JP2001129645A - 連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 - Google Patents
連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法Info
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- JP2001129645A JP2001129645A JP31002399A JP31002399A JP2001129645A JP 2001129645 A JP2001129645 A JP 2001129645A JP 31002399 A JP31002399 A JP 31002399A JP 31002399 A JP31002399 A JP 31002399A JP 2001129645 A JP2001129645 A JP 2001129645A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミナ付着による浸漬ノズルの閉塞を防止
すると共に、浸漬ノズル吐出孔付近の溶鋼偏流を抑制
し、鋳片品質の向上を図ることができる連続鋳造用浸漬
ノズルの吐出孔形状、および、更に、渦流の発生やパウ
ダーの巻込みを防止し、かつ湯面への温度供給を適切に
し得る連続鋳造方法を提供すること。 【解決手段】 浸漬ノズルの吐出孔形状において、縦方
向の長さをa,横方向の長さをbとするとき「0.3≦a/
≦1.0」の範囲を満足し、かつノズル内孔部断面積S0と
吐出孔総断面積S1の比率が「1.2≦S1/S0≦2.6」の範
囲満足する吐出孔形状を有する連続鋳造用浸漬ノズル。
この連続鋳造用浸漬ノズルを使用し、吐出孔上端からパ
ウダーラインまでの距離hを「50〜400mm」とし、か
つ不活性ガス、例えばArガスの流量Mを「5〜40リッ
トル/min」として連続鋳造すること。
すると共に、浸漬ノズル吐出孔付近の溶鋼偏流を抑制
し、鋳片品質の向上を図ることができる連続鋳造用浸漬
ノズルの吐出孔形状、および、更に、渦流の発生やパウ
ダーの巻込みを防止し、かつ湯面への温度供給を適切に
し得る連続鋳造方法を提供すること。 【解決手段】 浸漬ノズルの吐出孔形状において、縦方
向の長さをa,横方向の長さをbとするとき「0.3≦a/
≦1.0」の範囲を満足し、かつノズル内孔部断面積S0と
吐出孔総断面積S1の比率が「1.2≦S1/S0≦2.6」の範
囲満足する吐出孔形状を有する連続鋳造用浸漬ノズル。
この連続鋳造用浸漬ノズルを使用し、吐出孔上端からパ
ウダーラインまでの距離hを「50〜400mm」とし、か
つ不活性ガス、例えばArガスの流量Mを「5〜40リッ
トル/min」として連続鋳造すること。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造用浸漬ノ
ズル(以下、単に「浸漬ノズル」と記載することもある)
および連続鋳造方法に関する。詳細には、本発明は、ア
ルミナ付着による浸漬ノズルの閉塞を防止すると共に、
浸漬ノズル吐出孔付近の溶鋼偏流を抑制し、鋳片品質の
向上を図ることができる連続鋳造用浸漬ノズルの吐出孔
形状、および、更に、渦流の発生やパウダーの巻込みを
防止し、かつ湯面への温度供給を適切にし得る連続鋳造
方法に関する。
ズル(以下、単に「浸漬ノズル」と記載することもある)
および連続鋳造方法に関する。詳細には、本発明は、ア
ルミナ付着による浸漬ノズルの閉塞を防止すると共に、
浸漬ノズル吐出孔付近の溶鋼偏流を抑制し、鋳片品質の
向上を図ることができる連続鋳造用浸漬ノズルの吐出孔
形状、および、更に、渦流の発生やパウダーの巻込みを
防止し、かつ湯面への温度供給を適切にし得る連続鋳造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】浸漬ノズルは、タンディッシュからモー
ルドに連結されて使用される耐火物であり、溶鋼の酸化
防止,モールド内の安定した溶鋼流の供給,スラグ巻込
み防止などの働きがある。
ルドに連結されて使用される耐火物であり、溶鋼の酸化
防止,モールド内の安定した溶鋼流の供給,スラグ巻込
み防止などの働きがある。
【0003】従来、浸漬ノズルの材質としては、アルミ
ナ-黒鉛質あるいはアルミナ-溶融石英-黒鉛質が使用さ
れ、更に、スラグラインには、ジルコニア-黒鉛質の耐
火材料が一般的に使用されてきた。しかしながら、この
ように黒鉛質原料を含む耐火材料よりなる浸漬ノズルを
使用してアルミキルド鋼を鋳造した場合、溶鋼中の酸化
物系介在物が浸漬ノズル内面に付着・堆積して、しばし
ば閉塞する現象がみられ、連続鋳造操業の大きな障害と
なっている。
ナ-黒鉛質あるいはアルミナ-溶融石英-黒鉛質が使用さ
れ、更に、スラグラインには、ジルコニア-黒鉛質の耐
火材料が一般的に使用されてきた。しかしながら、この
ように黒鉛質原料を含む耐火材料よりなる浸漬ノズルを
使用してアルミキルド鋼を鋳造した場合、溶鋼中の酸化
物系介在物が浸漬ノズル内面に付着・堆積して、しばし
ば閉塞する現象がみられ、連続鋳造操業の大きな障害と
なっている。
【0004】一方、取鍋からモールドへ溶鋼を注入する
場合の流量制御には、スライドゲートを用いる場合とス
トッパーノズルを用いる場合があるが、スラブ鋳片を鋳
込む場合には、一般的にスライドゲートを用いて行うこ
とが多い。このスライドゲートは、常時全開で使用され
るわけではなく、通常は絞った状態で使用される。この
ような場合、スライドゲートの制御面下部では、溶鋼の
偏流が生じ、浸漬ノズル内においても、溶鋼偏流は解消
されない。
場合の流量制御には、スライドゲートを用いる場合とス
トッパーノズルを用いる場合があるが、スラブ鋳片を鋳
込む場合には、一般的にスライドゲートを用いて行うこ
とが多い。このスライドゲートは、常時全開で使用され
るわけではなく、通常は絞った状態で使用される。この
ような場合、スライドゲートの制御面下部では、溶鋼の
偏流が生じ、浸漬ノズル内においても、溶鋼偏流は解消
されない。
【0005】上記のような溶鋼偏流が発生すると、ノズ
ル吐出孔からの溶鋼流に“片流れ現象”が生じて鋳型内
流動に悪影響を及ぼし、鋳片欠陥の増加やブレークアウ
ト等の操業阻害をもたらす。アルミナ付着が生じた場
合、吐出孔近傍での溶鋼偏流は更に大きくなり、吐出孔
上端部での吸込み流が大きくなる現象が生じる。また、
左右の吐出孔流の差が大きく、湯面上部に渦流が発生し
易くなる。渦流によって巻込まれたスラグは、鋳片欠陥
を生じる原因となる。更には、吸込み流によって浸漬ノ
ズル内管に吸込まれ、浸漬ノズル内管を溶損する。
ル吐出孔からの溶鋼流に“片流れ現象”が生じて鋳型内
流動に悪影響を及ぼし、鋳片欠陥の増加やブレークアウ
ト等の操業阻害をもたらす。アルミナ付着が生じた場
合、吐出孔近傍での溶鋼偏流は更に大きくなり、吐出孔
上端部での吸込み流が大きくなる現象が生じる。また、
左右の吐出孔流の差が大きく、湯面上部に渦流が発生し
易くなる。渦流によって巻込まれたスラグは、鋳片欠陥
を生じる原因となる。更には、吸込み流によって浸漬ノ
ズル内管に吸込まれ、浸漬ノズル内管を溶損する。
【0006】上記のような浸漬ノズルの閉塞や溶鋼偏流
防止のために、これまで様々な対策が採られてきた。例
えば、アルミナ付着防止に対して最も効果的なのは、浸
漬ノズルや上ノズル等からのガス吹きであり、広く普及
している。しかし、この方法では、ガス気泡によるピン
ホール欠陥が生じ易いという欠点がある。なお、ノズル
詰まりの発生機構としては、特開昭57-27967号公報に記
載されているように、耐火物と溶鋼の化学反応によって
生じた網目状アルミナが起点となり、その上に微細な介
在物粒子が多数合体して付着が進行することが考えられ
る。
防止のために、これまで様々な対策が採られてきた。例
えば、アルミナ付着防止に対して最も効果的なのは、浸
漬ノズルや上ノズル等からのガス吹きであり、広く普及
している。しかし、この方法では、ガス気泡によるピン
ホール欠陥が生じ易いという欠点がある。なお、ノズル
詰まりの発生機構としては、特開昭57-27967号公報に記
載されているように、耐火物と溶鋼の化学反応によって
生じた網目状アルミナが起点となり、その上に微細な介
在物粒子が多数合体して付着が進行することが考えられ
る。
【0007】材質面でのアルミナ付着防止としては、特
公平2-23494号公報などに記載されているように、浸漬
ノズル内孔部にCaO-ZrO2-C系材質を配材する手
法が一般的であった。
公平2-23494号公報などに記載されているように、浸漬
ノズル内孔部にCaO-ZrO2-C系材質を配材する手
法が一般的であった。
【0008】最近では、内孔部にカーボンを配設しない
耐火材料が開発されている。(例えば、特開平3−24325
8号公報,特開平5−154628号公報,特開平8−57601号公
報参照)。これらの公報に開示されている浸漬ノズル
は、浸漬ノズルを構成する耐火材料中からカーボンを除
去する、あるいは極力少なくすることにより、カーボン
と耐火材料の反応による酸化性ガスの発生を制御し、鋼
中のAlの酸化を抑えてAl2O3の生成を防止するもの
である。これらの浸漬ノズルを用いても、溶鋼中介在物
が非常に多い非清浄鋼を鋳造したり、また、多連鋳が進
むと、Al2O3の付着を生じるという欠点がある。
耐火材料が開発されている。(例えば、特開平3−24325
8号公報,特開平5−154628号公報,特開平8−57601号公
報参照)。これらの公報に開示されている浸漬ノズル
は、浸漬ノズルを構成する耐火材料中からカーボンを除
去する、あるいは極力少なくすることにより、カーボン
と耐火材料の反応による酸化性ガスの発生を制御し、鋼
中のAlの酸化を抑えてAl2O3の生成を防止するもの
である。これらの浸漬ノズルを用いても、溶鋼中介在物
が非常に多い非清浄鋼を鋳造したり、また、多連鋳が進
むと、Al2O3の付着を生じるという欠点がある。
【0009】浸漬ノズル内孔部の構造面でみると、内孔
部段差付き浸漬ノズルの使用によるアルミナ付着防止手
法がある。例えば、実公昭59-22913号公報には、上方ノ
ズル内径より下方ノズル内径が大きく、その境界に3〜
30mmの段差面を有し、且つ、ノズル内壁部および/
または溶融金属浸漬部全体にわたり、ボロンナイトライ
ドを含有する材質を配設したことを特徴とする連続鋳造
用浸漬ノズルが開示されている。また、実公平7-23091
号公報には、連続鋳造用浸漬ノズルの溶鋼流通孔に複数
に段差部を設け、本管内径dに対して、前記溶鋼流通孔
が“d1>d2>d3>d”であり、該段差部d1〜d3そ
れぞれの間に本管内径dを配設してなる連続鋳造用複段
差付浸漬ノズルが開示されている。
部段差付き浸漬ノズルの使用によるアルミナ付着防止手
法がある。例えば、実公昭59-22913号公報には、上方ノ
ズル内径より下方ノズル内径が大きく、その境界に3〜
30mmの段差面を有し、且つ、ノズル内壁部および/
