JPH07256414A - 丸鋳片の連続鋳造装置 - Google Patents

丸鋳片の連続鋳造装置

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JPH07256414A
JPH07256414A JP7542894A JP7542894A JPH07256414A JP H07256414 A JPH07256414 A JP H07256414A JP 7542894 A JP7542894 A JP 7542894A JP 7542894 A JP7542894 A JP 7542894A JP H07256414 A JPH07256414 A JP H07256414A
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molten metal
mold
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electromagnetic coil
continuous casting
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JP7542894A
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Hideo Mizukami
英夫 水上
Takaharu Nakajima
敬治 中島
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳型内溶湯の湯面近傍の流動状態を均一化し
て湯面の波立ちや上下方向変動を無くし、これによって
表面性状の優れた高品位鋳片を安定に製造できる連続鋳
造装置を提供する。 【構成】 浸漬ノズル3によって金属溶湯4が注入され
る鋳型1の外周に移動磁界方式の電磁コイル9を配設し
た丸鋳片の連続鋳造装置において、電磁コイル9の配設
位置を鋳型内溶湯の湯面から浸漬ノズルの浸漬深さまで
の範囲とするか、更にはこれに加えて鋳型外周の電磁コ
イル9の配設位置より下の部分を強磁性体板等の電磁遮
蔽材10で覆うことにより、電磁力による“浸漬ノズル3
から吐出して流下する溶湯流”の攪拌を極力防止し、湯
面近傍の溶湯のみが均一に周方向へ攪拌されるようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高品質鋳片を安定し
て製造することができる丸鋳片の連続鋳造装置に関する
ものである。
【0002】
【従来技術とその課題】一般に、金属の丸鋳片(以降、
単に“鋳片”と記す)を連続鋳造する場合、その品質向
上を図るため、鋳型内に潤滑剤を投入することにより鋳
型と鋳片との間の潤滑性を高めて両者間の摩擦を低減す
ると共に、鋳片から鋳型への熱伝達を抑えて凝固殻の成
長を均一化させる手立てが施される。しかし、鋳型内に
潤滑剤を投入して連続鋳造を行うだけでは鋳片に表面欠
陥が発生するのを十分に抑えることができず、その後の
処理工程や材料歩留り等に大きな悪影響を与えかねなか
った。
【0003】ところで、上述のような連続鋳造を行った
場合に発生しがちな主たる鋳片の表面欠陥としては、 a) 潤滑剤として用いられる連続鋳造用パウダが鋳片表
層部に捕捉されて発生するノロカミ疵, b) 鋳片の冷却が不均一となるため凝固殻厚さが局所的
に異なり、このため鋳片に作用する応力に相違が生じて
発生する縦割れ疵, がある。
【0004】なお、このような鋳片の表面欠陥は“鋳型
内溶湯の流動現象”と深く関連している。即ち、鋳型内
への溶湯の注入は溶湯中に浸漬させた耐火物製のノズル
(浸漬ノズル)によって行うのが一般的であるが、この
注湯の際、ノズルからの吐出流により鋳型内の溶湯に旋
回流あるいは噴流が発生する。これらの旋回流あるいは
噴流は鋳型内で均一に流れず、その発生は不規則であ
り、流れの速さも方向も一定でない。このため、溶湯の
湯面は波立つと共に上下に変動し、溶湯の湯面上に存在
する溶融状態の連続鋳造用パウダ層の厚みが薄くなった
り、あるいは溶融パウダ層が無くなる現象が発生しがち
である。
【0005】この現象のため、溶融パウダ層の上に存在
する未溶融のパウダが溶湯と接して溶湯中へ捕捉される
頻度が高まり、ノロカミ疵となる。また、溶湯の湯面が
上下に変動すると、溶湯と鋳型の間に侵入する溶融パウ
