目的とす
る抗体の産生の有無についてスクリーニングを行うが、
抗体価のスクリーニングは次の様に行うことが出来る。
即ち、まず第1段階として免疫に用いた抗原ペプチドに
対する抗体産生の有無を、ラジオイムノアッセイ(RI
A)法またはエンザイムイムノアッセイ(EIA)法等
の方法で調べることが出来るが、これらの方法について
も種々の変法が可能である。好ましい測定法の一例とし
て、EIAを用いる一つの方法について述べる。セルロ
ースビーズ等の担体に、例えばウサギ抗マウスイムノグ
ロブリン抗体を常法に従ってカップリングさせておき、
これに測定したい培養上清や、マウスの血清を加え、一
定時間、定温(約4〜40℃を示す。以下においても同
様。)で反応させる。この後、反応物をよく洗った後、
酵素で標識した抗原ペプチド(酵素と抗原ペプチドを常
法に従いカップリングさせた後精製)を加え、一定時
間、定温で反応させる。反応物をよく洗った後、酵素基
質を加え、一定時間、定温で反応させ、その後、生成発
色物を吸光度または蛍光強度等で測定することが出来
る。選択培地で増殖を示し、かつ免疫に用いた抗原ペプ
チドに対する抗体活性のみられたウエルの細胞は、限界
希釈法等によりクローニングを行うことが望ましい。ク
ローン化された細胞の上清について同様にスクリーニン
グを行い抗体価の高いウエルの細胞を増やすことによ
り、免疫に用いた抗原ペブチドと反応性を示すモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマクローンが得られる。こ
のようにしてクローン化されたハイブリドーマを、液体
培地中で増殖させる。具体的には例えば、液体培地たと
えばRPMI−1640〔Moore,G.E.,ら、
ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエ
ーション(J.Am.Med.Assoc.)199,
549(1967)〕に約0.1〜40%の牛血清を加
えた培地等で約2〜10日間、好ましくは約3〜5日間
培養することにより、培養液から該モノクローナル抗体
を得ることができる。また、哺乳動物の腹腔内に接種
し、細胞を増殖させ、腹水を採取することにより抗体を
取得することが出来る。このためには、例えばマウスを
用いる場合、ミネラルオイル等を前もって接種したBA
LB/c等のマウスに約1×104〜1×107個、好ま
しくは約5×105〜2×106個のハイブリドーマを腹
腔内に接種し、約7〜20日後、好ましくは約10〜1
4日後に腹水液を採取する。腹水に生成蓄積した抗体
は、例えば硫安分画、DEAE−セルロースカラムクロ
マトグラフィー等の分離、精製法により、容易にモノク
ローナル抗体を純粋な免疫グロブリンとして単離するこ
とが出来る。このようにして、ヒトMAPキナーゼ(E
RK1)などのMAPキナーゼに対するモノクローナル
抗体が得られる。かかるモノクローナル抗体としては、
ヒトMAPキナーゼ(ERK1)とヒトMAPキナーゼ
(ERK2)又はヒトMAPキナーゼ(ERK1)とラ
ットなどのヒト以外のMAPキナーゼ(ERK1)にお
いて、アミノ酸配列が異なる領域を認識するモノクロー
ナル抗体が好ましく、なかでも、ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)の375〜376番目のVal−Leuを
含むカルボキシル末端付近のアミノ酸配列(例えば、I
le−Phe−Gln−Glu−Thr−Ala−Ar
g−Phe−Gln−Pro−Gly−Val−Leu
−Glu−Ala−Pro、(配列番号:12)など)
を認識するモノクローナル抗体(例えばHE113)が
好ましい。
【0014】本発明のヒトMAPキナーゼ(ERK1)
に対するモノクローナル抗体は、ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)と高感度に結合することから、ヒトMAP
キナーゼ(ERK1)測定用試薬として極めて有用であ
る。さらに生体臓器、組織中のヒトMAPキナーゼ(E
RK1)の測定を容易にすることは、ヒトMAPキナー
ゼ(ERK1)に関する基礎知見(例えば生体内分布)
を得る上からも極めて有用である。生体臓器、組織中の
ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の検出には通常酵素免
疫測定法(EIA法)などによる定量、あるいは蛍光抗
体法やRIA法が用いられるが、なかでもEIA法が好
ましい。また本発明抗体を用いこれらの臓器、組織中に
存在するヒトMAPキナーゼ(ERK1)の大きさを知
るにはタンパクのウエスタンブロッティング法が有効で
ある。この方法は臓器、組織由来の粗抽出液あるいはそ
の部分精製試料をアクリルアミド電気泳動した後、メン
ブランフィルターにトランスファーし、HRP標識抗ヒ
トMAPキナーゼ(ERK1)抗体で検出する。さらに
本発明抗体とヒトMAPキナーゼ(ERK1)との結合
能を利用し、抗体アフィニティーカラムを作製してヒト
MAPキナーゼ(ERK1)の精製に利用することもで
きる。ヒトMAPキナーゼ(ERK1)を検出、定量す
るために用いられる抗体分子は、そのフラクション
{例、F(ab′)2,Fab′もしくはFab}であ
っても良い。なかでも、標識剤を直接結合させる抗体分
子はFab′であることが好ましい。本発明のモノクロ
ーナル抗体は、このようにヒトMAPキナーゼ(ERK
1)の免疫化学的測定法における試薬として用いること
ができる。ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の免疫化学
的測定法によって、生体組織や細胞のヒトMAPキナー
ゼ(ERK1)の量及び活性を測定することができ、こ
れにより、たとえば種々の組織や細胞のヒトMAPキナ
ーゼ(ERK1)を測定することにより、種々の疾患に
おけるMAPキナーゼの関与を調べるために役立つと考
えられる。上記免疫学的測定法において、二種の抗体を
用いる測定法を行なうに際しては、一方の抗体として本
発明のモノクローナル抗体を用い、他方の抗体として、
本発明のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体
を用いることができる。このときヒトMAPキナーゼ
(ERK1)に対するモノクローナル抗体とポリクロー
ナル抗体との組合せや、ヒトMAPキナーゼ(ERK
1)に対するモノクローナル抗体と活性型MAPキナー
ゼに対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗
体との組合せ等を用いることができる。また、測定感度
を上げる目的で3種以上の抗体を適宜組み合わせて用い
ることもできる。
【0015】上記のヒトMAPキナーゼ(ERK1)に
対する抗体の他に、MAPキナーゼの被リン酸化部位の
アミノ酸配列をリン酸化したペプチド(合成ペプチド)
を免疫原として、活性型MAPキナーゼに対して特異的
な結合能を有する抗体を作製することに成功した。この
合成ペプチドの一例としては、 His−Thr−Gl
y−Phe−Leu−(Thr−PO32)−Glu−
(Tyr−PO32)−Val−Ala−Thr−Ar
g (配列番号:1)が挙げられ、これは、MAPキナ
ーゼが、蛋白質リン酸化酵素として働くためには、MA
Pキナーゼ内の特定の2ヶ所の被リン酸化部位(ヒトE
RK1については202残基目のスレオニンと204残
基目のチロシン、ヒトERK2については185残基目
のスレオニンと187残基目のチロシン)が、共にリン
酸化されることが必要かつ十分な条件であると考えられ
ているため、その近辺のアミノ酸配列を持ってきたもの
である。
【0016】活性型MAPキナーゼに対するポリクロー
ナル抗体を製造するためには、上記合成ペプチドなど免
疫原の部分ペプチドにより直接、またはこれを前記キャ
リヤー蛋白との複合体としてから、温血動物に接種され
る。上記抗体の製造に用いられる温血動物としては、例
えば哺乳温血動物(例、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ラッ
ト、マウス、モルモット、ウマ、ブタ)、鳥類(例、ニ
ワトリ、ハト、アヒル、ガチョウ、ウズラ)などが挙げ
られる。免疫原を、温血動物に接種する方法としては、
動物に接種する免疫原は、抗体産生に有効な量で良く、
例えば、ウサギに1回1mgを1mlの生理食塩水およ
びフロイントの完全アジュバントで乳化して、背部なら
びに後肢掌皮下に4週間おきに5回接種すると抗体を産
生させる場合が多い。このようにして、温血動物中に形
成された抗体を採取する方法としては、例えばウサギで
は、通常最終接種後7日から12日の間に耳静脈から血
液を採取し、遠心分離して血清として得られる。得られ
た抗血清は、通常、各抗原ペプチドを保持させた担体を
用いるアフィニティクロマトグラフィーで吸着した画分
を回収することによりポリクローナル抗体を精製するこ
とが出来る。活性型MAPキナーゼに対するモノクロー
ナル抗体の製造に当っては、ヒトMAPキナーゼ(ER
K1)に対するモノクローナル抗体の製造と同様の方法
が用いられる。
【0017】本発明の抗リン酸化ペプチド抗体(活性型
MAPキナーゼに対する抗体)は、活性型MAPキナー
ゼと特異的に高感度に結合することから、活性型MAP
キナーゼの測定用試薬、言い換えればMAPキナーゼの
活性測定用試薬として極めて有用である。この抗体を用
いることにより、放射性の化合物を用いずに、MAPキ
ナーゼの活性を検出または定量化することができる。さ
らに、生体臓器、組織中のMAPキナーゼの活性の測定
を容易にすることは、MAPキナーゼに関する基礎知見
を得る上からも極めて有用である。生体臓器、組織中の
活性型MAPキナーゼの検出には、通常酵素免疫測定法
(EIA)などによる定量、あるいは蛍光抗体法やRI
A法が用いられるが、なかでもEIA法が好ましい。ま
た、これらの臓器、組織中に存在する活性型MAPキナ
ーゼの大きさを知るには、ウエスタンブロッティング法
が有効である。この方法は臓器、組織由来の粗抽出液あ
るいはその部分精製試料をアクリルアミド電気泳動した
後、メンブランフィルターにトランスファーし、HRP
などで標識した抗活性型MAPキナーゼ抗体で検出す
る。さらに、本発明の抗活性型MAPキナーゼ抗体と活
性型MAPキナーゼとの結合能を利用し、抗体アフィニ
ティカラムを作製して活性型MAPキナーゼの精製に利
用することもできる。活性型MAPキナーゼを検出、定
量するために用いられる抗体分子は、そのフラクション
〔例えばF(ab’)2、Fab’もしくはFab〕で
あってもよい。なかでも、標識剤を直接結合させる抗体
分子は、Fab’であることが好ましい。本発明の抗活
性型MAPキナーゼ抗体(抗リン酸化ペプチド抗体)
は、このように活性型MAPキナーゼの免疫化学的測定
法における試薬として用いることができる。活性型MA
Pキナーゼの免疫化学的測定法によって、生体組織や細
胞の活性型MAPキナーゼの量、言い換えればMAPキ
ナーゼの活性を測定することができ、これにより、種々
の疾患におけるMAPキナーゼの活性化の関与を調べる
ために役立つと考えられる。さらに、本発明の抗ヒトM
APキナーゼ(ERK1)抗体(好ましくはモノクロー
ナル抗体)と抗活性型MAPキナーゼ抗体(抗リン酸化
ペプチド抗体)を組み合わせて用いることにより、例え
ばサンドイッチ酵素免疫測定法で、活性化されたヒトM
APキナーゼ(ERK1)のみを、ヒトMAPキナーゼ
(ERK2)や他の生物種のMAPキナーゼおよび不活
性型の各酵素と区別して定量することができる。同様
に、種々のMAPキナーゼに特異的な抗体を抗活性型M
APキナーゼ抗体と組み合わせれば、それぞれの種の活
性型MAPキナーゼを定量することができる。例えば、
本発明のMAPキナーゼ(ERK2)に特異的に結合す
る抗体と抗活性型MAPキナーゼ抗体とを組み合わせる
ことにより、活性型のERK2のみを定量することがで
きる。言い換えれば、ERK1とERK2の活性を区別
して測定することが可能となる。
【0018】種々のMAPキナーゼに特異的な抗体を製
造するには、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)またはヒ
トMAPキナーゼ(ERK2)、あるいはそのムテイン
または部分ペプチドなどを哺乳動物に免疫し、ポリクロ
ナール抗体の場合には、その血清を精製することによ
り、得ることができる。また、モノクローナル抗体の場
合には、免疫した動物の脾臓細胞と哺乳動物のリンパ球
様細胞とを細胞融合させ、次いでクローン化することに
より製造される。MAPキナーゼ、そのムテインまたは
その部分ペプチドを免疫するに際しては、MAPキナー
ゼをキャリヤー蛋白との複合体としてから、これを免疫
に用いてもよい。該キャリヤー蛋白としては、たとえば
ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、ヘモシア
