JPH07242594A - 3−置換−2,4,5−トリハロゲノ安息香酸の製造方法 - Google Patents

3−置換−2,4,5−トリハロゲノ安息香酸の製造方法

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JPH07242594A
JPH07242594A JP6034681A JP3468194A JPH07242594A JP H07242594 A JPH07242594 A JP H07242594A JP 6034681 A JP6034681 A JP 6034681A JP 3468194 A JP3468194 A JP 3468194A JP H07242594 A JPH07242594 A JP H07242594A
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JP
Japan
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acid
substituted
tetrahalogenophthalic
group
compound
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JP6034681A
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Takashi Seki
隆司 関
Koji Sugimoto
耕治 杉本
Seisaku Kumai
清作 熊井
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】短段階で効率良く3−置換−2,4,5−トリ
ハロゲノ安息香酸(5)を得る。 【構成】下記反応式においてテトラハロゲノ無水フタル
酸(1)とヒドロキシ化合物とを反応させてテトラハロ
ゲノフタル酸モノエステル(2)とし、エステル基に対
しパラ位のハロゲン原子をR2 O基に置換して4−置換
−3,5,6−トリハロゲノフタル酸−1−エステル
(3)とし、加水分解反応させて4−置換−3,5,6
−トリハロゲノフタル酸(4)とし、脱炭酸反応させて
一般式(5)の化合物、例えば3−メトキシ−2,4,
5−トリフルオロ安息香酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬品の中間体、特に、
キノロン系抗菌剤の中間体として有用な3−置換−2,
4, 5−トリハロゲノ安息香酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3−置換−2, 4, 5−トリハロゲノ安
息香酸は医農薬中間体として重要な化合物である。該化
合物は特にキノロン骨格の8位に置換基を有する含フッ
素キノロン化合物の中間体として重要である。従来より
3−置換−2, 4, 5−トリハロゲノ安息香酸を得る方
法としては、以下の方法が提案されている。
【0003】(1)テトラフルオロベンゾニトリルを出
発原料として全8工程で2, 4, 5−トリフルオロ−3
−アルコキシ安息香酸を得る方法(特開昭63−198
664、特開昭63−297366)。
【0004】(2)2, 3−ジハロゲノ−5, 6−ジフ
ルオロアニソールに金属シアン化物を作用させ、2−ハ
ロゲノ−4,5−ジフルオロ−3−メトキシベンゾニト
リルとし、つぎに水を付加させて2−ハロゲノ−4,5
−ジフルオロ−3−メトキシベンズアミドとし、さらに
加水分解して2−ハロゲノ−4,5−ジフルオロ−3−
メトキシ安息香酸を得る方法(特開昭64−1674
6)。
【0005】(3)テトラフルオロフタル酸を出発原料
として、ヒドロキシル化、脱炭酸、アルキル化、加水分
解の全4工程で得る方法(特開平1−268662)、
また、テトラフルオロフタル酸のジエステル化、アルコ
キシ化、加水分解、脱炭酸の4工程で得る方法(特開平
3−279348)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術に
は、下記の問題点がある。(1)の方法は、工程数が長
く、工業的に有利ではない。(2)の方法は、出発原料
の2, 3−ジハロゲノ−5, 6−ジフルオロアニソール
