JPH0723447B2 - 熱硬化性成形材料 - Google Patents

熱硬化性成形材料

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JPH0723447B2
JPH0723447B2 JP60147513A JP14751385A JPH0723447B2 JP H0723447 B2 JPH0723447 B2 JP H0723447B2 JP 60147513 A JP60147513 A JP 60147513A JP 14751385 A JP14751385 A JP 14751385A JP H0723447 B2 JPH0723447 B2 JP H0723447B2
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宏伊 杉山
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は人造大理石製品等の製造分野で利用される熱硬
化性成形材料に関するものである。 従来の技術 近年住宅機器、家具、建築等の分野での需要が急増して
いる人造大理石等の所謂人工石製品に対しては視覚的要
素、つまり高級感を求める傾向が非常に強くなってい
る。この高級感なる語の内容は、 (1) 表面が平滑で光沢があること。 (2) 視覚的深み、換言すれば透明感があること。 (3) ある程度以上の肉厚を有すること。 等であると考えられる。 かかる市場の要請は既に従来の技術によって応えられ、
相応の製品が今日豊富に上市されていることは周知の通
りである。 此所で先ず、その材料技術の要点を招介すると、前記の
外観的要素の他に機械的並びに熱的特性、耐水性等の面
から現在不飽和ポリエステル樹脂系の材料とメタクリル
樹脂系の材料が主流をなしているが、更に難燃性および
経済性と云う二つの重要な要素を加えると、不飽和ポリ
エステル樹脂系材料に的が絞られる。 ではその材料を以て如何にして前記(1)〜(3)の要
請に応え得るかと云えば、(1)に関しては成形時の収
縮を少なくすることが有効な手段であり、それには樹脂
の組成を改良する、例えばポリエステル成分に対する架
橋用モノマー成分の割合を少なくする方法、低収縮化
剤、一般的には熱可塑性重合体を配合する方法、無機質
充填剤を大量に配合する方法、ガラス繊維の如き繊維状
補強剤を比較的少量配合する方法等が知られている。
(2)に就いては不飽和ポリエステル樹脂が本来有する
透明性を出来る丈維持することであるが、一般的に云っ
て、(1)の為にとられる上記の各手段はそれを阻害す
る方向に働く。しかし乍ら、低収縮化剤として例えばス
チレン系重合体を選び、充填剤として水酸化アルミニウ
ムを用いれば、一応市場要求に合った程度の透明性(正
確には半透明性)が得られることが知られている。 (3)の肉厚の問題は経済性との繋りもあり、またそれ
と商品特性、つまりロットサイズ、意匠的バリエーショ
ン等からくる設備費に対する制約から、充填剤を高濃度
に配合した低粘度材料の低圧乃至無圧成形法、特に流し
込み成形法、注入成形法等が多くの場合に採用される。
それらは必然的に、ガラス繊維不含乃至低濃度含有材料
の使用を促す。その場合に特に問題になるのが成形時に
発生するクラックであるが、それを回避する為には上記
の低収縮化の為の各要員を旨くバランスさせた組成の材
料を用い、かつ、これが重要なポイントであるが、あま
り高い成形温度を用いずに時間をかけて硬化させる必要
がある。高温高速成形になればなるほどクラックに関し
ては不利であり、かつ透明性も悪くなるのである。た
だ、人工石製品の分野にも最近シートモールディングコ
ンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウン
ド(BMC)に類似した形態の材料を用いる圧縮成形の如
き高速機械成形化の方向が一部採用されはじめ、クラッ
ク、透明性および生産性がかなりの調和を見るに到った
と云う例はある。しかしそれらの方法では表面光沢の良
い製品が得がたく、またゲルコートが困難乃至不可能な