ニンなどが挙げられる。キャリヤー蛋白複合体を用いる
場合に、キャリヤー蛋白とMAPキナーゼとのカップリ
ング比率は、約0.1〜30倍(キャリヤー/MAPキ
ナーゼ:重量比)で用いられる。望ましくは約0.5〜
5倍が用いられる。また、ハプテンとキャリヤーとのカ
ップリングには、種々の縮合剤を用いることが出来る
が、グルタルアルデヒドやカルボジイミド等が好都合に
用いられる。ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の部分ペ
プチドとしては、図6のヒトERK1(配列番号:8)
の内の54〜71番目の配列に相当するpeptide
(配列番号:9)、194〜209番目の配列に相当
するpeptide(配列番号:10)、283〜3
00番目の配列に相当するpeptide(配列番
号:11)、364〜379番目の配列に相当するpe
ptide(配列番号:12)およびこれらのアミノ
酸末端にCysを付加したペプチド(配列番号:13,
6,2,3)等が挙げられる。ヒトMAPキナーゼ(E
RK2)の部分ペプチドとしては、図11のヒトERK
2(配列番号:14)の内の266〜283番目の配列
に相当するpeptide(配列番号:15)、34
7〜360番目の配列に相当するpeptide(配
列番号:16)およびこれらのアミノ酸末端にCysを
付加したペプチド(配列番号:4,5)等が挙げられ
る。
【0019】MAPキナーゼまたは複合体を用いて免疫
するに際し、ポリクローナル抗体を製造するためには、
上記合成ペプチドなど免疫原の部分ペプチドにより直
接、またはこれを前記キャリヤー蛋白との複合体として
から、温血動物に接種される。上記抗体の製造に用いら
れる温血動物としては、例えば哺乳温血動物(例、ウサ
ギ、ヒツジ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウ
マ、ブタ)、鳥類(例、ニワトリ、ハト、アヒル、ガチ
ョウ、ウズラ)などが挙げられる。免疫原を、温血動物
に接種する方法としては、動物に接種する免疫原は、抗
体産生に有効な量で良く、例えば、ウサギに1回1mg
を1mlの生理食塩水およびフロイントの完全アジュバ
ントで乳化して、背部ならびに後肢掌皮下に4週間おき
に5回接種すると抗体を産生させる場合が多い。このよ
うにして、温血動物中に形成された抗体を採取する方法
としては、例えばウサギでは、通常最終接種後7日から
12日の間に耳静脈から血液を採取し、遠心分離して血
清として得られる。得られた抗血清は、通常、各抗原ペ
プチドを保持させた担体を用いるアフィニティクロマト
グラフィーで吸着した画分を回収することによりポリク
ローナル抗体を精製することが出来る。
【0020】モノクロナール抗体を得るためには、免疫
する動物は、ラット、マウスが好ましい。免疫方法は、
例えばマウスを免疫する場合、腹腔内、静脈内、筋肉
内、皮内、皮下等のいずれのルートからでも可能である
が、主として皮下、腹腔内、静脈内に(とりわけ皮下)
注入するのが好ましい。また、免疫間隔、免疫量等も可
変度は高く、種々の方法が可能であるが、たとえば2週
間隔で約2〜6回免疫し、最終免疫後、約1〜5日、好
ましくは約2〜4日後に摘出した脾臓細胞を用いる方法
がよく用いられる。免疫量は1回にペプチド量として、
マウス当り約0.1μg以上、好ましくは約10μg〜
300μg用いることが望ましい。又、脾臓を摘出する
前には、部分採血を行い、血中の抗体価の上昇を確認し
た上で、脾臓細胞を用いる融合を行うことが望ましい。
上記の細胞融合は例えば摘出したマウスの脾臓細胞を、
ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフ
ェラーゼ欠損(HGPRT~)や、チミジンキナーゼ欠
損(TK~)の様なマーカーを持った適切な同種または
異種(好ましくは同種)のミエローマ〔例、P3−X6
3−Ag・8U1(市森他 ジャーナル・オブ・イムノ
ロジカル・メソッド、第80巻、第55頁(198
5)〕等の、リンパ球様細胞株との間で融合させる。例
えばケーラーおよびミルスタインらの方法〔ネイチャー
(Nature)第256巻、第495頁(197
5)〕に準じ融合させることにより製造される。たとえ
ばミエローマ細胞と脾細胞とを約1:5の割合で、たと
えばイスコフ培地とハムF−12培地を1:1に混合し
た培地(以下IH培地と称する。)に懸濁させ、センダ
イウイルス、ポリエチレングリコール(PEG)等の融
合剤が用いて融合することができる。もちろんジメチル
スルホキシド(DMSO)その他の融合促進剤をこれら
に替えて加えることも可能である。PEGの平均分子量
は、ふつう約1000〜9000、反応時間は約0.5
〜30分、濃度は約10%〜80%等が用いられるが、
好ましい条件の一例として、PEG6000を約35〜
55%で約4〜10分処理することにより、効率よく融
合させることが出来る。融合細胞は、ヒポキサンチン−
アミノプテリン−チミジン培地〔HAT培地:ネイチャ
ー、第256巻、第495頁(1975)〕等を用い
て、選択的に増殖させることが出来る。
【0021】増殖してきた細胞の培養上清は、目的とす
る抗体の産生の有無についてスクリーニングを行うが、
抗体価のスクリーニングは次の様に行うことが出来る。
即ち、まず第1段階として免疫に用いた抗原ペプチドに
対する抗体産生の有無を、ラジオイムノアッセイ(RI
A)法またはエンザイムイムノアッセイ(EIA)法等
の方法で調べることが出来るが、これらの方法について
も種々の変法が可能である。好ましい測定法の一例とし
て、EIAを用いる一つの方法について述べる。セルロ
ースビーズ等の担体に、例えばウサギ抗マウスイムノグ
ロブリン抗体を常法に従ってカップリングさせておき、
これに測定したい培養上清や、マウスの血清を加え、一
定時間、定温(約4〜40℃を示す。以下においても同
様。)で反応させる。この後、反応物をよく洗った後、
酵素で標識した抗原ペプチド(酵素と抗原ペプチドを常
法に従いカップリングさせた後精製)を加え、一定時
間、定温で反応させる。反応物をよく洗った後、酵素基
質を加え、一定時間、定温で反応させ、その後、生成発
色物を吸光度または蛍光強度等で測定することが出来
る。選択培地で増殖を示し、かつ免疫に用いた抗原ペプ
チドに対する抗体活性のみられたウエルの細胞は、限界
希釈法等によりクローニングを行うことが望ましい。ク
ローン化された細胞の上清について同様にスクリーニン
グを行い抗体価の高いウエルの細胞を増やすことによ
り、免疫に用いた抗原ペブチドと反応性を示すモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマクローンが得られる。こ
のようにしてクローン化されたハイブリドーマを、液体
培地中で増殖させる。具体的には例えば、液体培地たと
えばRPMI−1640〔Moore,G.E.,ら、
ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエ
ーション(J.Am.Med.Assoc.)199,
549(1967)〕に約0.1〜40%の牛血清を加
えた培地等で約2〜10日間、好ましくは約3〜5日間
培養することにより、培養液から該モノクローナル抗体
を得ることができる。また、哺乳動物の腹腔内に接種
し、細胞を増殖させ、腹水を採取することにより抗体を
取得することが出来る。このためには、例えばマウスを
用いる場合、ミネラルオイル等を前もって接種したBA
LB/c等のマウスに約1×104〜1×107個、好ま
しくは約5×105〜2×106個のハイブリドーマを腹
腔内に接種し、約7〜20日後、好ましくは約10〜1
4日後に腹水液を採取する。腹水に生成蓄積した抗体
は、例えば硫安分画、DEAE−セルロースカラムクロ
マトグラフィー等の分離、精製法により、容易にモノク
ローナル抗体を純粋な免疫グロブリンとして単離するこ
とが出来る。このようにして、MAPキナーゼに対する
モノクローナル抗体が得られる。
【0022】本発明の抗MAPキナーゼ(ERK1)抗
体は、ヒトおよびラットのMAPキナーゼ(ERK1)
に結合能を有するが、ヒトおよびラットのMAPキナー
ゼ(ERK2)には結合しない。一方、本発明の抗MA
Pキナーゼ(ERK2)抗体は、ヒトおよびラットのM
APキナーゼ(ERK2)に結合能を有するが、ヒトお
よびラットのMAPキナーゼ(ERK1)には結合しな
い。このことから、これらの抗体は、各MAPキナーゼ
の検出、測定、精製などの免疫化学的な研究における試
薬として用いることができる。
【0023】さらに生体臓器、組織中のMAPキナーゼ
の測定を容易にすることは、MAPキナーゼに関する基
礎知見(例えば生体内分布)を得る上からも極めて有用
である。生体臓器、組織中のMAPキナーゼの検出には
通常酵素免疫測定法(EIA法)などによる定量、ある
いは蛍光抗体法やRIA法が用いられるが、なかでもE
IA法が好ましい。また本発明抗体を用いこれらの臓
器、組織中に存在するMAPキナーゼの大きさを知るに
はタンパクのウエスタンブロッティング法が有効であ
る。この方法は臓器、組織由来の粗抽出液あるいはその
部分精製試料をアクリルアミド電気泳動した後、メンブ
ランフィルターにトランスファーし、HRP標識抗MA
Pキナーゼ抗体で検出する。さらに本発明抗体とMAP
キナーゼとの結合能を利用し、抗体アフィニティーカラ
ムを作製してMAPキナーゼ(ERK1もしくはERK
2)の精製に利用することもできる。MAPキナーゼを
検出、定量するために用いられる抗体分子は、そのフラ
クション{例、F(ab′)2,Fab′もしくはFa
b}であっても良い。なかでも、標識剤を直接結合させ
る抗体分子はFab′であることが好ましい。本発明の
抗体は、このようにMAPキナーゼの免疫化学的測定法
における試薬として用いることができる。MAPキナー
ゼの免疫化学的測定法によって、生体組織や細胞のMA
Pキナーゼの量及び活性を測定することができ、これに
より、たとえば種々の組織や細胞のMAPキナーゼの量
や活性を測定することにより、種々の疾患におけるMA
Pキナーゼの関与を調べるために役立つと考えられ、種
々のMAPキナーゼ関連疾患の診断や原因の究明にも、
本発明の測定法を適用することができる。例えば、患部
の組織や細胞におけるMAPキナーゼの量や活性の程度
を正常な組織や細胞での値と比較し、診断の確定、疾患
の分類、適切な治療法・薬物の選択、疾患の原因の究明
等を行うことが可能になる。該疾患としてはMAPキナ
ーゼの量や活性の変化に起因する疾患であればいずれで
もよく、例えばガン関連疾患(脳腫瘍、胃癌、肺癌、甲
状腺癌、膵臓癌、白血病など)、代謝異常(糖尿病な
ど)、循環器系疾患(動脈硬化など)、アレルギー性疾
患(喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎など)、中枢神経
疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、老人性痴呆
など)、骨および関節疾患(リューマチなど)などが挙
げられる。また本測定法を使うことにより、種々の薬物
の作用機作を解明することができる。すなわち、様々な
組織や細胞内のMAPキナーゼの量や活性の変化を薬物
の存在下と非存在下で比較することにより、その薬物の
作用点を解明することが可能である。上記免疫学的測定
法において、二種の抗体を用いる測定法を行なうに際し
ては、本発明の抗体を組み合わせて用いることができ
る。また、測定感度を上げる目的で3種以上の抗体を適
宜組み合わせて用いることもできる。
【0024】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)などMA
Pキナーゼのまたは活性型MAPキナーゼの測定方法に
おいて用いられる担体上に保持された抗体(固相抗体)
における担体としては、例えば、ゲル粒子(例、アガロ
ースゲル〔例、セファロース4B、セファロース6B
(商品名、ファルマシア・ファインケミカル社(スエー
デン)製)〕、デキストランゲル〔例、セファデックス
G−75、セファデックスG−100、セファデックス
G−200(登録商標、ファルマシア・ファインケミカ
ル社(スエーデン)製)〕、ポリアクリルアミドゲル
〔例、バイオゲルP−30、バイオゲルP−60、バイ
オゲルP−100(登録商標、バイオラッド・ラボラト
リーズ社(米国)製)〕、セルロース粒子〔例、アビセ
ル(登録商標、旭化成製)、イオン交換セルロース
(例、ジエチルアミノエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース)〕、物理的吸着剤〔例、ガラス(例、
ガラス球、ガラスロッド、アミノアルキルガラス球、ア
ミノアルキルガラスロッド)、シリコン片、スチレン系
樹脂(例、ポリスチレン球、ポリスチレン粒子)、イム
ノアッセイ用プレート(例、ヌンク社(デンマーク)
製〕、イオン交換樹脂{例、弱酸性陽イオン交換樹脂
〔例、アンバーライトIRC−5(登録商標、ローム・
