JPH0724981U - ボビン保持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、ボビンを保持するボビン保持部材
の形状を工夫することにより、ボビンの脱着が容易でし
かもセンタリング精度の良いボビン保持装置を提供する
ことを目的とする。 【構成】 糸条巻取り用ボビン11の回転中心軸に対して
１５度〜４５度の傾斜角をなすテーパ面部４ａ、４ｂを
有し、係合時にボビン11を保持する一対のボビン保持部
材12ａ、12ｂと、ボビン11の両端部11ａ、11ｂに係合お
よび離脱するようボビン軸方向に相対移動し、両ボビン
保持部材12ａ、12ｂを回転自在に支持する支持部材13、
14とを備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ボビンを着脱可能に保持する一対のボビン保持部材と、両ボビン保 持部材を回転自在に支持する支持部材とを備えたボビン保持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、延伸仮撚機等には加工した糸条を中空ボビンに巻取り、巻取りパッケー ジとして所謂玉揚げ（ドッフィング）を行う設備が付設されている。そのような 設備においては中空のボビンを一対のボビン保持装置を有するクレードル装置に よって回転自在に保持し、フリクションローラを用いて巻取り駆動するといった 方式が採用されている。また、近時、自動的にドッフィングを行うものも開発さ れている。

【０００３】 この種のボビン保持装置においては、筒状のボビンの両端部を保持する構造と して、所謂インロー方式の保持構造が採用されている。すなわち、ボビンの内周 面の形状に嵌合する嵌合部分と、ボビン端面に当接するフランジ部分とを有する 一対のボビン保持部材を設け、少なくともその一方をボビンの軸方向に移動させ てボビンを着脱するようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のインロー方式の保持構造を有するボビン保持 装置にあっては、ボビンを保持したときのセンタリング精度を得るため、ボビン とボビン保持部材との嵌め合いがきつめに設定されるいる。したがって、ボビン 保持部材を相対的に離隔させてボビンの保持を解除する際にボビンが抜け難く、 払い出しのミスが生じ易いという問題がある。

【０００５】 特にボビン保持部材をクレードルアームに装着し、該アームの開放動作によっ てボビンの保持を解除するような装置にあっては、ボビン両端部での抜け方が異 なるためにボビンが傾いてしまい、払い出しのミスを招き易い。 そこで本考案は、ボビン保持部材の形状を工夫することにより、ボビンの保持 部材からの抜けが容易でしかも位置決め精度の良いボビン保持装置を提供するこ とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的達成のため、請求項１記載の考案は、糸条巻取用ボビンの両端部に係 合および離脱するよう互いにボビン軸方向に相対移動し、ボビンを着脱可能に保 持する一対のボビン保持部材と、両ボビン保持部材を回転自在に支持する支持部 材とを備えたボビン保持装置において、前記ボビン保持部材に回転中心軸に対し て１５度〜４５度の傾斜角をなすテーパ面部を設け、該テーパ面部により前記ボ ビンの端部を軸方向および径方向に位置決めすることを特徴とするものであり、 請求項２記載の考案は、前記支持部材の所定位置に、前記ボビン保持部材から離 脱したボビンをその両端近傍で支承する一対のサポート部材を装着し、前記ボビ ンに対する前記テーパ面部の挿入深さをＲとし、前記テーパ面部の傾斜角をθと するとき、各サポート部材とテーパ面部により位置決めされたボビンの間の間隙 Ｄが同一で、かつＤ≧Ｒｔａｎθとなるように前記所定位置を設定したことを特 徴とする物である。

【０００７】

【作用】

請求項１記載の考案では、ボビンの両端部に係合する一対のボビン保持部材が 回転中心軸に対して１５度〜４５度の傾斜角をなすテーパ面を有する。したがっ て、両ボビン保持部材のテーパ面部を前記ボビンの端部に挿入するだけでボビン を軸方向および径方向に正確に位置決めでき、しかも保持解除時のボビンの抜け が良くなる。

