JPH07244833A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

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JPH07244833A
JPH07244833A JP3167194A JP3167194A JPH07244833A JP H07244833 A JPH07244833 A JP H07244833A JP 3167194 A JP3167194 A JP 3167194A JP 3167194 A JP3167194 A JP 3167194A JP H07244833 A JPH07244833 A JP H07244833A
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JP
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film
particles
polyester film
spherical silica
polyester
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JP3167194A
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English (en)
Inventor
Kiyohiko Ito
喜代彦 伊藤
Akio Odajima
昭夫 小田嶋
Katsumi Kida
克己 木田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐スクラッチ性、繰り返し使用による走行耐久
性ならびスリット特性に優れ、かつ高画質化の要求にも
合致した磁気記録媒体用ベースフィルムとして有用なポ
リエステルフィルムならびに積層ポリエステルフィルム
を提供することにある。 【構成】体積平均粒子径が0.1〜2.0μmであり、
かつ相対標準偏差が0.3〜1.5で、粒子径の階級幅
H(μm)を下記(2)式で表した時の粒度分布曲線が
1山分布を示す球状シリカ粒子を0.005〜5.0重
量%含有してなるポリエステルフィルムであって、面配
向指数FおよびΔNが下記(3)〜(5)式を同時に満
足することを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルム。 1/TRUNC(n)0.5 ‥‥‥‥‥‥‥(2) [ここでnは、粒子の測定個数、TRUNC(n)0.5
とは、nの平方根で得られた値の少数部分を切り捨てた
時の整数値を示す。] ΔN ≦ 1413−8327×F ‥‥‥‥‥(3) ΔN ≧ 1340−8627×F ‥‥‥‥‥(4) −60≦ΔN≦−10 ‥‥‥‥‥‥‥(5)
[ここで、ΔN=(NMD−NTD)×1000、F=(NMD
TD)/2−nz、ただしNMDは、フィルム長手方向の
屈折率、NTDは、フィルム巾方向の屈折率、nzは、フ
ィルム厚み方向の屈折率を示す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体用ポリエス
テルフィルムならびに磁気記録媒体用積層ポリエステル
フィルムに関する。詳しくは、1/2インチビデオ用テ
ープ、8mmビデオ用テープ、オーディオカセット用テ
ープ、デジタルコンパクトカセット(DCC)用テー
プ、デジタルオーディオテープデッキ(DAT)用テー
プ、QIC等のデータカートリッジ用テープ、ハイビジ
ョン対応ビデオ用テープ、ダブルトラックビデオ(W−
VHS)用テープ等に好適な磁気記録媒体用ポリエステ
ルフィルムならびに磁気記録媒体用積層ポリエステルフ
ィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムを用いた磁気記録
媒体は、磁気媒体製造工程での磁性体塗布・カレンダー
工程などで工程速度の増大にともない、接触するロール
などによってポリエステルフィルム表面に傷がつくとい
う欠点が最近問題となっている。さらに、ビデオテープ
においては、一般家庭での利用頻度の増大や録画済みの
市販テープの普及により、ビデオレコーダー(VTR)
内での繰り返し再生や録画を繰り返すことが多くなり、
テープカセット内のガイドピンなどとの接触摩擦により
フィルム表面に傷が付いたり、あるいは接触摩擦に伴っ
てフィルムより発生した粉状物の脱落などにより映像を
悪化させるなどの問題が発生している。また、磁気記録
媒体、特にはビデオテープなどの磁気テープ製造工程の
最終工程となるスリット時に、フィルムの切り口断面よ
り切り粉が発生し磁気記録時のドロップアウト増大をも
たらしている。これらの問題の解決のためには、フィル
ム表面に傷がつきにくくするとともに、フィルム表面を
粗くして摩擦係数を小さくすることでフィルムの走行性
を良くすることが必要であるが、一方で高画質化の要求
からフィルム表面を平滑にして電磁変換特性を向上させ
ることも必要である。さらには、上記スリット時の切れ
味をフィルム特性に付与することも必要になっている。
これらの相反するフィルム表面特性のジレンマに対して
従来より多くの検討がなされており、たとえば、特開昭
59−171623号公報や特開昭63−234038
号公報では球状シリカ粒子を含有せしめることが、特開
昭61−5431号公報には、コロイダルシリカ等の不
活性無機粒子を含有せしめることなどが提案されてい
る。しかしながら、このような公知の方法をもってして
も上記問題点のすべてを満足させることは難しいという
のが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を改善し、繰り返し使用による走行耐久性に優れ、か
つ磁気記録媒体製造工程におけるスリット特性の改良さ
らには高画質化の要求にも合致した磁気記録媒体用ポリ
エステルフィルムならびに磁気記録媒体用積層ポリエス
テルフィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、体
積平均粒子径が0.1〜2.0μmであり、かつ下記
(1)式で定義される相対標準偏差が0.3〜1.5
で、粒子径の階級幅H(μm)を下記(2)式で表した
時の粒度分布曲線が1山分布を示す球状シリカ粒子を
0.005〜5.0重量%含有してなるポリエステルフ
ィルムであって、面配向指数FおよびΔNが下記(3)
〜(5)式を同時に満足することを特徴とする磁気記録
媒体用ポリエステルフィルムならびに磁気記録媒体用積
層ポリエステルフィルムによって達成される。 相対標準偏差=(Σi=1 →n (Di −DN)2 /n)0.5 /DN‥‥‥(1) ここで、Di :粒子個々の投影面積から求めた面積円相
当径(μm) DN:上記面積円相当径の数平均値 [DN=(Σi=1 →n Di )/n](μm) n:粒子の測定個数を表わす。 1/TRUNC(n)0.5 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) [ここでnは、粒子の測定個数、TRUNC(n)0.5
とは、nの平方根で得られた値の少数部分を切り捨てた
時の整数値を示す。] ΔN ≦ 1413−8327×F‥‥‥‥‥‥‥(3) ΔN ≧ 1340−8627×F‥‥‥‥‥‥‥(4) −60≦ΔN≦−10 ‥‥‥‥‥‥‥(5) [ここで、ΔN=(NMD−NTD)×1000、F=(NMD
TD)/2−nz、ただしNMDは、フィルム長手方向の
屈折率、NTDは、フィルム巾方向の屈折率、nzは、フ
ィルム厚み方向の屈折率を示す。]
【0005】本発明において適用されるポリエステルは
芳香族ジカルボン酸あるいはそのアルキルエステル等の
二官能性成分とグリコール成分として重縮合反応によっ
て製造されるものである。特にこの中でポリエチレンテ
レフタレートを主成分とするものが好ましい。また、本
発明のポリエステルフィルムの基本特性を阻害しない程
度の少量のコポリエステルが混合されていてもよい。該
コポリエステルの共重合成分の例としては2,6ーナフ
タレンジカルボン酸、イソフタル酸等のジカルボン酸成
分、P−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸
成分、およびテトラメチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキ
レングリコール、P−キシリレングリコール、1、4−
シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコー
ル、5−ナトリウムスルホレゾルジン等のジオール成分
が挙げられる。特にこのなかでポリエチレングリコール
等のジオール成分を共重合したコポリエステルとするの
がフィルムの磁気バインダーとの接着性を向上させた
り、静電気等による帯電性を低く保つために好ましい。
【0006】また、本発明のポリエステルフィルムなど
の生産段階で発生する非製品部分などを主体とする回収
ポリエステルを含んでいても良い。さらに、これらのポ
リエステルは、固有粘度が0.5以上であることが好ま
しく、さらには0.55以上であることが好ましい。
【0007】本発明における球状シリカ粒子は、水ガラ
ス法などで製造される合成シリカであり、例えば水ガラ
ス(ケイ酸ナトリウム水溶液)を出発原料とするイオン
交換法等によって合成することができる。特に本発明の
課題の1つであるスリット性の改良のためには、該球状
シリカ粒子の20重量%エチレングリコールスラリーの
25℃における屈折率が1.430、好ましくは1.4
35以上であるとポリエステル中での粒子周りのボイド
の発生が少なくなるだけでなく、スリット性の改良効果
も顕著となるのでより望ましい。
【0008】また、本発明で言う球状とは、粒子の投影
面における最大径と最小径の粒径比(最大径/最小径)
が1.0〜1.3であるものが好ましく、さらには1.