アンド・ハース社(米国)製)、ゼオカーブ226(商
品名、パームチット社(西ドイツ)製)〕、弱塩基性陰
イオン交換樹脂〔例、アンバーライトIR−4B、ダウ
エックス3(登録商標、ダウケミカル社(米国)製〕}
などが挙げられる。担体に抗体を保持させるためには、
公知の常套手段を応用し得るが、例えば、“代謝”、第
8巻、第696頁(1971年)に記載されているプロ
ムシアン法、グルタールアルデヒド法などが挙げられ
る。また、より簡便な方法として物理的に担体表面に吸
着させてもよい。標識剤を結合させた抗体(標識抗体)
における標識剤としては、放射性同位元素、酵素、蛍光
物質、発光物質などが挙げられるが、酵素を用いるのが
好ましい。酵素としては、安定で非活性の大きなものが
好ましく、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファター
ゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダー
ゼ等を用いることができるが、ペルオキシダーゼが好ま
しい。ペルオキシダーゼとしては、種々の起源のものを
用いることができるが、その例としてはたとえば西洋わ
さび、パイナップル、イチジク、甘藷、ソラマメ、トウ
モロコシなどから得られるペルオキシダーゼが挙げら
れ、特に西洋わさびから抽出されたホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ(horseradish per
oxidase)(HRP)が好ましい。
【0025】ペルオキシダーゼと抗体を結合するにあた
り、抗体分子としてのFab′のチオール基を利用する
ために、あらかじめペルオキシダーゼにマレイミド基を
導入したものを用いると好都合である。マレイミド基を
ペルオキシダーゼに導入する方法としては、ペルオキシ
ダーゼのアミノ基を介してマレイミド基を導入すること
ができる。そのためには、N−サクシニミジル−マレイ
ミド−カルボキシレート誘導体を用いることができ、好
ましくは、N−(γ−マレイミドブチルオキシ)サクシ
イミド(GMBSと略称することもある)などが良い。
従って、マレイミド基とペルオキシダーゼとの間に一定
の基が入っていることとなってもよい。GMBSをペル
オキシダーゼに反応させるには、両者を、pH約6ない
し8の緩衝液中で約10ないし50℃の温度で約10分
ないし24時間反応させることによって行われる。該緩
衝液としては、たとえば、pH7.0の0.1Mリン酸
緩衝液などが挙げられる。このようにして得られたマレ
イミド化ペルオキシダーゼは、たとえばゲルクロマトグ
ラフィーなどにより精製することができる。該ゲルクロ
マトグラフィーを行う際に用いられる担体としては、例
えば、セファデックスG−25〔登録商標、ファルマシ
ア・ファインケミカル社(スエーデン)製〕、バイオゲ
ルP−2〔登録商標、バイオラッド・ラボラトリーズ社
(米国)製〕などが挙げられる。マレイミド化ペルオキ
シダーゼと抗体分子との反応は、両者を緩衝液中で約0
℃ないし40℃の温度で、約1ないし48時間反応させ
ることにより行うことができる。該緩衝液としては、た
とえば、pH6.0の5mMエチレンジアミン四酢酸ナ
トリウム塩を含む0.1Mリン酸緩衝液などが挙げられ
る。このようにして得られたペルオキシダーゼ標識抗体
は、たとえばゲルクロマトグラフィーなどにより精製す
ることができる。該ゲルクロマトグラフィーを行う際に
用いられる担体としては、例えば、セファデックスG−
25〔ファルマシア・ファインケミカル社(スエーデ
ン)製〕、バイオゲルP−2〔バイオラッド・ラボラト
リーズ社(米国)製〕などが挙げられる。さらに、ペル
オキシダーゼにチオール基を導入し、マレイミド化され
た抗体分子と反応させても良い。ペルオキシダーゼ以外
の酵素を抗体に直接結合させるには、ペルオキシダーゼ
の場合に準じて行なうことができ、また、自体公知のグ
ルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、水溶性カルボジイ
ミド法などが用いられる。
【0026】本発明の測定系における被検試料として
は、組織、細胞、細胞株や菌体の抽出液またはそれらの
培養上清が挙げられる。本発明の測定方法の例として、
標識剤がペルオキシダーゼの場合について以下に具体的
に説明するが、ペルオキシダーゼに限定されるものでは
ない。まず、:担体に保持された抗体に、測定すべき
ヒトMAPキナーゼ(ERK1)あるいは活性型MAP
キナーゼなどの各種MAPキナーゼ含有の分析対象物を
加えて、被検体を抗体に接触させ抗原抗体反応を行った
後、これに、前記で得られたペルオキシダーゼと抗MA
Pキナーゼ抗体との結合物(酵素標識抗体)を加えて反
応させる。 :で得られた反応生成物にペルオキシダーゼの基質
を加え、生じた物質の吸光度もしくは蛍光強度を測定す
ることにより上記の反応生成物の酵素活性を知る。 :上記〜の操作を既知量のヒトMAPキナーゼ
(ERK1)あるいは活性型MAPキナーゼなどの各種
MAPキナーゼの標準溶液に対してあらかじめ行い、標
準蛋白量と吸光度もしくは蛍光強度との関係を標準曲線
として作成しておく。 :未知量のMAPキナーゼを含む分析対象物(被検試
料)について得られた吸光度もしくは蛍光強度を標準曲
線にあてはめ、分析対象物の各種MAPキナーゼの量を
測定する。本発明で得られた抗体を用いてヒトMAPキ
ナーゼ(ERK1)あるいは活性型MAPキナーゼなど
の各種MAPキナーゼを精製することができる。これに
は、該抗体を用いてアフィニティーカラムクロマトグラ
フィーを行なうことにより行なうことができる。該アフ
ィニティーカラムクロマトグラフィーは、たとえば、該
抗体を適切な担体にカップリングさせ、これをカラムに
充填し、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)あるいは活性
型MAPキナーゼを含む溶液をカラムに通し吸着させ、
次いで溶出させることにより行なうことができる。該担
体としては、たとえば、先に記載された担体と同様のも
のが挙げられる。とりわけゲル粒子や各種合成樹脂が好
都合に用いられる。たとえばCNBr−活性化セファロ
ース4B(ファルマシア・ファインケミカル社製)、ア
フィゲル−10、アフィゲル15(商品名、バイオラッ
ド・ラボラトリー社製)などが挙げられる。抗体を担体
にカップリングさせるには、公知の常套手段を応用し得
るが、たとえば“代謝”、第8巻、第696頁(197
1年)に記載されているブロムシアン法、グルタールア
ルデヒド法が挙げられる。また、水溶性カルボジイミド
を用いる方法、活性エステル法なども用いることができ
るが、より簡単な方法として物理的に担体表面に吸着さ
せてもよい。
【0027】このようにして得られた抗体結合担体を用
いて精製を行なうには、抗体を結合させた担体を充填し
た抗体カラムに中性付近の緩衝液中に調製したMAPキ
ナーゼ溶液を供し、各種MAPキナーゼを吸着させる。
次にカラムを同じ緩衝液で洗浄したのち、特異的に吸着
されたMAPキナーゼを溶出させる。特異的に吸着され
たMAPキナーゼを溶出するには、たとえば、低pHも
しくは高pHの緩衝液、高濃度の塩を含有する緩衝液を
用いて行なわれる。該低pHの緩衝液としては、たとえ
ばpH2.3の0.17Mグリシン−塩酸緩衝液、pH
1.8の0.1M第二クエン酸ナトリウム−塩酸緩衝液
などが挙げられる。該高pHの緩衝液としては、たとえ
ばpH11のアンモニア水、pH11.7の0.2Mホ
ウ酸ナトリウム緩衝液などが挙げられる。該高濃度の塩
を含有する緩衝液としては、たとえば6Mグアニジン塩
酸溶液、7M尿素溶液などが挙げられる。上記の溶出
は、バッチ法でもよく、またカラムを用いる方法でもよ
い。抗原の溶出液はたとえば透析して精製する。たとえ
ば低pHの緩衝液で溶出した時は、たとえば0.1M炭
酸ナトリウム緩衝液(pH10.5)などの高pH緩衝
液、高pHの緩衝液で溶出した時は、たとえば0.1M
グリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)などの低pH緩衝
液で中性化したのち、たとえば0.1%NaN3 を含む
0.02Mリン酸食塩緩衝液(pH8.0)に対して透
析する。また高濃度の塩を含有する緩衝液で溶出した抗
原液は直接上記のリン酸食塩緩衝液に透析して保存する
こともできる。また、上記溶出液または透析液を凍結乾
燥して得られた凍結乾燥標品として保存することもでき
る。このようにして本発明の抗体を用いて精製される各
種MAPキナーゼは、極めて高純度、高単位のものであ
り、種々の細胞内情報伝達系の研究において試薬として
用いるのに有用であると考えられる。
【0028】本発明明細書および図面において、塩基や
アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IU
B Commision on Biochemica
lNomenclatureによる略号あるいは当該分
野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記
する。また、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合
は、特に明示しなければL−体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA:相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 dATP:デオキシアデノシン三リン酸 dTTP:デオキシチミジン三リン酸 dGTP:デオキシグアノシン三リン酸 dCTP:デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 Tdr :チミジン EDTA:エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニールアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン Clz :2−クロロベンジルオキシカルボニル BrZ :2−プロモベンジルオキシカルボニル Bzl :ベンジル Boc :t−ブトキシカルボニル
【0029】
【実施例】以下に実施例をもって、本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらによってなんら限定され
るものではない。なお、後述の実施例で得られた本発明
の抗体産生ハイブリドーマは、次に示すように寄託され
ている。 (IFO) (NIBH) 動物細胞 IFO No. FERM No. マウスハイブリドーマHE113 50453 BP−5456 (1995.3.28) (1995.4.4) IFO:財団法人発酵研究所(大阪) NIBH:通商産業省工業技術院生命工学技術研究所 表中( )内は受託日を示す。マウスハイブリドーマH
E113は、1995年4月4日にNIBHに受託番号
FERM P−14876として寄託され、該寄託は1
996年3月11日にブダペスト条約に基づく寄託に切
り換られて、受託番号FERM BP−5456として
NIBHに保管されている。
【0030】実施例1 ヒトMAPキナーゼ(ERK
1)蛋白質の調製 標記の蛋白質をコードするcDNAの配列は公知である
〔David L.Charestら、モレキュラー・
セルラー・アンド・バイオロジー(Mol.Cell.
Biol.),第13巻、第4679−4690頁(1
993)〕。このcDNAを得るために、図1に示した
2種類のDNA鎖を合成した(配列番号:17、配列番
号:18)。ヒト由来の培養細胞WI−38〔エクスペ
リメンタル・セルラー・リサーチ(Exp.Cell.
Res.),第25巻、第585頁、ATCC CCL
−75〕から得た総RNAを鋳型として、ランダムヘキ
サプライマーと逆転写酵素(GIBCO BRL社、S
uper Script)を用いてcDNAを合成し
た。このcDNAに、Taq DNAポリメラーゼ(シ
ータス社)と、上記の2種の合成DNAを加えて、94
℃で1分、55℃で1分、72℃で3分を1サイクルと
して、35サイクルのPolymerasechain
reactionを行った。反応後、5%のアクリル
アミドゲルで電気泳動を行い、ヒトERK1 cDNA
の鎖長から予想される移動度を示すDNA鎖の部分を切
りとり、1mMのEDTAを含む10mMトリス塩酸バ
ッファー中に懸濁させて一晩静置し、cDNAを溶出さ
せた。これを用いて、図2に示した方法で該蛋白質の大
腸菌内での発現系を構築した。誘導的に発現させるため
に、T7ファージのプロモーターの系を用いた。〔St
udier,F.W.等、メソッズ・イン・エンザイモ
ロジー(METHODS IN ENZYMOLOG
Y)、第185巻、第60−89頁〕。クローニングさ
れたcDNAの塩基配列は、ジデオキシヌクレオチドを
用いた合成鎖停止法〔Sanger,F.らProc.
