JPH07229614A - ゴミ焼却炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼帯上のゴミの容量や分布にかかわらず、
過剰空気の供給を防ぎながら不完全燃焼の発生を回避で
きるゴミ焼却炉を提供する。 【構成】 底部から供給される燃焼用の空気によりゴミ
を焼却処理するストーカ式の焼却処理帯Ｓに対して、前
記焼却処理帯Ｓの側壁１２に複数のノズル１３を配設す
るとともに、前記焼却処理帯Ｓにおける火炎の燃焼状態
を検出する燃焼状態検出手段１７を設けて、前記燃焼状
態検出手段１７により検出された酸素不足空間に、前記
ノズル１３を選択的に作動して、燃焼用ガスを供給する
燃焼用ガス供給手段１８を設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、底部から供給される燃
焼用の空気によりゴミを焼却処理するストーカ式の燃焼
帯を備えたゴミ焼却炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】燃焼ガスを完全燃焼させるためには、炉
内を適度な燃焼温度に維持し、且つ、必要な量の酸素を
供給する必要がある。従来、ストーカ式の燃焼帯の底部
に風箱を設けて、燃焼用の空気を燃焼帯の上部のゴミに
供給していたが、理論空気量と同等の空気供給量とする
と、燃焼帯上にあるゴミ容量や分布によっては、燃焼用
空気が均一に供給されずに不完全燃焼を起こすことがあ
るために、一定の過剰率を考慮して空気を供給してい
た。また、クリンカ等の付着を防止するための壁部の冷
却を兼ねて、側壁からその冷却風を燃焼用の空気として
供給する空冷壁を備えたものもあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
技術によれば、空気を過剰供給すれば、ごみ表面部分が
局所的に異常燃焼して高温となり、ＮＯｘ発生を促す原
因となるおそれがあり、、空気供給量を制限すれば、ゴ
ミの容量や分布によっては酸素不足による不完全燃焼を
引き起こすおそれがあるという欠点があった。上述の空
冷壁を備えたものでは、側壁から空気を過剰に供給すれ
ば、火炎温度が低下し、不完全燃焼の原因となるのであ
る。そこで、空冷壁からの供給空気量を制限すれば、冷
却が不十分となり空冷壁の温度が上昇してクリンカ等が
付着し損傷を招くおそれがあるという欠点もあった。本
発明の目的は、上述した問題点を解消すべく、焼却処理
帯上のゴミの容量や分布にかかわらず、過剰空気の供給
を防ぎながら不完全燃焼の発生を回避できるゴミ焼却炉
を提供する点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明によるゴミ焼却炉の特徴構成は、底部から供給さ
れる燃焼用の空気によりゴミを焼却処理するストーカ式
の燃焼帯に対して、前記燃焼帯の側壁に複数のノズルを
配設するとともに、前記燃焼帯における火炎の燃焼状態
を検出する燃焼状態検出手段を設けて、前記燃焼状態検
出手段により検出された酸素不足空間に、前記ノズルを
選択的に作動して、燃焼用ガスを供給する燃焼用ガス供
給手段を設けてある点にある。上述の構成において、前
記燃焼状態検出手段が、燃焼により発生する火炎から未
燃焼ガス成分の３．３〜３．４μｍの輻射バンドの波長
域の放射エネルギーを計測する放射温度計測手段である
ことが好ましい。さらに、前記燃焼用ガス供給手段に、
前記複数のノズルを時間を異ならせて定期的に作動させ
る間欠作動手段を備えてあることが好ましい。

【０００５】

【作用】燃焼帯の下方からの供給空気量、さらには空冷
壁からの供給空気量を、空気過剰率がそれほど大きくな
い状態に調節した状態で、前記燃焼帯の側壁に配設した
複数のノズルを選択的に作動して、燃焼状態検出手段に
より検出される火炎中の酸素不足空間、即ち不完全燃焼
空間に、例えば空気のような燃焼用ガスを供給すること
により、局地的な不完全燃焼の発生を回避しながら全体
として過剰供給による燃焼温度の低下を回避して完全燃
焼させ得るのである。