0〜1.1であるものが好ましい。ここで、該粒径比が
1.0の場合は真球であることを示している。該粒径の
範囲を外れると金属ガイド/フィルム間における摩擦が
大きくなり、該ビデオテープをVTR中で繰り返し使用
した場合に走行性が悪化し易くなり、テープ鳴きを起こ
したり、VTR中で走行が止まったりすることがある。
従って、特に、走行時の耐久性を要求されるようなビデ
オテープ用途、たとえば映画等の録画済み市販テープ用
ベースフィルムとしては前記範囲の粒子であることが好
ましい。
【0009】また、球状シリカ粒子の粒径分布の広がり
の尺度となる相対標準偏差は、0.3以上であることが
必要であり、好ましくは0.6を越えること、さらには
0.7を越えることが好ましい。また、1.5以内であ
ることが必要であり、好ましくは1.3以内であること
が望ましい。ここにいう相対標準偏差は、粒子の面積円
相当径から個数単位で求めた標準偏差と数平均径の比で
次式(1)で表わされる◎。
【0010】 相対標準偏差=(Σi=1 →n (Di −DN)2 /n)0.5 /DN‥‥‥(1) ここで、Di :粒子個々の投影面積から求めた面積円相
当径(μm) DN:上記面積円相当径の数平均値 [DN=(Σi=1 →n Di )/n](μm) n:粒子の測定個数を表わす。 球状シリカ粒子の相対標準偏差が前記範囲内にあると、
スリット性、特には連続スリット性が向上し、ビデオテ
ープなどの磁気テープ製造工程の最終工程となるスリッ
ト時において長時間スリット刃を替えなくともフィルム
切り口から発生する切り粉あるいは削れ粉がきわめて少
なく、またフィルム切り口の端部断面の盛り上がりも少
なくなる。本効果の発現は、該工程におけるスリット刃
の摩耗が極めて少なくなることによってもたらされるも
のと考える。特に、該相対標準偏差が1.5、好ましく
は1.3を越えるとフィルム表面のうねりが悪化し磁気
記録媒体としたときのカラーS/N比が悪くなるので好
ましくない。
【0011】さらに、本発明の球状シリカ粒子の粒度分
布曲線が粒子径の階級幅H(μm)を下記(2)式で表
した時に極大点が1山となることが必要である。球状シ
リカ粒子の前記粒度分布曲線において極大点が2山以上
となるとフィルム表面突起の突起分布コントロール性が
著しく低下し、該粒子の添加量の調整により所望のフィ
ルム表面粗さのものを再現よく得ることが困難となるの
で好ましくない。 1/TRUNC(n)0.5 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) [ここでnは、粒子の測定個数、TRUNC(n)0.5
とは、nの平方根で得られた値の少数部分を切り捨てた
時の整数値を示す。]
【0012】また、本発明の球状シリカ粒子の前記粒度
分布曲線が1山でかつ該粒子の粒子径と頻度の関係がロ
ジン・ラムラー分布式(粉体工学会編「粉体物性図説P
87〜88」日経技術図書、昭和61年12月21日第
1版発行に記載)を満足すると該粒子によるフィルム表
面突起分布の再現性がさらに良好となるだけでなく、フ
ィルム表面の平滑性、走行性、削れ性のすべてをバラン
スよく良好に保つことができるのでより好ましい。
【0013】また、本発明の球状シリカ粒子が前記
(1)式で定義される相対標準偏差が0.3〜1.5
で、かつ粒子径の階級幅H(μm)を前記(2)式で表
した時の粒度分布曲線が1山分布となるようにするため
には、前記水ガラスから所定の粒子径の球状コロイダル
シリカを合成する時に成長反応が完結するまでに0.0
1μm以下の微小なシリカ粒子を少なくとも3回以上、
添加時期をずらしながら投入することが有効である。こ
の場合の微小シリカの全投入量は、最終の球状シリカ粒
子量の0.01〜5重量%であることが好ましい。
【0014】本発明において、球状シリカ粒子の体積平
均粒径は、0.1〜2.0μmであることが必要であ
り、好ましくは0.15〜1.0μmが望ましい。該粒
子の体積平均粒径が0.1μmより小さいと摩擦が大き
くなり、ビデオテープとした場合の走行特性が悪くな
る。逆に、2.0μmよりも大きいとビデオテープに代
表される磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となる。ま
た、上記球状シリカ粒子の含有量は、前記ポリエステル
に対して0.005〜5.0重量%とすることが必要で
あり、好ましくは0.01〜2.0重量%、さらには
0.05〜1.0重量%であることが好ましい。該粒子
の含有量が0.005重量%より小さいと摩擦が大きく
なり、ビデオテープとした場合の走行特性が悪くなる。
逆に、5.0重量%よりも大きいとビデオテープに代表
される磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となる。
【0015】本発明において、前記球状シリカ粒子をポ
リエステルに含有せしめる方法は特に限定されないが、
一般には、ポリエステル製造時に該球状シリカ粒子のス
ラリーを添加するのが好ましい。添加方法、添加時期
は、従来公知の方法、時期が用いられるが、添加方法に
おいては、特に該ポリエステルの合成原料であるエチレ
ングリコールのスラリーとして添加する方法が好まし
い。この際のスラリー濃度としては0.5〜40重量
%、さらには1〜20重量%の範囲とするのがポリエス
テル中での粒子分散性が良くなり好ましい。さらに添加
時のスラリーのグリコール中の含有水分量は、1重量%
以下、さらには0.5重量%以下とする方がポリエステ
ル中での粒子分散性が向上するので好ましい。添加時期
は任意でよく、モノマー仕込み時、エステル交換反応時
あるいはその前後に添加してもよいが、特には、エステ
ル交換反応前から重縮合反応の減圧開始までの間に添加
するのが好ましい。また、該粒子のスラリーをポリマー
製造後一軸または二軸のベント式押出し機などを用いて
添加、分散させてもよい。
【0016】また、本発明の効果を阻害しない範囲内で
あれば、他の不活性粒子たとえば二酸化チタン、一酸化
チタン、窒化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウ
ムなどの無機粒子、ならびに有機粒子、内部析出粒子、
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤が通
常添加される程度に含有されていてもよい。
【0017】ここで、前記内部析出粒子は、たとえばポ
リエステル合成時に添加したカルシウム化合物、マグネ
シウム化合物、マンガン化合物、リチウム化合物の少な
くとも一種の化合物とポリエステル構成成分とが結合し
て生成した粒子などが挙げられる。また、該内部析出粒
子中に本発明の効果を阻害しない範囲内でリン元素およ
び微量の他の金属成分、例えば、亜鉛、コバルト、アン
チモン、ゲルマニウム、チタン等が含まれていてもよ
い。
【0018】前記炭酸カルシウム粒子の具体例として
は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウ
ム、コロイド状炭酸カルシウムがある。また、炭酸カル
シウムの結晶タイプとしては、カルサイト、アラゴナイ
ト、バテライトなどが挙げられるがこれらいずれでも良
い。また、これらの炭酸カルシウム粒子は表面処理して
いないものを用いても良い。さらに、分散助剤や凝集防
止剤の使用の有無も特に限定するものではない。
【0019】また、該炭酸カルシウム粒子の製造は公知
の方法によって得られる。例えば、天然の炭酸カルシウ
ムを用いる場合は、石灰石を解砕、粉砕、分級等の操作
により、粗大粒子を減少し、粒度分布を先鋭化したも
の、また、合成炭酸カルシウム粒子の製法としては、石
灰乳の炭酸化反応によって合成されものが挙げられる。
【0020】特に、該炭酸カルシウム粒子の細孔容積が
1.0cm3 /g以下、さらには、0.8cm3 /g以
下であると炭酸カルシウム粒子がち密で強固となり延伸
時において該粒子の破壊に伴うボイドの形成が極めて少
なくなるので、カレンダー加工時における粒子脱落性が
改良され白粉の発生、付着が減少する。さらに、本発明
の球状コロイダルシリカと併用することにより、フィル
ムの耐摩耗特性が良好となるのみならずフィルムの巻き
特性が良好となるのでより好ましい。
【0021】ここで、前記細孔容積(Vp)は、水銀−
ヘリウム法によって求められるもので、具体的には、水
銀ホロシメーターを用いて、1.1気圧の圧力下にて、
比容積(Vm)を求め、次いで、気体吸着装置(ヘリウ
ム使用)にて、定圧容積法の死容積測定で比容積(V
n)を求め、このVmからVnを引くことによって細孔
容積(Vp)として算出される。
【0022】次に、前記有機粒子の具体例としては、ポ
リスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン・