こと、更には設備費等、かなりの問題が残存している。 最後に難燃化の問題に関しては、それ自体難燃化効果を
有する水酸化アルミニウムが前述の如く製品外観に対し
ても幣害が少なく、これの大量配合が最良の方法と考え
られ、この問題は一応解決済みと看される。 発明が解決しようとする問題点 以上述べた如く、人工石製品の製造分野で重要視される
製品の外観の問題は、難燃化の問題とともに従来技術の
範囲内で基本的には一応解決しており、残る大きな問題
は生産性を如何に高めるかと云うことに存ると思われ
る。本発明は単純にこの問題を解決すると云う丈でな
く、当該製品の製法として最も理想的と思われる高温低
圧注型法、特にトランフファー成形およびインジェクシ
ョン成形の如き典型的な高速機械成形法にも適用でき、
しかもゲルコート加工をも可能にする低粘度、高充填か
つ低補強型の、そして勿論透明感が有り、クラックや白
化の無い難燃性乃至準不燃性の成形物が得られる成形材
料を提供しようとするものである。目指す材料は、勿論
室温硬化型の処方にすることもできるが、室温での長期
間保存ができる高温(例えば80〜160℃)硬化型とした
場合にも、上記の特性を維持できると云った、いわば最
も理想的な水準に目標を置いたものである。 以上の如き性能の面丈でなく、本発明は材料の価格、実
施の容易さ等を含めて、問題点を総合的に解決しようと
するものである。 問題点を解決するための手段 α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水
物および場合により、と云うよりもむしろ通常使用され
る飽和ジカルボン酸またはその無水物から主としてなる
多塩基酸成分とグリコールを主成分とする、または専ら
グリコールよりなる多価アルコール成分とのポリエステ
ル化反応により得られる不飽和ポリエステルのビニルモ
ノマーまたはアリルモノマー溶液が通常の不飽和ポリエ
ステル樹脂であり、これにラジカル硬化剤や充填剤を配
合したものが既述の用途において一般的に使用されて来
た従来の材料であることは衆知の事項である。またエポ
キシ樹脂のアクリル酸変性物であるエポキシアクリレー
トを用いた同上のモノマー溶液(通常ビニルエステル樹
脂)を基礎とする同様の成形材料についても、一部同じ
用途への試用が行なわれている。しかし実用化が進展し
ているのは云うまでもなく、前者、即ち通常の不飽和ポ
リエステル樹脂系の材料である。 これらの樹脂の使用により本発明の目指すところが達成
できないことは述べた通りであり、本発明者も実際、種
々の検討を行なったが成功しなかった。 そこで試みたのが、実質的に主鎖中に不飽和結合を含ま
ない線状ポリエステルのアクリル酸変性物(ポリエステ
ルアクリレート)で前記不飽和ポリエステルを置換した
形の樹脂溶液(ビニル系モノマー溶液)の評価である
が、これを用いた成形材料によっても最終的に成功はし
なかった。即ち、特に高温成形を行なった際の製品の不
透明化を克服し得なかった。 次に、今度は上記のアクリル変性ポリエステル樹脂と不
飽和ポリエステル樹脂とのブレンド処方を用いて実験を
行なったところ、不飽和ポリエステル樹脂系材料に固有
の透明度が殆んど損なわれることなくクラックの点のみ
が改良されると云う驚くべき事実が見出された。 この予想外の発見を出発点として更に検討を進めた結
果、上記の如き「ブレンド法」丈に限らず、アクリル型
の末端二重結合と(不飽和ポリエステルの有するが如
き)ポリエステル主鎖中のエチレン性不飽和結合の両者
が適当な割合で共存するように合成したアクリル変性ポ
リエステルを用いる「合成法」によっても、同様の効果
が奏せられるとの決論に達した。本発明はこれらの知見
を基礎にし、更に従来の技術乃至知見を援用して完成し
たものであって、総括すると次の様である。即ち、 一般式 (R′−OR 〔式中、n個のR′は独立にアクリロイル基またはメタ
クリロイル基であり、nは0〜8の整数であり、そして
Rは多塩基酸成分と多価アルコール成分から合成される
ポリエステルの残基であってそのポリエステル主鎖中に
芳香族ポリカルボン酸または/およびジフェノールに由
