JPH0723168Y2 - 釘打機の釘供給ガイド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、釘打機のノーズ部に設けられた射出口を開閉
するドア部材と該ドア部材に対峙して設けられた固定ガ
イド壁との間に形成される釘供給通路の幅を、連結釘の
連結方式に応じて可変設定して上記連結釘を上記釘供給
通路に沿って案内供給する釘供給ガイド装置に関するも
のである。

（従来技術とその問題点） 互いに連結されてコイル状に巻回された多数の連結釘を
使用する釘打機では、連結釘収容マガジンから連結釘の
先頭釘を受け入れる筒状のノーズ部まで連結釘を供給案
内する釘供給通路が形成されている。

釘供給通路は、ノーズ部と一体に構成されたノーズの側
方に開口した釘受入れ開口の一側縁から前記マガジンの
釘搬出開口の近傍まで延びている固定ガイド壁と、この
固定ガイド壁に対して一定の間隙を有して対峙するとと
もに前記ノーズ部に対して回動可能に支持されたドア部
材とで構成されている。

前記固定ガイド壁には、釘供給通路内に進出して釘の供
給方向に沿って往復駆動される釘送り手段が配置されて
おり、ドア部材側には連結釘の逆方向への移動を阻止す
る逆止爪が設けられている。

一方、この種の釘打機に使用する連結釘の連結態様とし
ては、釘の軸部を細かい針金に溶着して連結したワイヤ
連結方式と、長手方向に沿う上下縁に折曲げタブを形成
したプラスチックシートの連結帯に形成した開口中に釘
軸を挿通支持させて連結したプラスチックシート連結方
式とがある。この両方式の連結釘は幅方向寸法が異な
る。つまり、プラスチックシート連結方式の方が幅広で
ある。このため、上記両方式の連結釘を供給できるよう
に、釘供給通路の間隙を可変設定するようにしたものが
知られている（例えば実開昭62−19179号）。

このような従来技術は、第５図（ａ）（ｂ）に示される
ように、ドア部材40の内側面（釘供給通路41の壁を形成
する面）に、固定ガイド壁42に近接する突出位置と固定
ガイド壁42から離反する退避位置との間で移動可能にさ
れたスライドプレート43を備えており、このスライドプ
レート43はドア部材40に対して固定ガイド壁42側に突出
する方向にバネ付勢されて配置されており、該プレート
43に形成したガイドシャフト44がドア部材40の内面側壁
に形成した案内孔45を嵌挿して延びており、このガイド
シャフト44に設けた停止ピン46をドア部材40の外側の異
なる位置に係合させることよってスライドプレート43を
所定位置に設定するように構成されている。

ところで、上記従来技術では、スライドプレート43がバ
ネ47の押圧力で保持される構成であるから、釘供給通路
41内の押圧力に抗するためには、比較的強力なバネが非
常であるが、スライドプレート43の位置設定のために該
プレート43を手で押圧移動させる必要から使用するバネ
力に限界がある。特に、突出位置におけるバネの作用は
小さくなるため、釘打機の釘打込みの衝撃がノーズ部45
に伝播してスライドプレート43が振動によって固定ガイ
ド壁42から離反する方向に移動する現象が発生してい
る。これは、前述の釘送り手段は釘打機の衝撃とほとん
ど同期して後退方向に作動されるものであるので、以下
の問題が生じる。

（ａ）釘送り手段48の送り爪49が後退するときにスライ
ドプレート43が固定ガイド壁42から離反する方向に移動
すると、これによって釘供給通路41の幅が広がり、該通
路41内の釘の軸部44bがドア部材40側に傾いて送り爪49
の先端から離れる結果、送り爪49が２番目の釘の軸部の
後ろ側に進入してしまい、２本送りの現象が発生するこ
とがある。つまり、送り爪49の摺動ストロークは使用す
る連結釘の最大の連結ピッチに合わせて設定してあり、
これよりも連結ピッチの小さい釘を使用する場合に、送
り爪49が２番目の釘の軸部44aを乗り越えないように爪
の高さを高く設定してある。したがって、釘の軸部44a
が釘供給通路内で傾くことなく正しい姿勢に保持されて
いるときは、送り爪49は正常に作用する。しかし、釘が
ドア部材40側に傾くと、送り爪49が２番目の釘の軸部を
乗り越えてその後ろ側に進入してしまい、２本送りが発
生することになるのである。

