JPH0722703B2 - アルミナ系触媒およびその調製方法 - Google Patents

アルミナ系触媒およびその調製方法

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JPH0722703B2
JPH0722703B2 JP61273498A JP27349886A JPH0722703B2 JP H0722703 B2 JPH0722703 B2 JP H0722703B2 JP 61273498 A JP61273498 A JP 61273498A JP 27349886 A JP27349886 A JP 27349886A JP H0722703 B2 JPH0722703 B2 JP H0722703B2
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acid
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、アルミナ系触媒およびその調製方法に関し、
さらに詳しくは、特にフェノール類とアンモニアなどの
アミノ化剤とを反応させてアニリン類を製造する際に好
ましく用いられるアルミナ系触媒およびその調製方法に
関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 アニリンは工業的重要性の大なる工業的化学薬品であ
り、ゴム硫化促進剤、酸化防止剤、染料、中間染料、あ
るいはアニリン樹脂原料など広範囲の用途に用いられて
いる。また、アニリン誘導体、例えばトルイジン、クミ
ジン、メチルクミジン、キシリジンなどの化合物は、写
真薬、農薬、医薬の原料として近年ますますその用途が
拡けつつある。
このようなアニリン類は、従来芳香族ニトロ化物を接
触還元する方法、芳香族ハロゲン化物を高温加圧下に
アンモニア水と反応せしめる方法、フェノール類とア
ンモニアとを反応せしめる方法によって、製造されてき
た。
ところでのニトロ化物を経る方法は、ニトロ化剤とし
て硫酸および硝酸を多量に必要とするために、中和工程
で、多量の水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質を必要
とし、さらに高濃度の塩類を含有する多量の排水が生ず
るという問題点がある。さらに、特開昭48−67229号公
報にも指摘されているように、ニトロ化物を製造する操
作中に、酸化窒素ガスが生成し、この酸化窒素ガスによ
り大気汚染が生ずるという問題点がある。
の芳香族ハロゲン化物を用いる方法は、極めて腐食性
の高い塩素を使用せざるを得ないために、高価な耐食性
装置を設けなければならないという根本的な問題があ
る。さらに、クロルベンゼンとアンモニアとの反応は高
温、高圧反応であるにもかかわらず収率が低いことが指
摘されており、パラ位にニトロ基を有するp−ニトロク
ロルベンゼン以外にはほとんど適用されていないのが現
状である。
以上の理由から、のフェノール類とアンモニアとの反
応が注目されて、現在では、アニリン製造プロセスの主
流になりつつある。すなわち固定床触媒に、フェノール
類とアンモニアとを通過させるだけで、アニリン類が製
造できるために、酸化窒素ガスによる大気汚染の問題も
なければ、多重の排水も生ぜず、また製造プロセスも極
めて簡略化される等の優れた利点が認められる。
このフェノール類とアニモニアとの反応によるアニリン
類製造の代表例としては、特公昭42−23571号公報に示
されるプロセスが挙げられる。この特公昭42−23571号
公報に示されるアミノ化ベンゼンの製造方法によれば、
フェノールなどのヒドロキシベンゼンとアミノ化剤と
を、シリカ−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニ
ア−アルミナ、ジルコニア−シリカ燐酸およびタングス
テン酸化物からなる群から選択される触媒を用いて300
〜600℃の温度で反応させることによってアニリンなど
のアミノ化ベンゼンを製造している。そしてこの特公昭
42−23571号公報によれば、市販のγ−アルミナ触媒の
ような弱酸性固体酸は、上記のようなアミノ化反応の触
媒としては活性が低く不充分であり、これに対してシリ
カまたはアルミナが触媒重量の10〜20%を構成している
強酸性固体酸であるシリカ−アルミナ触媒は、アミノ化
反応の触媒として特に優れていることが教示されてい
る。
しかしながら、シリカ−アルミナ触媒のような強酸性固
体酸触媒を用いた場合には、アミノ化反応の初期活性は
高いが、アニリンの分野や樹脂状物質の副正などの好ま
