JPH07228618A - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法

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JPH07228618A
JPH07228618A JP2075594A JP2075594A JPH07228618A JP H07228618 A JPH07228618 A JP H07228618A JP 2075594 A JP2075594 A JP 2075594A JP 2075594 A JP2075594 A JP 2075594A JP H07228618 A JPH07228618 A JP H07228618A
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JP
Japan
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polymer
acid
vinyl
group
compound
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JP2075594A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ikeuchi
博之 池内
Fumihide Tamura
文秀 田村
Kazuo Takei
一男 竹井
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/04Polymerisation in solution
    • C08F2/06Organic solvent

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
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  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 有極性のものも含めた幅広いビニル系単量体
から、両末端に水酸基を有する重合体を容易かつ安価に
効率良く得ることのできる方法を提供する。 【構成】 非付加重合性の単官能アルコール(b)の存
在下、過酸化水素を必須とする開始剤系(c)を用いて
ビニル系単量体(a)の重合を行い、その際、さらに、
非付加重合性の有機スルホン酸化合物、無機酸、オニウ
ム塩および複素環アミンからなる群より選ばれる少なく
とも1種の触媒(d)を用いるとともに、反応器内に前
記4者(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分を実
質的に含まないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、両末端に水酸基を有す
る重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】両末端に水酸基を有する重合体は、上記
末端の水酸基を適当な方法で反応させることによって、
容易に他の官能基との変換が可能であり、また、上記末
端の水酸基の反応性を利用し、この水酸基を適当な方法
で反応させることによって線状化および/または網状化
し、その結果、強度、耐熱性、耐候性、耐久性など種々
の良好な物性を有する高分子化合物となる。
【0003】両末端に水酸基を有する、この重合体は、
両末端に水酸基を有するという特徴を発揮することによ
って、たとえば、下記の〜のような大きな利点を持
つ。 ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂などの各種樹脂原料(架橋剤等)として用い
た場合、未反応物がないため、すべての重合体が確実に
樹脂架橋構造の中に組み込まれる。故に、この重合体を
用いた各種樹脂は、未反応物に由来する物性の低下がな
い。
【0004】 水酸基、カルボキシル基、アミノ基な
どの官能基を有するビニル系単量体を共重合することに
より側鎖に官能基を導入した重合体(以下、官能基含有
ビニル系単量体共重合体と略す)は、これを用いて反応
させた場合、その末端が樹脂(架橋)構造に組み込まれ
ない遊び部分(自由端)となるが、両末端に水酸基を有
する重合体では、このようなことが起こらない。
【0005】 官能基含有ビニル系単量体共重合体に
比べて、官能基間距離のばらつきが極めて小さいので、
反応点(架橋点)間距離がほぼ一定となり、均一な樹脂
(架橋)構造をつくる。 官能基含有ビニル系単量体共重合体では、平均官能
基数が2.0のものを作り、これと、2官能性の鎖延長
剤とを反応させて、熱可塑性ポリマーを合成しようとし
ても、合成法に由来する理由で、3官能以上の重合体も
統計的に含まれてしまうため、大部分が熱硬化性ポリマ
ーとなって、熱可塑性ポリマーを合成することができな
いが、3官能以上の重合体を含まない、両末端に水酸基
を1つずつ有する重合体では、鎖延長した熱可塑性ポリ
マーを容易に合成することができる。
【0006】両末端に水酸基を有する重合体は、上記の
利点を生かすことによって、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種樹脂、各
種ブロックポリマー等の各種樹脂の原料あるいは添加剤
として、または、重合体のままで、塗料(ハイソリッド
塗料、低温硬化性塗料、水性2液ウレタン塗料、水性ウ
レタン塗料、粉体塗料等)、弾性壁材、塗膜防水材、粘
着剤、床材、粘着性付与剤、接着剤、バインダー(磁気
記録媒体、インキバインダー、鋳バインダー、焼成レン
ガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラス
ファイバーサイジング等)、シーリング材、ウレタンフ
ォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV
・EB硬化樹脂、熱硬化型エラストマー、マイクロセル
ラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面
活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石
用耐衝撃性付与剤、エポキシ樹脂等の可とう性付与剤、
インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィ
ルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成
型材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革、分散剤、水性
ウレタンエマルジョン等の用途に非常に有用である。
【0007】従来、前記の用途に用いられる水酸基を有
する重合体としては、水酸基を側鎖に有するビニル系単
量体の共重合体、末端に水酸基を有するポリエーテル、
ポリエステル、ポリブタジエン、ポリカーボネートなど
が挙げられるが、まず、水酸基を側鎖に有するビニル系
単量体の共重合体は、水酸基を有する単量体と、水酸基
を有しない単量体とのランダムなラジカル重合で作られ
るので、水酸基を有しない共重合体の副生を抑えにく
く、これを避けようとすると共重合体中の水酸基含有量
を多くする必要があり、また、1分子中の水酸基の数に
ばらつきがあった。そのため、水酸基と反応性を有する
多官能性化合物と反応させた場合、反応しない共重合体
が残ってしまう、反応点間の距離に大きなばらつきがあ
る、反応後の架橋体構造に直接関与しないあそび鎖の部
分ができてしまう、反応に関与しない水酸基が残ってし
まうなどの原因により十分に伸びがあり(曲げ加工性が
よく)、かつ、強靱でもある重合体が得られない。他
方、末端に水酸基を有するポリエーテル、ポリエステ
ル、ポリブタジエンなどは、重合体末端に水酸基を有す
るため、水酸基を側鎖に有するビニル系単量体の共重合
体のような欠点は少ないものの、ポリエーテルの場合に
は主鎖中のエーテル結合、ポリエステルの場合は主鎖中
のエステル結合、ポリブタジエンの場合には主鎖中の不
飽和二重結合のために、耐候性、耐水性や耐熱性などが
よくないという欠点を有している。
【0008】以上のように、現在のところ、前記の用途
の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等
として用いられる水酸基を有する重合体で、強靱さ、伸
び(曲げ加工性)、耐候性、耐水性や耐熱性などすべて
の要求性能を満たすものはない。このような問題は、両
末端に水酸基を有するビニル系重合体により解決される
と考えられるが、以下にも記すように、アクリル酸、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステ
ル等の有極性ビニル系単量体も含めた幅広いビニル系単
量体から両末端に水酸基を有する重合体を工業的に製造
する方法は、まだ確立されていないのが現状である。
【0009】末端に水酸基を有するビニル系重合体の製
造方法としては、例えば、2−メルカプトエタノールな
どを連鎖移動剤として用いて重合体の片末端に水酸基を
1個導入するとともにメタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル等との共重合で重合体分子中に水酸基を平均もう1個
導入することにより、末端に水酸基を有する重合体を得
る方法がある。
【0010】しかし、この方法では、重合体1分子あた
り平均2個の水酸基が導入されるものの、平均2個の水
酸基のうちの1個が重合体の片末端に導入されるだけで
あり、もう1個の水酸基は、末端ではなくて、主鎖の途
中に導入される。また、共重合によりもう1個の水酸基
を導入するため、重合体1分子あたりの合計の水酸基数
には、1個のものや3個以上のものなど分布(ばらつ
き)が見られるとともに、水酸基間距離にも広い分布が
できる。そのため、得られた重合体は、前述したよう
な、両末端に水酸基を有する重合体の長所をほとんど発
揮することができない。しかも、メルカプタン化合物の
添加によって、重合が極端に遅くなり重合率が上がらな
かったり、残存メルカプタンの臭気が残ったりするとい
う問題もあった。
【0011】両末端に水酸基を有するビニル系重合体の
製造方法としては、たとえば、下記(i)〜(iii)に示
したように、各種開始剤や連鎖移動剤等の存在下でビニ
ル系単量体をラジカル重合させる方法がある。 (i) 水酸基を有する開始剤を用いてスチレンまたは
ブタジエンを重合させることにより、両末端に水酸基を
有する重合体を得る方法(「J. Polym. Sc
i.、Part A1」、第9巻、第2029頁、19
71年刊を参照)。
【0012】(ii) 水酸基を有するジチオカーバメー
トまたはチウラムジスルフィドを開始剤として用いて熱
重合または光重合させる方法によるか、あるいは、上記
ジチオカーバメートまたはチウラムジスルフィドを連鎖
移動剤として用いるとともに過酸化水素などを開始剤と
して用いて重合させることにより、両末端に水酸基を有
する重合体を得る方法(日本国特開昭61−27130
6号公報参照)。
【0013】(iii) 両末端に水酸基を有するジスルフ
ィド、トリスルフィドなどを連鎖移動剤として用いた重
合により、両末端に水酸基を有する重合体を得る方法
(日本国特開昭54−47782号公報参照)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した従
来の、両末端に水酸基を有する重合体の製造法(i)〜
(iii)には、以下のように、それぞれ欠点があり、数多
くの種類のビニル系単量体から、両末端に水酸基を有す
る重合体を確実に、安価で簡便に、かつ工業的に合成す
るのは容易ではない。
【0015】まず、(i)の方法では、使用できるビニ
ル系単量体がブタジエンやスチレンに限られ、アクリル
酸エステル類やメタクリル酸エステル類等の有極性のビ
ニル系単量体を使用できないという問題があった。次
に、(ii)の方法では、水酸基などの官能基を有するチ
ウラムジスルフィドが不安定であり、そのため、それら
の取り扱いが困難であった。また、生成重合体が黄着色
するという問題があった。
【0016】最後に、(iii)の方法では、前記(ii)の
方法と同じ問題があるとともに、重合体末端に開始剤切
片が入り、片末端にしか水酸基を有さない重合体が副生
して、末端水酸基数の低い重合体ができるという問題が
あった。以上のように、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の有極性ビ
ニル系単量体も含めた幅広いビニル系単量体から両末端
に水酸基を有する重合体を工業的に製造する方法は、ま
だ確立されていないのが現状である。
【0017】このような事情に鑑み、本発明は、アクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル等の有極性ビニル系単量体も含めた幅広いビ
ニル系単量体から、両末端に水酸基を有する重合体を容
易かつ安価に、しかも効率良く得ることができる方法を
提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にかかる、重合体の製造方法は、ビニル系単
量体(a)の重合を、非付加重合性の単官能アルコール
(b)の存在下、過酸化水素を必須とする開始剤系
(c)を用いて行う方法であって、さらに、非付加重合
性の有機スルホン酸化合物、無機酸、オニウム塩および
複素環アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の
触媒(d)を用いるとともに、反応器内に前記4者
(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分を実質的に
含まないことを特徴とする。
【0019】ここで、本発明の製造方法により得られる
重合体は、両末端に水酸基を有する重合体である(以
下、この重合体を「重合体(A)」と称することがあ
る。また、非付加重合性の単官能アルコール(b)を
「単官能アルコール(b)」と、過酸化水素を必須とす
る開始剤系(c)を「開始剤系(c)」と、非付加重合
性の有機スルホン酸化合物、無機酸、オニウム塩および
複素環アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の
触媒(d)を「触媒(d)」と称することがある。)。
【0020】以下では、まず、本発明にかかる、重合体
の製造方法について説明する。本発明で用いられるビニ
ル系単量体(a)とは、重合性の炭素−炭素二重結合を
有する不飽和単量体を言い、従来公知のビニル系単量体
であれば特に制限はないが、たとえば、(メタ)アクリ
ル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アク
リル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アク
リル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリールエス
テル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチ
ル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキ
シシランなどの(メタ)アクリル酸置換基含有アルキル
エステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メ
タ)アクリル酸誘導体類;無水マレイン酸、マレイン
酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキ
ルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステ
ルおよびジアルキルエステル;スチレン、α−メチルス
チレン、メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンス
ルホン酸およびそのナトリウム塩などの芳香族ビニル系
単量体;(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メ
タ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル
酸パーフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフル
オロブチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチ
ル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、
(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、
(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メ
タ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メ
タ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフル
オロエチルエチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオ
ロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロ
エチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アク
リル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アク
リル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、パーフルオ
ロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデ
ンなどのフッ素含有ビニル系単量体;ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシランなどのトリアルコ
キシシリル基含有ビニル系単量体類;γ−(メタクリロ
イルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素
含有ビニル系単量体類;マレイミド、メチルマレイミ
ド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマ
レイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、
ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘ
キシルマレイミドなどのマレイミド誘導体;アクリロニ
トリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニ
ル系単量体類;アクリルアミド、メタクリルアミドなど
のアミド基含有ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂
皮酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピ
レンなどのアルケン類;ブタジエン、イソプレンなどの
ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロラ
イド、アリルアルコールなどが挙げられる。これらの中
でも、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル
酸、アクリル酸エステル、スチレンの使用が好ましい。
(メタ)アクリル酸またはそのエステル類を用いて得ら
れた重合体は、耐候性、耐熱性、耐加水分解性等が良好
である。また、スチレンを用いると、平均末端水酸基数
の高い重合体が容易に得られる。ビニル系単量体(a)
は、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併
用してもよい。
【0021】上にみたように、本発明において用いられ
るビニル系単量体(a)は、分子中に水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基などの官能基を有する場合があっても
よいのである。特に比較的高い架橋密度が必要となる場
合、例えば塗料用途などでは官能基を有するビニル系単
量体を若干量併用することが、かえって好ましい。官能
基を有するビニル系単量体の使用量は、特に限定されな
いが、たとえば、水酸基を有するビニル系単量体の場
合、使用するビニル系単量体(a)の全量に対して、水
酸基を有するビニル系単量体が、1〜50重量%である
ことが好ましく、5〜30重量%であることがさらに好
ましい。
【0022】また、カルボキシル基を有するビニル系単
量体が、0.5〜25重量%であることが好ましく、1
〜10重量%であることがさらに好ましい。ビニル系単
量体(a)は、前述のように、従来公知のビニル系単量
体であれば特に制限はないが、たとえば、透明性、耐候
性、耐水性などが必要な場合には、(メタ)アクリル酸
系単量体を主成分とすることが好ましい。この場合、ビ
ニル系単量体(a)全体に対して、(メタ)アクリル酸
系単量体が40重量%以上含まれていることが好まし
い。
【0023】また、つや、塗膜の硬さなどが必要な場合
には、芳香族ビニル系単量体を用いることが好ましい。
この場合、ビニル系単量体(a)全体に対して、芳香族
ビニル系単量体が40重量%以上含まれていることが好
ましい。また、撥水性、撥油性、耐汚染性などが必要な
場合には、フッ素含有ビニル系単量体を用いることが好
ましい。この場合、ビニル系単量体(a)全体に対し
て、フッ素含有ビニル系単量体が10重量%以上含まれ
ていることが好ましい。
【0024】また、無機材質との密着性、耐汚染性など
が必要な場合には、ケイ素含有ビニル系単量体を用いる
ことが好ましい。この場合、ビニル系単量体(a)全体
に対して、ケイ素含有ビニル系単量体が10重量%以上
含まれていることが好ましい。本発明において、単官能
アルコール(b)とは、1分子中に水酸基を1個のみ有
する非付加重合性のアルコールを言い、分子内で多重結
合を有する付加重合反応しにくい単官能であってもよい
が、前述の水酸基を有するビニル系単量体は、単官能ア
ルコール(b)に含まれない。単官能アルコール(b)
としては、特に限定はされないが、たとえば、エチルア
ルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブ
チルアルコール、イソブタノール、ターシャリーブチル
アルコール、ペンチルアルコール、C12〜C14の高級ア
ルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール
(エチルセロソルブとも言う)、プロピオキシエタノー
ル、ブトキシエタノールなどのエチレングリコールモノ
エーテル類(セロソルブ類とも言う)、エチレングリコ
ールモノ酢酸エステル、シクロヘキサノール、ベンジル
アルコール、フェネチルアルコール等の1種または2種
以上が挙げられる。重合中の粘度が低いと系の均一性が
増すので、単官能アルコール(b)は、低分子量である
のが好ましい。例えば、その分子量が400以下である
のが好ましく、その分子量が200以下であるのがより
好ましい。
【0025】また、上記単官能アルコール(b)の中で
も、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコ
ールモノ酢酸エステルが好ましい。単官能アルコール
(b)は、炭素、水素および酸素のみを構成元素として
含むものに限定されない。たとえば、前記3元素に加え
て、窒素元素または硫黄元素を含むものであってもよい
のである。
【0026】使用できる窒素元素含有アルコールとして
は、特に限定はされないが、たとえば、エタノールアミ
ン等のアミン系単官能アルコール類等を挙げることがで
きる。硫黄元素含有アルコールについては、硫黄元素を
含む各種の結合、たとえば、C=S結合、C−S−C結
合、SO2 結合、SO3 結合、SH結合またはSn 結合
(n≧2)等を有するアルコールを使用することができ
る。
【0027】使用できる硫黄元素含有アルコールとして
は、特に限定はされないが、たとえば、メルカプトエタ
ノール、メタンスルホニルエタノール、メチルメルカプ
トエタノール、エチルメルカプトエタノール等が挙げら
れる。単官能アルコール(b)とビニル系単量体(a)
との使用量の重量比〔単官能アルコール(b):ビニル
系単量体(a)〕は、重合条件と重合組成により異なる
が、好ましくは1:20〜20:1であり、より好まし
くは1:10〜10:1である。
【0028】本発明で使用される過酸化水素を必須とす
る開始剤系(c)に用いられる過酸化水素は、工業的に
入手可能な水溶液である過酸化水素水として使用するこ
とが可能である。この場合、反応器内の全成分量に対し
て、水を10重量%以下程度にするのが好ましい。本発
明で使用される過酸化水素を必須とする開始剤系(c)
としては、たとえば、過酸化水素と組み合わせることに
より重合を促進することのできる化合物(e)を過酸化
水素と併用する場合と、過酸化水素単独で用いる場合が
挙げられる。即ち、開始剤系(c)は、必須である過酸
化水素単独であってもよいし、あるいは、過酸化水素を
必須成分とし、前記化合物(e)の1種または2種以上
を含む混合物であってもよいのである。化合物(e)と
しては、過酸化水素と酸化還元反応を行う還元性化合物
等が挙げられる。
【0029】以下に、過酸化水素と組み合わせることに
より重合を促進することのできる化合物(e)を具体的
に説明する。化合物(e)の例である、過酸化水素と酸
化還元反応を行う還元性化合物としては、特に限定され
ないが、たとえば、フェロセンなどの有機金属化合物;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナ
フテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどに例示され
る鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガンなどの金属イ
オンを発生できる無機金属化合物をはじめ、三フッ化ホ
ウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸
などの無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸のモノ
−または、ジ−アルキルエステル、硫酸のモノ−また
は、ジ−アリルエステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ス
ルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換体、パ
ラトルエンスルフィン酸などの環状スルフィン酸の同族
体などの硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、デシ
ルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエ
タノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコー
ル酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ソディ
ウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ソ
ディウムスルホエチルエステルなどのメルカプト化合
物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒ
ドロキシルアミンなどの窒素含有化合物;ホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−
ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリ
アンアルデヒドなどのアルデヒド類;アスコルビン酸な
どが挙げられる。これらは、1種だけを用いても良い
し、複数種を併用しても良い。
【0030】開始剤系(c)は、上述のものに限定され
ない。たとえば、過酸化水素、または、過酸化水素と上
記化合物(e)を、AIBN(アゾビスイソブチロニト
リル)等のアゾ系開始剤等を例とする従来公知のラジカ
ル開始剤のうちの1種または2種以上と併用することも
できる。開始剤系(c)の使用量は、目的とする重合体
(A)の分子量により自ずと決定さるが、一般的には、
ビニル系単量体(a)に対して0.01〜20重量%で
あることが好ましい。
【0031】本発明で使用される触媒(d)は、非付加
重合性の有機スルホン酸化合物、無機酸、オニウム塩お
よび複素環アミンからなる群より選ばれる少なくとも1
種である。非付加重合性の有機スルホン酸化合物とは、
分子内に炭素−炭素の2重結合、3重結合などの付加重
合性の結合を有しない有機スルホン酸化合物であり、特
に限定されないが、たとえば、メタンスルホン酸、エタ
ンスルホン酸、プロパンスルホン酸、オクタンスルホン
酸などの脂肪族スルホン酸;ベンゼンスルホン酸、ベン
ゼンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン
ジスルホン酸などの芳香族スルホン酸;クロルベンゼン
スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ナ
フチルアミン−6−スルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの核置換基を有す
る芳香族スルホン酸;脂環式スルホン酸、オルガノ社製
のアンバーリスト15などのイオン交換樹脂等が挙げら
れる。これらは、1種だけを用いても良いし、複数種を
併用しても良い。
【0032】上記に示した非付加重合性の有機スルホン
酸化合物の中でも、特に、メタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエ
ンスルホン酸等が好ましい。その中でも、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸は、特に有効
である。本発明で使用される無機酸としては、特に限定
されないが、例えば、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素
酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、
過ヨウ素酸、硫酸、発煙硫酸、亜硫酸、硝酸、発煙硝
酸、マンガン酸、過マンガン酸、クロム酸、重クロム
酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、次リ
ン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、その他
ヘテロポリ酸、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、
酸化チタンなどの固体酸等が挙げられ、これらの中で
も、硫酸、塩酸が好ましい。
【0033】本発明で使用されるオニウム塩としては、
特に限定はされないが、たとえば、塩化トリエチルベン
ジルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭
化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチル
メチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニ
ウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム、塩化N−
ラウリルピリジニウム、水酸化トリメチルベンジルアン
モニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化トリ
メチルフェニルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモ
ニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−
n−ブチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム硫酸水素塩、N−ベンジルピコリニウムクロライ
ド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−
n−ブチルアンモニウム、N−ラウリル−4−ピコリニ
ウムクロライド等の4級アンモニウム塩;塩化テトラブ
チルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム等の
ホスホニウム塩;ヨウ化トリメチルスルホニウム、トリ
メチルスルホニウム4弗化ホウ素塩、メチルジフェニル
スルホニウム4弗化ホウ素塩等のスルホニウム塩等が挙
げられる。これらの中でも、テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム硫酸水素塩、臭化テトラブチルホスホニウム、ト
リメチルスルホニウム4弗化ホウ素塩、メチルジフェニ
ルスルホニウム4弗化ホウ素塩が好ましい。オニウム塩
による過酸化水素の分解促進効果は、オニウム塩の対イ
オンにより変化し、特に、アンモニウム塩の硫酸水素
塩、ホスホニウム塩の臭化物、スルホニウム塩の4弗化
ホウ素塩は、非常に有効である。
【0034】本発明で使用される複素環アミンとして
は、特に限定はされないが、たとえば、ピロール、イン
ドール、カルバゾール、オキサゾール、チアゾール等の
ように窒素原子を1個含む5員環のピロール類;イミダ
ゾール、ピラゾール等のように窒素原子を2個含む5員
環のイミダゾール類;ピリジン、キノリン、イソキノリ
ン等のように窒素原子を1個含む6員環のピリジン類;
ニコチン、キニーネ等のアルカロイド類等が挙げられ
る。これらの中でも、ピリジン、インドール、カルバゾ
ールが好ましい。
【0035】上記に示した非付加重合性の有機スルホン
酸化合物、無機酸、オニウム塩および複素環アミンは、
それらの中から1種だけを用いても良いし、複数種を併
用しても良い。触媒(d)の好ましい使用量は、重合系
全体に対して0.05〜10重量%である。また、この
触媒(d)の添加方法は、工業的に用いられるどのよう
な方法によっても添加することができる。例えば、昇温
前、昇温中、または昇温後に、一括して加えることもで
きるし、重合中任意に添加することも可能である。
【0036】本発明の製造方法では、反応中、反応器内
に、ビニル系単量体(a)、単官能アルコール(b)、
開始剤系(c)、触媒(d)以外のものを実質的に用い