アクリル系もしくはメタクリル系架橋粒子などのビニル
系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒
子、シリコーン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン
粒子、ポリフェニルエステル粒子、フェノール樹脂粒子
などが挙げられるが、これらに限定されるのではなく、
粒子を構成する部分のうち少なくとも一部がポリエステ
ルに対し不溶の有機高分子粒子であれば如何なる粒子で
も良い。
【0023】好ましくは、一般に分子中に1個の脂肪族
の不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋
剤として分子中に2個以上の脂肪族の不飽和結合を有す
る化合物(B)との共重合体が挙げられる。これらの化
合物(A)、化合物(B)はそれぞれ2種以上を混合し
て用いることもできる。また、本発明の目的の1つであ
る走行耐久性を良好とするためには、有機高分子粒子中
の化合物(B)の割合がモノマー換算で10〜95重量
%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは80
〜95重量%であることが望ましい。
【0024】特に、該有機粒子の組成として好ましいも
のを例示すると「スチレン・ジビニルベンゼン共重合
体」、「ジビニルベンゼン・p−および/またはm−エ
チルスチレン共重合体」、「スチレン・ジビニルベンゼ
ン・p−および/またはm−エチルスチレン共重合体」
が挙げられる。特に、該有機粒子と本発明の球状コロイ
ダルシリカと併用した時に、フィルムの耐摩耗特性が良
好となるのみならず磁気記録媒体の磁性層表面のキズが
極めて生じにくくなるのでより好ましい。
【0025】また、本発明の不活性粒子以外にフィルム
表面のキズ付き難さ、すなわち耐スクラッチ特性を付与
する目的で微細な凝集微粒子を併用して含有せしめるこ
とができる。かかる凝集微粒子は5〜50nmの一次粒
子径を有する多数の粒子からなる凝集体であり、例えば
酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどを成分とする
ものが挙げられ、BET法による比表面積が10m2
g以上が好ましく、40m2 /g以上のものがさらに好
ましい。
【0026】また、酸化アルミニウムからなる凝集体微
粒子には、アルファ型、ガンマ型、デルタ型、シータ型
など種種の結晶構造が知られているが、特にシータ型、
デルタ型の結晶構造を有する酸化アルミニウムを含有す
ると優れた耐スクラッチ性が得られる。この理由につい
ては不明であるが、シータ型、デルタ型の結晶構造を有
する酸化アルミニウム粒子がポリエステルとの親和性が
高く、さらにフィルム表面の耐削れ強度を高める働きが
あるのではないかと考えられる。
【0027】シータ型の結晶構造を有する酸化アルミニ
ウムは、例えばみょうばんを炭酸塩中和後熱分解する方
法、アルミニウムアルコキシド法からの熱分解法などで
生成でき、特に熱処理時間、温度などの条件をコントロ
ールすることにより得られる。またデルタ型の結晶構造
を有する酸化アルミニウムは、例えば塩化アルミニウム
を加水分解する方法などで生成できる。
【0028】該凝集体微粒子の併用にあたっては本発明
の効果を阻害しないように、凝集体二次粒子径が0.5
μm以下、望ましくは0.3μm以下の凝集体微粒子を
0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、さら
に好ましくは0.2重量%以下添加することが望まし
い。
【0029】また、該凝集体微粒子は、例えば1〜20
重量%のエチレングリコールスラリーとした後、サンド
グラインダなどによる分散処理、遠心分級処理などによ
る分級処理、および濾過処理などを必要により採用する
ことにより得ることができる。さらに界面活性剤などの
分散剤を併用しても良い。
【0030】本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィ
ルムならびに磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム
は、常法により二軸配向されたものであり、厚みは3〜
50μmであることが好ましく、さらには5〜25μm
の範囲であることが好ましい。
【0031】本発明における削れ指数Kとは、厚み10
〜15μmのフィルムをシェアカッター方式のスリッタ
ーにて50m/分のスリット速度で1/2インチにスリ
ットし、次いで1/2インチにスリット後のフィルム1
mを50ccの純水を入れた容器中に片側の切断面のみ
が浸積するように設置、超音波処理を行なった後、該フ
ィルムサンプルを取り除き浸積液をパーティクルカウン
ターで測定した時の3〜20μmの大きさの粒径を有す
る粒子の個数として定義される。本発明においては、上
記の削れ指数Kが60以下、好ましくは40以下である
ことがビデオテープ再生時のオーディオ特性が特に良好
となるので好ましい。
【0032】また、本発明のポリエステルフィルムなら
びに積層ポリエステルフィルムにおいて面配向指数Fな
らびに厚み方向の屈折率nzが下記(6)および(7)
式を同時に満足する範囲内にあるとスリット性が良好な
り、かつカレンダー工程での削れ性が良好となるだけで
なく、磁気記録媒体の磁性層バインダーとポリエステル
フィルムとの接着性も向上するので好ましい。 nz ≦ 1.603−0.6407×F‥‥‥‥(6) nz ≧ 1.595−0.6407×F‥‥‥‥(7) [ここで、面配向指数Fとは、F=(NMD+NTD)/2
−nzで定義され、NMDは、フィルム長手方向の屈折
率、NTDは、フィルム巾方向の屈折率、nzは、フィル
ムの厚み方向の屈折率を示す。]
【0033】さらに、本発明のポリエステルフィルムな
らびに積層ポリエステルフィルムにおいて前記面配向指
数FならびにΔNが下記(3)〜(5)式を同時に満足
する範囲内にあることが必要である。前記面配向指数F
ならびにΔNが下記(3)〜(5)式の範囲にあると繰
り返し走行時の摩耗特性が良好となるのみならず、前記
スリット時にフィルム端面にヒゲ状物の発生が見られな
くなり、また、ビデオテープ加工時に行われるカレンダ
ー工程においての摩耗粉も発生しにくくなる。 ΔN ≦ 1413−8327×F‥‥‥‥‥‥‥(3) ΔN ≧ 1340−8627×F‥‥‥‥‥‥‥(4) −60≦ΔN≦−10 ‥‥‥‥‥‥‥(5) [ここで、ΔN=(NMD−NTD)×1000、F=(NMD
TD)/2−nz、ただしNMDは、フィルム長手方向の
屈折率、NTDは、フィルム巾方向の屈折率、nzは、フ
ィルム厚み方向の屈折率を示す。]
【0034】ここで、前記ΔNは、NMDを下げることに
よって上昇させることができ、上げることによって下降
させることができる。NMDは、長手方向の延伸倍率を上
げることによって上げることができ、逆に下げることに
より下げることができる。NTDは巾方向の延伸倍率を上
げることによって上げることができ、逆に下げることに
より下げることができる。また、NMDは、長手方向の延
伸温度を下げることにより上げることができ、逆に上げ
ることによって下げることができる。NTDは、巾方向の
延伸温度を下げることにより上げることができ、逆に上
げることによって下げることができる。また、前記面配
向度Fは、延伸時の面積倍率(長手方向の延伸倍率×巾
方向の延伸倍率)を上げることによって上昇させること
ができ、逆に、下げることによって下降させることがで
きる。また、前記面積倍率が同一の場合は、長手方向あ
るいは巾方向の延伸温度を下げることによって上げるこ
とができ、逆に、該温度を上げることによって下げるこ
とができる。また、前記厚み方向の屈折率nzは、延伸
時の面積倍率(長手方向の延伸倍率×巾方向の延伸倍
率)を上げることによって大きくすることができ、逆
に、下げることによって小さくすることができる。ま
た、前記面積倍率が同一の場合は、長手方向あるいは巾
方向の延伸温度を下げることによって大きくすることが
でき、逆に、該温度を上げることによって小さくするこ
とができる。さらに、熱処理温度を高くすることによっ
て大きくすることができ、また、逆に、低くすることに
よって小さくすることができる。
【0035】本発明のポリエステルフィルムの少なくと
も片面が、中心線平均表面粗さ(Ra)が8〜30n
m、かつ三次元平均表面粗さ(SRa)が13〜50n
mであることが好ましく、さらにはRaが12〜25n
mで、SRaは17〜40nmであることが好ましい。
表面粗さが上記範囲内にあると摩擦係数が小さく耐削れ
性が良好で、かつ画質特性も良好がであるため好まし
い。さらに高さが200〜400nmの突起の数が0.