Natl.Acad.Sci.U.S.A、第74巻、
第5463−5467頁(1977)〕で確認した。B
oulton,T.G.等の方法〔セル(Cell)、
第65巻、第663−675頁〕に従って該蛋白質の発
現と精製を行い、最終的にSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(SDS−PAGE)〔ラエムリら、ネイ
チャー、第227巻、第680−685頁(197
0)〕後のクマジ−ブリリアントブルー(R−250)
による染色で、ほぼ単一のバンドとして検出されるまで
精製された該蛋白質を得た(図3)。
【0031】実施例2 抗ヒトMAPキナーゼ(ERK
1)モノクローナル抗体の取得 (1)免疫 BALB/cマウス(♀8週令)に対し、実施例1で得
られたヒトMAPキナーゼ(ERK1)10μgとフロ
インド完全アジュバント(Difco Laborat
ories、米国)の混合物を皮下に接種した。2週間
後にヒトMAPキナーゼ(ERK1)10μgとフロイ
ンド不完全アジュバント(Difco)の混合物を同マ
ウス皮下に接種し、同様の免疫を約2週間の間隔で、さ
らに5回行い、最終免疫から17日後に、50mMトリ
ス−塩酸(pH7.4)に溶かした100μgのヒトM
APキナーゼ(ERK1)を同マウスの静脈内に接種し
た。 (2)細胞融合 上記(1)で得られた免疫マウスより、抗原最終免疫の
3日後脾臓を摘出し、細胞融合に用いる細胞を取得し、
MEM培地に懸濁した。マウスミエローマ細胞P3−X
63−Ag・8U1(P3U1)は5%ウシ胎仔血清を
含有するGIT培地(日本製薬)で5%炭酸ガス、95
%空気の条件で継代培養した。細胞融合はケーラーとミ
ルスタインが確立した分法〔ネイチャー(Natur
e)第256巻、第495頁(1975)〕に準じ行っ
た。P3U1細胞6.9×107個と上述の方法で得ら
れた免疫された脾臓細胞3.2×108 個を混合し、遠
心後、細胞にあらかじめ37℃に加温した0.5mlの
MEM培地に溶解した45%PEG6000を、ゆっく
り滴下した。7分後37℃に加温したMEM培地を1分
間に0.5mlずつ加え15mlとした後、室温で60
0回転15分間遠心し上清を除去した。この細胞沈澱物
を5%ウシ胎仔血清を含有するGIT培地210mlに
懸濁し、96穴マイクロプレート(ヌンク社、Nape
rville,IL)に100μlずつ2064ウエル
に播種した。1日後、HAT(ヒポキサンチン1×10
~4M、アミノプテリン4×10~7M、チミジン1.6×
10~5M)を含んだGIT培地(5%牛胎仔血清含有)
(以下HAT培地と称する)を各ウエルに150μlず
つ添加し、さらに3日おきに、培地の1/2量を新しい
HAT培地と交換した。このようにして生育した細胞は
雑種細胞である。
【0032】(3)抗体産生細胞の検索 実施例(1)記載の方法で精製されたヒトMAPキナー
ゼ(ERK1)を0.5μg/mlになるように10m
M炭酸緩衝液(pH8.0)で希釈し、その100μl
を96穴イムノプレート(ヌンク社)の各ウエルに入れ
4℃一夜放置し、固相にヒトMAPキナーゼ(ERK
1)を結合させた。PBSで洗浄した後、余剰の結合部
位を塞ぐため、ブロックエース(雪印乳業)を20%含
有するPBSを250μlずつウエルに注入して、使用
時まで冷所に保存した。以上のようにして得られたヒト
MAPキナーゼ(ERK1)を結合した96穴イムノプ
レートに、雑種細胞上清を100μlずつ加え室温で2
時間インキュベートした。培養上清を除去、洗浄後、2
次抗体としてHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(カペ
ル社、米国)を加え室温で2時間インキュベートした。
2次抗体を除去し、よくウエルを洗浄した後、HRP用
基質溶液(0.02% H22と0.15%o−フェニ
レンジアミンを含むpH5.5のクエン酸ナトリウム緩
衝液)を100μl加え、25℃で10分反応させ、2
N硫酸100μlを加えることにより酵素反応を停止さ
せた後、マイクロプレート用自動比色計(MTP−3
2、コロナ社)を用い、492nmにおける吸光度を測
定した。その結果1ウエルにヒトMAPキナーゼ(ER
K1)に結合性を示す抗体の存在を認めた。 (4)雑種細胞のクローニング 抗体の存在を認めたウエルの細胞を、1ウエルあたり
0.5個となるように、予め5×104 個/ウエルのマ
ウス胸腺細胞を栄養細胞として播いておいた96穴マイ
クロプレートに播き、クローニングを行った。その結
果、代表的なクローン細胞1種(マウスハイブリドーマ
HE113)を得た。
【0033】(5)抗体の製造 上記(4)においてクローニングによって得られたハイ
ブリドーマクローンをそれぞれあらかじめ0.5mlの
ミネラルオイルを腹腔内に投与しておいたBALB/c
マウスの腹腔内に1匹あたり1×106個接種すること
により腹水化を行った。ハイブリドーマを腹腔に投与し
て10日後、腹水を採取した。得られたそれぞれの腹水
約10mlから、ステーリンら〔ジャーナル オブ バ
イオロジカルケミストリー、第256巻、第9750−
9754頁(1981)〕の方法に準じてモノクローナ
ル抗体を精製した。まず腹水からフィブリン様物質を除
去するため10,000回転15分間遠心した後、PB
S(8.1mM−リン酸二ナトリウム、1.5mMリン
酸カリウム、27mM KC1、137mM NaC
l、pH7.2)で280nmの紫外部吸収(A280
が12〜14の値を示す濃度に希釈した。希釈後サンプ
ルに飽和硫酸アンモニウム溶液を47%の濃度になるよ
うに加え、4℃で攪拌しながら60分間塩析を行い、そ
の後遠心(10,000回転、15分間)を行なって沈
澱物を得た。沈澱物を50mM NaCl含有20mM
トリス緩衝溶液(pH7.9)に溶融し、同溶液2リッ
トルに対して透析を行った。2時間後、2リットルの新
しい同じ透析液に換え、さらに15分間透析を行った。
透析後、沈澱を除去するため10,000回転15分間
遠心を行い、上清をA280の値が20〜30の濃度にな
るように調製した。このサンプルを充分量の50mM−
NaCl含有トリス緩衝溶液で平衡化した20mlのD
EAEセルロースカラム(ワットマンDE52)にかけ、
50mM NaCl含有トリス緩衝溶液でよく洗った
後、50mM−500mM NaClを含む同緩衝液の
濃度勾配塩溶液を用いて1.5ml/分の流出速度で分
画を行って素通り画分を濃縮し、精製モノクローナル抗
体HE113を得た。抗体の純度の確認にはSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を
用いた。すなわち、硫安塩析し、DEAEセルロースカ
ラムで素通りした画分を、2−メルカプトエタノールで
還元し、アクリルアミド濃度10%のゲルを用いて18
0ボルトで2.5時間泳動を行った。その結果、分子量
52KDa前後にH鎖、28KDa前後にL鎖の2つの
バンドが認められた。
【0034】実施例3 抗体の特徴 (1)ウエスタンブロット法 ヒト由来の細胞であるPC−3(ATCC CRL−1
435)、DU145(ATCC HTB−81)、M
DA−MB−453(ATCC HTB−131)、J
urkat(ATCC TIB−152)、CCRF−
CEM(ATCC CCL−119)、およびラット由
来の細胞であるPC−12(ATCCCRL−172
1)を、それぞれATCCのカタログに示された培養液
で組織培養用シャーレ(ファルコン3003)で一面に
生育するまで培養し、SDSとメルカプトエタノールを
含む溶液で溶解し、95℃で5分間加温した。これを、
10%ゲルでのSDS−PAGEにかけた後、蛋白をメ
ンブランフィルターにトランスファーし、実施例2で得
られたモノクローナル抗体と反応させた。さらに、アル
カリフォスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体を反
応させ、フォスファターゼ活性を利用して発色させた
(図4)。その結果、ヒト由来の全ての細胞で、ERK
1が検出されたが、ERK2は検出されなかった。ま
た、ラットのERK1,ERK2のどちらも検出されな
かった。対照として用いた市販のモノクローナル抗体
(クローンMK1:BIO DESIGN社;クローン
B9:BUIカタログ(1993)第33頁)では、ヒ
トERK1の外、ヒトERK2、ラットERK1、及び
ラットERK2が明確に検出されていることから、本発
明で得られたモノクローナル抗体HE113は、ヒトE
RK1のみと結合するものと考えられる。 (2)EIA法 実施例1で報告したものと同じ方法でヒトERK2 c
DNAをクローニングした。さらに、ヒトERK1 c
DNAとヒトERK2 cDNAをそれぞれプラスミド
pGEX−4T−2(Pharmacia)にクローニ
ングし、ヒトERK1およびヒトERK2蛋白をGST
(グルタチオンSトランスフェラーゼ)蛋白との融合蛋
白として発現させ、Smith,D.B.らの方法〔G
ene第67巻、第31−40頁〕に従ってグルタチオ
ンセファロース(Pharmacia)カラムで精製し
た。これらの蛋白をコートしたイムノプレート(ヌン
ク)を用い、実施例2−(3)で述べたのと同じEIA
法でモノクローナル抗体の結合性を調べたところ、GS
T−ヒトERK1蛋白をコートした場合には、得られた
モノクローナル抗体は強い結合を示したが、一方、GS
T−ヒトERK2蛋白をコートした場合には、結合を示
さなかった(図5)。この結果からもヒトERK1に対
する高い特異性が分かる。 (3)抗体の認識部位 得られたモノクローナル抗体がヒトERK1蛋白のどの
領域を認識しているのかを調べるために、ヒトERK1
(配列番号:8)の様々な領域のアミノ酸配列をもつ合
成ペプチド(Peptide−1〜Peptide−
4)(図6)(配列番号:9,配列番号:10,配列番
号:11,配列番号:12)を上記のEIAの系に加え
て、その影響を調べた。この結果(図7)から、抗体が
蛋白のカルボキシル末端付近の配列(Peptide−
4)(配列番号:12)を認識していることが分かっ
た。また、この抗体は、ラットERK1とは結合しない
ので、ヒトとラットで異なる375番目のバリンと37
6番目のロイシンを含む領域を認識していると考えられ
る。
【0035】実施例4 抗体のサブクラスの測定 実施例2で得られたモノクローナル抗体(HE113)
のサブクラスを次の方法で調べた。モノクローナル抗体
を96穴イムノプレートにコートし、洗浄後ウサギ抗マ
ウスγ1,γ2a,γ2b,γ3,κ鎖,λ鎖に対する抗体
(カペル社)をそれぞれ100μl入れ室温で2時間イ
ンキュベートした。それぞれの抗体を除去,洗浄後HR
P標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(カペル社)を加え室温
で2時間インキュベートした。標識抗体を除去し、よく
洗浄した後、実施例2−(3)に記載した方法で酵素反
応を行い、吸光度を測定した。その結果、HE113
は、γ2a、κのサブクラスに属する抗体であることが判
明した。
【0036】実施例5 抗体を用いたヒトMAPキナー
ゼ(ERK1)の定量法 実施例2で得られたモノクローナル抗体と、ヒトMAP
キナーゼのカルボキシル末端付近のアミノ酸配列をもつ
合成ペプチドをウサギに免疫して得られたポリクローナ
ル抗体を組み合わせて、サンドイッチEIA法によるヒ
トMAPキナーゼ(ERK1)の定量法を開発した。 (1)ポリクローナル抗体の作成 図6に示したpeptide−4のアミノ末端にシステ
インを付加したペプチドを合成し、GMBS〔N-(Malei
midobutyryloxy)Succinimide、同仁化学研究所〕を用い
て、システインのSH基を介して Bovine Thyroglobuli
n(BTG,シグマ)に結合させた。ウサギ(ニュージーランド
ホワイト、オス、2.5kg)に対し、上記のペプチド
の結合したBTG(0.2mgのペプチドを含む)とフ
ロインド完全アジュバント(Difco Laboratories,米国)
の混合物を皮下に接種した。その後は、不完全アジュバ
ントとの混合物を2週間おきに接種し、4回目の接種か
ら一週間後に採血を行い、血清を得た。得られた血清を
同じ体積の飽和硫安と混合し、沈殿した蛋白質を遠心に
より回収した。この沈殿をPBS(8.1mMリン酸二
ナトリウム、1.5mMリン酸カリウム、27mM塩化
カリウム、137mM塩化ナトリウム、pH7.2)に
溶解し、血清の時と同じ体積の溶液にした。これを、ポ
アサイズ0.22μmのフィルター(ミリポア社)でろ
過した後、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で2倍
に希釈し、HiTrap Protein G カラム(Ph
armacia Biotech社)にかけた。10mlの20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄した後、3ml
の0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH2.7)でIg
Gを溶出し、150μlの1.0Mトリス−塩酸緩衝液
(pH9.0)を加えて中和した。得られたIgG画分
を、500mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸
緩衝液(pH7.0)で2倍に希釈し、抗体を、免疫に
用いたペプチドを結合させたHiTrap NHS−a
ctivated カラム(Pharmacia Biotech)に結合さ