または溶融金属浸漬部全体にわたり、ボロンナイトライ
ドを含有する材質を配設したことを特徴とする連続鋳造
用浸漬ノズルが開示されている。また、実公平7-23091
号公報には、連続鋳造用浸漬ノズルの溶鋼流通孔に複数
に段差部を設け、本管内径dに対して、前記溶鋼流通孔
が“d1>d2>d3>d”であり、該段差部d1〜d3そ
れぞれの間に本管内径dを配設してなる連続鋳造用複段
差付浸漬ノズルが開示されている。
【0010】上記実公昭59-22913号公報や実公平7-2309
1号公報に開示されている、いずれの浸漬ノズルにおい
ても、アルミナ付着防止に対しては効果的であるが、溶
鋼種類や鋳造条件によっては、効果がない場合もある。
1号公報に開示されている、いずれの浸漬ノズルにおい
ても、アルミナ付着防止に対しては効果的であるが、溶
鋼種類や鋳造条件によっては、効果がない場合もある。
【0011】浸漬ノズル吐出孔の構造面でみると、例え
ば、次の(1)〜(10)の浸漬ノズルが開発されている。し
かし、以下に記載するとおり、いずれの浸漬ノズルも欠
点,問題点を有している。
ば、次の(1)〜(10)の浸漬ノズルが開発されている。し
かし、以下に記載するとおり、いずれの浸漬ノズルも欠
点,問題点を有している。
【0012】(1) 実開昭62-6957号公報には、浸漬ノズ
ル吐出孔部分の上端部側の側壁断面形状を弧状にしたこ
とにより、吐出孔の下部側に生じる圧力を小さくでき、
流速も小さくできる他、浸漬ノズルの底にボックスを設
けることにより、モールドパウダー原因の欠陥発生率を
減少させることができる連続鋳造用浸漬ノズルが開示さ
れている。しかし、本手法は、有効的であるが、加工が
複雑という欠点がある。
ル吐出孔部分の上端部側の側壁断面形状を弧状にしたこ
とにより、吐出孔の下部側に生じる圧力を小さくでき、
流速も小さくできる他、浸漬ノズルの底にボックスを設
けることにより、モールドパウダー原因の欠陥発生率を
減少させることができる連続鋳造用浸漬ノズルが開示さ
れている。しかし、本手法は、有効的であるが、加工が
複雑という欠点がある。
【0013】(2) 実開昭62-10942号公報には、吐出孔部
の上端と下端の角度を変えることで、介在物の浮上を促
進し、溶鋼の流速を小さくして凝固シェルへの介在物の
付着の防止、および、溶鋼の凝固シェルへの直撃を防止
した連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、
本手法においても、吐出孔上端に吸込み流が発生すると
いう欠点がある。
の上端と下端の角度を変えることで、介在物の浮上を促
進し、溶鋼の流速を小さくして凝固シェルへの介在物の
付着の防止、および、溶鋼の凝固シェルへの直撃を防止
した連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、
本手法においても、吐出孔上端に吸込み流が発生すると
いう欠点がある。
【0014】(3) 実開昭63-52756号公報には、浸漬ノズ
ル吐出孔の上面を外側に向かって上方に傾斜させ、下面
を水平または上方に傾斜させる手法が開示されている。
すなわち、上面の水平方向に対する角度をθ1,下面の
水平方向に対する角度をθ2とするとき、“θ1>θ2”
で、内側縦寸法dより外側縦寸法Dが大となっている。
また、吐出孔の内側孔面積S1より外側孔面積S0を大と
し、吐出孔には拡がり角度θ3を持たせている。鋳型内
の溶鋼表面から吐出孔外側上端までの深さをh,浸漬ノ
ズルの側面から鋳型の側面までの距離をLとすると、
“θ1>tan -1・h/L>θ2”程度であることが好ましい
ことが記載されている。しかしながら、吐出孔を上向き
にすると、溶鋼表面への温度供給には向いているが、ス
ループットが速い条件では、湯面変動が大きく、吸込み
流も発生し、モールドパウダーを巻込み易いという欠点
がある。
ル吐出孔の上面を外側に向かって上方に傾斜させ、下面
を水平または上方に傾斜させる手法が開示されている。
すなわち、上面の水平方向に対する角度をθ1,下面の
水平方向に対する角度をθ2とするとき、“θ1>θ2”
で、内側縦寸法dより外側縦寸法Dが大となっている。
また、吐出孔の内側孔面積S1より外側孔面積S0を大と
し、吐出孔には拡がり角度θ3を持たせている。鋳型内
の溶鋼表面から吐出孔外側上端までの深さをh,浸漬ノ
ズルの側面から鋳型の側面までの距離をLとすると、
“θ1>tan -1・h/L>θ2”程度であることが好ましい
ことが記載されている。しかしながら、吐出孔を上向き
にすると、溶鋼表面への温度供給には向いているが、ス
ループットが速い条件では、湯面変動が大きく、吸込み
流も発生し、モールドパウダーを巻込み易いという欠点
がある。
【0015】(4) 実開昭63-62251号公報には、浸漬ノズ
ルの吐出孔の上部に突出する突出部を設けると共に、吐
出孔の断面形状を浸漬ノズル本体の内周面に交叉して開
口する開口部の垂直幅と水平幅とを各辺としたほぼ矩形
状に形成し、モールドパウダーの巻込み防止が図られ、
製品の欠陥を除去できると共に、スプラッシュを少なく
できる連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しか
し、本手法においても、吸込み流は依然として発生する
という欠点がある。
ルの吐出孔の上部に突出する突出部を設けると共に、吐
出孔の断面形状を浸漬ノズル本体の内周面に交叉して開
口する開口部の垂直幅と水平幅とを各辺としたほぼ矩形
状に形成し、モールドパウダーの巻込み防止が図られ、
製品の欠陥を除去できると共に、スプラッシュを少なく
できる連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しか
し、本手法においても、吸込み流は依然として発生する
という欠点がある。
【0016】(5) 特開平2−161060号公報には、有底円
筒型浸漬ノズルの吐出孔の形状を凹形とし、且つ吐出孔
の突起部の形状を逆台形とすることにより、ノズル詰ま
りを防止し、パウダー性欠陥の低減を図ることを特徴と
する連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、
突起部の左右で吸込み流が発生する欠点がある。
筒型浸漬ノズルの吐出孔の形状を凹形とし、且つ吐出孔
の突起部の形状を逆台形とすることにより、ノズル詰ま
りを防止し、パウダー性欠陥の低減を図ることを特徴と
する連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、
突起部の左右で吸込み流が発生する欠点がある。
【0017】(6) 特公平2-187240号公報には、浸漬ノズ
ル本体の軸心を左右に挟む上下一対の吐出孔を備え、各
吐出孔は、何れも横長の開口形状を有し、且つ、上・下
吐出孔間の開口距離lが、モールド長さL(mm),4孔
ノズルにおけるスループットy 4(ton/min),モールド上
端からメニスカスに至るまでの距離Z(mm)として、
“l<L-Z-64y4-370”になることを特徴とする高速
連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、実際
の浸漬ノズルにおける形状の条件を考慮すると、上・下
吐出孔間の開口距離lの範囲は短いものであり、上下2
つの孔は1つの孔の働きをする。そのため、吐出孔上端
部では、やはり吸込み流が生じる。(この場合、吐出孔
の形状の縦方向としては、上下2つの孔の長さをたした
ものであり、横方向の長さに対して長い。)
ル本体の軸心を左右に挟む上下一対の吐出孔を備え、各
吐出孔は、何れも横長の開口形状を有し、且つ、上・下
吐出孔間の開口距離lが、モールド長さL(mm),4孔
ノズルにおけるスループットy 4(ton/min),モールド上
端からメニスカスに至るまでの距離Z(mm)として、
“l<L-Z-64y4-370”になることを特徴とする高速
連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。しかし、実際
の浸漬ノズルにおける形状の条件を考慮すると、上・下
吐出孔間の開口距離lの範囲は短いものであり、上下2
つの孔は1つの孔の働きをする。そのため、吐出孔上端
部では、やはり吸込み流が生じる。(この場合、吐出孔
の形状の縦方向としては、上下2つの孔の長さをたした
ものであり、横方向の長さに対して長い。)
【0018】(7) 実開平4-98352号公報には、吐出孔の
水平断面の形状が扇型であると共に、扇型の2辺のなす
最大角度が、ノズル中心と角型鋳型の長手方向の2つの
隅部とを結んでなる角度よりも大きいので、ドロス巻込
みによる表面欠陥がなく、製造コストの上昇を抑えるこ
とができる連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。し
かし、本手法において、最大角度θを広げるほど、吐出
孔流の進入深さは深くなる。実際、90度以上にする
と、湯面への温度供給が不十分となり、ブレークアウト
に繋がる危険がある。
水平断面の形状が扇型であると共に、扇型の2辺のなす
最大角度が、ノズル中心と角型鋳型の長手方向の2つの
隅部とを結んでなる角度よりも大きいので、ドロス巻込
みによる表面欠陥がなく、製造コストの上昇を抑えるこ
とができる連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。し
かし、本手法において、最大角度θを広げるほど、吐出
孔流の進入深さは深くなる。実際、90度以上にする
と、湯面への温度供給が不十分となり、ブレークアウト
に繋がる危険がある。
【0019】(8) 実開平4-134251号公報には、2個の吐
出孔形状について、下部が円筒の内径と等しい弦であ
り、上方が円筒の内周の半分の弧である半円形とし、パ
ウダー吸込みや吐出流速の時間的な揺らぎが発生せず、
鋳片の表面疵が減少する連続鋳造用浸漬ノズルが開示さ
れている。しかし、本手法においては、吐出孔総断面積
A1と吐出孔直上でのノズル内孔部流路断面積A2が「A
1=A2(A1/A2=1.0)」の関係となり、最大吐出孔
流が速くなり過ぎ、湯面変動が大きくなる。
出孔形状について、下部が円筒の内径と等しい弦であ
り、上方が円筒の内周の半分の弧である半円形とし、パ
ウダー吸込みや吐出流速の時間的な揺らぎが発生せず、
鋳片の表面疵が減少する連続鋳造用浸漬ノズルが開示さ
れている。しかし、本手法においては、吐出孔総断面積
A1と吐出孔直上でのノズル内孔部流路断面積A2が「A
1=A2(A1/A2=1.0)」の関係となり、最大吐出孔
流が速くなり過ぎ、湯面変動が大きくなる。
【0020】(9) 特開平5-154625号公報には、浸漬ノズ
ルの下端付近の周壁に相対向する一対以上の吐出孔を設
け、浸漬ノズルの外径Dと鋳型の内のりの厚みtとの関
係が、ほぼ“40(mm)≦t−D≦120(mm)”となると共
に、吐出孔の直上にある浸漬ノズルの内孔部断面積S0
と吐出孔の開口面積の総計S1との関係を“S0≦S1”