【０００６】前記燃焼状態検出手段を、火炎からの３．
３〜３．４μｍ輻射バンドの波長域の放射エネルギーを
計測する放射温度計測手段とすれば、エネルギーが途中
で水蒸気や二酸化炭素に吸収されることなく、燃焼火炎
中の未燃焼ガス成分であるハイドロカーボンＨＣを検出
することができ、火炎中でハイドロカーボンＨＣが多く
検出された領域では不完全燃焼して酸素不足状態にあ
り、ハイドロカーボンＨＣが検出されない領域では完全
燃焼して酸素充足状態にあると判別することになる。

【０００７】また、長期停止状態にあるノズルにクリン
カが付着すると目詰まりが生じるおそれがあるので、前
記燃焼用ガス供給手段に設けた間欠作動手段により、各
ノズルを時間を異ならせて定期的に作動させることによ
り、酸素が過剰供給されることがない状態で、付着した
クリンカを吹き飛ばして自己清掃するのである。

【０００８】

【発明の効果】本発明によれば、燃焼帯上のゴミの容量
や分布にかかわらず、過剰空気の供給を防ぎながら不完
全燃焼の発生を回避できるゴミ焼却炉を提供することが
できるようになった。

【０００９】

【実施例】以下に実施例を説明する。ゴミ焼却炉は、図
３に示すように、集積された被焼却物である都市ゴミが
投入されたホッパ１と、ホッパ１の底部に設けたプッシ
ャ２から投入されたゴミを焼却処理するストーカ式の焼
却処理帯Ｓと、焼却処理帯Ｓで焼却された灰を集積する
灰ピット６とを連設し、焼却処理帯Ｓの上方空間に側壁
に二次燃焼用の空気を供給する複数本のノズル７ａを備
えた煙道７を設けて燃焼ガスを完全燃焼させる二次燃焼
領域を形成し、煙道７の下流側に排ガスから廃熱回収し
て蒸気を発生する廃熱ボイラ８と、有害物を除去する排
ガス処理装置９と、処理済の排ガスを排気する煙突１０
とを設けて構成してあり、さらに廃熱ボイラ８で発生し
た蒸気により発電する発電装置１１を設けてある。

【００１０】前記焼却処理帯Ｓは、上流側から順に投入
されたゴミを乾燥させる乾燥帯３、乾燥されたゴミをガ
ス化燃焼させる燃焼帯４、炭化したゴミを灰化させる後
燃焼帯５を階段状に連設して構成してあり、焼却処理帯
Ｓの下方に各別に風箱１２を取り付けて、ブロアファン
１５により吸引された空気をダンパ機構１６を備えた供
給路１７を介して、前記乾燥帯３、燃焼帯４、後燃焼帯
５の下方から一次燃焼用の空気として供給する一次燃焼
用空気供給機構を設けてある。

【００１１】図１及び図２に示すように、ゴミの搬送方
向に沿って前後二段に分割された燃焼帯４の側壁１２の
下側部位に、前記ブロアファン１５により吸引された空
気を冷却用空気として供給する供給路１６ｂを内部に形
成した空冷壁１２ａ，１２ｂを配し、その空冷壁１２
ａ，１２ｂの上側部位に、別途のブロアファン１４によ
り吸引された空気が供給される複数本のノズル１３をゴ
ミの搬送方向に沿って取り付けてある。

【００１２】後燃焼帯５の下流側壁部に、前記焼却処理
帯Ｓにおける火炎の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手
段１７を設けて、燃焼状態検出手段１７により検出され
た酸素不足空間に、前記ノズル１３を選択的に作動し
て、燃焼用ガスを供給する燃焼用ガス供給手段１８を設
けてある。詳述すると、前記燃焼状態検出手段１７は、
燃焼帯４上のゴミの燃焼により発生する火炎から放射さ
れる赤外線を検出する放射温度検出手段としての赤外線
カメラで、未燃焼ガス成分の３．３〜３．４μｍ輻射バ
ンドの波長域の放射エネルギーを計測する（具体的に
は、このバンド幅を透過するフィルタを介して計測す
る）ことにより、放射エネルギーが途中で水蒸気や二酸
化炭素に吸収されることのない状態で、燃焼火炎中の未
燃焼ガス成分であるハイドロカーボンＨＣを検出する。