1mm2 あたり1200個以上、さらには1350個以
上、特には1500個以上で、かつ高さが400nm〜
800nmの突起の数が0.1mm2 あたり400個以
下、さらには300個以下、特には200個以下である
ことが好ましい。高さが200〜400nmの突起の数
ならびに高さが400nm〜800nmの突起の数が上
記範囲内であると使用耐久性が特に良好でかつ画質特性
が良好となる。
【0036】本発明のポリエステルフィルムは、単層、
積層どちらのフィルムにも適用できるが、表面平坦性等
の点からは、本発明のポリエステルフィルムを少なくと
も一層配置してなる積層フィルムとすることが好まし
い。積層ポリエステルフィルムとした際の具体的な構成
としては次の組み合わせが望ましい。 ・B/A/B ・B/A/C ・B/A ここで、A;基層部ポリエステルフィルム B、C;積層部ポリエステルフィルム B/Aは基層部のポリエステルフィルムAの片面に、B
/A/Bは、基層部のポリエステルフィルムAの両面に
ポリエステルBが積層されていることを示す。また、A
〜Cは、上記で述べたポリエステルおよび球状シリカ粒
子を含んでいてもよいが、少なくともA層に前述の回収
ポリエステルを利用することが可能であり、また該回収
ポリエステルとしては、末端カルボニル基が30〜50
当量/トン、さらには、30〜40当量/トンであるこ
とが好ましい。
【0037】ここで、基層部のポリエステルフィルムA
は実質的に粒子を含まないポリエステルフィルムであっ
てもよいし、粒子を含んでいても良い。粒子種としては
特に制限されるものでなく、例えば、無機粒子として炭
酸カルシウム、シリカ、カオリン、アルミナ、硫酸バリ
ウム、酸化チタンなどポリエステルに不溶な微細粒子で
も良いし、また、架橋ポリスチレンなどの有機粒子が含
まれていても良い。
【0038】また、積層部のポリエステルフィルムBお
よびCは、表面を形成するものであり、本発明の効果を
実現するためには、少なくとも片面の積層部ポリエステ
ルフィルムについて本発明の粒子を含有したポリエステ
ルフィルムを積層することが好ましい。両面について積
層する場合には、反対面については、本発明の粒子を含
有したポリエステルフィルムに限定されるものではな
く、実質的に粒子を含まないものであっても良いし、本
発明以外の粒子を含有するものであっても良い。さら
に、磁性剤との接着性の改良、帯電防止などのために、
帯電防止剤などの塗布層を設けても良い。
【0039】また、基層部のポリエステルフィルムAに
対する本発明の球状シリカ粒子を含有する積層部のポリ
エステルフィルムの厚さ比率は40%以下であることが
望ましく、また、該球状シリカ粒子の体積平均径に対し
0.2倍から5倍の積層厚みとする場合により効果的で
ある。
【0040】次に本発明のポリエステルフィルムの製造
方法について説明する。まず、本発明の球状シリカ粒子
を所定のポリエステルに含有せしめる方法としては、重
合前、重合中、重合後のいずれに添加してもよいが、ポ
リエステルのジオール成分であるエチレングリコール
に、スラリーとして混合、分散せしめて添加する方法が
本発明における相対標準偏差ならびに粒度分布を得るの
に有効である。また、粒子の含有量を調節する方法とし
ては、高濃度、好ましくは粒子含有量が1.0〜5.0
重量%のマスターペレットを製膜時に稀釈する方法が好
ましい。
【0041】また、エチレングリコールのスラリーを1
40〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分
〜5時間、特に1〜3時間熱処理する方法は、本発明に
おける相対標準偏差ならびに削れ指数Kの望ましい範囲
を得るのに有効である。なお、これ以外の方法、例え
ば、粉末状、もしくはスラリー状態で、溶融押出し機等
を用いて溶融状態にあるポリエステル中に練り込んでも
よい。
【0042】かくして、所定量の球状シリカ粒子を含有
するペレットを十分乾燥したのち、公知の溶融押出機に
供給し、270〜330℃でスリット状のダイからシー
ト状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せし
めて未延伸フィルムを作る。この時、高精度2段瀘過フ
イルターをポリマ流路に設置することが、フィルムにし
たときの粗大突起を減少させるうえで有効である。ここ
でいう高精度2段瀘過フイルターとは、1段目を95%
カットオフ粒径が4〜10μm、2段目を95%カット
オフ粒径が1.5〜5μmのフイルターを直列にならべ
たものであり、95%カットオフ粒径が1段目>2段目
としたものである。ここで、前記積層ポリエステルフィ
ルムにおいては、上記基層部のポリエステルAの少なく
とも片面に積層部のポリエステルB、Cの少なくとも一
種を共押出により積層せしめて未延伸フィルムを作る。
【0043】本発明における積層フィルムとは、該ポリ
エステルA、BおよびCをそれぞれ異なる押出装置で押
出し、口金から積層シートを吐出する前にこれらを共押
し出しにて積層することにより得ることができる。この
積層は、シート状に成形、吐出するための口金内(例え
ばマニホールド)で行っても良いが、前述のごとく積層
厚みが薄いことから、口金に導入する前のポリマ配管内
で行うことが好ましい。特に、ポリマ管内の積層部を、
矩形に形成しておくと、幅方向に均一に積層できるので
とくに好ましい。ポリマ管内矩形積層部で積層された溶
融ポリマは、口金内マニホルドでシート幅方向に所定幅
まで拡幅され、口金からシート状の未延伸フィルムが得
られる。したがって、たとえ二軸配向後の積層ポリエス
テルフィルムが極薄であっても、ポリマ管内矩形積層部
では、積層部ポリマをかなりの厚さで積層することにな
るので、容易にかつ精度良く積層できる。2または3台
の溶融押出機、2または3または5層用の合流ブロック
あるいは口金を用いることにより、B/A/B、B/A
/C、B/A、B/A/B/A/B、B/A/C/A/
Bの積層シートを得ることができる。合流ブロックを用
いる場合は積層部分を前述のごとく矩形のものしておく
ことが本発明の積層ポリエステルフィルムを安定して、
幅方向に斑なく工業的に生産するのに有効である。
【0044】また、上記ポリエステルB、Cの製造にお
いては二軸式押出機を用いて粒子のスラリーと無粒子の
ポリエステルとを混練しながら溶融させ、該押出機に配
したベント孔より真空下でスラリー中の溶媒を留去せし
めながら分散させて本発明の粒子を含有するポリエステ
ルを製造せしめてもよい。
【0045】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を、2段階、特に3段階以上
に分けて、(ポリマのガラス転移点+20℃)〜(ポリ
マのガラス転移点+60℃)の範囲で、3〜4.5倍に
延伸後、幅方向に延伸温度100〜160℃、延伸倍率
3〜5倍に延伸する。次にこの延伸フィルムを熱処理す
る。この場合の熱処理条件としては、150〜230
℃、好ましくは180〜210℃の範囲で0.5〜60
秒間が好適である。この熱処理工程において走行方向、
幅方向ともに、弛緩、微延伸、定長下のいずれかの状態
で行うことができる。
【0046】本発明における特性値は、次の測定方法、
評価基準による。 (1)粒子含有量 フィルムをメタノールで十分洗浄し、表面付着物を取り
除き、水洗して乾燥した300gのサンプルにο−クロ
ロフェノール2.7Kgを加えて撹拌しつつ100℃まで
昇温させ、昇温後さらに1時間そのまま放置してポリエ