とし、非金属介在物のノズル内壁への付着を少なくする
ことを目的とした連続鋳造用浸漬ノズルが開示されてい
る。しかし、“S0/S1”が「1.0以下」になると、最大
吐出流速が速くなり過ぎるので、湯面変動が大きくな
り、更には、ブレークアウトが起こり易くなる。
ルの下端付近の周壁に相対向する一対以上の吐出孔を設
け、浸漬ノズルの外径Dと鋳型の内のりの厚みtとの関
係が、ほぼ“40(mm)≦t−D≦120(mm)”となると共
に、吐出孔の直上にある浸漬ノズルの内孔部断面積S0
と吐出孔の開口面積の総計S1との関係を“S0≦S1”
とし、非金属介在物のノズル内壁への付着を少なくする
ことを目的とした連続鋳造用浸漬ノズルが開示されてい
る。しかし、“S0/S1”が「1.0以下」になると、最大
吐出流速が速くなり過ぎるので、湯面変動が大きくな
り、更には、ブレークアウトが起こり易くなる。
【0021】(10) 特開平5-318057号公報には、浸漬ノ
ズルの吐出孔総断面積A1を吐出孔直上でのノズル内孔
部流路断面積A2で除した値が「0.8〜1.2」の範囲とな
るような形状にすることにより、浸漬ノズルの閉塞を防
止し、長時間にわたって安定した連続鋳造作業を継続す
ることが可能であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノ
ズルが開示されている。しかしながら、“A1/A2”が
「0.8〜1.2」の範囲にあると、スループットが大きい操
業の場合、最大吐出流速が速くなり過ぎるので、湯面変
動が大きくなり、更には、ブレークアウトが起こり易く
なる。
ズルの吐出孔総断面積A1を吐出孔直上でのノズル内孔
部流路断面積A2で除した値が「0.8〜1.2」の範囲とな
るような形状にすることにより、浸漬ノズルの閉塞を防
止し、長時間にわたって安定した連続鋳造作業を継続す
ることが可能であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノ
ズルが開示されている。しかしながら、“A1/A2”が
「0.8〜1.2」の範囲にあると、スループットが大きい操
業の場合、最大吐出流速が速くなり過ぎるので、湯面変
動が大きくなり、更には、ブレークアウトが起こり易く
なる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の欠点,問題点に鑑み成されたものであって、その目
的(技術的課題)は、第一に、前記で示すような従来技術
では解決することができない、主としてアルミナの付着
による“浸漬ノズルの閉塞”を防止すると共に、浸漬ノ
ズル吐出孔近傍での“溶鋼偏流”を抑制することができ
る連続鋳造用浸漬ノズルを提供することにあり、更に、
浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み
流)を防止し、吐出孔付近に発生する淀み領域を解消す
ることができる連続鋳造用浸漬ノズルを提供することに
ある。
術の欠点,問題点に鑑み成されたものであって、その目
的(技術的課題)は、第一に、前記で示すような従来技術
では解決することができない、主としてアルミナの付着
による“浸漬ノズルの閉塞”を防止すると共に、浸漬ノ
ズル吐出孔近傍での“溶鋼偏流”を抑制することができ
る連続鋳造用浸漬ノズルを提供することにあり、更に、
浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み
流)を防止し、吐出孔付近に発生する淀み領域を解消す
ることができる連続鋳造用浸漬ノズルを提供することに
ある。
【0023】また、本発明は、第二に、上記第一の目的
に加えて、更に、渦流の発生やパウダーの巻込みを防止
し、かつ湯面への温度供給を適切に行うことができ、し
かも、大きなガス気泡の発生がなく、鋳片中にピンホー
ル欠陥を生じ難くする連続鋳造方法を提供することにあ
る。
に加えて、更に、渦流の発生やパウダーの巻込みを防止
し、かつ湯面への温度供給を適切に行うことができ、し
かも、大きなガス気泡の発生がなく、鋳片中にピンホー
ル欠陥を生じ難くする連続鋳造方法を提供することにあ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明に係る浸漬ノズル
は、前記第一の目的を達成する技術的構成として、「浸
漬ノズルの吐出孔形状において、縦方向の長さを“a”
とし,横方向の長さを“b”とするとき、 0.3≦a/b≦1.0 ……………… (1)式 の範囲となる関係を満足し、かつ、ノズル内孔部断面積
“S0”と吐出孔総断面積“S1”の比率が、 1.2≦S1/S0≦2.6 …………… (2)式 の範囲となる関係を満足する形状であること」(請求項
1)、を特徴(発明を特定する事項)とする。
は、前記第一の目的を達成する技術的構成として、「浸
漬ノズルの吐出孔形状において、縦方向の長さを“a”
とし,横方向の長さを“b”とするとき、 0.3≦a/b≦1.0 ……………… (1)式 の範囲となる関係を満足し、かつ、ノズル内孔部断面積
“S0”と吐出孔総断面積“S1”の比率が、 1.2≦S1/S0≦2.6 …………… (2)式 の範囲となる関係を満足する形状であること」(請求項
1)、を特徴(発明を特定する事項)とする。
【0025】本発明に係る上記浸漬ノズルによれば、す
なわち、上記(1)式および(2)式を同時に満たす形状の吐
出孔を設計することにより、溶鋼中に存在する酸化物系
介在物(主としてアルミナ)の付着を防止すると共に、浸
漬ノズル吐出孔近傍での溶鋼偏流を抑制することができ
る。その上、浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス
流(=吸込み流)を防止し、浸漬ノズル内孔部の吐出孔付
近に発生する淀み領域を解消することができる。
なわち、上記(1)式および(2)式を同時に満たす形状の吐
出孔を設計することにより、溶鋼中に存在する酸化物系
介在物(主としてアルミナ)の付着を防止すると共に、浸
漬ノズル吐出孔近傍での溶鋼偏流を抑制することができ
る。その上、浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス
流(=吸込み流)を防止し、浸漬ノズル内孔部の吐出孔付
近に発生する淀み領域を解消することができる。
【0026】また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル
は、「前記浸漬ノズルの内孔部に、一段あるいは複数の
段差を有すること」を特徴とし(請求項2)、このよう
に、更に“段差型浸漬ノズル”とすることにより、浸漬
ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み流)を
より一層防止することができる。
は、「前記浸漬ノズルの内孔部に、一段あるいは複数の
段差を有すること」を特徴とし(請求項2)、このよう
に、更に“段差型浸漬ノズル”とすることにより、浸漬
ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み流)を
より一層防止することができる。
【0027】なお、吐出孔は、普通、図1[浸漬ノズル
3の吐出孔部分を示す図]に図示すように、θの角度を
とっている。この吐出孔角度θは、モールドサイズ,ス
ループットなど各鋳造機の操業条件に合わせて決められ
る。本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルおいて、吐出孔
形状における縦方向の長さ“a”とは、吐出孔角度θに
対して垂直とした長さを意味する(→図1の“a”参
照)。また、「ノズル内孔部断面積“S0”」とは、「吐
出孔直上でのノズル内孔部断面積」を意味し(→図1の
“S0”参照)、「吐出孔総断面積“S1”」とは、「吐
出孔角度θに対して垂直断面積の総和」を表す(→図1
の“S1”参照)。
3の吐出孔部分を示す図]に図示すように、θの角度を
とっている。この吐出孔角度θは、モールドサイズ,ス
ループットなど各鋳造機の操業条件に合わせて決められ
る。本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルおいて、吐出孔
形状における縦方向の長さ“a”とは、吐出孔角度θに
対して垂直とした長さを意味する(→図1の“a”参
照)。また、「ノズル内孔部断面積“S0”」とは、「吐
出孔直上でのノズル内孔部断面積」を意味し(→図1の
“S0”参照)、「吐出孔総断面積“S1”」とは、「吐
出孔角度θに対して垂直断面積の総和」を表す(→図1
の“S1”参照)。
【0028】一方、本発明に係る連続鋳造方法は、前記
第二の目的を達成する技術的構成として、「請求項1ま
たは請求項2に記載の連続鋳造用浸漬ノズルを使用し、
吐出孔上端からパウダーラインまでの距離“h”を50
〜400mmとし、かつ、不活性ガスの流量“M”を5
〜40リットル/minとして連続鋳造すること」(請
求項3)、を特徴(発明を特定する事項)とする。
第二の目的を達成する技術的構成として、「請求項1ま
たは請求項2に記載の連続鋳造用浸漬ノズルを使用し、
吐出孔上端からパウダーラインまでの距離“h”を50
〜400mmとし、かつ、不活性ガスの流量“M”を5
〜40リットル/minとして連続鋳造すること」(請
求項3)、を特徴(発明を特定する事項)とする。
【0029】本発明に係る連続鋳造方法によれば、前記
したとおり、吐出孔上端からパウダーラインまでの距離
h(後記図4の“h”参照)を「50〜400mm」とし、か
つ、不活性ガスの流量Mを「5〜40リットル/min」とし
て連続鋳造することにより、特に、渦流の発生やパウダ
ーの巻込みを防止し、かつ湯面への温度供給を適切に行
うことができ、しかも、大きなガス気泡の発生がなく、
鋳片中にピンホール欠陥が生じ難い、という前記本発明
の第二の目的を達成することができる。
したとおり、吐出孔上端からパウダーラインまでの距離
h(後記図4の“h”参照)を「50〜400mm」とし、か
つ、不活性ガスの流量Mを「5〜40リットル/min」とし
て連続鋳造することにより、特に、渦流の発生やパウダ
ーの巻込みを防止し、かつ湯面への温度供給を適切に行
うことができ、しかも、大きなガス気泡の発生がなく、
鋳片中にピンホール欠陥が生じ難い、という前記本発明
の第二の目的を達成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る連続鋳造用浸
漬ノズルおよび連続鋳造方法の実施形態について説明す
るが、それに先立って、本発明者等が行った“水モデル
実験”について詳記する。
漬ノズルおよび連続鋳造方法の実施形態について説明す
るが、それに先立って、本発明者等が行った“水モデル
実験”について詳記する。
【0031】本発明者等は、前記目的(第一,第二の目
的)について、次に示す“水モデル実験”を行い、浸漬
ノズルからの吐出流を調査した。 ・(水モデル実験)図2(水モデル実験装置の概要を示
す図)に示すように、実際の溶鋼通過量(スループット)