（ｂ）逆止爪51がスライドプレート43に設けられている
場合、スライドプレート43の後退移動に伴なって逆止爪
51が正規の位置から退避してしまい、送り爪49の離反方
向への移動に追従して連結釘が戻されてしまうことがあ
る。この場合、釘がノーズ部50内へ供給されないから空
送り、空打ち現象が発生し、釘打機を損傷することにな
る。

さらに、上記従来技術では、釘打ち込み作動によりスラ
イドプレート43に作用するバネの押圧力で釘供給通路41
の間隔を維持するものであるため、大きなバネ力が必要
となり、バネの耐久性が悪いという問題、さらにスライ
ドプレート43の位置設定のためには大きなバネ力に抗し
て操作しなければならず、強い力が必要で、設定操作し
にくいという問題がある。

（考案の課題） 本考案は前記問題点を解消し、釘打機の釘打込み時の衝
撃等によってスライドプレートが固定ガイド壁か離反す
る方向へ移動しないようにするとともに、上記スライド
プレートの位置設定操作を簡単に行なうことができる釘
打機の釘供給ガイド装置を提供することをその技術的課
題とする。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するため、本考案に係る釘打機の釘供給
ガイド装置は、軸部を連結部材によって支持連結された
連結釘を使用する釘打機であって、連結釘の先頭の釘を
受け入れるとともに該連結釘を被加工材に打ち出すノー
ズ部と、該ノーズ部の射出口の釘受入開口の一側縁と一
体に構成された前記連結釘を供給案内する固定ガイド壁
と、該固定ガイド壁に対して所定間隔をもって対峙して
配置されるとともに前記ノーズ部に対して開閉可能に支
持されたドア部材と、該ドア部材と上記固定ガイド壁と
の間に設けられて上記連結釘をノーズ部に供給する釘供
給通路と、ドア部材の固定ガイド壁に面した側に配置さ
れて固定ガイド壁に対して近接し又は離反する方向に移
動自在に設けられているスライドプレートとを備えると
ともに、前記スライドプレートの背面に、ドア部材に開
設した開口部を通して外方に突出する円柱状のガイドシ
ャフトを一体形成し、前記ドア部材の前記開口部にはガ
イドシャフトを収容する収容部を有し且つドア部材に対
して回動自在に保持された回転操作部を設け、前記ガイ
ドシャフトの外周面には、該ガイドシャフトの軸方向に
おいて離隔配置されてそれぞれ円周方向に延びる２つの
周溝と、該周溝のそれぞれの端部を接続する連続溝を形
成するとともに、前記回転操作部の収容部の内壁には、
上記連結溝に収容される突出体を形成したことを特徴と
する。

なお、前記突出体が収容部の内方にバネ付勢された金属
ボールであって、前記各周溝の端部には溝底より更に深
く形成された凹部が形成されているように構成するのが
好ましい。

また、前記各周溝を、前記ガイドシャフトの周方向の反
対側に形成し、この各周溝を接続する連結溝がガイドシ
ャフトの外周面に沿って斜めに形成されるように形成し
てもよい。

さらに、前記周溝をガイドシャフトに、前記突出体を回
転操作部の収容部に設けるのに代え、前記周溝を回転操
作部の収容部の内壁に形成し、各突出体をガイドシャフ
トに形成してもよい。

（考案の作用、効果） 前記構成において、ドア部材の外側から回転操作部の突
出体をスライドプレートのガイドシャフトの連結溝に沿
って移動させ、互いに離隔して配置されたいずれかの周
溝に係合させると、スライドプレートは固定ガイド壁に
近接し又は離反した位置に位置決めされる。

このように、操作部の操作によって位置決めされたスラ
イドプレートは、週溝と突出体との係合によりそれ以上
固定ガイドから離反する方向に移動することは阻止され
るから、固定ガイド壁とスライドプレートとによって構
成された釘供給通路の幅は固定されてしまう。したがっ
て、釘打ち込み時の衝撃によってスライドプレートが移
動して釘供給通路内で連結釘が傾くという現象の発生が
防止され、連結釘は常に正しい姿勢を維持してノーズ部
に供給され、釘打込み時の衝撃等によってもプレートが
後退することがない。