しくない副反応が起きるという問題がある。さらにこう
した樹脂状物質が触媒表面に付着すると、活性点を被覆
するために、触媒劣化が急速に進むという致命的な問題
点があり、このために頻繁に触媒再生操作が必要であっ
た。
このような問題点を解決しようとする試みとしては、特
開昭48−67229号公報には、上記のようなシリカ−アル
ミナ触媒(pka<−8.0)に較べて酸強度の弱い触媒すな
わち、酸点がpkaで−5.6〜−3.0の範囲に分布している
固体酸触媒であるチタニア−ジルコニアおよびチタニア
−シリカ触媒を用いて、フェノールとアミノ化剤とを反
応を行なうことが教示されている。しかし、このような
触媒を用いても、効果的なアミノ化反応を達成するため
には、反応温度を400〜500℃という高温にする必要があ
り、この温度では、アミノ化剤であるアンモニアの分
解、すなわちNH3→1/2N2+3/2H2が促進され、発生期の
窒素による反応装置の窒素脆化が起こるために、反応装
置の耐用年数が著しく短くなるという問題点がある。
さらにわずか40時間程度で急激な触媒活性の低下が認め
られており、工業的にこの方法を実施することは困難で
ある。
その他、特公昭46−23052号公報には、脱水性固体酸触
媒と水素添加触媒の組み合わせからなる触媒を用いるフ
ェノール類のアミノ化法が開示され、特開昭46−23053
号公報には、アルミナまたはシリカとマグネシア、ボリ
アおよびトリアからなる群から選ばれた酸化物を組み合
わせてなる触媒を用いるフェノール類のアミノ化法が開
示されているが、いずれも活性持続時間は50〜100時間
と僅かに改善されているにすぎず、触媒劣化という問題
は何等解決されていない。
このように、従来公知のフェノール類のアミノ化による
アニリン類の製造方法では、アミノ化反応を効率よく行
なうには400℃以上の高温を要しており、そのため、ア
ミノ化剤であるアンモニアの分解により発生する発生期
の窒素による装置の脆化、そしてアニリン類の分解等に
よる樹脂状物質の生成による触媒表面の汚染、有機物の
分解による炭素質の触媒表面への沈着等による触媒劣化
が起き、短時間に触媒活性が低下するため、頻繁なる再
生操作が必要となるという致命的な問題点があった。
したがってフェノール類のアミノ化反応によりアニリン
類を高収率かつ高選択で製造しうるようなアルミナ系触
媒の出現が強く望まれていた。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴なう問題点を解決
しようとするものであって、フェノール類とアミノ化剤
とを反応させてアニリン類を製造する反応に特に好まし
く用いられ、従来よりも低い温度で反応させても、高収
率かつ高選択率でアニリン類を製造でき、しかも触媒活
性を長期間にわたって保持しうるようなアルミナ系触媒
およびその調製方法を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係るアルミナ系触媒は、フェノール類とアミノ
化剤とを反応させてアニリン類を製造する際に用いられ
るアルミナ系触媒であって、アルカリ金属酸化物含量が
0.5重量%以下であり、ハメット指示薬により測定され
るpKaが−3.0〜+6.8である、乾燥状態で80重量%以上
のアルミナおよび20重量%未満のシリカを含有している
ことを特徴としている。
また本発明に係るアルミナ系触媒の調製方法は、フェノ
ール類とアミノ化剤とを反応させてアニリン類を製造す
る際に用いられるアルミナ系触媒の調整方法であって、
乾燥状態で80重量%以上のアルミナおよび20重量%のシ
リカを含有するアルミナ系触媒を600〜900℃の温度で焼
成し、次いで酸処理し、得られる触媒中のアルカリ金属
酸化物含量が0.5重量%以下であり、ハメット指示薬に
よって測定されるpKaが−3.0〜+6.8であることを特徴
としている。
本発明に係る調製方法により得られるアルミナ系触媒
は、アルカリ金属酸化物含量が0.5重量%以下と少な
く、しかもpKaが−3.0〜+6.8と大きいため低アルカリ
弱酸性であり、この触媒をたとえばフェノール類とアミ
ノ化剤とを反応させてアニリン類を製造するに際して用
いると、従来公知の触媒よりも低い温度で反応させても
高収率でかつ高選択率でアニリン類を製造することがで
き、しかも高い触媒活性を長期間にわたって保持するこ
とができるように優れた効果が得られる。
発明の具体的説明 以下本発明に係るアルミナ系触媒およびその調製方法に
ついて具体的に説明する。
本発明では、乾燥状態で80重量%以上のアルミナおよび
20重量%未満のシリカを含有する未処理のアルミナ系触