が入手困難な化合物である。(3)の方法は、前者の場
合、全工程のトータル収率が40%程度と低いこと、脱
炭酸工程は加圧条件下で行なう必要があり、耐圧の反応
器が必要であること、さらにアルキル化の際、使用する
ジメチル硫酸の取扱いが難しい問題点がある。後者の方
法の場合、トータル収率も満足なものではない。原料の
テトラフルオロフタル酸の入手方法としては、特開昭6
1−85249、特開昭63−258442、USP5
047553等に合成方法が記載されているが、いずれ
の方法においても精製工程において大量の極性溶媒を用
い、かつ、生成物を水層側から抽出する必要がある。ま
た、高純度の目的物を得たい場合には、さらに再結晶の
等の工程が必要であり、工業的に有利な方法ではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の技術が
有する欠点を解消するためになされたものであり、3−
置換−2, 4, 5−トリハロゲノ安息香酸の新しい製造
方法を提供する。
【0008】すなわち、本発明は、テトラハロゲノ無水
フタル酸とヒドロキシ化合物とを反応せしめてテトラハ
ロゲノフタル酸モノエステルとし、該テトラハロゲノフ
タル酸モノエステルのエステル基に対するパラ位のハロ
ゲン原子をR2 O基(ただし、R2 は、一価の置換基を
示す。)に置換せしめて4−置換−3,5,6−トリハ
ロゲノフタル酸−1−エステルとし、該4−置換−3,
5,6−トリハロゲノフタル酸−1−エステルを加水分
解反応せしめて4−置換−3,5,6−トリハロゲノフ
タル酸とし、該4−置換−3,5,6−トリハロゲノフ
タル酸を脱炭酸反応せしめることを特徴とする3−置換
−2,4,5−トリハロゲノ安息香酸の製造方法を提供
する。
【0009】なお、以下の記載において、「ハロゲン原
子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、
特にフッ素原子が好ましい。
【0010】「アルキル基」は、直鎖構造、分岐構造、
または一部あるいは全部が環構造である場合のいずれで
あってもよい。炭素数は1〜10が好ましく、特に1〜
6がよい。アルキル基の好ましい具体例としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イ
ソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等
が挙げられる。
【0011】「フルオロアルキル基」は、上記の「アル
キル基」の水素原子の一部あるいは全部がフッ素原子に
置換された構造の基を意味する。フルオロアルキル基
は、「アルキル基」の水素原子の全部がフッ素原子に置
換された構造のパーフルオロアルキル基あるいは、該パ
ーフルオロアルキル基がフルオロアルキル基の末端部分
に存在する構造が好ましい。たとえば、トリフルオロメ
チル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフ
ルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げら
れる。
【0012】「アリール基」は、1価の芳香族炭化水素
基をいい、置換基(たとえば、低級アルキル基、ハロゲ
ン原子、低級アルコキシル基、低級アルキルアミノ基
等)を有していてもよい。アリール基としては、フェニ
ル基やその誘導体が好ましく、たとえば、フェニル基、
トリル基、p−ハロフェニル基(たとえば、p−クロロ
フェニル基、p−ブロモフェニル基等)、アルコキシフ
ェニル基(たとえば、メトキシフェニル基、エトキシフ
ェニル基等)等が挙げられる。
【0013】本発明におけるテトラハロゲノ無水フタル
酸は、一般式(1)で表される化合物である。
【0014】
【化1】
【0015】(ただし、一般式(1)において、X1
2 、X3 、およびX4 は、同一であっても異なってい
てもよく、それぞれハロゲン原子を示す。)
【0016】X1 、X2 、X3 、およびX4 は、同一で
あっても異なっていてもよいが、X1 とX4 が同一であ
り、かつ、X2 とX3 が同一である場合が好ましく、特
に、X1 、X2 、X3 、およびX4 の全てが同一である
場合が好ましい。X1 、X2、X3 、およびX4 は、そ
