JPH08229649A - 連続鋳造装置および連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造装置および連続鋳造方法

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JPH08229649A
JPH08229649A JP7036397A JP3639795A JPH08229649A JP H08229649 A JPH08229649 A JP H08229649A JP 7036397 A JP7036397 A JP 7036397A JP 3639795 A JP3639795 A JP 3639795A JP H08229649 A JPH08229649 A JP H08229649A
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mold
molten steel
molten metal
flow
magnetic field
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JP7036397A
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Hideo Mizukami
英夫 水上
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電磁場を用いる連続鋳造装置と鋳造方法を提供
する。 【構成】(1) 水平断面が矩形の連続鋳造用鋳型の両方の
長辺壁の外側に磁極を対向させた電磁石、鋳型上部に湯
面レベル計及び鋳型外側に湯面レベル計と連動させて電
磁石の電流を制御する装置を備えた連続鋳造装置。 (2)上記の装置を用いて、電磁石の印加電流を湯面レベ
ル計と連動させて、鋳型内湯面が上昇したときに減少さ
せ、湯面が下降したときに増大させることにより、電磁
石の磁場強度を変えて鋳造する連続鋳造方法。 【効果】鋳型内の湯面変動を抑制させ、表面及び内部の
品質が優れた鋳片を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造用鋳型内の溶
鋼湯面(以下、湯面という)の変動を抑制することによ
り、鋳片の品質向上を可能とする連続鋳造装置および鋳
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において鋳片の表面品質を
向上させるためには、鋳型内の溶鋼流動を制御し、連続
鋳造用パウダーの溶鋼中への巻き込み発生の抑制、初期
凝固シェルへの介在物捕捉の防止および初期凝固シェル
の成長の鋳型幅方向での均一化を図る必要がある。
【0003】連続鋳造用パウダーは鋳型と鋳片との間の
潤滑剤として用いられるものであるが、このパウダーが
過剰な溶鋼流動により溶鋼中に巻き込まれるとノロ噛み
疵などが発生し、鋳片の品質を劣化させる。一方、鋳型
内の溶鋼流動に淀みが発生すると、淀み部分の溶鋼温度
が低下して局所的に凝固シェルの成長が遅くなり、初期
凝固シェルの厚みが不均一となる。この結果、鋳片に作
用する応力に鋳型幅方向で相違が生じ、縦割れ疵などが
発生する。
【0004】このような欠陥が、鋳型内溶鋼の流動現象
と深く関連していることをさらに詳細に説明する。
【0005】鋳型内に溶鋼を注入するため溶鋼内に浸漬
した耐火物製ノズルを用いるが、この浸漬ノズルからの
吐出流により、鋳型内の溶鋼流動が不規則となり、流速
も一定でなくなる。このため、湯面は波立つとともに上
下に変動し、鋳型内で湯面温度が均一でなくなり、湯面
上に存在する溶融状態のパウダー層の一部の厚みが小さ
くなるか、またはこの溶融パウダー層そのものがなくな
る部分が生ずる。この結果、溶融パウダー層の上に存在
する未溶融パウダーが溶鋼と接触し、溶鋼中へ巻き込ま
れて捕捉される頻度が高まり、ノロ噛み疵となる。
【0006】湯面が変動すると溶鋼と鋳型との間に侵入
する溶融パウダー量が局所的に変わり、溶鋼から鋳型へ
