JPH07227521A - 選択還元脱硝法における硫安析出防止方法 - Google Patents

選択還元脱硝法における硫安析出防止方法

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JPH07227521A
JPH07227521A JP6043157A JP4315794A JPH07227521A JP H07227521 A JPH07227521 A JP H07227521A JP 6043157 A JP6043157 A JP 6043157A JP 4315794 A JP4315794 A JP 4315794A JP H07227521 A JPH07227521 A JP H07227521A
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洋 内田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】燃焼排ガスのアンモニアによる選択還元脱硝法
において、脱硝処理後、この処理工程に続く熱回収工程
の前又はその工程中で、脱硝済排ガスを耐熱性酸化物胆
体に担持した白金、ロジウム又はパラジウムの少なくと
も1つの触媒と接触させることにより、その脱硝済排ガ
ス中のスリップアンモニアを酸化分解し、除去する。 【効果】熱回収工程、これに続く導管部及び煙突におけ
る硫安の析出を防止、抑制し、それら箇所への硫安の析
出、堆積によるトラブルを解消することができ、また硫
安の析出限界温度を低下させ、これによって熱回収温度
を下げ、エネルギ−の回収率を上げることができる。ま
た、本発明は、特に天然ガスを駆動源とするコ−ジェネ
レ−ションシステムからの燃焼排ガスに対しても有効で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンモニア(NH3
により燃焼排ガス中のNOxを選択的に無害化処理する
方法すなわち燃焼排ガスのアンモニアによる選択還元脱
硝法に関し、さらに具体的には、この脱硝法において処
理済排出ガス中に含まれる未反応アンモニアすなわちス
リップアンモニアを酸化分解し、これに続く熱回収等の
後工程での硫安の生成析出を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミ、産業廃棄物等の焼却時におい
ては、それら廃棄物の由来、種類にもよるが、その燃焼
排ガス中にNOxやSOx、或いは塩化水素、臭気等が
生成する。このためこれらに対する種々の対策が採ら
れ、さらに研究が進めらており、また下水処理場で発生
する汚泥についても結局は焼却処理されるものであり、
それら都市ゴミ等と同様な排ガス上の問題を生じる。
【0003】また、単一の駆動源(エネルギ−源)から
電気、機械及び熱エネルギ−を生産し、ビル、工場、ホ
テル、病院等の諸施設で使用する動力、照明、空調、給
湯、その他に必要な諸エネルギ−を総合的に賄う、いわ
ゆるコ−ジェネレ−ションシステムは、エネルギ−を高
効率に利用可能とするものとして注目され、これまで逐
次採用され、普及してきている。
【0004】このうち、その駆動源として、天然ガスを
主体とする都市ガスを用いるシステムでは、そのガスの
燃焼時におけるNOx、SOx等の生成、排出が、他の
化石燃料に比べてきわめて少なく、クリ−ンであり、ま
たエネルギ−供給の安定性の面からも高い評価を受け、
特に注目されている。
【0005】図1は、その駆動源として都市ガスを用い
る場合における上記コ−ジェネレ−ションシステムの一
例を示すものである〔「公害と対策」Vol.25 N
o.4(1989)p.25〜30〕。この例の場合、
都市ガスをコンプレッサ−により昇圧、燃焼させ、ガス
タ−ビンを駆動して発電を行い、これを動力用、照明用
等に供する一方、燃焼排ガスの熱は、排熱ボイラ−及び
これに続くエコノマイザ−により回収し、生産用、空調
用或いは給湯用等として供給するものである。
