JPH07242820A - 高温時の物性が改良された樹脂組成物 - Google Patents

高温時の物性が改良された樹脂組成物

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JPH07242820A
JPH07242820A JP3688794A JP3688794A JPH07242820A JP H07242820 A JPH07242820 A JP H07242820A JP 3688794 A JP3688794 A JP 3688794A JP 3688794 A JP3688794 A JP 3688794A JP H07242820 A JPH07242820 A JP H07242820A
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啓造 高浜
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ガラス転移温度が350℃以下の有機溶剤に
可溶なポリイミド樹脂100重量部に対して、1分子中
に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化
合物5〜100重量部、エポキシ化合物と反応可能な活
性水素基を有する化合物0.1〜20重量部を主たる成
分として含有していることを特徴とする耐熱性樹脂組成
物。 【効果】 耐熱性と成形加工性に優れた耐熱性樹脂組成
物を得ることができ、特に高信頼性と耐熱性を要求する
エレクトロニクス用材料として工業的に極めて利用価値
が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れ、かつ有
機溶剤に可溶で成形加工性に優れた耐熱性樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、耐熱性が高く難燃性
で電気絶縁性に優れていることからフィルムとしてフレ
キシブル印刷配線板や耐熱性接着テープの基材に、樹脂
ワニスとして半導体の層間絶縁膜、表面保護膜に広く使
用されている。しかし、従来のポリイミド樹脂は吸湿性
が高く、耐熱性に優れている反面不溶不融であったり融
点が極めて高く、加工性の点で決して使いやすい材料と
はいえなかった。また半導体の実装材料として層間絶縁
膜、表面保護膜などに使用されているが、これらは有機
溶剤に可溶なポリイミド樹脂の前駆体ポリアミック酸を
半導体表面に塗布し、加熱処理によって溶剤を除去する
と共にイミド化して用いている。この時、イミド化を完
全に進めるために、また高沸点のアミド系溶剤を揮散さ
せるために300℃以上の高温乾燥工程を必要とする。
このため高温にさらされ、他に使用する部材の熱損傷や
素子の劣化を招きアセンブリ工程の収率を劣化させる。
また、皮膜の吸湿性が高いため、高温時に吸収した水分
が一気に蒸発して膨れやクラックの原因となるなどの問
題があった。
【0003】前記の欠点を改良する方法として、有機溶
剤に可溶で既にイミド化されたポリイミド樹脂組成物か
らフィルム状接着剤を形成し、これを被着体に熱圧着す
る方法等が提案されている(特開平5−105850、
112760、112761号公報を参照)。しかしな
がら、ポリイミド樹脂をホットメルト型の接着剤として
使用するこの様な場合、ポリイミド樹脂のガラス転移温
度が高いと加工に非常な高温を要し被着材に熱損傷を与
える恐れが大きい。一方、低温加工性を付与するためポ
リイミド樹脂のガラス転移温度を下げるとポリイミド樹
脂の耐熱性という特徴を十分に生かすことができないと
いう問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性に優
れ、かつ低温での成形加工性の優れた耐熱性樹脂を得る
べく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリイミド樹脂
にエポキシ化合物および該エポキシ化合物と反応可能な
活性水素基を有する化合物を添加すると、上記課題が解
決できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱性樹脂組成
物は、ガラス転移温度が350℃以下の有機溶剤に可溶
なポリイミド樹脂100重量部に対して、1分子中に少
なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
5〜100重量部、該エポキシ化合物と反応可能な活性
水素基を有する化合物0.1〜20重量部を主たる成分
として含有していることを特徴とする耐熱性樹脂組成物
である。
【0006】本発明のポリイミド樹脂は、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、及びエチ
レングリコールビストリメリット酸二無水物からなる群
より選ばれた1種または2種以上のテトラカルボン酸二
無水物と芳香族ジアミンとを重合させることにより得ら
れたものであることが好ましい。
【0007】前記ポリイミドの製造に用いられる芳香族
ジアミンとして、例えば、2,2−ビス(4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロ
プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキ
サフルオロプロパン、ビス−4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニルスルホン、ビス−4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニルスルフォンなどを挙げることができ、そ
れらを単独、あるいは併用して使用することができる。
【0008】また前記ポリイミドのジアミン成分の一成
分として式(1)であらわされるシロキサン化合物をジ
アミン成分総量の5〜50モル%用いることがより好ま
しい。
【0009】
【化1】 (式中、R1,R2:二価の、炭素数1〜4の脂肪族基ま
たは芳香族基 R3,R4,R5,R6:一価の脂肪族基または芳香族基 k:1〜20の整数)
【0010】式(1)であらわされるシロキサン化合物
が、ジアミン成分の総量の5モル%より少ないと有機溶
剤への溶解性が低下し、50モル%を越えるとガラス転
移温度が著しく低下し耐熱性に問題が生じる。さらに、
一般式(1)で表されるシロキサン化合物として具体的
には、下記一般式(2)で表されるα,ω−ビス(3−
アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)