れぞれ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0017】テトラハロゲノ無水フタル酸としては、テ
トラフルオロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル
酸、3,6−ジクロロ−4,5−ジフルオロ無水フタル
酸、3,6−ジフルオロ−4,5−ジクロロ無水フタル
酸、3, 6−ジフルオロ−4,5−ブロモ無水フタル
酸、3, 6−ジフルオロ−4,5−ブロモ無水フタル酸
等が好ましく、特に、テトラフルオロ無水フタル酸が好
ましい。
【0018】上記のテトラハロゲノ無水フタル酸は、容
易に入手可能な化合物である。たとえば、テトラフルオ
ロ無水フタル酸は、テトラクロロ無水フタル酸を塩素化
して、3, 3, 4, 5, 6, 7−ヘキサクロロ−1−
[3H]−イソベンゾフラノン(パークロロフタリド)
に変換し、さらにKFとの反応により3, 4, 5, 6−
テトラフルオロフタロイルジフルオリドと3, 3, 4,
5, 6, 7−ヘキサフルオロ−1−[3H]−イソベン
ゾフラノンの混合物に変換し、さらに、この混合物を炭
酸ナトリウムと反応させて得ることができる。
【0019】上記のテトラハロゲノ無水フタル酸はヒド
ロキシ化合物と反応せしめることにより、テトラハロゲ
ノフタル酸モノエステルとなる。
【0020】ヒドロキシ化合物としては、アルコール類
またはヒドロキシアリール化合物類が好ましい。アルコ
ール類としては特に限定されず、上記のアルキル基、ハ
ロゲノアルキル基に水酸基が結合した構造の化合物が挙
げられる。これらのうち、メタノール、エタノール等の
1級アルコール、イソプロパノール、2−ブタノール等
の2級アルコール、t−ブタノール、2−メチル−2−
ブタノール等の3級アルコール、トリフルオロエタノー
ル、ヘプタフルオロプロパノール等のハロゲノアルコー
ルが好ましい。また、ヒドロキシアリール化合物類とし
ては、上記のアリール基に水酸基が結合した構造が好ま
しく、特にフェノールあるいは置換基が結合したフェノ
ールが好ましい。これらのうち、フェノール、p−クレ
ゾール等が特に好ましい。
【0021】ヒドロキシ化合物の量としては、通常の場
合、テトラハロゲノ無水フタル酸の1モルに対して0.
01〜1000モル程度、好ましくは、0.5〜100
モルがよい。
【0022】上記のテトラハロゲノ無水フタル酸とヒド
ロキシ化合物との反応においては、酸または塩基を存在
させてもよい。
【0023】酸としては無機酸または有機酸のいずれで
あってもよい。無機酸としては塩酸、リン酸、硫酸等が
好ましい。有機酸としてはp−トルエンスルホン酸、酢
酸、トリフルオロ酢酸等が好ましい。塩基としては有機
塩基または無機塩基のいずれであってもよい。無機塩基
としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等が好ましい。有機塩基としてはトリエチルア
ミン、トリブチルアミン等が好ましい。
【0024】酸または塩基を存在させる場合の量は、通
常の場合、テトラハロゲノ無水フタル酸の1モルに対し
て0.001〜100モル程度、好ましくは0.01〜
2モル程度がよい。
【0025】テトラハロゲノ無水フタル酸とアルコール
類との反応温度は、反応物および酸塩基の量や種類によ
り適宜変更し得るものである。通常の場合、アルコール
類の還流温度程度が好ましく、0℃〜220℃程度がよ
い。また、反応時間は0.01〜36時間程度、好まし
くは0.5〜10時間がよい。
【0026】上記のテトラハロゲノ無水フタル酸と上記
のヒドロキシ化合物を反応せしめることによりテトラハ
ロゲノ無水フタル酸モノエステルが生成する。テトラハ
ロゲノ無水フタル酸モノエステルは一般式(2)または
一般式(6)で表される化合物である。
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】(ただし、一般式(2)、および一般式
(6)において、X1 、X2 、X3 、およびX4 は、そ
れぞれ、一般式(1)と同一である。R1 は、ヒドロキ
シ化合物より水酸基を除いた1価の基を示す。)
【0030】X1 、X2 、X3 、およびX4 の全てが同