【０００８】 請求項２記載の考案では、ボビンがボビン保持部材に保持されたとき、ボビン と一対のサポート部材との間隙が同一でかつＲｔａｎθ以上となっている。した がって、クレードルアームの開放動作によりボビン保持部材の間隔を離隔させ、 ボビンをサポート部材上で位置決めし、図示しないストッカーに払い出す時に、 ボビンがボビン保持部材に引っかかること無く払い出される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。 図１〜図４は請求項１および２記載の考案に係るボビン保持装置の一実施例を 示す図である。 まず、その構成を説明する。

【００１０】 図１〜３において、11は円筒状の糸条巻取り用ボビンである紙管、12ａは紙管 11の図１中左端部に係合する開閉側の紙管保持部材、12ｂは紙管11の図１中右端 部に係合する固定側のボビン保持部材である。ボビン保持部材12ａ、12ｂは一対 のアーム（支持部材）13、14に回転自在に支持され、両アーム13、14のクレード ル軸15を中心とする回動に伴って巻取り側および払出し側に移動される。両アー ム13、14のうち少なくとも一方のアーム、例えばアーム13は図１中左右方向（ボ ビン軸方向）に開閉動作可能なアームであり、ボビン保持部材12ａ、12ｂはこの アーム13の開閉動作により紙管11の両端部に係合し、あるいは紙管11の両端部か ら離脱する。すなわち、ボビン保持部材12ａ、12ｂはアーム13、14の開閉動作に よって紙管11を保持したりその保持を解除したりすることができる。また、紙管 11が前記巻取り側に移動したとき、紙管11は図示しない公知のフリクションロー ラに当接し、これによって前記糸条の紙管11への巻取りが可能になる。さらに、 紙管11に所定量の糸条が巻き取られ、紙管11およびこれに巻き取られた糸条（以 下、パッケージという）がクレードル軸15を中心とするアーム13、14の回動によ って前記払出し側に移動されたとき、アーム13、14の解放動作によってボビン保 持状態が解除され、図示しないガイドに案内されて図示しないパッケージストッ カ内に払い出されるようになっている。

【００１１】 なお、このようなクレードル装置の基本的構成については公知であるため、全 体構成についてのこれ以上の説明は省き、特徴部分についてのみ詳述する。 図１〜図４に示すように、ボビン保持部材12ａ、12ｂは紙管11の回転中心軸に 対して１５度〜４５度の傾斜角をもつテーパ面部４ａ、４ｂを有しており、テー パ面部４ａ、４ｂは例えば表面粗さＲｍａｘ．６ｓ以下程度に仕上げ加工されて いる。また、ボビン保持部材12ａ、12ｂはテーパ面部４ａ、４ｂの先端側で紙管 11の内径より小径で、テーパ面部４ａ、４ｂの後端側では紙管11の内径より大径 になっている。テーパ面部４ａ、４ｂのテーパ角度（回転中心軸に対する傾斜角 ）は１５度〜４５度の角度に設定されている。１５度未満の傾斜角を設定すると 紙管11がテーパ面部４ａ、４ｂから抜け難くなり、４５度を超える傾斜角を設定 するとセンタリング精度が低下するためである。

