JPH07249221A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07249221A
JPH07249221A JP33161894A JP33161894A JPH07249221A JP H07249221 A JPH07249221 A JP H07249221A JP 33161894 A JP33161894 A JP 33161894A JP 33161894 A JP33161894 A JP 33161894A JP H07249221 A JPH07249221 A JP H07249221A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性塗膜の破損防止と磁性塗膜表面への異物
の付着防止を図つて、ドロツプアウトの低減された磁気
記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に磁性粉、結合剤樹脂および
その他の必要成分を含む磁性塗膜を設けてなる磁気記録
媒体において、上記磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤の
量を1.0mg/m2以下に設定し、かつ磁性塗膜から抽出
される潤滑剤の全量を10〜100mg/m2の範囲に設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テ―プ、磁気デイ
スクなどの磁気記録媒体に関し、詳しくは、ドロツプア
ウトの低減に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、非磁性支持体上に磁性塗料を
塗着してつくられる磁気記録媒体においては、ドロツプ
アウトによるエラ―発生の問題があり、これの解決が重
要な課題となつている。ドロツプアウトの原因として
は、磁性塗膜の破損や、塵埃などの微細な異物の磁性塗
膜への付着などがある。
【0003】磁性塗膜の破損は、記録再生時の磁気ヘツ
ドとの摺動によるものが多く、この対策として、通常
は、磁性塗膜の表面に脂肪酸や脂肪酸エステルなどの潤
滑剤を付与することにより、磁気ヘツドと磁性塗膜の表
面との間に潤滑膜を形成して、摺動による負荷を軽減す
るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記の潤滑
剤は、磁気ヘツドに対して潤滑膜を形成する必要から、
磁気記録媒体の使用温度範囲である0〜60℃において
液体でなければならないが、そのために塵埃などの微細
な異物を濡らし、これが磁性塗膜の表面に付着する問題
がある。とくに、磁気記録媒体の高記録密度化に伴い、
ドロツプアウト発生の原因となる傷,異物のサイズが小
さくなり、磁性塗膜の破損と異物付着によるドロツプア
ウトの問題をともに解決することが困難な状況となつて
いる。
【0005】本発明は、このような現状に鑑み、磁性塗
膜の破損防止と磁性塗膜表面への異物の付着防止をとも
に図り、これら原因によるドロツプアウトの問題を解決
した磁気記録媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意検討した結果、磁性塗膜の表
面に存在する潤滑剤の量を一定値以下に設定し、かつ磁
性塗膜から抽出される潤滑剤の全量を特定範囲内に設定
したときに、磁性塗膜の破損防止と磁性塗膜表面への異
物の付着防止にともに好結果が得られて、ドロツプアウ
トの低減された磁気記録媒体が得られることを知り、本
発明を完成するに至つた。
【0007】すなわち、本発明は、非磁性支持体上に磁
性粉、結合剤樹脂およびその他の必要成分を含む磁性塗
膜を設けてなる磁気記録媒体において、上記磁性塗膜の
表面に存在する潤滑剤の量が1.0mg/m2以下であり、
かつこの磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量が10〜
100mg/m2であることを特徴とする磁気テ―プ、磁気
デイスクなどの磁気記録媒体に係るものである。
【0008】
【発明の構成・作用】本発明においては、上述のよう
に、磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤の量を、1.0mg
/m2以下、好ましくは0.5mg/m2以下に設定し、しか
も磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量を、10〜10
0mg/m2の範囲に設定したことにより、塵埃などの微小
異物を濡らして磁性塗膜表面に付着させることなく、磁
気ヘツドの摺動による磁性塗膜の破損を防止でき、これ
により高密度記録時のドロツプアウトの発生を顕著に抑
制できたものである。
【0009】本発明とは異なり、磁性塗膜の表面に存在
する潤滑剤の量が1.0mg/m2より多くなると、塵埃な
どの微小異物を濡らして磁性塗膜の表面に付着し、ま
た、磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量が10mg/m2
より少なくなると、磁気ヘツドに対して有効な潤滑膜を
形成しにくく、100mg/m2より多くなると、磁性塗膜
の表面に存在する潤滑剤の量を1.0mg/m2以下に制御
し難くなり、いずれの場合も、ドロツプアウトの発生を
抑制できなくなる。
【0010】なお、本発明において、磁性塗膜の表面に
存在する潤滑剤の量とは、X線光電子分光装置(ESC
A)により、潤滑剤のCis光電子スペクトル、および
磁性塗膜を溶剤であるノルマルヘキサンで洗浄し、その
