JPH07228035A - セラミックカラー画像の作製方法 - Google Patents

セラミックカラー画像の作製方法

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JPH07228035A
JPH07228035A JP6020237A JP2023794A JPH07228035A JP H07228035 A JPH07228035 A JP H07228035A JP 6020237 A JP6020237 A JP 6020237A JP 2023794 A JP2023794 A JP 2023794A JP H07228035 A JPH07228035 A JP H07228035A
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ceramic
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JP6020237A
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Toshiaki Aono
俊明 青野
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】簡便に美しいセラミックカラー画像を形成しう
る方法を提供する。 【構成】色相の異なる複数の絵付け用顔料を含有する熱
溶融性インキ層をそれぞれ面順次に設けた熱転写インク
シートを、水溶性ポリマーが塗設された紙支持体よりな
る転写紙と重ね合わせて、熱転写プリンターにより、該
熱溶融性インキを少なくとも二枚以上の該転写紙に分け
て転写し、この転写紙からインク転写部分を剥離してセ
ラミック部材に接着し、セラミック部材を焼窯により焼
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は板状および曲面を有する
陶磁器あるいはガラス等のセラミック上に、カラーの絵
付け用の顔料像を焼結により形成するセラミックカラー
画像の作製方法と該方法により作製されたセラミックカ
ラー画像材料(セラミックフォト)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】セラミックにカラー画像を形成する方法
としては、通常のカラー画像の形成された印画紙の紙部
を除去してセラミックに接着し、この表面を紫外線硬化
樹脂によりラミネートし、写真を保護する方法が取られ
ているが、耐光性、耐熱性の点で不十分であった。
【0003】また、特開平2−252683記載の方
法、即ち、陶磁器の表面に感光性のフィルムを付着さ
せ、色分解されたリスフィルム通して網点露光した後こ
のフィルムを現像し、現れた画像に応じて順次絵付け用
無機顔料を載せて焼成する方法が提案されている。ある
いは、上記感光性フィルムの代わりに感光性ポリマーを
直接陶磁器上に塗設し、網点露光した後現像処理し、上
記と同様に顔料像の形成、焼成をする方法が特開昭62
−246887により提案されている。これらの方法に
より形成された画像(セラミックフォト)は保存性が極
めて優れており半永久的である。しかし、これらの方法
は、カラー原稿を色分解したリスフィルムを数枚作製し
なければならない。また、現像処理された感光性フィル
ムの表面に付着させる顔料の微妙な量のコイントロール
が難しく、再現性が乏しいために、作製を繰りかえさな
ければならないことが多い。更に、各顔料層の形成及び
焼成をそれぞれ繰り返し行なわなければならない。従っ
て、製造コストも高いという問題があった。
【0004】更に、スクリーン印刷、あるいはグラビア
印刷の手法で転写紙上に絵付け用顔料を主体とするイン
クで印刷を行い、その転写紙を陶磁器上に接着し焼成す
る方法が提案されている。此の方法により形成された画
像も上記と同様に画像は半永久的の耐久性を有している
が、上記と同様にカラー原稿を色分解したリスフィルム
及びそれに対応した版を数枚作製しなければならず、手
間及び時間がかかり、コストも高くなる。更に、絵付け
用顔料により網目の目詰まりを生じるためにスクリ−ン
の網目を十分小さくすることができないために、解像力
にすぐれた鮮明な写真様の再現は難しいという問題があ
った。
【0005】更に、溶融型感熱転写方式を利用して絵付
け用顔料像を形成し、それをセラミックス部材上に固定
し焼成してセラミックフォトを製造する方法について特
開平2−192482および特開平3−47798に開
示されている。特開平2−192482には、セラミッ
