JPH101534A - 耐熱性樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性樹脂組成物

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JPH101534A
JPH101534A JP15386796A JP15386796A JPH101534A JP H101534 A JPH101534 A JP H101534A JP 15386796 A JP15386796 A JP 15386796A JP 15386796 A JP15386796 A JP 15386796A JP H101534 A JPH101534 A JP H101534A
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JP
Japan
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weight
heat
resin
polyimide resin
resin composition
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JP15386796A
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Inventor
Tatsuhiro Yoshida
達弘 吉田
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高信頼性と耐熱性を要求するエレクトロニク
ス用材料として工業的に極めて利用価値が高い、耐熱性
と成形加工性に優れた耐熱性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度
が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部、(B)
1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物5〜100重量部、(C)一般式(1)で表さ
れる多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部及び
(D)シランカップリング剤0.1〜20重量部を主た
る成分として含有していることを特徴とする耐熱性樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れ、か
つ有機溶剤に可溶で成形加工性に優れた耐熱性樹脂組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、耐熱性が高く難燃性
で電気絶縁性に優れていることからフィルムとしてフレ
キシブル印刷配線板や耐熱性接着テープの基材に、樹脂
ワニスとして半導体の層間絶縁膜、表面保護膜に広く使
用されている。しかし、従来のポリイミド樹脂は吸湿性
が高く、耐熱性に優れている反面不溶不融であったり融
点が極めて高く、加工性の点で決して使いやすい材料と
はいえなかった。また半導体の実装材料として層間絶縁
膜、表面保護膜などに使用されているが、これらは有機
溶剤に可溶なポリイミド樹脂の前駆体ポリアミック酸を
半導体表面に塗布し、加熱処理によって溶剤を除去する
と共にイミド化して用いている。この時、イミド化を完
全に進めるために、また高沸点のアミド系溶剤を揮散さ
せるために300℃以上の高温乾燥工程を必要とする。
このため高温にさらされ、他に使用する部材の熱損傷や
素子の劣化を招きアセンブリ工程の収率を劣化させる。
また、皮膜の吸湿性が高いため、高温時に吸収した水分
が一気に蒸発して膨れやクラックの原因となるなどの問
題があった。前記の欠点を改良する方法として、有機溶
剤に可溶で既にイミド化されたポリイミド樹脂組成物か
らフィルム状接着剤を形成し、これを被着体に熱圧着す
る方法等が提案されている。(特開平5−10585
0、112760、112761号公報を参照)。しか
しながら、ポリイミド樹脂をホットメルト型の接着剤と
して使用するこの様な場合、ポリイミド樹脂のガラス転
移温度が高いと加工に非常な高温を要し被着材に熱損傷
を与える恐れが大きい。一方、低温加工性を付与するた
めポリイミド樹脂のガラス転移温度を下げるとポリイミ
ド樹脂の耐熱性という特徴を十分に生かすことができな
いという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性に優
れ、かつ低温での成形加工性の優れた耐熱性樹脂を得る
べく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリイミド樹脂
にエポキシ化合物、該エポキシ化合物と反応可能な活性
水素基を有する多官能性アミノ化合物、およびシランカ
ップリング剤を添加すると、上記課題が解決できること
を見出し、本発明に到達したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス転移温
度が350℃以下の有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂1
00重量部に対して、1分子中に少なくとも2個のエポ
キシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、該エ
ポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する一般式
(1)で表される多官能性アミノ化合物0.1〜20重
量部及びシランカップリング剤1〜20重量部を主たる
成分として含有していることを特徴とする耐熱性樹脂組
成物である。
【0005】
【化1】 (式中、nは2から10の整数)
【0006】本発明のポリイミド樹脂は、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレン
グリコールビストリメリット酸二無水物、無水ピロメリ
ット酸からなる群より選ばれた1種または2種以上のテ
トラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合させ
ることにより得られたものであることが好ましい。前記
ポリイミドの製造に用いられる芳香族ジアミンとして、
例えば、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−
ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサフルオロプロパ
ン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスル
ホン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルス
ルフォンなどを挙げることができ、それらを単独、ある
いは併用して使用することができる。また前記ポリイミ
ドのジアミン成分の一成分として式(2)であらわされ
るシロキサン化合物をジアミン成分総量の5〜50モル
%用いることがより好ましい。
【0007】
【化2】 (式中、R1,R2:2価の、炭素数1〜4の脂肪族基また
は芳香族基、 R3,R4,R5,R6:1価の脂肪族基または芳香族基、 k:1〜20の整数を表す。)
【0008】ジアミン成分の総量の5モル%より少ない
と有機溶剤への溶解性が低下し、50モル%を越えると
ガラス転移温度が著しく低下し耐熱性に問題が生じる。
さらに、一般式(2)で表されるシロキサン化合物とし
て具体的には、下記一般式(4)で表されるα,ω−ビ
ス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(A
PPS)が好ましく、特にkの値が4〜10の範囲が、
ガラス転移温度、接着性、耐熱性の点から好ましい。こ
れらのシロキサン化合物は単独で用いることは勿論、2
種類以上を併用することもできる。特にk=1と上記k
=4〜10のものをブレンドして用いることは接着性を
重視する用途では好ましい。
【0009】
【化4】 (式中、k:1〜20の整数)
【0010】重縮合反応における酸成分とアミン成分の
当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する
重要な因子である。ポリマの分子量と物性、特に数平均
分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られ
ている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れて
いる。従って、実用的に優れた強度を得るためには、あ
る程度高分子量であることが必要である。本発明では、
酸成分とアミン成分の当量比rが 0.900 ≦ r ≦ 1.06 より好ましくは、 0.975 ≦ r ≦ 1.025 の範囲にあることが好ましい。ただし、r=[全酸成分
の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが
0.900未満では、分子量が低くて脆くなるため接着
力が弱くなる。また1.06を越えると、未反応のカル
ボン酸が加熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因とな
り好ましくないことがある。ポリイミド樹脂の分子量制
御のためジカルボン酸無水物あるいはモノアミンを添加
することは上述の酸/アミンモル比の範囲であれば特に
これを妨げない。
【0011】テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの
反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われ
る。非プロトン性極性溶媒は、N,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(D
MAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テ
トラヒドロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキ
サノン、1,4−ジオキサン(1,4−DO)などであ
る。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いてもよい
し、二種類以上を混合して用いてもよい。この時、上記
非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合
して使用しても良い。トルエン、キシレン、ソルベント
ナフサなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶
媒における非極性溶媒の割合は、30重量%以下である
ことが好ましい。これは非極性溶媒が30重量%以上で
は溶媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れ
があるためである。テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンとの反応は、良く乾燥したジアミン成分を脱水精製し
た前述反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好
ましくは99%以上の良く乾燥したテトラカルボン酸二
無水物を添加して反応を進める。
【0012】このようにして得たポリアミック酸溶液を
続いて有機溶剤中で加熱脱水環化してイミド化しポリイ
ミドにする。イミド化反応によって生じた水は閉環反応
を妨害するため、水と相溶しない有機溶剤を系中に加え
て共沸させてディーン・スターク(Dean−Star
k)管などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶
しない有機溶剤としてはジクロルベンゼンが知られてい