来する含核単位を有し、nが0(零)の場合には、その
ポリエステル主鎖中に少なくとも1個の、例えば(代表
例として)無水マレイン酸或はフマル酸に由来する、エ
チレン性不飽和結合を含む(n≠0の場合にはこの不飽
和結合に関してはことさら規定しない)〕で示される化
合物の群より、 (i) 前記主鎖中のエチレン性不飽和結合の平均濃度
(Cとする)に対するアクリル系末端二重結合の平均濃
度(C'とする)の比C′/Cが0.05〜5.0好ましくは0.1〜
2.0であり、かつ (ii) アクリル系末端二重結合のうちアクリロイル基
に属する二重結合の占める割合が、数平均で、少なくと
も60%以上 となるように、nが1以上に相当する化合物の1種以
上、若しくは、nが1以上に相当する化合物の1種以上
とnが0に相当する化合物の1種以上とを選択して構成
されるアクリル変性ポリエステル(即ちポリエステルア
クリレートまたはメタクリレート)若しくはアクリル変
性ポリエステルと不飽和ポリエステルのブレンド(本明
細書ではこれらをポリエステル系重縮合体と総称する)
25〜65重量%、ビニル系単量体30〜70重量%、およびス
チレン系重合体2〜15重量%からなる樹脂溶液100重量
部あたり、硬化剤の有効少量および水酸化アルミニウム
60〜360重量部を配合してなる熱硬化性成形材料が、本
発明を構成する技術内容を具体的に示すものである。但
し、上記のポリエステル主鎖中のエチレン性二重結合或
はアクリル系末端二重結合の「平均濃度」とは、上記の
ポリエステル系重縮合体に含まれる夫々の二重結合の総
数を同重縮合体の総重量で除した値を意味する。 前式の定義からわかるように、n=0の場合の化合物は
不飽和ポリエステルに相当し、従って本発明の成形材料
にはこの不飽和ポリエステル成分が含まれる場合が有り
得る。この成分の混入は、前記のブレンド法による丈で
なく、アクリル型官能基の配置の分布次第で単一バッチ
のアクリル変性ポリエステルにおいても発生し得る。ま
た反対に、n=0の分画を実質的に含まずに前記
(i),(ii)の基準を充たすアクリル変性ポリエステ
ルも分子設計によって造ることができる。このように、
前記一般式と付随の選定基準によれば、既述の「ブレン
ド法」および「合成法」の両方を本発明の実施の為に採
用することが出来る。 前記一般式において、nを8以下とするのは効果の点お
よび製造面を配慮してのことであり、実際8を越えるn
値を有する化合物の製造は困難であり、また粘度におけ
る問題も発生する。R′は前記のアクリル系官能基より
選ばれるが、これは硬化特性および硬化物特性の両方の
点で、他の重合性官能基で置換し難いからである。Rに
ついては、不飽和ポリエステルにつき従来より識られて
いるのと全く同様に、本発明で対象となる他の成分との
相溶性、成形性、硬化物特性殊に製品の物理的特性、化
学的特性および透明度に及ぼす影響等からして前記の如
くポリカルボン酸、好ましくはオルソフタル酸、イソフ
タル酸またはテレフタル酸のような芳香族二酸に由来す
る単位をその主鎖の構成員として含有すべきであり、さ
もなくば少くともジフェノールに由来する単位を同じよ
うにその主鎖中に含む必要がある。ジフェノールの好例
はビスフェノールAであるが、これはその水素添加体、
ハロゲン置換体、或は4,4′−ジヒドロキシジフェニル
オキサイド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン等
により置換され得る。かくして、本発明にとって有用な
アクリル変位ポリエステルおよび不飽和ポリエステルは
何れも芳香族系のポリエステルに属する。 尚、前記の芳香族ポリカルボン酸に由来する単位は、効
果の面から云って、ポリエステル主鎖を構成する全多塩
基酸成分単位の内少なくとも16モル%を占めるべきであ
る。また、ジフェノール単位についても同様、全多価ア
ルコール成分単位の16モル%と云う下限がやはり適用さ
れる。かような点を含めて、本発明で用いるポリエステ
ル系重縮合体は、在来の低収縮型成形材料用の不飽和ポ
リエステルとの構造上の類似性を有する。 このようなポリエステルは、たとえ合成に依る単一バッ
