JPH08311186A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

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JPH08311186A
JPH08311186A JP11717895A JP11717895A JPH08311186A JP H08311186 A JPH08311186 A JP H08311186A JP 11717895 A JP11717895 A JP 11717895A JP 11717895 A JP11717895 A JP 11717895A JP H08311186 A JPH08311186 A JP H08311186A
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acid
tank
hydroxy
wall
fixed
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JP11717895A
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Mineo Kobayashi
峰生 小林
Hiroyuki Ito
洋之 伊藤
Satoshi Tsuruta
智 鶴田
Homare Sakurai
誉 桜井
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低粘度から中粘度の広い粘度範囲の攪拌に有
効な攪拌翼を用いて、反応の初期から終わりまで常に高
い表面更新性を維持しながら、低沸点成分を効率よく除
去することにより、反応時間を短縮し工業的に効率よい
製造法を提供する。 【構成】 ヒドロキシカルボン酸または、それらのオリ
ゴマーを不活性ガス中、触媒の存在または非存在下、有
機溶媒中、共沸脱水してポリヒドロキシカルボン酸を製
造する際に好適な攪拌翼が開示されている。その攪拌翼
は槽底部を掃引する板状の部材と、その上に設けられて
ほぼ上下方向またはほぼ左右方向に延びる棒状または板
状の部材から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
代替の生分解性ポリマーとして有用なポリヒドロキシカ
ルボン酸をヒドロキシカルボン酸からの直接脱水縮合に
より製造する方法に関する。例えば、乳酸は、自然界に
広く分布し動植物及び人畜に対して無害であり、その重
合物は、水の存在下で比較的容易に加水分解を受け、ま
た、生体内でも加水分解され吸収されることから、上記
用途として注目されている。
【0002】
【従来の技術】高分子量のポリヒドロキシカルボン酸で
あるポリ乳酸、または、ポリグリコール酸は、一般に、
乳酸またはグリコール酸からラクチドまたはグリコリド
を製造し、これを開環重合することにより得られるが、
この方法は、ラクチドあるいはグリコリドの製造に際し
て、多大の労力と費用を必要とするため経済的でない。
また、ラクチドまたはグリコリドのような環状ラクトン
を形成しないヒドロキシカルボン酸を共重合する際に
は、この方法は使えない。一方、乳酸やグリコール酸か
ら直接ポリ乳酸やポリグリコール酸を合成する方法とし
ては、特開昭59−96123等が知られている。しか
しながら、これらの方法では得られる該ポリマ−の固有
粘度は約0.3dl/g程度が限界で十分な機械物性を
有さず、その用途、目的によっては使用できない。
【0003】また、本出願人は先にヒドロキシカルボン
酸、またはそれらのオリゴマーを、不活性ガス雰囲気
中、触媒の存在下、有機溶媒中、共沸脱水し、この際留
出する溶媒を乾燥剤で処理した後、再び系内に戻す方法
により、平均分子量が少なくとも30,000以上のポ
リヒドロキシカルボン酸を得る方法を出願した(特開平
6−65360)。しかしながら本方法においても、重
量平均分子量120,000以上のポリヒドロキシカル
ボン酸を得るには還流下17〜50時間を要する。
【0004】本重縮合反応は、通常、従来の攪拌翼、た
とえば、パドル翼、タービン翼および三枚後退翼を備え
た槽型反応機を使用し、反応遅延の原因となる低沸点成
分(ポリヒドロキシカルボン酸生成の場合は水)を除去
するために、減圧下または不活性ガスの吹き込み下に行
われている。しかしながら、通常の攪拌翼を備えた槽型
反応機においては、不活性ガスと反応物との接触効率が
低いことや、減圧度を高めた場合にも、反応物の液深の
ために、低沸点成分を効率よく除去することが難しい。
【0005】乳酸やグリコール酸等のヒドロキシカルボ
ン酸の直接重縮合反応は、二塩基酸と多価アルコールに
よるエステル化反応と同様に逐次反応であり、反応時間
と共に分子量は増大する。ただし、この反応は可逆的反
応であり、生成する水が反応系内に存在すると、加水分
解作用により重縮合体の分子量の低下をまねく。したが
