JPH07256389A

JPH07256389A - 低圧鋳造用粉体塗型剤

Info

Publication number: JPH07256389A
Application number: JP4685894A
Authority: JP
Inventors: Nobuyuki Matsubayashi; 信行松林; Takashi Hanano; 孝花野
Original assignee: Mazda Motor Corp; Hanano Shoji KK
Current assignee: Mazda Motor Corp; Hanano Shoji KK
Priority date: 1994-03-17
Filing date: 1994-03-17
Publication date: 1995-10-09

Abstract

(57)【要約】【目的】低圧鋳造法において、製品の欠陥発生をより
確実に防止でき、製品をより作業性良く得ることがで
き、使用後に水質を汚染することのない低圧鋳造用塗型
剤を提供することである。【構成】固体で塗型剤として用いられる無機化合物か
らなる粉体状又は顆粒状の塗型剤基材と、塗型剤基材に
付着性を付与する有機化合物とを混合してなり、両者と
も粉体状又は顆粒状の形態を有し、又は塗型剤基材が有
機化合物によって被覆された形態を有し、上記無機化合
物として、セピオライト、珪藻土、アルミナ、酸化チタ
ン、ベントナイト、非結晶性二酸化珪素のうち、１種類
以上が用いられることを特徴とする低圧鋳造用粉体塗型
剤である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低圧鋳造の作業におい
て金型内面に吹付けて用いる塗型剤に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】低圧鋳造法は、機器の軽量化、高速化の
要望に伴ない、鉄の代替材料としてのアルミニウム合金
からなる高品質の鋳造品を連続して且つ大量に製造でき
るので、特に自動車や電気機器等の各種部品の製造に多
く利用されている。そして、この低圧鋳造法において
は、成形型の金型と溶湯との間に、保温性、潤滑性、離
型性等を発揮する塗型剤が用いられている。低圧鋳造用
塗型剤としては、一般に水溶性塗型剤が用いられてお
り、更に、永久塗型剤と補修塗型剤とに使い分けられて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】ところで近年、低圧
鋳造技術の進歩に伴って、より高品質の製品をより作業
性良く得るための塗型剤が要望されるようになってき
た。そして、水溶性塗型剤ではそのような要望を満足さ
せられなくなってきた。即ち、水溶性塗型剤では、金
型を予熱する、塗布後に水を蒸発させて乾燥させる、
塗膜を調整する、等の作業に時間を要し、作業性を満
足できる程度まで向上させるのは困難であった。また、
水残り、塗布不良、ガス抜け不良、焼付等に起因して、
製品に欠陥が生じる可能性が高かった。更に、使用後の
水質汚濁防止のために廃水処理を必要とし、そのための
設備投資等の諸経費を必要とするという問題があった。
そこで、新しい形態の塗型剤が強く望まれるようになっ
てきた。

【０００４】本発明は、以上のような点に鑑みて鋭意研
究し各種の系統的実験を行なった結果なされたもので、
低圧鋳造法において、製品の欠陥発生をより確実に防止
でき、製品をより作業性良く得ることができ、使用後に
水質を汚染することのない低圧鋳造用塗型剤を提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明は、低圧鋳造の
作業において金型内面に吹付けて用いる塗型剤におい
て、固体で塗型剤として用いられる無機化合物からなる
粉体状又は顆粒状の塗型剤基材と、塗型剤基材に付着性
を付与する有機化合物とを混合してなり、両者とも粉体
状又は顆粒状の形態を有し、又は塗型剤基材が有機化合
物によって被覆された形態を有し、上記無機化合物とし
て、セピオライト、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、ベ
ントナイト、非結晶性二酸化珪素のうち、１種類以上が
用いられることを特徴とする低圧鋳造用粉体塗型剤であ
る。

【０００６】本発明の最大の特徴は、塗型剤基材が粉体
状又は顆粒状の形態を有することである。

【０００７】また、次なる特徴は、無機化合物として、
セピオライト、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、ベント
ナイト、非結晶性二酸化珪素のうち、１種類以上を用い
ることである。

【０００８】また、有機化合物の無機化合物に対する含
有割合は０．１〜７０重量％の範囲から選択するのが有
効である。０．１重量％より小さいと無機化合物の金型
内面に対する付着効果が充分には得られず、７０重量％
より大きいとビルトアップが発生し製品の寸法精度が悪
くなるからである。

【０００９】また、本発明で用い得る有機化合物は、上
述のような無機化合物に付着性、接着性を付与する性質
を有するものであれば、特に制限はないが、超高分子量
の、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのう
ち、１種類以上を用いるのが、有効である。そして、こ
れらの有機化合物は、粉体状又は顆粒状の形態で塗型剤
基材と混合され、又は加熱溶融された状態で塗型剤基材
と混合される。従って、本発明の塗型剤は、塗型剤基材
と有機化合物の両方が粉体状又は顆粒状の形態を有し、
又は粉体状又は顆粒状の塗型剤基材が有機化合物によっ
て被覆された形態を有することとなる。

【００１０】

【作用】本発明の低圧鋳造用粉体塗型剤においては、次
のような作用を奏する。（１）少なくとも塗型剤基材が粉体状又は顆粒状の形態
を有しているので、塗型剤が付着された金型内面の部分
では製品と金型内面とが確実に少なくとも塗型剤基材の
粉体又は顆粒の粒子径だけ隔てられることとなる。従っ
て、製品と金型内面とが直接に接触することによる焼付
は確実に防止され、製品において、焼付に起因する欠陥
の発生が防止される。

