JPH07228678A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

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JPH07228678A
JPH07228678A JP11245294A JP11245294A JPH07228678A JP H07228678 A JPH07228678 A JP H07228678A JP 11245294 A JP11245294 A JP 11245294A JP 11245294 A JP11245294 A JP 11245294A JP H07228678 A JPH07228678 A JP H07228678A
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Hiroyuki Ito
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒドロキシカルボン酸類を触媒の存在下、あ
るいは非存在下有機溶媒の存在下、あるいは非存在下で
脱水重縮合する方法において、脱水重縮合の全工程、ま
たは脱水重縮合工程の一部分にて、竪型高粘度反応装置
を使用し、低沸点成分を分離除去させつつ熱重縮合する
ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。 【効果】 直接脱水重縮合により高分子量のポリヒドロ
キシカルボン酸を工業的に容易且つ安価に得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
代替の生分解生ポリマーとして有用なポリヒドロキシカ
ルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリヒドロキシカルボン酸は機械的性
質、物理的性質、化学的性質に優れているうえに、他に
害を与えることなく自然環境下で分解され、最終的には
微生物によって水と炭酸ガスになるという生分解性の機
能を有しており、近年医療用材料や、環境保全の観点か
らの汎用樹脂代替等、様々な分野で注目されており、今
後もその需要が大きく伸びることが期待されている。
【0003】通常、ポリヒドロキシカルボン酸の製造方
法としては、ヒドロキシカルボン酸例えば、乳酸、グリ
コール酸の場合は、脱水二量化し一旦環状二量体を得た
後、各種触媒の存在下、開環溶融重合する高分子量のポ
リマーを得る方法が知られている。この方法は、環状二
量体であるラクチド、またはグリコリドの製造に際して
多大の労力と費用を必要とするため経済的でない。ま
た、ヒドロキシカルボン酸の種類によっては、環状二量
体を形成しないものもあり、この場合はこの方法は使用
できない。
【0004】一方、ヒドロキシカルボン酸及びそのオリ
ゴマーから直接脱水法によって、ポリヒドロキシカルボ
ン酸を得る方法が幾つか開示されている(特開昭59−
096123号、特開昭61−028521号)。しか
しながら、これらの方法で得られる該ポリマーの固有粘
度は約0.3dl/g程度が限界で十分な機械物性を有
さず、その用途、目的によっては使用できない。
【0005】また、本出願人はさきにヒドロキシカルボ
ン酸、またはそれらのオリゴマーを、不活性ガス雰囲気
中、触媒の存在下、有機溶媒中、共沸脱水し、この際留
出する溶媒を乾燥剤で処理した後、再び系内に戻す方法
により、平均分子量が少なくとも30000以上のポリ
ヒドロキシカルボン酸を得る方法を出願した(特願平4
−337321)。しかしながら本方法に於いても、平
均分子量120,000以上のポリヒドロキシカルボン
酸を得るには還流下17〜50時間を要する。
【0006】通常の撹拌翼を備えた槽型反応器を使用す
る場合、反応遅延の原因となる低沸成分(ポリヒドロキ
シカルボン酸生成の場合は水)を除去する為に、減圧下
または不活性ガスの吹き込み下に行われている。しかし
ながら、通常の撹拌翼を備えた槽型反応器においては、
不活性ガスと反応物との接触効率が低いことや、減圧度
を高めた場合にも、反応物の液深の為に、低沸成分を効
率よく除去することが難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ポリヒ
ドロキシカルボン酸を工業的に効率よく、容易にしかも
安価に製造し得る直接脱水重縮合法に関し鋭意検討した
結果、竪型高粘度反応装置を使用することにより、短時
間の反応で、より高分子量のポリヒドロキシカルボン酸
を得られることを見いだした。
【0008】即ち、本発明は、ヒドロキシカルボン酸類
を触媒の存在下あるいは非存在下、有機溶媒の存在下あ
るいは非存在下で、脱水重縮合してポリヒドロキシカル
ボン酸を製造する方法において、脱水重縮合の全工程、
または脱水重縮合の一部分にて、竪型高粘度反応装置を
使用し、低沸点成分を分離除去させつつ熱重縮合するこ
とを特徴とするポリヒドロキシカルボン酸の製造方法で
ある。
【0009】本発明で使用する竪型高粘度反応装置は、
反応装置内に種々の形状の撹拌翼を備えており、軸の回
転に伴ってこれらの撹拌翼が原料成分を薄い膜状に分離
切断して表面更新を行い、低沸点成分の飛散を促進し、
重合反応を促進させる。
【0010】撹拌翼として、例えばシャフトのないねじ
り格子翼とし、シャフト付近での物質滞留を少なくした
もの、マックスブレンド翼とリボン翼を組み合わせて運
転中の急激な粘度変化に対応出来、かつ槽壁部の付着を
減少するようにしたもの、らせん状の翼とし、混合性能
を高め、広い気液接触面をもたせ、優れた表面更新性能
を有するようにしたもの、翼が回転しながら上下するも
の等が挙げられる。