せ、500mMの塩化ナトリウムを含む100mMグリ
シン−塩酸緩衝液(pH2.0)で溶出し、上記と同様
に中和した。 (2)抗体のビオチン標識 精製した抗体を0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(p
H8.2)に対して透析し、最終的に1mg/mlの濃
度に合わせた。1ml当り60μgのNHS−LC−B
iotin(PIERCE 社)を加えて、室温で4時間混合し
続けた後、0.01%チメロサールを含むPBSに対し
て、4℃で透析した。 (3)EIA系の設定 実施例2で得られたモノクローナル抗体を、10mMの
炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8.0)で20μg/
mlに希釈し、EIA用の96穴プレート(コーニング
社、No.430480)の各穴に100μlずつ加え、4℃で一
晩放置し、固相に抗体を結合させた。PBS(8.1m
Mリン酸二ナトリウム、1.5mMリン酸カリウム、2
7mM塩化カリウム、137mM塩化ナトリウム、pH
7.2)で2回洗浄した後、25%ブロックエース(雪
印乳業)を含むPBSを300μlずつ各穴に加え、使
用時まで冷所に保存した。このプレートを、0.05%
のTween20を含むPBSで2回洗浄し、上記のブ
ロックエースを含むPBSで種々の濃度に希釈したGS
TとERK1の融合蛋白の溶液を、100μlずつ各穴
に加え、4℃で一晩静置した。0.05%Tween2
0を含むPBSで3回洗浄した後、0.1%BSAを含
むPBSで1000倍に希釈した、ビオチン標識したポ
リクローナル抗体を100μlずつ各穴に加え、室温で
2時間静置した。0.05%Tween20を含むPB
Sで4回洗浄した後、あらかじめ30分間混合しておい
たビオチン標識された西洋ワサビペルオキシダーゼ(H
RP)とアビジン(共にベクター ラボラトリー社製、
ベクタステイン エリート ABCキットを1000倍希
釈)を100μlずつ各穴に加えて、室温で1時間静置
した。0.05%Tween20を含むPBSで6回洗
浄した後、HRP基質溶液を加え、実施例2−(3)記
載と同様の方法で酵素反応を行い、492nmにおける
吸光度を測定した。その結果、本測定系でのERK1の
検出限界は約70pg/assay であった(図8)。
【0037】〔参考例1〕合成ペプチド His−Th
r−Gly−Phe−Leu−(Thr−PO32)−
Glu−(Tyr−PO32)−Val−Ala−Th
r−Arg (配列番号:1)の合成 上記ペプチドの合成は、アプライドバイオシステム社の
自動ペプチド合成機を用いた固相合成法にて行った。基
本的に、Boc法〔Merrifield,R.B.ら、アドバンス・
オブ・エンザイモロジー(Adv.Enzymol.),第32巻,第22
1-296頁(1969)〕に順じて合成を行った。脱保護の後、
逆相のHPLCで精製し、アミノ酸組成の分析と質量分
析を行い、予想値と一致することを確認した。
【0038】動物の免疫等に用いた、その他のペプチド
も、上記と同様にして、化学的に合成した。
【0039】実施例6 活性型MAPキナーゼと特異的
に結合する抗体の作成 MAPキナーゼが、蛋白質リン酸化酵素として働くため
には、MAPキナーゼ内の特定の2ヶ所の被リン酸化部
位(ヒトERK1については202残基目のスレオニン
と204残基目のチロシン、ヒトERK2については1
85残基目のスレオニンと187残基目のチロシン)
が、共にリン酸化されることが必要かつ十分な条件であ
ると考えられている〔Neil G. Anderson ら、Nature、
第343巻、第651-653頁(1990)〕。活性化されたMAPキ
ナーゼと特異的に結合する抗体を得るために、参考例1
で合成した、配列が His−Thr−Gly−Phe
−Leu−(Thr−PO32)−Glu−(Tyr−
PO32)−Val−Ala−Thr−Arg である
合成ペプチドを、グルタルアルデヒド(和光純薬)を用い
てBTGに結合させた(この配列は、ヒトERK1、ヒ
トERK2、ラットERK1およびERK2において、
同一である。)。実施例5で述べたのと同じ方法でウサ
ギを免疫し、血清を得て、IgG画分にまで精製した。
実施例5−(1)と同じ方法で、免疫に用いたのと同じ
合成ペプチドを結合させたカラムに、上記のIgGを通
し、結合した画分を回収した。さらに、アミノ酸配列に
関係なく、リン酸化チロシンさえあれば結合する抗体を
除くため、リン酸化チロシンを結合させたカラムを作製
し、先の回収画分をこのカラムに通し、素通りした画分
を集めた。さらに、リン酸化スレオニンを結合させたカ
ラムを通し、素通り画分を得た。最後に、免疫したペプ
チドと同じアミノ酸配列を含む非リン酸化ペプチド(図
6のpeptide−2)を結合させたカラムを通し、
素通り画分を回収して、以後の実験に用いた。
【0040】実施例7 実施例6で得られた抗体の特異
性の検討 上述の各精製の段階で、特異性が向上しているかどう
か、ウエスタンブロッティング法で調べた。ヒト由来の
細胞であるA−431(ATCC CRL−1555)
を培養シャーレ(FALCON 3003)に10%の
牛胎児血清を含むDMEM培地で5%CO2、37℃の
条件で培養し、培地を血清を含まないものと交換してか
ら16時間後に、終濃度100ng/mlのヒトEGF
を加えて10分間培養を続けた。培地を除去し、冷却し
たPBS(実施例2−(5))で2回洗浄した後、電気
泳動用溶解液(62.5mMトリス−塩酸(pH6.
8)、2%SDS、5%メルカプトエタノール、10%
グリセロール)500μlを加えて細胞を溶解させ、9
5℃で5分間加熱した。この細胞溶解液を、EGF刺激
していない細胞から作成した溶解液と並べて10%ゲル
でのSDS−PAGEにかけ、各精製段階の抗体を用い
て、実施例3−(1)と同じ方法でウエスタンブロッテ
ィングを行った(図9)。IgG、および免疫に用いた
合成ペプチドでのアフィニティー精製までの段階では、
ERK1とERK2以外にも、いくつかのバンドが検出
された。しかし、リン酸化チロシンに結合する成分を除
いた抗体を用いると、ERK1とERK2以外のバンド
はほとんど検出されなかった。また、EGFを添加して
いない細胞のERK1とERK2は、非常に弱くしか検
出されなかった。以上の結果から、リン酸化チロシンを
結合させたカラムを素通りさせた段階で、活性化された
MAPキナーゼに対して高い特異性をもつ抗体が得られ
たことが分かった。
【0041】実施例8 サンドイッチEIA法による活
性型ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の定量 (1)抗体のビオチン化 精製された、活性型MAPキナーゼに特異的な抗体を、
実施例5−(2)に記載したと同様の方法でビオチン標
識した。 (2)試験管内でのMAPキナーゼの活性化 活性型MAPキナーゼを得るために、MAPキナーゼを
リン酸化により活性化させる酵素(MEK)を精製し、
それを用いて、試験管内で、MAPキナーゼを活性化さ
せた。精製法は、Natalie G.Ahnらの報告
〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、第5143-5147頁(1
993)〕に従った。実施例7に記載したのと同様の方法
で培養細胞A431をEGFで5分間刺激した後、シャ
ーレを氷冷した5mlのPBSで2回洗い、シャーレ当
り0.5mlのMAPキナーゼ活性測定用細胞溶解液
(10mM トリス・塩酸pH7.5、150mM Na
Cl、2mM EGTA、1mM PMSF、1mM N
3VO4、0.1mM Na2MoO4、2mM DTT、
5mM 2−Glycerophosphate、1m
M NaF、10μg/ml Leupeptin、10
μg/ml Aprotinin、1% TritonX
−100)を加え、溶解液を集めて、30秒間の超音波
処理の後、12000rmp、10分の遠心を行い、上
清を回収した。緩衝液S(40mM HEPES・pH
7.4、2mM EDTA、2mM DTT、1mM N
aF、5%グリセリン、0.01% TritonX−
100)で2倍に希釈し、同緩衝液で平衡化した1ml
のSP−Sepharoseカラム(ファルマシア バ
イオテク社)にかけた。0.3MのNaClを含む3m
lの緩衝液Sで溶出を行い、NaClを含まない緩衝液
Sで5倍に希釈した。これを同緩衝液で平衡化したmo
noQカラム(ファルマシアバイオテク社)にかけ、0
Mから0.3MのNaClの濃度勾配により蛋白を溶出
し、抗MEKポリクローナル抗体(サアンタクルーズ
バイオテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティ
ングで、MEK蛋白を含む画分を特定し、以後の実験に
用いた。実施例3−(2)で述べた実験で得られたGS
T蛋白とヒトMAPキナーゼとの融合蛋白(GST−ヒ
トERK1蛋白及びGST−ヒトERK2蛋白)を8μ
gずつとり、50mMトリス・塩酸pH7.5、2mM
EGTA、10mM MgCl2、2mM NaF、1m
M DTT、200μM ATPを含む溶液中で、上記の
MEK蛋白を用いて、37℃で活性化させた。 (3)活性型ヒトMAPキナーゼ(ERK1)のサンド
イッチEIA系の設定 実施例2で得られたモノクローナル抗体を、10μg/
mlになるように10mM炭酸緩衝液(pH8.0)で
希釈し、その100μlを96穴イムノプレート(ヌン
ク社)の各穴に入れ、4℃で一夜放置し、固相に抗体を
結合させた。PBSで2回洗浄した後、余剰の結合部位
を塞ぐため、ブロックエース(雪印乳業)を20%含有
するPBSを300μlずつ各穴へ注入し、使用するま
で冷所に保存した。MEK蛋白で活性化させたGST−
ヒトERK1蛋白及びGST−ヒトERK2蛋白、ある
いは活性化していないそれぞれの融合蛋白を0.3μg
ずつとり、ブロックエースを20%含有するPBSで7
5μlにし、0.05%Tween20を含むPBSで
3回洗浄した各プレートの穴に注入した。さらに、ブロ
ックエースを含むPBSで5倍ずつ、3125倍まで希
釈した溶液を作り、75μlずつ注入した。4℃で一夜
放置し、0.05%Tween20を含むPBSで4回
洗浄した。実施例8−(1)に記載した、ビオチン標識
した、活性型MAPキナーゼに特異的な抗体を、BSA
を0.1%含むPBSで1000倍に希釈し、100μ
lずつ穴に注入した。室温で4時間放置し、0.05%
Tween20を含むPBSで4回洗浄した。30分前
から、BSAを0.1%含むPBSで1000倍希釈で
混合しておいたアビジンとビオチン標識HRP(共にベ
クタステイン エリート ABCキット、ベクターラボラ
トリーズ社)を100μlずつ加え、室温で1時間放置
した。0.05%Tween20を含むPBSで6回洗
浄した後、HRP基質溶液を加え、実施例2−(3)記
載と同様の方法で酵素反応を行い、492nmにおける
吸光度を測定した。結果のグラフ(図10)から、モノ
クローナル抗体HE113を、固相に結合させた場合に
は、活性化されたヒトMAPキナーゼ(ERK1)を添
加した場合にのみ、吸光度の上昇が認められ、活性化し
ていないヒトMAPキナーゼ(ERK1)や、活性化の
有無にかかわらず、ヒトMAPキナーゼ(ERK2)を
添加した場合には、吸光度の上昇が見られなかった。以
上の結果から、上記の系で、活性化されたヒトMAPキ
ナーゼ(ERK1)を、活性化されていない蛋白や、ヒ
トMAPキナーゼ(ERK2)と区別して定量できるこ
とが分かった。
【0042】実施例9 MAPキナーゼ(ERK1)特
異的ポリクローナル抗体、および、MAPキナーゼ(E
RK2)特異的ポリクローナル抗体の作製 (1)免疫原の作製と免疫 MAPキナーゼ(ERK1)に特異的な抗体を作製する
ために、図6に示したpeptide−3〔ヒトMAP
キナーゼ(ERK1)の283番目から300番目まで
のアミノ酸配列のぺプチド〕およびpeptide−4
〔ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の364番目から3
79番目までのアミノ酸配列のぺプチド〕のアミノ末端
にシステインを付加したペプチドをそれぞれ合成し、G
MBS〔N−(Maleimido−butyrylo
xy)Succinimide、同仁化学研究所〕を用
いて、そのシステインのSH基を介してBTG(Bov
ine Thyroglobulin、シグマ)に結合
させた。MAPキナーゼ(ERK2)に特異的な抗体を
作製するためには、図11に示したpeptide−5
〔ヒトMAPキナーゼ(ERK2)の266番目から2
83番目までのアミノ酸配列のぺプチド〕およびpep
tide−6〔ヒトMAPキナーゼ(ERK2)の34
7番目から360番目までのアミノ酸配列のぺプチド〕
のアミノ末端にシステインを付加したペプチドをそれぞ
れ合成し、上記と同じ方法で、BTGに結合させた。ウ
サギ(ニュージーランドホワイト、オス、2.5kg)
に対し、上記のペプチドの結合したBTG(0.2mg
のペプチドを含む)とフロインド完全アジュバント(D
ifco laboratories,米国)の混合物
を皮下に接種した。その後は、不完全アジュバントとの
混合物を2週間おきに接種し、4回目の接種から一週間
後に採血を行い、血清を得た。 (2)特異的抗体の精製 得られた血清を同じ体積の飽和硫安と混合し、沈殿した
蛋白質を遠心により回収した。この沈殿をPBS(8.