の伝熱量が鋳型幅方向で均一とならず、凝固シェル厚み
が不均一となり、縦割れ疵の発生に至る。
【0007】上記のような従来の連続鋳造の場合の状況
を図3により説明する。
【0008】図3は、従来の連続鋳造における鋳型内の
溶鋼流動を模式的に示す縦断面図である。鋳型1内に浸
漬ノズル2から溶鋼3が注入されると、鋳型1の短辺壁
1a側に衝突した溶鋼流は、湯面方向に向かう上昇流と
鋳型下方に向かう下降流とに分かれる。上昇流は短辺壁
1a近傍の湯面を図示する様に盛り上げるとともに、湯
面の変動を引き起こす。この結果、前述のように溶融し
たパウダー4の層の厚みが湯面の盛り上がり位置で小さ
くなり、湯面の下降位置で大きくなる。溶融したパウダ
ー4の層の厚みが小さくなった部分では、表面に存在す
る未溶融パウダーが溶鋼と接触し、溶鋼中へ巻き込まれ
て捕捉される頻度が高まり、ノロ噛み疵となる。
【0009】鋳造速度が大きくなると浸漬ノズル2から
の溶鋼3の吐出流速も大きくなり、溶鋼3の上昇流速度
が増大して湯面の盛り上がり量が増加し、それに伴い湯
面の波立ち頻度や上下変動量も大きくなる。このため、
凝固シェル5の厚みに変動や不均一がもたらされ、ノロ
噛みまたは縦割れなどの鋳片の品質上の問題が発生する
ことになる。
【0010】鋳片の品質を向上させる方法として、特開
平4-344858号公報には静磁場を用いる連続鋳造方法が示
されている。この方法は、浸漬ノズルから連続鋳造鋳型
内に供給される溶鋼の吐出噴流を制御するために、連続
鋳造鋳型の幅方向全域に静磁場を印加しながら連続鋳造
する際に、鋳型幅方向の磁束密度分布を幅中央部のそれ
より大きくし、特にその強度比が 1.2〜3.0 の範囲とな
るように磁場を印加しながら鋳造するものである。これ
により、鋳型幅方向の溶鋼流速が均一となり、欠陥のな
い品質の優れた鋳片を安定して製造することができると
している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では未
だ、湯面の変動や盛り上がりの防止、溶鋼流動の制御性
が不十分である。
【0012】溶鋼流に静磁場が印加されると溶鋼の流れ
の方向と逆向きに制動力が作用するため、溶鋼の流速が
低下する。しかし、鋳造速度が一定の場合、浸漬ノズル
から鋳型内に注入される溶鋼流量は一定であるため、静
磁場が印加されていない領域における溶鋼のうち、静磁
場の印加領域に向かう溶鋼は、静磁場のない方向に向き
を変えようとする。このため、浸漬ノズルの下方に設置
された電磁石の磁極で発生する静磁場により、浸漬ノズ
ルからの溶鋼吐出流の速度が低下させられるとともに、
電磁石の設置位置より上方、すなわち湯面方向に向かう
流速が増大することになる。
【0013】この溶鋼流速の増大に伴い、鋳型短辺壁近
傍の湯面が盛り上がり、湯面変動が助長される。このた
め、湯面上に存在する溶融パウダー層の厚みが小さくな
り、溶鋼中への未溶融パウダーの巻込みが発生する。ま
た、湯面の一部が盛り上がることで、溶鋼と鋳型との接
触位置が鋳型幅方向で異なり、凝固の開始位置が鋳型幅
方向で異なって凝固シェル厚みに差が生じる。この結
果、凝固シェルに作用する応力状態が局所的に異り、鋳
片表面割れが発生する。
【0014】本発明の目的は、鋳型内溶鋼で発生する下
降流または上昇流および湯面近傍で形成される循環流に
適正な静磁場を印加し、これより溶鋼に作用する制動力
を溶鋼の流動状態に合わせて最適化し、湯面方向に向か
う溶鋼流速を低減するとともに湯面の変動を抑制し、品
質の優れた鋳片を連続的に製造することを可能とする連
続鋳造装置とこれを用いる方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)の連続鋳造装置および(2)のこの装置を用いる
鋳造方法にある。
【0016】(1)水平断面が矩形の連続鋳造用鋳型の
両方の長辺壁の外側に磁極を対向させた電磁石、この鋳
型の上部に鋳型内湯面レベル計およびこの鋳型の外側に
湯面レベル計と連動させて電磁石の電流を制御する装置