ダの量が局所的に異なる結果となり、溶湯から鋳型への
伝熱量が均一とならずに冷却に不均一が生じ、鋳片の厚
さが不均一となって縦割れ疵となる。
【0006】そこで、上記不都合を防止すべく、図7に
示したように、連続鋳造鋳型1の外周に電磁コイル2を
配置し、それが発する磁界によって鋳型内溶湯の流動を
制御することが試みられている。なお、図中の符号3は
浸漬ノズルを、符号4は溶湯を、符号5は溶融パウダ層
を、符号6は未溶融パウダを、そして符号7は吐出流を
それぞれ示している。しかしながら、それでも鋳片のノ
ロカミ疵や縦割れ疵を十分に防止することは困難であっ
た。
【0007】このため、連続鋳造鋳型の外周に電磁コイ
ルを設置すると共に、鋳型内の磁界分布を変化させるた
めの導電性円環を鋳型内溶湯の湯面の外周近傍に設置す
ることで、溶湯の湯面形状と鋳型内の溶湯流動を好適に
制御しようとの提案がなされた(特開平2−70361
号)。即ち、この提案は、電磁コイルで発生する磁界分
布を導電性円環を使って鋳型内溶湯の湯面外周位置に集
中させ、その電磁力により湯面形状と溶湯流動を制御し
て溶融パウダの流入が不均一となるのを抑制したり、溶
湯流動に起因する未溶融パウダの巻込みを抑えて表面欠
陥発生の防止を図ったものである。
【0008】しかし、上記特開平2−70361号とし
て提案された方法は、鋳型内溶湯の湯面の波立ちや上下
方向変動を防止する手段としては十分なものとは言えな
かった。つまり、特開平2−70361号として提案さ
れた方法では、電磁コイルにより発生する電磁力の働く
方向は鋳型の外周から中心に向かう方向である。しかる
に、浸漬ノズルから注湯される溶湯の吐出流は速度が非
常に大きくて噴流を伴うため、下方に向かう流速分布の
不均一な流れとなる。そのため、電磁コイルを作動させ
ると、浸漬ノズルから下方に向かう吐出流に逆らって鋳
型の外周から中心に向かう力を加えることとなり、この
ような力を加えると鋳型内の溶湯の流動を逆に乱してし
まって溶湯湯面の波立ちや上下方向変動を引き起こす結
果となるからである。
【0009】一方、これとは別に、鋳型内溶鋼に大きな
攪拌力を与えると鋳型内周辺部の溶鋼が遠心力により持
ち上がり、そのため溶鋼湯面上に存在する溶融パウダ層
の厚みが鋳型内周辺部で薄くなることを踏まえ、連続鋳
造鋳型の外周に移動磁界方式の電磁コイルを設置すると
共に、鋳型上部の“鋳型内溶鋼の湯面を含む高さ”部位
の“鋳型と電磁コイルとの間”に強磁性体から成る電磁
遮蔽材を設けてこの部位の電磁力を弱めることによって
溶融パウダ層の厚み変動を抑え、これにより鋳片表面欠
陥発生の防止しようとの提案もなされている(特開平4
−220149号)。即ち、鋳型内溶湯に大きな攪拌力
を与えながら均一厚みの溶融パウダ層を確保するために
は湯面周辺の溶湯の攪拌力のみを弱めてやれば良いとの
考えから、湯面位置における鋳型の外周に強磁性体製の
電磁遮蔽材を設置し、湯面近傍の溶湯の攪拌力を弱めよ
うというのが上記提案の趣旨である。
【0010】しかしながら、鋳型の外周に電磁コイルを
設置すると共に、磁気遮蔽材を配置して湯面近傍の溶湯
に加わる電磁力のみ弱くなるようにこれを調整しながら
溶湯の流動を制御するだけでは、溶湯湯面の変動や鋳型
内溶湯の旋回流を期待する程に抑制することは困難であ
り、従って鋳片表面欠陥の原因となる溶湯中への未溶融
パウダの巻込みを防止することも難しかった。つまり、
特開平4−220149号として提案された方法では、
電磁コイルにより発生する電磁力が働く向きは鋳型の周
方向である。そして、この方法に従って溶湯に鋳型周方
向の力を加えると、鋳型下部の位置にまで電磁力の強い
作用が及ぶため、浸漬ノズルからの噴流を伴う吐出流を
攪拌する結果となって鋳型下部の溶湯流動に乱れを引き
起し、これに伴い湯面に波立ちや上下方向変動が発生し
てしまうからである。
【0011】このようなことから、本発明が目的とした
のは、鋳型内溶湯の湯面近傍の流動状態を均一化して湯
面の波立ちや上下方向変動を無くし、これによって表面
性状の優れた高品位鋳片を安定に製造できる連続鋳造装
置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成べく様々な観点から検討を重ねたところ、次のよ
うな新しい知見を得ることができた。 A) 鋳型内溶湯の湯面近傍の流動状態を均一化するため
には、電磁コイルによって湯面近傍の溶湯に円周方向
