JPH07257822A - 巻糸体の糸端処理方法及び糸端処理された巻糸体 - Google Patents

巻糸体の糸端処理方法及び糸端処理された巻糸体

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JPH07257822A
JPH07257822A JP4843094A JP4843094A JPH07257822A JP H07257822 A JPH07257822 A JP H07257822A JP 4843094 A JP4843094 A JP 4843094A JP 4843094 A JP4843094 A JP 4843094A JP H07257822 A JPH07257822 A JP H07257822A
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英司 粕谷
Takeshi Imada
武 今田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 糸条の太さに関係なく、どのような細デニー
ル糸条であっても容易に糸止め作業を可能にし、かつど
のような細デニール糸条であっても、容易に見分け可能
な糸止め部分を形成する巻糸体の糸端処理方法とその糸
端処理された巻糸体を提供。 【構成】 糸条がボビン2に巻き取られて形成された巻
糸体から、その糸端Ye側の糸条部分と、該糸条部分か
ら巻糸体側に巻き込まれた部分を少なくとも1巻分すく
い上げてループ状にした糸条部分とを共に吸引管17に
吸引し、これら吸引した糸条部分を相互に加撚又は絡合
して1本に収束させ、この収束糸部分の途中を切断する
巻糸体の糸端処理方法と、その糸端処理された巻糸体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パッケージ,チーズ,
パーン等の形態に巻き取った巻糸体の糸端を自然解舒し
ないように糸止めする糸端処理方法及びその糸端処理さ
れた巻糸体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、製糸工程でボビンに巻き取られ
たパッケージは、その表層の糸端が搬送工程等で自然解
舒しないように、糸端を蝶結び等で糸結びしたり、粘着
テープで接着するなどの糸止め処理(糸端処理)をして
いる。しかし、蝶結び等の糸結びは、糸条が太デニール
の場合には比較的容易であるが、細デニールになるほど
扱いが難しくなるため、確実な糸結びをすることが出来
難くなる。すなわち、細デニール糸条の機械的な糸結び
は、人の手作業による場合は相当の熟練が必要になり、
また機械による自動化はほとんど不可能に近くなる。ま
た、細デニール糸条では、糸結びができても、その細さ
のためパッケージ上で糸結び個所を見分けることが非常
に難しくなり、それがパッケージを使用する高次加工作
業を著しく非能率にする原因になっている。
【0003】一方、粘着テープによる糸止めは、粘着テ
ープの接着剤が糸層側に転移して、糸条を汚損するとい
う問題がある。そのため、あまり実用性を期待すること
ができないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、糸条
の太さに関係なく、どのような細デニール糸条であって
も容易に糸止め作業を可能にし、かつどのような細デニ
ール糸条であっても、容易に見分け可能な糸止め部分を
形成する巻糸体の糸端処理方法とその糸端処理された巻
糸体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明による糸端処理方法は、糸条がボビンに巻き取られて
形成された巻糸体から、その糸端側の糸条部分と、該糸
条部分から巻糸体側に巻き込まれた部分を少なくとも1
巻分すくい上げてループ状にした糸条部分とを共に吸引
管に吸引し、これら吸引した糸条部分を相互に加撚又は
絡合して1本に収束させ、この収束糸部分の途中を切断
することを特徴とするものである。
【0006】また、本発明により糸端処理された巻糸体
は、糸条がボビンに巻き取られて形成された巻糸体であ
って、該巻糸体に巻き込まれた糸条の糸端と、該巻糸体
の外周を少なくとも1巻きする糸条の両糸端部とが、相
互に加撚又は絡合して収束糸端部を形成することを特徴
とするものである。上記のように圧空などによる吸引管