るが、エレクトロニクス用としては塩素成分が混入する
恐れがあるので、好ましくは前記芳香族炭化水素を使用
する。また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β-
ピコリン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げ
ない。本発明において、イミド閉環は程度が高いほど良
く、イミド化率が低いと使用時の熱でイミド化が起こり
水が発生して好ましくないため、95%以上、より好ま
しくは98%以上のイミド化率が達成されていることが
望ましい。
【0013】本発明の耐熱性樹脂組成物において使用す
る成分(B)エポキシ化合物は、少なくとも1分子中に
2個のエポキシ基を有し、成分(A)のポリイミド樹脂
との相溶性を有するものであれば特に限定されるもので
はないが、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なも
のが好ましい。例えば、ビスフェノールA型のジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエー
テル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニ
ル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ジ
シクロペンタジエン型エポキシ化合物等が挙げられる。
前記エポキシ化合物の量比は成分(A)ポリイミド樹脂
100重量部に対して5〜100重量部、特に10〜7
0重量部の範囲にあることが好ましい。5重量部未満で
は、未硬化のエポキシ化合物を添加し樹脂組成物の軟化
温度を下げ低温加工性をあげるという効果があらわれに
くく、100重量部をこえるとポリイミド樹脂の耐熱性
を損なうこととなり好ましくない。
【0014】また本発明の耐熱性樹脂組成物において使
用する成分(C)エポキシ化合物と反応可能な活性水素
基を有する多官能性アミノ化合物として、具体的にはア
ニリン樹脂が挙げられる。その量比は成分(A)ポリイ
ミド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部であ
ることが好ましく、さらには0.5〜10重量部である
ことがより好ましい。0.1重量部未満では、エポキシ
化合物の反応率が極端に低くなり、本発明にて望まれる
効果があらわれない。また高温時の樹脂の弾性率が低下
している時の樹脂のフローの制御が困難である。一方、
20重量部をこえると樹脂溶液状態でゲルが生じやすく
なり加工性が損なわれ、また樹脂組成物の耐熱性を損な
い好ましくない。さらにアニリン樹脂に求められる特性
として軟化点が60〜120℃であることがより好まし
い。軟化点が120℃以上では成形加工温度を下げるこ
とができず、60℃以下では加工温度を下げることはで
きても成形物の耐熱性が著しく低下する場合が生じ好ま
しくない。
【0015】また本発明の耐熱性樹脂組成物において使
用する成分(D)シランカップリング剤は、成分(A)
や成分(B)、(C)との相溶性、ポリイミド樹脂の溶
媒への溶解性が良好なものが好ましく、特にビニルシラ
ン、エポキシシラン、アミノシラン等が好適に挙げられ
る。中でも特に一般式(3)で表されるカップリング剤
(アミノ系シラン)が好ましい。
【0016】
【化3】 (式中、Yはアミノ基を有する有機基、P1は炭素数1
〜4の2価の炭化水素基、P2は炭素数1〜4のアルキ
ル基、P3は炭素数1〜4のアルキル基、mは1〜3の
整数を表す。)
【0017】具体例としては、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメト
キシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン 、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げ
ることができ、これらは併用することもできる。シラン
カップリング剤の配合割合は成分(A)のポリイミド樹
脂100重量部に対して0.1〜20重量部、より好ま
しくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満で
は、当該樹脂組成物を接着用途に用いる場合、被着材と
の密着性を向上させる効果が現れない。20重量部をこ
えると樹脂組成物のライフが短くなり加工性が低下する
場合があり、また樹脂組成物の耐熱性を損ない、好まし
くない。
【0018】本発明の耐熱性樹脂組成物にはその加工
性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填材が配合
されていても良い。本発明では得られたポリイミド溶液
にそのままエポキシ化合物や多官能性アミノ化合物、お
よびシランカップリング剤を添加し耐熱性樹脂組成物溶
液とすることができる。また、該ポリイミド溶液を貧溶
媒中に投入してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反応
モノマを取り除いて精製し、乾燥して固形のポリイミド
樹脂として使用することもできる。高温工程を嫌う用途
や特に不純物や異物が問題になる用途では、再び有機溶
剤に溶解して濾過精製ワニスとすることが好ましい。こ
の時使用する溶剤は加工作業性を考え、沸点の低い溶剤
を選択することが可能である。本発明のポリイミド樹脂
では、ケトン系溶剤として、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シ
クロヘキサノンを、エーテル系溶剤として、1,4−ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、ジグライムを沸点20
0℃以下の低沸点溶剤として使用することができる。こ
れらの溶剤は単独で使用しても良いし、2種以上を混合
して用いることもできる。