1〜7Ton/minに相当するように調整した水4を上部か
ら流し、各種実験を行った。(なお、図2中、1はスラ
イドバルブであり、2はモールド,3は浸漬ノズルであ
る。) この水モデル実験において、特に、吐出孔各部分の吐出
流速に着目した。その吐出流速の測定位置を図3に示
す。(なお、図3中、3は浸漬ノズルであり、5はプロ
ペラ流速計である。また、図3に示す測定位置1〜9の
面は、溶鋼吐出法線方向の吐出孔投影面を表す。)
的)について、次に示す“水モデル実験”を行い、浸漬
ノズルからの吐出流を調査した。 ・(水モデル実験)図2(水モデル実験装置の概要を示
す図)に示すように、実際の溶鋼通過量(スループット)
1〜7Ton/minに相当するように調整した水4を上部か
ら流し、各種実験を行った。(なお、図2中、1はスラ
イドバルブであり、2はモールド,3は浸漬ノズルであ
る。) この水モデル実験において、特に、吐出孔各部分の吐出
流速に着目した。その吐出流速の測定位置を図3に示
す。(なお、図3中、3は浸漬ノズルであり、5はプロ
ペラ流速計である。また、図3に示す測定位置1〜9の
面は、溶鋼吐出法線方向の吐出孔投影面を表す。)
【0032】水モデル実験の結果、次の(1)〜(7)の知
見を得た。 (1) 吐出流速は、吐出孔中央上端部で最小となり、吐
出孔下部で最大となる。 (2) 吐出孔の縦方向長さをa,横方向長さをbとした
場合、“a/b”が「1.0」より上になると、最小流速が
マイナス流となり易い。 (3) スループットが上がるほど、最大吐出流速は上が
り、その影響で、最小吐出流速のマイナスの値は大きく
なり、吸込み流が発生し易くなる。 (4) “a/b”が「0.3未満」の場合、最大吐出流速が
速くなり過ぎる。 (5) 前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲を満たす浸
漬ノズルにおいても、内孔部断面積S0,吐出孔の総断
面積S1とした場合、“S1/S0”が「2.6」より大きい
と、マイナス流が発生し易くなる。 (6) “S1/S0”が「1.2未満」の場合、最大吐出流速
が大きくなり過ぎる。したがって、前記(2)式[1.2≦S
1/S0≦2.6]の範囲が妥当である。 (7) 前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]を満たす範囲であ
っても、スループットが上がれば、吐出孔中央上端にお
いてマイナス流が発生する場合がある。この場合であっ
ても、内管に段差を付けることによって、吐出流速にお
いてマイナス流の発生が抑制され、かつ、最大吐出流速
も抑えられ、吐出流が均一化する。
見を得た。 (1) 吐出流速は、吐出孔中央上端部で最小となり、吐
出孔下部で最大となる。 (2) 吐出孔の縦方向長さをa,横方向長さをbとした
場合、“a/b”が「1.0」より上になると、最小流速が
マイナス流となり易い。 (3) スループットが上がるほど、最大吐出流速は上が
り、その影響で、最小吐出流速のマイナスの値は大きく
なり、吸込み流が発生し易くなる。 (4) “a/b”が「0.3未満」の場合、最大吐出流速が
速くなり過ぎる。 (5) 前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲を満たす浸
漬ノズルにおいても、内孔部断面積S0,吐出孔の総断
面積S1とした場合、“S1/S0”が「2.6」より大きい
と、マイナス流が発生し易くなる。 (6) “S1/S0”が「1.2未満」の場合、最大吐出流速
が大きくなり過ぎる。したがって、前記(2)式[1.2≦S
1/S0≦2.6]の範囲が妥当である。 (7) 前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]を満たす範囲であ
っても、スループットが上がれば、吐出孔中央上端にお
いてマイナス流が発生する場合がある。この場合であっ
ても、内管に段差を付けることによって、吐出流速にお
いてマイナス流の発生が抑制され、かつ、最大吐出流速
も抑えられ、吐出流が均一化する。
【0033】図4は、従来の浸漬ノズルの“吐出孔中央
の断面における吐出流速の分布”を模式化した図であ
る。図4に示すように、吐出孔中央上端部でマイナス流
(吸込み流)が発生すると、浸漬ノズル3の下端部付近に
淀み領域が発生する。この淀み領域によって、溶鋼中に
存在する酸化物系介在物(主にアルミナ)が堆積し易くな
る。そのため、更に吐出孔近傍で溶鋼偏流が起こり、鋳
型内部にまで影響するようになる。こうした現象が生じ
ると、モールド内で渦流が発生し易くなり、発生した渦
流によって、モールドパウダーが吸込まれ、浸漬ノズル
内管に巻込まれる場合がある。モールドパウダーの巻込
みが、アルミナの堆積が多くなった鋳造末期に発生し易
くなっているのは、このことに基因していると推定され
る。
の断面における吐出流速の分布”を模式化した図であ
る。図4に示すように、吐出孔中央上端部でマイナス流
(吸込み流)が発生すると、浸漬ノズル3の下端部付近に
淀み領域が発生する。この淀み領域によって、溶鋼中に
存在する酸化物系介在物(主にアルミナ)が堆積し易くな
る。そのため、更に吐出孔近傍で溶鋼偏流が起こり、鋳
型内部にまで影響するようになる。こうした現象が生じ
ると、モールド内で渦流が発生し易くなり、発生した渦
流によって、モールドパウダーが吸込まれ、浸漬ノズル
内管に巻込まれる場合がある。モールドパウダーの巻込
みが、アルミナの堆積が多くなった鋳造末期に発生し易
くなっているのは、このことに基因していると推定され
る。
【0034】本発明者等は、前記(1)〜(7)の知見および
上記図4に基づく知見を基に、浸漬ノズルの吐出孔形状
の最適化を図り、本発明を完成したものである。すなわ
ち、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、この浸漬ノ
ズルの吐出孔形状を、前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]と
前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]とを同時に満たす形状
となるように設計することを特徴とする。
上記図4に基づく知見を基に、浸漬ノズルの吐出孔形状
の最適化を図り、本発明を完成したものである。すなわ
ち、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、この浸漬ノ
ズルの吐出孔形状を、前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]と
前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]とを同時に満たす形状
となるように設計することを特徴とする。
【0035】本発明において、前記(1)式および(2)式の
範囲内と限定する技術的意義は、前記(1)〜(7)の本発明
者等の知見から明らかであり、また、後記実施例(比較
例)に対する実験例からも明らかであるが、それを要約
すれば、次のとおりである。 ・(1)式の範囲について a/bが0.3未満では、最大吐出流速が速くなり過ぎ、一
方、1.0を超えると、最小流速がマイナス流(=吸込み
流)となり易い。好ましくは、0.3≦a/b≦0.9であり、
より好ましくは0.35≦a/b≦0.85である。 ・(2)式の範囲について S1/S0が1.2未満では、最大吐出流速が大きくなり過
ぎ、一方、2.6を超えると、マイナス流(=吸込み流)が
発生し易くなる。好ましくは、1.3≦S1/S0≦2.5であ
り、より好ましくは1.4≦S1/S0≦2.4である。
範囲内と限定する技術的意義は、前記(1)〜(7)の本発明
者等の知見から明らかであり、また、後記実施例(比較
例)に対する実験例からも明らかであるが、それを要約
すれば、次のとおりである。 ・(1)式の範囲について a/bが0.3未満では、最大吐出流速が速くなり過ぎ、一
方、1.0を超えると、最小流速がマイナス流(=吸込み
流)となり易い。好ましくは、0.3≦a/b≦0.9であり、
より好ましくは0.35≦a/b≦0.85である。 ・(2)式の範囲について S1/S0が1.2未満では、最大吐出流速が大きくなり過
ぎ、一方、2.6を超えると、マイナス流(=吸込み流)が
発生し易くなる。好ましくは、1.3≦S1/S0≦2.5であ
り、より好ましくは1.4≦S1/S0≦2.4である。
【0036】本発明において、前記(1)式および(2)式を
同時に満たすように設計すれば、ノズル材質について
は、特に限定するものではなく、従来より使用されてい
る材質を任意に用いることができる。例えば、ノズル吐
出部位の材質として、アルミナ:50重量%,シリカ:
20重量%,黒鉛:30重量%の耐火材料などを使用す
ることができる。
同時に満たすように設計すれば、ノズル材質について
は、特に限定するものではなく、従来より使用されてい
る材質を任意に用いることができる。例えば、ノズル吐
出部位の材質として、アルミナ:50重量%,シリカ:
20重量%,黒鉛:30重量%の耐火材料などを使用す
ることができる。
【0037】また、本発明において、吐出孔形状として
は、前記(1)式および(2)式を同時に満たすように設計す
れば、角型,丸型,三角,逆三角,台形,逆台形など任
意の形状とすることができる。ここで、本発明の浸漬ノ
ズルの吐出孔形状について、図5に基づき説明する。な
お、図5は、本発明の浸漬ノズルの吐出孔形状を示し、
溶鋼吐出法線方向の吐出孔投影面を示す図である。
は、前記(1)式および(2)式を同時に満たすように設計す
れば、角型,丸型,三角,逆三角,台形,逆台形など任
意の形状とすることができる。ここで、本発明の浸漬ノ
ズルの吐出孔形状について、図5に基づき説明する。な
お、図5は、本発明の浸漬ノズルの吐出孔形状を示し、
溶鋼吐出法線方向の吐出孔投影面を示す図である。
【0038】本発明において、吐出孔形状を図5に示す
角型,丸型,三角,逆三角,台形,逆台形とする場合、
縦方向の長さaが、横方向の長さbに対して短い方が、
浸漬ノズルの吐出流速でマイナス流(=吸込み流)が生じ
難くなる。即ち、(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲、好
ましくは“0.3≦a/b≦0.9”の範囲では、浸漬ノズル
の吐出流速でマイナスの値(吸込み流)が生じ難いように
することができる。しかも、後に詳記するが、最大吐出
流速は、従来形状に比べて速くなり過ぎることはない。
角型,丸型,三角,逆三角,台形,逆台形とする場合、
縦方向の長さaが、横方向の長さbに対して短い方が、
浸漬ノズルの吐出流速でマイナス流(=吸込み流)が生じ
難くなる。即ち、(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲、好
ましくは“0.3≦a/b≦0.9”の範囲では、浸漬ノズル
の吐出流速でマイナスの値(吸込み流)が生じ難いように
