JPH07247091A - 車椅子横乗せ式踏段付きエスカレーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般乗客及び車椅子を利用した身障者が共に
安全に乗り降りできるようにした車椅子横乗せ式踏段付
きエスカレーターを提供する。 【構成】 エスカレーターの一般乗降口Ｂの側部に、車
椅子Ａに乗った身障者がエスカレーターの車椅子乗用踏
段２０及び２１の上に真横から乗り降りするための車椅
子乗降口Ｃを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、車椅子に乗った身障
者が一般乗降客と同様にスムーズに、かつ、安全に乗り
降りできるようにした車椅子横乗せ式踏段付きエスカレ
ーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】図９〜図１２は、従来の車椅子横乗せ式
踏段付きエスカレーターの一例を示し、図において、符
号１は、傾斜部１ａと、この傾斜部１ａの上端部と下端
部とにそれぞれ水平に突設された水平部１ｂと水平部１
ｃとを備えて構成されたエスカレーターの主枠、２はこ
の主枠１内にレール等を備えて構成されたエスカレータ
ーの循環路である。

【０００３】循環路２は主枠１の上面側に往路２ａ，下
面側に帰路２ｂ、そして、上下両端部にその反転部２
ｃ，２ｃとをそれぞれ備えて構成されている。また、符
号３は循環路２にその昇降方向に沿って並べて無端状に
連結され、一般乗客が乗る多数の通常踏段、４，５及び
６はこの通常踏段３，３間に昇降方向に並べて連結さ
れ、車椅子Ａに乗った身障者が乗る車椅子乗用踏段であ
る。

【０００４】車椅子乗用踏段４には傾斜踏段（図省略）
を、車椅子乗用踏段５には操作機構（図省略）を、ま
た、車椅子乗用踏段６には可動踏段（図省略）及び車止
（図省略）がそれぞれ備え付けられている。

【０００５】尚、傾斜踏段及び可動踏段は車椅子Ａを安
定した状態に保持するものであり、車止は車椅子Ａを動
かないように固定するものであり、また、操作機構は車
椅子乗用踏段４，５及び６を車椅子乗用状態に作動させ
る等の働きを有するものである。

【０００６】通常踏段３及び車椅子乗用踏段４，５及び
６は、主枠１内に無端状に設置された左右踏段鎖７にそ
れぞれ連結され、この踏段鎖７が駆動機（図省略）によ
って駆動されることにより主枠１内を循環路２に沿って
上昇及び下降走行されるようになっている。

【０００７】符号８は主枠１の左右両側に昇降方向に沿
って連続して構成されたエスカレーターの欄干、９はこ
の左右欄干８にそれぞれ巻き架けられ、通常踏段３及び
車椅子乗用踏段４，５及び６と共に上昇及び下降走行す
る移動手すりである。

【０００８】また、符号１０はエスカレーターの乗降口
付近に設置されたエスカレーターの床板、１１は同じく
エスカレーターの乗降口付近の左右両側に立設され、一
般乗降口Ｂを構成する第一支柱、１２はこの左右第一支
柱１１にそれぞれ取り付けられ、操作機構（図省略）に
よって回転し、自動的に開閉する扉である。

【０００９】符号１３は左右欄干８の側部にそれぞれ立
設された第二支柱、１４は一側側の第一支柱１１と第二
支柱１３間に架け渡された仕切り部材、また、符号１５
は反対側の第一支柱１１と第二支柱１３とで構成される
車椅子乗降口Ｃに架け渡され、この車椅子乗降口Ｃを開
閉するチェーンである。

【００１０】符号１６と１７は欄干８（又は第二支柱１
３の内側）にそれぞれ取り付けられ、エスカレーターの
運転を通常運転から車椅子用運転に切り換える車椅子運
転切替えスイッチと車椅子運転起動スイッチ、１８は循
環路２の往路２ａの下部の適所に設けられた上昇運転用
のリミットスイッチ、１９は主枠１に取り付けられたア
クチュエーターである。