【0019】本発明のポリイミド樹脂に、エポキシ化合
物、多官能性アミノ化合物およびカップリング剤を添加
した耐熱性樹脂組成物は、見かけ上のガラス転移温度が
該ポリイミド樹脂のガラス転移温度より低下し低温加工
性が向上する。一方、ガラス転移温度より高温域での接
着力は該ポリイミド樹脂より向上し、IRリフローなど
の熱衝撃を与えても剥離が認められないなどの高温域で
の物性が向上する。この特異な現象に対する詳細な機構
は未だ明らかではない部分もあるが、エポキシ化合物と
活性水素基を有する多官能性アミノ化合物あるいはシラ
ンカップリング剤が反応した低分子量の生成物は、特定
構造のポリイミド樹脂に対して可塑剤として作用し該ポ
リイミド樹脂のガラス転移温度より低温域での弾性率を
低下せしめ、よって接着性、加工性など低温での作業性
の向上をもたらす。一方、ガラス転移温度より高温域で
はその与えられた熱によって三次元網目構造が形成さ
れ、ポリイミド樹脂の流動性を低下せしめ、よって該ポ
リイミド樹脂の耐熱性を維持、あるいは向上せしめるも
のと考えられる。以上の機構によって低温加工性と高温
時の耐熱信頼性の両立がはかられる。以下実施例により
本発明を詳細に説明するが、これらの実施例に限定され
るものではない。
【0020】
【実施例】
(ポリイミド樹脂PI−1の合成)乾燥窒素ガス導入
管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、
脱水精製したNMP791gを入れ、窒素ガスを流しな
がら10分間激しくかき混ぜる。次に2,2−ビス(4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BA
PP)73.8926g(0.180モル)、1,3-ビス
(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)17.540
2g(0.060モル)、α,ω−ビス(3−アミノプ
ロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS、式
(4))50.2200g(平均分子量837、0.0
60モル)を投入し、系を60℃に加熱し、均一になる
までかき混ぜる。均一に溶解後、系を氷水浴で5℃に冷
却し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物(BPDA)44.1330g(0.150
モル)、エチレングリコールビストリメリット酸二無水
物(TMEG)61.5445g (0.150モル)
を粉末状のまま15分間かけて添加し、その後3時間撹
拌を続けた。この間フラスコは5℃に保った。その後、
窒素ガス導入管と冷却器を外し、キシレンを満たしたデ
ィーン・スターク管をフラスコに装着し、系にキシレン
198gを添加した。油浴に代えて系を175℃に加熱
し発生する水を系外に除いた。4時間加熱したところ、
系からの水の発生は認められなくなった。冷却後この反
応溶液を大量のメタノール中に投入し、ポリイミド樹脂
を析出させた。固形分を濾過後、80℃で12時間減圧
乾燥し溶剤を除き、227.79g(収率92.1%)
の固形樹脂を得た。KBr錠剤法で赤外吸収スペクトル
を測定したところ、環状イミド結合に由来する5.6μ
mの吸収を認めたが、アミド結合に由来する6.06μ
mの吸収を認めることはできず、この樹脂はほぼ100
%イミド化していることが確かめられた。このようにし
て得たポリイミド樹脂は、ガラス転移温度が148℃、
引張り弾性率が180kgf/mm2、ジメチルホルムア
ミド(DMF)、1,4−ジオキサン(1,4−DO)
に良く溶解することが確かめられた。
【0021】(ポリイミド樹脂PI−2、PI−3の合
成)前記のポリイミド樹脂PI−1の合成と同様にし
て、PI−2およびPI−3を得た。得られたポリイミ
ド樹脂PI−1、PI−2およびPI−3の物性を表1
に示した。
【0022】
【表1】
【0023】モノマーの欄のBTDA、ODPA、DP
Xは3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミンをそれぞれ
表し、APDSは1,3−ビス(3−アミノプロピル)
テトラメチルジシロキサン(式(4)においてk=1)
を表す。溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解すること
を示す。ガラス転移温度はDSC測定により求めた。引
張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測定し
た。ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求め
た。
【0024】(実施例1)ガラス製フラスコにポリイミ
ド樹脂PI−1、100gとDMF350gを入れ、室
温で充分に撹拌しポリイミドを完全に溶解させる。均一
に溶解した後、ビスフェノールA型エポキシ化合物(エ
ピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)40g
を加え室温にて2時間撹拌した。その後均一に溶解して
いることを確認して、シランカップリング剤(トリスメ
トキシエトキシビニルシラン、KBC1003、信越化
学 製)5gを加え室温にて1時間撹拌した。均一に溶
解していることを確認してアニリン樹脂PR−AF−S
(軟化点78℃、アミノ基含有量10.2重量%、住友
デュレズ(株)製)5.0gを系を撹拌しながら徐々に
加えた。引き続き2時間撹拌し耐熱性樹脂溶液を調製し
た。この溶液組成物は、室温にて5日間放置してもゲル
化せず均一な溶液の状態のままであった。このようにし
て得た樹脂溶液をドクターブレードで鏡面研磨ステンレ
ス鋼板に塗布し、厚み50μmのフィルムを得た。乾燥
温度は最高195℃で乾燥時間20分であった。溶解
性、ガラス転移温度、引張り特性、ヤング率を表2に示
す。このワニスをリバースロールコーターでポリイミド