(鋳型の周方向)の攪拌力を加えるのが極めて効果的で
あり、従って鋳型の外周に移動磁界方式の電磁コイルを
配設することは是非とも必要な手段である, B) しかし、前記特開平4−220149号として提案
された方法を例に説明したように、電磁力によって湯面
近傍の溶湯に単に円周方向の攪拌力を加えても鋳型内溶
湯の湯面が波立ったり上下方向に変動するのを十分に防
止することができないが、その最大の原因は、浸漬ノズ
ルから吐出されて流下する鋳型下端位置の溶湯流にまで
電磁コイルによる大きな電磁力が加わって溶湯流動に乱
れを生じさせることにある, C) ところが、電磁コイルの設置位置を浸漬ノズルの浸
漬深さまでの範囲に止めると、浸漬ノズルから吐出され
て流下する溶湯流に加わる電磁力は非常に小さくなり、
溶湯流動に大きな乱れを生じさせることがなくなって、
表面性状の優れた鋳片の安定製造に大きく資するように
なる, D) また、この場合、電磁コイルより下端の鋳型外周部
に強磁性体の電磁遮蔽材を設置すると、電磁コイルから
の電磁力が“浸漬ノズルから吐出されて流下する溶湯
流”に及ぶのをより一層防止することができ、溶湯流動
の均一化,高品位鋳片の安定製造にとって一段と有利な
状況がもたらされる。
【0013】本発明は、上記知見事項等を基にした研究
の結果完成されたものであり、「浸漬ノズルによって金
属溶湯が注入される鋳型の外周に移動磁界方式の電磁コ
イルを配設した丸鋳片の連続鋳造装置において、 電磁コ
イルの配設位置を鋳型内溶湯の湯面から浸漬ノズルの浸
漬深さまでの範囲とするか、 更にはこれに加えて鋳型外
周の電磁コイル配設位置より下の部分を電磁遮蔽材で覆
うことにより、 鋳型内溶湯の流動を均一化して表面性状
の優れた鋳片を安定に製造できるようにした点」に大き
な特徴を有している。
【0014】図1は本発明に係る連続鋳造装置例の説明
図であるが、以下、この図面を基に本発明をより詳細に
説明する。図1において、符号3は連続鋳造鋳型1の中
心に固定されている浸漬ノズルであり、この浸漬ノズル
3から溶湯4が連続鋳造鋳型1内に注湯される。この
際、連続鋳造鋳型1内の溶湯4の流動は、浸漬ノズル3
から鋳型下方へ拡がる流速の大きな吐出流7と、溶湯の
湯面近傍に生じる流れの方向が定まらない淀み部8とに
大別される。なお、溶湯の湯面上には溶融パウダ層5が
あり、更にその上には未滓化パウダ層6が存在する。
【0015】また、連続鋳造鋳型1の外周には、溶湯の
湯面から浸漬ノズル3の下端にかけての範囲で移動磁界
方式の電磁コイル9が設置されている。更に、必要に応
じて前記電磁コイル9の下方に電磁遮蔽材10が配置さ
れ、電磁コイル9の下端位置より下の鋳型外周部分が電
磁遮蔽材10で覆われる。ここで、電磁遮蔽材としては強
磁性体である鉄板,炭素鋼やステンレス鋼等の鋼板,ニ
ッケル板,フェライト成形体等が好適であると言える。
【0016】
【作用】さて、連続鋳造鋳型1の外周に移動磁界方式の
電磁コイル9を鋳型内溶湯4の湯面から浸漬ノズル3の
浸漬深さまでの範囲で設置すると、鋳型内溶湯4の湯面
変動を抑えながらパウダの作用を好適に引き出す溶湯流
動を実現することが可能となる。
【0017】即ち、移動磁界方式の電磁コイル9によっ
て鋳型内溶湯の湯面近傍(淀み部8を含む部位)に電磁
力を加えて鋳型の円周方向へ向かう攪拌力を発生させる
と、湯面近傍の淀み部8で生じる低温領域が解消される
と共に、鋳型内の溶湯温度が均一となる。そして、溶湯
の湯面上に存在する連続鋳造パウダの溶融量も湯面上の
全体で同じとなり、溶融パウダ層の厚みも均一となっ
て、鋳型と溶湯との間へ流入する溶融パウダの流入量が
鋳型周方向で均等化されるので、溶湯から鋳型への伝熱
量が鋳型内面全域で均等となり凝固シェル厚みの不均一
化が防止される。
【0018】また、鋳型内溶湯の湯面近傍で電磁力によ
る鋳型円周方向への攪拌力が加えられるので湯面近傍に
おける溶湯の流速が一定となり、この点からも溶湯から
鋳型への伝熱量が鋳型内面全域で均等となり、凝固シェ
ル厚みの均一化は一層推進される。
【0019】ところで、電磁コイルから発生する磁界の
強度はコイル幅の中央(コイル上下端の中央)から離れ
るに従って次第に小さくなる。そして、例えばコイルの
上下端から上下に約100mm離れた位置での磁界の強度
はコイル幅の中央位置における強度の30%程度に低下
する。そのため、電磁コイルの配設位置を鋳型内溶湯の