ク部材に直接顔料像を形成できない場合、一旦紙あるい
はプラスチックスシートなどのベースに水性の糊剤をコ
ートして、その表面に顔料像を形成し、更にその表面に
非水溶性樹脂をオーバーコートしたのち、水に浸して前
記ベースを除去し樹脂層を画像と共にセラミック部材に
糊剤などにより仮固定し、焼成してセラミックフォトを
作製する方法が示されている。そして相異なる色相を持
つ顔料を組み合わせて用いる場合生じる変色の問題を避
けるために、顔料の組成の規定及び転写するインキのド
ットの位置をずらすことが提案されている。しかしなが
らこの方法によると、使用できる顔料が限定されるた
め、望ましい色相を有する顔料の選択が制約され、更に
ドットの位置を重ならないように正確に制御することは
必ずしも容易ではない。又、特開平3−47798に
は、熱ペン、アイロン、サーマルプリンター及びサーマ
ルファクシミリなどのサーマル印字システムにより、有
機フイルム上に絵付け用の無機顔料を含む溶融型感熱転
写インク層を所定の図柄に基づいて転写して、顔料像
(モノカラー)を有する陶磁器用転写紙の作製方法につ
いて開示している。しかしながら、カラー像を形成する
際に問題となる変色についてはなんら示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、簡易な工程によりセラミック部材上に写真様のカラ
ー画像を形成する方法及びその方法によって画像の形成
されたセラミックカラー画像材料を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、製造コストの安いセラミッ
クカラー画像材料及びその作製方法を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、色合わせが容易で、再現性
の優れたセラミックカラー画像材料及びその作製方法を
提供することにある。本発明の第4の目的は、解像力の
優れた鮮明なセラミックカラー画像材料及びその作製方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、互いに色
相の異なる複数種の絵付け用顔料を含有する熱溶融性イ
ンキ層をそれぞれ面順次に設けた熱転写インクシート
を、水溶性ポリマーが塗設された紙支持体よりなる転写
紙と重ね合わせて、カラー画像情報が該顔料の色相に対
応するように色分解された色情報に基づいて、サーマル
ヘッド又はレーザー光による記録機能を有する熱転写プ
リンターにより、該熱溶融性インキを少なくとも二枚以
上の該転写紙に分けて転写する工程A、該画像形成され
た転写紙上にカバーコートレジン(油溶性ポリマー)溶
液を塗布、乾燥する工程B、該カバーコートレジンを塗
設した転写紙を紙支持体側より水を供給して画像の付着
したカバーコートレジン(すなわち転写フイルム)を紙
支持体より剥離し、転写フィルムを得る工程C、転写フ
ィルムをセラミック部材上に順次積層接着する工程D、
該セラミック部材を焼窯により焼成し、上記転写フィル
ムを蒸発または焼却により除去するするとともに絵付け
用顔料をセラミック表面に焼結する工程Eとを有するこ
とを特徴とするセラミックカラー画像の作製方法、及
び、互いに色相の異なる複数種の絵付け用顔料を含有す
る熱溶融性インキ層をそれぞれ面順次に設けた熱転写イ
ンクシートを、紙支持体上に水溶性ポリマー層、カバー
コートレジン(油溶性ポリマー)層が順次積層された転
写紙と重ね合わせて、カラー画像情報が該顔料の色相に
対応するように色分解された色情報に基づいて、サーマ
ルヘッド又はレーザー光による記録機能を有する熱転写
プリンターにより、該熱溶融性インキを少なくとも二枚
以上の該転写紙に転写する工程A、該画像が転写された
転写紙を紙支持体側より水を供給して画像の付着したカ
バーコートレジン層(すなわち転写フイルム)を紙支持
体より剥離し、転写フィルムを得る工程C、転写フィル
ムをセラミック部材上に順次積層接着する工程D、該セ
ラミック部材を焼窯により焼成し、上記転写フィルムを
蒸発または焼却により除去するとともに絵付け用顔料を
セラミック表面に焼結する工程Eとを有することを特徴
とするセラミックカラー画像の作製方法により達成され
た。
【0008】以下本発明について詳しく説明する。本発
明のセラミック上に作製する画像としては、電子画像に
変換出来るものならどの様なものでも適用することがで
きる。即ち、カラー写真、印刷物、絵画等はスキャナー
により読み取り電気信号に変換する。電子スチルカメ
ラ、ビデオカメラ等で撮影した画像やコンピューターに
より作製した画像(CG)なども適用できる。
【0009】本発明に用いる該絵付け用顔料を含む熱溶