一である場合、またはX1 とX4 が同一であり、かつ、
2 とX3 が同一である場合、一般式(2)、および一
般式(6)の化合物は同一の化合物である。本発明にお
いては、テトラハロゲノフタル酸モノエステルとしては
一般式(2)または一般式(6)のいずれも含む。ま
た、以下の反応においては、テトラハロゲノフタル酸モ
ノエステルとして、一般式(2)の化合物を代表例とし
て説明するが、一般式(6)である場合の以下の反応も
本発明に含まれる。
【0031】一般式(2)または一般式(6)で表され
るテトラハロゲノフタル酸モノエステルとしては、X
1 、X2 、X3 、およびX4 の全てが同一である場合、
またはX1 とX4 が同一であり、かつ、X2 とX3 が同
一である場合が好ましく、特に、X1 、X2 、X3 、お
よびX4 の全てがフッ素原子である場合が好ましい。R
1 は、アルキル基、フルオロアルキル基、またはアリー
ル基が好ましい。
【0032】上記のテトラハロゲノフタル酸モノエステ
ルは、エステル基に対するパラ位のハロゲン原子をR2
O基(ただし、R2 は、一価の置換基を示す。)に置換
せしめて4−置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸
−1−エステルとせしめる。上記のテトラハロゲノフタ
ル酸モノエステルのエステル基に対するパラ位のハロゲ
ン原子を置換せしめる反応は、金属アルコキシド、また
は、ヒドロキシ化合物および無機塩基の存在下に反応せ
しめることにより実施できる。
【0033】金属アルコキシドとしては、アルカリ金属
アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシドが好まし
く、特に、アルカリ金属アルコキシドが好ましい。アル
カリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシ
ド、カリウムメトキシドが好ましい。金属アルコキシド
の量としては、通常の場合、テトラハロゲノフタル酸モ
ノエステルの1モルに対して0.01〜10モル程度、
好ましくは、0.5〜3モルがよい。
【0034】テトラハロゲノフタル酸モノエステルと金
属アルコキシドとの反応は、無溶媒あるいは溶媒の存在
下のいずれであっても実施できるが、溶媒の存在下に実
施するのが好ましい。溶媒としては、水、プロトン性有
機溶媒、または非プロトン性有機溶媒が好ましく、特に
プロトン性有機溶媒が好ましい。たとえば、プロトン性
有機溶媒としては、アルコール類、グリコール類等が好
ましく、特にメタノール、エタノール、またはエチレン
グリコール等が好ましい。非プロトン性有機溶媒として
は、ジメチルアセトアミド、スルホラン等の非プロトン
性極性溶媒、トルエン、キシレン等の非プロトン性非極
性溶媒が好ましい。溶媒の量としては、通常の場合、テ
トラハロゲノフタル酸モノエステルの100重量部に対
して0.01〜1000重量部程度、好ましくは0.5
〜100重量部がよい。
【0035】また、テトラハロゲノフタル酸モノエステ
ルと、ヒドロキシ化合物および無機塩基を反応させる場
合、ヒドロキシ化合物としては、前記と同様のアルコー
ル類、または、ヒドロキシアリール化合物類が好まし
い。無機塩基としては、金属水酸化物、金属炭酸塩等が
好ましく、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物とし
ては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水
酸化物が好ましく、特にアルカリ金属水酸化物が好まし
い。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましく、特
に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。金
属炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類
金属炭酸塩等が好ましく、特にアルカリ金属炭酸塩がよ
い。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等
が好ましい。