チ品であっても、通常前記のR′,nおよびRに関してあ
る程度組成並びに数量における分布、即ち所謂多分散性
を有する一種の混合物として取得されるものである。し
かしそのような物質に関し、本明細書では、その分析デ
ータ(例えば平均分子量)、合成における原料組成や想
定される反応機構、等に基く1つの等価化学構造式を対
応させる、つまり単一化学構造の物質として取扱う立場
を採る。そしてその化学構造を以て前記の一般式との照
合を行なうことにする。従ってこの明細書で混合物と
は、2バッチ以上の、かつ上記の意味での化学構造を異
にする合成品の混合物を意味する。本発明でかかる混合
物も、単品と同様、使用の対象となることは云うまでも
ない。 本発明の実施において、ポリエステル系重縮合体成分と
して主鎖中にはオレフィン性不飽和結合を実質的に有し
ないか或は(在来の不飽和ポリエステルに比し)少数し
か有しないアクリル変性ポリエステルと不飽和ポリエス
テルとのブレンド、または、上記両ポリエステル夫々の
ビニルモノマー溶液のブレンドを用いることには、
(1)前記二種の二重結合の比率の調節が簡単で、種々
のニーズに対応しやすいことおよび、(2)両ポリエス
テル夫々のビニルモノマー(スチレン)溶液が商業的に
入手し易いので(1)の対応が一層容易であることの2
つの利点がある。 次に、前記の選定基準(i)と(ii)について説明する
と、基準(i)に示した二重結合濃度の比C′/Cが0.05
未満の場合には、ポリエステル系重縮合体成分として不
飽和ポリエステルを単独で使用した場合に近い特徴が顕
われる為に好ましくなく、逆にC′/Cが5.0を越えると
アクリル系官能基(アクリロイル基およびメタクリロイ
ル基)の過剰による幣害、即ち透明度の低下が起こり、
やはり好ましくない。此所でC′とCに関し特に好まし
い値をポリエステル成分1キログラム当たりのモル数で
示すと、C′が0.2〜2.0の範囲、そしてCが0.4〜3.0の
範囲であり、かかる場合に全般的に性能良好な成形材料
が得られる。 もう一つの基準(ii)に関しては、換言すれば前記アク
リル系官能基全体の中で占めるメタクリロイル基の割合
を制約したものであり、これは同基の割合の増加が成形
材料の硬化特性および製品の透明度に悪影響をもたすこ
とから来る制約である。アクリロイル基の割合が80〜10
0%が好ましい範囲と云える。 尚、限定の趣旨ではないが、このポリエステル系重縮合
体に関しては70以下の酸価および800〜3200の分子量を
有し、かつビニル系単量体に溶解した場合に適度に低粘
度を示すものが本発明の実施の為に通常適している。特
に分子量は粘度と硬化物の特性を決定する主因子の一つ
であり、重要である。 次に、ビニル系単量体につき説明する。このものは本発
明にとって、在来の不飽和ポリエステル樹脂におけると
同様、架橋用モノマーとしての役割を担う必須の成分で
ある。その具体例として、特に好ましいのがスチレンで
ある。メチルメタクリレートも使用できるが、スチレン
との併用が多くの場合に推奨される。その他ビニルトル
エン、クロルスチレンおよび各種アクリレート類、メタ
クリレート類、ビニルエーテル類、ビニルシアン化合物
その他、架橋用モノマーとして公知の如何なる物質につ
いても、この発明の目的の為に有益若しくは少なくとも
無害である限り、その使用に制約を課すものではない。
ビニル基2個以上の多官能性単量体も使用してよい。ア
リル系単量体は一般に本発明の如き使用において、特に
製品の透明度におよぼす影響で好ましくなく、それ故そ
の使用は推奨できない。 次にスチレン系重合体に関しては、述べた如く低収縮化
剤として選ばれたものであり、スチレンのホモ重合体の
他に、スチレンとアクリロニトリル、無水マレイン酸、
p−クロルスチレン、メチルメタクリレートその他のコ
モノマーとの共重合体、および、スチレン成分を主とす
る各種グラフト重合体、酸基導入重合体、部分的橋かけ
重合体並びにその他の変性体、等も使用できる。しかし
乍ら、スチレン成分単位が如何なる場合においても85重
量%以上を占める必要があり、さもなくば製品の透明性