【００１１】このような構成において、車椅子Ａに乗っ
た身障者がこのエスカレーターを利用するには、車椅子
乗降口Ｃのチェーン１５を外し、乗降口付近の床板１０
まで入り込み、チェーン１５の一端を第一支柱１１と第
二支柱１３間に再び架け渡して車椅子乗降口Ｃを閉め
る。

【００１２】次に、車椅子運転切替えスイッチ１６を作
動させる。このスイッチ１６を作動させると、一般乗降
口Ｂの扉１２が閉じるので、身障者は一般乗客に邪魔さ
れることなく車椅子Ａに乗ったまま車椅子乗用踏段４，
５，６の上に乗り込むことができる。

【００１３】次に、車椅子運転起動スイッチ１７を作動
させる。このスイッチ１７を作動させると、エスカレー
ターは起動し、その後、タイマーによって所定時間経過
後、一般乗降口Ｃの扉１２が開き、一般乗客の搭乗が可
能になる。すなわち、エスカレーターが通常運転から車
椅子乗用運転に切り換えられ、一般乗降口Ｃの扉１２が
閉じ、車椅子Ａに乗った身障者がエスカレーターに乗る
間、一般乗客はエスカレーターに乗れなくなる。

【００１４】車椅子乗用踏段４，５及び６が往路２ａの
所定位置まで上昇すると、車椅子乗用踏段４の傾斜踏段
が傾斜してエスカレーターが一旦停止する。この状態で
身障者が車椅子Ａに乗ったまま車椅子乗用踏段４，５及
び６の上に乗り込むことができる。次に、車椅子運転起
動スイッチ１７を作動させると、エスカレーターが起動
し、車椅子乗用踏段４，５及び６が上昇走行し、同時に
その可動踏段及び車留めが上昇し、車椅子乗用踏段４，
５及び６がほぼ水平になって車椅子乗用状態となる。

【００１５】この状態で、通常踏段３及び車椅子乗用踏
段４，５，及び６が数段分上昇走行すると、位置検出用
踏段としての通常踏段３のアクチュェーター１９がリミ
ットスイッチ１８に触れ、リミットスイッチ１８が切れ
る。このリミットスイッチ１８が切れると一般乗降口Ｂ
の扉１２が開き、一般乗客の搭乗が可能になる。

【００１６】また、車椅子乗用踏段４，５及び６が往路
２ａの上端部に達すると、傾斜踏段、可動踏段及び車止
めが作動前の状態にもどり、身障者は車椅子Ａに乗った
ままで乗降口に降り、チェーン１５を外して車椅子乗降
口Ｃから降りることができる。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】従来の車椅子横乗せ式
踏段付きエスカレーターは、以上説明したように構成さ
れ、車椅子Ａに乗った身障者は前向き又は後ろ向きの状
態でエスカレーターに乗り込むので、車椅子Ａを載せる
スペースを広く確保する必要から、車椅子乗用踏段を少
なくとも３枚必要とするため、構造が複雑になる等の課
題があった。

【００１８】また、３枚の車椅子乗用踏段を水平にする
ために車椅子乗用踏段が著しく高くなり、身障者が後ろ
向きの状態で乗ると（図１１及び図１２参照）、身障者
の視野が高くなり、高所による恐怖感や転倒する不安感
を抱かせることがあり、更に、車椅子Ａの乗り降りに時
間がかかると、一般乗客が乗降口に殺到し、将棋倒しに
なるおそれがあり、安全上の課題もあった。

【００１９】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、一般乗客及び車椅子を利用した身障者
が、共に安全に乗り降りできるようにした車椅子横乗せ
式踏段付きエスカレーターを提供することを目的とす
る。

【００２０】

【課題を解決するための手段】この発明に係る車椅子横
乗せ式踏段付きエスカレーターは、エスカレーターの一
般乗降口の側部に、車椅子に乗った身障者がエスカレー
ターに真横から乗り降りするための車椅子乗降口を設け
ることにより構成されている。