【0011】竪型高粘度反応装置としては特に限定され
ないが、強力な撹拌力を有し、広い伝熱面積と優れた表
面更新性能を有するものが好ましい。その例としては、
竪型高粘度反応装置であり、 内部にリボン状撹拌羽根を設けてなるもの、 内部にリボン状撹拌羽根を設け、該リボン状撹拌羽根
をフレームで支えてなるもの、 竪型円錐状であり、その内部に反応装置の円錐角とほ
ぼ同一の円錐角を与えるリボン状撹拌羽根を設けてなる
もの、 竪型円錐状であり、その内部に該体の円錐角とほぼ同
一の円錐角を与えるリボン状撹拌羽根を設け、該リボン
状撹拌羽根をフレームで支えてなるもの、が挙げられ
る。
【0012】竪型高粘度反応装置の具体的な例として
は、三菱重工業(株)製の「アドバンス リボン リア
クタ(AR)」、「バーチカル コーン リアクタ(V
CR)」、神鋼パンテック(株)製の「ログボーン(L
OGBORN)」、(株)日立製作所製の「ねじり格子
翼」、住友重機械(株)製の「スーパーブレンド(同芯
二軸型撹拌槽)」、ニッセン(株)の「ビスター(高粘
度撹拌機)」等が挙げられる。
【0013】本発明の方法においては、竪型高粘度反応
装置を脱水重縮合の全工程を通じて用いても良いし、ま
た脱水重縮合の一部分において用いてもかまわない。竪
型高粘度反応装置の中粘度から高粘度溶液の反応におけ
る表面更新性向上等の効果を生かすためには、ポリヒド
ロキシカルボン酸の分子量がある程度上がった後に使用
することが好ましい。
【0014】本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸
の具体例としては、以下のものが挙げられる。グリコー
ル酸、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ
ヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタニックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノ
イックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックアシッ
ド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキサノ
イックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド、4
−ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロキシペ
ンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノイック
アシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、4
−ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロ
キシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘキサノ
イックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、6−ヒ
ドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキシヘプ
タノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイックア
シッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、7−
ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシ−
7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒドロキシオ
クタノイックアシッド等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸
が挙げられる。これらは単独でも或は二種以上混合して
用いてもよい。特に好ましく用いられるヒドロキシカル
ボン酸は、乳酸、グリコ−ル酸、3−ヒドロキシブチリ
ックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3
−ヒドロキシバレリックアシッド、またはそれらの混合
物である。
【0015】本発明方法では前述のヒドロキシカルボン
酸から誘導されるオリゴマーを原料として用いることも
出来る。そしてそれらは一種または二種以上の混合物と
して用いてもよい。
【0016】これらヒドロキシカルボン酸及びそれらの
オリゴマーの中には光学活性炭素を有し各々D体、L
体、D/L体の形態をとる場合があるが、本発明に於い
ては、その形態に何等制限はない。
【0017】本発明方法では、重合触媒は目的とするポ
リマーの重合度(固有粘度、分子量)によって添加した
り、しなかったり任意に選択することが出来る。低分子
量のポリマーを製造する場合(固有粘度が約0.3未
満)は、触媒を添加してもしなくても目的とするポリマ
ーを容易に得ることが出来る。一方、高分子量(固有粘
度が約0.3以上)のポリマーを製造する場合は、反応
時間(反応速度)の関係上触媒を用いる方が好ましい。
【0018】本発明で用いる触媒としては、元素周期律
表I、II、III、IV、V族の金属、或はそれらの
塩または水酸化物、酸化物が挙げられる。例えば亜鉛、
錫、アルミニウム、マグネシウム、アンチモン、チタ
ン、ジルコニウム等の金属。酸化錫、酸化アンチモン、
酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チ
