JPH07236888A - 電解水および酸化電位水生成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 流路を切り換える弁体を用い、しかも、水中
に溶存する塩素イオンを利用することにより、電解水お
よび酸化電位水を自在に得る。 【構成】 弁体４を切り換えて電解水生成流路１にする
と、水道水などの原水は原水中に含まれる臭気や着色物
などの有機物質や塩素を除去する活性炭等が充填された
浄水器７を通過して塩素が除かれた後、電解槽３に流入
する。他方、弁体４を切り換えて酸化電位水生成流路２
にすると、水道水などの原水は電解水生成に較べて電解
槽への流入量が絞られる一方、浄水器７を通過すること
なく電解槽３に流入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、一般家庭の水道水の
蛇口に接続して使用し、電解水および酸化電位水を所望
によって切り換え生成できる装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】活性炭等の濾過装置を介して水道水等の
原水に含まれる臭いや着色成分、汚濁成分および殺菌用
の塩素等を除去した後、所望によって健康に有用とされ
る薬液を前記原水に添加した後密閉された電解槽に供給
し、電解槽内のイオン浸透性隔膜を介して分離した陰陽
極間に直流電流を通電して、水の電気分解およびイオン
浸透作用を行い、陰極側にはアルカリ水を、陽極側には
酸性水を生成し、これを各別の吐出口に吐水しアルカリ
水を飲用等としてまた酸性水をアストリンゼン液等に利
用する電解水生成装置がある。

【０００３】例えば、図６に示す家庭用の連続式電解水
生成装置、実開平３−１２３５９５号の装置において
は、箱体５に収納した構成部品である給水の流入路、流
出路、電解槽への流出入路および必要外の水を排除させ
る排水口等を集合させてなる流路制御ユニツト９、全部
の原水を通過させ原水汚濁物質等を取り除く浄水器７、
浄水器を通過させた原水の一部に電解促進剤を添加する
ための助剤添加器６等を介して原水を電解槽３に給水
し、図示しない電解強度を可変するための電解槽の電極
に印加する電圧を可変する手段や極性を反転させる機構
をもって電解を行い、陰極室から吐水するアルカリ水を
吐水管８を介して吐水すると共に極室の洗浄等に用いた
不要な水を流路制御ユニツトを介して排水している。

【０００４】これとは別に、水道水等の原水に食塩など
の電解質を一定の割合で添加して密閉された電解槽に導
入し、電解槽内のイオン浸透性隔膜を介して分離した陰
陽極間に直流電流を通電して、水の電気分解およびイオ
ン浸透作用を行い、陰極側には陰極水を、陽極側には陽
極水を生成し、陰極水は排水し、陽極水を殺菌性水とし
て使用する酸化電位水生成装置がある。

【０００５】酸化電位水は消毒、殺菌水として効果のあ
ることは良く知られている。例えば、特開平１−２２８
５８９号において、原水に食塩を添加して生成される低
ｐＨの陽極水は消毒、殺菌水として効果あることが公開
されている。しかも、この酸化電位水には有機殺菌液の
ような殺菌性のある薬剤を投入しないため、有害な物質
を含まず薬剤の残留性がないため信頼のできる消毒、殺
菌水として重宝されている。

【０００６】このような酸化電位水生成には従来、電解
質、例えば、食塩を補給しなければならず、しかも、電
解質を一定の割合で添加する等の複雑な操作を必要とす
るため、また、病院等の消毒、殺菌水として使用される
ため装置は大型で家庭で容易に使用するには使用し難い
ものであった。他方、酸化電位水を家庭用の、例えば、
まな板や食器洗浄、布巾の洗浄や手洗い用、および、う
がい用の消毒、殺菌水として使用することが所望されて
いる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、家庭
用の連続式電解水生成装置を電解水生成装置として使用
できると共に、連続式酸化電位水生成装置としても使用
できる装置を提供しようとするものである。