【0006】しかし、この種のコ−ジェネレ−ションシ
ステムでは、通常、そのようにガスタ−ビン又はガスエ
ンジンを使用し、ガス燃料の燃焼を空気を用いて行うも
のであるため、その排ガス中にNOxを含み、このため
一定規模以上のコ−ジェネレ−ション施設については、
大気汚染防止法上の規制の対象とされている。
【0007】コ−ジェネレ−ションシステムからのNO
xに対する大気汚染防止法上の規制値すなわちその許容
上限値は、ガスタ−ビンの場合、発電規模約230kW
(換算値)以上で、294ppm、ガスエンジンの場合
には、発電規模約110kW(換算値)以上で、600
ppmとされているが、地方自治体によっては、この値
をさらに下回る指導基準を設け、指導しており、例えば
東京都の場合、その上限値をガスタ−ビンで100pp
m(発電規模:2000kW以上)、ガスエンジンでは
200ppm(発電規模:換算値、約110kW以上)
としている。
【0008】この点、その駆動源として天然ガスを用い
るガスタ−ビン又はガスエンジンでは、その排ガス中に
含まれるNOxの量は、通常50〜150ppm程度で
あるから、上記大気汚染防止法上の規制値をはるかにク
リアし、またこれより厳しい地方自治体での上記指導規
制値をもその大部分でクリアするものであるが、都市ガ
ス業界では、「クリ−ンな都市環境の創造」に寄与する
観点から、さらに「低NOx化技術の開発」が進められ
ている。
【0009】燃焼排ガス中のNOx成分の低減法は、S
Ox等の排煙脱硫技術とも相まち、これまで火力発電、
自動車或いは各種工場等からの排ガスの処理技術の一環
として研究、開発されてきており、種々の提案がなされ
てきている。このうち、特にNOxに対する選択的性能
から、アンモニアを用いる還元脱硝法が有効であるとさ
れており、このためこの方法は、コ−ジェネレ−ション
システムからの燃焼排ガスの処理法としても利用されて
いる。
【0010】この脱硝法は、基本的には、排ガス中のN
Oxがアンモニアと反応し、酸化と接触還元とを受けて
窒素と水蒸気(水)とに転換され、無害化されて大気中
に放出されるものであるが、ここで利用される反応を、
NOxがNOである場合についてみると、次の式(1)
で表わされる。そしてこの場合、この反応には適当な触
媒すなわち脱硝触媒が使用される。 NO + NH3 + 1/4O2 = N2 + 3/2H2O (1)
【0011】また、その脱硝用のアンモニア源として
は、液化アンモニア、アンモニア水(安水)、尿素(又
は尿素水)、炭酸水素アンモニウム水溶液などが使用さ
れている。これらはいずれも脱硝触媒の直前又は触媒層
内でアンモニアに転化して還元剤として作用するもので
ある。
【0012】図2は、ガスタ−ビン又はガスエンジンか
らの燃焼排ガスに対して、この脱硝法を適用する場合の
一例を示す概略図である。図中、1は熱回収ボイラ−、
2は、このボイラ−1に連なる煙突であり、3及び4は
ボイラ−用熱交換器である。矢印Aから導入されるガス
タ−ビン又はガスエンジンからの排ガスは、熱回収ボイ
ラ−1の熱交換器3及び4で熱回収された後、煙突2を
通して矢印Bから排出される。
【0013】5は、脱硝用アンモニア(液化アンモニ
ア、アンモニア水、尿素水など)の注入部であり、6は
脱硝触媒層である。このうち、脱硝用アンモニア注入部
5は、多孔性の気体分配器等の適当な手段で構成され、
アンモニアを排ガス流中に均一に分配、混合し、また脱
硝触媒層6は、例えばハニカム状等の形式で構成し、こ
れらによって前記式(1)等で示される反応を行わせ、
排ガス中のNOxを無害のN2、H2O等に変えるもので
ある。
【0014】そして、駆動源として天然ガスを用い、ガ
スタ−ビン又はガスエンジンを使用するコ−ジェネレ−
ションシステムからの燃焼排ガスに対して、このアンモ
ニアによる選択還元脱硝法を適用する場合には、この脱
硝後の排ガス中のNOxは、前述規制値よりはるかに下
回る値まで下げられている。
【0015】また、NOx以外の、他の有害成分、就