融性インク層を有する溶融転写用熱転写インクシート
は、バック層として耐熱滑性層を有する支持体上に少な
くとも一層の絵付け用顔料を含む熱溶融性インク層を有
する。
【0010】本発明に用いる溶融転写用熱転写インクシ
ートの熱溶融性インク層は、微分散された絵付け用顔料
とビヒクルとからなり、必要に応じて種々の添加剤を加
えることができる。
【0011】本発明に用いる絵付け用顔料は、シアン、
イエロー、マゼンタ(又は特色赤)に加え、場合によっ
ては更にブラックの無機系の顔料も用いるが、顔料にガ
ラス(融剤)を加えたものも含む。該絵付け用顔料は2
種以上混合して用いると、焼成時共融により本来減色混
合により形成される色相とは異なる、彩度の低い色に変
色することが起こる場合があり、それを回避するために
本発明に至ったものであるが、組合せによっては変色し
にくいものがある。その場合、変色しにくい組合せの顔
料は同一の転写紙上に転写するのが好ましい。一般にイ
エローとマゼンタの顔料は共融により変色し易く、イエ
ローとシアンの顔料あるいはシアンとマゼンタの顔料は
変色しにくい傾向がある。
【0012】従って、本発明において、色分解によって
別個に転写する顔料の組合せとしては例えば以下のもの
が好ましい。 (1)シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック ;転写紙 4枚 (2)(シアン+イエロー)、(マゼンタ+ブラック);転写紙 2枚 (3)(ブラック+イエロー)、(マゼンタ+シアン);転写紙 2枚 (4)イエロー、(マゼンタ+シアン+ブラック) ;転写紙 2枚 この方法は接着工程が簡略化され、更に鮮明度も優れる
ため好ましい。また、上記顔料を転写した転写フイルム
をセラミック部材に接着する際に、該転写フイルムの間
に、焼成により透明状態に焼結される無機顔料層が均一
に塗布された転写フイルムを挟んで積層接着し焼成する
ことは、変色を防止する上で更に好ましい。
【0013】ビヒクルとしては、ワックスを主成分と
し、その他乾性油、樹脂、鉱油、セルロース及びゴムの
誘導体等との混合物が用いられる。該ワックスとして
は、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリ
ンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワック
ス、ライスワックス、フィッシャートロプシュワック
ス、蜜蝋、木蝋、鯨蝋、イボタロウ、羊毛ロウ、セラッ
クワックス、ベトロラクタム、ポリエステルワックス、
ラノリン、低分子量ポリエチレンワックス、アミドワッ
クス、エステルワックス、酸化ポリエチレンワックス、
ロジン、ロジンメチロール化アマイド、エステルガム、
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級アルコール等を
挙げることができる。
【0014】また、本発明の熱溶融性インク層には、比
較的低融点の熱可塑性樹脂、例えば、低分子量の石油樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレ
イン酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド、ポ
リスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル樹脂、セル
ロース誘導体系、ポリスチレンメタクリル系樹脂、ポリ
ビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ロジン系樹脂(例えば、テルペン樹脂
及び変性テルペン樹脂)などを添加してインクの転写紙
への接着性を向上させることができる。また、融点を下
げるために各種可塑剤、例えば、フタル酸エステル系
(例えばヂブチルフタレート、チオクチルフタレートな
ど)、リン酸エステル系(例えばトリクレジルフォスフ
ェート、ヂブチルフォスフェートなど)、安息香酸エス
テル系、クエン酸エステル系、脂肪酸エステル系、アク
リル酸エステル系、エーテル系、アミド系、パラフィン
系などを用いることができる。
【0015】本発明の熱溶融性インクの組成は、焼成に
より発色する絵付け用顔料100重量部に対して、ワッ
クス10〜50重量部、好ましくは20〜30重量部、
熱可塑性樹脂1〜30重量部、好ましくは1.5〜20
重量部特に好ましくは2〜10重量部である。
【0016】上記ワックス及び熱可塑性樹脂類は有機溶
剤に溶解し、それに絵付け用顔料を分散してインキ塗布