って、生成する水を系外へ素早く除去することが高分子
量ポリ乳酸やポリグリコール酸等を得るために必要とな
る。
【0006】有機溶媒中、乳酸やグリコール酸等のヒド
ロキシカルボン酸の直接重縮合反応は、重合液の濃度、
温度、溶媒の種類にもよるが、反応時間と共に重合液の
粘度が数センチポイズから数千センチポイズまで変化す
る。時間の経過に伴う粘度の増加は、攪拌効率を著しく
低下させ、低沸点成分を効率よく除去することを困難に
する。
【0007】パドル、タービン、三枚後退翼等に代表さ
れる従来の低粘度用一般翼は、中粘度から高粘度領域へ
の適用が難しい。一方、ダブルヘリカルリボン翼に代表
される高粘度用攪拌翼は、低粘度領域での攪拌には不適
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低粘
度から中粘度の広い粘度範囲の攪拌に有効な攪拌翼を用
いて、反応の初期から終わりまで常に高い表面更新性を
維持しながら、低沸点成分を効率よく除去することによ
り、反応時間を短縮し工業的に効率よい製造法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロキ
シカルボン酸を工業的に効率よく、容易にしかも安価に
製造しうる直接脱水重合法に関し鋭意検討した結果、低
粘度から中粘度の広い粘度範囲の攪拌に有効な、特定の
構造の反応装置で攪拌することにより、短時間の反応で
高分子量のポリヒドロキシカルボン酸を得られることを
見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、ヒドロキシカルボン酸、
または、それらのオリゴマーを、不活性ガス中、触媒の
存在下または非存在下、有機溶媒中、共沸脱水してポリ
ヒドロキシカルボン酸を製造する方法において、請求項
で定義した特定の反応機を使用し、低沸点成分を分離除
去させつつ熱重縮合することを特徴とするポリヒドロキ
シカルボン酸の製造方法である。
【0011】その特定の反応装置は請求項に定義してい
るが、大まかに言えば、槽および槽底部を掃引する板、
その上に設けられる縦方向または横方向にそれぞれ延び
る棒状の部材および邪魔板あるいはバッフルで構成され
るものである。
【0012】本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸
の具体例としては、以下のものが挙げられる。グリコー
ル酸、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ
ヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノ
イックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタ
ノイックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックアシ
ッド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキサ
ノイックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックアシ
ッド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド、
4−ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
ペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノイッ
クアシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、
4−ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘキサ
ノイックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイックアシ
ッド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5−ヒ
ドロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、6−
ヒドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキシヘ
プタノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイック
アシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイック
アシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイック
アシッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイック
アシッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、7
−ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシ
−7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒドロキシ
オクタノイックアシッド等の脂肪族ヒドロキシカルボン
酸が挙げられる。これらは単独でも或は二種以上混合し
て用いてもよい。特に好ましく用いられるヒドロキシカ
ルボン酸は、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシブチ
リックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、
3−ヒドロキシバレリックアシッド、またはそれらの混
合物である。
【0013】本発明方法では前述のヒドロキシカルボン
酸から誘導されるオリゴマーを原料として用いることも
出来る。そしてそれらは一種または二種以上の混合物と
して用いてもよい。
【0014】これらヒドロキシカルボン酸及びそれらの
オリゴマーの中には光学活性炭素を有し各々D体、L
体、D/L体の形態をとる場合があるが、本発明に於い
ては、その形態に何等制限はない。
【0015】本発明方法では、重合触媒の添加は、目的
とするポリマーの重合度(固有粘度、分子量)によって
添加したり、しなかったり任意に選択することが出来
る。低分子量のポリマーを製造する場合(固有粘度が約
0.3未満)は、触媒を添加してもしなくても目的とす
るポリマーを容易に得ることが出来る。一方、高分子量
(固有粘度が約0.3以上)のポリマーを製造する場合
は、反応時間(反応速度)の関係上触媒を用いる方が好
ましい。
【0016】本発明で用いる触媒としては、元素周期律
表I、II、III、IV、V族の金属、或はそれらの
塩または水酸化物、酸化物が挙げられる。例えば亜鉛、
錫、アルミニウム、マグネシウム、アンチモン、チタ
ン、ジルコニウム等の金属。酸化錫、酸化アンチモン、
酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チ
タン等の金属酸化物。塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二
錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化
亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハ
ロゲン化物。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニ
ッケル、水酸化銅、水酸化セシウム、水酸化ストロンチ
ウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ジルコ
ニウム等の金属水酸化物。硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アル
ミニウム等の硫酸塩。炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸カルシウム等の炭酸塩。酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸
錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム、乳酸鉄等の有機カル
ボン酸塩。トリフルオロメタンスルホン酸錫、p−トル
エンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩等が挙げられ
る。
【0017】その他、ジブチルチンオキサイド等の上記
金属の有機金属酸化物またはチタニウムイソプロポキサ
イド等の上記金属の金属アルコキサイドまたはジエチル
亜鉛等の上記金属のアルキル金属。およびダウエック
ス、アンバーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられ
る。その使用量は、上記ヒドロキシカルボン酸またはそ
れらのオリゴマーの0.0001〜10重量%が用いら
れる。
【0018】本発明の方法においては、有機溶媒中脱水
重縮合反応を行う。用いられる有機溶媒としては、芳香
族炭化水素類、エーテル系芳香族炭化水素類が挙げられ
る。
【0019】芳香族炭化水素類としては、トルエン、キ
シレン、ナフタレン、ビフェニル、クロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジク
ロロベンゼンなどが挙げられる。
【0020】エーテル系芳香族炭化水素類としてはアル