を許容水準に維持できない。本明細書においては、スチ
レンのホモ重合体と上記スチレン水準の、本質的に熱可
塑性である各種重合体とをスチレン系重合体と称して、
使用の対象とする。アクリル系、ポリエステル系その他
の熱可塑性重合体に関する評価も行なったが、所望の特
性を示すものは見出せなかった。 以上に説明した三種類の成分から、本発明成形材料の基
礎をなす樹脂溶液が下記の比率を以て構成されることは
述べた通りである(%は重量に基く)。 ポリエステル系重縮合体 25〜65% ビニル系単量体 30〜70% スチレン系重合体 2〜15% かくの如く、ポリエステル系重縮合体とビニル系単量体
は、拮抗する量でバランスがとれていることを要する
が、この点は在来の不飽和ポリエステル樹脂と質と量に
おいて類似する。即ちポリエステル系重縮合体の割合が
上記の範囲を下廻ると、ビニル系単量の比率が相対的に
増大するが、この場合にはかような材料からの成形物の
力学的特性と熱的特性が低下し、これとは反対に、ポリ
エステル系重縮合体が上記の範囲を上廻わる、或はビニ
ル系単量体が上記の範囲を下廻わると、材料の硬化特性
の低下と粘度の上昇、低収縮化剤の効果の減少、および
硬化物の耐水・対薬品性の低下等が生じ矢張り好ましく
ないとの理由から、前記の範囲が提示される。スチレン
系重合体に関しては、前記の範囲未満では低収縮化の効
果が充分に顕われずにクラック発生につながり、逆に上
記の範囲を越えると低収縮化の効果の増加傾向が鈍化
し、硬化物特性の低下、金型汚れ等の現象が顕著になる
故に、上記の範囲内にあることを要する。最適配合量は
5〜9%である。 この発明の実施において、硬化剤としては公知のパーオ
キサイド系或はアゾ系のラジカル重合開始剤等が、随時
促進剤または遅延剤等と組合わされて使用される。全て
充分に識られた技術であるのでこれ以上の説明は此所で
は行なわないが、いずれにしてもその使用量は、例えば
前記の樹脂溶液100重量部に対し、0.3〜2.5重量部と云
った如く、少量である。但しこれは上記の開始剤、促進
剤および遅延剤(所謂安定剤を含む)の実効成分の合計
量に関してであって、それらの稀釈剤等は含まない。こ
れらの実効成分を合わせて、この明細書では、硬化剤と
定義する。この技術の詳細に就いては、例えば滝山栄一
郎氏の“ポリエステル樹脂”(昭和45年、日刊工業新聞
社発行)に述べられており、これを此所に参考文献とし
て引用する。 最後に、充填剤としての水酸化アルミニウムに就いてで
あるが、このものの採用理由は既述の通りである。他に
ガラスやある種のアルミノシリケートからなる充填剤も
製品にある程度の透明性を与え得るが、難燃効果がな
く、また高価でもある。いずれにしても水酸化アルミニ
ウムが最良であって、本発明の実施においてはそれを既
述の配合比率で使用するが、その理由は、前記の基本の
樹脂溶液100重量部につきこの水酸化アルミニウムが60
重量%未満では、成形時の収縮が大きく、成形時のクラ
ック、製品の外観、寸法精度等の点で好ましくなく、併
せて難燃効果が得られないし、一方360重量部を越える
と成形材料の粘度、成形性、硬化物特性、特に強度等に
おいて望ましい特性が得られず、適当と云えないからで
ある。種々勘案して、200〜290重量部が特に好ましい配
合率であると思われる。所謂最適配合率は、水酸化アル
ミニウムの粒度分布により大巾に変動し、従来よりこの
点の検討が重点的になされて来た。しかし乍ら、粒子径
5〜150μmのものが少なくとも96重量%を占める、純
度98%以上の乾燥水酸化アルミニウム粉末の理想的粒度
分布を求めることが、商業的側面も考慮して、最良の策
と思われる。 以上に説明した諸成分によって本発明の成形材料は構成
されるが、その中で、水酸化アルミニウム以外の全成分
は実質上完全に相互に溶解乃至微分散した状態にあるべ
きであり、水酸化アルミニウムはこのドープ中に均一分
散している必要がある。この状態は、一般に配合および
混練を慣用の装置を用いて実施することにより実現され
る。普通、先ずドープを調製し、水酸化アルミニウムを
最後に添加するが、この順序については固定的に考える