中、SOxについては、そのようにその駆動源として天
然ガスを用いる場合、関係文献でも、その燃焼排ガス中
におけるSOx量は0(ゼロ)ppmであるとして紹介
されるのが通常であり、コ−ジェネレ−ションシステム
において、そのエネルギ−源として天然ガスを用いる場
合にも、SOxについて特に問題とされることは有り得
ない。
【0016】
【従来技術の問題点】しかし、コ−ジェネレ−ションシ
ステムにおいて、上記のようにその駆動源として天然ガ
スを利用し、発電とともに熱供給のため排ガスの熱回収
を十分に行なうことで全体熱効率を高くするために、排
ガスの温度を硫安析出限界温度より低くした場合には、
燃焼排ガスについてアンモニア(アンモニアそれ自体と
は限らず、尿素など他のアンモニア系還元剤を含む。)
を用いる脱硝法を長期間続けると熱回収用ボイラ−、エ
コノマイザ−などの熱交換器表面に硫安が析出し、逐次
蓄積する。
【0017】そしてこの析出、蓄積により、この熱回収
用ボイラ−部の熱効率を阻害し、熱回収を不完全にする
ばかりでなく、この部分を通過する排ガスの流路を狭め
て圧力損失を招き、延いてはシステム自体の操作を不可
能にする等、種々の不都合を生じることが分かった。
【0018】また、天然ガスを成分とする都市ガスで
は、前述のとおり、SO2 等のSOxの生成はほとんど
なく、ppmレベルの検出器では通常検出され得ないも
のであるが、その燃焼排ガスの成分を分析したところ、
その燃焼排ガス中には、それでも0.0X〜0.1pp
mの極微量レベルのSOxが含まれていることが認めら
れた。一方、その脱硝触媒層へ導入される排ガス中に
は、通常、約6〜10%の酸素が含まれている。
【0019】本発明では、上記のような事実に加え、さ
らに観察を続けたところ、この酸素が脱硝工程中にSO
2 をSO3 へ酸化、転換し、またその排ガス中には、僅
かではあるが未反応のアンモニアすなわちスリップアン
モニアが含まれており(測定結果によれば、数ppm程
度)、これが上記のように酸化され、含まれる微量のS
3 と反応して硫安を生成、析出し、これが前述諸不都
合の原因であることを見い出した。
【0020】燃焼排ガスのアンモニアによる選択還元脱
硝法において生じる、前述問題の解決手段としては、
脱硝工程で使用する脱硝触媒として、SOxを生成し難
い脱硝触媒を使用する、後工程すなわち脱硝工程に続
く熱回収用ボイラ−部での温度を硫安の析出温度以上に
維持する、析出硫安を一時的に加熱して分解除去す
る、等の手法があり得る。
【0021】しかし、上記の手法については、これま
で硫安の析出を防止できる程度までSO3 の生成を抑え
た触媒はなく、別途研究、開発が必要であり、またの
手法については、その分熱回収を犠牲にせざるを得ず、
エネルギ−のロスを伴い、熱経済上の問題等を生じ、さ
らにの手法については、そのためには別途大がかりな
加熱手段、制御手段等を必要とし、それらの操作上、ま
た熱効率の面からも問題がある。
【0022】そこで、本発明では、前述のとおり、硫安
生成の一因は、その生成成分が脱硝工程からスリップす
る微量のアンモニアであること、またその排ガス中に
は、酸素が含まれている点に着目し、この酸素によりそ
のスリップアンモニア自体を酸化分解させて、アンモニ
アそのものを無くすることにより、前述問題を一挙に解
決することができることを見い出し、本発明に到達する
に至ったものである。
【0023】これによれば、熱回収工程の操作におい
て、その工程での温度をより低温で行うことができるこ
とから、その分熱回収率を上げることができ、併わせて
排ガスのアンモニアによる臭気を皆無ないしは実質上皆
無とし、弱めることができる等の諸利点をも得ることが
できる。
【0024】なお、アンモニアによる還元脱硝装置で生
成する硫安の析出を防止する手法としては、未反応アン
モニア自体を除去する手法があり得る。特公平4−20
664号公報は、その例であるが、ここではその未反応
アンモニアの除去用に有効なものとして、モルデナイ