を備えたことを特徴とする連続鋳造装置。
【0017】(2)上記の連続鋳造装置を用いて、電磁
石の印加電流を湯面レベル計と連動させて、鋳型内湯面
が上昇したときに減少させ、湯面が下降したときに増大
させることにより、電磁石で発生する磁場強度を変えて
鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
【0018】本発明の装置を用いる場合の望ましい方法
は、鋳型の両方の長辺壁の外側における設置位置とその
形状が共に適切な電磁石への印加電流を変えて、電磁石
で発生する磁場強度を変化させ、鋳型内の湯面に向かう
溶鋼の上昇流および循環流に、または鋳型内の下方に向
かう溶鋼の下降流にに加わる電磁力を変化させることで
ある。このとき、鋳型上部に設置した湯面レベル計と連
動させて、溶鋼の上昇流速度を変えることで、湯面に短
周期で振幅の小さい変動を発生させ、パウダー巻込みを
発生させるような振幅の大きな湯面の変動を抑制するの
がよい。
【0019】
【作用】本発明の連続鋳造装置の一例およびこれを用い
る方法とその作用効果を、図1に基づいて説明する。
【0020】図1は、本発明の連続鋳造装置の一例につ
いて、鋳型長辺壁側から見た側面を模式的に示す一部側
面図および一部縦断面図である。連続鋳造用鋳型1の中
心に、溶鋼3を鋳型1内に注入するための浸漬ノズル2
が一定の浸漬深さとなるように固定されている。凝固シ
ェル5は図示するように鋳型1内から成長する。鋳型1
の両方の長辺壁の外側に電磁石6が設置されており、こ
の電磁石6に印加される電流の大きさは、鋳型1の上端
部に設置された湯面レベル計7の出力信号に基づき、電
流制御装置8で制御される。
【0021】図1の装置では、電磁石6の設置位置はパ
ウダー4の表面を含む部分から鋳型1の下端部までの範
囲であれば、いずれのレベルでもよく、特に限定されな
い。
【0022】例えば湯面近傍のレベル、浸漬ノズル2の
吐出孔のレベルなどでもよい。
【0023】ただし、電磁石6の磁極のカバー領域は、
図示するように浸漬ノズル2の吐出流が上方と下方に分
岐するレベルと鋳型1の短辺壁1aとを含むように設置
するのが望ましい。しかし、本発明の目的から当然、側
面方向から見て浸漬ノズル2と重なる領域を電磁石6の
磁極でカバーする必要はない。
【0024】図1の場合、電磁石6の個数が片方で2個
の例を示しているが、その個数も特に限定されるもので
なく、鋳型1の長辺壁の外側の上記領域に各1個以上で
あればよい。望ましい個数は片方で2〜6個である。
【0025】溶鋼湯面レベル計7および電流制御装置8
は、電磁石6の印加電流を独立に制御することができる
ように、各電磁石6ごとにセットで設ける。電磁石6の
1個ごとの望ましい磁場強度の範囲は1000〜300
0ガウスである。
【0026】図1に示すように、溶鋼3が浸漬ノズル2
から鋳型1内に注入されると、溶鋼流は鋳型短辺壁1a
側と衝突することにより、湯面方向への上昇流と鋳型下
方への下降流に分かれる。図示する溶鋼流と電磁石6と
の位置で、溶鋼流に電磁石6で発生する静磁場による制
動力が加わると、鋳型内の溶鋼流動の状態が大きく変化
する。すなわち、溶鋼流に静磁場が印加されると、溶鋼
流の方向と逆向きに制動力が作用し、溶鋼下降流の流速
が低下する。
【0027】図1の構成からなる装置では、静磁場の印
加が適正値であれば、常時一定でもよい。このときは湯
面レベル計7のみ、その使用を停止すればよい。この常
時一定の場合の望ましい磁場強度の範囲は、電磁石6ご
とに500〜3000ガウスである。
【0028】しかし、前述の状態のままで静磁場を印加
し続けた状態では、静磁場の印加領域における溶鋼の流
速が低下するため、この流速低下が静磁場の印加領域外
で静磁場の印加領域に向かう溶鋼の流れの抵抗となり、
流れが分散し乱れることになる。この結果、湯面下で発
生する分散され乱れた溶鋼流が、湯面にまで伝搬するこ
とになり湯面変動を発生あるいは助長することになる。