べきでなく、別な順序を採用しても構わない。 本発明の実施において、説明した必須成分以外に当該技
術分野における他の慣用の配合剤、例えば離型剤、耐候
剤、補強剤、シランカップリング剤、難燃剤、本発明の
範囲外の低収縮化剤や充填剤および反応性樹脂成分等を
夫々必要に応じ、但し本発明の目的を損わない範囲内に
おいて、使用することは許容されるべきである。或は、
基本的には従来技術の指針に基いて、本発明成形材料を
して任意の成形温度に適合せしめる為の材料設計を行な
うとか、その他これに類する種々の改変、修正等をこの
発明の範囲内において行ない得ることは云うまでもな
い。 作用 以上に述べた本発明の構成に依って、従来の不飽和ポリ
エステル系成形材料に特有の透明感を殆んど犠牲にする
ことなく、成形収縮率が低下しかつ延展性が向上する結
果、高温高速成形においても成形時のクラックや白化の
ない成形材料を得ることが可能になった。その最大の要
因は、説明した通りポリエステル系重縮合体における主
鎖中のエチレン性不飽和結合とアクリル系末端二重結か
らの所謂ハイブリッド的効果の発生であって、それを定
性的に示したのが図である。図中のC,C′の意味は既述
の通りであるが、再度記しておくと、Cはポリエステル
主鎖中のエチレン性不飽和結合の平均濃度を、またC′
はアクリル系末端二重結合の平均濃度を表わし、例えば
C=CoかつC′=Co′の組成のものが本発明の目的に適
うポリエステル系重縮合体であることは明らかである。
このような重縮合体は述べた如く「ブレンド法」に依っ
ても「合成法」に依って得られ、共に本発明成形材料の
有用な成分となり得る。 実 施 例 以下において、各成分の量に係わる部および%は、特に
ことわらない限り全て重量基準である。 〔1〕 合成法に依る実施例 プロピレングリコール1520g(20モル)をステンレス製
反応器に入れ、温度を80℃にしてイソフタル酸およびテ
レフタル酸各1010gと無水マレイン酸588g(いずれも6
モル)並びにチタネート系触媒0.15モル相当量を仕込ん
で窒素雰囲気中で1時間撹拌し、徐々に160℃に昇温し
て2時間、更に190℃で1時間反応させた後再び温度を1
60℃に戻してジエチレングリコール424g(4モル)を加
えて3時間反応させ、次いで100℃まで冷却してトルエ
ン250C.C.とアクリル酸432g(6モル)、ハイドロキノ
ン0.25gおよび弗化ほう素9gを加え、更に3時間反応さ
せた。残留モノマーおよび溶剤等を溜去して得られた生
成物はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)および赤外吸光分析の結果、平均分子量1700の不飽
和ポリエステルジアクリレートと判明した。二重結合比
C′/Cは約0.7である。このものに、冷却の過程で、ハ
イドロキノンで安定化したスチレンを加えて50%溶液と
した。 次に、この樹脂溶液(ポリエステル樹脂Aとする)を用
いて下記処方の成形材料を調製した。 ポリエステル樹脂A 93部 ポリスチレン 7 過酸化ベンゾイル(硬化剤) 1 ステアリン酸亜鉛(離型剤) 3 ガラス繊維(6mmストランド) 4 水酸化アルミニウム 240 上記のポリスチレンはメルトインデックス(JIS法、200
℃,5Kg)15の市販品である。また、水酸化アルミニウム
は平均粒子径50μmの広分布グレードの、同じく市販品
である。 この成形材料についての評価は後に示すが、要約する
と、本発明の目的に適ったものと云える。 〔2〕 合成法に依る比較例 前記合成法においてアクリル酸をメタクリル酸に替え、
同様の操作でほぼ同じ分子量の不飽和ポリエステルジメ
タクリレートを得、それの50%スチレン溶液(ポリエス
テル樹脂Bとする)を用いたこと以外は前記実施例と同
一処方の成形材料を調製した。これの評価結果も後に示
す。 〔3〕 アクリレート系/メタクリレート系混合ポリエ
ステル樹脂に依る実施例 前記実施例のポリエステル樹脂Aと比較例のポリエステ
ル樹脂Bの併用処方を用いた場合、後に示す如く、メタ
クリロイル基の濃度に対するアクリロイル基の濃度の比
が1.5以上でないと、本発明の意図する所が不充分にし