することができる。しかも、後に詳記するが、最大吐出
流速は、従来形状に比べて速くなり過ぎることはない。
【0039】一方、(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲に
ある吐出孔においても、内孔部断面積S0,吐出孔の総
面積S1とした場合、“S1/S0”が「2.6」より上であ
れば、マイナス流(=吸込み流)が発生し易くなる。した
がって、前記(1)式を満たし、且つ前記(2)式を満たす形
状において、浸漬ノズルの吐出流速でマイナスの値(負
の値)が生じ難いようにすることができることを見い出
した。
ある吐出孔においても、内孔部断面積S0,吐出孔の総
面積S1とした場合、“S1/S0”が「2.6」より上であ
れば、マイナス流(=吸込み流)が発生し易くなる。した
がって、前記(1)式を満たし、且つ前記(2)式を満たす形
状において、浸漬ノズルの吐出流速でマイナスの値(負
の値)が生じ難いようにすることができることを見い出
した。
【0040】しかし、前記(1)式および(2)式を同時に満
たす条件下で設計したとしても、スループットが上がれ
ば、吐出孔中央上端において、マイナス流(=吸込み流)
が発生する場合があるが、このような場合であっても、
浸漬ノズルの内孔部に段差を設置することで、このマイ
ナス流(=吸込み流)が解消されることを見い出した。
たす条件下で設計したとしても、スループットが上がれ
ば、吐出孔中央上端において、マイナス流(=吸込み流)
が発生する場合があるが、このような場合であっても、
浸漬ノズルの内孔部に段差を設置することで、このマイ
ナス流(=吸込み流)が解消されることを見い出した。
【0041】図6に、従来形状の内管ストレートと本発
明の段差型浸漬ノズルの“吐出流速の分布例”を模式的
に示す。図6に示すように、従来形状の内管ストレート
6では、吸込み流(マイナス流)がみられ、吐出孔付近に
淀み領域が発生する。これに対して、本発明のように浸
漬ノズル3の内孔部に段差7を配設することにより、最
小吐出孔流速が上がって吸込み流(マイナス流)の発生が
抑制され、淀み領域の発生が解消する。その上、更に最
大吐出流速が減少する。即ち、吐出孔流の均一化がなさ
れ、アルミナ付着防止,パウダー巻込み防止効果を高め
ることができる。
明の段差型浸漬ノズルの“吐出流速の分布例”を模式的
に示す。図6に示すように、従来形状の内管ストレート
6では、吸込み流(マイナス流)がみられ、吐出孔付近に
淀み領域が発生する。これに対して、本発明のように浸
漬ノズル3の内孔部に段差7を配設することにより、最
小吐出孔流速が上がって吸込み流(マイナス流)の発生が
抑制され、淀み領域の発生が解消する。その上、更に最
大吐出流速が減少する。即ち、吐出孔流の均一化がなさ
れ、アルミナ付着防止,パウダー巻込み防止効果を高め
ることができる。
【0042】以上、本発明に係る浸漬ノズルについて説
明したが、以下に、本発明に係る連続鋳造方法について
説明する。本発明に係る連続鋳造方法の実施形態は、前
記本発明に係る浸漬ノズルを使用し、上ノズル,スライ
ドプレート,整流ノズル,浸漬ノズルなどから、不活性
ガス、例えばArガスを吹き込んで鋳造する方法であ
る。この方法において、本発明に係る前記浸漬ノズルを
使用する場合、吐出孔上端からパウダーラインまでの距
離hを50mm≦h≦400mm、好ましくは100mm≦h≦300mm
と範囲を決めることにより、渦流の発生,パウダー巻込
みを防止することができ、湯面への温度供給が適切とな
る。即ち、hが50mm未満であると、浸漬ノズル付近で渦
流が発生し易く、吐出孔が2孔以上で底部以外の側壁に
位置する場合、形状如何に関わらず吐出孔周辺を溶損
し、延いてはノズル内孔部にパウダーを巻き込む場合が
ある。一方、hが400mmより上の場合、湯面への溶鋼供
給が不十分となり易く、皮張り、延いてはブレークアウ
トを引き起こす。
明したが、以下に、本発明に係る連続鋳造方法について
説明する。本発明に係る連続鋳造方法の実施形態は、前
記本発明に係る浸漬ノズルを使用し、上ノズル,スライ
ドプレート,整流ノズル,浸漬ノズルなどから、不活性
ガス、例えばArガスを吹き込んで鋳造する方法であ
る。この方法において、本発明に係る前記浸漬ノズルを
使用する場合、吐出孔上端からパウダーラインまでの距
離hを50mm≦h≦400mm、好ましくは100mm≦h≦300mm
と範囲を決めることにより、渦流の発生,パウダー巻込
みを防止することができ、湯面への温度供給が適切とな
る。即ち、hが50mm未満であると、浸漬ノズル付近で渦
流が発生し易く、吐出孔が2孔以上で底部以外の側壁に
位置する場合、形状如何に関わらず吐出孔周辺を溶損
し、延いてはノズル内孔部にパウダーを巻き込む場合が
ある。一方、hが400mmより上の場合、湯面への溶鋼供
給が不十分となり易く、皮張り、延いてはブレークアウ
トを引き起こす。
【0043】更に、本発明に係る連続鋳造方法におい
て、上ノズルあるいは浸漬ノズル等から不活性ガス、例
えばArガスを流してアルミナ付着を防止する場合、ガ
ス流量Mとしては、5〜40リットル/minが好ましい。ガ
ス流量Mが「5〜40リットル/min」の範囲から外れる
と、例えばスループットが小さい場合には、ガス気泡の
流れは、ガス流量に大きく影響され、浸漬ノズル近傍で
ガスが浮遊,連結し、ある時点で大きなガス気泡となり
易くなる。そして、湯面まで浮遊した大きなガス気泡
は、パウダーの滓化等に悪影響を及ぼす。また、ガス流
量Mが多すぎると、鋳片中にピンホール欠陥が発生し易
くなる。
て、上ノズルあるいは浸漬ノズル等から不活性ガス、例
えばArガスを流してアルミナ付着を防止する場合、ガ
ス流量Mとしては、5〜40リットル/minが好ましい。ガ
ス流量Mが「5〜40リットル/min」の範囲から外れる
と、例えばスループットが小さい場合には、ガス気泡の
流れは、ガス流量に大きく影響され、浸漬ノズル近傍で
ガスが浮遊,連結し、ある時点で大きなガス気泡となり
易くなる。そして、湯面まで浮遊した大きなガス気泡
は、パウダーの滓化等に悪影響を及ぼす。また、ガス流
量Mが多すぎると、鋳片中にピンホール欠陥が発生し易
くなる。
【0044】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を詳細に説明する。
本発明を詳細に説明する。
【0045】(実施例1〜16,比較例1〜16)吐出
孔形状を、表1に示す“a/b”及び“S1/S0”の値に
なるように設計して、実施例1〜16および比較例1〜
16の浸漬ノズルを作製した。実施例1〜12は、表1
に示すように、浸漬ノズルの内孔部に段差を配設しない
浸漬ノズルであり、実施例13〜16は、段差型浸漬ノ
ズルである。また、比較例1〜16は、段差を配設しな
い浸漬ノズルである。なお、各実施例,各比較例とも、
ノズル本体部位,吐出孔部位をアルミナ-黒鉛質耐火物
で、また、パウダーライン部位をジルコニア-黒鉛質耐
火物で作製し、また、浸漬ノズルの吐出孔は、各例とも
2孔式角型形状であって、左右形状を同じとした。
孔形状を、表1に示す“a/b”及び“S1/S0”の値に
なるように設計して、実施例1〜16および比較例1〜
16の浸漬ノズルを作製した。実施例1〜12は、表1
に示すように、浸漬ノズルの内孔部に段差を配設しない
浸漬ノズルであり、実施例13〜16は、段差型浸漬ノ
ズルである。また、比較例1〜16は、段差を配設しな
い浸漬ノズルである。なお、各実施例,各比較例とも、
ノズル本体部位,吐出孔部位をアルミナ-黒鉛質耐火物
で、また、パウダーライン部位をジルコニア-黒鉛質耐
火物で作製し、また、浸漬ノズルの吐出孔は、各例とも
2孔式角型形状であって、左右形状を同じとした。
【0046】(1)「水モデル実験−その1」 (1-1) 各実施例,比較例の浸漬ノズルに対する水モデ
ル実験 実施例1〜16および比較例1〜16の浸漬ノズルに対
して、溶鋼通過量(スループット)が、1〜7ton/minに
相当するように水量を調整して水モデル実験を行った。
吐出流速の測定位置は、前掲の図3に示す測定位置1〜
9とした。その測定結果について、次の評価基準で評価
し、表1に示した。表1には、「最小吐出流速(min)」
と「最大吐出流速(max)」の状態を測定した結果を表示
した。なお、最小吐出流は、実施例1〜12および比較
例1〜16の内管ストレートでは、吐出孔中央上部(図
3の測定位置4)であり、実施例13〜16では、吐出
孔中央に位置する。また、最大吐出流は、図3の測定位
置3,6,9の何れかに位置する。
ル実験 実施例1〜16および比較例1〜16の浸漬ノズルに対
して、溶鋼通過量(スループット)が、1〜7ton/minに
相当するように水量を調整して水モデル実験を行った。
吐出流速の測定位置は、前掲の図3に示す測定位置1〜
9とした。その測定結果について、次の評価基準で評価
し、表1に示した。表1には、「最小吐出流速(min)」
と「最大吐出流速(max)」の状態を測定した結果を表示
した。なお、最小吐出流は、実施例1〜12および比較
例1〜16の内管ストレートでは、吐出孔中央上部(図
3の測定位置4)であり、実施例13〜16では、吐出
孔中央に位置する。また、最大吐出流は、図3の測定位
置3,6,9の何れかに位置する。
【0047】「評価基準」 ・吐出流速が、正の流れであって、その流速が大:○印 ・吐出流速が、正の流れであって、その流速が小:△印 ・吐出流速が、負の流れであって、その流速が小:×印 ・吐出流速が、負の流れであって、その流速が大:××
印 ・吐出流速が、正の流れであって、その流速が過大:●
印
印 ・吐出流速が、正の流れであって、その流速が過大:●
印
【0048】
【表1】
【0049】表1に示す「水モデル実験結果」から明ら
かなように、本発明で特定する前記(1)式[0.3≦a/b
≦1.0]と前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]とを同時に
満たす吐出孔形状の浸漬ノズルのうち、“a/b”が
「0.9以下」の範囲であれば、どの条件においてもマイ
ナス流は発生していない(→実施例1〜9参照)。また、
「a/b=1.0」の場合では、前記(2)式[1.2≦S1/S0
≦2.6]の範囲となるような関係を満足する形状であれ
ば、マイナス流は発生し難くなる(→実施例10〜12
参照)。一方、“S1/S0”が「2.6」より上になる場合
には、スループットが1ton/min以下であれば、マイナ
ス流は生じないが(→比較例7参照)、2ton/min以上に
なると、マイナス流が発生する(→比較例7参照)。更
に、スループットが上がるほどマイナスの値は大きくな
る(→比較例7参照)。
かなように、本発明で特定する前記(1)式[0.3≦a/b
≦1.0]と前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]とを同時に
満たす吐出孔形状の浸漬ノズルのうち、“a/b”が
「0.9以下」の範囲であれば、どの条件においてもマイ
