JPH07247837A - 排気管の遮熱板取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】遮熱板をクランプにより排気管に取り付ける構
造において、一種類のクランプを外径の異なる各種遮熱
板に対応して共通に使用可能とする。 【構成】排気管１の外側に管状をなす遮熱板２を所定の
隙間を介して配置する。その遮熱板２を環状をなすクラ
ンプ３により締め付けて排気管１に固定する。ここで、
遮熱板２の一部を排気管１の外周面に当接可能な締付部
７とする。又、その締付部７のみがクランプ３により締
め付けられる構造とする。締付部７には、その周方向に
沿って配置され、且つ外方へ突出する複数の凸部８を形
成する。更に、各凸部８の高さを、クランプ３の内径寸
法と排気管１の外径寸法との差に設定する。従って、ク
ランプ３の内径寸法を一定とした場合に、異なる外径寸
法を有する各遮熱板において、締付部の凸部の高さを個
別に設定することにより、一種類のクランプ３の使用が
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関等の排気管
に取り付けられる遮熱板に係り、詳しくはその取付構造
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関等の排気管のように高温
の流体が通過するものにおいては、その流体の保温のた
め、或いは排気管から周囲への熱伝達を防止するために
遮熱板が取り付けられる。

【０００３】例えば、実開昭６２−８４６２０号公報に
開示された遮熱板取付構造においては、図６，７に示す
ように、遮熱板２１が排気管２２の外周に隙間Ｇ２を介
して配置されている。遮熱板２１は円弧状断面を有する
二つの構成片２３Ａ，２３Ｂより構成されており、各構
成片２３Ａ，２３Ｂが環状をなすクランプ２４により締
め付け固定されている。ここで、各構成片２３Ａ，２３
Ｂの一部分には、波状に屈曲形成されたサポート部２５
が設けられており、そのサポート部２５にも隙間が形成
されている。この構成により、排気管２２と遮熱板２１
との隙間Ｇ２が、各構成片２３Ａ，２３Ｂと一体のサポ
ート部２５により確保される。そのため、遮熱板２１の
取り付けが簡略化されると共に、その取付構造自体に熱
膨張を吸収する機能が付与される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
遮熱板取付構造では、図７からも明らかなように、クラ
ンプ２４の締付部位が、遮熱板２１とそのサポート部２
５とに跨がって設定されている。このため、外径寸法の
異なる各種排気管に対応して外径寸法の異なる遮熱板が
取り付けられる場合には、各種遮熱板の外径寸法の違い
に応じた内径を有するクランプを予め複数種類設けなけ
ればならず、一種類のみのクランプを共通に使用するこ
とができなかった。このため、部品の共通化の要望には
応えられなかった。

【０００５】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、遮熱板をクランプにより排
気管に取り付ける構造において、一種類のクランプを外
径寸法の異なる各種遮熱板に対応して共通に使用するこ
とを可能にした排気管の遮熱板取付構造を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、排気管の外側に管状をなす
遮熱板を所定の隙間を介して配置し、その遮熱板を環状
をなすクランプにより締め付けて排気管に固定する遮熱
板取付構造において、遮熱板の一部を排気管の外周面に
当接可能な締付部とし、その締付部のみがクランプによ
り締め付けられるものとし、締付部にはその周方向に沿
って配置され、且つ外方へ突出する複数の凸部を形成
し、各凸部の高さをクランプの内径と排気管の外径との
差に設定したことを趣旨としている。

【０００７】

【作用】上記の発明の構成によれば、排気管の外側に隙
間を介して遮熱板が配置され、その締付部のみがクラン
プにより締め付けられることにより、遮熱板が排気管に
固定される。ここで、締付部の各凸部にクランプを当て
て締め付けることにより、クランプによる締め付け力が
各凸部を通じて締付部の全体に加わることになる。又、
締付部とクランプとの間で熱変形に起因して生じる歪み
は、各凸部にて吸収可能となる。更に、締付部と排気管
との接触面積が小さくなる。

【０００８】一方、各凸部の高さがクランプの内径と排
気管の外径との差に設定されることから、クランプの内
径寸法を一定とした場合に、異なる外径寸法の各遮熱板
においては、それらの締付部における凸部の高さを個別
に設定することにより、クランプの使用が可能となる。

【０００９】

【実施例】以下、この発明における排気管の遮熱板取付
構造を内燃機関の排気管に具体化した一実施例を図１〜
図４に基づいて詳細に説明する。

【００１０】図１はこの実施例における排気管１とその
遮熱板２等を示す斜視図であり、図２はその排気管１の
開口断面とその遮熱板２等を示す正面図である。又、図
３は排気管１とその遮熱板２等を示す断面図である。