媒に一連の処理が加えられるが、この未処理のアルミナ
系触媒は従来公知であり、たとえばアルコア社より市販
されているH−151、H−152などが用いられる。この未
処理のアルミナ系触媒は好ましくは100m2/g以上の比表
面積を有し、通常、10重量%未満のアルカリ金属酸化物
を含有している。
このような未処理のアルミナ系触媒は、まず、600〜900
℃好ましくは700〜800℃の温度で焼成される。この焼成
は通常、空気雰囲気中または窒素雰囲気中で行なわれる
が、空気雰囲気中で行なわれることが好ましい。
焼成温度が600℃未満では、所望の触媒活性を有する低
アルカリ弱酸性アルミナ系触媒を得ることはできないた
め好ましくなく、一方焼成温度が900℃を越えると、ア
ルミナ系触媒がシンタリングを起こしやすくなり、比表
面積の急激な減少が観察され、さらに重要なことに、ア
ルミナ構造がγ(ガンマ)体からアミナ化活性が全く無
いα(アルファ)体に変化することが認められ、その結
果として、触媒活性が著しく低下するため好ましくな
い。
上記のような未処理のアルミナ系触媒の焼成時間は、5
〜100時間好ましくは5〜50時間である。
次に上記のようにして焼成されたアルミナ系触媒は、次
いで酸処理される。この際用いられる酸としては、酢
酸、硼酸、燐酸、蓚酸、クエン酸等の有機酸、塩酸、硫
酸等の無機酸などが具体的に用いられ、このうち酢酸が
特に好ましい。
このようにして焼成されたアルミナ系触媒を酸処理する
が、その際用いられる酸の濃度、処理時間および処理温
度などは、上記のアルミナ系触媒中のアルカリ金属酸化
物の含量が0.5重量%以下に低下せしめられる範囲に選
定される。
上記のような酸処理に際して、有機酸はそのまま使用し
ても良いが、無機酸の場合と同様に、水溶液の形として
用いるのが好ましい。水溶液として用いる場合には、2
〜20重量%程度の濃度の水溶液が好ましい。アルミナ系
触媒を余り濃度の高い酸性水溶液で処理すると、中和反
応により生成した塩、あるいは酸が触媒に付着し、触媒
をそのままフェノール類とアミノ化剤との反応などに供
すると、触媒表面が汚染されることがあるため好ましく
はく、また一方余りに希薄の状態で用いることも、処理
時間が長くなるため好ましくない。
アルミナ系触媒の酸処理は、回分法、連続法の何れの方
式で行なっても良い。回分法で実施する場合には、前記
濃度の酸水溶液中に、焼成処理されたアルミナ系触媒を
浸し、水溶液中に若干の遊離の酸が残存する程度の濃度
の酸が使用されることが好ましい。一方、連続法で実施
する場合には、焼成処理された前記アルミナ系触媒を好
ましくは、反応装置に充填し、酸水溶液を連続的に通水
し、触媒層を出た酸水溶液は再び触媒層に循環させる。
酸が不足する場合には、酸をそのまま、または水溶液の
系で循環ラインの途中から供給することが望ましい。
酸処理工程の温度条件には特に制限はないが、20〜50℃
であることが好ましい。
上記のようにして焼成処理次いで酸処理が行なわれたア
ルミナ系触媒は、反応に用いるのに先立って、水洗工
程、乾燥工程および焼成工程が施されることが好ましい
が、必ずしもこれらの工程を行なう必要はない。
実際には、触媒を用いた反応は通常高温で実施されるた
めに、反応時間時に乾燥が行なわれることになるが、実
用的には、水洗、乾燥および焼成工程を経た触媒の方が
触媒寿命が長く、またタール状物の副生が少ない。水洗
工程は酸処理を行なった際に触媒表面に付着した酸およ
び中和のために生成した塩類を除去するために行なわれ
る。したがって希薄水溶液の形で酸処理を行なった場合
には、必ずしも水洗工程を必要としない。また乾燥、焼
成工程には、特別な制限はないが、好ましくは、400〜6
00℃、特に450〜550℃で実施するのが好ましく、比較的
高温で熱処理することにより、触媒に付着した有機酸の
燃焼除去による残留酸の炭化防止ができ、また反応時に
於ける副反応を抑える効果が大きい。
このようにして焼成処理および酸処理が行なわれた本発
明に係るアルミナ系触媒は、未処理のアルミナ系触媒と
比較して、アルカリ金属酸化物の含量が少ないほか、水
銀圧入法により測定した細孔分布も明らかに相違してい
る。すなわち本発明により処理されたアルミナ系触媒
は、水銀圧入法により測定した100Å〜60Åの細孔容積
が0.18cc/g以上好ましくは0.20cc/g以上と大きい。
具体的には、未処理のアルミナ系触媒の細孔分布と、本
発明により処理されたアルミナ系触媒の細孔分布とを第
1図に示すが、この第1図からわかるように、本発明に
より処理されたアルミナ系触媒は100〜60Åの細孔容積