液とすることができる。また上記ワックス及び熱可塑性
樹脂類をラテックス等の微分散物にして、それに絵付け
用顔料を分散してインキ塗布液とすることもできる。有
機溶剤に溶解して作製する場合、該熱溶融性インクの塗
布液は、有機溶媒(例えばトルエン、キシレン、ベンゼ
ン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケ
トン、メタノールエタノール、プロパノール、ジアルキ
ルナフタレン、シクロヘキサノン等)中で加熱溶解し、
放冷しながら絵付け用顔料を均一に分散する。有機溶剤
は絵付け用顔料100重量部に対して、0〜1000重
量部用いることができるが、塗布性の観点からは絵付け
用顔料とほぼ同量が好ましい。
【0017】本発明の熱溶融性インクは、グラビアコー
ター、ワイヤーバーコーター、リバースコーター、コン
マコーター、ロールコーター、ドクターブレード等の塗
布手段により塗布することができる。塗布膜厚は用いる
顔料の着色の強さによって異なるが、通常1〜50μm
である。
【0018】本発明に用いる溶融転写用熱転写インクシ
ートの支持体としては、従来公知のものがいずれも使用
できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリア
ミド、ポリカーボネート、グラシン紙、セルロースエス
テル、フッ素ポリマー、ポリエーテル、ポリアセター
ル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリプロピレン、ポリスルフォン、セロファ
ン、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。本発明
に用いる溶融転写用熱転写インクシーシートの支持体の
厚みとしては、一般に2〜30μm、好ましくは3〜1
0μm、必要に応じて下塗り層を付与してもよい。
【0019】本発明に用いる溶融転写用熱転写インクシ
ート上に塗布される熱溶融性インク層と支持体との間
に、熱溶融性剥離層を設けることもできる。該熱溶融性
剥離層としては、上記熱溶融性インク層に用い得るワッ
クス類を用いることができ、さらに上記熱可塑性樹脂を
添加してもよい。
【0020】本発明の陶磁器上に作製する画像がカラー
の場合、その顔料像を転写フィルム上に作製する溶融転
写用熱転写インクシートは、目的により任意の色相の絵
付け用顔料を用いることができるが、通常、シアン、イ
エロー、マゼンタ(または特色赤)、場合によりブラッ
クの絵付け用顔料が分散された熱溶融性インク層がそれ
ぞれ面順次に塗設されたものを用いる。
【0021】上記の如く作製された溶融転写用熱転写イ
ンクシートを用い、感熱転写用プリンターにより、色分
解されたシアン、マゼンタ、イエロー(場合により更に
ブラック)の画像の電気信号に基づいて、それぞれに対
応した顔料層を転写紙(転写フイルム)に転写する。
【0022】本発明に用いる転写紙(転写フイルム)
は、通常陶磁器の絵付けに用いられる水溶性ポリマー
(例えばデキストリン、アラビアゴムなど)が塗布され
た紙支持体を用いることができる。該転写紙上に前記イ
ンクシートから絵付け用顔料像を転写し、該表面に更に
油溶性ポリマー好ましくは熱可塑性樹脂(カバーコート
レジン)を塗布又はラミネート法により設ける。このよ
うに画像を形成した転写紙に水を供給することにより水
溶性ポリマーを溶解し顔料像の付着した油溶性ポリマー
層を紙支持体より剥離し、転写フィルムを得、これをセ
ラミックに接着し乾燥する。また、該水溶性ポリマー
(例えばデキストリン、アラビアゴムなど)が塗布され
た紙支持体上に予め油溶性ポリマー好ましくは熱可塑性
樹脂を塗設し、この上に前記インクシートから絵付け用
顔料像を転写した後、水を供給することにより水溶性ポ
リマーを溶解し顔料像の付着した油溶性ポリマー層を紙
支持体より剥離して転写フィルムを得、これをセラミッ
クに接着し乾燥する方法も用いることができる。この方
法は予め油溶性ポリマーの塗布された転写紙を大量に製
造しておくことができるので、工程が簡易でコストも下
げることができて好ましい。該油溶性ポリマーは熱可塑
性樹脂が好ましく用いられるが、例えばポリビニルブチ
ラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸
エステル共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸
エステル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエ
ステル、ポリ酢酸ビニル樹脂、セルロース誘導体系、ポ
リスチレンメタクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ロ
ジン系樹脂が挙げられる。該油溶性ポリマーの塗布膜厚
としては、1〜100μm、好ましくは2〜50μm、
特に好ましくは3〜30μmである。
【0023】本発明においては、カラー画像情報を、用
いる顔料の色相情報に対応させて色分解し、それぞれ対
応させて別個に転写紙(転写フイルム)上に顔料像を転
写形成する。この様にして作製した複数枚の顔料像の形
成された転写紙(転写フイルム)は一枚づつセラミック
部材上に積層接着し、乾燥後焼成する。本発明に用いる
セラミック部材としては、陶磁器、ガラス、コルツ、ほ
うろう、タイル、グレーズドアルミナ基板などが挙げら
れる。
【0024】本発明において、転写をレーザー光を用い
て行う場合、使用するレーザーは、該熱溶融性インク層
の吸収する波長範囲で発光する市販のレーザー装置が選
択され用いられる。例えば、442nmに発振波長を有
するHe−Cdレーザー、488nm及び515nmに
発振波長を有するアルゴンレーザー、510nm及び5
78nmに発振波長を有する銅蒸気レーザー、543n
m及び632nmに発振波長を有するHe−Neレーザ
ー、694nmに発振波長を有するルビーレーザー、6
47nmに発振波長を有するクリプトンレーザー、62
8nmに発振波長を有する金蒸気レーザー、660nm
に発振波長を有するAlGaInP 半導体レーザー、750〜
870nmの赤外光領域で発振するガリウム−ヒ素のよ
うな半導体レーザーなどが有効に用いられる。また、色
素レーザーをもちいれば、レーザーに色素を適当に選べ
ば、それぞれのインク層の吸収に合った発振波長のレー
ザーを用いることができる。また、赤、緑、青光の3つ
の波長のレーザー光を発振するいわゆる白色レーザーを
用いることもできる。しかしながら、実用的には、小
型、低コスト、安定性、信頼性、耐久性及び変調の容易
さ等の点で半導体レーザーが有利である。また、レーザ
ー光の波長を変換する素子(有機または/および無機の
非線形光学素子)とレーザー発振装置を組み合わせて適
当な波長のレーザー光を得ることもできる。これらの材
料については例えば“有機非線形光学材料”(梅垣真佑
著、ぶんしん出版 1990)に記載されている。
【0025】レーザー光により転写を行う場合、光熱変
換剤を熱溶融性インクシート中に含有させることは好ま
しい。本発明に用いる光熱変換剤は、カーボンブラッ
ク、赤外吸収剤、各種有機色素、紫外線吸収剤などを用
いるこいとができる。本発明に用いる光熱変換剤は、用
いるレーザー光の波長を効率よく吸収する光熱変換剤を
用いるのがよい。赤外線レーザーを用いる場合には赤外
線吸収剤が好ましく、例えば特願平2−273573
号、同2−286958号、同2−295303号、同
2−299007号に記載の化合物が好ましい。
【0026】光熱変換剤は、熱溶融性インク層、支持体
または/および熱溶融性剥離層中に含まれてもよいし、
別に光熱変換層を設けてもよい。例えば、光熱変換層は
支持体と熱溶融性インク層あるいは熱溶融性剥離層の
間、または支持体の熱溶融性インク層とは反対の側に設
けてもよい。
【0027】赤外吸収剤、各種有機色素、紫外線吸収剤
などを光熱変換層に用いる場合、これらの光熱変換剤は
耐熱性の有機バインダーと共に有機溶剤又は水に溶解又
は分散し、支持体上に塗布して、光熱変換層を設けるこ
とができる。
【0028】これら光熱変換剤の塗布量は、用いるレー
ザー光の波長の光に対する吸光度が0.3以上、好まし
くは1.0以上になるように設定する。通常、0.01
g/m2から1g/m2が好ましい。
【0029】
【実施例】以下、本発明の具体例に基づいて更に詳しく
説明する。
【0030】実施例1 (溶融転写用熱転写インクシートの作製)厚さ25μ
m、幅95mmのポリエステルフィルムを支持体とし、こ
の支持体の耐熱滑層を設けた側と反対側の面に、墨版用
グラビアインクにて20mm長の検知マ−クを塗布した。
【0031】次に下記熱溶融性インク層インク組成物を
65℃に保温してコロイドミルで一晩分散後、固形塗布
量が4g/m2となるようにホットラッカ−グラビアコ−
ト法により長さ170mmで面順次に塗布して溶融型熱転
