JPH07238644A - 傾斜雨樋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 勾配の大きさに関わらず相当量までの降水量
に対して確実に雨水を処理できる傾斜雨樋を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 傾斜する横樋２と、この横樋に連結される複
数の竪樋５と、横樋を流れる雨水を遮る仕切板４とを有
し、横樋において竪樋に連通する各穴の雨水進行方向下
流側端部近傍に雨水の進行を遮る仕切板を配設してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は組立式の屋根を有するエ
クステリアに関し、特に屋根が傾斜を持つ場合の桁に設
けられる雨樋の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】組立式の屋根を有するエクステリアとし
ては、シェルター、ポーチ、エントランスフード、回廊
とも呼ばれる組立日除け、公園や停留所の組立日除け、
或いは自転車置き場やカーポートの陽射し除けやテラス
等がある。これらはいずれも同等なる構造を有している
ものであるが、例えば通路シェルター２０が斜面或いは
階段３０等の傾斜部に高低差をもって敷設された場合に
おいて、その構造は図４に示すように、柱２３、桁２
５、棟木２６、屋根パネル２８、垂木２７とよりなる。
そして屋根パネル２８上に降った雨水を処理するために
桁２５に沿って横樋２２が配設され、さらに横樋２２を
流れる雨水を地表に排出するために図示せぬ竪樋が通常
設けられる。

【０００３】この様子を図５にさらに詳細に示すと、傾
斜部に設けられる組立式の屋根においては、垂直に立て
られた柱２３、２３’上端に支持部材３０、３０によっ
て傾斜をもって桁２５が固定される。そしてボルト３１
等の固定具により桁２５に沿って横樋２２が傾斜して配
設され、その最下端部３５において接続管３３を介して
竪樋３２に接続される。竪樋３２は柱２３に沿ってその
内部に付設される。

【０００４】したがって屋根パネル上に降った雨は横樋
２２に集合し、その内部を傾斜に沿って流れることとな
る。しかし横樋２２の最下端部３５に近い側では付近の
屋根から集合する雨の量と横樋２２の上流から勢い良く
流れ込む雨の量が合算されるため、竪樋３２の排水能力
をすぐに越えてしまい、これら集合した雨水が竪樋３２
に入りきらず横樋２２の最下端部３５から溢れて結局通
行人に掛かってしまうという状態がしばしば起こってい
た。

【０００５】こうしたことから、最下端の竪樋へ流れ込
む雨水の流速を少しでも緩和せんとして例えば特開昭５
９−１３２８３３号に開示されるような手段が取られて
きた。これは必ずしも組立屋根用の手段とは言い難いも
のの、組立屋根の樋にも適用可能な技術であって、図６
に示すように谷樋４１内部の下端近傍に突起部４２を設
けて、谷樋４１との間にできる雨水溜４３に少しずつ雨
水を溜めて、一旦減速した後次の突起部４２’による雨
水溜４３’に雨水を引き渡すというものである。このこ
とを繰り返すことにより雨水の流下速度を減じることが
でき、したがって図示せぬ竪樋への雨水の導入を円滑に
することができる、とされる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
ような従来技術による手段においては、以下のような問
題があった。すなわち、突起部４２、４２’４２”によ
って横樋を流れる樋の流速を減じることは十分にできる
が流量を減じることは結局のところできず、したがって
竪樋での排水処理可能な量は若干増えるものの大幅に向
上することはなかった。

【０００７】また雨水溜４３、４３’４３”には雨水が
常時滞留することになるので、雨が降らないときにもな
かなか乾燥せず不衛生になることがあった。

【０００８】さらには通常の横樋であれば雨水と共に流
されてしまうような細かい塵埃等がこの雨水溜４３、４
３’４３”にせき止められしまい、溜まってゆくため結
局比較的短時間の内に雨水溜としての効果を果たせなく
なってしまうという問題点を有していた。