【0036】ヒドロキシ化合物の量としては、テトラハ
ロゲノフタル酸モノエステルの1モルに対して、0.1
〜1000モル程度、好ましくは0.5〜100モルが
よい。また、無機塩基の量としては、テトラハロゲノフ
タル酸モノエステルの1モルに対して、0.01〜10
モル程度、好ましくは0.5〜3モルがよい。
【0037】テトラハロゲノフタル酸モノエステルと、
金属アルコキシド、または、ヒドロキシ化合物および無
機塩基との反応において、反応温度は、0〜300℃程
度、好ましくは10〜100℃、反応時間は、0.1〜
100時間、好ましくは0.5〜10時間程度がよい。
【0038】上記の反応において生成する4−置換−
3,5,6−トリハロゲノフタル酸−1−エステルは、
テトラハロゲノ無水フタル酸モノエタル酸モノエステル
が一般式(2)で表される化合物である場合には、一般
式(3)で表される。
【0039】
【化4】
【0040】ただし、一般式(3)において、X1 、X
2 、X4 、および、R1 は、一般式(2)と同一であ
る。R2 は、一価の置換基を示すが、アルキル基、フル
オロアルキル基、アリール基が好ましい。
【0041】上記の4−置換−3,5,6−トリハロゲ
ノフタル酸−1−エステルは、加水分解反応により4−
置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸とせしめる。
4−置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸−1−エ
ステルが一般式(3)で表される場合、4−置換−3,
5,6−トリハロゲノフタル酸は、一般式(4)で表さ
れる化合物である。
【0042】
【化5】
【0043】ただし、一般式(4)において、X1 、X
2 、X4 、および、R2 は、上記と同様である。
【0044】加水分解反応は、公知ないしは、周知の条
件に従って実施可能であり、通常、水の存在下、酸性ま
たは塩基性条件で行うことができる。酸としては塩酸、
リン酸、硫酸等が好ましい。塩基としては炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好まし
い。
【0045】水の量は、通常の場合、4−置換−3,
5,6−トリハロゲノフタル酸の1重量部に対して、
0.01〜1000重量部程度、好ましくは0.5〜1
00重量部がよい。酸または塩基の量は、4−置換−
3,5,6−トリハロゲノフタル酸の1モルに対して
0.001〜100モル程度、好ましくは0.01〜2
モルがよい。加水分解反応の反応温度は30〜220℃
程度、反応時間は0.01〜100時間程度、好ましく
は0.5〜10時間がよい。
【0046】上記の4−置換−3,5,6−トリハロゲ
ノフタル酸は、1位のカルボキシル基を脱炭酸反応せし
めることにより、3−置換−2,4,5−トリハロゲノ
安息香酸となる。なお、化合物の命名において、置換基
の結合位置は、フタル酸の場合は4位であるが、安息香
酸の場合には3位となる。たとえば、4−置換−3,
5,6−トリハロゲノフタル酸として、上記の一般式
(4)の化合物を採用した場合、1位のカルボキシル基
の脱炭酸反応によって一般式(5)で表される化合物が
生成し、該化合物は3−置換−2,4,5−トリハロゲ
ノ安息香酸と命名される。
【0047】
【化6】
【0048】ただし、一般式(5)において、X1 、X
2 、X4 、および、R2 は、上記と同様である。
【0049】脱炭酸反応は公知ないしは、周知の方法に
従って実施可能であり、加熱することによって実施する
ことができる。
【0050】また、脱炭酸反応は無溶媒または溶媒の存
在下のいずれであっても実施できる。溶媒としては、
水、プロトン性有機溶媒、非プロトン性極性有機溶媒、
または非プロトン性非極性有機溶媒が好ましい。プロト
ン性有機溶媒としては、エチレングリコール等のグリコ
ール類が好ましい。非プロトン性極性有機溶媒として
は、ジメチルアセトアミド、スルホラン等が好ましい。
また、非プロトン性非極性有機溶媒としては、トルエ
ン、キシレン等が好ましい。溶媒の量は、通常の場合、
4−置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸の100
重量部に対して0.01〜1000重量部程度、好まし