ステル部分を溶解させる。ただし、高度に、結晶化して
いる場合などでポリエステル部分が溶解しない場合は、
一度溶解させて急冷した後に前記の溶解操作を行なう。
ついで、ポリエステル中に含有されているゴミなどの粗
大不溶物をG−1ガラスフィルターでろ別し、除去し、
このロ上物の重量を試料重量から差し引く。日立製作所
分離用超遠心機40p型にローターRP30を装備し、
セル1個当りに前記ガラスフィルターろ別後の溶液30
ccを注入後、ローターを4500rpmにて回転さ
せ、回転異常のないことを確認後、ローター中を真空に
し、30000rpmに回転数を上げ、この回転数にて
粒子の遠心分離を行なう。分離の完了はほぼ40分後で
あるが、この確認は必要あれば分離後の液の375mμ
における光線透過率が分離前のそれに比し、高い値の一
定値になることで行なう。分離後、上澄液を傾斜法で除
去し分離粒子を得る。
【0047】分離粒子には分離が不十分なことに起因す
るポリエステル分の混入があり得るので、採取した該粒
子に常温のo−クロロフェノールを加え、ほぼ均一懸濁
後、再び超遠心分離機処理を行なう。この操作は後述の
粒子を乾燥後該粒子を走差型差動熱量分析を行なって、
ポリマに相当する融解ピークが検出できなくなるまで繰
返す必要がある。最後に、このようにして得た分離粒子
を120℃、16時間真空乾燥して秤量する。なお、前
記操作で得られた分離粒子Aにおいてシリカ粒子と内部
析出粒子を含有している場合は、内部粒子量と球状シリ
カ粒子量を別個に求める必要がある。まず、前記分離粒
子Aについて金属分の定量分析を行ない、Ca,Liの
含有量およびCa,Li以外の金属含有量を求めてお
く。次いで、該分離粒子Aを3倍モルのエチレングリコ
ール中で6時間以上還流加熱した後、200℃以上にな
るようにエチレングリコールを留去して解重合すると内
部析出粒子だけが溶解する。残った粒子を遠心分離して
得られた分離粒子Bを乾燥秤量し、球状シリカ粒子量を
求める。また、最初の合計分離粒子量から球状シリカ粒
子量を引いた残りの重量を内部析出粒子量とする。ここ
で、分離粒子Bが球状シリカ粒子以外に炭酸カルシウム
を含有する場合は、分離粒子Bを1Nの硝酸液中で6時
間以上撹拌すると炭酸カルシウム粒子だけが溶解する。
残った粒子を遠心分離して得られた分離粒子Cを乾燥秤
量し、球状シリカ粒子の含有量とする。また、分離粒子
Bの重量から分離粒子Cの重量を引いて炭酸カルシウム
粒子の含有量とする。上記分離粒子Cが球状シリカ粒子
以外にさらに他の不活性粒子たとえば酸化アルミニウム
等を含有する場合は、分離粒子Cを水酸化ナトリウムの
20%水溶液中で6時間以上還流加熱すると球状シリカ
粒子だけが溶解する。残った粒子を遠心分離して得られ
た分離粒子Dを乾燥秤量し、他の不活性粒子(たとえば
酸化アルミニウム)の含有量とする。また、分離粒子C
の重量から分離粒子Dの重量を引いて球状シリカ粒子の
含有量とする。なお、粒子の分離操作が完全に行なわれ
たかを確認するため上記各分離操作後の分離粒子につい
て金属分の定量分析を行ない、これらの操作を繰り返す
ことにより粒子量測定精度を高めることができる。
【0048】(2)球状シリカ粒子の粒径比 フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法で
除去し粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰
化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。
これを走査型電子顕微鏡(エリオニクス社製ESM32
00)で観察し、粒子の画像をイメージアナライザー
(カールツァイス社製IBAS2000)で処理する。
この測定において下式に示した個々の粒子の長・短径比
を求め、これらの値から粒径比「長径/短径の平均値」
を算出する。ただし、個々粒子の粒径比が1.3以下の
もののみを球状シリカとしてカウントし数値処理した。 個々の粒子の長・短径比=D1 /D2 ここでD1 は、長径(最大直径)、D2 は、短径(最短
直径)を示す。◎ 粒径比=Σi=1 →n (D1i/D2i)/N D1i、D2iは個々の粒子それぞれの長径(最大直径)、
短径(最短直径)、Nはカウントされた粒子数である。
【0049】(3)球状シリカ粒子の相対標準偏差 上記(2)の測定においてカウントされた粒子について
それぞれの面積円相当径を求め、観察箇所を変えて粒子
数5000個以上で次の数値処理を行なうことによって数平
均径DNを下式にて求める。 DN=Σi=1 →n Di /N ここで、Di は粒子の面積円相当径、Nはカウントした
粒子数である。次いで、Di 、数平均径DN、粒子数N
から計算される標準偏差σ(={ Σi=1 →n (Di −D
N)2 /N} 0.5 )を数平均径DNで割った値(σ/D
N)を相対標準偏差とした。
【0050】(4)球状シリカ粒子の体積平均径 上記(3)の測定においてカウントされた粒子について
下式より体積平均径Vを求める。 V=(Σi=1 →n Di 3 /N)1/3 ここで、Di は粒子の面積円相当径、Nはカウントした
粒子数である。
【0051】(5)球状シリカ粒子以外の他の不活性粒
子の体積平均径 上記(1)にておいて分離した不活性粒子をメタノール
に分散させ、遠心沈降式粒度分布測定機(堀場製作所製
CAPA500)で測定して求めたストークス径の累積
分布曲線における中央累積値(50体積%)を体積平均
径とした。
【0052】(6)球状シリカ粒子の粒度分布曲線 上記(3)の測定においてカウントされた粒子につい
て、下式(2)により階級幅(μm)を求め、横軸に階
級幅によって代表される粒子径をとり、縦軸に前記階級
幅の級中値において代表される粒度を有する粒子個数を
とり、各級中値の頂点を結ぶことによって粒度分布曲線
が得られる。 1/TRUNC(n)0.5 ‥‥‥‥‥‥‥(2) [ここでnは、粒子の測定個数、TRUNC(n)0.5
とは、nの平方根で得られた値の少数部分を切り捨てた
時の整数値を示す。]
【0053】(7)削れ指数K 厚み15μmのフィルムを西村製作所製シェアカッター
にてにて50m/分のスリット速度で1/2インチにス
リットし、次いで1/2インチにスリット後のフィルム
試料1mを50ccの純水を入れた容器中にフィルム試
料の片側の切断面のみが浸積するように設置、超音波処
理を行なった後、該フィルム試料を取り除き浸積液をパ
ーティクルカウンター(HIAC/ROYCO;CL−
5)で測定した時の3〜20μmの大きさの粒子個数を
削れ指数Kとした。
【0054】(8)厚さ方向の屈折率nz ナトリウムD線(波長589nm)を光源としてアッベ
屈折率計を用いて、二軸配向フイルムの厚さ方向の屈折
率nzとする。マウント液にはヨウ化メチレンを用い、
25℃、65%RHにて測定した。
【0055】(9)面配向指数FおよびΔN ナトリウムD線(波長589nm)を光源としてアツベ屈
折率計を用いて、二軸配向フィルムの厚さ方向の屈折率
nzおよびフィルム長手方向の屈折率NMD、フィルム巾
方向の屈折率NTDからΔN=(NMD−NTD)×1000、F
=(NMD+NTD)/2−nzより求めた。マウント液に
はヨウ化メチレンを用い、25℃、65%RHにて測定
した。
【0056】(10)フィルム表面の突起数および三次
元表面粗さ(SRa) フィルムの測定面をアルミニウムで厚み0.10±0.