1mMリン酸二ナトリウム、1.5mMリン酸カリウ
ム、27mM塩化カリウム、137mM塩化ナトリウ
ム、pH7.2)に溶解し、血清の時と同じ体積の溶液
にした。これを、ポアサイズ0.22μmのフィルター
(ミリポア社)で濾過した後、20mMリン酸緩衝液
(pH7.0)で2倍に希釈し、Hi Trap Pr
otein G カラム(Pharmacia Bio
tech社)にかけた。10mlの20mMリン酸緩衝
液(pH7.0)でカラムを洗浄した後、3mlの0.
1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH2.7)でIgGを溶
出し、150μlの1.0Mトリス−塩酸緩衝液(pH
9.0)を加えて中和した。得られたIgG画分を、5
00mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液
(pH7.0)で2倍に希釈し、それぞれの抗体を、各
抗原(ペプチド)を結合させたHi Trap NHS
−activated カラム(Pharmacia
Biotech社)に結合させ、500mMの塩化ナト
リウムを含む100mMグリシン−塩酸緩衝液(pH
2.0)で溶出し、上記と同様に中和した。pepti
de−3を抗原として作成した抗体については、ERK
2と結合する成分を除くため、さらにpeptide−
5を結合させたカラムに通し、素通り画分を得た。同様
に、peptide−6を抗原として作成した抗体につ
いては、ERK1と結合する成分を除くため、pept
ide−4を結合させたカラムに通し、素通り画分を得
た。 (3)抗体の特異性の検定 得られた抗peptide−3抗体、および、抗pep
tide−6抗体が、ERK1とERK2をどの程度厳
密に区別できるか、EIA法で調べた。実施例3−
(2)で報告したのと同じ方法で、各抗体の特異性につ
いて調べたところ、抗peptide−3抗体は、GS
T−ヒトERK1蛋白には強く結合したが、GST−ヒ
トERK2蛋白には結合しなかった。一方、抗pept
ide−6抗体は、GST−ヒトERK2蛋白には強く
結合したが、GST−ヒトERK1蛋白には結合しなか
った(図12)。以上の結果から、これらの抗体を用い
て、ERK1とERK2を厳密に区別できることが分か
った。
【0043】実施例10 サンドイッチ酵素免疫測定法
によるMAPキナーゼ(ERK1)の定量 (1)抗体のビオチン化 精製された抗peptide−4抗体を実施例5−
(2)と同様の方法でビオチン化した。 (2)定量系の設定 実施例2で得られたヒトMAPキナーゼ(ERK1)に
特異的に結合するモノクローナル抗体(HE113)、
および、実施例9で得られたMAPキナーゼ(ERK
1)に特異的に結合するポリクローナル抗体(抗pep
tide−3抗体)を10mMの炭酸水素ナトリウム緩
衝液(pH8.0)で20μg/mlに希釈し、EIA
用の96穴プレート(コーニング社、No.43048
0)の各穴に100μlずつ加え、4℃で一晩放置し、
固相に抗体を結合させた。PBS(8.1mMリン酸二
ナトリウム、1.5mMリン酸カリウム、27mM塩化
カリウム、137mM塩化ナトリウム、pH7.2)で
2回洗浄した後、25%ブロックエース(雪印乳業)を
含むPBSを300μlずつ各穴に加え、使用時まで冷
所に保存した。このプレートを、0.05%のTwee
n20を含むPBSで2回洗浄し、上記のブロックエー
スを含むPBSで種々の濃度に希釈したGST−ヒトE
RK1蛋白の溶液を、100μlずつ各穴に加え、4℃
で一晩静置した。0.05%のTween20を含むP
BSで3回洗浄した後、0.1%BSAを含むPBSで
1000倍に希釈した、ビオチン標識した抗pepti
de−4抗体を100μlずつ各穴に加え、室温で2時
間静置した。0.05%Tween20を含むPBSで
4回洗浄した後、あらかじめ30分間混合しておいた、
ビオチン標識された西洋ワサビペルオキシダーゼ(HR
P)とアビジン(共にベクター ラボラトリー社製、ベ
クタステイン エリート ABCキットを1000倍希
釈)を100μlずつ各穴に加えて、室温で1時間静置
した。0.05%Tween20を含むPBSで6回洗
浄した後、HRP基質溶液を加え、実施例2−(3)記
載と同様の方法で酵素反応を行い、492nmにおける
吸光度を測定した(図13)。その結果、モノクローナ
ル抗体HE113を固相に結合させた場合の検出限界は
約70pgヒトERK1/assay、抗peptid
e−3抗体を結合させた場合には約50pgヒトERK
1/assayであった。これらの系では、ヒトMAP
キナーゼ(ERK2)は検出されず、高い特異性が明ら
かになった。
【0044】実施例11 サンドイッチ酵素免疫測定法
によるMAPキナーゼ(ERK2)の定量 (1)抗体のビオチン化 実施例9で得られた、精製された抗peptide−5
抗体を、実施例5−(2)と同様の方法でビオチン化し
た。 (2)定量系の設定 実施例9で得られたMAPキナーゼ(ERK2)に特異
的に結合するポリクローナル抗体(抗peptide−
6抗体)を、実施例10−(2)と同様の方法で96穴
プレートに結合させた。さらに同様の方法で、種々の濃
度に希釈したGST−ヒトERK2蛋白をプレートの各
穴に加え、ビオチン化した抗peptide−5抗体を
用いて検出を行った(図14)。その結果、検出限界は
約50pgヒトERK2/assayであった。この系
では、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)は検出されず、
高い特異性が明らかになった。
【0045】実施例12 サンドイッチ酵素免疫測定法
による活性型MAPキナーゼ(ERK1)および活性型
MAPキナーゼ(ERK2)の定量 (1)抗体のビオチン化 実施例6で得られた活性型MAPキナーゼに特異的に結
合するポリクローナル抗体を、実施例5−(2)と同様
の方法でビオチン化した。 (2)試験管内でのMAPキナーゼの活性化 活性化型MAPキナーゼを得るため、MAPキナーゼを
リン酸化により活性化させる酵素(MEK)を精製し、
それを用いて、試験管内で、MAPキナーゼを活性化さ
せた。精製法は、Natalie G.Ahnらの報告
〔Proc.Natl. Acad.Sci. US
A、第90巻、第5143−5147頁(1993)〕
に従った。実施例7に記載したのと同様の方法で培養細
胞A431をEGFで5分間刺激した後、シャーレを氷
冷した5mlのPBSで2回洗い、シャーレ当り0.5
mlのMAPキナーゼ活性測定用細胞溶解液(10mM
トリス・塩酸、pH7.5、150mM NaCl、2
mM EGTA、1mM PMSF、1mM Na3
4、0.1mM Na2MoO4、2mM DTT、5
mM 2−Glycerophosphate、1mM
NaF、10μg/ml Leupeptin、10
μg/ml Aprotinin、1% Triton
X−100)を加え、溶解液を集めて、30秒間の超
音波処理の後、12000rpm、10分の遠心を行
い、上清を回収した。緩衝液S(40mM HEPES
・pH7.4、2mM EDTA、2mM DTT、1
mM NaF、5%グリセリン、0.01%Trito
n X−100)で2倍に希釈し、同緩衝液で平均化し
た1mlのSP−Sepharoseカラム(ファルマ
シア バイオテク社)にかけた。0.3MのNaClを
含む3mlの緩衝液Sで溶出を行い、NaClを含まな
い緩衝液Sで5倍に希釈した。これを同緩衝液で平均化
したmono Qカラム(ファルマシア バイオテク
社)にかけ、0Mから0.3MのNaClの濃度勾配に
より蛋白を溶出し、抗MEKポリクローナル抗体(サン
タクルーズ バイオテクノロジー社)を用いたウエスタ
ンブロッティングで、MEK蛋白を含む画分を特定し、
以後の実験に用いた。実施例3−(2)で述べた実験で
得られたGST蛋白とヒトMAPキナーゼとの融合蛋白
(GST−ヒトERK1蛋白及びGST−ヒトERK2
蛋白)を8μgずつとり、50mM トリス塩酸pH
7.5、2mM EGTA、10mMMgCl2、2m
M NaF、1mM DTT、200μM ATPを含
む溶液中で、上記のMEK蛋白を用いて、37℃で活性
化させた。 (3)活性型ERK1および活性型ERK2の酵素免疫
測定法による定量系の設定 活性型ERK1についての測定を行うために、実施例2
に記載した、ヒトERK1に特異的なモノクローナル抗
体HE113、および、実施例9に記載した、ヒトER
K1に特異的な抗peptide−3抗体を、それぞれ
10μg/mlになるように10mM炭酸緩衝液(pH
8.0)で希釈し、その100μlを96穴イムノプレ
ート(ヌンク社)の各穴に入れ、4℃で一夜放置し、固
相に各抗体を結合させた。また、活性型ERK2につい
ての測定を行うために、実施例9に記載したERK2に
特異的な抗peptide−6抗体を、上記と同様に、
固相に結合させた。PBSで2回洗浄した後、余剰の結
合部位を塞ぐため、ブロックエース(雪印乳業)を20
%含有するPBSを300μlずつ各穴へ注入し、使用
時まで冷所に保存した。MEK蛋白で活性化させたGS
T−ヒトERK1蛋白及びGST−ヒトERK2蛋白、
あるいは、活性化していないそれぞれの融合蛋白を0.
3μgずつとり、ブロックエースを20%含有するPB
Sで75μlにし、0.05%Tween20を含むP
BSで3回洗浄した各プレートの穴に注入した。さら
に、ブロックエースを含むPBSで5倍ずつ、3125
倍まで希釈した溶液を作り、75μlずつ注入した。4
℃で一夜放置し、0.05%Tween20を含むPB
Sで4回洗浄した。実施例12−(1)に記載した、ビ
オチン標識した、活性型MAPキナーゼに特異的な抗体
を、BSAを0.1%含むPBSで1000倍に希釈
し、100μlずつ各穴に注入した。室温で4時間放置
し、0.05%Tween20を含むPBSで4回洗浄
した。30分前からBSAを0.1%含むPBSで10
00倍希釈で混合しておいたアビジンとビオチン標識さ
れたHRP(共にベクタステインエリート ABCキッ
ト、ベクターラボラトリーズ社)を100μlずつ加
え、室温で1時間静置した。0.05%Tween20
を含むPBSで6回洗浄した後、HRP基質溶液を加
え、実施例2−(3)記載と同様の方法で酵素反応を行
い、492nmにおける吸光度を測定した。結果のグラ
フ(図15)から、HE113モノクローナル抗体、お
よび、抗peptide−3抗体を固相に結合させた場
合には、活性化されたGST−ヒトERK1蛋白を添加
した場合にのみ、吸光度の上昇が認められ、活性化して
いないGST−ヒトERK1蛋白や、活性化の有無にか
かわらず、GST−ヒトERK2蛋白を添加した場合に
は、吸光度の上昇が見られなかった。一方、抗pept
ide−6抗体を固相に結合させた場合には、活性化さ
れたGST−ヒトERK2蛋白を添加した場合にのみ吸
光度の上昇が認められ、活性化していないGST−ヒト
ERK2蛋白や、活性化の有無にかかわらず、GST−
ヒトERK1蛋白を添加した場合には、吸光度の上昇が
見られなかった。以上の結果から、上記の系で、活性化
されたMAPキナーゼを、ERK1とERK2を区別し
て定量化することができるということが分かった。
【0046】実施例13 実施例12の定量系の検出限
界についての検討 実施例12で用いたMAPキナーゼは、活性型と不活性
型との混合物であったため、測定系の検出限界を知るこ
とができなかった。そこで、実施例6で得られた抗体を
利用し、活性型MAPキナーゼの精製を行い、検出限界
について検討を行った。 (1)活性型MAPキナーゼの精製 実施例6で得られた、活性型MAPキナーゼと特異的に
結合する抗体1.7mgをNHS−activated
Hi−Trapカラム(Pharmaciabiot
ech社)に結合させた。実施例12−(2)で得られ
た活性型MAPキナーゼ(GSTとERK1またはER
K2との融合蛋白)を、0.5M NaClと0.05
%Tween−20を含む20mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で5倍に希釈し、カラムに添加し、素通り画分
をもう一度添加した。希釈に用いたのと同じ組成の緩衝
液5mlでカラムを洗浄し、0.5M NaClと0.