くは、0.1〜100重量部程度がよい。また、反応温
度は通常の場合、100〜220℃程度、反応時間は
0.5〜20時間程度が好ましい。
【0051】脱炭酸反応の際に、触媒を添加してもよ
い。触媒としてはトリエチルアミン、トリブチルアミ
ン、トリオクチルアミン等の3級アミン、アンモニア、
アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、フ
ッ化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等を用い
ることができる。また、硫酸、塩酸、p−トルエンスル
ホン酸等の酸触媒を加えてもよい。触媒の使用量は4−
置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸の1モルに対
して0.01〜10モル程度、好ましくは0.1〜5モ
ルがよい。
【0052】以上の反応によって得られる3−置換−
2,4,5−トリハロゲノ安息香酸としては、3−メト
キシ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸、3−エトキ
シ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸、3−(n−プ
ロポキシ)−2,4,5−トリフルオロ安息香酸、3−
トリフルオロメトキシ−2,4,5−トリフルオロ安息
香酸、3−フェノキシ−2,4,5−トリフルオロ安息
香酸、3−(4’−メトキシフェノキシ)−2,4,5
−トリフルオロ安息香酸等が挙げられる。
【0053】前記のテトラハロゲノフタル酸モノエステ
ルが一般式(2)である場合に、本発明の反応の全工程
は、以下の式で表すことができる。
【0054】
【化7】
【0055】ただし、上記の一般式(1)〜(5)にお
いて、X1 、X2 、X3 、X4 、R1 、およびR2 は、
上記と同様である。
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例について、さらに具体
的に説明するが、これらによって本発明が限定されるも
のではない。
【0057】[参考例1]還流コンデンサおよび撹拌機
を備えた、2リットルガラス製反応器にテトラクロロ無
水フタル酸500g (1.748モル) 、五塩化リン4
41g (2.10モル) 、オキシ塩化リン100gを仕
込み、混合物を撹拌することなく135℃に加熱した。
その後、134〜145℃に保ちながら18時間撹拌し
た。その後、減圧下、オキシ塩化リン、五塩化リンを留
去した。釜温を120℃に低下させ、トルエン200
g、ヘキサン2リットルを徐々に加え、一晩放置した。
結晶物をろ過し減圧乾燥すると3, 3, 4, 5, 6, 7
−ヘキサクロロ−1−[3H]−イソベンゾフラノン4
30.0gを得た。収率は72.1%であった。
【0058】[参考例2]還流コンデンサおよび撹拌機
を備えた100ccガラス製反応器に参考例1で合成し
た3, 3, 4, 5, 6, 7−ヘキサクロロ−1−[3
H]−イソベンゾフラノン80g(235モル)、スプ
レー乾燥フッ化カリウム109.0g(1.88モ
ル)、スルホラン320gを仕込み、激しく撹拌しなが
ら、130℃で5時間反応させた。その後、反応液から
蒸留分離を行い、3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタ
ロイルジフルオリドと3, 3, 4, 5, 6, 7−ヘキサ
フルオロ−1−[3H]−イソベンゾフラノンの混合物
(1:1)42.8gを得た。収率は75.2%であっ
た。
【0059】[参考例3]還流コンデンサおよび撹拌機
を備えた500ccガラス製反応器に、参考例2で合成
した3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタロイルジフル
オリドと3, 3,4, 5, 6, 7−ヘキサフルオロ−1
−[3H]−イソベンゾフラノンの混合物(1:1)1
00g(0.412モル)、炭酸ナトリウム43.8g
(0.413モル)およびキシレン200gを仕込み、
激しく撹拌しながら130℃で3時間反応させた。その