【００１１】（２）上述のように、製品と金型内面とが
確実に少なくとも塗型剤基材の粉体又は顆粒の粒子径だ
け隔てられることとなるので、作業中に発生したガスは
その間隙を通って抜けていくこととなる、即ち、ガス抜
けは良好に行なわれることとなる。従って、ガス抜け不
良に起因するキライの発生は防止され、製品において、
キライに起因する欠陥の発生が防止される。

【００１２】（３）無機化合物として、セピオライト、
珪藻土、アルミナ、酸化チタン、ベントナイト、非結晶
性二酸化珪素のうちの、１種類以上を用いていることを
主因として、保温性が向上する。従って、湯廻りは良好
となり、製品において、湯廻り不良に起因する欠陥の発
生が防止される。

【００１３】（４）水分を含有してはいないので、製品
において、水残りに起因する欠陥の発生が防止される。

【００１４】（５）有機化合物を含有しているので、金
型内面に対する付着性が向上する。従って、均一に塗布
され易く、上述の欠陥発生が確実に防止される。また、
塗膜の調整が不要となるので、作業性が向上し、作業の
自動化が可能となる。

【００１５】（６）塗型剤基材が粉体状又は顆粒状の形
態を有し、水分を含有してはいないので、金型内面と製
品との間で働く張力は弱い。従って、製品の金型からの
取出しは容易となる、即ち、離型性が向上する。しか
も、金型内面及び製品表面から容易に取除かれる。従っ
て、作業性が向上し、作業の自動化が可能となる。

【００１６】（７）水分を含有してはいないので、水溶
性塗型剤のように使用後に水質を汚染することはない。
従って、作業場の環境を悪化させることはなく、また、
廃水処理のための経費が不要となり、安価に用いられる
こととなる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明の低圧鋳造用粉体
塗型剤によれば、低圧鋳造作業において次のような効果
を奏する。（１）製品において、焼付、キライ、湯廻り不良、水残
り等に起因する欠陥の発生を確実に防止でき、アルミニ
ウム合金からなる高品質の鋳造品を提供できる。

【００１８】（２）付着性、離型性が向上し、作業性を
向上させることができ、作業の自動化を可能にできる。

【００１９】（３）作業環境の悪化を十分に防止でき
る。

【００２０】特に、有機化合物の無機化合物に対する含
有割合を０．１〜７０重量％の範囲とすることにより、
得られる鋳造品の品質をより良好なものにすることがで
きる。

【００２１】更に、有機化合物として、超高分子量の、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのうち、
１種類以上を用いることにより、上記効果をより良好に
発揮することができる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。表１に示す組成により、
本発明品である実施例１及び実施例２の塗型剤、及び従
来品である粉末離型剤及び水溶性塗型剤を得、図１に示
す装置を用いて、保温性の試験を行なった。実施例１及
び実施例２の塗型剤は、無機化合物及び有機化合物が両
者とも粉体状又は顆粒状の形態を有しているものであ
る。また、従来品の粉末離型剤は、固体で潤滑剤として
用いられる無機化合物からなる粉末状又は顆粒状の離型
剤基材と、離型剤基材に付着性を付与する有機化合物と
を混合してなり、両者とも粉末状又は顆粒状の形態を有
しているものである。なお、実施例１及び実施例２の塗
型剤については、無機化合物が有機化合物によって被覆
された形態を有するものも得、これについても検討した
が、結果は同じであった。

【００２３】

【表１】

【００２４】図１において、１はセラミックからなるモ
ールド、２は鉄板、３は電熱器、４はスライダックス、
５は熱電対による温度計である。保温性の試験では、ス
ライダックス４を制御して電熱器３により鉄板２を２５
０℃まで加熱し、鉄板２の表面に本発明品である塗型剤
を塗布し、６００℃のアルミニウム溶湯６をモールド１
内に充填し、溶湯が４００℃まで降下する時間を測定し
た。

【００２５】表１からわかるように、本発明品の方が、
従来品に比して温度降下時間が長かった。即ち、本発明
品の保温性は、従来品に比して優れていた。

【００２６】次に、表１の本発明品及び従来品を用い
て、低圧鋳造法による鋳造を行ない、表２に示す各項目
について比較検討した。なお、鋳造品はシリンダヘッド
とした。

【００２７】

【表２】

【００２８】表２からわかるように、本発明品において
は、全ての項目について優れた結果を得た。

【図面の簡単な説明】

【図１】保温性の試験を行なうための装置を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１モールド６アルミニウム溶湯

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】低圧鋳造の作業において金型内面に吹付け
て用いる塗型剤において、固体で塗型剤として用いられ
る無機化合物からなる粉体状又は顆粒状の塗型剤基材
と、塗型剤基材に付着性を付与する有機化合物とを混合
してなり、両者とも粉体状又は顆粒状の形態を有し、又
は塗型剤基材が有機化合物によって被覆された形態を有
し、上記無機化合物として、セピオライト、珪藻土、ア
ルミナ、酸化チタン、ベントナイト、非結晶性二酸化珪
素のうち、１種類以上が用いられることを特徴とする低
圧鋳造用粉体塗型剤。
【請求項２】有機化合物を無機化合物に対して０．１〜
７０重量％の割合で含有した請求項１記載の低圧鋳造用
粉体塗型剤。
【請求項３】有機化合物として、超高分子量の、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのうち、１種類
以上が用いられる請求項１記載の低圧鋳造用粉体塗型
剤。