を利用することによって、その吸引管に糸端側の糸条部
分と、表層から1巻分すくい上げたループ状の糸条部分
とを同時に吸引し、それらを相互に加撚又は交絡させて
糸止め部分を形成するので、糸条の太さに関係なく作業
が可能になり、かつ自動化も容易になる。
【0007】本発明により糸端処理された巻糸体は、巻
糸体に巻き込まれた糸条の糸端と、該巻糸体の外周を少
なくとも1巻きする糸条の両糸端部とが、相互に加撚又
は絡合して収束糸端部を形成したものであるので、その
収束糸端部は収縮性を具備して嵩高となり、たとえ細デ
ニール糸条の場合であっても、巻糸体上での視認が容易
になる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の糸端処理方法を図に示す実施
例によって具体的に説明する。図1(A),(B)は、
本発明を実施する糸端処理装置の一例を示し、図9は本
発明の糸端処理に供されるパッケージの一例を示す。図
9に示すように、糸端処理に供されるパッケージ1は、
ボビン2に糸条Yが綾振りされてドラム型に巻き上げら
れており、その表層には糸切換え時に形成されたバンチ
巻部Bが巻かれ、さらに巻き終わりの糸端Yeがバンチ
巻部Bから離れて存在している。ただし、本発明の糸端
処理に供されるパッケージ1としては、このようなバン
チ巻部Bを具備しないものであってもよい。
【0009】図1(A),(B)に示す糸端処理装置
は、パッケージ1を支持する支持軸12を有し、その支
持軸12がモータ11により正逆に回転駆動されるよう
になっている。この実施例では、2個のパッケージ1を
直列に支持するようにしたものであるが、その数は1個
だけであってもよく、或いは3個以上を支持する構成で
あってもよい。
【0010】また、支持軸12の軸心から回転軸心が上
方側にオフセットした回動リング13が設けられてい
る。この回動リング13は軸受18に回転自在に支持さ
れ、外周に設けた歯車13aにピニオン15を噛合させ
ることによって、不図示のモータにより正逆に回転駆動
されるようになっている。また、回動リング13にはガ
イド14が取り付けられ、このガイド14は2個のパッ
ケージ1の上方に跨がるように延長し、かつ各パッケー
ジ1に対応する位置にそれぞれ凹状に湾曲したガイド面
14aを有している。
【0011】また、このガイド14は、吸引管17に対
応する図1(A)の位置に停止したとき、不図示のアク
チュエータによって軸方向に移動可能になっており、図
のようにパッケージ1上方に跨がる位置から,モータ1
1側に退避した位置へスライドするようになっている。
床面には各パッケージ1に対応して噴射ノズル16がそ
れぞれ設けられ、その噴射ノズル16はスリット状噴射
口を各パッケージ1の表層に向けている。また、これら
噴射ノズル16に対向して、その上方側に負圧源に連通
する吸引管17が設けられている。この吸引管17は、
パッケージ1の表層に沿うような長方形の吸引口17a
を有している。また、吸引管17はパッケージ1の表層
に近い位置まで上下動すると共に、下端の吸引口17a
を首振りするようになっている。
【0012】本発明の糸端処理方法は、上述のような糸
端処理装置を使用して、下記のように実施される。ま
ず、図3(A)のように、回動リング13をガイド14
が右側に位置するようにセットすると共に、満巻きのパ
ッケージ1を支持軸12に装着する。次いで、支持軸1
2を回転してパッケージ1を矢印のように糸条巻取り方
向と逆方向に回転させながら、噴射ノズル16から圧縮
空気をパッケージ1の表層に吹きつけ、糸端Yeを起立
させる。
【0013】この噴射ノズル16による噴射は、本発明
において必ずしも必要とするものではないが、この操作
をすれば、次工程で行う吸引管17による糸端Yeの吸
引を簡単にすることができる。本発明にかかわるパッケ
ージは、図9に記載のように糸端Yeはドラム表層に必
ずしも存在している必要はなく、ボビン2上にあっても
よい。
【0014】その際、吸引管17による糸端Yeの吸引
を簡単に、かつ確実にするため、吸引管17と噴射ノズ
ル16は糸端Ye位置の近傍に軸方向に移動し、糸端Y
e吸引後、正規位置に戻ることが望ましい。(図示せ
ず)次いで、図3(B)のように吸引管17をパッケー
ジ1の表層近くまで下降させ、吸引口17aから糸端Y
eを吸引することにより、バンチ巻部Bの剥脱を行うよ