ト、クリノプチライト又はY型ゼオライトのNa、K、
Ca元素をH、Fe、Cu又はCoで置換した特定の触
媒が提案されている。
【0025】その記載によると、それら触媒は、火力発
電用ボイラ排ガス等の各種排ガスの還元脱硝済ガス用と
して意図されているものであるから、この点では本発明
と共通するものではあるが、それら触媒自体特定のもの
であり、また、本発明における、前述、極微量レベルの
SOxを含むコ−ジェネレ−ションシステム等からの燃
焼排ガスについて意図されているものではない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
燃焼排ガスのアンモニア(NH3 )による選択還元脱硝
法において、その脱硝工程からの未反応アンモニアすな
わちスリップアンモニアを特定の触媒を使用して除去す
ることにより、この脱硝工程に続くボイラ−、エコノマ
イザ−などの熱回収部における硫安の生成、析出を防止
するとともに、併わせて熱回収効率を向上させ、また外
気へのスリップアンモニアの放出をも防止するようにす
ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、燃焼排ガスのアンモ
ニアによる選択還元脱硝法において、その脱硝後、これ
に続く熱回収工程の前又はその工程中で、その脱硝済排
ガスを白金、ロジウム又はパラジウムから選ばれた少な
くとも1つの、耐熱性酸化物担体に担持した触媒と接触
させることにより、その脱硝済排ガス中のスリップアン
モニアを酸化分解し、除去することを特徴とする、アン
モニアによる選択還元脱硝法における硫安析出防止方法
を提供するものである。
【0028】ここで用いるアンモニアの酸化反応は、下
記反応式(2)で表わすことができる。この反応は、酸
化触媒を用いて、温度約200〜600℃の範囲で行う
ことができるが、特にこれをコ−ジェネレ−ションシス
テムでのアンモニアによる脱硝工程からの排ガスに適用
する場合には、その触媒を脱硝触媒の後に設置するこ
と、温度が高いほど酸化速度が速いことから、その温度
としては230〜450℃程度で実施するのが望まし
い。 2NH3 + 3/2O2 = N2 + 3H2O (2)
【0029】また、本発明で対象とする上記燃焼排ガス
のアンモニアによる選択還元脱硝法それ自体における、
その還元脱硝用のアンモニア源としては、液化アンモニ
ア、アンモニア水(安水)、尿素(又は尿素水)、炭酸
水素アンモニウム水溶液などが使用されるが、これらは
何れも脱硝触媒の直前又は触媒層内でアンモニアに転化
し、還元剤として作用するものであり、本発明において
は、これら何れのアンモニア源を使用した場合の排ガス
についても適用されるものである。
【0030】また、本発明で使用する上記酸化触媒とし
ては、モルデナイトなどのゼオライトに鉄、銅又はコバ
ルトを担持した耐SOx性の触媒も考えられるが、この
ようなアンモニア、SOx低濃度条件では十分な活性が
発揮できない。そのため、このような特殊条件でも活性
が高い触媒が必要であり、白金族系触媒が使用できる
が、このうち特に白金触媒が望ましい。
【0031】この点、例えば白金、パラジウムについて
みると、特開昭53−102866号公報にも記載され
ているとおり、これらの触媒は、その廃ガス中、NH3
が15000ppmという高濃度で含まれている場合に
有効に適用されるものであるのに対し、本発明では、そ
の排ガス中、NH3 が数ppmというきわめて低濃度で
ある場合にも、それが有効であることを確認し得たもの
である。
【0032】白金族系触媒のそのような性能から、これ
ら触媒は、その駆動源として天然ガスを用いるコ−ジェ
ネレ−ションシステムからの燃焼排ガス、すなわちNO
x濃度の低い排ガスに対してアンモニアによる選択還元
脱硝法を適用した排ガスについても、有効に使用し得る
ものである。
【0033】また、本発明におけるその触媒の使用態様
すなわち触媒の使用形状としては、これらを適当な担
体、例えば活性アルミナ、シリカ、マグネシア等に担持