【０００９】したがって本発明は従来の組立屋根用の横
樋が、とりわけ勾配を有して設けられる場合に上記した
問題点を有していることに鑑みてなされたものであっ
て、勾配の大きさに関わらず相当量までの降水量に対し
て確実に雨水を処理できる傾斜雨樋を提供することを目
的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本願発明者は、傾斜雨樋
においては下にゆくほど雨水の量が累積されること、ま
た流速が増してゆくことに着目し、雨水が一定の距離を
流れる間に確実に処理される方法について検討した結果
本発明に想到したものである。

【００１１】すなわち本発明の傾斜雨樋においては、傾
斜する横樋と、この横樋に連結される複数の竪樋と、横
樋を流れる雨水を遮る仕切板とを有し、横樋において竪
樋に連通する連通穴の雨水進行方向下流側端部近傍に雨
水の進行を遮る仕切板を配設してなることを特徴とす
る。

【００１２】

【作用】したがって本発明によれば、傾斜する組立屋根
上に降った雨は近傍の横樋に流れ込み、横樋内を下流へ
と流れてゆく。そして所定の位置に設けられた竪樋に連
通する穴の下流側で仕切板が横樋を遮って形成されてい
るのでここで一旦雨水がせき止められる。せき止められ
た雨水は直前にある竪樋に連なる連通穴へと導かれ、竪
樋を落下し地表へと排水される。

【００１３】また傾斜あるいは組立屋根が取り付けられ
る地方の降水量に合わせて一定の裕度を持って竪樋の数
を複数設定し、かつ各竪樋でそこまで流れてきた雨水の
総てを処理してしまうため、各竪樋を落下する雨水の量
はほぼ変わらず、次への竪樋へと累積されることがな
い。同時に雨水は横樋内を長い距離に渡って流れること
がないため一定以上の速度にはならず、確実に連通穴に
導かれる。したがって組み立て屋根上に降った雨の総て
を、溢れさせることなく地表に処理することができる。

【００１４】

【実施例】以下に本発明の傾斜雨樋について図面に基づ
いて詳細に説明する。図１は本発明の傾斜雨樋の実施例
を示す図である。すなわち、垂直に立てられた柱６、６
の上端に支持部材７、７によって傾斜をもって桁１が固
定される。そしてボルト３等の固定具により桁１に沿っ
て横樋２が傾斜して配設される。さらに各柱６、６毎に
対応して横樋２に連通穴９、９が設けられ、その連通穴
９、９の下流側端部に面して仕切板４、４が設けられ
る。一方連通穴９、９は接続管８、８を経て竪樋５、５
へと連通しており、竪樋５、５は美観の向上と、竪樋
５、５の保護を目的として柱６、６の内部へと収納され
てなる。

【００１５】このような傾斜雨樋を有する組立屋根に降
雨した場合の雨水の所作について説明する。屋根パネル
上に降った雨水は両脇の横樋２に集合し、横樋２内を下
ってゆく。そして至近の仕切板４に達したところでせき
止められて溜まろうとするが、仕切板４の直前には連通
穴９が配されているので、せき止められた雨水はこの連
通穴９より接続管８、竪樋５を経て地上へと排出され
る。

【００１６】同様のことが各仕切板４、４において同時
に進行するので、横樋２を流れる雨水は累積することが
なく、したがって相当量の雨水が確実に竪樋５へと導か
れることとなる。このことは単に複数の竪樋５、５を設
けたことによって達成されるものではなく、各竪樋５、
５毎に対応してかつ連通穴９の下流側端面近傍に仕切板
４を設けて初めて実現するものである。何となればもし
仕切板４がない場合には横樋２の上流に集合した雨水の
一定量は至近の連通口９へと導かれるものの、その流速
を減じる手段がないために一部は連通穴９を通過してし
まい、下流側の雨水と合流することとなる。このことに
より雨水流量の累積と流速の加速がなされ結局従来例の
欠点を若干緩和する程度に留まってしまうからである。