がシャープであって、100〜60Åの細孔容積が約0.26cc/
gと非常に大きいのに対して、未処理のアルミナ系触媒
は100〜60Åの細孔分布はシャープではなく、100〜60Å
の細孔容積が約0.075cc/gと非常に小さい。また同様に
未処理のアルミナ系触媒を酸処理した後に焼成して得ら
れたアルミナ系触媒の細孔分布をも示すとこのアルミナ
系触媒は100〜60Åの細孔分布はシャープではなく、100
〜60Åの細孔容積が約0.102cc/gであり、この値は本発
明により処理されたアルミナ系触媒と比較してかなり小
さい。
また本発明により処理されたアルミナ系触媒は、ハメッ
ト指示薬により測定された酸強度分布は、pKaで−3.0〜
+6.8であり、この値は、前記した特公昭42−23571号公
報および特開昭45−67229号公報に開示されたアニリン
製造用触媒と比較して、かなり弱酸性である。
このようにして調製された本発明に係るアルミナ系触媒
をたとえばフェノール類とアミノ化剤との反応に用いる
と、アニリン類の選択率および収率は著しく向上する。
この理由は、次のように推測される。すなわち本発明に
係るアルミナ系触媒は、100Å以下の細孔の細孔分布が
シャープであってしかも100Å以下の細孔容積は大きい
ため、反応物の細孔内拡散速度が増加し、触媒有効係数
が向上するため、触媒活性が高く、アニリン類の選択率
および収率が著しく向上すると考えられる。また、上述
のように100Å以下の細孔容積が大きいため、触媒活性
を低下させる原因となる高沸点物の触媒細孔内部からの
外部への拡散が容易となり、このため細孔内部における
高沸点成分の蓄積を抑制することが可能となり、長期間
にわたって高い触媒活性を維持することができると考え
られる。
このように、本発明により調製されたアルミナ系触媒は
活性が高いため、たとえばフェノール類とアンモニアな
どのアミノ化剤との反応に用いれば、一定量のアニリン
類を生産するために必要な反応空間または容積を小さく
することができ、また所望の生産量を達成するために要
する反応温度を低くすることができるという効果が認め
られる。このような反応温度の低下に伴なって生成物で
あるアニリン類の選択率が大きくなり、アニリン類の分
解による炭素質の生成あるいは樹脂状物質の生成が著し
く抑えられ、したがって、触媒寿命が著しく長くなると
いう優れた効果が認められる。
以下本発明により調製されたアルミナ系触媒をアニリン
類の製造に際して用いる場合についてより具体的に説明
する。
フェノール類 出発原料として用いられるフェノール類としては、フェ
ノール、クレゾールあるいはエチルフェノールまたはイ
ソプロピルフェノールのo−、m−またはp−異性体、
ジメチルフェノール、メチルエチルフェノール、メチル
イソプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、ジ
エチルフェノール、エチルイソプロピルフェノール、エ
チルブチルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イ
ソプロピルブチルフェノール、ジブチルフェノールなど
の少なくとも1つのアルキル置換基を有するアルキルフ
ェノールなどが用いられる。またフェノールとアルキル
フェノールとの混合物を用いることもでき、この場合に
はどのような組成比の混合物であってもよい。
これらのフェノール類のうち、フェノールが特に好まし
く用いられる。
アミノ化剤 上記のようなフェノール類と反応されるアミノ化剤とし
ては、アンモニア、アンモニア発生化合物または有機ア
ミン類が用いられる。アンモニア発生化合物は熱分解時
にアンモニアガスを発生する無機化合物であり、具体的
には炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等が例示され
る。また、有機アミン類としては、メチルアミン、エチ
ルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエ
チルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、
シクロヘキシルアミン、アミノピリジン、アニリン、メ
チルアニリン、エチルアニリン、n−プロピルアニリ
ン、イソプロピルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチ
ルアニリン、ジプロピルアニリン、メチルエチルアニリ
ン、メチルプロピルアニリン等が挙げられる。これらの
うち、アンモニアが特に好ましく用いられる。
反応条件 フェノール類とアミノ化剤とを、上記のようにして調製