コキシベンゼン類、ジフェニルエーテル類が挙げれれ
る。
【0021】アルコキシベンゼン類としては、アニソー
ル、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブトキシ
ベンゼン、ペントキシベンゼン、2,4−ジメトキシベ
ンゼン、2−クロロメトキシベンゼン、2−ブロモメト
キシベンゼン、4−クロロメトキシベンゼン、4−ブロ
モメトキシベンゼン、2,4−ジクロロメトキシベンゼ
ン等が挙げれれる。
【0022】ジフェニルエーテル類としては、ジフェニ
ルエーテル、4,4’−ジメチルジフェニルエーテル、
3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、3−メチルジ
フェニルエーテル等のアルキル置換ジフェニルエーテ
ル。4,4’−ジブロモジフェニルエーテル、4,4’
−ジクロロジフェニルエーテル、4−ブロモジフェニル
エーテル、4−メチル−4−ブロモジフェニルエーテル
等のハロゲン置換ジフェニルエーテル。4−メトキシジ
フェニルエーテル、4,4’−ジメトキシジフェニルエ
ーテル、3,3’−ジメトキシジフェニルエーテル、4
−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアル
コキシ置換ジフェニルエーテル。ジベンゾフラン、キサ
ンテン等の環状ジフェニルエーテル等が挙げられる。こ
れらは一種または二種以上の混合物で用いてもよい。こ
れらの溶媒の使用量は、反応液中のポリマーの濃度で好
ましくは10〜80%、より好ましくは20〜50%で
ある。濃度が高すぎると反応液の粘度が著しく増大し、
撹拌効率が低下する。また、濃度が低すぎると重合速度
が低下する。
【0023】本発明方法では、重縮合中の熱劣化による
着色を抑えるために着色防止剤を添加して重縮合を行っ
ても良い。使用される着色防止剤としては、リン酸、リ
ン酸トリフェニル、ピロリン酸、亜リン酸、亜リン酸ト
リフェニル等のリン化合物が好ましい。その添加量は、
ポリマーに対して0.01〜5重量%、より好ましくは
0.5〜2重量%である。0.01重量%未満では着色
防止効果が小さくなり、5重量%以上では、さらなる着
色防止の効果は薄く、重合度が上がらないことがある。
【0024】本発明に用いる攪拌翼を説明する。攪拌翼
は槽の中心に設けられる回転軸に、その翼の一側で取り
付けられる。当然のことながら、軸の回転を滑らかに行
うことさえ確保されれば1を除く奇数の枚数であっても
よいが工作の容易さからは2枚程度を対称に設けること
である。
【0025】翼を構成する第1の部材は実質的には板
で、槽の底部を掃引する。板の下端と槽底の間隔は狭い
方が好ましい。理由は明瞭ではないが、槽底に向かう液
流が大きくならない方が好ましいようである。槽内壁に
面する端は、その内壁からある程度の間隔が望ましい。
内壁に向かう液流を形成させるためである。
【0026】第2の部材は、第1の部材の上に設けられ
る回転軸から槽内壁に延びるほぼ棒状の部材であり、言
い換えれば回転軸から伸びる腕である。この部材は一本
に限るものでなく上下に多数並んでいてよい。その長さ
の制限は第1の部材の長さの場合と同じであり、もっと
短くしても構わない。この棒状部材の延びる方向は特別
に液面に平行でなければならないものではなく斜めにな
っていても実質的に液を横向きに切るように設けてあれ
ばよい。
【0027】第3の部材は、液内でほぼ上下方向に延び
て液を攪拌する棒または板状の部材で、液を攪拌する機
械的強度が保てるならば第1の部材または第2の部材い
ずれか一方のみに固定されているだけでも構わない。こ
の部材の方向もまた厳密さを求めるものでなくほぼ上下
方向に向いておればよく、槽内壁から回転軸方向に向か
う液流を横切る運動をするように第1の部材または第2
の部材を介して設けられていればよい。この部材も複数
であってよい。
【0028】上記の三つの部材は、最も普通には同一平
面内に設けて全体として一枚の板で空間を持つ格子状の
ものを構成するものとなるが、全体としての一枚の板が
ねじれた一枚の曲線を構成していても一向に構わない。
【0029】本発明でとりうる翼の形状を例示すれば図
1から図5の如くである。なお第2の部材と第3の部材
について説明する。上記の説明においては、液面に平行
でとか、液を横向きに切るようにとかの言葉を用いてい
るがこれは説明をわかり易くするためにわざと静止した
液面を想定してその前提で表現している。しかし翼が槽
内で回転すれば必然的に槽内には槽底部の液が中心から
外周へ向かう流れを起こし、これに呼応して槽内は外周
部で上昇、中心部で下降する液の対流が起こり循環す
る。循環流が激しくなれば液面の中心部が下になった放
物線を形成することになる。そうだとすると第2の部材
や第3の部材はその放物面に追従して向きが変わり図3
に示すようになり、さらに第2の部材と第3の部材は一