ナス流は発生していない(→実施例1〜9参照)。また、
「a/b=1.0」の場合では、前記(2)式[1.2≦S1/S0
≦2.6]の範囲となるような関係を満足する形状であれ
ば、マイナス流は発生し難くなる(→実施例10〜12
参照)。一方、“S1/S0”が「2.6」より上になる場合
には、スループットが1ton/min以下であれば、マイナ
ス流は生じないが(→比較例7参照)、2ton/min以上に
なると、マイナス流が発生する(→比較例7参照)。更
に、スループットが上がるほどマイナスの値は大きくな
る(→比較例7参照)。
【0050】吐出孔形状の縦横比率“a/b”が「0.3≦
a/b≦1.0」で、かつ、浸漬ノズル内孔部断面積S0に
対して吐出孔総断面積S1が「1.2≦S1/S0≦2.6」とな
る吐出孔形状であれば、吐出流速においてマイナス流は
発生し難くなり(→実施例1〜12参照)、即ち、吸込み
流がなくなるために、浸漬ノズル吐出孔付近内孔部での
淀み領域がなくなり、アルミナ付着が低減される。更
に、モールドパウダーの巻込みがなくなる。
a/b≦1.0」で、かつ、浸漬ノズル内孔部断面積S0に
対して吐出孔総断面積S1が「1.2≦S1/S0≦2.6」とな
る吐出孔形状であれば、吐出流速においてマイナス流は
発生し難くなり(→実施例1〜12参照)、即ち、吸込み
流がなくなるために、浸漬ノズル吐出孔付近内孔部での
淀み領域がなくなり、アルミナ付着が低減される。更
に、モールドパウダーの巻込みがなくなる。
【0051】また、「a/b=1.0,S1/S0=1.1」で
は、マイナス流は生じていないが(→比較例5参照)、最
大吐出流速は、速い結果となった。即ち、“a/b”比
が小さくなるほど、あるいは、“S1/S0”比が小さい
ほど、マイナス流は発生し難くなるが(→表1参照)、最
大吐出流速が速くなる。最大吐出流速が速いほど、モー
ルド内の湯面変動が大きくなるため、最大吐出流速は、
なるべく抑えた方が良い。溶鋼偏流を考えると、“a/
b”の下限は、「0.3」で、“S1/S0”の下限は、「1.
20」に位置する。
は、マイナス流は生じていないが(→比較例5参照)、最
大吐出流速は、速い結果となった。即ち、“a/b”比
が小さくなるほど、あるいは、“S1/S0”比が小さい
ほど、マイナス流は発生し難くなるが(→表1参照)、最
大吐出流速が速くなる。最大吐出流速が速いほど、モー
ルド内の湯面変動が大きくなるため、最大吐出流速は、
なるべく抑えた方が良い。溶鋼偏流を考えると、“a/
b”の下限は、「0.3」で、“S1/S0”の下限は、「1.
20」に位置する。
【0052】(1-2) 比較例10の浸漬ノズルに対する
水モデル実験 「a/b=1.5,S1/S0=2.6」の吐出孔形状を有する比
較例10の浸漬ノズルについて、スループット:4ton/
minに相当するように水量を調整して水モデル実験を行
った。吐出流速の測定位置は、前掲の図3に示す測定位
置である。各測定位置における吐出流速の分布を、図7
に示した。図7から、測定位置4(=吐出孔中央上端部)
で、吐出流速が最小となり、マイナス流(=吸込み流)と
なっている。最大吐出流速は、吐出孔下部に位置してい
ることがわかる。
水モデル実験 「a/b=1.5,S1/S0=2.6」の吐出孔形状を有する比
較例10の浸漬ノズルについて、スループット:4ton/
minに相当するように水量を調整して水モデル実験を行
った。吐出流速の測定位置は、前掲の図3に示す測定位
置である。各測定位置における吐出流速の分布を、図7
に示した。図7から、測定位置4(=吐出孔中央上端部)
で、吐出流速が最小となり、マイナス流(=吸込み流)と
なっている。最大吐出流速は、吐出孔下部に位置してい
ることがわかる。
【0053】(1-3) 実施例9の浸漬ノズルに対する水
モデル実験 「a/b=0.9,S1/S0=2.6」の吐出孔形状を有する実
施例9で、同じくスループット4ton/minに相当するよ
うに水量を調整して水モデル実験を行い、各測定位置に
おける吐出流速の分布を、図8に示した。図8から、最
小吐出孔流速は、吐出孔中央上端部に位置するが、マイ
ナスの値をとらず、常に正となる。また、最大吐出流速
は、吐出孔下部に位置するが、比較例10の場合に比べ
て、速くなっていることがわかる。
モデル実験 「a/b=0.9,S1/S0=2.6」の吐出孔形状を有する実
施例9で、同じくスループット4ton/minに相当するよ
うに水量を調整して水モデル実験を行い、各測定位置に
おける吐出流速の分布を、図8に示した。図8から、最
小吐出孔流速は、吐出孔中央上端部に位置するが、マイ
ナスの値をとらず、常に正となる。また、最大吐出流速
は、吐出孔下部に位置するが、比較例10の場合に比べ
て、速くなっていることがわかる。
【0054】(1-4) 実施例9の浸漬ノズルに対する
“渦流発生個数”の測定 図9に、上記実施例9の浸漬ノズルを使用して水モデル
実験を行った際に、同時に渦流発生個数を測定したの
で、その結果を示す。渦流発生個数は、水モデル実験で
スループット1〜7ton/minの場合を調査した。吐出孔上
端からパウダーラインまでの距離hを25mm,50mm,100m
m,200mm,400mm,450mmとした。上ノズル,浸漬ノズ
ル等から流すArガス流量Mは、合計20リットル/minと
し、各条件で1分間に発生する渦流の個数を測定した。
“渦流発生個数”の測定 図9に、上記実施例9の浸漬ノズルを使用して水モデル
実験を行った際に、同時に渦流発生個数を測定したの
で、その結果を示す。渦流発生個数は、水モデル実験で
スループット1〜7ton/minの場合を調査した。吐出孔上
端からパウダーラインまでの距離hを25mm,50mm,100m
m,200mm,400mm,450mmとした。上ノズル,浸漬ノズ
ル等から流すArガス流量Mは、合計20リットル/minと
し、各条件で1分間に発生する渦流の個数を測定した。
【0055】図9から明らかなように、渦流は、スルー
プットが遅いほど少ないが、hが小さいほど発生個数が
多くなる。hが「25mm」では、湯面変動が大きい場合に
モールドパウダーが巻き込まれ易くなる。hが大きいほ
ど湯面変動が小さく、渦流発生個数は少ないが、逆に湯
面への温度供給が少なくなり、ブレークアウトを引き起
こす要因となる。以上の事実から、吐出孔上端からパウ
ダーラインまでの距離“h”を「50〜400mm」とするこ
とが好ましいことがわかった。
プットが遅いほど少ないが、hが小さいほど発生個数が
多くなる。hが「25mm」では、湯面変動が大きい場合に
モールドパウダーが巻き込まれ易くなる。hが大きいほ
ど湯面変動が小さく、渦流発生個数は少ないが、逆に湯
面への温度供給が少なくなり、ブレークアウトを引き起
こす要因となる。以上の事実から、吐出孔上端からパウ
ダーラインまでの距離“h”を「50〜400mm」とするこ
とが好ましいことがわかった。
【0056】(2)[水モデル実験−その2] 吐出孔の総断面積S1,浸漬ノズル内孔部断面積S0が、
前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]の範囲内であって、か
つ、前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲内にある場合
においても、スループットが上がると、吐出流速におい
てマイナス流(=吸込み流)が発生する場合がある。この
場合、内管に段差を付けることによって、吐出流速にお
いてマイナス流の発生を抑制することができるようにな
る。
前記(2)式[1.2≦S1/S0≦2.6]の範囲内であって、か
つ、前記(1)式[0.3≦a/b≦1.0]の範囲内にある場合
においても、スループットが上がると、吐出流速におい
てマイナス流(=吸込み流)が発生する場合がある。この
場合、内管に段差を付けることによって、吐出流速にお
いてマイナス流の発生を抑制することができるようにな
る。
【0057】以下に、実施例16の浸漬ノズル(2段差
型浸漬ノズル)に対する水モデル実験を行い、その吐出
流速の測定結果と、前記比較例10の浸漬ノズルに対す
る吐出流速の測定結果(前掲の図7参照)とを対比して、
前記事実(内管に段差を付けることによるマイナス流発
生の抑制)を明らかにする。なお、この説明に先立っ
て、内管に段差を付けた浸漬ノズルについて、以下に説
明する。
型浸漬ノズル)に対する水モデル実験を行い、その吐出
流速の測定結果と、前記比較例10の浸漬ノズルに対す
る吐出流速の測定結果(前掲の図7参照)とを対比して、
前記事実(内管に段差を付けることによるマイナス流発
生の抑制)を明らかにする。なお、この説明に先立っ
て、内管に段差を付けた浸漬ノズルについて、以下に説
明する。
【0058】ここで、内管に段差を付けた浸漬ノズル
(実施例13〜16の段差型浸漬ノズル)について、図1
0(本発明に係る段差型浸漬ノズルの形状を示す図)に基
づいて説明する。図10において、(a)は、吐出孔付近
の内径Dに対して段差部の内径dの単段差型浸漬ノズル
(実施例13および実施例15に相当する単段差型浸漬
ノズル)であり、(b)は、吐出孔付近の内径Dに対して
段差部の内径dの2段差型浸漬ノズル(実施例14およ
び実施例16に相当する2段差型浸漬ノズル)である。
浸漬ノズルの吐出孔は、2孔式角型形状で、左右形状を
同じとした浸漬ノズルである。図10中、11はアルミ
ナ-黒鉛質耐火物,12はジルコニア-黒鉛質耐火物であ
る。
(実施例13〜16の段差型浸漬ノズル)について、図1
0(本発明に係る段差型浸漬ノズルの形状を示す図)に基
づいて説明する。図10において、(a)は、吐出孔付近
の内径Dに対して段差部の内径dの単段差型浸漬ノズル
(実施例13および実施例15に相当する単段差型浸漬
ノズル)であり、(b)は、吐出孔付近の内径Dに対して
段差部の内径dの2段差型浸漬ノズル(実施例14およ
び実施例16に相当する2段差型浸漬ノズル)である。
浸漬ノズルの吐出孔は、2孔式角型形状で、左右形状を
同じとした浸漬ノズルである。図10中、11はアルミ
ナ-黒鉛質耐火物,12はジルコニア-黒鉛質耐火物であ
る。
【0059】(2-1) 実施例16の浸漬ノズルに対する
水モデル実験 内孔部に片側厚みt:5mm,上段差長さl1:100m
m,下段差長さl2:100mmの複段差形状とする実施例
16の浸漬ノズルに対して、“溶鋼通過量(スループッ
ト):1〜7ton/min”に相当するように水量を調整して
水モデル実験を行った。吐出流速の測定位置は、前掲の
図3に示す測定位置である。スループット:4ton/min
相当の水量での“各測定位置における吐出流速の測定結
果”を、図11に示す。
水モデル実験 内孔部に片側厚みt:5mm,上段差長さl1:100m
m,下段差長さl2:100mmの複段差形状とする実施例
16の浸漬ノズルに対して、“溶鋼通過量(スループッ
ト):1〜7ton/min”に相当するように水量を調整して
水モデル実験を行った。吐出流速の測定位置は、前掲の