が好ましく、特にkの値が4〜10の範囲が、ガラス転
移温度、接着性、耐熱性の点から好ましい。これらのシ
ロキサン化合物は単独で用いることは勿論、2種類以上
を併用することもできる。特にk=1と上記k=4〜1
0のものをブレンドして用いることは接着性を重視する
用途では好ましい。
【0011】
【化2】 (式中、k:1〜20の整数)
【0012】重縮合反応における酸成分とアミン成分の
当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する
重要な因子である。ポリマの分子量と物性、特に数平均
分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られ
ている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れて
いる。従って、実用的に優れた強度を得るためには、あ
る程度高分子量であることが必要である。本発明では、
酸成分とアミン成分の当量比rが 0.900 ≦ r ≦ 1.06 より好ましくは、 0.975 ≦ r ≦ 1.025 の範囲にあることが好ましい。ただし、r=[全酸成分
の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが
0.900未満では、分子量が低くて脆くなるため接着
力が弱くなる。また1.06を越えると、未反応のカル
ボン酸が加熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因とな
り好ましくないことがある。ポリイミド樹脂の分子量制
御のため、ジカルボン酸無水物あるいはモノアミンを添
加することは、上述の酸/アミンモル比の範囲であれば
特にこれを妨げない。
【0013】テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの
反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われ
る。非プロトン性極性溶媒は、N,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(D
MAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テ
トラヒドロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキ
サノン、1,4−ジオキサン(1,4−DO)などであ
る。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いてもよい
し、二種類以上を混合して用いてもよい。この時、上記
非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合
して使用しても良い。トルエン、キシレン、ソルベント
ナフサなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶
媒における非極性溶媒の割合は、30重量%以下である
ことが好ましい。これは非極性溶媒が30重量%以上で
は溶媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れ
があるためである。テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンとの反応は、良く乾燥したジアミン成分を脱水精製し
た前述反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好
ましくは99%以上の良く乾燥したテトラカルボン酸二
無水物を添加して反応を進める。
【0014】このようにして得たポリアミック酸溶液を
続いて有機溶剤中で加熱脱水環化してイミド化しポリイ
ミドにする。イミド化反応によって生じた水は閉環反応
を妨害するため、水と相溶しない有機溶剤を系中に加え
て共沸させてディーン・スターク(Dean−Star
k)管などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶
しない有機溶剤としてはジクロルベンゼンが知られてい
るが、エレクトロニクス用としては塩素成分が混入する
恐れがあるので、好ましくは前記芳香族炭化水素を使用
する。また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β-
ピコリン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げ
ない。
【0015】本発明において、イミド閉環は程度が高い
ほど良く、イミド化率が低いと使用時の熱でイミド化が
起こり水が発生して好ましくないため、95%以上、よ
り好ましくは98%以上のイミド化率が達成されている
ことが望ましい。
【0016】本発明の耐熱性樹脂組成物において使用す
る成分(B)エポキシ化合物は、少なくとも1分子中に
2個のエポキシ基を有し、成分(A)のポリイミド樹脂
との相溶性を有するものであれば特に限定されるもので
はないが、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なも
のが好ましい。例えば、ビスフェノールA型のジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエー
テル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニ
ル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0017】前記エポキシ化合物の量比は成分(A)ポ
リイミド樹脂100重量部に対して5〜100重量部、
特に10〜70重量部の範囲にあることが好ましい。5
重量部未満では、未硬化のエポキシ化合物を添加し樹脂
組成物の軟化温度を下げ低温加工性をあげるという効果
があらわれにくく、100重量部をこえるとポリイミド
樹脂の耐熱性を損なうこととなり好ましくない。
【0018】また本発明の耐熱性樹脂組成物において使
用する成分(C)エポキシ化合物と反応可能な活性水素
基を有する化合物は、成分(A)のポリイミド樹脂や成
分(B)のエポキシ化合物との相溶性、ポリイミド樹脂
の溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例えばレゾ
ール、ノボラック、アミン化合物等が挙げられる。成分
(C)の配合割合は成分(A)のポリイミド樹脂100