させ、粉体状、球形、ペレット状、ハニカム状などの形
状で使用できるが、特にハニカム状であるのが好まし
い。
【0034】本発明に係る触媒は、例えばコ−ジェライ
ト製ハニカムにアルミナをウォッシュ・コ−トした担体
に白金、ロジウムやパラジウムを担持して調製される。
白金族金属の原料としてはその塩化物、硝酸塩、酢酸
塩、塩化アンモニウム塩、アルコキシドなどが使用でき
る。また、担持法は、イオン交換、含浸などである。担
体としてはアルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ジルコ
ニア、マグネシアなどが使用できる。中でも、特にアル
ミナが望ましい。
【0035】図3は、その使用態様の一例を示す概略図
である。図中、7が本発明に係るアンモニア酸化触媒層
であり、図3中、A、B及び1〜6で示す部分は、図2
の場合と同じである。図2と対比すると分かるとおり、
そのような従来装置における脱硝触媒層6の後方で、熱
回収用ボイラ−4の前に、アンモニア酸化触媒層7を組
込んだ形式として構成すれば足りるもので、別に特殊な
構造等を採る必要はない。また、4の熱回収部が多段化
し、その間にアンモニア酸化触媒を設置することもでき
る。必ずしも脱硝触媒の直後に設置する必要はない。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこの実施例に限定されるものではないことは勿論であ
る。本実施例では図3のような装置を使用して行った。
【0037】径20mm、長さ15〜35mmの円筒状
のコ−ジェライト製ハニカムにアルミナと白金1.5g
/リットルを担持し、乾燥、焼成して白金触媒を調製し
た。この触媒を内径20mmのステンレス製反応管に充
填し、下記の条件でアンモニアの除去性能を調べた。 1、試験ガス組成:アンモニア=3ppm、10pp
m及び30ppmの3通り、SO3 =0.1ppm、
酸素=11%、水(水蒸気)=10%、窒素=残
部(バランス)。 2、空間速度:20000h-1、38000-1、760
00h-1の3通り。 3、触媒層温度:350℃
【0038】以上の条件下に実施し、触媒層前後のアン
モニア濃度を測定した。この測定はインドフェノ−ル法
で行い、その結果を、アンモニアの除去率と出口ガス組
成から熱力学計算により算出した硫安析出上限温度低下
を、条件如何毎に、実施例1〜実施例5として、表1に
示す。
【0039】また、表1中、実施例6は白金を2.5g
/リットル担持させたもの、実施例7は、パラジウムを
用い、その担持量を2.5g/リットルとしたもの、実
施例8は、白金1.0g/リットルにロジウム0.1g
/リットルを担持させた場合であり、その余の点は、実
施例1〜5と同様にして製造したものである。
【0040】一方、比較例として、塩化第2鉄を使用
し、イオン交換法で鉄を担持したモルデナイトを実施例
1〜5と同じ形状のコ−ジェライト製ハニカムにウォッ
シュ・コ−トして、115℃で乾燥後、500℃で焼成
して鉄モルデナイト触媒を調製した。この触媒を用い、
試験条件を実施例3と同様にしてアンモニアの除去性能
を調べた。この結果を表1に示す。
【0041】表1のとおり、本発明によれば、アンモニ
ア除去率及び硫安析出温度ともに、優れた効果が得られ
ることが明らかである。例えば、白金担持の触媒を使用
した実施例1〜6についてみると、アンモニア除去率は
95.1〜97.1%にも及び、硫安の析出温度は25
〜28℃も低下してることが分かる。
【0042】
【表 1】
【0043】このうち、比較例と同じ条件で実施した実
施例3をみると、反応管への入口アンモニア濃度濃度
3.0ppmというきわめて低いアンモニア濃度である
のに、アンモニア除去率で96.3%、硫安の析出温度
については26℃も低下しており、これが比較例では、
それぞれ84.6%、15℃であるのと対比すると、本
発明によるその優れた効果は明らかである。
【0044】また、実施例7から明らかなとおり、パラ