フィルム(商品名ユーピレックスSGA、厚み50μ
m、宇部興産株式会社製)の片面に塗布し、接着剤層の
厚みが30μmの接着テープを得た。乾燥温度は最高2
00℃で乾燥時間15分であった。この接着テープを4
2アロイのプレートに熱圧着して試験片を作製し(25
0℃2秒間熱圧着し、圧を開放後250℃で30秒間ア
ニールした。接着面にかかる圧力はゲージ圧力と接着面
積から計算の結果4kgf/c であった。)、引張り
試験機にて180度ピール強度を測定した結果を表2に
示す。接着強度は常態およびプレッシャークッカー(1
25℃、48時間、飽和100%)で処理した後の室
温、および240℃での180度ピール強度を測定した
ものである(引張り速度50mm/min)。試験片の
破断面は接着樹脂層が凝集破壊し、発泡は全く認められ
なかった。
【0025】(実施例2〜4)実施例1と同様にして表
2に示す配合にて樹脂溶液を調製し、フィルム、接着テ
ープを得た。得られた評価結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解する
ことを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求め
た。引張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて
測定した。使用する成分(B)エポキシ化合物につい
て、エピコート828、1001はビスフェノールA型
エポキシ化合物、油化シェルエポキシ(株)製、YX−
4000Hはビフェニル型エポキシ化合物エピコートY
X−4000H、油化シェルエポキシ(株)製をそれぞ
れ示している。使用する成分(D)シランカップリング
剤はKBC1003(トリスメトキシエトキシビニルシ
ラン)、KBE1003(トリエトキシビニルシラ
ン)、KBM573(N−フェニル−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン)信越化学(株)製を使用した。
【0028】(比較例1〜3)ポリイミド樹脂のみの樹
脂組成物あるいは成分(B)〜(D)のうちで一種また
は2種加えた樹脂組成物を調整した。次に実施例と同様
にして、接着テープを作製し、42アロイプレートとの
接着強度を測定した。その結果を表3に示した。
【0029】
【表3】
【0030】表2、3の結果から、実施例の樹脂フィル
ムの接着強度は吸湿後でもその強度はわずかしか低下し
ていない。また吸湿後熱時の接着強度は、常態と比べて
低下するものの、比較例のそれと比べて強度が大きく低
下することを防ぐことが可能である。 以上の実施例か
ら本発明により、吸湿熱時の接着強度が大きく低下する
ことを防ぐことができ、耐熱性と成形加工性に優れたフ
ィルム接着剤を得られることが示される。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性と成形加工性を
両立させた耐熱性樹脂組成物を提供することが可能であ
る。低沸点溶媒に可溶であるため残留溶媒をほぼ完璧に
なくすことが可能で、また既にイミド化されているた
め、加工時にイミド化のための高温過程が不要で水分の
発生も無い。またタックのないフィルムとして使用する
ことができるので連続作業性やクリーンな環境を必要と
する場合に非常に有効である。このため高信頼性と耐熱
性を要求するエレクトロニクス用材料として工業的に極
めて利用価値が高い。本発明の樹脂組成物の使用方法は
特に限定されるものではないが、樹脂構成成分の全てが
有機溶剤に均一に溶解されている樹脂ワニスとして、コ
ーティングやディッピングに、流延成形によってフィル
ムに、耐熱性と加工性の両立した絶縁材料、接着フィル
ム等として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 79/08 LRC C08L 79/08 LRC

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度
    が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部、(B)
    1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキ
    シ化合物5〜100重量部、(C)一般式(1)で表さ
    れる多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部及び
    (D)シランカップリング剤0.1〜20重量部を主た
    る成分として含有していることを特徴とする耐熱性樹脂
    組成物。 【化1】 (式中、nは2から10の整数)
  2. 【請求項2】 成分(A)が一般式(2)で表されるシ
    ロキサン化合物をアミン成分総量の5〜50モル%含有
    してなるポリイミド樹脂である請求項1記載の耐熱性樹
    脂組成物。 【化2】 (式中、R1,R2:2価の、炭素数1〜4の脂肪族基また
    は芳香族基、 R3,R4,R5,R6:1価の脂肪族基または芳香族基、 k:1〜20の整数を表す。)
  3. 【請求項3】 シランカップリング剤が下記一般式
    (3)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載
    の耐熱性樹脂組成物。 【化3】 (式中、Yはアミノ基を有する有機基、 P1は炭素数1〜4の2価の炭化水素基、 P2は炭素数1〜4のアルキル基、 P3は炭素数1〜4のアルキル基、 mは1〜3の整数を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116068852A (zh) * 2023-01-05 2023-05-05 明士(北京)新材料开发有限公司 一种正性光敏性树脂组合物及其制备方法与应用

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