重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましくは
0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、未
硬化のエポキシ化合物の反応率が極端に低くなり、本発
明にて望まれる効果があらわれない。また高温時の樹脂
の弾性率が低下している時の樹脂のフローの制御が困難
である。20重量部をこえると樹脂溶液状態でゲルが生
じやすくなり、加工性が損なわれ、また樹脂組成物の耐
熱性を損ない、好ましくない。
【0019】本発明の耐熱性樹脂組成物にはその加工
性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填材が配合
されていても良い。
【0020】本発明では得られたポリイミド溶液にその
ままエポキシ化合物や該エポキシ化合物と反応可能な活
性水素基を有する化合物を添加し耐熱性樹脂組成物溶液
とすることができる。また、該ポリイミド溶液を貧溶媒
中に投入してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反応モ
ノマを取り除いて精製し、乾燥して固形のポリイミド樹
脂として使用することもできる。高温工程を嫌う用途や
特に不純物や異物が問題になる用途では、再び有機溶剤
に溶解して濾過精製ワニスとすることが好ましい。この
時使用する溶剤は加工作業性を考え、沸点の低い溶剤を
選択することが可能である。
【0021】本発明のポリイミド樹脂では、ケトン系溶
剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
を、エーテル系溶剤として、1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジグライムを沸点200℃以下の低沸
点溶剤として使用することができる。これらの溶剤は単
独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いること
もできる。あるいはポリイミド樹脂溶液にこれら低沸点
溶剤を添加して使用することもできる。
【0022】
【作用】本発明のポリイミド樹脂にエポキシ化合物と該
エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物
を添加した耐熱性樹脂組成物は、見かけ上のガラス転移
温度が該ポリイミド樹脂のガラス転移温度より低下し低
温加工性が向上する。一方、ガラス転移温度より高温域
での接着力は該ポリイミド樹脂より向上し、IRリフロ
ーなどの熱衝撃を与えても剥離が認められないなどの高
温域での物性が向上する。この特異な現象に対する詳細
な機構は未だ明らかではない部分もあるが、エポキシ化
合物と活性水素基を有する化合物が反応した低分子量の
生成物は、特定構造のポリイミド樹脂に対して可塑剤と
して作用し該ポリイミド樹脂のガラス転移温度より低温
域での弾性率を低下せしめ、よって接着性、加工性など
低温での作業性の向上をもたらす。一方、ガラス転移温
度より高温域ではその与えられた熱によって三次元網目
構造が形成され、ポリイミド樹脂の流動性を低下せし
め、よって該ポリイミド樹脂の耐熱性を維持、あるいは
向上せしめるものと考えられる。以上の機構によって低
温加工性と高温時の耐熱信頼性の両立がはかられる。以
下実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実
施例に限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
(ポリイミド樹脂PI−1の合成)乾燥窒素ガス導入
管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、
脱水精製したNMP791gを入れ、窒素ガスを流しな
がら10分間激しくかき混ぜる。次に2,2−ビス(4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BA
PP)73.8926g(0.180モル)、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)1
7.5402g(0.060モル)、α,ω−ビス(3
−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APP
S、式(2))50.2200g(平均分子量837、
0.060モル)を投入し、系を60℃に加熱し、均一
になるまでかき混ぜる。均一に溶解後、系を氷水浴で5
℃に冷却し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物(BPDA)44.1330g(0.
150モル)、エチレングリコールビストリメリット酸
二無水物(TMEG)61.5445g (0.150
モル)を粉末状のまま15分間かけて添加し、その後3
時間撹拌を続けた。この間フラスコは5℃に保った。
【0024】その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、
キシレンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに
装着し、系にキシレン198gを添加した。油浴に代え
て系を175℃に加熱し発生する水を系外に除いた。4
時間加熱したところ、系からの水の発生は認められなく
なった。冷却後この反応溶液を大量のメタノール中に投
入し、ポリイミド樹脂を析出させた。固形分を濾過後、
80℃で12時間減圧乾燥し溶剤を除き、227.79
g(収率92.1%)の固形樹脂を得た。KBr錠剤法
で赤外吸収スペクトルを測定したところ、環状イミド結
合に由来する5.6μmの吸収を認めたが、アミド結合
に由来する6.06μmの吸収を認めることはできず、
この樹脂はほぼ100%イミド化していることが確かめ
られた。
【0025】このようにして得たポリイミド樹脂は、ガ
ラス転移温度が148℃、引張り弾性率が180kgf/m
m2、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,4−ジオキ
サン(1,4−DO)に良く溶解することが確かめられ
た。
【0026】(ポリイミド樹脂PI−2、PI−3の合
成)前記のポリイミド樹脂PI−1の合成と同様にし
て、PI−2およびPI−3を得た。得られたポリイミ
ド樹脂PI−1、PI−2およびPI−3の物性を表1
に示した。
【0027】
【表1】
【0028】モノマの欄のBTDA、ODPA、DPX