後、無機物をろ過により除き、蒸留分離を行い、3,
4, 5, 6−テトラフルオロ無水フタル酸83.1gを
得た。収率は91.5%であった。
【0060】[実施例1]還流コンデンサおよび撹拌機
を備えた100ccガラス製反応器に参考例1で合成し
た3, 4, 5, 6−テトラフルオロ無水フタル20g
(0.091モル)とメタノール40ccを仕込み、還
流下、2時間撹拌した。反応終了後、メタノールを留去
すると3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタル酸モノメ
チルエステル22.5gを得た。収率は98.0%であ
った。
【0061】[実施例2]還流コンデンサ撹拌機および
滴下ロートを備えた100ccガラス製反応器に実施例
1で合成した3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタル酸
モノメチルエステル10g(0.0397モル)のメタ
ノール20cc溶液を仕込み、その後、ナトリウムメト
キシドの10%メタノール溶液44.9g(0.083
3モル)を滴下した。還流下、1 時間撹拌した。反応終
了後、10%塩酸水で中和し、酢酸エチルで抽出を行っ
た。溶媒を留去すると、4−メトキシ−3, 5, 6−ト
リフルオロフタル酸モノメチルエステル9.14gを得
た。収率は87.2%であった。
【0062】[実施例3]還流コンデンサ撹拌機および
滴下ロートを備えた100ccガラス製反応器に実施例
1で合成した3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタル酸
モノメチルエステル10g(0.0397モル)のメタ
ノール20cc溶液を仕込み、その後、水酸化カリウム
4.6g(0.083モル)を加え、還流下、1時間撹
拌した。反応終了後、10%塩酸水で中和し、酢酸エチ
ルで抽出を行った。溶媒を留去すると、4−メトキシ−
3, 5, 6−トリフルオロフタル酸モノメチルエステル
8.2gを得た。収率は78.2%であった。
【0063】[実施例4]還流コンデンサ撹拌機および
滴下ロートを備えた100ccガラス製反応器に実施例
1で合成した3, 4, 5, 6−テトラフルオロフタル酸
モノメチルエステル10g(0.0397モル)のメタ
ノール20cc溶液を仕込み、その後、炭酸カリウム
8.21g(0.060モル)を加え、還流下、3時間
撹拌した。反応終了後、10%塩酸水で中和し、酢酸エ
チルで抽出を行った。溶媒を留去すると、4−メトキシ
−3, 5, 6−トリフルオロフタル酸モノメチルエステ
ル8.7gを得た。収率は83.1%であった。
【0064】[実施例5]100ccの3つ口フラスコ
に実施例2で合成した4−メトキシ−3, 5, 6−トリ
フルオロフタル酸モノメチルエステル10g(0.03
79モル)および10%水酸化ナトリウム水溶液20g
を仕込み、還流下、14時間撹拌した。反応終了後、1
0%塩酸水で中和し、酢酸エチルで抽出を行った。溶媒
を留去すると、4−メトキシ−3, 5, 6−トリフルオ
ロフタル酸8.9gを得た。収率は94.0%であっ
た。
【0065】[実施例6]100ccの3つ口フラスコ
に実施例5で合成した4−メトキシ−3, 5, 6−トリ
フルオロフタル酸10g(0.04モル)およびトリオ
クチルアミン14.2g(0.04モル)を仕込み、1
40℃で撹拌下4時間反応した。反応終了後、20%水
酸化ナトリウム水溶液30ccを加え撹拌した。水相を
分離し、10%塩酸水で中和し、酢酸エチルで抽出を行
った。溶媒を留去し、3−メトキシ−2, 4, 5−トリ
フルオロ安息香酸7.17gを得た。収率は87.0%
であった。
【0066】[実施例7]還流コンデンサおよび撹拌機
を備えた100ccガラス製反応器に参考例3で合成し
た3, 4, 5, 6−テトラフルオロ無水フタル酸10g
(0.0397モル)とメタノール20ccを仕込み、
還流下、2時間撹拌した。冷却後、ナトリウムメトキシ
ドの10%メタノール溶液42.8g(0.079モ
ル)を滴下した。次に、還流下、1 時間撹拌した。さら
に、10%水酸化ナトリウム水溶液15.9gを加え、
還流下、12時間撹拌した。冷却後、20%塩酸水8gを
加えた。さらに、トリオクチルアミン21.1g(0.