【００２１】

【作用】この発明に係る車椅子横乗せ式踏段付きエスカ
レーターにおいては、車椅子に乗った身障者は、車椅子
専用の車椅子乗降口から車椅子乗用踏段に横向きの状態
で乗り降りする。

【００２２】

【実施例】図１〜図８は、この発明に係る車椅子横乗せ
式踏段付きエスカレーターの一実施例を示し、図におい
て、前記従来例と同一部分には同一符号を付し、その説
明は省略する。符号２０と２１は通常踏段３と３との間
に昇降方向に並べて配置され、車椅子を乗せる車椅子乗
用踏段である。

【００２３】車椅子乗用踏段２０は上昇時に車椅子乗用
踏段２１の前に位置し、この車椅子乗用踏段２０には操
作機構（図省略）と車止め２０ａが設置され、この車椅
子乗用踏段２０の後に位置する車椅子乗用踏段２１には
可動踏み板（図省略）と車止め２１ａが設置されてい
る。また、通常踏段３及び車椅子乗用踏段２０，２１は
無端状の左右踏段鎖７に連結され、左右踏段鎖７が駆動
機によって駆動されることにより、主枠１内を循環路２
に沿って上昇及び下降走行するように構成されている。

【００２４】符号２２は乗降口付近の左右両側に立設さ
れ、一般乗降口Ｂを構成する第一柱、２３はこの左右第
一柱２２の一方と向かい合って欄干８ａの側部に立設さ
れ、第一柱２２とで車椅子乗降口Ｃを構成する第二柱、
２４と２５は左右第一柱２２にそれぞれ開閉自在に取り
付けられ、一般乗降口Ｂを開閉する扉、２６は第二柱２
３に開閉自在に取り付けられ、扉２５と共に車椅子乗降
口Ｃを開閉する扉である。

【００２５】扉２４は第一柱２２に、扉２６は第二柱２
３にそれぞれ開閉操作機構（図省略）によって自動的に
回転して開閉するように取り付けられ、扉２５は第一柱
２３と共に自動的に９０°回転して開閉するように構成
されている。

【００２６】また、符号２７は第二柱２３に取り付けら
れ、エスカレーターを一般乗客用から車椅子用に切り換
える車椅子運転切替えスイッチ、２８は欄干８の内側に
取り付けられ、エスカレーターを起動させる車椅子運転
起動スイッチ、２９は欄干８の内側に取り付けられ、車
椅子乗降口Ｃの左右扉２５，２６を開く車椅子乗降口開
スイッチである。

【００２７】そして、車椅子運転切替えスイッチ２７を
作動させると、一般乗降口Ｂの左右扉２４，２５が閉
じ、車椅子乗降口Ｃの左右扉２５，２６が開く。また、
車椅子運転起動スイッチ２８を作動させるとエスカレー
ターが作動し、車椅子乗降口開スイッチ２９を作動させ
ると車椅子乗降口Ｃの左右扉２５，２６が開く。

【００２８】尚、車椅子乗降口Ｃの欄干８ａは車椅子６
を車椅子乗用踏段２０，２１の上にエスカレーターの昇
降方向の真横から乗せられるように、車椅子乗用踏段２
０，２１の二段分、反対側の欄干８より短く構成されて
いる。

【００２９】このような構成において、この発明に係る
エスカレーターの運転方法について説明すると、図４は
エスカレーターの通常運転状態を示し、この状態では、
一般乗降口Ｂの左右扉２４，２５は開いており、また、
車椅子乗降口Ｃの左右扉２５，２６は閉じており、一般
乗客は一般乗降口Ｂよりエスカレーターに自由に乗り降
りすることができる。