ないようにする。具体的には、ビニル系単量体(a)、
非付加重合性のアルコール類(b)、過酸化物を必須と
する開始剤系(c)、非付加重合性の有機スルホン酸化
合物と無機酸とからなる群より選ばれる少なくとも1種
の触媒(d)以外の成分が全体の10重量%以下程度に
なるようにする。そして、(a)、(b)、(c)、
(d)以外の成分が5重量%以下であることが好まし
く、最も好ましくは、(a)、(b)、(c)、(d)
以外の成分を全く含まないことである。
【0037】(a)、(b)、(c)、(d)以外の成
分を反応器内の全成分量に対して、10重量%以下程度
であっても使用すると、水酸基を末端に導入する確率が
低下する可能性がある。しかし、この(a)、(b)、
(c)、(d)以外の成分を反応器内の全成分量に対し
て、10重量%以下程度入れることにより系中の粘度が
低下し、蒸発潜熱による熱除去等の製造操作上好ましい
効果が得られることもある。
【0038】本発明で使用される重合容器(重合反応を
行う反応器)は、一般的な槽型反応器やニーダーなどの
バッチ式のものでもかまわないし、ピストンフローの管
型タイプのものや、重合体の粘度によっては2軸押し出
し機、連続式ニーダーなどの連続式のものを用いてもよ
い。また、セミバッチ式の反応器でも全く問題なく使用
できるが、反応器内の各添加物の濃度比を管の途中で各
添加物を加えることにより容易にコントロールできるこ
とや、滞留時間が一定であることおよび生産性がよい点
などから、管型反応器、押し出し機や連続式ニーダーな
どを用いることが好ましい。管型反応器、押し出し機お
よび連続式ニーダーの使い分けについては、重合終了後
の反応混合物が低粘度の場合は管型反応器を、比較的高
粘度の場合は押し出し機や連続式ニーダーを用いること
が好ましい。
【0039】ただし、これらの装置の接液部には、好適
な材質を選択すべきであり、一般的には、SUS31
6、304L、テフロン、アルミニウム、ガラスなどを
挙げることができる。これらの中でも、テフロン、アル
ミニウム、ガラスが好ましく、テフロン、アルミニウ
ム、ガラスが最も好ましい。従来公知の管型反応基とし
ては、特に限定されないが、単管型もしくは多管型、ま
たは、可動部のない混合器もしくは可動部のある混合器
がある。例えば、スタティックミキサー(ノリタケ・カ
ンパニー社製)やスルザミキサー(住友重機械工業製)
等の可動部のない混合器、押し出し機や連続式ニーダー
等の可動部のある混合器が挙げられる。
【0040】本発明では、反応は常圧で行うことが可能
であるが、オートクレーブや押し出し機中などで加圧下
において行うことも可能である。本発明の製造方法にお
ける重合温度についても、特に制限はなく、通常のラジ
カル重合が行われる、室温〜200℃程度であれば、全
く問題はない。本発明の製造方法では、重合終了後、過
剰な単官能アルコール(b)を除去する工程が必要とな
る場合がある。その際、用いた単官能アルコール(b)
と生成した重合体(A)とが相溶しうるものである場合
には、釜もしくは薄膜蒸発器、2軸押し出し機などを用
いて減圧脱揮することにより単官能アルコール(b)を
除去することができる。単官能アルコール(b)と重合
体(A)とが相溶しないものである場合には、重合終了
後の反応混合物をそのまま静置分離するか、あるいは、
上記反応混合物に、重合体(A)は溶解するが単官能ア
ルコール(b)は溶解しない溶媒を添加して重合体層の
粘度を低減してから静置分離することによって、大半の
単官能アルコール(b)を除去した後、液−液抽出また
は減圧脱揮により残りの単官能アルコール(b)を除去
することができる。
【0041】減圧脱揮を目的とした工業的に用いられる
どのような装置を使用しても、減圧脱揮することができ
る。そのような装置の具体例としては、コンデンサーを
備えた釜、フラッシュタンク、ストリッパー、二軸押し
出し機、薄膜蒸発器等が挙げられる。本発明の製造方法
では、触媒(d)の中には強い酸性のものがあり、この
ような強酸性の触媒(d)を用いた場合は、生成した重
合体(A)が、重合後、触媒(d)によって変質するこ
とがあるので、重合後、中和するのが好ましい。
【0042】本発明により製造される重合体(A)の分
子量は、特に限定されないが、末端に反応性を有する水
酸基を有することに起因する特徴をより発揮させるため
には、数平均分子量が500〜100000であるのが
好ましく、数平均分子量が1000〜50000である
のがより好ましい。本発明により製造される重合体
(A)の平均末端水酸基数については、用いた単官能ア
ルコール(b)の有する水酸基数(アルコール1分子当
りの水酸基の数)の1.8倍以上であれば、理想的なも
の(2倍のもの)とほぼ同等の物性が発揮できるので非
常に好ましい。また、1.5倍以上であれば、かなり理
想的なものに近い物性が発揮できる。たとえば、重合体
Aの平均末端水酸基数は、理想的には2.0であるが、
1.8〜2.0であれば非常に好ましく、少なくとも
1.5であれば好ましい。
【0043】本発明の製造方法により得られる重合体
(A)は、その末端の水酸基を、従来公知の有機反応な
どを利用して容易に、アミノ基、カルボキシル基、ビニ
ル基などの重合性不飽和基、エポキシ基、シラノール
基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、メルカプト
基、オキサゾリン基、ラクトン基、アズラクトン基、エ
チニル基、マレイミド基、ホルミル基、臭素、塩素など
の有用な末端官能基に変換することができる。
【0044】次に、本発明により製造される重合体
(A)を必須とする組成物について説明する。この組成
物は、重合体(A)と、水酸基と反応可能な官能基を1
分子中に2個以上有する化合物(f)とを必須成分とし
て含むものである。重合体(A)は、1種のみを用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。また、この組成
物に含まれる重合体(A)と化合物(f)との重量比
(重合体(A)/化合物(f))は、特に限定はされな
いが、99.99/0.01〜40/60であることが
好ましく、99.9/0.1〜60/40であることが
より好ましい。
【0045】この組成物は、重合体(A)に加えて、従
来公知の水酸基を有する低分子化合物や従来公知の水酸
基を有するポリマー(ポリマーポリオール、アクリルポ
リオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエン
ポリオール、ポリオレフィンポリオール等)を含んでい
てもよい。
【0046】上記水酸基と反応可能な官能基を1分子中
に2個以上有する化合物(f)としては、特に限定はさ
れないが、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネー
ト基を有する化合物(g)、メチロール化メラミンおよ
びそのアルキルエーテル化物または低縮合化物などのア
ミノプラスト樹脂(h)、1分子中に2個以上のカルボ
キシル基を有するカルボン酸およびその酸ハロゲン化物
などの多官能カルボン酸およびその誘導体(i)等が挙
げられる。
【0047】1分子中に2個以上のイソシアネート基を
有する化合物(g)は、いわゆる、多官能イソシアネー
ト化合物である。この多官能イソシアネート化合物
(g)としては、従来公知のものをいずれも使用するこ
とができ、例えば、トリレンジイソシアネート(「TD
I」とも言う)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(「MDI」とも言う)、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシ
リレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、
水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソ
シアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレ
タン社製)の如きビュレットポリイソシアネート化合
物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社
製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業(株)
製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネ
ート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン
(株)社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合