か達成され得ない。 〔4〕 ブレンド法による一実施例 市販のビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂と主鎖
中には実質的に不飽和結合を含まず、そして平均組成が
アクリル酸のジエステルであって平均分子量1400を有す
る変性ポリエステルのスチレン溶液である市販のポリエ
ステルアクリレート樹脂とを組み合わせ、これに依って
前記〔1〕の実施例におけるポリエステル樹脂Aの置き
かえを行ない、その他は同一の処方にて成形材料を調製
した。その評価結果をまた後に示すが、要約して、成形
材料としては概ね良好な性能を有すると云える。尚、上
記不飽和ポリエステル樹脂は不揮発分55%、高温硬化特
性(JIS K6901−1977)として最小硬化時間12分、最高
発熱温度240℃を示す加圧成形用の高反応性の樹脂であ
る。 〔5〕 ブレンド法に依る第二の実施例 上記実施例において不飽和ポリエステル樹脂とポリエス
テルアクリレート樹脂の比率を変化させたこと、即ち25
/75を50/50に変更したこと以外は全く同様にして、本発
明に従う成形材料を調製した。このものも性能良好であ
る。 〔6〕 ブレンド法に依る第三の実施例 上記実施例における樹脂の比率50/50を、さらに75/25に
変更し、他は全く同様にして成形材料を調製した。これ
も本発明に意図に適ったものである。ただ幾分成形収縮
が増加し、クラックの前兆が感知された。 〔7〕 不飽和ポリエステルを用いた比較例 前記〔1〕の実施例においてポリエステル樹脂Aの代り
に前記のビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂を用
いたこと以外は、全て同様にして今一つの成形材料を調
製した。 〔8〕 ポリエステルアクリレート樹脂を用いた比較例 前記〔1〕の実施例においてポリエステル樹脂Aを、前
記のポリエステルアクリレート樹脂で置きかえ、他は同
様にして成形材料を調製した。 以上の例中、〔4〕以下の例で使用したポリエステル樹
脂については、実はポリエステル成分が50%となるよう
に、必要量のスチレンを追加して調節を行なった
(〔1〕〜〔3〕のものは元元50%品である)。 成形材料の評価 以上の〔1〕〜〔8〕の各例で示した成形材料につき低
圧射出成形法による成形およびそれに依って得られた成
形物についての評価を次のようにして行なった。即ち、
成形はキャビティ内寸が350×250×8.5(単位mm)のク
ロムメッキを施したトレー成形用金型を用い、材料温度
40℃、金型温度105℃、型締力10トン、成形圧7Kg/cm2
成形時間15分として行ない、成形物の評価は曲げ強さ、
荷重たわみ温度、バーコル934−1硬さ(以上JIS K6911
−1979に準処)の各試験と目視に依る外観比較によって
行なった。結果を別表に示すが、透明度のAは「良好」
で不飽和ポリエステル樹脂をベースとする試験7の材料
と同等であることを示し、Cは「不良」でポリエステル
アクリレート樹脂をベースとする試験8の材料と同等で
あることを示す。そしてBはそれらの中間であることを
示す。 成形時のクラックと白化については、Aは「なし」、B
は「少し発生」、Cは「著しい」ことを意味する。 表のデータが示す通り、本発明に従って造った成形材料
は所期の目的を達成するものであることがわかる。
〔9〕 ゲルコート加工に依る実施例 ビスフェノール系不飽和ポリエステルをベースとする粘
度65ポイズ、揺変度5.5の特殊ゲルコート用材料を用
い、金型温度を95℃とした以外は全て前記と同じ成形条
件下に実施した。即ち金型のキャビティ内面に上記ゲル
コート用材料を塗布して直ちに型を閉じ、3.5分経過
後、前記〔5〕の実施例に記載の成形材料を金型に射出
充填し、全体を硬化一体化させることに依り、ゲルコー
ト表皮付成形物を取得した。その際、射出時間は12秒で
あり、キュアー時間は先行実施例と同じく15分とした。
得られた成形物の表面は欠陥のない美麗で健全なゲルコ
ート層で被覆されたものであり、材料と成形条件の両方