うにする。このとき糸端Yeを吸引開始した時点をセン
サで検出し、それ以後のパッケージ1(支持軸12)の
回転数をカウントすれば、バンチ巻部を含む糸条の剥脱
長さを測定することができる。また、その結果として、
パッケージ1の巻量を容易に管理することができる。な
お、パッケージ1がバンチ巻部Bをもたない形態の場合
には、この剥脱作業は不要になる。
【0015】上記バンチ巻部Bの剥脱が完了すると、パ
ッケージ1の回転を一旦中止し、吸引を継続したまま吸
引管17を元の位置に上昇させる。次に、図3(C)の
ように回動リング13を矢印の方向に回転させ、パッケ
ージ1と吸引管17との間に張られている糸条Yをガイ
ド14によって引っ掛けると共に、パッケージ1を再び
糸条巻取り方向と逆方向に回転させる。この相対的な回
転により、ガイド14は図3(D),(E)のように移
動し、再びガイド14が吸引管17の下方の位置に、図
3(F)のように来たとき停止させ、同時にパッケージ
1も停止させる。このようにガイド14がパッケージ1
の回りを1周することによって、ガイド14はパッケー
ジ1の表層に巻かれた糸条Yを1巻分すくい上げること
になる。
【0016】次に、図4に示すように、吸引を続けてい
る吸引管17を下降させると共に、首を振って吸引口1
7aをガイド14に接近させた状態にする。次いで、図
5に示すように、ガイド14を軸方向にスライドしてパ
ッケージ1の上方から退避させると共に、吸引管17を
下降させる。この下降によって、吸引管17は既に吸引
している糸端Ye側の糸条Y1 の他に、さらにガイド1
4がすくい上げた糸条Y2 も吸引する。
【0017】上記のように、吸引管17が糸端Ye側の
糸条Y1 とループ状にすくい上げた糸条Y2 とを吸引す
ると、それまでの直線的な吸引に加えて、図7に示すよ
うに吸引口17aの内壁に斜設したノズル19から圧縮
空気が噴射して螺旋流を発生させ、糸条Y1 、Y2 を相
互に加撚及び/又は絡合させ、1本に収束した状態にす
る。
【0018】本発明において、このような加撚及び/又
は絡合処理を行うときは、好ましくは、図6 (A) に示
すように、吸引口17aをパッケージ1に一旦接近さ
せ、再び図6 (B) のように上昇させるような操作を行
うようにするとよい。このような吸引管17の接近と離
間操作により、吸引管17に吸引される糸条Y1 、Y2
に確実に撚りが与えられると共に、単糸同士が強く絡合
するため、収束状態の糸束に高い伸縮性が生ずるように
なる。このように緊張状態で高い伸縮性が与えられた収
束糸を、適当な位置でカッターにより切断すると、パッ
ケージ1側に残った収束糸端部Ykが、その伸縮性によ
ってパッケージ表面に引き寄せられ、図2(A)に示す
ようなパッケージ1が得られる。このようにパッケージ
1側に残った収束糸端部Ykは、糸条Y1 、Y2 の単糸
同士が絡合及び/又は撚り合わされた状態になっている
ので、もはや自然解舒することはない。
【0019】上述のように収束糸端部Ykは、糸端側の
糸条Y1 とループ状の糸条Y2 とが収束されて形成され
るが、そのループ状の糸条Y2 の部分は、図2(B)に
図解するように、糸端側の糸条Y1 に連続する糸端部Y
2Aと、糸層に巻き上げられる糸条側に連続する糸端部Y
2Bとの両部分を形成する。すなわち収束糸端部Ykは、
糸端側の糸条Y1 と、この糸条Y1 に連なる糸端部Y2A
と、糸層の巻き上げ糸条に連なる糸端部Y2Bとの少なく
とも3本が収束して加撚又は絡合され、伸縮性をもった
嵩高で比較的太い収束状態になる。したがって、細デニ
ール糸条であっても、容易に視認しやすくすることがで
きる。
【0020】なお、上述の図6の操作をする場合におい
て、図6(A)から(B)のように吸引管17を上昇さ
せたとき、図8に点線で示すように糸条Y2 が広がる場
合がある。このような現象を防止するため糸条Y2 の両
側に移動ガイド20,20を設け、これらガイドを点線
の位置から実線で示す位置へ移動させるようにすれば、
一層強い加撚や絡合を与えることができる。
【0021】上述した糸端処理方法は、吸引管17を利
用することによって、その吸引管17に糸端側の糸条部
分Y1 と、表層から1巻分すくい上げたループ状の糸条
部分Y2 とを同時に吸引し、それらを相互に加撚又は交
絡させて糸止め部分の収束糸端部Ykを形成するので、
糸条の太さに関係なく作業を行うことができる。また、