体化して図5に示したように一本の曲線となってもよい
訳である。
【0030】本発明に用いる攪拌翼は、低粘度から高粘
度の広い範囲の攪拌混合に適用できる。したがって、本
発明の重縮合反応の場合、時間とともに分子量が増加
し、反応液の粘度が増大するが、攪拌効率が著しく低下
することなく表面更新が行われ、低沸点成分の除去効率
が維持されたまま反応が促進される。
【0031】重縮合反応および低沸点物の除去は、常圧
下に行っても、減圧下に行ってもよい。減圧下に行う場
合には、真空ポンプを接続する。
【0032】槽型反応機の加熱は、外部ジャケットに熱
媒体または蒸気を使用して行う。内部の温度は、生成ポ
リマーの熱安定性によっても異なるが、好ましくは50
〜250℃、より好ましくは100〜200℃である。
50℃未満では反応速度が遅く経済的でない。また25
0℃を越える温度ではポリマーの劣化を生じたり、得ら
れる製品の品質を悪化させることがあるため好ましくな
い。
【0033】攪拌翼の周速は、溶媒の種類、反応温度、
濃度によっても異なるが、1.1〜6.5m/sec、
好ましくは2.2〜4.5m/secである。6.5m
/sec以上では多大な動力を消費し経済的でない。い
っぽう、1.1m/sec以下だと十分な攪拌効果が得
られない。
【0034】本発明の重縮合装置の一例を図6により説
明する。図中、61は請求項で定義した特定の槽型反応
機であり、これに原料のヒドロキシカルボン酸、溶媒、
触媒を仕込み、撹拌しながら反応を行う。反応は、脱
水、オリゴマー化および重縮合の3つの行程から成る。
まず、脱水およびオリゴマー化においては留出液は水と
溶媒であるから、コンデンサー62で冷却し、分液槽6
3で分液する。水は系外へ除去し、溶媒は貯槽64を経
由してそのまま反応機61へ戻す。重合においては、溶
媒を留出させ、コンデンサー62で冷却し貯槽64に回
収する。回収した溶媒は、微量の水を含んでいるが完全
に溶解しているので、乾燥剤の充填塔66を通して水を
除去した後、反応機61へ戻す。熱交換器67は、溶溶
媒の留出量が十分でない場合に、溶媒を加熱することに
より留出量を増加させるためのものである。
【0035】
【実施例】以下、実施例によりさらに詳しく説明する。
なお、ポリマーの分子量は、ゲルパーミエイションクロ
マトグラフィー(カラム温度40℃)によりポリスチレ
ン標準サンプルとの比較で行った。(以下ポリスチレン
換算と略す)。
【0036】実施例1 図1の槽型反応機を用いて行った。反応槽は内径;80
0mm、高さ;1200mmの円筒縦型、容量500リ
ットルの外套付きのグラスライニング製で、内部にバッ
フルが2本付いている。攪拌翼はd;426mm、h;
910mmのものを使用した。反応機に、90%L−乳
酸(水分10%含有)112.5kg(1125mo
l)および錫粉末0.405kg(3.4mol)を装
入し、攪拌翼の回転数を140rpmとした。まず、内
部の温度を140℃に保ちながら6時間かけて水を留去
した.その後、o−ジクロロベンゼン236kgを装入
し、140℃/240mmHgで8時間かけてオリゴマ
ー化を行った。その際、反応機よりo−ジクロロベンゼ
ンと水を留出させ、留出液をコンデンサーで冷却し、分
液槽で水を分液して除きながらo−ジクロロベンゼンを
反応機に循環させた。溶媒の循環量は1時間当たり24
0kgに保つようにした。得られたオリゴマーを引き続
き、130℃/170mmHgで40時間重縮合させ、
重量平均分子量136,000のポリ乳酸/o−ジクロ
ロベンゼン溶液(約25重量パーセント)を得た。その
際、反応機からの留出液はコンデンサーで冷却して溶媒
貯槽に回収し、40kgの4A−モレキュラーシーブを
充填した塔を通して乾燥した後、溶媒加熱器で加熱し反
応機へ循環した。溶媒の循環量は1時間当たり240k
gに保つようにした。反応液のサンプリングを10時間
間隔で行い、分子量を測定した。分子量の経時変化を表
1に示す。
【0037】比較例1 槽型反応機に備え付ける攪拌翼を3枚後退翼にしたほか
は、実施例1と同様の仕込みおよび方法で行った。オリ
ゴマーを50時間重縮合させることにより、重量平均分
子量132,000のポリ乳酸/o−ジクロロベンゼン
溶液(約25重量パーセント)を得た。分子量の経時変
化を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 実施例1と同様の反応装置を用いた。槽型反応機に、9
0%L−乳酸(水分10%含有)112.5kg(11
25mol)および錫粉末0.405kg(3.4mo
l)を装入し、攪拌翼の回転数を140rpmとした。
まず、内部の温度を140℃に保ちながら6時間かけて
水を留去した.その後、ジフェニルエーテル236kg
を装入し、140℃/25mmHgで8時間かけてオリ
ゴマー化を行った。その際、反応機よりジフェニルエー
テルと水を留出させ、留出液をコンデンサーで冷却し、