される低アルカリ弱酸性アルミナ系触媒の存在下に反応
させる場合の反応条件は、従来公知の条件とほぼ同様で
ある。
たとえば反応温度は約300〜600℃好ましくは300〜400℃
であり、これは従来公知の条件とほぼ同一であるが、本
発明により調製されたアルミナ系触媒を用いれば低温領
域での反応が可能である。また反応圧力は常圧であって
も加圧であってもよく、好ましくは約5〜50気圧であ
る。さらにまたフェノール類に対するアンモニアのモル
比は、約1〜40好ましくは約3〜30である。
上記のようなフェノール類のアミノ化反応は、気相で行
なってもよく、また液相で行なってもよいが、アニリン
類を高選択率および高収率で得るには気相で反応を行な
うことが好ましい。また反応は、連続法、回分法の何れ
の方式であってもよいが、アニリン類を工業的に安価に
多量に製造するには連続法を採用することが好ましい。
液空間速度(LHSV)の範囲は0.01〜0.10hr-1であり、好
ましくは、0.02〜0.06hr-1である。この液空間速度とは
反応塔または管に充填された触媒容積()により、単
位時間あたりのフェノール類の供給溶液(/hr)を割
ることにより求められる値である。
以下に本発明により調製されたアルミナ系触媒を用いた
フェノール類とアミノ化剤との反応を、連続式気相反応
によって行なう場合について詳細に説明すると、液状の
フェノール類混合物と液体アンモニアとを一緒に気化さ
せ、あるいは別々に気化させてから混合し、さらには加
熱されたフェノール類を過熱されたアンモニアによって
気化させ、次に得られた混合物を上記のような圧力下、
および反応温度に保持された触媒が充填された反応器中
に供給する。反応器から取り出された反応混合物の圧力
を常圧に戻し、冷却する。この反応混合物中にはかなり
の割合でアンモニアが溶存するため、蒸留分別によりア
ンモニアを分離する。
反応混合物より分離された未反応のアンモニアは再循環
させて使用される。一方アンモニアが除去された反応生
成液はの脱水蒸留工程に送られ、次にアニリン類の分離
精製を行ない、アニリン類は回収され、一方未反応の回
収フェノール類は再び反応器に循環し、再使用される。
発明の効果 本発明に係る調製方法により得られるアルミナ系触媒
は、アルカリ金属酸化物含量が0.5重量%以下と少な
く、しかもpKaが−3.0〜6.8と大きいため低アルカリ弱
酸性であり、この触媒を、たとえばフェノール類とアミ
ノ化剤とを反応させてアニリン類を製造するに際して用
いると、従来公知の触媒よりも低い温度で反応させても
高収率でかつ高選択率でアニリン類を製造することがで
き、しかも高い触媒活性を長期間にわたって保持するこ
とができる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら
実施例に限定されるものではない。
実施例1 アルコア社製のアルミナ系触媒(日本国内代理店は森村
商事より市販されているH−152、Al2O3:80.6%,SiO2:
9.9%,Fe2O3:0.03%,TiO2:0.003%,CaO:0.03%,MgO:0.0
04%,Na2O:5.4%,K2O:0.07%からなるアルミナ系触媒、
BET法による比表面積176m2/g、水銀圧入法による細孔直
径が60Å以上の累積細孔容積0.165cc/gであり、細孔直
径が100Å以下60Åまでの細孔容積の和は0.079cc/gであ
る。平均細孔径は191Å。ハメット指示薬による全酸量
は0.26meq/g、pKa+6.8〜+1.5までの弱酸領域の酸量は
0.04meq/gである。)1000mlをマッフル炉の中に装入
し、700℃で5時間、空気雰囲気下に焼成を行なった。
5時間焼成後、室温にまで冷却し、次に、該アルミナの
うち、900mlをガラス管に充填し、室温下に水を飽和さ
せた窒素ガスを連続的に供給し、アルミナを湿潤させ
た。次に、10w/v%酢酸水溶液1.5をポンプを用いて、
約3/時間で触媒層に循環させた。循環開始後、約8
時間で循環水中の酢酸濃度は平衡に達した。その後ポン
プを停止し、酢酸水を抜いた後、蒸溜水をポンプにより
触媒層に連続的に通水し、酢酸処理により生じた中和塩
(酢酸ナトリウム)の洗浄除去を行った。
次いで、熱風循環乾燥し、最後に500℃で5時間焼成し
た。
以上のようにして調製した触媒のBET法による比表面積1
36m2/g、水銀圧入法により、測定した細孔直径が60Å以
上の累積細孔容積は0.410cc/g、平均細孔径は99Åであ
り、ハメット指示薬による酸強度分布は全酸量0.34meq/
gに対して、pKa+1.5〜+6.8までの弱酸領域の酸量は0.