湯面から浸漬ノズルの浸漬深さまでの範囲に止めると、
湯面近傍での好適な溶湯攪拌が確保されたままで、電磁
コイルからの電磁力が“浸漬ノズルから吐出されて流下
する溶湯流”を攪拌して乱れを引き起こす現象が抑えら
れ、溶湯流の乱れによって生じる“鋳型内溶湯の湯面変
動”が抑制されることになる。
【0020】ここで、上述のように配置規制した移動磁
界方式電磁コイル9の下端より下方の鋳型外周部分を電
磁遮蔽材10で覆った場合には、“浸漬ノズルから吐出さ
れて流下する溶湯流”に乱れを引き起こす電磁力の影響
が一段と弱まり、好ましい溶湯流への制御効果は一層顕
著化する。つまり、電磁コイルの下端に電磁遮蔽材を設
けると、“浸漬ノズルから吐出されて流下する溶湯流”
の部位における磁界強度をコイル幅の中央位置における
磁界強度の10%程度に低減することができ、浸漬ノズ
ルからの吐出流の攪拌をより十分に抑制することができ
る。
【0021】このように、本願発明に係る連続鋳造装置
では簡易な手立てによって電磁コイルによる電磁力をほ
ぼ鋳型内溶湯の湯面のみに印加させることができ、その
ため湯面近傍の溶湯流動を好適状態に制御して湯面の波
立ちや湯面変動を抑制し、表面品質の優れた鋳片を安定
して製造することが可能になる。
【0022】続いて、本発明の効果を実施例によって更
に具体的に説明する。
【実施例】連続鋳造鋳型の外周に“鋳型内溶湯の湯面か
ら浸漬ノズルの浸漬深さ”までの範囲で移動磁界方式の
電磁攪拌コイルを配設するか、あるいは更に鋳型外周の
電磁コイル配設位置より下の部分を電磁遮蔽板で覆った
図1に示す丸鋳片の連続鋳造装置を使用し、溶鋼の連続
鋳造試験を行った。ここで、鋳型の外周に配設した電磁
攪拌コイルは図2に示したような“円環状に配置された
8極の磁極で構成された幅が100mmのもの”であり、
使用に当たっては相隣り合う磁極の極性を周期的に変化
させた。
【0023】なお、試験に供した溶鋼の化学組成はFe−
0.15wt%C−0.27wt%Si−1.35wt%Mn−0.01wt%P−0.
02wt%Sであり、その他の鋳造条件は次の通りであっ
た。 鋳型長さ :900mm, 鋳型内径 :225mmφ, 浸漬ノズルの浸漬深さ :100mm, 電磁コイル設置位置 :一部比較例を除いては溶鋼湯
面位置から100mm下方までの範囲, 電磁遮蔽板の種類 :炭素鋼板(5mm厚), 注湯温度 :1550℃, 鋳造速度 :2m/min。
【0024】この試験により、まず、電磁攪拌が鋳型内
溶鋼の温度に及ぼす影響の確認を行った。そのため、
「電磁攪拌を実施した場合」と「電磁攪拌を実施しなか
った場合」につき、鋳型内壁から溶鋼側へ50mmの位置
で熱電対を溶鋼中へ徐々に浸漬して行って鋳型内の温度
分布を測定した。この結果を整理して図3に示した。
【0025】図3において“破線”は「電磁攪拌を実施
しなかった場合」の測定結果を示しているが、「電磁攪
拌を実施しなかった場合」には熱電対を徐々に浸漬して
行くと温度が次第に上がり、未滓化パウダ層内で約90
0℃に、そして溶融パウダ層内で約1520℃に達す
る。更に熱電対を浸漬させて行き、溶鋼中に達すると温
度は1520℃となり、また湯面下100mm位置に達す
ると1530℃にまで上昇する。この結果から分かるよ
うに、湯面下100mmに達するまでの範囲の溶鋼温度は
湯面近傍における溶鋼の淀み領域に相当するため注湯温
度(1550℃)よりも低くなっており、従って溶鋼湯
面からの凝固が生じて操業が困難となる。
【0026】一方、図3における“実線”は「電磁攪拌
を実施した場合」の測定結果を示しているが、「電磁攪
拌を実施した場合」には鋳型内の溶鋼(特に湯面近傍の
淀みが生じがちな領域の溶鋼)が十分に攪拌されるの
で、溶融パウダ層に覆われた溶鋼湯面下の温度は注湯温
度(1550℃)近くの高い均一な温度となっており、
連続鋳造パウダは湯面の全面にわたって均等に溶融し均
一なパウダの溶融層厚みが確保されたであろうことが分
かる。
【0027】次に、「電磁攪拌を実施した場合」の“電
磁コイル設置位置”と“鋳型内溶鋼の湯面変動”の関係
を調査した。図4はこの調査結果を整理して示したグラ
フであるが、この図4に示された領域I(湯面から浸漬
ノズルの浸漬深さまでの範囲)に電磁コイルを設置した
場合(本発明例)では湯面の上下方向の変動量は最も小
さく、2mm以内に収まることが分かる。これに対して、