【0029】電磁石6に印加される電流の大きさを、鋳
型上部に設置した湯面レベル計7の出力信号に基づき電
流制御装置8と連動させて変化させると、電磁石6で発
生する静磁場により、溶鋼流に加わる制動力の大きさを
制御して溶鋼流速の低減割合を変えることができる。
【0030】溶鋼流速を変化させる具体的方法は、電磁
石6に印加される電流の大きさを、鋳型内湯面が上昇し
たときに減少させ、湯面が下降したときに増大させるこ
とでよい。このような制御を行い、電磁石6の1個ごと
の磁場強度変化の範囲を、前述のとおり1000〜30
00ガウスとするのである。
【0031】電磁石の印加電流を大きくすると、磁場強
度が大きくなり、図1に示す溶鋼の下降流に作用する制
動力も大きくなり、浸漬ノズルからの吐出流のうちの磁
場の印加領域に向かう斜め下降流の抵抗となる。この結
果、浸漬ノズルからの吐出流のうちの湯面方向に向かう
流れの割合が増すため、湯面が上昇することになる。
【0032】湯面が上昇した場合には、電磁石の磁場強
度を減少させ、溶鋼流に作用する制動力を小さくすれば
よい。
【0033】このように、溶鋼流速を変化させることで
溶鋼流の分散または乱れの振幅を低減させることができ
るが、逆にこの分散や乱れの発生頻度は高められ、湯面
下で生じる溶鋼流の分散または乱れが原因で発生する湯
面変動の頻度は大きくなる。
【0034】湯面変動の振幅は位置エネルギーに依存
し、湯面変動の頻度は運動エネルギーに依存する。エネ
ルギー保存則から、位置エネルギーと運動エネルギーと
の和が一定であることより、湯面変動の頻度が増すと湯
面変動の振幅は小さくなる。
【0035】湯面レベル計の出力信号は、自己学習機能
を有するニューラルネットワークによる演算処理を行
い、電磁石に印加する電流の大きさや、電流の印加タイ
ミングを制御する。
【0036】この方法では、電磁石で発生する静磁場に
よる制動力で溶鋼の流速が低下された場合、その効果が
湯面に瞬時に及ぶのではなく、極く短時間ではあるが時
間差が生じる。その差を経験的に学習し、予測すること
が可能な機能を有する演算処理が必要である。
【0037】本発明の連続鋳造装置の他の一例およびこ
れを用いる方法とその作用効果を、図2に基づいて説明
する。
【0038】図2は、この装置例の場合において、鋳型
長辺壁側から見た側面を模式的に示す一部側面図および
一部縦断面図である。
【0039】図2の装置においても連続鋳造用鋳型1の
中心に、溶鋼3を鋳型1内に注入するための浸漬ノズル
2が一定の浸漬深さとなるように固定され、鋳型1の両
方の長辺壁の外側に対向する2対の電磁石9が設置され
る。しかし、1個の電磁石9の磁極の設置位置は、浸漬
ノズル2からの吐出流の上部で、かつ鋳型1の短辺壁1
a 側の浸漬ノズル2の浸漬深さを1辺、鋳型長辺壁側の
湯面部における浸漬ノズル2と鋳型短辺壁1a の外面と
の間隔を1辺とする三角形状の領域内にある。
【0040】このため、1個の電磁石9の形状は鋳型長
辺壁側面方向から見ると、図示するような三角形とな
る。すなわち、対向する2対の電磁石9は、これらから
の静磁場による電磁力が浸漬ノズル2からの吐出流には
及ばないように設けられる。なお、図2では、図1に示
す計測制御関係の装置は省略されている。
【0041】図2に示す本発明装置は、浸漬ノズル2の
吐出流の上部で、かつ浸漬ノズル2の浸漬深さに相当す
る鋳型短辺壁1a および浸漬ノズル2と鋳型短辺壁1a
との間の湯面で囲まれる三角形領域内に静磁場を印加し
て、溶鋼流速および湯面の変動を抑制することができる
ものである。
【0042】前記の三角形状の領域内には、浸漬ノズル
2の部分は含まず、少なくとも鋳型1の短辺壁1a を含
み、鋳型短辺壁1a 側の一辺が浸漬ノズル2の浸漬深さ
より短い方が望ましい。少なくとも鋳型短辺壁1a を含
むようにする理由は、鋳型短辺壁1a 近傍の溶鋼3の上
昇流速度が最も大きいため、鋳型短辺壁1a 近傍に静磁
場を引加して溶鋼流速を抑制する必要があるからであ
る。鋳型短辺壁1a の一辺を浸漬ノズル2の浸漬深さよ