ジウム触媒を用いた場合にも優れた活性を示すが、これ
を実施例6と対比すると、白金触媒を用いた場合の方
が、同じ条件でも、これよりさらに高活性であることが
分かる。また白金触媒の場合には、その担持量1.5g
/リットル(実施例1〜実施例5、特に実施例3)の方
が2.5g/リットル(実施例6)よりも高い活性を示
している。さらに、実施例8によると、白金にロジウム
を微量添加することでさらに活性が高くなることが分か
る。
【0045】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、燃焼排
ガスのアンモニアによる選択還元脱硝法において、その
脱硝工程後、これに続くボイラ−、エコノマイザ−等の
熱回収部、これに続く導管部及び煙突における硫安の析
出をきわめて有効に防止し、また抑制することができ
る。これによりそれらの箇所への硫安の析出、堆積によ
るトラブルを実質上解消することができる。
【0046】また、本発明では、硫安の析出限界温度を
大幅に低下させることができる。これによって熱回収温
度を下げることができ、延いてはその分エネルギ−の回
収率を上げることができる。また、アンモニアによる臭
気を弱め、無くすることができ、これが大気へのアンモ
ニアの逸出、放散を防止し、環境汚染上の問題を解消す
ることができる。
【0047】本発明によるこれらの効果は、その還元脱
硝法を長期にわたり連続的に操作することを可能とし、
また極微量のスリップアンモニアに対しても有効である
ことから、本発明は、特に天然ガスを駆動源とするコ−
ジェネレ−ションシステムからの燃焼排ガスに対しても
有効に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コ−ジェネレ−ションシステムの一例を示す
図。
【図2】熱回収部にアンモニアによる選択脱硝法を適用
した一例を示す図。
【図3】図2の部分に本発明に係るアンモニア酸化触媒
層を組み込んだ図。
【符号の説明】
1 熱回収ボイラ− 2 煙突 3、4 ボイラ−用熱交換器 5 脱硝用アンモニアの注入部 6 脱硝触媒層 7 アンモニアの酸化触媒層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/94 B01J 23/40 ZAB A 35/02 ZAB P B01D 53/34 129 B 53/36 101 B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼排ガスのアンモニアによる選択還元脱
    硝法において、その脱硝後、これに続く熱回収工程の前
    又はその工程中、その脱硝済排ガスを耐熱性酸化物担体
    に担持してなる、白金、ロジウム及びパラジウムから選
    ばれた少なくとも1つの触媒と接触させることにより、
    その脱硝済排ガス中のスリップアンモニアを酸化分解
    し、除去することを特徴とする、アンモニアによる選択
    還元脱硝法における硫安析出防止方法。
  2. 【請求項2】耐熱性酸化物がアルミナであることを特徴
    とする請求項1記載のアンモニアによる選択還元脱硝法
    における硫安析出防止方法。
  3. 【請求項3】担持金属が白金である請求項1〜2記載の
    アンモニアによる選択還元脱硝法における硫安析出防止
    方法。
  4. 【請求項4】燃焼排ガスが天然ガスを駆動源とするコ−
    ジェネレ−ションシステムからの燃焼排ガスであること
    を特徴とする請求項1〜3記載のアンモニアによる選択
    還元脱硝法における硫安析出防止方法。
  5. 【請求項5】脱硝用のアンモニア源が、脱硝触媒の直前
    又は触媒層内でアンモニアに転化し還元剤として作用す
    るものである請求項1〜4記載のアンモニアによる選択
    還元脱硝法における硫安析出防止方法。
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