前後のCis光電子スペクトルを測定し、算出される値
を意味する。また、抽出される潤滑剤の全量とは、磁性
塗膜を溶剤であるノルマルヘキサンで洗浄することによ
り得られる潤滑剤量を意味するものである。
【0011】本発明における潤滑剤は、従来より磁気記
録媒体に用いられているものをすべて使用できる。とく
に好ましい潤滑剤は、脂肪酸や脂肪酸エステルなどであ
る。また磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤の量は、いか
なる方法で制御してもよく、例として、磁性塗料塗工後
の乾燥条件、磁性塗膜作製後の熱処理条件の選択や、磁
性塗膜作製後の表面クリ―ニングなどが挙げられる。
【0012】なお、潤滑膜を形成することのない、いわ
ゆる固形潤滑剤と呼ばれているカ―ボンブラツク、グラ
フアイト、二硫化モリブデンなどは、本発明で規定する
潤滑剤には含まれないが、これらの固形潤滑剤を、摩擦
低減やその他の目的で、本発明の潤滑剤とともに併用し
ても差し支えない。
【0013】本発明において、非磁性支持体上に設けら
れる磁性塗膜は、磁性粉を結合剤樹脂、溶剤およびその
他の必要成分、たとえば研磨剤、帯電防止剤、分散剤な
どとともに混合分散した磁性塗料を調製し、これを非磁
性支持体上に常法により塗工、乾燥したのち、表面処理
などの適宜の処理を施すことにより、形成できる。この
ような磁性塗膜の形成は、非磁性支持体の片面でも両面
でもよく、両面の場合は、磁性塗膜の表面に存在する潤
滑剤の量と、磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量が、
各面でそれぞれ前記の値となるように設定すればよい。
【0014】磁性粉としては、たとえば、γ−Fe2
3 、Co含有γ−Fe23 、Co含有Fe34 、C
rO2 、バリウムフエライトなどの酸化物系磁性粉、F
e、Co、Fe−Niなどの金属系磁性粉など、従来よ
り磁気記録媒体用の記録素子として用いられている磁性
粉をいずれも使用できる。
【0015】結合剤樹脂としては、たとえば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル系共重合体、繊維素系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂な
どの従来公知の結合剤樹脂をいずれも使用できる。これ
らの樹脂成分の中でも、ニトロセルロ―スをはじめとす
る繊維素系樹脂のような樹脂単体の粘着性の少ないもの
を用いると、磁気記録媒体のドロツプアウトの低減によ
り好結果が得られるので、とくに好ましく用いられる。
また、これらの樹脂成分とともにポリイソシアネ―ト架
橋剤などを併用してもよい。
【0016】溶剤としては、たとえば、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ト
ルエン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒ
ドロフランなどの各種の溶剤が挙げられ、これらの中か
らその1種を単独でまたは2種以上の混合系で使用する
ことができる。なお、表面潤滑剤量の制御を、前記した
磁性塗料塗工後の乾燥条件の選択により行う場合は、シ
クロヘキサノンなどの高沸点の溶剤を混用すると、上記
制御が容易となるため、とくに好ましい。
【0017】また、必要により添加される添加剤とし
て、モ―ス硬度の高いα−Al2 3やCr2 3 など
を使用し、これらを磁性粉に対し、5重量%以上、好ま
しくは5〜15重量%の割合で添加すると、ドロツプア
ウト発生原因のひとつである磁性塗膜の破損を抑制し、
本発明の効果をより一層高めることができるので、とく
に望ましいものである。
【0018】本発明の磁気記録媒体の構成に関し、その
好ましき実施態様を含めて、整理すると、以下のとおり
である。 磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤の量が、1.0mg
/m2以下、好ましくは0.5mg/m2以下であり、かつこ
の磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量が10〜100
mg/m2であることを特徴とする磁気記録媒体。 上記のにおいて、潤滑剤が0〜60℃で液体であ
る磁気記録媒体。 上記のにおいて、潤滑剤が脂肪酸または脂肪酸エ
ステルの中から選ばれる少なくとも1種である磁気記録
媒体。 上記の〜において、磁性層の結合剤樹脂がニト
ロセルロ―スなどの繊維素系樹脂である磁気記録媒体。 上記の〜において、磁性層中に含ませる添加剤
がα−Al2 3 またはCr2 3 である磁気記録媒
体。 上記のにおいて、添加剤の量が磁性粉に対して5
重量%以上である磁気記録媒体。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、磁性
塗膜の表面に存在する潤滑剤の量を一定値以下に設定
し、かつ磁性塗膜から抽出される潤滑剤の全量を特定範
囲内に設定したことにより、塵埃などの微小異物を濡ら
して磁性塗膜表面に付着させることなく、磁気ヘツドの
摺動による磁性塗膜の破損を防止でき、高密度記録時の
ドロツプアウトの少ない磁気記録媒体を提供できる。
【0020】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載してより具体
的に説明する。なお、以下において部とあるのは重量部
を意味する。