り短くするのは、浸漬ノズル2からの吐出流に静磁場が
直接引加されることを防止するためである。
【0043】図2に示す装置を用いる方法としては、次
の2種類が許容される。その一つは湯面レベル計のみを
全て停止させて一定静磁場を常時印加する方法、もう一
つは図1に示す計測制御装置と組み合わせて、前述と同
様の方法で電磁石9に印加される電流の大きさを、鋳型
内湯面が上昇したときに減少させ、湯面が下降したとき
に増大させる方法である。
【0044】次に、前者の方法、すなわち図2に示す装
置で一定静磁場を常時印加する場合の作用効果を説明す
る。この場合では、電磁石9の1個ごとの望ましい磁場
強度の範囲は1000〜4000ガウスである。
【0045】図2に示すように、溶鋼3が浸漬ノズル2
から鋳型1内に注入されると、その吐出流が鋳型短辺壁
1a 側と衝突することにより、湯面方向への上昇流と鋳
型下方への下降流に分かれる。鋳型短辺壁1a と湯面と
の近傍の図示する三角形の範囲内の溶鋼循環流全体に電
磁石9で発生する静磁場による制動力が加わると、鋳型
内の溶鋼流動の状態が大きく変化する。
【0046】浸漬ノズル2の吐出口からの流速の大きい
溶鋼噴流に静磁場を直接作用させて溶鋼流に大きな乱れ
を発生させるのではなく、浸漬ノズルからの吐出流と比
較して流速が小さく、図示する三角形状の領域内で形成
される循環流全体に制動力を作用させる。すなわち、湯
面の溶鋼流速を低下させて湯面の変動およびパウダーの
巻き込みを抑制するために、湯面の流動に直接的に影響
を及ぼす鋳型短辺壁1a と湯面との近傍の循環流全体の
流速を低下させるのである。
【0047】上記の流速の小さい循環流全体に静磁場を
印加すると、溶鋼の流れと反対方向に制動力が働き流速
が低下する。浸漬ノズルからの流速の大きい吐出流に直
接静磁場作用させるような局所的な制動力と異なり、循
環流全体に制動力が働いた場合には、流速の低下領域の
生成により、溶鋼流動の分散や乱れが発生しない。これ
により、湯面近傍の流速と変動が抑制され、パウダーの
溶鋼中への巻き込みを防止することで鋳片の品質を向上
させることが可能となる。
【0048】流速の大きい溶鋼噴流に直接的に静磁場を
作用させると、溶鋼流に大きな乱れが発生する理由は、
次のように説明される。
【0049】溶鋼の流れに静磁場が印加されると、前述
のように溶鋼の流れの方向と逆向きに制動力が作用し、
溶鋼流速が印加領域外で静磁場の印加領域に向かう溶鋼
の流れの抵抗となり、流れが分散し乱れることになる。
浸漬ノズルから吐出される溶鋼流速は極めて大きいた
め、この溶鋼流の方向と鋳型内への分散の程度により、
鋳型内の溶鋼流動が決定されている。すなわち、浸漬ノ
ズルからの吐出流の制御の如何により、鋳型内の溶鋼流
動が規定されることになる。
【0050】溶鋼流に一定強度の静磁場を印加した場
合、溶鋼に作用する力は溶鋼の流速に比例し、その作用
する向きは溶鋼流の方向と逆向きであり、溶鋼流動を抑
制する力となる。溶鋼流速が大きくなるに連れて、溶鋼
流に作用する制動力も大きくなる。鋳造速度が一定の場
合、浸漬ノズルからの吐出流量も一定であるため、流速
の大きな吐出流が拡散する範囲も拡大される。
【0051】次に、図2に示す装置を用いる場合のもう
一つの方法と、その作用効果を説明する。この方法で
は、電磁石9の1個ごとの望ましい磁場強度変化の範囲
は1000〜4000ガウスである。
【0052】この方法は、図1に示す計測制御装置と図
2に示す装置を組み合わせて用いるものである。計測制
御に係わる計器および装置の構成は図1と同様であり、
溶鋼湯面レベル計7および電流制御装置8は、電磁石9
の印加電流を独立に制御することができるように各電磁
石9ごとにセットで設けることも、図1に示したものと
同様である。
【0053】この場合も、前述と同様の方法で電磁石9
に印加される電流の大きさを、鋳型内湯面が上昇したと
きに減少させ、湯面が下降したときに増大させればよ
い。この結果、鋳型短辺壁1a と湯面との近傍の三角形