【００１３】つまり、燃焼火炎中でハイドロカーボンＨ
Ｃが多く検出された領域では不完全燃焼して酸素不足状
態にあり、ハイドロカーボンＨＣが検出されない領域で
は完全燃焼して酸素充足状態にあると判別できるので、
酸素不足空間に燃焼用ガスが供給されるように、その領
域に対応する位置のノズル１３を選択的に作動するので
ある。ここで、風箱１２や空冷壁１２ａ，１２ｂからの
空気供給量を、空気過剰率がそれほど大きくない状態
（例えば理論空気量の１．０から１．２倍あたり）に調
節するとともに、前記ノズル１３により不完全燃焼が発
生する局所的領域毎に必要な空気を供給すれば、不完全
燃焼を回避しながら全体として空気供給量を制限できる
ので、二次燃焼領域での炉内温度の低下を防止して完全
燃焼させ得る、いわゆるクリーン燃焼が達成できる。

【００１４】長期停止状態にあるノズル１３にクリンカ
が付着すると目詰まりが生じるおそれがあるので、前記
燃焼用ガス供給手段１８に間欠作動手段１９を設けて、
各ノズル１３を時間を異ならせて定期的に作動させるこ
とにより、酸素が過剰供給されることがない状態で、付
着したクリンカを吹き飛ばして自己清掃するように構成
してある。

【００１５】以下に別実施例を説明する。先の実施例で
は、空冷壁１２ａ，１２ｂの上側部位にゴミの搬送方向
に沿って複数本のノズル１３を取り付けたものを説明し
たが、ノズル１３の取り付け本数は特に制限するもので
はなく、また、一列に取り付けるものでなく複数列にわ
たい取り付けるものであってもよい。

【００１６】先の実施例では、乾燥帯３、燃焼帯４、後
燃焼帯５を階段状に配置して焼却処理帯Ｓを構成するも
のを説明したが、それらを直線状に配置して構成された
焼却処理帯Ｓについても適用できることはいうまでもな
い。

【００１７】先の実施例では、燃焼帯４の側壁にノズル
１３を取り付けるものを説明したが、これに限定するも
のではなく焼却処理帯Ｓのいずれに取り付けるものであ
ってもよい。例えば、上述の直線状に配置して構成され
た焼却処理帯Ｓでは、燃焼火炎が生じる燃焼帯４の位置
が搬送方向に沿って前後する場合もあるので、そのよう
な場合に対応できる。

【００１８】先の実施例では、燃焼状態検出手段１７
が、燃焼により発生する火炎から未燃焼ガス成分の３．
３〜３．４μｍ輻射バンドの波長域の放射エネルギーを
計測する放射温度計測手段である例を説明したが、燃焼
状態検出手段１７としては、カラー画像が得られる産業
用テレビカメラを用いて構成し、火炎の色から燃焼温度
を検出し、火炎の形状から燃焼状態を検出するものであ
ってもよい。例えば、暗色の火炎が細くしかも高く伸び
ている箇所は不完全燃焼しており、明色の火炎が勢いよ
くでている箇所は完全燃焼しているといった具合であ
る。

【００１９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定するものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】要部の斜視図

【図２】要部の断面図

【図３】焼却炉の概略構成図

【符号の説明】 １２ 側壁 １３ ノズル １７ 燃焼状態検出手段 １８ 燃焼用ガス供給手段 Ｓ 焼却処理帯

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部から供給される燃焼用の空気により
   ゴミを焼却処理するストーカ式の焼却処理帯（Ｓ）に対
   して、前記焼却処理帯（Ｓ）の側壁（１２）に複数のノ
   ズル（１３）を配設するとともに、前記焼却処理帯
   （Ｓ）における火炎の燃焼状態を検出する燃焼状態検出
   手段（１７）を設けて、前記燃焼状態検出手段（１７）
   により検出された酸素不足空間に、前記ノズル（１３）
   を選択的に作動して、燃焼用ガスを供給する燃焼用ガス
   供給手段（１８）を設けてあるゴミ焼却炉。
2. 【請求項２】 前記燃焼状態検出手段（１７）が、燃焼
   により発生する火炎から未燃焼ガス成分の３．３μｍ付
   近の輻射バンドの波長域の放射エネルギーを計測する放
   射温度計測手段である請求項１記載のゴミ焼却炉。
3. 【請求項３】 前記燃焼用ガス供給手段（１８）に、前
   記複数のノズル（１３）を時間を異ならせて定期的に作
   動させる間欠作動手段（１９）を備えてある請求項１又
   は２記載のゴミ焼却炉。