図3に示す測定位置である。スループット:4ton/min
相当の水量での“各測定位置における吐出流速の測定結
果”を、図11に示す。
【0060】(2-2) 実施例16と比較例10の吐出流
速測定結果の比較 図11に示す実施例16の吐出流速測定結果と、前掲の
図7に示す比較例10の吐出流速測定結果とを比較す
る。図7の比較例10の浸漬ノズル(「a/b=1.5,S
1/S0=2.6」の吐出孔形状の浸漬ノズル)の吐出流速測
定結果に対して、図11に示す実施例16の2段差型浸
漬ノズル(「a/b=1.0,S1/S0=2.6」の吐出孔形状
の2段差型浸漬ノズル)では、マイナスの領域は存在し
ない。更に最大吐出孔流速が抑えられている。また、最
小吐出流速は、吐出孔中央に位置することがわかる。
速測定結果の比較 図11に示す実施例16の吐出流速測定結果と、前掲の
図7に示す比較例10の吐出流速測定結果とを比較す
る。図7の比較例10の浸漬ノズル(「a/b=1.5,S
1/S0=2.6」の吐出孔形状の浸漬ノズル)の吐出流速測
定結果に対して、図11に示す実施例16の2段差型浸
漬ノズル(「a/b=1.0,S1/S0=2.6」の吐出孔形状
の2段差型浸漬ノズル)では、マイナスの領域は存在し
ない。更に最大吐出孔流速が抑えられている。また、最
小吐出流速は、吐出孔中央に位置することがわかる。
【0061】前記したところであるが、図6に、従来形
状の内管ストレート6と本発明の段差7を配設した浸漬
ノズル3の“吐出孔中央断面における吐出流速”の模式
的に示す。この図6からも明らかなように、段差7を配
設することによって、マイナスの領域が解消され、最大
吐出流速は抑えられ、吐出流速の均一化が達成されるこ
とがわかる。
状の内管ストレート6と本発明の段差7を配設した浸漬
ノズル3の“吐出孔中央断面における吐出流速”の模式
的に示す。この図6からも明らかなように、段差7を配
設することによって、マイナスの領域が解消され、最大
吐出流速は抑えられ、吐出流速の均一化が達成されるこ
とがわかる。
【0062】(3)[鋳造テスト] (3-1) 鋳造テスト1,2の条件によるテスト 表1の実施例10,比較例7の浸漬ノズル、および、実
施例16,比較例10の浸漬ノズルに対して、表2に示
す鋳造テスト1,2の条件(鋳造テスト実施時の鋳造条
件)で“鋳造テスト”を実施した。なお、鋳造テストに
使用した連鋳機は、2ストランドタイプのもので、1ス
トランド側に実施例の浸漬ノズルを、2ストランド側に
比較例の浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行った。
鋳造した鋼種は、[C:0.03wt%,Mn:0.35wt%,Al:
0.05wt%,N:0.003wt%]の平均組成を有する。モール
ドサイズは、240mm×1600mmである。
施例16,比較例10の浸漬ノズルに対して、表2に示
す鋳造テスト1,2の条件(鋳造テスト実施時の鋳造条
件)で“鋳造テスト”を実施した。なお、鋳造テストに
使用した連鋳機は、2ストランドタイプのもので、1ス
トランド側に実施例の浸漬ノズルを、2ストランド側に
比較例の浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行った。
鋳造した鋼種は、[C:0.03wt%,Mn:0.35wt%,Al:
0.05wt%,N:0.003wt%]の平均組成を有する。モール
ドサイズは、240mm×1600mmである。
【0063】
【表2】
【0064】鋳造テストは、各30回行った。使用後の
浸漬ノズル吐出孔上端から50mmの位置におけるアルミ
ナ付着量を測定し、実施例の浸漬ノズルと比較例の浸漬
ノズルとを比較した。図12に、鋳造テスト1の条件で
の実施例10と比較例7の“使用後アルミナ付着量”の
比較を示し(鋳造テスト1の条件による)、図13に、実
施例16と比較例10の“使用後アルミナ付着量”の比
較を示す(鋳造テスト2の条件による)。なお、図12,
図13において、横軸は鋳造テスト回数を、縦軸はアル
ミナ付着量を示す。
浸漬ノズル吐出孔上端から50mmの位置におけるアルミ
ナ付着量を測定し、実施例の浸漬ノズルと比較例の浸漬
ノズルとを比較した。図12に、鋳造テスト1の条件で
の実施例10と比較例7の“使用後アルミナ付着量”の
比較を示し(鋳造テスト1の条件による)、図13に、実
施例16と比較例10の“使用後アルミナ付着量”の比
較を示す(鋳造テスト2の条件による)。なお、図12,
図13において、横軸は鋳造テスト回数を、縦軸はアル
ミナ付着量を示す。
【0065】図12および図13から、比較例7,比較
例10に対して、実施例10,実施例16は、アルミナ
の付着が大幅に低減されており、アルミナ付着防止に対
し非常に効果があることが判明した。
例10に対して、実施例10,実施例16は、アルミナ
の付着が大幅に低減されており、アルミナ付着防止に対
し非常に効果があることが判明した。
【0066】(3-2) 実施例16と比較例10の“US
T欠陥率”の測定 図14に、前掲の表2の鋳造テスト実施時における実施
例16と比較例10の“UST欠陥率”を示す。なお、
“UST欠陥率”とは、超音波による傷の検査を意味す
る。この図14から、比較例10に対して、実施例16
は、UST欠陥率が“約1/5”となり、格段の品質向
上が認められた。
T欠陥率”の測定 図14に、前掲の表2の鋳造テスト実施時における実施
例16と比較例10の“UST欠陥率”を示す。なお、
“UST欠陥率”とは、超音波による傷の検査を意味す
る。この図14から、比較例10に対して、実施例16
は、UST欠陥率が“約1/5”となり、格段の品質向
上が認められた。
【0067】(3-3) 実施例10と比較例7の“パウダ
ー巻込み件数”の測定 また、図15に、前掲の表2の鋳造テスト実施時におけ
る実施例10と比較例7のパウダー巻込み件数を示す。
なお、パウダー巻込み件数は、使用後吐出孔付近の状態
比較から求めた。また、この鋳造テストに使用した連鋳
機は、前記と同様、2ストランドタイプのもので、1ス
トランド側に実施例10の浸漬ノズルを、2ストランド
側に比較例7の浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行
った。図15に示すように、実施例10では、パウダー
巻込み件数がゼロに対し、比較例7では5件発生してい
る。パウダーの巻込みは、鋳造末期に起こり易く、アル
ミナの付着も大きく影響している。
ー巻込み件数”の測定 また、図15に、前掲の表2の鋳造テスト実施時におけ
る実施例10と比較例7のパウダー巻込み件数を示す。
なお、パウダー巻込み件数は、使用後吐出孔付近の状態
比較から求めた。また、この鋳造テストに使用した連鋳
機は、前記と同様、2ストランドタイプのもので、1ス
トランド側に実施例10の浸漬ノズルを、2ストランド
側に比較例7の浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行
った。図15に示すように、実施例10では、パウダー
巻込み件数がゼロに対し、比較例7では5件発生してい
る。パウダーの巻込みは、鋳造末期に起こり易く、アル
ミナの付着も大きく影響している。
【0068】(3-4) 実施例10と比較例7の“ピンホ
ール発生指数”の測定 図16に、実施例10と比較例7の浸漬ノズルを使用
し、Arガス流量を2〜50リットル/minに変化させて鋳
造テストを行い、ピンホール欠陥を調査した結果を示
す。なお、鋳造テストに使用した連鋳機は、前記と同
様、2ストランドタイプのもので、1ストランド側に実
施例10の浸漬ノズルを、2ストランド側に比較例7の
浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行った。また、鋳
造した鋼種は、極低炭素鋼で、スループット3.8ton/mi
n,モールドサイズ240mm×1600mmである。吐出孔上端か
らパウダーラインまでの深さhは、150〜200mmとし
た。
ール発生指数”の測定 図16に、実施例10と比較例7の浸漬ノズルを使用
し、Arガス流量を2〜50リットル/minに変化させて鋳
造テストを行い、ピンホール欠陥を調査した結果を示
す。なお、鋳造テストに使用した連鋳機は、前記と同
様、2ストランドタイプのもので、1ストランド側に実
施例10の浸漬ノズルを、2ストランド側に比較例7の
浸漬ノズルを取り付けて鋳造テストを行った。また、鋳
造した鋼種は、極低炭素鋼で、スループット3.8ton/mi
n,モールドサイズ240mm×1600mmである。吐出孔上端か
らパウダーラインまでの深さhは、150〜200mmとし
た。
【0069】図16から、実施例10に比べて比較例7
では、ピンホール欠陥が多い。比較例7では、ガス量が
40リットル/minより多くなると、極端にピンホール欠陥
が多くなることが判明した。しかし、実施例10の浸漬
ノズルにおいても、ガス流量が多いほどピンホール欠陥
が多くなる。逆にガス量が少ない場合には、アルミナの
付着が多くなり、本発明に係る浸漬ノズルにおいても、
ガス量が適切でないと鋳片品質が悪くなる。ガス流量
“M”は、スループットにも関係するが、「5〜40リッ
トル/min」が適切である。
では、ピンホール欠陥が多い。比較例7では、ガス量が
40リットル/minより多くなると、極端にピンホール欠陥
が多くなることが判明した。しかし、実施例10の浸漬
ノズルにおいても、ガス流量が多いほどピンホール欠陥
が多くなる。逆にガス量が少ない場合には、アルミナの
付着が多くなり、本発明に係る浸漬ノズルにおいても、
ガス量が適切でないと鋳片品質が悪くなる。ガス流量
“M”は、スループットにも関係するが、「5〜40リッ
トル/min」が適切である。
【0070】
【発明の効果】本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルによ
れば、角型,丸型等の様々な吐出孔形状において、縦方
向の長さaと横方向の長さbの比が(1)式[0.3≦a/b
≦1.0]の範囲となるような関係を満足し、かつ、ノズ
ル内孔部断面積S0と吐出孔総断面積S1の比が(2)式
[1.2≦S1/S0≦2.6]の範囲を満たす形状となるよう
に吐出孔を設計することにより、溶鋼中に存在する酸化
物系介在物(主としてアルミナ)の付着を防止すると共
に、浸漬ノズル吐出孔近傍での溶鋼偏流を抑制すること
ができる。その上、浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマ
イナス流(=吸込み流)を防止し、浸漬ノズル内孔部の吐
出孔付近に発生する淀み領域を解消することができる。
れば、角型,丸型等の様々な吐出孔形状において、縦方
向の長さaと横方向の長さbの比が(1)式[0.3≦a/b
≦1.0]の範囲となるような関係を満足し、かつ、ノズ
ル内孔部断面積S0と吐出孔総断面積S1の比が(2)式
[1.2≦S1/S0≦2.6]の範囲を満たす形状となるよう
に吐出孔を設計することにより、溶鋼中に存在する酸化