物、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)の如きア
ダクトポリイソシアネート化合物;末端をイソシアネー
ト化したポリプロピレングリコールであるポリフレック
スSL265(第一工業製薬)、サンプレンSP−20
02、SP−2005(三洋化成)等を挙げることがで
きる。これらは、単独で使用し得るほか、2種以上を併
用することもできる。また、ブロックイソシアネートを
使用しても構わない。
【0048】重合体(A)と多官能イソシアネート化合
物(g)とを含んでなる組成物のよりすぐれた耐候性を
生かすためには、多官能イソシアネート化合物(g)と
しては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水
素化ジフェニルメタンジイソシアネート、スミジュール
N(住友バイエルウレタン社製)等の芳香環を有しない
イソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0049】重合体(A)と多官能イソシアネート化合
物(g)との配合比については、特に限定はされない
が、たとえば、この化合物(g)が有するイソシアネー
ト基と重合体(A)が有する水酸基との比率(NCO/
OH(モル比))が0.1〜10であることが好まし
く、0.8〜1.2であることがより好ましい。なお、
この組成物中の成分である重合体(A)と多官能イソシ
アネート化合物(g)とのウレタン化反応を促進するた
めに、必要に応じて、有機スズ化合物や第3級アミン等
の公知の触媒を用いることは自由である。
【0050】アミノプラスト樹脂(h)としては、特に
限定はされないが、たとえば、下記一般式(I)で表さ
れるトリアジン環含有化合物とホルムアルデヒドとの反
応物(メチロール化物)、前記トリアジン環含有化合物
とホルムアルデヒドとの低縮合化物、これらの誘導体、
さらに、尿素樹脂、および、尿素樹脂とホルムアルデヒ
ドとの反応物(メチロール化物)、尿素樹脂とホルムア
ルデヒドとの低縮合化物、これらの誘導体等が挙げられ
る。
【0051】
【化1】
【0052】上記一般式(I)で表されるトリアジン環
含有化合物としては、特に限定はされないが、例えば、
メラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグ
アナミン、メチルグアナミン、ビニルグアナミン等を挙
げることができる。これらは、1種のみ用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。前記トリアジン環含有
化合物とホルムアルデヒドとの反応物またはその誘導体
としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメトキ
シメチルメラミンやテトラメトキシメチルベンゾグアナ
ミン等が挙げられる。また、前記トリアジン環含有化合
物とホルムアルデヒドとの低縮合化物またはその誘導体
としては、特に限定はされないが、例えば、前記トリア
ジン環含有化合物が、−NH−CH2 −O−CH2 −N
H−結合および/または−NH−CH2 −NH−結合を
介して数個結合した低縮合化物やアルキルエーテル化ホ
ルムアルデヒド樹脂〔サイメル(三井サイアナミド
(株)製)〕等が挙げられる。これらのアミノプラスト
樹脂(h)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を
併用してもよい。
【0053】前に例を示したアミノプラスト樹脂(h)
を合成する際に用いられる前記トリアジン環含有化合物
とホルムアルデヒドとの比率は、使用される用途により
異なるが、これらのトリアジン環含有化合物とホルムア
ルデヒドとのモル比(トリアジン環含有化合物/ホルム
アルデヒド)が1〜6の範囲であることが好ましく、
1.5〜6の範囲であることがより好ましい。
【0054】重合体(A)と、化合物(f)としてアミ
ノプラスト樹脂(h)とを必須成分として含む組成物に
おける、重合体(A)とアミノプラスト樹脂(h)との
比率(重量比)は、95:5〜50:50が好ましく、
80:20〜60:40がより好ましい。重合体(A)
とアミノプラスト樹脂(h)を必須成分とする、この組
成物中に、反応を促進するためにパラトルエンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸等の従来公知の触媒を用いるこ
とは自由である。
【0055】多官能カルボン酸およびその誘導体(i)
としては、特に限定されないが、たとえば、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル
酸、無水フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ト
リメリット酸無水物、ピロメリット酸、無水ピロメリッ
ト酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、ジフェン酸、ナフタレンジカルボン酸、などの多
官能カルボン酸、その酸無水物、酸ハロゲン化物および
カルボキシル基を複数個有するポリマーなどが挙げられ
る。多官能カルボン酸およびその誘導体(i)は、1種
のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。多官
能カルボン酸およびその誘導体(i)の官能基数/重合
体(A)中の水酸基数は、0.3〜3であるのが好まし
く、0.5〜2であるのがより好ましい。
【0056】重合体(A)と水酸基と反応可能な官能基
を1分子中に2個以上有する化合物(f)とを必須成分
として含む組成物(以下、この組成物を単に「組成物
(A)」と称することがある。)を、シーリング材組成
物として用いる場合、重合体(A)の分子量(重量平均
分子量)は、1000〜1000000であるのが好ま
しい。
【0057】組成物(A)をシーリング材組成物として
用いる場合、この組成物中には、必要に応じて、従来公
知の、ポリオール類(重合体(A)以外の高分子量ポリ
オール類等)、ポリイソシアネート(例えば、TDI、
MDI、末端をイソシアネート化したポリプロピレング
リコールであるポリフレックスSL265(第一工業製
薬)、サンプレンSP−2002、SP−2005(三
洋化成)等)、触媒(例えば、アミン系、錫系、鉛系
等)、無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、タルク、
クレー、シリカ、カーボンブラック、チタンホワイト
等)、可塑剤〔例えば、フタル酸ジオクチル(DOPと
も言う)、フタル酸ジ−iso−デシル(DIDPとも
言う)、アジピン酸ジオクチル(DOAとも言う)
等〕、たれ止め剤(例えば、コロイド状シリカ、水添ひ
まし油、有機ベントナイト、表面処理炭酸カルシウムな
ど)、老化防止剤(例えば、ヒンダートフェノール類、
ベンゾトリアゾール、ヒンダートアミン類等)、発泡抑
制剤(例えば、脱水剤、炭酸ガス吸収剤等)などが含ま
れていてもよい。
【0058】なお、本発明の製造方法により得られる重
合体(A)の有する水酸基を、ヒドロキシシリル基やア
ルコキシシリル基、メルカプト基に変換した重合体をシ
ーリング材組成物の必須成分として用いた場合、そのシ
ーリング材組成物は、ウレタンとは異なる架橋システム
を持つシーリング材組成物となる。
【0059】
【作用】本発明の製造方法では、ビニル系単量体(a)
の重合を、単官能アルコール(b)の存在下、開始剤系
(c)および触媒(d)を用いて行うようにしている。
すると、ビニル系単量体(a)が重合して生成する重合
体の両末端に対して水酸基が容易かつ確実に、しかも効
率良く導入される。そのため、両末端に水酸基を有する
重合体を、有極性のビニル系単量体も含めた幅広いビニ
ル系単量体から容易かつ安価に効率良く得ることが可能
になる。
【0060】開始剤系(c)の必須成分として用いられ
る過酸化水素を用いたとしても、分解により生成するO
Hを有するラジカルは不安定であるため、水素引抜反応
(連鎖移動反応)や酸化反応などの副反応が起こり易
く、これだけで、重合体の末端に水酸基を確実に導入す
るには難があるが、単官能アルコール(b)を同時に用
いることにより、反応の選択性がある程度向上し、水酸
基をより多く導入することができるが、十分ではない。
しかし、さらに触媒(d)を共存させることにより、反
応の選択性が向上し、両末端に水酸基を確実に導入する
ことが可能になる。
【0061】また、本発明の製造方法では、反応器内に
前記4者(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分を
実質的に含まないようにしている。具体的には、