が適切でありかつ両者がよく一致した結果と思われた。 なお、このゲルコート被覆物を含め、述べた一連のテス
トで得られた成形物は全て、プロパンガスを用いたブン
ゼンバーナーによる一分間の燃焼試験において、全く着
火しなかった。 発明の効果 本発明により、特に人工石製品等の製造分野で今後の展
開が期待される高温低圧注型法、就中トランスファー成
形およびインジェクション成形の如き高速機械成形法に
も適用でき、然もその際ゲルコート加工をも可能にする
低粘度、高充填かつ低補強型の、経済的にも有利な成形
材料が得られるようになった。 この発明の最大の効果は、上記の如き高温高速成形にお
いて従来解決が困難であった成形時のクラックおよび製
品の透明感が低下すると云う成形材料における二つの問
題点が、同時に解決された点に見出される。これによっ
て外観の優れた、高級感を有する人造大理石製品等の生
産性が飛躍的に向上する途が拓かれたのである。 この発明に依る成形材料からはまた、非常に高度な難燃
性と良好な機械的・熱的諸特性を有する成形物が得られ
る等、発明の効果はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
図は、成形材料の特性に及ぼすポリエステル系重縮合体
中の不飽和結合濃度の影響を定性的に示した説明図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (R'−OR (式中、n個のR'は独立にアクリロイル基またはメタク
    リロイル基であり、nは0〜8の整数であり、Rは多塩
    基酸成分と多価アルコール成分からのポリエステル残基
    であって、そのポリエステル主鎖中に芳香族ポリカルボ
    ン酸または/およびジフェノールに由来する含核単位を
    有し、nが0の場合には、前記主鎖中にエチレン性不飽
    和結合を含む) で示される化合物の群より、 (i)前記主鎖に含まれるエチレン性不飽和結合の平均
    濃度に対するアクリル系末端二重結合の平均濃度の比が
    0.05〜5.0であり、かつ (ii)アクリル系末端二重結合のうちアクリロイル基に
    対する二重結合の占める割合が、数平均で、少なくとも
    60%以上 となるように、nが1以上に相当する化合物の1種以
    上、若しくは、nが1以上に相当する化合物の1種以上
    とnが0に相当する化合物の1種以上とを選択して構成
    されるポリエステル系重縮合体25〜65重量%、ビニル系
    単量体30〜70重量%、およびスチレン系重合体2〜15重
    量%からなる樹脂溶液100重量部あたり、硬化剤の有効
    少量および水酸化アルミニウム60〜360重量部を配合し
    てなる熱硬化性成形材料。
  2. 【請求項2】ポリエステル系重縮合体に関し、アクリル
    系末端二重結合の平均濃度が(0.2〜2.0)×10-3モル/
    グラムであり、ポリエステル主鎖に含まれるエチレン性
    不飽和結合の平均濃度が(0.4〜3.0)×10-3モル/グラ
    ムである特許請求の範囲第1項に記載の熱硬化性成形材
    料。
  3. 【請求項3】ポリエステル系重縮合体の数平均分子量が
    800〜3200である特許請求の範囲第1項に記載の熱硬化
    性成形材料。
  4. 【請求項4】ポリエステル系重縮合体がアクリル変性ポ
    リエステル20〜80重量%と、それに対して残部を構成す
    る不飽和ポリエステル80〜20重量%からなる、特許請求
    の範囲第1〜3項の何れか一つに記載の熱硬化性成形材
    料。
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JPS5244896A (en) * 1975-10-07 1977-04-08 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd Low shrinkage molding material

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