05%Tween−20を含む0.1M グリシン−塩
酸緩衝液(pH2.0)を5ml添加して、蛋白を溶出
させ、250μlの1M トリス−塩酸緩衝液(pH
9.0)を加えて中和した。0.05%Tween−2
0を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で3倍に
希釈し、100μlのグルタチオンセファロース4B
(Pharmacia biotech)を加え、4℃
で1時間混合し続けた。遠心操作でグルタチオンセファ
ロース4Bを集め、PBSで洗浄した後、10mMグル
タチオンと0.05%Tween−20を含む50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を0.5ml加え
て、蛋白をグルタチオンセファロース4Bから解離さ
せ、回収した。 (2)検出限界についての検討 得られた活性型MAPキナーゼを含む溶液の一部をと
り、実施例10あるいは実施例11に記載した系で蛋白
量の定量を行った。蛋白量を明らかにした活性型MAP
キナーゼを含む溶液を用いて、実施例12に記載した系
での測定を行ったところ、MAPキナーゼ(ERK1)
についての検出限界は18pg/assay、MAPキ
ナーゼ(ERK2)については5pg/assayとい
う値が得られた。
【0047】実施例14 培養細胞PC−12をNGF
で刺激したときのMAPキナーゼの活性変化の酵素免疫
測定による検出 ラット由来培養細胞PC−12(Adrenal ph
eochromocytoma ATCC CRL−1
721)を、10%牛胎児血清を含むDMEMを培地と
して、2.8×106個ずつ6cmシャーレ(FALC
ON 3002)にまき、37℃、5%CO2の条件下
で一晩培養した。培養液を無血清のものに交換し、さら
に1時間培養した後、培養液を100ng/ml NG
Fと0.1% BSAを含むDMEMに交換した。様々
な時間、培養した後、培地を除き、氷冷PBSで2回洗
浄した。実施例12−(2)に記載したMAPキナーゼ
活性測定用細胞溶解液を250μlずつ各シャーレに加
えて細胞を溶解させて、エッペンドルフチューブへ移し
た。氷上に5分間静置した後、16000xgで5分間
遠心し、上清を得た。この上清に含まれる、活性型MA
Pキナーゼ(ERK1)と活性型MAPキナーゼ(ER
K2)の量を、実施例12に記載した酵素免疫測定法で
定量した。また、実施例12−(2)で得られた、試験
管内で活性化させたMAPキナーゼ(ERK1)および
MAPキナーゼ(ERK2)のリン酸化活性を、Tad
ayo Miyasakaらの方法〔J. Biol.
Chem.、第265巻、第4730−4735頁、
(1990)〕に従って測定し、活性の明らかになった
酵素を、上記のPC−12の溶解液と並べて酵素免疫測
定を行った。得られた値を比較することにより、吸光度
の値をリン酸化活性の値に変換した。結果を図16に示
した。この結果から、PC−12をNGFで刺激した時
のMAPキナーゼの活性の変化が、実施例12に記載し
た系で、MAPキナーゼ(ERK1)とMAPキナーゼ
(ERK2)の両方について測定できることが明らかに
なった。この活性化のパターンは、既に報告されている
結果〔例えばGotoh Y.ら、ユーロピアン・ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur. J.
Biochem.)、第193巻、第661−669頁
(1990)〕と良く一致する。また、この結果から、
実施例12の測定系は、ラットのMAPキナーゼ(ER
K1)およびMAPキナーゼ(ERK2)に対しても適
用できることが分かった。
【0048】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は、ヒトM
APキナーゼ(ERK1)に高感度に結合し、またその
結合能も高いので、種々の細胞由来のヒトMAPキナー
ゼ(ERK1)の検出または測定用試薬などとして、有
利に用いることができる。従って、ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)の細胞、組織内での発現の分布および発現
を知ることができる。加えて、本発明の抗ERK1抗体
および抗ERK2抗体は、それぞれの型のMAPキナー
ゼに対して高感度に結合し、その結合能も高いので、上
記と同様に、それぞれのMAPキナーゼの検出、測定用
試薬などとして、有利に用いることができる。また、本
発明の抗活性型MAPキナーゼ抗体(抗リン酸化ペプチ
ド抗体)は、活性型MAPキナーゼに高感度に結合し、
またその結合能も高いので、この抗体を用いれば、種々
の細胞由来の活性型MAPキナーゼの検出または測定、
言い換えればMAPキナーゼの活性の検出または測定
を、放射性化合物等を用いずに行なえる。さらに、本発
明の種々のMAPキナーゼに特異的な抗体と組み合わせ
ることにより、特定のMAPキナーゼのみの活性を、他
のMAPキナーゼと区別して、高感度に検出または測定
するために用いることができる。このようにして、種々
の型のMAPキナーゼの細胞、組織内での発現の分布お
よび発現量、刺激による活性の変化などを知ることがで
き、また各種MAPキナーゼの役割をさらに解明するこ
とができる。また、これらの検出または測定法は、種々
のMAPキナーゼ関連疾患の診断に用いることができ、
適切な治療法の選択や疾患の原因の究明のためなどに役
立てることができる。さらに、種々の薬物の作用機作の
解明のためにも用いることができる。
【0049】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 His Thr Gly Phe Leu Thr Glu Tyr Val Ala Thr Arg 12 1 5 10。
【0050】配列番号:2 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Ser Leu Pro Ser Lys Thr Lys Val Ala Trp Ala Lys Leu Phe Pro 1 5 10 15 Lys Ser Asp。
【0051】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Ile Phe Gln Glu Thr Ala Arg Phe Gln Pro Gly Val Leu Glu Ala 1 5 10 15 Pro 。
【0052】配列番号:4 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Ser Leu Pro His Lys Asn Lys Val Pro Trp Asn Arg Leu Phe Pro 1 5 10 15 Asn Ala Asp 。
【0053】配列番号:5 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Ile Phe Glu Glu Thr Ala Arg Phe Gln Pro Gly Tyr Arg Ser 1 5 10 15。
【0054】配列番号:6 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Glu His Asp His Thr Gly Phe Leu Thr Glu Tyr Val Ala Thr Arg 1 5 10 15 Trp。
【0055】配列番号:7 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ile Phe Gln Glu Thr Ala Arg Phe Gln Pro Gly Val Leu Glu Ala Pro 1 5 10 15。
【0056】配列番号:8 配列の長さ:379 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Ala Ala Ala Ala Gln Gly Gly Gly Gly Gly Glu Pro Arg Arg 1 5 10 15 Thr Glu Gly Val Gly Pro Gly Val Pro Gly Glu Val Glu Met Val Lys 20 25 30 Gly Gln Pro Phe Asp Val Gly Pro Arg Tyr Thr Gln Leu Gln Tyr Ile 35 40 45 Gly Glu Gly Ala Tyr Gly Met Val Ser Ser Ala Tyr Asp His Val Arg 50 55 60 Lys Thr Arg Val Ala Ile Lys Lys Ile Ser Pro Phe Glu His Gln Thr 65 70 75 80 Tyr Cys Gln Arg Thr Leu Arg Glu Ile Gln Ile Leu Leu Arg Phe Arg 85 90 95 His Glu Asn Val Ile Gly Ile Arg Asp Ile Leu Arg Ala Ser Thr Leu 100 105 110 Glu Ala Met Arg Asp Val Tyr Ile Val Gln Asp Leu Met Glu Thr Asp 115 120 125 Leu Tyr Lys Leu Leu Lys Ser Gln Gln Leu Ser Asn Asp His Ile Cys 130 135 140 Tyr Phe Leu Tyr Gln Ile Leu Arg Gly Leu Lys Tyr Ile His Ser Ala 145 150 155 160 Asn Val Leu His Arg Asp Leu Lys Pro Ser Asn Leu Leu Ile Asn Thr 165 170 175 Thr Cys Asp Leu Lys Ile Cys Asp Phe Gly Leu Ala Arg Ile Ala Asp 180 185 190 Pro Glu His Asp His Thr Gly Phe Leu Thr Glu Tyr Val Ala Thr Arg 195 200 205 Trp Tyr Arg Ala Pro Glu Ile Met Leu Asn Ser Lys Gly Tyr Thr Lys 210 215 220 Ser Ile Asp Ile Trp Ser Val Gly Cys Ile Leu Ala Glu Met Leu Ser 225 230 235 240 Asn Arg Pro Ile Phe Pro Gly Lys His Tyr Leu Asp Gln Leu Asn His 245 250 255 Ile Leu Gly Ile Leu Gly Ser Pro Ser Gln Glu Asp Leu Asn Cys Ile 260 265 270 Ile Asn Met Lys Ala Arg Asn Tyr Leu Gln Ser Leu Pro Ser Lys Thr 275 280 285 Lys Val Ala Trp Ala Lys Leu Phe Pro Lys Ser Asp Ser Lys Ala Leu 290 295 300 Asp Leu Leu Asp Arg Met Leu Thr Phe Asn Pro Asn Lys Arg Ile Thr 305 310 315 320 Val Glu Glu Ala Leu Ala His Pro Tyr Leu Glu Gln Tyr Tyr Asp Pro 325 330 335 Thr Asp Glu Pro Val Ala Glu Glu Pro Phe Thr Phe Ala Met Glu Leu 340 345 350 Asp Asp Leu Pro Lys Glu Arg Leu Lys Glu Leu Ile Phe Gln Glu Thr 355 360 365 Ala Arg Phe Gln Pro Gly Val Leu Glu Ala Pro 370 375 379。
【0057】配列番号:9 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Met Val Ser Ser Ala Tyr Asp His Val Arg Lys Thr Arg Val Ala 1 5 10 15 Ile Lys。
【0058】配列番号:10 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu His Asp His Thr Gly Phe Leu Thr Glu Tyr Val Ala Thr Arg Trp 1 5 10 15。
【0059】配列番号:11 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Leu Pro Ser Lys Thr Lys Val Ala Trp Ala Lys Leu Phe Pro Lys 1 5 10 15 Ser Asp。
【0060】配列番号:12 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ile Phe Gln Glu Thr Ala Arg Phe Gln Pro Gly Val Leu Glu Ala Pro 1 5 10 15。
【0061】配列番号:13 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Gly Met Val Ser Ser Ala Tyr Asp His Val Arg Lys Thr Arg Val 1 5 10 15 Ala Ile Lys。