の範囲内の溶鋼循環流全体に、この循環流の速度変化に
対応した静磁場を引加することができるため、湯面近傍
の流速と変動が一層抑制され、パウダーの溶鋼中への巻
き込みを防止することで鋳片の品質をさらに向上させる
ことが可能となる。
【0054】以上のような図1と図2に示す装置と方法
により、大きな湯面変動、それに伴う初期凝固シェルの
不均一成長の抑制、未溶融パウダーの溶鋼中への巻き込
みの発生の防止が可能となり、鋳片の品質が向上する。
【0055】
【実施例】
(試験1)図1に示すように電磁石を配置した装置を用
い、表1に示す条件で中炭素鋼スラブの連続鋳造試験を
行い、鋳型内湯面の変動量、鋳辺表面および鋳辺内部の
欠陥発生率を調査した。
【0056】
【表1】
【0057】表示以外の鋳造条件は下記のとおりとし
た。
【0058】 鋳造速度 :1.8 m/min 鋳型幅(長辺側内のり長さ) :1250 mm 鋳型厚み(短辺側内のり長さ):250 mm 鋳型長さ :900 mm タンディッシュ内溶鋼過熱度 :5〜40℃ 浸漬ノズル形状 :下向き20度、2孔タ
イプ 浸漬ノズル浸漬深さ :300 mm 電磁石の個数 :片側2個(計4個) 1個の電磁石の大きさ :600mm×100mm
(側面方向の形状) 電磁石の磁場強度 :1000〜3000ガ
ウスの範囲で変化、または一定 鋳型内パウダー :あり 本発明例において磁場強度を変化させる場合は、上記の
1000〜3000ガウスの範囲で0.1秒から5秒の
周期で行った。比較例1は、静磁場を印加しない場合で
ある。
【0059】湯面変動量は湯面レベル計の出力から換算
した。鋳辺の表面欠陥の評価には、目視観察による単位
長さ当たりの総割れ長さの割合を用いた。内部欠陥の評
価には、鋳辺を鋳造方向と垂直な方向に切断し、目視観
察による単位長さ当たりの総割れ長さの割合を用いた。
それぞれ、静磁場を印加しない比較例1の場合の上記割
合を1.0とする指数で比較した。表1に評価結果を併
せて示す。
【0060】表1に示すように、磁場強度を一定とした
本発明例の場合、磁場を引加しない比較例よりも湯面変
動量、表面欠陥および内部欠陥の発生率指数を低下させ
ることができた。磁場強度を変化させた本発明例の場合
は、さらに上記発生率指数の低減が可能であった。
【0061】(試験2)図2に示す位置に、三角形状と
長方形状の電磁石をそれぞれ配置した装置を用いて、表
2に示す条件で中炭素鋼スラブの連続鋳造試験を行い、
溶鋼湯面の変動量、スラブの表面および内部の欠陥発生
率を調査した。
【0062】
【表2】
【0063】表示以外の鋳造条件は下記の通りとした。
【0064】 鋳造速度 :1.8 m/min 鋳型幅(長辺側内のり長さ) :1600 mm 鋳型厚み(短辺側内のり長さ):270 mm 鋳型長さ :900 mm タンディッシュ内溶鋼過熱度 :10〜40 ℃ 浸漬ノズル形状 :下向き25度、2孔タ
イプ 浸漬ノズル浸漬深さ :250 mm 電磁石の個数 :4個 1個の電磁石の大きさ :三角形890mm×80
0mm×400mm 長方形800mm×100mm(いずれも側面方向の形状) 電磁石の磁場強度 :1000〜4000ガ
ウスの範囲で一定 鋳型内パウダー :あり 湯面変動量の換算、鋳辺表面と内部の欠陥の評価は、試
験1と同様の方法を用いた。欠陥の評価では、それぞれ
静磁場を印加しない比較例2の場合の、前記総割れ長さ
の割合を1.0とする指数で比較した。表2に評価結果
を併せて示す。
【0065】本発明例10のように、望ましくない磁場
強度(4000ガウス)にすると、静磁場の印加位置が
浸漬ノズル近傍の適正レベルであっても、湯面変動は本
発明例の中で最も大きくなり、表面欠陥の発生率、内部
欠陥の発生率ともに最も大きくなった。
【0066】湯面変動量および表面欠陥、内部欠陥の発
生率も、静磁場を印加しない比較例2に比べ、本発明例
の方が湯面変動量は小さく、表面欠陥および内部欠陥の
発生率も小さくなっている。中でも電磁石の磁極形状を
三角形状、静磁場の印加位置を湯面近傍、磁場強度を4