写インクシートAを得た。 熱溶融性インク層形成用シアンインク組成物 絵付け用シアン顔料(ツバメ印上絵具緑青) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 キシレン 30重量部 イソプロパノール 6重量部 熱溶融性インク層形成用イエローインク組成物 絵付け用イエロー顔料(ツバメ印上絵具中黄) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 キシレン 50重量部 イソプロパノール 6重量部 熱溶融性インク層形成用マゼンタインク組成物 絵付け用マゼンタ顔料(ツバメ印上絵具ピンク) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 キシレン 50重量部 イソプロパノール 6重量部 熱溶融性インク層形成用ブラックインク組成物 絵付け用ブラック顔料(ツバメ印上絵具艶黒:APー2) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 キシレン 50重量部 イソプロパノール 6重量部
【0032】(転写紙の作製)紙支持体上に、アラビヤ
ゴムの10%水溶液を乾燥塗布量が1.5g/m2となる
ように塗設して転写紙Bを作製した。更に、上記アラビ
ヤゴムが塗設された紙支持体上に陶磁器用のメタクリル
系樹脂を主成分とするオバーコートラッカー(プラスサ
イズ LO−170:互応化学工業株式会社製)を乾燥
膜厚15μmとなるように塗布、乾燥して転写紙Cを作
製した。
【0033】(顔料像の転写及び焼成)上記のようにし
て作製した溶融型熱転写インクシートと転写紙Bを用い
て、それぞれ熱溶融性インク層と転写フイルム層とが接
するように重ね合わせ、スキャナーで読み取ったシア
ン、イエロー、マゼンタ及びシアンに色分解されたカラ
ー画像の画像情報に基づいて、該インクシ─トの支持体
側からスポット径5μm(画素サイズ80μm:256
階調)、露光時間1msecの条件でレーザー光を走査し、
色順次に、該熱溶融性インク層を該溶融型熱転写インク
シートから該転写紙に転写して、該転写紙上に絵付け用
顔料のシアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの顔料
像を別々に作製した。用いたレーザーは松下電子製の半
導体レーザーLN9880(発振波長830nm)で、
出力は4mWであった。顔料像の転写された転写紙Bの
表面に陶磁器用のメタクリル系樹脂を主成分とするオバ
ーコートラッカー(プラスサイズ LO−170:互応
化学工業株式会社製)を乾燥膜厚15μmとなるように
塗布、乾燥した。先ず、マゼンタの顔料が転写され該オ
バーコートラッカーが塗布された転写紙のバック側から
水を供給して紙支持体を剥離除去し、得られた転写フィ
ルムを白タイル上に接着し乾燥した。次にシアン、イエ
ロー及びブラックの順に上記と同様な方法で転写フィル
ムを白タイル上に積層接着し乾燥した。これを200℃
で120分、300℃で360分更に750℃で30分
間焼成してカラーのセラミックフォトを作製した。次
に、絵付け用顔料のシアン、イエロー、マゼンタ及びブ
ラックの顔料を含む別個の溶融型熱転写インクシートと
該転写紙Cを用いて、転写紙Bを用いた時と同様にレー
ザー光による転写を行って、該転写紙上に絵付け用顔料
のシアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの顔料像を
別々に作製した。更に上記と同様に転写フィルムを白タ
イル上に接着し乾燥し、これを200℃で120分、3
00℃で360分更に750℃で30分間焼成してカラ
ーのセラミックフォトを作製した。
【0034】この様にして作製したカラーのセラミック
フォトは色相が鮮やかで階調性及び解像度の優れた鮮明
なものであった。
【0035】実施例2 実施例1において、レーザー光による転写の代わりに、
サーマルヘッドを用いる以外同様にして転写、セラミイ
ック部材への接着、焼成を行った。この様にして作製し
たカラーのセラミックフォトは色相が鮮やかで鮮明なも
のであった。
【0036】実施例3 実施例1において、絵付け用顔料のシアンとイエローの
顔料、及びマゼンタとブラックの顔料をそれぞれ同一の
転写紙上に転写する以外同様にして転写、セラミイック
部材への接着、焼成を行った。この様にして作製したカ
ラーのセラミックフォトは色相が鮮やかで階調性及び解
像度の優れた鮮明なものであった。
【0037】実施例4 (溶融転写用熱転写インクシートの作製)厚さ6μmの
ポリエステルフィルムを支持体上に、墨版用グラビアイ
ンクにて20mm長の検知マークと下記組成の熱溶融性イ
ンク層インク組成物を120℃で保温しコロイドミルで
一晩分散後、溶融状態で、ワイヤーバーを用いて固形塗
布量が4g/m2となるように面順次に塗布して溶融型熱
転写インクシートDを得た。