【００１２】 一方、アーム13、14にはサポート部材６ａ、６ｂが取り付けられている。サポ ート部材６ａ、６ｂはそれぞれアーム13、14の内方側でボビン保持部材12ａ、12 ｂよりクレードル軸15側に位置しており、その外形は、ボビン保持部材12ａ、12 ｂから離脱したパッケージが一度所定位置で停止するため、アーム13、14の開放 動作時においてパッケージの直下に位置する部分が最も低くなるよう上面が湾曲 した形状をしている。また、各サポート部材６ａ、６ｂとパッケージ両端から突 出した紙管11の外周面との間隙Ｄは、図示しないブレーキ機構が作動してパッケ ージの回転が止められ、巻取り時より払出し側の所定回動位置にあるアーム13、 14が開放動作するときの落下距離として設定されている。具体的には、図４に示 すように、紙管11がボビン保持部材12ａ、12ｂに係合しているときのテーパ面部 ４ａ、４ｂの挿入深さをＲ、テーパ面部４ａ、４ｂのテーパ角度をθとすると、 ＤはＲｔａｎθ以上（Ｄ≧Ｒｔａｎθ）である。なお、この間隙Ｄの上限値はア ーム13、14の払出し側への回動によりサポート部材６ａ、６ｂの上面に沿ってパ ッケージが自重で転動し、前記ガイド上にスムーズに水平（平行）に移載される ように、払い出し側のガイド高さを考慮して設定される。すなわち、アーム13、 14が払出し位置に回動してパッケージが図示しないパッケージストッカに払い出 されるとき、このパッケージストッカ側の図示しないガイド高さとサポート部材 ６ａ、６ｂの延長部上面Ｓ1、Ｓ2がほぼ同一の高さとなるようにサポート部材６ ａ、６ｂの形状が決定される。

【００１３】 次に、その作用を説明する。 まず、紙管11が図示しないボビン供給装置によって開放状態のアーム13、14の 間に供給されると、アーム13、14が閉じるとともにボビン保持部材12ａ、12ｂが 互いに接近する。このとき、ボビン保持部材12ａのテーパ面部４ａが紙管11の一 端部11ａに当接して、紙管11がボビン保持部材12ｂ側に押され、紙管11の他端部 11ｂがボビン保持部材12ｂのテーパ面部４ｂに当接する。次いで、ボビン保持部 材12ａ、12ｂが接近するのに伴って、ボビン11の両端部11ａ、11ｂにボビン保持 部材12ａ、12ｂが挿入され、紙管11端部内周とテーパ面部４ａ、４ｂとが隙間な く嵌合すると、紙管11がボビン保持部材12ａ、12ｂによって軸方向および径方向 に位置決めされ、保持される。このような位置決めおよび保持動作においては、 ボビン保持部材12ａ、12ｂのテーパ面部４ａ、４ｂが回転中心軸に対して１５度 〜４５度の傾斜角をなしているので、紙管11の挿入がスムーズに行なわれる。さ らに、紙管11の両端部11ａ、11ｂが軸方向所定位置に位置決めされるのと同時に 所要のセンタリングがなされる。

【００１４】 次いで、紙管11がフリクションローラに当接するようアーム13、14が巻取り側 に回動し、紙管11への糸掛けが行なわれた後、糸条の巻取りが行なわれる。巻取 りが完了すると、パッケージ（満巻ボビン）はアーム13、14の回動に伴ってフリ クションローラから離隔するとともに、図示しないブレーキ機構により払出し側 の所定位置で制動される。次いで、アーム13、14が払出し位置に回動すると、ア ーム13、14が開かれ、紙管11の両端部11ａ、11ｂがテーパ面部４ａ、４ｂ上を滑 り落ち始める。そして、アーム13、14の開放動作がほぼ完了すると、紙管11がボ ビン保持部材12ａ、12ｂから離脱し、パッケージがサポート部材６ａ、６ｂ上に 落下する。この離脱および落下の動作においては、ボビン保持部材12ａ、12ｂが 回転中心軸に対して１５度〜４５度の傾斜角をなすテーパ面部４ａ、４ｂを有し ているので、ボビン保持部材12ａ、12ｂの相対的な離隔動によって紙管11をボビ ン保持部材12ａ、12ｂから離脱させるとき、紙管11の両端部がテーパ面部４ａ、 ４ｂ上を容易に滑って離脱し、抜けが良い。また、この落下距離は前記間隙Ｄに 等しく、サポート部材６ｂ上に落下した紙管11は軸方向に挿入深さＲだけ移動す るため、紙管11はボビン保持部材12ａ、12ｂから完全に離脱して、サポート部材 ６ａ、６ｂにより水平に支承される。さらに、このときサポート部材６ａ、６ｂ の上面のうちパッケージを支承する部分が最も低い位置にあるから、パッケージ が巻取り側や払出し側に落下するのが防止されるとともに、パッケージがクレー ドル軸15と平行な状態で支承される。