【０００８】水道水等の原水の殆どは河川などの地表水
に起因するもので、海水が蒸発して雨水となり地中に浸
漬したものである。従って、蒸発の過程で海水中に含ま
れている物質が蒸発と共に、もしくは飛散によって混入
して水道水中に含まれる。水道水等にはこのような生因
の塩素イオンが含まれている。また、殺菌のため塩素を
添加することもよく知られている。添加された塩素の一
部は解離し、Ｃｌイオンや次亜塩素酸イオンを生成す
る。本発明は前記Ｃｌイオンもしくは次亜塩素酸イオン
を電解質として利用すると共に、電解槽に流入する原水
量を単位通電電気量が増加して酸化電位水生成に適合す
るように絞りこんで電解することにより、電解質を添加
することなく酸化電位水を得るものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】そこで本発明はその目的
を達成するため、イオン透過性隔膜で分割され、陰電極
を挿入した陰極室と陽電極を挿入した陽極室との陰陽電
極間に直流電圧を印加し、電解槽の電解強度を可変する
印加電圧可変手段を設け、連続して電解槽に流入した原
水を電解する装置において、陰陽極室の夫夫へ給水する
原水を少なくとも二方向に流路変更する弁体を設けると
共に、前記流路変更された原水の少なくとも１流路に塩
素イオンおよび次亜塩素酸イオンを除去するに適合する
浄水器が付設され、少なくとも他の１流路は原水がその
まま流入する流路をもって構成されている。

【００１０】前記弁体は外郭内に回動自在に係合する閉
子と、閉子に電解水および酸化電位水生成に必要な原水
を供給制御する貫通孔を夫夫穿設し、前記夫夫の貫通孔
は回動方向に偏位した角度をもって穿設していることを
要旨とするものである。

【００１１】

【作用】本発明は、電解槽に供給する原水を用途によっ
て電解水生成と酸化電位水生成とに流路を切り換える弁
体を用い、しかも、前記弁体は電解水生成のときは酸化
電位水生成流路は閉塞され、逆に酸化電位水生成のとき
は電解水生成流路は閉塞されるので、所望によって、電
解水および酸化電位水を自在に生成できる。また、酸化
電位水生成に要する食塩などの電解質は水中に溶存する
塩素イオンを利用するので、酸化電位水生成のための電
解質およびその添加装置を必要としない。

【００１２】

【実施例】図１および図２は本発明に関わる電解・電位
水生成装置の動作説明図である。図３、図４、図５およ
び図６と同じ作用・機構を示す部材には同じ符号を表示
している。図１および図２は部材の配置に対応して弁体
の位置を自在に変更して使用することができることを示
す。その作用効果は同じである。１は電解水生成流路で
あり、２は酸化電位水生成流路で、３は両生成装置の共
通の電解槽である。４は電解水生成流路と酸化電位水生
成流路を切り換える弁体である。

【００１３】弁体４を切り換えて電解水生成流路１にす
ると、水道水などの原水は原水中に含まれる臭気や着色
物などの有機物質や塩素を除去する活性炭等が充填され
た浄水器７を通過して前記有機物や塩素が除かれた後、
電解槽３に流入する。ここで電解槽内の隔壁で分割され
た陰陽極室の夫夫に配設した陰陽電極に直流電圧を印加
して電解作用およびイオン浸透作用を行い陰極室よりア
ルカリ水を陽極室より酸性水を吐出させ夫夫飲料水およ
びアストリンゼン水として使用する。

【００１４】他方、弁体４を切り換えて酸化電位水生成
流路２にすると、水道水などの原水は電解水生成に較べ
て電解槽への流入量が絞られる一方、浄水器７を通過す
ることなく電解槽３に流入する。ここで電解槽内の隔壁
で分割された陰陽極室の夫夫に配設した陰陽電極に直流
電圧を印加して電解作用およびイオン浸透作用を与え陰
極室から陰極水が陽極室から酸化電位水が吐出する。こ
の状態で吐出する酸化電位水は通常ｐＨ２．８、酸化還
元電位（ＯＲＰ）１０５０程度を示し、消毒、殺菌水と
して十分に機能する。なおこの際、同時に吐出する陰極
水は通常は排出されるが、ｐＨ１２以上を確保できるの
で高ｐＨを要求される各種用途、例えば、酸の中和剤等
として使用できる。