実施例に記載の通り自動化も極めて容易になる。
【0022】また、上記方法により糸端処理されたパッ
ケージ1は、パッケージ1の糸層に巻き込まれた糸条の
糸端Y2Bと、こパッケージ1の外周を1巻きする糸条の
両糸端部Y1 ,Y2Aとの3本が、相互に加撚又は絡合す
ることによって糸止めとなる収束糸端部Ykを形成して
いる。したがって、その収束糸端部Ykは伸縮性をもっ
た嵩高なものになり、比較的太い収束状態になるので、
たとえ細デニール糸条の場合であっても、その収束糸端
部Ykをパッケージ1上で容易に見分けをすることがで
きるようになる。
【0023】なお、上述の実施例では、ガイド14によ
る糸条のすくい上げは1巻分にしたが、これを2巻分以
上をすくい上げて糸端側の糸条と共に絡合させるように
してもよい。また、本発明における巻糸体の形態として
は、実施例に例示したパッケージのほか、チーズ,パー
ンなどいずれの形態であってもよい。糸条は一般にはマ
ルチフィラメント糸条を対象とするが、その加工糸であ
ってもよく、また紡績糸であってもよい。
【0024】
【発明の効果】上述したように、本発明の糸端処理方法
は、吸引管に糸端側の糸条部分と、表層から1巻分すく
い上げたループ状の糸条部分とを同時に吸引し、それら
を相互に加撚又は交絡させて糸止め部分を形成するの
で、糸条の太さに関係なく糸端処理作業をすることがで
きる。また、この方法によって自動化も容易にすること
ができる。
【0025】本発明により糸端処理された巻糸体は、巻
糸体に巻き込まれた糸条の糸端と、巻糸体の外周を少な
くとも1巻きする糸条の両糸端部とが共に加撚又は絡合
されて収束糸端部を形成しているので、その収束糸端部
は収縮性を具備して嵩高となり、細デニール糸条であっ
ても、巻糸体上での見分けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用される糸端処理装置を示
し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図2】(A)本発明により糸端処理されたパッケージ
の斜視図、(B)は収束糸端部の糸端の関係を図解する
説明図である。である。
【図3】本発明の糸端処理方法を(A)〜(F)の工程
順に示す説明図である。
【図4】図3の工程(F)の次の工程を示す説明図であ
る。
【図5】図4の工程の次の工程を示す説明図である。
【図6】図5の工程の次の工程(A),(B)を示す説
明図である。
【図7】本発明に使用される吸引管の吸引口横断面の一
例を示す説明図である。
【図8】図6の工程に相当する他の態様を示す説明図で
ある。
【図9】本発明の糸端処理に供されるパッケージの一例
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 パッケージ 2 ボビン 12 支持軸 13 回動リング 14 ガイド 17 吸引管 Y,,Y1 ,Y2 糸条 Ye 糸端 Yk 収束糸端部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸条がボビンに巻き取られて形成された
    巻糸体から、その糸端側の糸条部分と、該糸条部分から
    巻糸体側に巻き込まれた部分を少なくとも1巻分すくい
    上げてループ状にした糸条部分とを共に吸引管に吸引
    し、これら吸引した糸条部分を相互に加撚又は絡合して
    1本に収束させ、この収束糸部分の途中を切断する巻糸
    体の糸端処理方法。
  2. 【請求項2】 前記巻糸体の形態がパッケージ,チー
    ズ,パーンのいずれかである請求項1に記載の巻糸体の
    糸端処理方法。
  3. 【請求項3】 糸条がボビンに巻き取られて形成された
    巻糸体であって、該巻糸体に巻き込まれた糸条の糸端
    と、該巻糸体の外周を少なくとも1巻きする糸条の両糸
    端部とが、相互に加撚又は絡合して収束糸端部を形成す
    る糸端処理された巻糸体。
  4. 【請求項4】 前記糸束端部が伸縮性を有する請求項3
    に記載の糸端処理された巻糸体。
  5. 【請求項5】 前記巻糸体の形態がパッケージ,チー
    ズ,パーンのいずれかである請求項3に記載の糸端処理
    された巻糸体。
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