000ガウスとした場合が表面欠陥および内部欠陥の発
生率ともに最も小さく、溶鋼流動制御方法として最も優
れている。
【0067】(試験3)図1に示す計測制御装置と図2
に示すような電磁石の磁極が三角形状の装置とを組み合
わせて、表3に示す条件で中炭素鋼スラブの連続鋳造試
験を行い、溶鋼湯面の変動量、スラブの表面および内部
の欠陥発生率を調査した。
【0068】
【表3】
【0069】表示以外の鋳造条件は下記の通りとした。
【0070】 鋳造速度 :2.0 m/min 鋳型幅(長辺側内のり長さ) :1600 mm 鋳型厚み(短辺側内のり長さ):270 mm 鋳型長さ :900 mm タンディッシュ内溶鋼過熱度 :10〜40 ℃ 浸漬ノズル形状 :下向き25度、2孔タ
イプ 浸漬ノズル浸漬深さ :250 mm 電磁石の個数 :4個 1個の電磁石の大きさ :三角形890mm×80
0mm×400mm(側面方向の形状) 電磁石の磁場強度 :1000〜4000ガ
ウスの範囲で変化 鋳型内パウダー :あり 湯面変動量の換算、鋳辺表面と内部の欠陥の評価は、試
験1および試験2と同様の方法を用いた。欠陥の評価で
は、それぞれ静磁場を印加しない比較例3の場合の、前
記総割れ長さの割合を1.0とする指数で比較した。表
3に評価結果を併せて示す。
【0071】表3に示すように、磁場強度を変化させた
本発明例の場合の方が、比較例3よりも湯面変動量、表
面欠陥および内部欠陥の発生率指数を低下させることが
できた。特に、磁場強度変化の範囲を1000〜400
0ガウスとした場合に湯面変動量は最も小さく、表面と
内部の欠陥発生率も小さくなった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、鋳型内の湯面変動を抑
制させることが可能となり、表面および内部の品質が優
れた連続鋳造鋳片を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造装置の一例を模式的に示す一
部側面図および一部縦断面図である。
【図2】本発明の連続鋳造装置の他の一例を模式的に示
す一部側面図および一部縦断面図である。
【図3】従来の連続鋳造における鋳型内の溶鋼流動を模
式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1:連続鋳造用鋳型、1a:鋳型短片壁、2:浸漬ノズ
ル、3:溶鋼、4:パウダー、 5:凝固シェル、
6,9:電磁石、7:湯面レベル計、8:電流制御装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平断面が矩形の連続鋳造用鋳型の両方の
    長辺壁の外側に磁極を対向させた電磁石、この鋳型の上
    部に鋳型内溶鋼湯面レベル計およびこの鋳型の外側に湯
    面レベル計と連動させて電磁石の電流を制御する装置を
    備えたことを特徴とする連続鋳造装置。
  2. 【請求項2】請求項1の連続鋳造装置を用いて、電磁石
    の印加電流を湯面レベル計と連動させて、鋳型内湯面が
    上昇したときに減少させ、湯面が下降したときに増大さ
    せることにより、電磁石で発生する磁場強度を変えて鋳
    造することを特徴とする連続鋳造方法。
JP7036397A 1995-02-24 1995-02-24 連続鋳造装置および連続鋳造方法 Pending JPH08229649A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010221276A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Jfe Steel Corp 連続鋳造装置及び連続鋳造方法
JP2021109203A (ja) * 2020-01-10 2021-08-02 日本製鉄株式会社 溶鋼流動制御装置、溶鋼流動制御方法、およびプログラム

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