【００１５】電解水生成流路１、酸化電位水生成流路
２、電解槽３および弁体４は密閉流路を形成しているの
で、電解水生成流路１が開放されているときには酸化電
位水生成流路２は閉塞され、逆に酸化電位水生成流路２
が開放されているときには電解水生成流路１は閉塞され
る。電解槽の原水流入口直前において両流路は合流され
るが、相互の流入水が混入する虞れはない。

【００１６】前記説明において、前記弁体は電解水およ
び酸化電位水についての２経路を分けるものについて述
べたが、３経路以上に分けその内の２経路を電解水用、
他を酸化電位水用に使用することもできる。この場合、
電解水用の２経路には相異なる能力を持つ浄水器を付設
することができる。一方の浄水器には粒子径で規定す
る、例えば、中空糸のようなある粒子以上の汚濁物質や
細菌等を阻止するのに適合する部材で構成し、他の浄水
器には主として原水に含有する化学物質を除去する活性
炭等を含有するものを夫夫付設できる。

【００１７】図３は弁体の一実施例を示す図である。弁
体１０は外郭１１に開口した孔１２に内挿、係合する回
動自在な閉子１３から構成している。閉子１３には電解
水生成流路として作用する流通孔１４と流通孔１４と一
定の偏位角度をもって酸化電位水生成流路として作用す
る流通孔１４より小径の流通孔１５が貫通している。そ
してパルスモータなどの回転角度を正確に調整できる駆
動装置１６に連結している。外郭１１には水道水等の原
水を夫夫の流通孔１４、１５に流入する管口部１７と弁
体を通過した供給水を流出するが管口部１８、１９があ
る。なお、図において閉子１３は円柱状に示されている
が、円錐形状であっても同じ作用、効果を得ることがで
きる。

【００１８】例えば、任意の閉子の直径に対して夫夫の
孔径を 閉子の直径／２≧孔径 … ａ と定め、しかも夫夫の孔径に通ずる管口部１７、１８、
および１９の流路直径を孔径 … ａより小径とした場
合、偏位角を設けることにより、閉子に両流路が切り換
わる閉塞位置が生じ、電解水と酸化電位水が混合する虞
れがなくなる。しかも、流通孔１５を流通孔１４より小
径としているので更に安全である。このようにして流路
を酸化電位水側に切り換える場合、ｐＨ２．８，ＯＲＰ
１０５０の酸化電位水を８００〜１０００cm³／分得る
ことができる。

【００１９】図４は弁体の閉子の別な実施例を示す図で
ある。図において、弁体には図２に示したのと同様の外
郭が形成され、回動自在な円錐形状の閉子２３が内挿さ
れている。閉子２３には電解水生成流路として作用する
流通孔２４と流通孔２４と一定の偏位角度をもって酸化
電位水生成流路として作用する同径の流通孔２５が貫通
している。そして閉子２３は回転角度を正確に調整でき
る駆動部材に連結している。なお、駆動部材として公知
の各種方法が使用できる。

【００２０】例えば、電解槽の陰陽電極への印加電圧を
２５Ｖ、閉子２３の上部に穿設した電解水生成流路用の
孔径を７mmとし、下部に穿設した酸化電位水用の孔径を
７mmとし夫夫の孔の偏位角度を１１１°として流路を酸
化電位水側に切り換える場合、上記同様のｐＨ２．８，
ＯＲＰ１０５０の酸化電位水を８００〜１０００cm³／
分得ることができる。

【００２１】図５は本発明の弁体の別な実施例で図２に
実施できるように図示している。弁体は外郭３１に内
挿、係合する閉子３３の回転軸と平行して電解水および
酸化電位水生成に必要な原水を供給制御する貫通孔を穿
設した回動自在な閉子３３から構成している。閉子３３
には電解水生成流路として作用する流通孔３４と流通孔
３４と一定の偏位角度をもって酸化電位水生成流路とし
て作用する流通孔３５が貫通している。そして左右に回
動可能な回動角度を正確に調整できる駆動装置１６に連
結している。外郭３１には水道水等の原水および浄水器
からの原水を夫夫の流通孔３４、３５に流入する管口部
３８、３９と弁体を通過した供給水を流出する管口部３
７がある。