分液槽で水を分液して除きながらジフェニルエーテルを
反応機に循環させた。溶媒の循環量は1時間当たり24
0kgに保つようにした。得られたオリゴマーを引き続
き、130℃/17mmHgで40時間重縮合させ、平
均分子量142,000のポリ乳酸/ジフェニルエーテ
ル溶液(約25重量パーセント)を得た。その際、反応
機からの留出液はコンデンサーで冷却して溶媒貯槽に回
収し、40kgの4A−モレキュラーシーブを充填した
塔を通して乾燥した後、溶媒加熱器で加熱し反応機へ循
環した。溶媒の循環量は1時間当たり240kgに保つ
ようにした。反応液のサンプリングを10時間間隔で行
い、分子量を測定した。分子量の経時変化を表2に示
す。
【0040】比較例2 槽型反応機備え付ける攪拌翼を3枚後退翼にしたほか
は、実施例2と同様の仕込みおよび方法で行った。オリ
ゴマーを50時間重縮合させることにより、重量平均分
子量129,000のポリ乳酸/ジフェニルエーテル溶
液(約25重量パーセント)を得た。分子量の経時変化
を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明方法は、ヒドロキシカルボン酸ま
たはそれらのオリゴマ−から直接脱水重縮合により高分
子量の該ポリマ−を工業的に、短時間に、且安価に得る
ことを可能とする方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる特定の攪拌翼を備える反
応装置の断面図である。
【図2】本発明の実施に用いる特定の攪拌翼を備える反
応装置の断面図である。
【図3】本発明の実施に用いる特定の攪拌翼を備える反
応装置の断面図である。
【図4】本発明の実施に用いる特定の攪拌翼を備える反
応装置の断面図である。
【図5】本発明の実施に用いる特定の攪拌翼を備える反
応装置の断面図である。
【図6】本発明方法の好ましい態様の反応装置の模式図
である。
【符号の説明】
1 第1の部材 2 第2の部材 3 第3の部材 4 回転軸 5 反応槽 6 攪拌翼 7 ジャケット 8 バッフル 9 邪魔板 61 槽型反応機 62 コンデンサー 63 分液器 64 溶媒貯槽 65 溶媒循環ポンプ 66 乾燥剤充填塔 67 溶媒加熱器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカルボン酸、または、それら
    のオリゴマーを、不活性ガス中、触媒の存在下または非
    存在下、有機溶媒中、共沸脱水してポリヒドロキシカル
    ボン酸を製造する方法において、下記で特定する構成の
    翼と邪魔板または翼とバッフルを備えた槽型反応機を使
    用し、低沸点成分を分離除去させつつ熱重縮合すること
    を特徴とするポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。 (イ)翼は反応槽内の液を攪拌することができるように
    少なくとも一枚が回転軸に固定されている。 (ロ)翼は少なくとも次の3つ部材(ハ)(ニ)および
    (ホ)を備えている。 (ハ)実質的に平板であり、板の横方向の一端で回転軸
    に固定され、その固定端に対向して槽内壁に面する端は
    その内壁から任意の長い間隔を保つまでにおよび、下方
    向は槽底から一定の短い間隔を保っている第1の部材。 (ニ)第1の部材より液面側に設けられ、第1の部材と
    ほぼ平行する平面内で、回転軸と槽内壁との間に液面に
    ほぼ平行する方向に延び、一端で回転軸に固定され、他
    端は槽内壁から、任意の長い間隔を保つまで、延びてい
    るほぼ棒状である第2の部材。 (ホ)第1の部材より液面側に設けられ、第1の部材ま
    たは第2の部材のいずれかの一つには必ず固定されてお
    り、液面にほぼ直交する平面内をほぼ上下方向に延びて
    いる複数の棒または板状である第3の部材。 (ヘ)邪魔板は槽側壁面に下部から上部まで軸方向に沿
    って複数本、間隔をおきながら配設されている。 (ホ)バッフルは槽壁面と翼の間で上部から下部に向か
    って軸方向に沿って複数本、間隔をおきながら配設され
    ている。
  2. 【請求項2】 第2の部材と第3の部材が一体となって
    実質的にほぼ円弧である曲線を含む一本の棒である部材
    である翼を用いる請求項1記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102068955A (zh) * 2010-12-15 2011-05-25 天津大学 带有异型扰流板的絮凝反应器
WO2015102273A1 (ko) * 2014-01-02 2015-07-09 한화케미칼 주식회사 배플을 구비한 회분식 반응기

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