物系介在物(主としてアルミナ)の付着を防止すると共
に、浸漬ノズル吐出孔近傍での溶鋼偏流を抑制すること
ができる。その上、浸漬ノズルの吐出孔近傍で生じるマ
イナス流(=吸込み流)を防止し、浸漬ノズル内孔部の吐
出孔付近に発生する淀み領域を解消することができる。
【0071】また、上記連続鋳造用浸漬ノズルにおい
て、更に“段差付浸漬ノズル”とすることにより、浸漬
ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み流)を
より一層防止することができ、浸漬ノズル内孔部の吐出
孔付近に発生する淀み領域をより一層解消することがで
きる。
て、更に“段差付浸漬ノズル”とすることにより、浸漬
ノズルの吐出孔近傍で生じるマイナス流(=吸込み流)を
より一層防止することができ、浸漬ノズル内孔部の吐出
孔付近に発生する淀み領域をより一層解消することがで
きる。
【0072】更に、本発明の連続鋳造方法によれば、吐
出孔上端からパウダーラインまでの距離hを「50〜400m
m」とし、かつ、上ノズルや浸漬ノズル等から導入する
不活性ガス、例えばArガスの流量Mを「5〜40リット
ル/min」とすることにより、渦流の発生,パウダー巻込
みを防止することができ、湯面への温度供給が適切に行
うことができ、しかも、大きなガス気泡の発生や鋳片中
にピンホール欠陥が生し難い効果が生じる。
出孔上端からパウダーラインまでの距離hを「50〜400m
m」とし、かつ、上ノズルや浸漬ノズル等から導入する
不活性ガス、例えばArガスの流量Mを「5〜40リット
ル/min」とすることにより、渦流の発生,パウダー巻込
みを防止することができ、湯面への温度供給が適切に行
うことができ、しかも、大きなガス気泡の発生や鋳片中
にピンホール欠陥が生し難い効果が生じる。
【0073】以上、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル
および本発明に係る連続鋳造方法によれば、単にアルミ
ナ詰まりにより制限されていた浸漬ノズルの“寿命向
上”のみならず、モールドフラックスの巻込み防止など
により、鋳片品質の向上,連続鋳造工程における生産性
の向上,圧延工程における表面処理の低減化などを図る
ことができる。
および本発明に係る連続鋳造方法によれば、単にアルミ
ナ詰まりにより制限されていた浸漬ノズルの“寿命向
上”のみならず、モールドフラックスの巻込み防止など
により、鋳片品質の向上,連続鋳造工程における生産性
の向上,圧延工程における表面処理の低減化などを図る
ことができる。
【図1】浸漬ノズルの吐出孔部分を示す図である。
【図2】水モデル実験装置の概要を示す図である。
【図3】吐出流速の測定位置を示す図である。
【図4】従来の浸漬ノズルの“吐出孔中央の断面におけ
る吐出流速の分布”を模式的に示す図である。
る吐出流速の分布”を模式的に示す図である。
【図5】本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの吐出孔形
状を示す図である。
状を示す図である。
【図6】従来形状の内管ストレートと本発明の段差付浸
漬ノズルの“吐出流速の分布例”を模式的に示す図であ
る。
漬ノズルの“吐出流速の分布例”を模式的に示す図であ
る。
【図7】比較例10の浸漬ノズルに対する吐出流速の測
定結果を示す図である。
定結果を示す図である。
【図8】実施例9の浸漬ノズルに対する吐出流速の測定
結果を示す図である。
結果を示す図である。
【図9】実施例9の浸漬ノズルに対する“渦流発生個
数”の測定結果を示す図である。
数”の測定結果を示す図である。
【図10】本発明に係る段差型浸漬ノズルの形状を示す
図であって、そのうち、(a)は、実施例13及び実施例
15に相当する単段差型浸漬ノズルの形状を、(b)は、
実施例14及び実施例16に相当する2段差型浸漬ノズ
ルの形状を示す図である。
図であって、そのうち、(a)は、実施例13及び実施例
15に相当する単段差型浸漬ノズルの形状を、(b)は、
実施例14及び実施例16に相当する2段差型浸漬ノズ
ルの形状を示す図である。
【図11】実施例16の浸漬ノズルに対する吐出流速の
測定結果を示す図である。
測定結果を示す図である。
【図12】実施例10および比較例7の浸漬ノズルに対
する“使用後アルミナ付着量”の測定結果を示す図であ
る。
する“使用後アルミナ付着量”の測定結果を示す図であ
る。
【図13】実施例16および比較例10の浸漬ノズルに
対する“使用後アルミナ付着量”の測定結果を示す図で
ある。
対する“使用後アルミナ付着量”の測定結果を示す図で
ある。
【図14】実施例16および比較例10の浸漬ノズルに
対する“UST欠陥率”の測定結果を示す図である。
対する“UST欠陥率”の測定結果を示す図である。
【図15】実施例10および比較例7の浸漬ノズルに対
する“パウダー巻込み件数”の測定結果を示す図であ
る。
する“パウダー巻込み件数”の測定結果を示す図であ
る。
【図16】実施例10および比較例7の浸漬ノズルに対
する“ピンホール発生指数”の測定結果を示す図であ
る。
する“ピンホール発生指数”の測定結果を示す図であ
る。
1 スライドバルブ 2 モールド 3 浸漬ノズル 4 水 5 プロペラ流速計 6 内管スレート 7 段差 11 アルミナ-黒鉛質耐火物 12 ジルコニア-黒鉛質耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 41/58 B22D 41/58 (72)発明者 堀内 俊男 東京都千代田区大手町二丁目2番1号品川 白煉瓦株式会社内 Fターム(参考) 4E004 FB00 FB04 HA01 MB08 4E014 DB04
Claims (3)
- 【請求項1】 浸漬ノズルの吐出孔形状において、縦方
向の長さを“a”とし、横方向の長さを“b”とすると
き、 0.3≦a/b≦1.0 ……………… (1)式 の範囲となる関係を満足し、かつ、ノズル内孔部断面積
“S0”と吐出孔総断面積“S1”の比率が、 1.2≦S1/S0≦2.6 …………… (2)式 の範囲となる関係を満足する吐出孔形状であることを特
徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。 - 【請求項2】 前記浸漬ノズルの内孔部に、一段あるい
は複数の段差を有することを特徴とする請求項1に記載
の連続鋳造用浸漬ノズル。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の連続鋳
造用浸漬ノズルを使用し、吐出孔上端からパウダーライ
ンまでの距離“h”を50〜400mmとし、かつ、不
活性ガスの流量“M”を5〜40リットル/minとし
て連続鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31002399A JP2001129645A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31002399A JP2001129645A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001129645A true JP2001129645A (ja) | 2001-05-15 |
Family
ID=18000239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31002399A Pending JP2001129645A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001129645A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007216288A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Jfe Steel Kk | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2007326144A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Kurosaki Harima Corp | 浸漬ノズル |
JP2008073744A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 連続鋳造方法 |
WO2008090649A1 (ja) | 2007-01-25 | 2008-07-31 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2009125750A (ja) * | 2007-11-19 | 2009-06-11 | Kobe Steel Ltd | 連続鋳造用浸漬ノズル |
CN111036891A (zh) * | 2019-11-29 | 2020-04-21 | 浙江科宇金属材料有限公司 | 垂直铸造用浇管 |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP31002399A patent/JP2001129645A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007216288A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Jfe Steel Kk | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2007326144A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Kurosaki Harima Corp | 浸漬ノズル |
JP2008073744A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 連続鋳造方法 |
WO2008090649A1 (ja) | 2007-01-25 | 2008-07-31 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2009125750A (ja) * | 2007-11-19 | 2009-06-11 | Kobe Steel Ltd | 連続鋳造用浸漬ノズル |
CN111036891A (zh) * | 2019-11-29 | 2020-04-21 | 浙江科宇金属材料有限公司 | 垂直铸造用浇管 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040824 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050112 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050511 |