タン等の金属酸化物。塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二
錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化
亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハ
ロゲン化物。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニ
ッケル、水酸化銅、水酸化セシウム、水酸化ストロンチ
ウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ジルコ
ニウム等の金属水酸化物。硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アル
ミニウム等の硫酸塩。炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸カルシウム等の炭酸塩。酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸
錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム、乳酸鉄等の有機カル
ボン酸塩。トリフルオロメタンスルホン酸錫、p−トル
エンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩等が挙げられ
る。
【0019】その他、ジブチルチンオキサイド等の上記
金属の有機金属酸化物またはチタニウムイソプロポキサ
イド等の上記金属の金属アルコキサイドまたはジエチル
亜鉛等の上記金属のアルキル金属。およびダウエック
ス、アンバーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられ
る。その使用量は、上記ヒドロキシカルボン酸またはそ
れらのオリゴマーの0.0001〜10重量%である。
【0020】本発明の方法においては、脱水重縮合反応
の工程で有機溶媒を用いる方法、用いない方法いずれで
も採用できる。
【0021】有機溶媒を用いる場合、用いられる有機溶
媒としては、芳香族炭化水素類、エーテル系芳香族炭化
水素類が挙げられる。
【0022】芳香族炭化水素類としては、トルエン、キ
シレン、ナフタレン、ビフェニル、クロロベンゼン、o
−クロロベンゼン、m−クロロベンゼン、p−クロロベ
ンゼンなどが挙げられる。
【0023】エーテル系芳香族炭化水素類としてはアル
コキシベンゼン類、ジフェニルエーテル類が挙げられ
る。
【0024】アルコキシベンゼン類としては、アニソー
ル、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブトキシ
ベンゼン、ペントキシベンゼン、2、4−ジメトキシベ
ンゼン、2−クロロメトキシベンゼン、2−ブロモメト
キシベンゼン、4−クロロメトキシベンゼン、4−ブロ
モメトキシベンゼン、2、4−ジクロロメトキシベンゼ
ン等が挙げられる。
【0025】ジフェニルエーテル類としては、ジフェニ
ルエーテル、4、4’−ジメチルジフェニルエーテル、
3、3’−ジメチルジフェニルエーテル、3−メチルジ
フェニルエーテル等のアルキル置換ジフェニルエーテ
ル。4、4’−ジブロモジフェニルエーテル、4、4’
−ジクロロジフェニルエーテル、4−ブロモジフェニル
エーテル、4−メチル−4−ブロモジフェニルエーテル
等のハロゲン置換ジフェニルエーテル。4−メトキシジ
フェニルエーテル、4、4’−ジメトキシジフェニルエ
ーテル、3、3’−ジメトキシジフェニルエーテル、4
−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアル
コキシ置換ジフェニルエーテル。ジベンゾフラン、キサ
ンテン等の環状ジフェニルエーテル等が挙げられる。こ
れらは一種または二種以上の混合物で用いてもよい。
【0026】有機溶媒を使用する際のポリマー濃度は、
希望するポリヒドロキシカルボン酸の分子量、反応温
度、用いる有機溶媒の種類等によりそれぞれ異なるが、
好ましくは10〜95重量%、より好ましくは25〜7
0重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。
10重量%未満では経済性、反応速度の点で難がある。
95重量%を越える濃度では、有機溶媒を用いる効果が
現れない。
【0027】竪型高粘度反応装置は、竪型の本体内に種
々のリボン状の撹拌羽根を備えている。軸の回転に伴っ
て原料成分は容器壁面を上昇し、中心部を降下する流動
様式で表面更新が行われ、低沸点成分の飛散が促進さ
れ、重縮合反応が促進される。
【0028】本発明でとりうる撹拌羽根の形状を例示す
れば第1図から第4図の如くであり、図1、図2に示す
ダブルヘリカルリボン翼を回転軸で支えたもの、図3に
示すダブルヘリカルリボン翼をフレームで支え物質滞留
の解消および混合性能を高めたもの、図4に示す円錐状
のダブルヘリカルリボン翼をフレームで支え物質滞留の
解消と混合性能および製品排出特性を高めたもの等が挙
げられる。
【0029】反応は常圧下に行っても、減圧下に行って
もいずれでもかまわない。反応を減圧下に行う場合に
は、真空ポンプを接続する。不活性ガスの吹き込み下お
よび/または減圧下に撹拌を行う。不活性ガスとして
は、窒素、アルゴン等が例示される。
【0030】反応は、高粘度反応装置内部を熱媒体を使
用して、または電気加熱等により加熱して行う。反応温
度は有機溶媒の使用の有無、有機溶媒を使用するときは
その溶媒の沸点により異なる。また、生成ポリマーの熱