【0038】 熱溶融性インク層形成用イエローインク組成物 絵付け用イエロー顔料(ツバメ印上絵具中黄) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 熱溶融性インク層形成用マゼンタインク組成物 絵付け用マゼンタ顔料(ツバメ印上絵具正円子) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 熱溶融性インク層形成用シアンインク組成物 絵付け用シアン顔料(ツバメ印上絵具緑青) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部 熱溶融性インク層形成用ブラックインク組成物 絵付け用ブラック顔料(ツバメ印上絵具艶黒) 60重量部 パラフィンワックス 135 融点58℃(日本製蝋製) 18重量部 エチレン−アクリレート共重合体 4重量部 カルナバワックス 18重量部
【0039】(顔料像の転写及び焼成)実施例1で作製
した転写紙Bと上記溶融型熱転写インクシートDを用
い、スキャナーで読み取ったカラー写真の画像をコンピ
ューターで、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック
に色分解し、実施例3と同様な条件でレーザー光により
転写、セラミック部材への接着、焼成を行った。用いた
レーザーは870nm発光の半導体レーザーである。
【0040】この様にして作製したカラーの写真陶磁器
は階調性及び解像度の優れた鮮明なものであった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに色相の異なる複数種の絵付け用顔
    料を含有する熱溶融性インキ層をそれぞれ面順次に設け
    た熱転写インクシートを、水溶性ポリマーが塗設された
    紙支持体よりなる転写紙と重ね合わせて、熱転写プリン
    ターにより、該熱溶融性インキを少なくとも二枚以上の
    該転写紙に分けて転写する工程A、該画像形成された転
    写紙上にカバーコートレジン溶液を塗布、乾燥する工程
    B、該転写紙に紙支持体側より水を供給して画像の付着
    したカバーコートレジンを紙支持体より剥離転写フィル
    ムを得る工程C、転写フィルムをセラミック部材上に順
    次積層接着する工程D、該セラミック部材を焼窯により
    焼成し、上記転写フィルムを蒸発または焼却により除去
    するとともに絵付け用顔料をセラミック表面に焼結する
    工程Eとを有することを特徴とするセラミックカラー画
    像の作製方法。
  2. 【請求項2】 互いに色相の異なる複数種の絵付け用顔
    料を含有する熱溶融性インキ層をそれぞれ面順次に設け
    た熱転写インクシートを、紙支持体上に水溶性ポリマー
    層、カバーコートレジン層が順次積層された転写紙と重
    ね合わせて、熱転写プリンターにより、該熱溶融性イン
    キを少なくとも二枚以上の該転写紙に転写する工程A、
    該画像が転写された転写紙を紙支持体側より水を供給し
    て画像の付着したカバーコートレジン層を紙支持体より
    剥離し転写フィルムを得る工程C、転写フィルムをセラ
    ミック部材上に順次積層接着する工程D、該セラミック
    部材を焼窯により焼成し、上記転写フィルムを蒸発また
    は焼却により除去するとともに絵付け用顔料をセラミッ
    ク表面に焼結する工程Eとを有することを特徴とするセ
    ラミックカラー画像の作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のセラミックカラー画像
    作製方法により作製されたセラミックカラー画像材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR19990083838A (ko) * 1999-08-14 1999-12-06 박계춘 하회용 입체형 전사지 제작 기술
US6861096B2 (en) 2000-05-15 2005-03-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for producing a ceramic body decorated with an inorganic pigment
CN115976879A (zh) * 2022-12-09 2023-04-18 广州山木新材料科技有限公司 一种数码烫画转印纸及制备方法

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