【００３０】次に、車椅子Ａに乗った身障者又はその介
護者が車椅子運転切替えスイッチ２７を作動させると、
一般乗降口Ｂの左右扉２４，２５は閉じ、エスカレータ
ーが通常運転状態から車椅子運転状態に切り換えられ
る。同時に車椅子乗用踏段２０と２１が車椅子乗降口Ｃ
の真ん前の所定位置に停止し、車止め２０ａ，２１ａが
突出する。また、車椅子乗用踏段２０と２１とが車椅子
Ａを乗せられるように水平状態に連結され、車椅子乗用
状態になる。

【００３１】また、車椅子乗降口Ｃの左右扉２５，２６
が開き、椅子乗用踏段２０と２１の上に車椅子Ａに乗っ
た身障者が横向きに乗り込むことができる。次に、車椅
子運転起動スイッチ２８を作動させると、エスカレータ
ーは車椅子運転状態で上昇走行する。車椅子乗用踏段２
０及び２１は往路２ａの上端部まで上りつめると、前記
従来例と同じ機構によって車椅子運転状態から通常運転
状態にもどり、自動的に停止する。

【００３２】次に、車椅子乗降口開スイッチ２９を作動
させて、車椅子乗降口Ｃの扉２５，２６を開け、エスカ
レーターから降りる。尚、車椅子乗降口Ｃの扉２５及び
２６を開いてから数秒後にブザーがなり、その数秒後に
扉２５及び２６が閉じ、同時に一般乗降口Ｂの左右扉２
４，２５が開き、エスカレーターは通常運転状態に戻
る。尚、実施例では、上昇運転時について説明したが、
下降時も同様の運転となる。

【００３３】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れ、エスカレーターの一般乗降口の側部に、車椅子が真
横からエスカレーターに乗り降りするための車椅子専用
の車椅子乗降口が設けられているので、車椅子に乗った
身障者は、この車椅子専用の車椅子乗降口からエスカレ
ーター（車椅子乗用踏段）にスムーズに乗り降りできる
ので、車椅子に乗った身障者と一般乗客の乗り降りが完
全に分離され、両者共に、安全にエスカレーターに乗り
降りできる効果がある。

【００３４】また、車椅子はエスカレーターに横向きの
状態で乗り降りできるので、車椅子に乗った身障者が高
所による恐怖感を抱くこともないという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る車椅子横乗せ式踏段付きエスカ
レーターの乗降口付近の平面図である。

【図２】図１における側面図である。

【図３】図１における斜視図である。

【図４】通常運転状態を示す図１における平面図であ
る。

【図５】車椅子利用者が乗り降りする状態を示す側面図
である。

【図６】車椅子運転状態を示すエスカレーター全体の断
面図である。

【図７】車椅子利用者がエスカレーターに乗っている状
態を示す側面図である。

【図８】図７における平面図である。

【図９】車椅子横乗せ式踏段付きエスカレーターの従来
例の一例を示すエスカレーター全体の断面図である。

【図１０】従来のエスカレーターの乗降口付近の正面図
である。

【図１１】車椅子利用者がエスカレーターに乗っている
状態を示す側面図である。

【図１２】図１１における平面図である。

【符号の説明】

Ａ 車椅子 Ｂ 一般乗降口 Ｃ 車椅子乗降口 ２０ 車椅子乗用踏段 ２１ 車椅子乗用踏段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状に連結され、循環路を循環運転さ
   れる多数の通常踏段と、この通常踏段の間に連結され、
   前記通常踏段とともに循環運転される複数の車椅子乗用
   踏段と、昇降方向の上下両端部に設置され、一般乗客が
   乗り降りする一般用乗降口とを備えてなる車椅子横乗せ
   式踏段付きエスカレーターにおいて、前記一般乗降口の
   側部に、車椅子に乗った身障者が前記車椅子乗用踏段に
   真横から乗り降りするための車椅子乗降口を設けてなる
   ことを特徴とする車椅子横乗せ式踏段付きエスカレータ
   ー。