【００１１】排気管１は金属板材より円筒状に形成され
ている。排気管１は図示しない内燃機関の排気マニホー
ルドに接続されている。遮熱板２は同じく金属板材より
管状に形成され、排気管１の外側に対して所定の隙間Ｇ
１を介して配置されている。遮熱板２はクランプ３によ
り締め付けられて排気管１に固定されている。この排気
管１には、内燃機関から排出される高温の排気ガスが通
過する。又、遮熱板２はその排気ガスを保温すると共
に、その排気ガスの熱が排気管１から周囲へ伝達するの
を防止する。

【００１２】クランプ３は帯状をなす一つの金属材が環
状に折り曲げられて形成されている。クランプ３の両端
は互いに対向するよう折り曲げられて合口部４となって
いる。その合口部４がボルト５及びナット６により締め
付け可能となっている。

【００１３】遮熱板２の端部には袖状に延びる締付部７
が一体に形成されている。この締付部７が排気管１の外
周面に当接可能となっている。そして、その締付部７の
みがクランプ３により締め付けられる構造となってい
る。締付部７には、その周方向に沿って等角度間隔に配
置され、且つ外方へ突出する複数の凸部８が形成されて
いる。各凸部８は締付部７の全長にわたって延びてい
る。そして、各凸部８の排気管１からの高さＨ１が、ク
ランプ３の内径と排気管１の外径との差に設定されてい
る。

【００１４】尚、この実施例では、遮熱板２が上下二つ
に分割された構成片９Ａ，９Ｂにより構成されている。
即ち、図４に示すように、各構成片９Ａ，９Ｂは締付部
７を含めて二分割されて形成され、円弧状断面を有して
いる。又、この実施例では、外径寸法の多少異なる各種
排気管に対応して、外径寸法の異なる遮熱板が取り付け
られるようになっている。

【００１５】従って、上記の排気管１に遮熱板２を取り
付けるには、先ず、排気管１を内包するように二つの構
成片９Ａ，９Ｂを突き合わせる。この工程により、排気
管１の外側に管状をなす遮熱板２が所定の隙間Ｇ１を介
して配置される。この装着状態では、締付部７の一部の
みが排気管１の外周面に当接される。ここでは、遮熱板
２を配置するために、排気管１を二つの構成片９Ａ，９
Ｂで挟むだけでよいことから、排気管１に対する遮熱板
２の取回しを容易にすることができる。

【００１６】そして、この装着状態において、締付部７
のみに対してクランプ３を巻いて、そのクランプ３を各
凸部８に当てる。又、クランプ３の合口部４をボルト５
及びナット６により締め付ける。この工程により、締付
部７が排気管１の外周面に締め付けられ、遮熱板２が排
気管１に固定される。ここでは、一つの合口部４をボル
ト５及びナット６により締め付ければよいことから、締
め付け作業を簡略化することができる。

【００１７】ここで、この実施例では、締付部７の各凸
部８のみにクランプ３が当接して締め付けられることか
ら、クランプ３による締め付け力が各凸部８を通じて締
付部７の全体に加わることになる。その結果、締付部７
を排気管１に対してより確実に締め付けることができ
る。特にこの実施例では、締付部７に各凸部８が等角度
間隔をもって形成されていることから、締付部７をその
全周にわたって排気管１の周囲に均等に締め付けること
ができ、締付部７に部分的な応力集中が発生することを
防止することができる。

【００１８】又、この実施例では、遮熱板２が熱膨張し
たり熱収縮したりしても、その締付部７とクランプ３と
の間で生じる歪みが、各凸部８の撓みによって吸収され
る。そのため、締付部７における無理な応力の発生を抑
えることができ、遮熱板２の取付構造に係る耐久性や信
頼性を高めることができる。

【００１９】更に、この実施例では、締付部７と排気管
１との接触面積が小さくなることから、締付部７が熱変
形するときに、締付部７と排気管１との間で異音が発生
することを抑えることができる。

【００２０】一方、この実施例では、各凸部８の高さＨ
１がクランプ３の内径と排気管１の外径との差に設定さ
れている。このため、クランプ３の内径寸法を一定とし
た場合に、異なる外径寸法を有する各遮熱板２において
は、それらの締付部７における凸部８の高さを個別に設
定することにより、クランプ３の使用が可能となる。そ
の結果、一種類のクランプ３を外径寸法の異なる各種遮
熱板２に対応して共通に使用することができる。つま
り、外径寸法の異なる各種遮熱板２での使用において、
一種類のクランプ３の共通化を図ることができる。延い
ては、クランプ３を成形するための設備投資を低減する
ことができ、その成形後の製品管理を簡略化することが
できる。

【００２１】尚、この発明は次のような別の実施例に具
体化することもできる。以下に示す各実施例において
も、前記実施例と同様の作用及び効果を得ることができ
る。

【００２２】（１）前記実施例では、締付部７にその全
長に沿って延びる複数の凸部８を等角度間隔をもって形
成した。これに対し、図５に示すように、締付部７にそ
の外方へ疣状に突出する複数の凸部１０を散在させて形
成してもよい。