05μmに蒸着したうえで小坂研究所の非接触表面粗さ
計HIPOSS(型式ET−30HK)および三次元粗
さ解析装置(型式SPA−11)を用いて三次元粗さを
測定した。条件は下記の通りであり、5回の測定の平均
値をもって値とした。 ・検出器 :光触針ハイポス ・縦倍率 :2万倍 ・横倍率 :500倍 ・カットオフ :0.08mm ・送りピッチ :0.5μm ・測定長 :500μm ・測定面積 :0.0199mm2 ・測定速度 :100μm/秒 ・HYST :±6.25nm ・COUNT MODE:SIMPLE ・Z基準 :UPPER 突起高さは、切断面による切り口の面積率が70%にな
る切断面を基準とし高さを算出した。上記条件で測定し
た高さ200〜400nmおよび400〜800nmの
突起の数を、それぞれの個/0.1mm2 に換算した。
SRaは三次元平均表面粗さ(中心面平均粗さ)であ
る。
【0057】(11)中心線平均表面粗さ(Ra) JIS−B−0601に従い小坂研究所製触針型表面粗
さ計SE−3FAを用いて、中心線平均表面粗さ(R
a)を測定した。条件は、下記の通りであり、20回の
測定値の平均値をもって値とした。 ・検出器 :PUDA5 ・縦倍率 :50000倍 ・カットオフ :0.25mm ・測定長 :4mm ・測定速度 :500μm/秒
【0058】(12)画質、耐スクラッチ性、使用耐久
性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビアロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型カレ
ンダー装置(スチロール・ナイロンロール、5段)で温
度70℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理後、
60℃で48時間キュアリングする。この原反を1/2
インチにスリットし、パンケーキを作成した。このパン
ケーキをローダーにてVTRカセットに組み込み、VT
Rカセットテープとした。 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2 /g):100重
量部 ・エスレックA(積水化学性塩化ビニル/酢酸ビニル共
重合体):10重量部 ・ノッポラン2304(日本ウレタン性ポリウレタンエ
ラストマ):10重量部 ・コロネートL(日本ウレタン性ポリイソシアネー
ト):5重量部 ・レシチン :1重量部 ・メチルエチルケトン :75重量部 ・メチルイソブチルケトン :75重量部 ・トルエン :75重量部 ・カーボンブラック :2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このテープを家庭用VTR(パナソニックNV−FS8
00)を用いてシバソク製のテレビ試験波形発生器(T
G7/U706)により100%クロマ信号を記録し、
その再生信号からシバソク製カラーノイズ測定機(92
5D/1)でクロマS/Nを測定し画質を判定した。さ
らに、このテープを家庭用VTR(パナソニックNV−
FS800)を用いてシバソク製のテレビ試験波形発生
器(TG7/U703によりカラーバー信号を記録し、
その再生信号からシバソク製ドロップアウトカウンター
(VH01CZ)で5μsec−16dBより大きいも
のをドロップアウトとして数えた。次に、このVTRカ
セットを家庭用VTR(パナソニックNV−FS80
0)に組み込み、繰り返し走行(再生/高速巻き戻し)
を100回繰り返し、同様にその再生信号からシバソク
製カラーノイズ測定機(925D/1)でクロマS/N
を測定し画質を判定し、また、シバソク製ドロップアウ
トカウンター(VH01CZ)で5μsec−16dB
より大きいものをドロップアウトとして数えた。さらに
繰り返し走行実施後のVTRカセットガイドピンへの白
粉削れ、フィルム削れ量により耐スクラッチ性を判定し
た。ここで、ドロップアウト増加率は下記式で定義され
る値である。ドロップアウト増加率=(繰り返し走行後
のドロップアウト数−繰り返し走行前のドロップアウト
数)/(繰り返し走行前のドロップアウト数)×100
(%)
【0059】これらの判定基準は下記の通りであり、画
質、耐スクラッチ性、ドロップアウト増加率のいずれも
ランク4以上であれば、実用上問題のないレベルであ
る。
【0060】判定ランク S/N(画質) フィルム削れ(耐スクラッチ) 5 優良、画質極めて良好 ガイドピンの汚れほとんどなし 4 良好、ほとんど問題なし 僅かに白粉汚れがあり 3 画質の乱れがあり 削れ物汚れあり 2 画質の乱れが大きい 削れ物汚れ多い 1 画質不良 削れ物汚れ、白粉付着大
【0061】
【0062】(13)スリット性の評価 厚さ15μmのポリエステルフイルムの片面に下記組成
の磁性塗布液を、乾燥後膜厚が3μmとなるようにコー
ティングする。 コーティング後、直流磁場中で配向処理し、乾燥した
後、カレンダー加工を施す。このシートをシェアーカッ
ターで1/2インチ幅にスリットしてビデオテープとす
る。このシェアーカッターによるスリット箇所を目視観
察して、ヒゲや粉の発生具合の程度を次の5等級に分け
て評価する。 (注)なお、現在市販されているビデオテープ用二軸配
向ポリエステルフイルムのスリット性のレベルは、ほと
んどがCまたはDである。
【0063】(14)積層部および基層部の厚み (a)積層部の厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS:ATOMIKA社
製A−DIDA3000)を用いて下記条件にて、積層
中の粒子の内、最も高濃度の粒子に起因する元素とポリ
エステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度
とし、積層ポリエステルフィルムの表面から深さ(厚
さ)方向の分析を行う。表層では表面という界面のため
に粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は
高くなる。本発明の積層フィルムの場合は深さ[I]で
いったん極大値[MAX]となった粒子濃度がまた減少
し一定値[M]に収束する。ここで、粒子濃度が([M
AX]+[M])/2となる深さ[J](ここでJ>
I)を積層部の厚みとした。 1次イオン種:O2 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:120nA テスター領域:400μm 分析領域:ゲート30% 測定真空度:1.0×10-8torr E−GUN:0.4KV−3.0A
【0064】(b)基層部の厚み フィルムの全厚みを公知の方法、例えばダイアルゲージ
法、光干渉法、重量法によって求める。このフィルムの
全厚みから、積層部厚みを引くことによって基層部厚み
とした。
【0065】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。 参考例 ポリエステルの調製 テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重
量部を混練しスラリーを調整した。反応器に245℃で
貯留したテレフタル酸50重量部とエチレングリコール
21.5重量部の反応物中に該スラリーを一定速度で連
続的に添加し、常圧下245℃でエステル交換反応を行
い生成する水を精留塔から連続的に系外に留出させた。
該スラリーの供給時間は3時間30分で終了しエステル
交換反応は4時間で終了した。得られた反応物からテレ
フタル酸100重量部に相当するエステル化反応物を重
合装置に移しリン酸0.045重量部、三酸化アンチモ
ン0.023重量部、および体積平均粒径0.18μ
m、粒径比1.1、相対標準偏差0.76で粒度分布曲
線の極大値が1山の水ガラス法で合成した球状シリカ粒
子2.4重量部をエチレングリコールスラリーとして添
加し、常法に従って重縮合反応した。この際、球状シリ
カ粒子を含有するエチレングリコールスラリーをエチレ
ングリコールの沸点下で10分間加熱処理した。こうし
て得られたポリマは固有粘度0.615を有し、球状シ
リカ粒子2重量部を含有していた。また、該球状シリカ
粒子のエチレングリコールスラリー中での屈折率は、
1.440であった。(ポリエステルA) また、上記ポリエステルAと同様の方法で球状シリカ粒
子を添加しないで無粒子のポリマを得た。得られたポリ
マの固有粘度は0.620であった。(ポリエステル
B)
【0066】実施例1 このようにして得られたポリエステルA、ポリエステル
Bを最終的なポリエステルフィルム中の球状シリカ粒子
含有量が0.7重量%となるように所定量混合したペレ
ットEを180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)し、積層
部原料とした。さらに、別に基層部原料として固有粘度
0.63のポリエチレンテレフタレート原料を準備し、
積層部原料と同様に180℃で3時間減圧(3Torr)乾
燥した。基層部を押出機1に供給し310℃、さらに積
層部原料を押出機2に供給し280℃で溶融した。これ
らのポリマを矩形積層部を備えた合流ブロックで口金に
入る前に合流積層し静電印加キャスト法を用いて表面温
度45℃のキャスティング・ドラムに巻き付けて冷却固
化し、基層部ポリエステルAの両面にポリエステルBを
積層した3層構造の未延伸フィルムを作った。この時、
それぞれの押出機の吐出量を調節し、総厚さおよび積層
厚さを調節した。
【0067】この未延伸フィルムを図1のロール温度を
ロール1およびロール2を75℃、ロール3およびロー
ル4を115℃、ロール5を126℃、ロール6を12
6℃、ロール7を118℃とし、ロール5/ロール6間
で1.6倍、ロール6/ロール7間で1.3倍、ロール
7/ロール8間で2.1倍となるように各ロールの周速
差を調整しタテ方向に延伸した。この一軸フィルムをス
テンタ内で120℃の熱風下にヨコ方向に4.6倍延伸
し、さらに1.03倍の微延伸下で、205℃の熱風に