また、スライドプレートとドア部材との間にバネを必要
としないので、スライドプレートの移動操作は手で簡単
に行なうことができる。

なお、前記突出体をバネ付勢された金属ボールとし、各
周溝の端部には溝底より更に深く形成された凹部を形成
することにより、金属ボールと凹部との係合によりスラ
イドプレートの位置を良好に保持することができる。

また、前記各周溝をガイドシャフトの周方向の反対側に
形成し、連続溝をガイドシャフトの外周面に沿って斜め
に形成しても、同様の効果が得られる。

さらに、前記周溝と突出体に代え、周溝を回転操作部の
収容部の内壁に形成し、各突出体をガイドシャフトに形
成しても、同様の作用効果が得られる。

（実施例） 以下、図面によって本考案の実施例について説明する。

第１図及び第２図において符号１は釘打機のノーズ部の
近傍に形成された釘供給通路を示す。該通路１は釘打機
先端のノーズ部の射出口と連結釘供給マガジン（図示せ
ず）との間に形成され、軸部を連結部材によって支持連
結された連結釘２を供給案内するもので、ノーズ部の近
傍においては上記射出口３の釘受入開口の一側縁と一体
に構成された固定ガイド壁５と、該固定ガイド壁５に対
して所定間隔をもって対峙して配置されたドア部材６と
によって構成されている。

上記固定ガイド壁５に沿って送り爪（図示せず）が摺動
する。

また、ドア部材６は支軸７によりノーズ部に対して開閉
可能に支持されている。ドア部材６には開口部８が形成
されている。

ドア部材６の固定ガイド壁５に面した側にはスライドプ
レート９が配置されている。

スライドプレート９の内面にはガイドシャフト10が突出
形成され、該ガイドシャフト10はドア部材６に開設した
開口部８を通して外方に突出するように形成されてい
る。これにより、スライドプレート９は固定ガイド壁５
に対して近接し又は離反する方向に移動自在に設けられ
ている。

ガイドシャフト10の外周面には、該ガイドシャフト10の
軸方向において離隔配置された２つの円周方向に延びる
周溝11、12と、該周溝11、12のそれぞれの端部を接続す
る連続溝13が形成されている。そして、各周溝11、12の
端部には溝底より更に深く形成された凹部14（第３図参
照）が形成されている。

また、スライドプレート９の内面側に突出する上下片1
5、16の間に設けられたピン17には、逆止爪18が回動自
在に支持されている。該逆止爪18は、釘供給通路１内の
連結釘２の逆方向への移動を阻止するもので、その先端
はスライドプレート９に形成された開口部19から釘供給
通路１側に突出している。

次に、ドア部材６の開口部８の外側には回転操作部20が
設けられている。この回転操作部20にはガイドシャフト
10を回転自在に収容する円孔20aを有し、上記開口部８
に回動自在に保持されている。

また、上記回転操作部20に形成された収容部21の内壁に
は、上記連続溝13に収容される突出体22が形成されてい
る。この突出体22は金属ボールであり、収容部21の内方
にバネ23により付勢されている。

操作部20の突出体22がスライドプレート９のガイドシャ
フト10の先端側の周溝11に係合するときは、スライドプ
レート９は固定ガイド壁５に近接して釘供給通路１の幅
をワイヤ連結方式の連結釘２を供給するのに適する第１
の位置に位置し、操作部20の突出体22がスライドプレー
ト９のガイドシャフト10の基端側の周溝12に係合すると
きは、固定ガイド壁５から離反して釘供給通路１の幅を
プラスチックシート連結方式の連結釘２を供給するのに
適する第２の位置に位置するように設定されている。

前記構成において、ドア部材６の外側から操作部20の突
出体22をスライドプレート９のガイドシャフト10の先端
側の周溝11に沿って移動させ、該周溝11の端部の凹部14
に係合させると、スライドプレート９は第１の位置に位
置決めされる。また、操作部20を回転させて上記突出体
22を連続溝13の端部まで移動させ、さらに上記突出体22
を連続溝13に沿って移動させ、スライドプレート９のガ
イドシャフト10の基端側の周溝12に沿って移動させ、該
周溝12の端部の凹部14に係合させると、スライドプレー
ト９は第２の位置に位置決めされる。