安定性によっても異なるが、好ましくは50〜250
℃、より好ましくは100〜200℃である。50℃未
満では反応速度が遅く経済的でない。また250℃を越
える温度ではポリマーの劣化が生じる傾向がある。
【0031】本発明方法では、重縮合中の熱劣化による
着色を抑えるために着色防止剤を添加して重縮合を行っ
ても良い。使用される着色防止剤としては、リン酸、リ
ン酸トリフェニル、ピロリン酸、亜リン酸、亜リン酸ト
リフェニル等のリン化合物が好ましい。その添加量は、
ポリマーに対して0.01〜5重量%、より好ましくは
0.5〜2重量%である。0.01重量%未満では着色
防止効果が小さくなり、5重量%を越えると、さらなる
着色防止の効果は薄く、重合度が上がらないことがあ
る。
【0032】
【実施例】以下に、本発明における実施例を記載する
が、本発明は以下に記載する方法および装置に限定され
るものではない。実施例に記載のポリマーの平均分子量
は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(カラム
温度40℃)により、ポリスチレン標準サンプルとの比
較で行った。
【0033】合成例1 通常の撹拌翼(錨形)及び還流冷却管を備えた3lの槽
型反応機に、90%−L−乳酸0.6kgを仕込み、1
30℃/50mmHgで3時間系外へ水を除去しながら
加熱撹拌した。これにジフェニルエーテル(DPE)
1.5kg、錫粉末0.5gを加え、更にモレキュラー
シーブ3A100gが充填された塔を用意し還流により
留出する溶媒がモレキュラーシーブ塔を通って系内へ戻
るようにした。 反応条件を130℃/15mmHgに
設定し、5時間撹拌を続け、重量平均分子量(Mw)約
10,000の低分子量ポリ乳酸が得られた。
【0034】実施例1 合成例1で得られた低分子量ポリ乳酸溶液700gを1
00℃に加熱し、図1に示す容量1lの竪型高粘度反応
装置に供給ポンプにより供給した。尚、高粘度反応装置
はダブルヘリカルリボン翼を備えた表面更新性に富むも
のであった。その後、徐々に減圧し130℃/20〜1
5mmHgでジフェニルエーテルを300g留出させポ
リ乳酸濃度約50重量%迄濃縮した。次に、モレキュラ
ーシーブ3A100gが充填された塔を用意し、還流に
より留出する溶媒がモレキュラーシーブ塔を通って系内
へ戻るようにした。130℃/15mmHgで、反応を
継続し、10時間間隔でサンプリングし重量平均分子量
を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1 合成例1で得られた低分子量ポリ乳酸の400gを、合
成例1で用い槽型反応機と同様の1lの反応機に移し反
応を継続した。130℃/15mmHgの条件で反応を
継続し、10時間間隔でサンプリングし、重量平均分子
量を測定した。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】合成例2 通常の撹拌翼(図5)、ジャケット、温度計及び留出管
を備え付けた500lグラスライニング製槽型反応機
に、90%L−乳酸(水分10%含有)112.5kg
(1125mol)、錫粉末0.405kg(3.4m
ol)及びジフェニルエーテル236kgを装入し、ジ
ャケットを140℃に加熱し、撹拌しながら130℃/
160〜130mmHgで5時間かけて水分を留去し
た。その後、ジャケット温度を150℃に上げ、140
℃/110〜100mmHgで共沸脱水を行い、留出す
る水を除きDPEのみを反応機内に戻す操作を15時間
続け、重量平均分子量(Mw)約30,000の低分子
量ポリ乳酸(濃度25重量%)が得られた。
【0039】実施例2 この実施例は、図1に示す容量20lの反応装置を用い
て行った。合成例1で得られた低分子量ポリ乳酸15k
gを100℃に加熱し、反応装置に供給ポンプにより供
給した。その後、除々に減圧し130℃/20〜15m
mHgで2時間かけてDPE7.5kgを留出させ、ポ
リ乳酸の濃度を50重量%まで濃縮した。次に反応機の
留出液(DPE)をコンデンサーで冷却して溶媒貯槽に
回収し、40kgの4A−モレキュラーシーブを充填し
た塔を通して乾燥した後、反応機へ戻るラインに切り換
え150℃/20〜15mmHgで重縮合反応を行っ
た。10時間間隔でサンプリングし、重量平均分子量を
測定した。結果を表3に示す。
【0040】実施例3 この実施例は、図4に示す容量90lの反応装置を用い
て行った。合成例2で得られた低分子量ポリ乳酸65k
gを100℃に加熱し、反応装置に供給ポンプにより供
給した。その後、除々に減圧し130℃/20〜15m
mHgで2時間かけてDPE32.5kgを留出させ、
ポリ乳酸の濃度を50重量%まで濃縮した。次に反応機
の留出液(DPE)をコンデンサーで冷却して溶媒貯槽
に回収し、40kgの4A−モレキュラーシーブを充填
した塔を通して乾燥した後、反応機へ戻るラインに切り
換え150℃/20〜15mmHgで重縮合反応を行っ
た。10時間間隔でサンプリングし、重量平均分子量を
測定した。結果を表3に示す。
【0041】実施例4 この実施例は、図4に示す容量90lの反応装置を用い
て行った。合成例2で得られた低分子量ポリ乳酸65k
gを100℃に加熱し、反応装置に供給ポンプにより供
給した。その後、除々に減圧し130℃/20〜15m
mHgで2時間かけてDPE20.0kgを留出させ、
ポリ乳酸の濃度を87重量%まで濃縮した。これ以後は
実施例3と全く同様の操作を行った。結果を表3に示
す。
【0042】実施例5 この実施例は、図4に示す容量90lの反応装置を用い
て行った。合成例2で得られた低分子量ポリ乳酸78k
gを100℃に加熱し、反応装置に供給ポンプにより供
給した。その後、除々に減圧し130℃/20〜15m