【００２２】流通孔３４と流通孔３５の孔形状を円形で
はなく、例えば、柿の種形状にするることにより、弁体
を電解水生成流路と酸化電位水生成流路との切り換える
だけではなく流量の制御弁としても機能させることがで
きる。

【００２３】図１において、電解槽陰陽極室への原水流
入路は合併されているが、これらを独立に設けて例え
ば、陰極室への流入路に健康剤を添加するための健康剤
添加器等を自在に配置することができる。これらは例示
にすぎず、以上説明した実施例以外にも本発明の枠を逸
脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。

【００２４】

【発明の効果】電解槽に供給する原水を用途によって電
解水生成と酸化電位水生成とに流路を切り換える弁体を
用い、しかも、前記弁体は電解水生成のときは酸化電位
水生成流路は閉塞され、逆に酸化電位水生成のときは電
解水生成流路は閉塞されるので、簡易な装置に拘らず、
所望によって、電解水および酸化電位水のいずれかを自
在に生成できる。

【００２５】酸化電位水生成に要する食塩などの電解質
は水中に溶存する塩素イオンを利用するので、酸化電位
水生成のため、電解質およびその添加装置を必要としな
い。このため安価に酸化電位水を生成できる。

【００２６】電解水生成と酸化電位水生成のための電解
槽を共通部材として使用し、装置全体をコンパクトに構
成することができ、しかも設置後の維持管理において
も、点検修理等が容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に関わる電解・電位水生成装置の動作説
明図である。

【図２】本発明に関わる電解・電位水生成装置の動作説
明図である。

【図３】本発明の弁体の一実施例を示す図である。

【図４】本発明の弁体の閉子の別な実施例を示す図であ
る。

【図５】本発明の弁体の別な実施例を示す図である。

【図６】従来例の連続式電解水生成装置の例である。

【符号の説明】

１ 電解水生成流路 ２ 酸化電位水生成流路 ３ 電解槽 ４ 弁体 １０ 弁体 １１ 外郭 １２ 孔 １３ 閉子 １４ 流通孔 １５ 流通孔 １６ 駆動装置 １７ 管口部 ２３ 閉子 ２４ 流通孔 ２５ 流通孔 ３１ 外郭 ３３ 閉子 ３４ 流通孔 ３５ 流通孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 イオン透過性隔膜で分割され、陰電極を
   挿入した陰極室と陽電極を挿入した陽極室との陰陽電極
   間に直流電圧を印加し、電解槽の電解強度を可変する印
   加電圧可変手段を設け、連続して電解槽に流入した原水
   を電解する装置において、原水を少なくとも二方向に流
   路変更する弁体が設けられ、前記流路変更される原水の
   少なくとも１流路に塩素イオンおよび次亜塩素酸イオン
   を除去するに適合する浄水器が付設され、少なくとも他
   の１流路は原水がそのまま流入する流路をもって構成さ
   れ、電解槽に流入していることを特徴とする電解水およ
   び酸化電位水生成装置。
2. 【請求項２】 前記弁体は外郭内に回動自在に係合する
   閉子と、閉子の円周上下方向に電解水および酸化電位水
   生成に必要な原水を供給制御する貫通孔を夫夫穿設し、
   前記夫夫の貫通孔は回動方向に偏位した角度をもって穿
   設していることを特徴とする請求項１記載の電解水およ
   び酸化電位水生成装置。
3. 【請求項３】 前記弁体は外郭内に回動自在に係合する
   閉子と、閉子の回転軸と平行して電解水および酸化電位
   水生成に必要な原水を供給制御する貫通孔を夫夫穿設
   し、前記夫夫の貫通孔は回動方向に偏位した角度をもっ
   て穿設していることを特徴とする請求項１記載の電解水
   および酸化電位水生成装置。