て5秒間熱処理し、厚さ15μmの二軸配向フィルムを
得た。この時の二軸配向フィルムの最終の走行速度は1
60m/分であった。
【0068】得られた二軸配向フィルムの特性の測定・
評価結果を表1、表2に示した。表1、表2においてΔ
Nは−41、面配向指数Fは0.1689、厚み方向の
屈折率nzは1.491、TD方向(フィルムの走行方
向に垂直な方向)のF−5値は14.3kg/mm2
あり、また削れ指数Kは29、平均表面粗さRaは、1
5nmであり、いずれも本発明の範囲内にあった。ま
た、表1、表2の結果から明らかなように、ドロップア
ウト増加率、S/N比(画質)特性、フィルム削れ、ス
リット性のいずれにも優れていることがわかる。
【0069】実施例2〜3 球状シリカのポリエステルフィルム中の含有量を0.9
0重量%(実施例2)、1.50重量%(実施例3)と
した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特
性の測定・評価結果を表1、表2に示した。表1、表2
の結果から明らかなように実施例2〜3の各フィルム
は、S/N比(画質)特性、フィルム削れ、スリット性
のいずれにも優れていることがわかる。
【0070】実施例4 図1のロール7/ロール8間の延伸倍率が2.3倍とな
るように調整する以外は、実施例1と同様の方法にて二
軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向
フィルムの特性の測定・評価結果を表1、表2に示し
た。表1、表2の結果から明らかなように実施例4のフ
ィルムは、S/N比(画質)特性、フィルム削れ、スリ
ット性のいずれにも優れていることがわかる。
【0071】実施例5 図1のロール5およびロール6の温度を131℃とし、
ロール7/ロール8間の延伸倍率が2.3倍となるよう
に調整する以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向フィル
ムの特性の測定・評価結果を表1、表2に示した。表
1、表2の結果から明らかなように実施例5のフィルム
は、S/N比(画質)特性、フィルム削れ、スリット性
のいずれにも優れていることがわかる。
【0072】実施例6 図1のロール5およびロール6の温度を125℃とし、
ヨコ方向の延伸倍率を4.8倍とする以外は、実施例1
と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。得られた二軸配向フィルムの特性の測定・評価結果
を表1、表2に示した。表1、表2の結果から明らかな
ように実施例6のフィルムは、S/N比(画質)特性、
フィルム削れ、スリット性のいずれにも優れていること
がわかる。
【0073】実施例7 図1のロール5およびロール6の温度を123℃とする
以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステ
ルフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性の
測定・評価結果を表1、表2に示した。表1、表2の結
果から明らかなように実施例7のフィルムは、S/N比
(画質)特性、フィルム削れ、スリット性のいずれにも
優れていることがわかる。
【0074】実施例8 ヨコ方向の延伸倍率を4.3倍とする以外は、実施例1
と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。得られた二軸配向フィルムの特性の測定・評価結果
を表1、表2に示した。表1、表2の結果から明らかな
ように実施例8のフィルムは、S/N比(画質)特性、
フィルム削れ、スリット性のいずれにも優れていること
がわかる。
【0075】実施例9 体積平均粒径0.20μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.99で粒度分布が1山の水ガラス法で合成した球
状シリカ粒子を用いる以外は、実施例1と同様の方法に
て二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸
配向フィルムの特性の測定・評価結果を表1、表2に示
した。表1、表2の結果から明らかなように実施例9の
フィルムは、S/N比(画質)特性、フィルム削れ、ス
リット性のいずれにも優れていることがわかる。
【0076】実施例10 体積平均粒径0.50μm、粒径比1.05、相対標準
偏差0.76で粒度分布が1山の水ガラス法で合成した
球状シリカ粒子を用い、ポリエステルフィルム中の含有
量を0.20重量%とした以外は、実施例1と同様の方
法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、該
球状シリカ粒子のエチレングリコール20重量%スラリ
ーの25℃における屈折率は、1.440であった。得
られた二軸配向フィルムの特性の測定・評価結果を表
1、表2に示した。表1、表2の結果から明らかなよう
に実施例10のフィルムは、S/N比(画質)特性、フ
ィルム削れ、スリット性のいずれにも優れていることが
わかる。
【0077】実施例11 体積平均粒径1.39μm、粒径比1.05、相対標準
偏差0.78で粒度分布が1山の水ガラス法で合成した
球状シリカ粒子を用い、ポリエステルフィルム中の含有
量を0.20重量%とした以外は、実施例1と同様の方
法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、該
球状シリカ粒子のエチレングリコール20重量%スラリ
ーの25℃における屈折率は、1.439であった。得
られた二軸配向フィルムの特性の測定・評価結果を表
1、表2に示した。表1、表2の結果から明らかなよう
に実施例11のフィルムは、S/N比(画質)特性、フ
ィルム削れ、スリット性のいずれにも優れていることが
わかる。
【0078】比較例1 体積平均粒径0.18μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.17のアルコキシド法で合成した球状シリカ粒子
を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。また、該球状シリカ粒子の
エチレングリコール20重量%スラリーの25℃におけ
る屈折率は、1.425であった。得られた二軸配向フ
ィルムの特性の測定・評価結果を表3、表4に示した。
表3、表4の結果から明らかなように比較例1のフィル
ムは、スリット性に劣っていることがわかる。
【0079】比較例2 体積平均粒径0.55μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.19のアルコキシド法で合成した球状シリカ粒子
を用いる以外は、実施例10と同様の方法にて二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。また、該球状シリカ粒子
のエチレングリコール20重量%スラリーの25℃にお
ける屈折率は、1.425であった。
【0080】得られた二軸配向フィルムの特性の測定・
評価結果を表3、表4に示した。表3、表4の結果から
明らかなように比較例2のフィルムは、スリット性に劣
っていることがわかる。
【0081】比較例3 体積平均粒径2.5μm、粒径比1.05、相対標準偏
差0.69の水ガラス法で合成した球状シリカ粒子を用
いる以外は、実施例10と同様の方法にて二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの
特性の測定・評価結果を表3、表4に示した。表3、表
4の結果から明らかなように比較例3のフィルムは、電
磁変換特性(S/N比)、フィルム削れ(耐スクラッ
チ)のいずれも劣っていることがわかる。
【0082】比較例4 体積平均粒径0.04μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.78の水ガラス法で合成した球状シリカ粒子を用
い、ポリエステルフィルム中の含有量を0.90重量%
とする以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの
特性の測定・評価結果を表3、表4に示した。表3、表
4の結果から明らかなように比較例4のフィルムは、フ
ィルム削れ(耐スクラッチ)に劣っていることがわか
る。
【0083】比較例5 体積平均粒径0.55μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.58の水ガラス法で合成した球状シリカ粒子を用
い、ポリエステルフィルム中の含有量を5.2重量%と
する以外は、実施例10と同様の方法にて二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。ただし、参考例における、球
状シリカ粒子添加量を6.0重量部とした。得られた二
軸配向フィルムの特性の測定・評価結果を表3、表4に
示した。表3、表4の結果から明らかなように比較例5
のフィルムは、電磁変換特性(S/N比)、フィルム削
れ(耐スクラッチ)のいずれも劣っていることがわか
る。
【0084】比較例6 体積平均粒径0.55μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.58の水ガラス法で合成した球状シリカ粒子を用
い、ポリエステルフィルム中の含有量を0.004重量
%とする以外は、実施例10と同様の方法にて二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向フィル
ムの特性の測定・評価結果を表3、表4に示した。表
3、表4の結果から明らかなように比較例6のフィルム
は、フィルム削れ(耐スクラッチ)に劣っていることが
わかる。
【0085】比較例7〜8 体積平均粒径0.18μm、粒径比1.1、相対標準偏
差0.77、粒度分布曲線において0.22μmと0.