【0021】実施例1 Co含有γ−Fe23 磁性粉 100部 (BET比表面積17m2/g、保磁力700エルステツド) ニトロセルロ―ス樹脂 13部 〔旭化成(株)製の商品名「HA−103」〕 ポリウレタン樹脂 13部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「N−2309」〕 三官能イソシアネ―ト架橋剤 8部 カ―ボンブラツク(平均粒子径0.03μm) 15部 α−Al23 (平均粒子径0.4μm) 10部 潤滑剤(オレイルオレ―ト) 10部 シクロヘキサノン 200部 トルエン 200部
【0022】上記の組成物を混合,分散して、磁性塗料
を調製した。この磁性塗料を、厚さが75μmのポリエ
チレンテレフタレ―トフイルムの両面に、乾燥後の厚さ
が各々1.0μmとなるように塗布,乾燥し、カレンダ
―処理後、直径86mmの円盤状に打ち抜き、さらに磁性
塗膜の表面に存在する潤滑剤(オレイルオレ―ト)の量
が両面とも0.8mg/m2となるようにクリ―ニング調整
することにより、磁気デイスクを作製した。
【0023】実施例2 磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤(オレイルオレ―ト)
の量が両面とも0.3mg/m2となるようにクリ―ニング
調整した以外は、実施例1と同様にして、磁気デイスク
を作製した。
【0024】実施例3 磁性塗料中の潤滑剤(オレイルオレ―ト)の配合量を5
部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気デイ
スクを作製した。
【0025】実施例4 磁性塗料中の潤滑剤を、オレイルオレ―ト10部に代え
て、ステアリン酸ノルマルブチル10部に変更した以外
は、実施例1と同様にして、磁気デイスクを作製した。
【0026】実施例5 磁性塗料中の結合剤樹脂のうち、ニトロセルロ―ス樹脂
13部を、ポリウレタン樹脂〔東洋紡績(株)製の商品
名「UR−8310」〕13部に変更した以外は、実施
例1と同様にして、磁気デイスクを作製した。
【0027】実施例6 磁性塗料中の添加剤のうち、α−Al23 10部を、
α−Fe23 (平均粒子径0.4μm)10部に変更
した以外は、実施例1と同様にして、磁気デイスクを作
製した。
【0028】比較例1 磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤(オレイルオレ―ト)
の量が両面とも1.2mg/m2となるようにクリ―ニング
調整した以外は、実施例1と同様にして、磁気デイスク
を作製した。
【0029】比較例2 磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤(オレイルオレ―ト)
の量が両面とも1.7mg/m2となるようにクリ―ニング
調整した以外は、実施例1と同様にして、磁気デイスク
を作製した。
【0030】比較例3 磁性塗料中の潤滑剤(オレイルオレ―ト)の配合量を1
部に変更し、かつ磁性塗膜の表面に存在する潤滑剤(オ
レイルオレ―ト)の量は両面とも実施例1と同じ0.8
mg/m2となるようにクリ―ニング調整した以外は、実施
例1と同様にして、磁気デイスクを作製した。
【0031】比較例4 磁性塗料中の潤滑剤(オレイルオレ―ト)の配合量を1
5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気デ
イスクを作製した。
【0032】上記の実施例1〜6および比較例1〜4で
得られた各磁気デイスクについて、磁性塗膜からノルマ
ルヘキサンにて抽出される潤滑剤の全量を調べるととも
に、下記の方法により、ドロツプアウトの発生数を調べ
た。これらの測定結果を、磁性塗膜の表面に存在する潤
滑剤の量とともに、後記の表1に示した。
【0033】なお、表1中、「表面潤滑剤量」は磁性塗
膜の表面に存在する潤滑剤の量であり、「潤滑剤抽出
量」は磁性塗膜からノルマルヘキサンにて抽出される潤
滑剤の全量であり、いずれも、表裏両面の平均値として
示したものである。また、ドロツプアウトの発生数は、
表裏両面の合計値として示した。
【0034】<ドロツプアウト発生数の測定>ワイ・イ
―・デ―タ社製の3.5インチフロツピ―デイスクドラ
イブYD−686Cを用いて、最大線記録密度14.2
kfci、スライスレベル70%でサ―テイフアイを行
い、初期のドロツプアウトがないことを確認したうえ
で、60℃,10%RH,塵埃環境クラス2,000,
000の環境の中で、同種のドライブで24時間磁気ヘ
ツドを摺動させたのち、再びサ―テイフアイを行い、ド
ロツプアウトの発生数を測定した。
【0035】
【表1】
【0036】上記の表1から明らかなように、磁性塗膜
の表面に存在する潤滑剤の量と磁性塗膜から抽出される
潤滑剤の全量がともに本発明の範囲に入る実施例1〜6
の磁気デイスクは、比較例1〜4の磁気デイスクに比べ
て、ドロツプアウトの発生数が非常に少なく、高密度記
録に適していることがわかる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性粉、結合剤樹脂お
    よびその他の必要成分を含む磁性塗膜を設けてなる磁気
    記録媒体において、上記磁性塗膜の表面に存在する潤滑
    剤の量が1.0mg/m2以下であり、かつこの磁性塗膜か
    ら抽出される潤滑剤の全量が10〜100mg/m2である
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
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