0596モル)およびキシレン40gを加え、撹拌し
た。有機層を分離し、140℃で2時間撹拌した。反応
終了後、20%水酸化ナトリウム水溶液30ccを加え
撹拌した。水相を分離し、10%塩酸水で中和し、酢酸
エチルで抽出を行った。溶媒を留去すると、3−メトキ
シ−2, 4, 5−トリフルオロ安息香酸6.7gを得
た。収率は81.5%であった。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、きわめて容易に、か
つ、高収率で3−置換−2,4,5−トリハロゲノ安息
香酸を得ることができる。本発明方法は、短段階であ
り、かつ、特殊な試薬や条件を必要としないため、工業
的にも非常に有利な方法である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 67/31 9279−4H 69/92 9279−4H // C07B 61/00 300

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テトラハロゲノ無水フタル酸とヒドロキシ
    化合物とを反応せしめてテトラハロゲノフタル酸モノエ
    ステルとし、該テトラハロゲノフタル酸モノエステルの
    エステル基に対するパラ位のハロゲン原子をR2 O基
    (ただし、R2 は、一価の置換基を示す。)に置換せし
    めて4−置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸−1
    −エステルとし、該4−置換−3,5,6−トリハロゲ
    ノフタル酸−1−エステルを加水分解反応せしめて4−
    置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸とし、該4−
    置換−3,5,6−トリハロゲノフタル酸を脱炭酸反応
    せしめることを特徴とする3−置換−2,4,5−トリ
    ハロゲノ安息香酸の製造方法。
  2. 【請求項2】テトラハロゲノ無水フタル酸がテトラフル
    オロ無水フタル酸である請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】ヒドロキシ化合物がアルコール類またはヒ
    ドロキシアリール化合物類である請求項1または2の製
    造方法。
  4. 【請求項4】ヒドロキシ化合物とともに酸または塩基を
    存在させる請求項1〜3のいずれかの製造方法。
  5. 【請求項5】脱炭酸反応を触媒の存在下に実施する請求
    項1〜4のいずれかの製造方法。
  6. 【請求項6】3−置換−2,4,5−トリハロゲノ安息
    香酸が3−アルコキシ−2,4,5−トリフルオロ安息
    香酸、3−フルオロアルコキシ−2,4,5−トリフル
    オロ安息香酸、または3−アリールオキシ−2,4,5
    −トリフルオロ安息香酸である請求項1〜5のいずれか
    の製造方法。
  7. 【請求項7】テトラハロゲノフタル酸モノエステルのエ
    ステル基に対するパラ位のハロゲン原子をR2 O基(た
    だし、R2 は、一価の置換基を示す。)に置換せしめる
    ことを特徴とする4−置換−3,5,6−トリハロゲノ
    フタル酸−1−エステルの製造方法。
  8. 【請求項8】テトラハロゲノフタル酸モノエステルのエ
    ステル基に対するパラ位のハロゲン原子をR2 O基(た
    だし、R2 は、一価の置換基を示す。)に置換せしめる
    際に、金属アルコキシド、または、ヒドロキシ化合物お
    よび無機塩基を存在せしめることを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかの製造方法。
  9. 【請求項9】金属アルコキシドがナトリウムメトキシド
    またはカリウムメトキシドである請求項8の製造方法。
  10. 【請求項10】ヒドロキシ化合物が、アルコール類また
    はヒドロキシアリール化合物類である請求項8の製造方
    法。
  11. 【請求項11】無機塩基が金属水酸化物または金属炭酸
    塩である請求項8の製造方法。
JP6034681A 1994-02-23 1994-03-04 3−置換−2,4,5−トリハロゲノ安息香酸の製造方法 Pending JPH07242594A (ja)

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ES95102026T ES2126798T3 (es) 1994-02-23 1995-02-14 Procedimiento de preparacion de anhidrido tetrafluoroftalico.
EP98109043A EP0877011A1 (en) 1994-02-23 1995-02-14 Processes for producing tetra-fluorophthalic anhydride and fluorobenzoic acids
EP95102026A EP0669310B1 (en) 1994-02-23 1995-02-14 Processes for producing tetrafluorophthalic anhydride
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005108341A1 (ja) * 2004-05-11 2005-11-17 Kuraray Co., Ltd. 3−オキソシクロペンタン−1−カルボン酸またはそのエステルの製造方法
JP2010013464A (ja) * 1998-03-09 2010-01-21 Dow Agrosciences Llc 安息香酸類の製造方法

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