73μmに2つのピークを有する2山分布の水ガラス法
で合成した球状シリカ粒子(比較例7)ならび体積平均
粒径0.18μm、粒径比1.1、相対標準偏差0.7
6、粒度分布曲線において0.13μm、0.22μ
m、0.82μmに3つのピークを有する3山分布の水
ガラス法で合成した球状シリカ粒子(比較例8)を用い
る以外は、実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性
の測定・評価結果を表3、表4に示した。表3、表4の
結果から明らかなように比較例7と8のフィルムは、体
積平均粒子径、粒径比、粒子径の相対標準偏差などの粒
子特性がほぼ同じであるにもかかわらず表面粗さが大き
く異なっており、特定の表面粗さのフィルムを該粒子の
添加量等の調整などで再現性よく製造することが困難と
なりフィルムの表面設計が極めて難しくなる。また表
3、表4の結果から明らかなように電磁変換特性、削れ
性、走行性のバランスも悪化する。
【0086】比較例9 図1のロール7/ロール8間の延伸倍率が2.4倍とな
るように調整する以外は、実施例1と同様の方法にて二
軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向
フィルムの特性の測定・評価結果を表3、表4に示し
た。表3、表4の結果から明らかなように比較例9のフ
ィルムはスリット性が劣っていることがわかる。
【0087】比較例10 図1のロール5およびロール6の温度を122℃とし、
ロール7/ロール8間の延伸倍率が2.1倍、ヨコ方向
の延伸倍率を4.6倍となるように調整する以外は、実
施例10と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィル
ムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性の測定・評
価結果を表3、表4に示した。表3、表4の結果から明
らかなように比較例10のフィルムは、ドロップアウト
増加率、スリット性に劣っている。
【0088】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0089】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムならびに
積層ポリエステルフィルムは、スクラッチ性、スリット
性がともに優れたものであり、高速で走行してもフイル
ムに傷がつきにくいため、各用途でのフイルム加工速度
の増大に対応できるものである。また、ビデオテープと
した時、繰り返し使用してもS/N、すなわち、画質が
低下しにくいフイルムが得られたものである。本発明の
磁気記録媒体用ポリエステルフイルムの用途は特に限定
されないが、加工工程でのフィルム表面の傷が製品性能
上特に問題となるバックコートのないハイグレードタイ
プのビデオテープ用ベースフィルム、さらにビデオソフ
トの普及にともなうパンケーキ用ベースフィルムとして
特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】タテ延伸装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1:硬質クロムメッキ金属ロール、 2〜6:シリコーンゴム被覆の金属ロール、 7:鏡面仕上げのセラミックロール、 8および9:硬質クロムメッキ金属ロール、 11および14:ゴムロール、 12および13:シリコーンゴム被覆の金属ロール、 10:フィルム。フィルムはロール1からロール9に向
かって走行し延伸される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 KJS // B29K 67:00 105:16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体積平均粒子径が0.1〜2.0μmであ
    り、かつ下記(1)式で定義される相対標準偏差が0.
    3〜1.5で、粒子径の階級幅H(μm)を下記(2)
    式で表した時の粒度分布曲線が1山分布を示す球状シリ
    カ粒子を0.005〜5.0重量%含有してなるポリエ
    ステルフィルムであって、面配向指数FおよびΔNが下
    記(3)〜(5)式を同時に満足することを特徴とする
    磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。 相対標準偏差=(Σi=1 →n (Di −DN)2 / n)0.5 / DN‥‥‥(1) ここで、Di :粒子個々の投影面積から求めた面積円相
    当径(μm) DN:上記面積円相当径の数平均値 [DN=(Σi=1 →n Di )/n](μm) n:粒子の測定個数を表わす。 1/TRUNC(n)0.5 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) [ここでnは、粒子の測定個数、TRUNC(n)0.5
    とは、nの平方根で得られた値の少数部分を切り捨てた
    時の整数値を示す。] ΔN ≦ 1413−8327×F ‥‥‥‥‥‥‥(3) ΔN ≧ 1340−8627×F ‥‥‥‥‥‥‥(4) −60≦ΔN≦−10 ‥‥‥‥‥‥‥(5) [ここで、ΔN=(NMD−NTD)×1000、F=(NMD
    TD)/2−nz、ただしNMDは、フィルム長手方向の
    屈折率、NTDは、フィルム巾方向の屈折率、nzは、フ
    ィルム厚み方向の屈折率を示す。]
  2. 【請求項2】体積平均粒子径が0.1〜2.0μmであ
    り、かつ前記(1)式で定義される相対標準偏差が0.
    3〜1.5で、粒子径の階級幅H(μm)を前記(2)
    式で表した時の粒度分布曲線が1山分布を示す球状シリ
    カ粒子を0.005〜5.0重量%含有するポリエステ
    ルフィルム(B)が厚さ3μm以上のポリエステルフィ
    ルム(A)の少なくとも片面に一層積層されており、か
    つ面配向指数FならびにΔNが前記(3)〜(5)式を
    同時に満足することを特徴とする磁気記録媒体用積層ポ
    リエステルフィルム。
  3. 【請求項3】球状シリカ粒子のエチレングリコール中に
    おける屈折率が1.430以上であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ポリエステル
    フィルム。
  4. 【請求項4】削れ指数Kが60以下であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体
    用ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114341264A (zh) * 2019-08-29 2022-04-12 东丽株式会社 聚酯组合物及聚酯纤维

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020180195A (ja) * 2019-04-24 2020-11-05 旭化成株式会社 成形体
CN114341264A (zh) * 2019-08-29 2022-04-12 东丽株式会社 聚酯组合物及聚酯纤维
CN114341264B (zh) * 2019-08-29 2023-08-04 东丽株式会社 聚酯组合物及聚酯纤维

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