(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分が、全体の
10重量%以下程度になるようにしている。もしも、
(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分(たとえ
ば、溶剤等)が全体の10重量%より多く含まれている
と、片末端もしくは両末端とも全く水酸基の入っていな
い重合体が副生し、重合体の末端水酸基数が低下する。
【0062】本発明の製造方法により得られる重合体
(A)は、その主鎖を構成するビニル系単量体(a)の
種類を任意に選択することにより、透明性、耐候性、耐
水性、耐加水分解性、耐薬品性を有し、また、この重合
体(A)を含む組成物から誘導されるポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各
種樹脂、各種ブロックポリマーなどは、非常に伸びがあ
り(曲げ加工性がよく)かつ強靱であるという特性を発
揮することから、塗料(ハイソリッド塗料、低温硬化塗
料、水性2液ウレタン塗料、水性ウレタン塗料、粉体塗
料等)、弾性壁材、塗膜防水材、粘着剤、床材、粘着性
付与剤、接着剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバ
インダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グ
ラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジ
ング等)、シーリング材、ウレタンフォーム(硬質、半
硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、
熱硬化型エラストマー、熱可塑性エラストマー、マイク
ロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材
料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人
工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム
(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス
用樹脂、反応性希釈剤、各種成型材料、弾性繊維、人工
皮革、合成皮革、散剤、水性ウレタンエマルジョン等の
原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等と
して、非常に有用である。
【0063】重合体(A)は、両末端の水酸基を適当な
方法により反応させることにより、他の官能基(例え
ば、ビニル基などの重合性不飽和基、ホルミル基、アミ
ノ基、カルボキシル基、エチニル基、エポキシ基、シラ
ノール基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、メル
カプト基、オキサゾリン基、マレイミド基、アズラクト
ン基、ラクトン基、臭素、塩素など)を両末端に有する
重合体へ容易に変換させることが可能である。これらの
重合体も大変有用である。例えば、両末端にカルボキシ
ル基を有する重合体は、エポキシ接着剤の耐衝撃性付与
剤などとして大変有効である。また、重合体(A)は、
その末端水酸基にエチレンオキサイドやプロピレンオキ
サイドを複数個付加することにより、界面活性剤、ウレ
タンフォーム、セメント減水剤、相溶化剤などの原料と
なる。
【0064】重合体(A)および多官能イソシアネート
化合物(g)を必須として含む組成物、ならびに、重合
体(A)およびアミノプラスト樹脂(h)を必須として
含む組成物を、それぞれ塗料として用いた場合、柔軟か
つ強靱であるばかりでなく、耐候性、耐水性、耐加水分
解性、耐薬品性、硬度、耐熱性などの非常にすぐれた塗
膜を得ることができる。また、重合体(A)を低分子量
化しても、重合体(A)の末端に水酸基が存在するた
め、従来のハイソリッド型塗料の欠点である強靱性の弱
さを強化できる。
【0065】重合体(A)および多官能イソシアネート
化合物(g)を必須として含む組成物をシーリング材と
して用いた場合、非常に柔軟かつ強靱で、耐候性、耐水
性、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性にすぐれ、タックの少
ないシーリング材を得ることができる。
【0066】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と
併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定され
ない。また、下記実施例および比較例中、「部」および
「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表
す。下記実施例および比較例中の、「重合率」、「数平
均分子量(Mn)」、「平均水酸基数(Fn(O
H))」、「ゲル分率A」、「ゲル分率B」は、特別に
注釈のない限り、それぞれ下記の1〜5の方法によって
求めた。
【0067】1.重合率 重合終了後、ガスクロマトグラムによる各単量体の残存
率から算出した。2.数平均分子量(Mn) ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて標準ポ
リスチレンによる検量線から求めた。
【0068】3.平均水酸基数(Fn(OH)) JIS−K−1557に準じて求めたOH価を重合体中
のアルコール残存量の分析値により補正し、得られた補
正OH価と数平均分子量(Mn)の値から算出した。4.ゲル分率A 得られた重合体とスミジュールN−75(3官能性イソ
シアネート化合物、住友バイエルウレタン社製)を、イ
ソシアネート基と水酸基のモル比が1.1/1になるよ
うに混合して約40%のトルエン溶液とした後、これに
触媒としてジブチル錫ジラウレートを微量添加し、よく
攪拌混合したものを80℃で3時間反応させてポリウレ
タンフィルムを得た。次に、このフィルムを十分に乾燥
させた後、溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、
8時間ソックスレー抽出した後、抽出されなかった不溶
分の重量%を表す。
【0069】5.ゲル分率B 得られた重合体とデスモジュールH(2官能性イソシア
ネート化合物、住友バイエルウレタン社製)を、イソシ
アネート基と水酸基のモル比が1.05/1になるよう
に混合して約40%のトルエン溶液とした後、これに触
媒としてジブチル錫ジラウレートを微量添加し、よく攪
拌混合したものを80℃で3時間反応させてポリウレタ
ンフィルムを得た。次に、このフィルムを十分に乾燥さ
せた後、溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、8
時間ソックスレー抽出した後、抽出されなかった不溶分
の重量%を表す。
【0070】−実施例1− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにイソブタノールを67部仕込み、フラスコ内
の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き込みな
がら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が安定し
てから、アクリル酸ブチル100部にドデシルベンゼン
スルホン酸1.7部を溶かした混合液と、60%過酸化
水素水3.6部とイソブタノール33部との混合液をそ
れぞれ同時に1時間かけて滴下した後、10分間140
℃で攪拌を続け、重合を完了させた。続いて、トルエン
/炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、トルエン
層を分離し、薄膜蒸発器により精製して重合体〔1〕を
得た。
【0071】精製後の重合体〔1〕の数平均分子量(M
n)は、5600であった。また、その平均水酸基数
(Fn(OH))は、1.8であった。重合体〔1〕の
性状を表2に示した。 −実施例2〜4− 実施例1において、ビニル系単量体(a)、単官能アル
コール(b)および触媒(d)の種類と量を表1に示す
通りとした以外は実施例1と同様にして、精製された重
合体〔2〕〜〔4〕を得た。
【0072】これらの重合体の性状を表2に示した。 −比較例1− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにイソブタノールを67部仕込み、フラスコ内
の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き込みな
がら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が安定し