【００１５】 次いで、アーム13、14が払出し側に回動されるが、サポート部材６ａ、６ｂの 延長部上面Ｓ1、Ｓ2がボビン保持部材12ａ、12bに沿うように湾曲していること から、パッケージが落下することはない。アーム13、14が更に回動してほぼ回動 位置に達すると、パッケージは自重によってサポート部材６ａ、６ｂ上を転動し 、それに続くパッケージストッカ側のガイドに移載される。このとき、サポート 部材６ａ、６ｂの延長部上面Ｓ1、Ｓ2がガイド高さとほぼ同一高となっているか ら、パッケージはスムーズにパッケージストッカ側に移載され、前記ガイド上を 更に転動して所定のストック位置に至る。このように、本実施例ではパッケージ を最も好ましい安定した姿勢で払い出すことができ、排出動作のミスを確実に防 止することができる。

【００１６】

【考案の効果】

請求項１記載の考案によれば、ボビンの両端部に係合する一対のボビン保持部 材が軸線に対して１５度〜４５度の傾斜角をなすテーパ面部を有するので、両ボ ビン保持部材のテーパ面部を前記ボビンの端部に挿入してボビンを軸方向および 径方向に位置決めする際、センタリングが確実にでき、しかも、両ボビン保持部 材の相対的な離隔動によってボビンをボビン保持部材から離脱させるとき、離脱 が確実にできる。

【００１７】 請求項２記載の考案によれば、ボビンをボビン保持部材により保持したときの ボビンとサポート部材との間の間隙が、該保持を解除したときにボビンがテーパ 面部から完全に離脱して落下し、サポート部材に支承されるように設定されるの で、ボビン保持装置から離脱したボビンをサポート部材により保持部材の軸線と 平行な好ましい姿勢で払い出すことができ、払い出しのミスを確実に防止するこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るボビン保持装置の一実施例の全体
構成図である。

【図２】図１のＡ方向矢視図である。

【図３】図１のＢ方向矢視図である。

【図４】図２のＣ−Ｃ矢視図であり、サポート部材の配
置説明図である。

【符号の説明】

４ａ テーパ面部 ４ｂ テーパ面部 ６ａ サポート部材 ６ｂ サポート部材 11 ボビン 11ａ ボビンの端部 11ｂ ボビンの端部 12ａ ボビン保持部材 12ｂ ボビン保持部材 13 開閉側アーム（支持部材） 14 固定側アーム（支持部材）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】糸条巻取用ボビンの両端部に係合および離
   脱するよう互いにボビン軸方向に相対移動し、ボビンを
   着脱可能に保持する一対のボビン保持部材と、両ボビン
   保持部材を回転自在に支持する支持部材とを備えたボビ
   ン保持装置において、 前記ボビン保持部材に回転中心軸に対して１５度〜４５
   度の傾斜角をなすテーパ面部を設け、該テーパ面部によ
   り前記ボビンの端部を軸方向および径方向に位置決めす
   ることを特徴とするボビン保持装置。
2. 【請求項２】前記支持部材の所定位置に、前記ボビン保
   持部材から離脱したボビンをその両端近傍で支承する一
   対のサポート部材を装着し、前記ボビンに対する前記テ
   ーパ面部の挿入深さをＲとし、前記テーパ面部の傾斜角
   をθとするとき、各サポート部材とテーパ面部により位
   置決めされたボビンの間の間隙Ｄが同一で、かつＤ≧Ｒ
   ｔａｎθとなるように前記所定位置を設定したことを特
   徴とする請求項１記載のボビン保持装置。