【0062】配列番号:14 配列の長さ:360 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Ala Ala Ala Ala Ala Ala Gly Ala Gly Pro Glu Met Val Arg Gly 1 5 10 15 Gln Val Phe Asp Val Gly Pro Arg Tyr Thr Asn Leu Ser Tyr Ile Gly 20 25 30 Glu Gly Ala Tyr Gly Met Val Cys Ser Ala Tyr Asp Asn Val Asn Lys 35 40 45 Val Arg Val Ala Ile Lys Lys Ile Ser Pro Phe Glu His Gln Thr Tyr 50 55 60 Cys Gln Arg Thr Leu Arg Glu Ile Lys Ile Leu Leu Arg Phe Arg His 65 70 75 80 Glu Asn Ile Ile Gly Ile Asn Asp Ile Ile Arg Ala Pro Thr Ile Glu 85 90 95 Gln Met Lys Asp Val Tyr Ile Val Gln Asp Leu Met Glu Thr Asp Leu 100 105 110 Tyr Lys Leu Leu Lys Thr Gln His Leu Ser Asn Asp His Ile Cys Tyr 115 120 125 Phe Leu Tyr Gln Ile Leu Arg Gly Leu Lys Tyr Ile His Ser Ala Asn 130 135 140 Val Leu His Arg Asp Leu Lys Pro Ser Asn Leu Leu Leu Asn Thr Thr 145 150 155 160 Cys Asp Leu Lys Ile Cys Asp Phe Gly Leu Ala Arg Val Ala Asp Pro 165 170 175 Asp His Asp His Thr Gly Phe Leu Thr Glu Tyr Val Ala Thr Arg Trp 180 185 190 Tyr Arg Ala Pro Glu Ile Met Leu Asn Ser Lys Gly Tyr Thr Lys Ser 195 200 205 Ile Asp Ile Trp Ser Val Gly Cys Ile Leu Ala Glu Met Leu Ser Asn 210 215 220 Arg Pro Ile Phe Pro Gly Lys His Tyr Leu Asp Gln Leu Asn His Ile 225 230 235 240 Leu Gly Ile Leu Gly Ser Pro Ser Gln Glu Asp Leu Asn Cys Ile Ile 245 250 255 Asn Leu Lys Ala Arg Asn Tyr Leu Leu Ser Leu Pro His Lys Asn Lys 260 265 270 Val Pro Trp Asn Arg Leu Phe Pro Asn Ala Asp Ser Lys Ala Leu Asp 275 280 285 Leu Leu Asp Lys Met Leu Thr Phe Asn Pro His Lys Arg Ile Glu Val 290 295 300 Glu Gln Ala Leu Ala His Pro Tyr Leu Glu Gln Tyr Tyr Asp Pro Ser 305 310 315 320 Asp Glu Pro Ile Ala Glu Ala Pro Phe Lys Phe Asp Met Glu Leu Asp 325 330 335 Asp Leu Pro Lys Glu Lys Leu Lys Glu Leu Ile Phe Glu Glu Thr Ala 340 345 350 Arg Phe Gln Pro Gly Tyr Arg Ser 355 360 。
【0063】配列番号:15 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Leu Pro His Lys Asn Lys Val Pro Trp Asn Arg Leu Phe Pro Asn 1 5 10 15 Ala Asp 。
【0064】配列番号:16 配列の長さ:14 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ile Phe Glu Glu Thr Ala Arg Phe Gln Pro Gly Tyr Arg Ser 1 5 10。
【0065】配列番号:17 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGCATATGGC GGCGGCGGCG GCTCA 25。
【0066】配列番号:18 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CCGGATCCGG CTAGGGGGCC TCCAGCAC 28。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)cDNAのP
CRによる増幅に用いたプライマーの塩基配列を示す。
【図2】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)蛋白質を大腸
菌内で誘導的に合成させるために用いるプラスミドDN
Aの構築方法を示す。
【図3】大腸菌内で発現させたヒトMAPキナーゼ(E
RK1)の精製の最終段階であるMono Qカラム
(Pharmacia)でのクロマトグラフィーのフラ
クションを、SDS−PAGE後、クマジー染色した結
果を示す。
【図4】実施例3で得られた、抗ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)モノクローナル抗体(HE113)および
市販の抗MAPキナーゼ抗体を用いた、各種細胞のウエ
スタンブロッティングの結果を比較して示す。
【図5】実施例3で得られた、GSTとヒトERK1、
もしくはヒトERK2との融合蛋白質と、抗ヒトMAP
キナーゼ(ERK1)モノクローナル抗体(HE11
3)との結合を、EIAで調べた結果を示す。
【図6】ヒトMAPキナーゼ(ERK1)のアミノ酸配
列および実施例3で用いた4種の合成ペプチドの配列を
示す。
【図7】実施例3で得られた、ヒトERK1蛋白と抗ヒ
トMAPキナーゼ(ERK1)モノクローナル抗体(H
E113)との結合の、図6で示した合成ペプチドによ
る阻害をEIAで調べた結果を示す。
【図8】実施例5で得られた、抗ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)モノクローナル抗体(HE113)と抗p
eptide−4ポリクローナル抗体を用いたサンドイ
ッチEIA法で、GSTとヒトMAPキナーゼ(ERK
1)の融合蛋白を検出した結果を示す。
【図9】実施例7で得られた、リン酸化ペプチドに対す
るポリクローナル抗体の特異性をウエスタンブロッティ
ングで調べた結果を示す。
【図10】実施例8で得られた、抗ヒトMAPキナーゼ
(ERK1)モノクローナル抗体(HE113)と抗活
性型MAPキナーゼポリクローナル抗体を用いたサンド
イッチEIA法で、活性化したヒトMAPキナーゼ(E
RK1)の検出を行った結果を示す。
【図11】実施例9で用いた合成ペプチドの配列を示
す。
【図12】実施例9で得られた、GSTとヒトERK
1、もしくはヒトERK2との融合蛋白と、抗pept
ide−3抗体、もしくは抗peptide−6抗体と
の結合を、EIAで調べた結果を示す。
【図13】実施例10で得られた、サンドイッチEIA
法で、GSTとヒトMAPキナーゼ(ERK1)との融
合蛋白質を検出した結果を示す。
【図14】実施例11で得られた、サンドイッチEIA
法で、GSTとヒトMAPキナーゼ(ERK2)との融
合蛋白質を検出した結果を示す。
【図15】実施例12で得られた、サンドイッチEIA
法で、活性型MAPキナーゼの検出を行った結果を示
す。
【図16】実施例14で得られた、PC−12をNGF
で刺激した時のMAPキナーゼ(ERK1)およびMA
Pキナーゼ(ERK2)の活性の変化を、サンドイッチ
EIAで測定した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/02 ZNA G01N 33/573 A C12P 21/08 33/577 B G01N 33/573 A61K 39/395 P 33/577 C12N 5/00 B // A61K 39/395 9282−4B 15/00 ZNAC (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトMAPキナーゼ(ERK1)を免疫
    原とし、ヒトMAPキナーゼ(ERK1)に結合性を示
    す、IgG型モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 ヒトMAPキナーゼ(ERK1)に結合
    性を示し、かつヒトMAPキナーゼ(ERK2)、ラッ
    トMAPキナーゼ(ERK1)、及びラットMAPキナ
    ーゼ(ERK2)に結合性を示さないモノクローナル抗
    体。
  3. 【請求項3】 モノクローナル抗体HE113である請
    求項1または2記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 ヒトMAPキナーゼ(ERK1)で免疫
    した哺乳動物の脾臓細胞と、同種または異種のリンパ球
    様細胞からなるクローン化されたハイブリドーマ。
  5. 【請求項5】 マウスハイブリドーマHE113である
    請求項4記載のハイブリドーマ。
  6. 【請求項6】 ヒトMAPキナーゼ(ERK1)で免疫
    した哺乳動物の脾臓細胞と、同種または異種のリンパ球
    様細胞とを細胞融合し、クローニングすることを特徴と
    する請求項4記載のハイブリドーマの製造法。
  7. 【請求項7】 請求項4または5記載のハイブリドーマ
    を液体培地中または哺乳動物の腹腔内で増殖させること
    を特徴とする請求項1、2または3記載のモノクローナ
    ル抗体の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2または3記載のモノクロー
    ナル抗体を用いることを特徴とするヒトMAPキナーゼ
    (ERK1)の検出または定量法。
  9. 【請求項9】 酵素免疫測定法である請求項8記載の検
    出または定量法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2または3記載のモノクロ
    ーナル抗体を用いることを特徴とするヒトMAPキナー
    ゼ(ERK1)の精製法。
  11. 【請求項11】 配列がHis−Thr−Gly−Ph
    e−Leu−(Thr−PO32)−Glu−(Tyr
    −PO32)−Val−Ala−Thr−Argである
    ペプチドに特異的に結合する抗MAPキナーゼ抗体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の抗体を用いることを
    特徴とする、活性型MAPキナーゼの検出または定量
    法。
  13. 【請求項13】 酵素免疫測定法である請求項12記載
    の検出または定量法。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の抗体を用いることを
    特徴とする、活性型MAPキナーゼの精製法。
  15. 【請求項15】 請求項1、2または3記載のモノクロ
    ーナル抗体と請求項11記載の抗体とを用いることを特
    徴とする、活性型ヒトMAPキナーゼ(ERK1)の検
    出または定量法。
  16. 【請求項16】 酵素免疫測定法である請求項15記載
    の検出または定量法。
  17. 【請求項17】 Ser−Leu−Pro−Ser−L
    ys−Thr−Lys−Val−Ala−Trp−Al
    a−Lys−Leu−Phe−Pro−Lys−Ser
    −Aspを含有するアミノ酸配列を有するペプチドに特
    異的に結合する抗MAPキナーゼ抗体。
  18. 【請求項18】 Ile−Phe−Gln−Glu−T
    hr−Ala−Arg−Phe−Gln−Pro−Gl
    y−Val−Leu−Glu−Ala−Proを含有す
    るアミノ酸配列を有するペプチドに特異的に結合する抗
    MAPキナーゼ抗体。
  19. 【請求項19】 Ser−Leu−Pro−His−L
    ys−Asn−Lys−Val−Pro−Trp−As
    n−Arg−Leu−Phe−Pro−Asn−Ala
    −Aspを含有するアミノ酸配列を有するペプチドに特
    異的に結合する抗MAPキナーゼ抗体。
  20. 【請求項20】 Ile−Phe−Glu−Glu−T
    hr−Ala−Arg−Phe−Gln−Pro−Gl
    y−Tyr−Arg−Serを含有するアミノ酸配列を
    有するペプチドに特異的に結合する抗MAPキナーゼ抗
    体。
  21. 【請求項21】 Glu−His−Asp−His−T
    hr−Gly−Phe−Leu−Thr−Glu−Ty
    r−Val−Ala−Thr−Arg−Trpを含有す
    るアミノ酸配列を有するペプチドに特異的に結合する抗
    MAPキナーゼ抗体。
  22. 【請求項22】 MAPキナーゼ、MAPキナーゼのム
    テインもしくはMAPキナーゼのフラグメントに特異的
    に結合する抗体を用いることを特徴とするMAPキナー
    ゼの定量法。
  23. 【請求項23】 抗体が請求項17、18、19、20
    または21記載のものである請求項22記載のMAPキ
    ナーゼの定量法。
  24. 【請求項24】 酵素免疫測定法である請求項22また
    は23記載の定量法。
  25. 【請求項25】 サンドイッチ法による請求項24記載
    の定量法。
  26. 【請求項26】 MAPキナーゼがERK1である請求
    項22、23、24または25記載の定量法。
  27. 【請求項27】 請求項17,18もしくは21記載の
    抗体を用いる請求項26記載の定量法。
  28. 【請求項28】 MAPキナーゼがERK2である請求
    項22、23、24または25記載の定量法。
  29. 【請求項29】 請求項19もしくは20記載の抗体を
    用いる請求項28記載の定量法。
  30. 【請求項30】 MAPキナーゼが活性型ERK1であ
    る請求項22、23、24または25記載の定量法。
  31. 【請求項31】 請求項11記載の抗体と請求項17,
    18もしくは21記載の抗体とを用いる請求項30記載
    の定量法。
  32. 【請求項32】 MAPキナーゼが活性型ERK2であ
    る請求項22、23、24または25記載の定量法。
  33. 【請求項33】 請求項11記載の抗体と請求項19も
    しくは20記載の抗体とを用いる請求項32記載の定量
    法。
  34. 【請求項34】 被検体と請求項1,2,3,11,1
    7,18,19,20または21記載の抗体とを接触さ
    せ、被検体中のMAPキナーゼを定量することを特徴と
    するMAPキナーゼ関連疾患の診断法。
  35. 【請求項35】 請求項1,2,3,11,17,1
    8,19,20または21記載の抗体を含有することを
    特徴とするMAPキナーゼ関連疾患の診断剤。
JP8071659A 1995-03-28 1996-03-27 抗体を用いるmapキナーゼまたは活性型mapキナーゼの定量法 Withdrawn JPH09216900A (ja)

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JP8071659A Withdrawn JPH09216900A (ja) 1995-03-28 1996-03-27 抗体を用いるmapキナーゼまたは活性型mapキナーゼの定量法

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JP (1) JPH09216900A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11471502B2 (en) 2017-11-24 2022-10-18 University College Cardiff Consultants Ltd Neuroprotective peptide

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