は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミンをそれぞれ
表し、APDSは1,3−ビス(3−アミノプロピル)
テトラメチルジシロキサン(式(2)においてk=1)
を表す。溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解すること
を示す。ガラス転移温度はDSC測定により求めた。引
張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測定した。
ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求めた。
【0029】(実施例1)ガラス製フラスコにポリイミ
ド樹脂PI−1、100gとDMF355gを入れ、室
温で充分に撹拌しポリイミドを完全に溶解させる。均一
に溶解した後、ビスフェノールA型エポキシ化合物(エ
ピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)40gを
加え室温にて2時間撹拌した。その後均一に溶解してい
ることを確認して、レゾール樹脂(PR−50781、
住友デュレズ(株)製)5.0gを系を撹拌しながら徐々
に加えた。引き続き2時間撹拌し耐熱性樹脂溶液を調製
した。この溶液組成物は、室温にて5日間放置してもゲ
ル化せず均一な溶液の状態のままであった。このように
して得た樹脂溶液をドクターブレードで鏡面研磨ステン
レス鋼板に塗布し、厚み50μmのフィルムを得た。乾
燥温度は最高195℃で乾燥時間20分であった。溶解
性、ガラス転移温度、引張り特性、ヤング率を表2に示
す。
【0030】このワニスをリバースロールコーターでポ
リイミドフィルム(商品名ユーピレックスSGA、厚み
50μm、宇部興産(株)製)の片面に塗布し、接着剤層
の厚みが30μmの接着テープを得た。乾燥温度は最高
200℃で乾燥時間15分であった。この接着テープを
42アロイのプレートに熱圧着して試験片を作製し(2
50℃2秒間熱圧着し、圧を開放後250℃で30秒間
アニールした。接着面にかかる圧力はゲージ圧力と接着
面積から計算の結果4kgf/cm2であった。)、引張り試
験機にて180度ピール強度を測定した結果を表2に示
す。接着強度は常態およびプレッシャークッカー(12
5℃、48時間、飽和100%)で処理した後の室温で
の180度ピール強度を測定したものである(引張り速
度50mm/min)。試験片の破断面は接着樹脂層が凝集
破壊し、発泡は全く認められなかった。
【0031】(実施例2〜4)実施例1と同様にして表
2に示す配合にて樹脂溶液を調製し、フィルム、接着テ
ープを得た。得られた評価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解する
ことを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求め
た。引張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測
定した。使用する成分(B)エポキシ化合物について、
YX−4000Hはビフェニル型エポキシ化合物エピコ
ートYX−4000H、油化シェルエポキシ(株)製、E
OCN−1020はフェノールノボラック型エポキシ化
合物EOCN−1020、日本化薬(株)製をそれぞれ示
している。使用する成分(C)について、PR−507
81、175、22193、53647は住友デュレズ
(株)製。
【0034】(比較例1、2、3)ポリイミド樹脂PI
−1、PI−2およびPI−3のみのフィルムを作製
し、42アロイプレートとの接着強度を実施例と同様に
して測定しその結果を表3に示した。
【0035】
【表3】
【0036】(比較例4)ポリイミド樹脂PI−1、1
00gとエピコート828、20gのみで調製した樹脂
から得た接着テープの接着強度を実施例と同様にして測
定しその結果を表3に示した。
【0037】表2、3の結果から、実施例の樹脂フィル
ムの接着強度は吸湿後でもその強度はわずかしか低下し
ていないが、比較例のポリイミド樹脂フィルムの接着強
度は、常態に比べて吸湿後は著しく低下している。
【0038】以上の実施例から本発明により、耐熱性と
成形加工性に優れたフィルム接着剤を得られることが示
される。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性と成形加工性を
両立させた信頼性の高いフィルム接着剤を提供すること
が可能である。低沸点溶媒に可溶であるため残留溶媒を
ほぼ完璧になくすことが可能で、また既にイミド化され
ているため、加工時にイミド化のための高温過程が不要
で水分の発生も無い。またタックのないフィルムとして
使用することができるので連続作業性やクリーンな環境
を必要とする場合に非常に有効である。このため高信頼
性と耐熱性を要求するエレクトロニクス用材料として工
業的に極めて利用価値が高い。
【0040】本発明の樹脂組成物の使用方法は特に限定
されるものではないが、樹脂構成成分の全てが有機溶剤
に均一に溶解されている樹脂ワニスとして、コーティン
グやディッピングに、流延成形によってフィルムに、耐
熱性と加工性の両立した絶縁材料、接着フィルム等とし
て使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度
    が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部と、
    (B)1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有
    するエポキシ化合物5〜100重量部と、(C)該エポ
    キシ化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物0.
    1〜20重量部とを主たる成分として含有していること
    を特徴とする耐熱性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分(A)が一般式(1)で表されるシ
    ロキサン化合物をアミン成分総量の5〜50モル%含有
    してなるポリイミド樹脂である請求項1記載の耐熱性樹
    脂組成物。 【化1】 (式中、R1,R2:二価の、炭素数1〜4の脂肪族基ま
    たは芳香族基 R3,R4,R5,R6:一価の脂肪族基または芳香族基 k:1〜20の整数)
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