このように、操作部20の操作によって第１の位置又は第
２の位置に位置決めされたスライドプレート９は、固定
ガイド壁５から離反する方向に移動することはないか
ら、固定ガイド壁５とスライドプレート９とによって構
成された釘供給通路１の幅は固定されてしまう。したが
って、釘打ち込み時の衝撃によってスライドプレート９
が固定ガイド壁５から離反して釘供給通路１内で連結釘
２が傾くという現象の発生が防止され、ワイヤ連結、プ
ラスチックシート連結のいずれの連結方式の場合にも、
連結釘２は常に正しい姿勢を維持してノーズ部に供給さ
れる。

また、スライドプレート９とドア部材６との間に従来の
ようなバネを必要としないので、スライドプレート９の
移動操作は手で簡単に行なうことができる。

なお、突出体22は上述のように金属ボールである必要は
ない。杆状であってもよい。また、突出体22の先端に係
合する溝は前記図示例のようにコ字形のものに限定され
ない。例えば、第４図のように、各周溝11、12をガイド
シャフト10の周方向の反対側に形成し、この各周溝11、
12を接続する連続溝13をガイドシャフト10の外周面に沿
って斜めに形成されるように形成してもよい。

さらに、各周溝11、12を回転操作部20の収容部の内壁に
形成され、各突出体22をガイドシャフト10に形成するよ
うにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る釘打機のノーズ部部近傍における
釘供給ガイド装置の要部の断面図、第２図は上記ガイド
装置のドア部材における分解斜視図、第３図はガイドシ
ャフトに形成された周溝と連続溝の拡大斜視図、第４図
は上記溝の他の例の拡大斜視図、第５図（ａ）（ｂ）は
それぞれ従来の釘供給ガイド装置の平面及び背面におけ
る断面図である。 符号１……釘供給通路、２……連結釘、５……固定ガイ
ド壁、９……スライドプレート、11、12……周溝、13…
…連続溝、20……回転操作部、22……突出体

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸部を連結部材によって支持連結された連
   結釘を使用する釘打機であって、 連結釘の先頭の釘を受け入れるとともに該連結釘を被加
   工材に打ち出すノーズ部と、該ノーズ部の射出口の釘受
   入開口の一側縁と一体に構成された前記連結釘を供給案
   内する固定ガイド壁と、該固定ガイド壁に対して所定間
   隔をもって対峙して配置されるとともに前記ノーズ部に
   対して開閉可能に支持されたドア部材と、該ドア部材と
   上記固定ガイド壁との間に設けられて上記連結釘をノー
   ズ部に供給する釘供給通路と、ドア部材の固定ガイド壁
   に面した側に配置されて固定ガイド壁に対して近接し又
   は離反する方向に移動自在に設けられているスライドプ
   レートとを備えるとともに、 前記スライドプレートの背面に、ドア部材に開設した開
   口部を通して外方に突出する円柱状のガイドシャフトを
   一体形成し、前記ドア部材の前記開口部にはガイドシャ
   フトを収容する収容部を有し且つドア部材に対して回動
   自在に保持された回転操作部を設け、 前記ガイドシャフトの外周面には、該ガイドシャフトの
   軸方向において離隔配置されてそれぞれ円周方向に延び
   る２つの周溝と、該周溝のそれぞれの端部を接続する連
   続溝を形成するとともに、前記回転操作部の収容部の内
   壁には、上記連続溝に収容される突出体を形成した ことを特徴とする釘打機の釘供給ガイド装置。
2. 【請求項２】前記突出体が収容部の内方にバネ付勢され
   た金属ボールであって、前記各周溝の端部には溝底より
   更に深く形成された凹部が形成されている請求項（１）
   記載の釘打機の釘供給ガイド装置。
3. 【請求項３】前記各周溝が前記ガイドシャフトの周方向
   の反対側に形成されており、この各周溝を接続する連続
   溝がガイドシャフトの外周面に沿って斜めに形成されて
   いる請求項（１）記載の釘打機の釘供給ガイド装置。
4. 【請求項４】前記周溝をガイドシャフトに、前記突出体
   を回転操作部の収容部に設けるのに代え、前記周溝を回
   転操作部の収容部の内壁に形成し、各突出体をガイドシ
   ャフトに形成した請求項（１）記載の釘打機の釘供給ガ
   イド装置。