【００２３】（２）前記実施例では、遮熱板２を二つに
分割された構成片９Ａ，９Ｂにより構成した。これに対
し、遮熱板を三つ以上に分割された構成片により構成し
たり、或いは遮熱板を長手方向に沿って切れ込みの入っ
た管材により構成したりしてもよい。

【００２４】（３）前記実施例では、帯状をなす一つの
金属材を環状に折り曲げてクランプ３を形成し、その一
つの合口部４を一組のボルト５及びナット６で締め付け
るように構成した。これに対し、二つに分割された構成
片によりクランプを形成して、その二つの合口部を二組
のボルト及びナットで締め付けるように構成してもよ
い。

【００２５】（４）前記実施例では、管状をなす遮熱板
２の端部に締付部７を形成したが、遮熱板２の中間部位
にも締付部を形成してもよい。 （５）前記実施例では、排気管１と遮熱板２との隙間Ｇ
１を単なる空間としたが、その隙間Ｇ１に「セラミック
ファイバ」等の断熱材を入れてもよい。この場合は、断
熱材の作用により、遮熱板２による排気ガスの保温性と
遮熱性をより高めることができ、より熱負荷の高い排気
管の使用に好適である。

【００２６】以上、この発明の各実施例について説明し
たが、上記各実施例には、特許請求の範囲に記載した技
術的思想に係る次のような各種の実施態様が含まれるこ
とを、以下にその効果と共に記載する。

【００２７】（イ）請求項１に記載の発明において、前
記遮熱板を複数の構成片により構成した内燃機関の遮熱
板取付構造。この構成によれば、請求項１に記載の発明
の効果に加えて、排気管に対する遮熱板の取回しを容易
にすることができる。

【００２８】（ロ）請求項１に記載の発明において、前
記凸部を締付部の周方向に沿って等角度間隔をもって形
成した内燃機関の遮熱板取付構造。この構成によれば、
請求項１に記載の発明の効果に加えて、締付部をその全
周にわたって排気管の周囲に均等に締め付けることがで
きる。

【００２９】尚、この明細書において、発明の構成に係
る手段及び部材等は以下のように定義されるものとす
る。 （ａ）前記排気管とは、内燃機関の排気通路を構成する
各管路を意味し、内燃機関本体に隣接する排気マニホー
ルドから最終段の排気パイプまでの間の全ての管路（触
媒コンバータを含む）を含むものとする。

【００３０】（ｂ）前記遮熱板とは、いわゆる「ヒート
インシュレータ」を意味するものであり、熱に対する絶
縁物のことである。その構造としては、二枚の金属板と
その間にセラミックスファイバ等の断熱材を入れたも
の、或いは、一枚の金属板からなるもの等を含む。

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、遮熱板をクランプにより締め付けて排気管に取り付
ける構造において、遮熱板の締付部のみがクランプによ
り締め付けられるものとする。そして、締付部にその周
方向に沿って配置され、且つ外方へ突出する複数の凸部
を形成し、各凸部の高さをクランプの内径と排気管の外
径との差に設定している。

【００３２】従って、クランプの内径寸法を一定とした
場合に、異なる外径寸法の各遮熱板において、それらの
締付部における凸部の高さを個別に設定することによ
り、クランプの使用が可能となる。その結果、一種類の
クランプを外径寸法の異なる各種遮熱板に対して共通に
使用することができるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を具体化した一実施例において、排気
管とその遮熱板等を示す斜視図である。

【図２】一実施例において、排気管の開口断面とその遮
熱板等を示す正面図である。

【図３】一実施例において、排気管とその遮熱板等を示
す断面図である。

【図４】一実施例において、遮熱板の構成片を示す斜視
図である。

【図５】この発明を具体化した別の実施例において、遮
熱板の構成片を示す斜視図である。

【図６】従来技術において、排気管の開口断面とその遮
熱板等を示す正面図である。

【図７】従来技術において、排気管とその遮熱板等を示
す断面図である。

【符号の説明】

１…排気管、２…遮熱板、３…クランプ、７…締付部、
８，１０…凸部、Ｇ１…隙間、Ｈ１…高さ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気管の外側に管状をなす遮熱板を所定
   の隙間を介して配置し、その遮熱板を環状をなすクラン
   プにより締め付けて前記排気管に固定する遮熱板取付構
   造において、 前記遮熱板の一部を前記排気管の外周面に当接可能な締
   付部とし、その締付部のみが前記クランプにより締め付
   けられるものとし、前記締付部にはその周方向に沿って
   配置され、且つ外方へ突出する複数の凸部を形成し、前
   記各凸部の高さを前記クランプの内径と前記排気管の外
   径との差に設定したことを特徴とする排気管の遮熱板取
   付構造。