電磁コイルの設置位置が浸漬ノズルの浸漬深さよりも下
方になると(領域II,III, IV に設置した比較例になる
と)湯面変動量は際立って大きくなっている。また、電
磁コイルを領域Iに設置し、電磁コイル下端より下方の
鋳型外面を電磁遮蔽板で覆った場合(本発明例)には、
湯面変動量を 1.5mm以内に抑え得ることも確認できる。
【0028】更に、「電磁攪拌を実施した場合」と「電
磁攪拌を実施しなかった場合」における“凝固殻厚みの
偏差”及び“鋳片表面欠陥発生率”の状況も調べたが、
この結果を図5及び図6に整理して示す。つまり、図5
は「電磁攪拌を実施した場合」と「電磁攪拌を実施しな
かった場合」の凝固殻厚みの偏差(凝固殻厚みは湯面か
ら100mm下方の位置での測定であって横断面における
凝固殻厚みの最大と最小の差を言う)を示しているが
(なお領域I, …, IVで表した電磁コイルの設置位置は
図4に対応している)、この図5からも、領域Iに電磁
コイルを設置して電磁攪拌を行った場合に凝固シェル厚
みの偏差が最も小さくなることを確認できる。
【0029】図6は、「電磁攪拌を実施した場合」と
「電磁攪拌を実施しなかった場合」の表面欠陥発生率の
関係を示しているが(領域I, …, IVで表した電磁コイ
ルの設置位置は図4に対応している)、この図6も領域
Iに電磁コイルを設置して電磁攪拌を行った場合に表面
欠陥発生率が最も小さいことを表している。
【0030】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、鋳型内溶湯の流動を円滑かつ均一にして湯面変動を
抑えると同時に湯面温度の均一化を安定して達成するこ
とが可能となり、湯面上の溶融パウダ層厚みが均一化さ
れて鋳型・溶湯間への溶融パウダの流入量が鋳型円周方
向で一定となるところの、表面性状の優れた高品質鋳片
を安定製造できる丸鋳片の連続鋳造装置が提供されるな
ど、産業上非常に有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続鋳造装置の説明図である。
【図2】実施例で使用した電磁攪拌コイルの説明図であ
る。
【図3】鋳型内溶湯の温度測定結果を示すグラフであ
る。
【図4】電磁攪拌コイルの設置位置と鋳型内溶湯の湯面
変動量の関係を示すグラフである。
【図5】凝固殻厚みの偏差と電磁攪拌条件の関係を示す
グラフである。
【図6】鋳片表面欠陥の発生率と電磁攪拌条件の関係を
示すグラフである。
【図7】従来の電磁攪拌コイルを配置した連続鋳造装置
の説明図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造鋳型 2 電磁コイル 3 浸漬ノズル 4 溶湯 5 溶融パウダ層 6 未溶融パウダ 7 吐出流 8 淀み部 9 移動磁界方式の電磁コイル 10 電磁遮蔽材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬ノズルによって金属溶湯が注入され
    る鋳型の外周に移動磁界方式の電磁コイルを配設した丸
    鋳片の連続鋳造装置において、電磁コイルの配設位置を
    鋳型内溶湯の湯面から浸漬ノズルの浸漬深さまでの範囲
    としたことを特徴とする、丸鋳片の連続鋳造装置。
  2. 【請求項2】 鋳型外周の電磁コイル配設位置より下の
    部分が電磁遮蔽材で覆われて成ることを特徴とする、請
    求項1に記載の丸鋳片の連続鋳造装置。
JP7542894A 1994-03-22 1994-03-22 丸鋳片の連続鋳造装置 Pending JPH07256414A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008126928A1 (ja) * 2007-04-10 2008-10-23 Nippon Steel Corporation スラブの連続鋳造装置およびその連続鋳造方法

Cited By (2)

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WO2008126928A1 (ja) * 2007-04-10 2008-10-23 Nippon Steel Corporation スラブの連続鋳造装置およびその連続鋳造方法
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