てから、60%過酸化水素水3.6部とイソブタノール
33部との混合液と、アクリル酸ブチル100部とをそ
れぞれ同時に1時間かけて滴下した後、10分間140
℃で攪拌を続け、重合を完了させた。薄膜蒸発器により
精製して比較用重合体〔1〕を得た。
【0073】精製後の比較用重合体〔1〕の数平均分子
量(Mn)は、37000であった。また、その平均水
酸基数(Fn(OH))は、0.7であった。比較用重
合体〔1〕の性状を表4に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、アクリル
酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸
エステル等の有極性のビニル系単量体も含めた幅広いビ
ニル系単量体から、両末端に水酸基を有する重合体(重
合体(A))を容易かつ安価に効率よく得ることができ
る。
【0079】この製造方法により得られる重合体(A)
は、両末端に水酸基を有することにより、それ自身、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、各種ブロックポリマーなどの各種樹脂の原料もし
くは添加剤として、または、重合体のままで、塗料(ハ
イソリッド塗料、低温硬化塗料、水性2液ウレタン塗
料、粉体塗料等)、弾性壁材、塗膜防水材、粘着剤、床
材、粘着性付与剤、接着剤、バインダー(磁気記録媒
体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバ
インダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファ
イバーサイジング等)、シーリング材、ウレタンフォー
ム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・E
B硬化樹脂、熱硬化型エラストマー、熱可塑性エラスト
マー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材
料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石
用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、
フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わ
せガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成型材料、弾性繊
維、人工皮革、合成皮革、分散剤、水性ウレタンエマル
ジョン等の用途に非常に有用であるとともに、両末端の
水酸基を適当な方法により反応させることにより、水酸
基以外の官能基(例えば、ビニル基などの重合性不飽和
基、ホルミル基、アミノ基、カルボキシル基、エチニル
基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシリル基、
ヒドロシリル基、メルカプト基、オキサゾリン基、マレ
イミド基、アズラクトン基、ラクトン基、臭素、塩素な
ど)を両末端に有する重合体へ容易に変換することが可
能ある。この重合体も大変有用である。例えば、両末端
にカルボキシル基を有する重合体は、エポキシ接着剤の
耐衝撃性付与剤として大変有効である。また、重合体
(A)の末端水酸基にエチレンオキサイドやプロピレン
オキサイドを複数個付加させることにより、界面活性
剤、ウレタンフォーム、セメント減水剤、相溶化剤など
の原料となる。
【0080】本発明の製造方法により得られる重合体
(A)と、水酸基と反応可能な官能基を1分子中に2個
以上有する多官能化合物(f)とを必須成分として含む
組成物(組成物(A))は、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種樹脂、各
種ブロックポリマー、塗料(ハイソリッド塗料、低温硬
化塗料、水性2液ウレタン塗料、粉体塗料等)、弾性壁
材、塗膜防水材、粘着剤、床材、粘着性付与剤、接着
剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳
物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マ
イクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、シ
ーリング材、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟
質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、熱硬化型
エラストマー、熱可塑性エラストマー、マイクロセルラ
ー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活
性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用
耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート
接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応
性希釈剤、各種成型材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮
革、分散剤、水性ウレタンエマルジョン等の原料とし
て、また、各種樹脂添加剤およびその原料等に用いられ
た場合、柔軟で強靭な機械物性を有するのみでなく、重
合体(A)の主鎖を構成するビニル系単量体(a)の種
類によっては、非常に良好な透明性、耐候性、耐水性、
耐加水分解性、耐薬品性などの物性も遺憾なく発揮し、
非常に良好な物性を示す。
【0081】組成物(A)をシーリング材用途に用いる
場合、重合体(A)を、従来公知のイソシアネート化合
物などと組み合わせることにより、柔軟かつ強靱で、耐
候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、タックに
おいて従来のシーリング材組成物にはなかった効果が得
られる。また、組成物(A)を用いたシーリング材は、
現在用いられているポリエーテルポリオールをシーリン
グ材用樹脂の主成分とするシーリング材と比べて耐熱性
が優れている。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体(a)の重合を、非付加
    重合性の単官能アルコール(b)の存在下、過酸化水素
    を必須とする開始剤系(c)を用いて行う方法であっ
    て、さらに、非付加重合性の有機スルホン酸化合物、無
    機酸、オニウム塩および複素環アミンからなる群より選
    ばれる少なくとも1種の触媒(d)を用いるとともに、
    反応器内に前記4者(a)、(b)、(c)、(d)以
    外の成分を実質的に含まないことを特徴とする重合体の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9777170B2 (en) 2014-02-25 2017-10-03 The Chemours Company Tt, Llc Fluorinated polymer additives derived using hydrophilic chain transfer agents for architectural coatings
KR20200047014A (ko) * 2018-10-26 2020-05-07 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체 제조용 개시제 조성물 및 이를 이용한 염화비닐계 중합체의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9777170B2 (en) 2014-02-25 2017-10-03 The Chemours Company Tt, Llc Fluorinated polymer additives derived using hydrophilic chain transfer agents for architectural coatings
KR20200047014A (ko) * 2018-10-26 2020-05-07 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체 제조용 개시제 조성물 및 이를 이용한 염화비닐계 중합체의 제조방법

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