mHgで2時間かけてDPE48.0kgを留出させ、
ポリ乳酸の濃度を60重量%まで濃縮した。これ以後は
実施例3と全く同様の操作を行った。結果を表3に示
す。
【0043】比較例2 合成例2で得られた低分子量ポリ乳酸の一部を、合成例
2で用いた槽型反応機で反応を継続した。130℃/1
5mmHgの条件で反応を継続し、10時間間隔でサン
プリングし、重量平均分子量を測定した。結果を表3に
示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明方法は、ヒドロキシカルボン酸ま
たはそれらのオリゴマーから直接脱水重縮合により高分
子量の該ポリマーを工業的に、短時間に、且安価に得る
ことを可能とする方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる、軸にリボン状撹拌羽根
を備える竪型高粘度反応装置の模式図である。
【図2】本発明の実施に用いる、軸にリボン状撹拌羽根
を備える竪型円錐状高粘度反応装置の模式図である。
【図3】本発明の実施に用いる、フレームにリボン状撹
拌羽根を備える竪型高粘度反応装置の模式図である。
【図4】本発明の実施に用いる、フレームにリボン状撹
拌羽根を備える竪型円錐状高粘度反応装置の模式図であ
る。
【図5】本発明の合成例および比較例で用いた槽型反応
装置の模式図である。
【符号の説明】
1. リボン状撹拌羽根 2. 回転軸 3. 竪型高粘度反応装置 4. ジャケット 5. フレーム 6. グラスライニング製反応装置 7. 3枚後退翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大淵 省二 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 伊藤 洋之 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化学 株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカルボン酸類を触媒の存在下
    あるいは非存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下
    で、脱水重縮合してポリヒドロキシカルボン酸を製造す
    る方法において、脱水重縮合の全工程、または一部の工
    程にて、竪型高粘度反応装置を使用し、低沸点成分を分
    離除去させつつ熱重縮合することを特徴とするポリヒド
    ロキシカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 竪型高粘度反応装置が、内部にリボン状
    撹拌羽根を設けてなることを特徴とする請求項1記載の
    ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 竪型高粘度反応装置が、内部にリボン状
    撹拌羽根が設けられ、該リボン状撹拌羽根がフレームで
    支えられていることを特徴とする請求項1記載のポリヒ
    ドロキシカルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 竪型高粘度反応装置の内部に該装置の円
    錐角とほぼ同一の円錐角を与えるリボン状撹拌羽根が設
    けられてなることを特徴とする請求項1記載のポリヒド
    ロキシカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 竪型高粘度反応装置の内部に該装置の円
    錐角とほぼ同一の円錐角を与えるリボン状撹拌羽根が設
    けられ、該リボン状撹拌羽根がフレームで支えられてい
    ることを特徴とする請求項1記載のポリヒドロキシカル
    ボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 ヒドロキシカルボン酸類が、乳酸、グリ
    コール酸、3−ヒドロキシブチリックアシッド、4−ヒ
    ドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキシバレリッ
    クアシッド、またはそれらの混合物であることを特徴と
    する請求項1記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 脱水重縮合が触媒の存在下で行われるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリヒドロキシカルボン
    酸の製造方法。
  8. 【請求項8】 触媒がすず系触媒であることを特徴とす
    る請求項7記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 脱水重縮合が有機溶媒の存在下で行われ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリヒドロキシカル
    ボン酸の製造方法。
  10. 【請求項10】 有機溶媒が、芳香族炭化水素類または
    エーテル系芳香族炭化水素類であることを特徴とする請
    求項9記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 有機溶媒中のポリヒドロキシカルボン
    酸の濃度が10〜95重量%である請求項9記載のポリ
    ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
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