【００１７】図２は本発明の実施例の仕切板４近傍の構
造を詳しく示す断面図である。また図３は図２の平面図
である。図２、図３中、桁１にボルト３で固定された横
樋２には仕切板４が横樋２を遮るようにして設けられ
る。そして仕切板４の上流側には連通穴９が穿たれ、接
続管８を経て竪樋５へと連なっている。また横樋２の断
面形状に一致する仕切板４にはネジ穴１３を立てたネジ
受け部１１が設けられ、横樋２の所定の位置に張り出し
て設けられた固定フランジ１２へネジ１０により固定さ
れる。本実施例では仕切板４の固定はこのようにネジ止
めを用いているが、横樋２に仕切板４の厚みと略一致す
るスリ割りを設けてそこに勘合させるという手段を用い
ても差し支えない。

【００１８】このようにして横樋２の排水口となる連通
口９が仕切板４の直前に設けてあるので仕切板４でせき
止められた部位に雨水が滞留することはなく、晴れた日
に残留した水に生物が発生する等の不衛生さを生じるこ
とはない。また塵埃等が堆積して仕切板４のせき止め機
能を低下させるということもない。

【００１９】

【発明の効果】以上に説明したように本発明の傾斜雨樋
によれば、複数設けた竪樋毎に仕切板を設けて横樋をせ
き止めるため、雨水を下流へと逃がさないので、横樋を
流れる雨水が下流にゆくほど累積されず、また一定以上
に流速が加速されない。したがって流れてきた雨水を確
実に竪樋へと導くことができるので、雨水が横樋から溢
れることなく、組立屋根の下を通過する通行人を濡らす
ことがないという効果を奏する。

【００２０】また本発明の傾斜雨樋によれば、竪樋へと
連なる連通口の下流側端部近傍に仕切板を設けてせき止
めるので、雨水が残留したり、或いは流されてきた塵埃
が堆積することがなく、したがって雨樋の美観を長期に
渡って保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例に関わる傾斜雨樋の部分側面
図である。

【図２】 本発明の実施例に関わる傾斜雨樋の断面図で
ある。

【図３】 本発明の実施例に関わる傾斜雨樋の平面図で
ある。

【図４】 一般的な傾斜した組立屋根の構造図である。

【図５】 一般的な傾斜雨樋の部分側面図である。

【図６】 従来例に関わる突起を用いた谷樋の部分斜視
図である。

【符号の説明】

１、２５・・・・・・・・・・・・・・桁 ２、２２・・・・・・・・・・・・・・横樋 ３、３１・・・・・・・・・・・・・・ボルト ４・・・・・・・・・・・・・・・・・仕切板 ５、３２・・・・・・・・・・・・・・竪樋 ６、２３、２３’・・・・・・・・・・柱 ７、３０・・・・・・・・・・・・・・支持部材 ８・・・・・・・・・・・・・・・・・接続管 ９・・・・・・・・・・・・・・・・・連通穴 １１・・・・・・・・・・・・・・・・・ネジ受け部 １２・・・・・・・・・・・・・・・・・フランジ ２０・・・・・・・・・・・・・・・・・組立式屋根 ２６・・・・・・・・・・・・・・・・・棟木 ２７・・・・・・・・・・・・・・・・・垂木 ２８・・・・・・・・・・・・・・・・・日除けパネル ４１・・・・・・・・・・・・・・・・・谷樋 ４２、４２’、４２”・・・・・・・・・突起部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 以下を特徴とする傾斜雨樋。 傾斜する横樋を有する。 横樋に連結される複数の竪樋を有する。 横樋を流れる雨水を遮る仕切板を有する。 横樋において竪樋に連通する連通穴の雨水進行方向下
   流側端部近傍に雨水の進行を遮る仕切板を配設してな
   る。