10meq/gであった。また、酸化ナトリウムの含量は0.5重
量%以下であった。細孔直径が60Å以上の細孔容積は0.
411cc/gであり、100Å以下、60Åまでの細孔直径をもつ
細孔容積の和は0.62cc/gであった。
該低アルカリ弱酸性アルミナ触媒をSUS321製の内径25.0
mm、長さ2mの反応管の中心部に660ml充填し、アンモニ
アガスの流通下に、電気炉で加熱し、所定温度まで昇温
した。フェノールの供給は所定温度に到達後、微量ポン
プを用いて行った。反応はアンモニアの存在下、15kg/c
m2Gの圧力で行なった。フェノールの供給速度はLHSV換
算で0.045hr-1、アンモニアのフェノールに対する供給
モル比は15とした。
反応管出口に気液分離器を置き、生成液を捕集した。生
成液はアミノ化反応により生成した水を含み、2液相と
なっているため、撹拌下に、一定容量サンプリングを行
ない、これにメタノールを一定容量加えて、均一相を形
成させた。これをガスクロマト装置(カラム:sp−1000/
クロモソルプWAW)に1μ注入し、修正面積百分率法
により定量した。
得られた反応生成物の組成および転化率、選択率は、次
の表に示される。
各反応温度に於けるフェノールのアミノ化活性を転化
率、選択率として表1にまとめた。反応温度380℃、LHS
V=0.045hr-1、反応圧力15kg/cm2G、アンモニア/フェ
ノールモル比=15の条件下に、約1,000時間の連続運転
を行った所、フェノール転化率、アニリン選択率の低下
は全く観察されなかった。
実施例2 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152アルコア.
社製)の焼成条件を700℃で10時間とした以外は、実施
例1と全く同様に処理した。得られた低アルカリ弱酸性
アルミナ触媒はBET法による比表面積134m2/g、水銀圧入
法による直径60Å以上の細孔の容積(累積細孔容積)は
0.439cc/g、平均細孔径101Åであり、ハメット指示薬に
よる酸強度分布は全酸量0.32meq/gに対して、pKa+1.5
〜+6.8までの弱酸領域の酸量は0.08meq/gであった。累
積細孔容積0.439cc/gの内、細孔直径が100Å以下60Åま
での細孔容積の和は0.288cc/gである。また、酸化ナト
リウム含量は0.5重量%以下であった。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。実施例1に記載の条件で、連続運転を約10
00時間行ったところ、フエノール転化率、アニリン選択
率の低下は全く観察されなかった。
実施例3 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152)の焼成条
件を700℃で20時間(ただし、空気雰囲気)とした以外
は、実施例1と全く同様に処理した。得られた低アルカ
リ弱酸性アルミナ触媒は、BET法による比表面積118m2/
g、水銀圧入法による直径60Å以上の細孔容積0.459cc/
g、平均細孔径113Åであり、ハメット指示薬による酸強
度分布は全酸量0.31meq/gに対して、pKa+1.5〜+6.8ま
での弱酸領域の酸量は0.11meq/gであった。また、酸化
ナトリウム含量は0.5重量%以下であった。
細孔容積0.461cc/gの内、細孔直径が100Å以下60Åまで
の細孔容積の和は0.236cc/gである。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
実施例1に記載の反応条件で、連続運転を約1000時間行
ったところ、実施例1と同様に、フェノール転化率、ア
ニリン選択率の低下は全く観察されなかった。
実施例4 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152)の焼成条
件を700℃で20時間(ただし、空気雰囲気)とした以外
は実施例1と全く同様に処理した。得られた低アルカリ
弱酸性アルミナ触媒は、水銀圧入法よる直径60Å以上の
細孔容積0.465cc/g、平均細孔径115Åであった。また、
酸化ナトリウム含量は0.5重量%以下であった。
細孔容積0.466cc/gのうち、細孔直径が100Å以下60Åま
での細孔容積の和は0.240cc/gである。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
実施例5 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152)の焼成条
件を800℃で5時間とした以外は、実施例1と全く同様
に処理した。得られた低アルカリ弱酸性アルミナ触媒
は、BET法による比表面積118m2/g、水銀圧入法による直
径60Å以上の細孔の容積(累積細孔容積)0.466cc/g、
平均細孔径115Åであり、ハメット指示薬による酸強度
分布は全酸量0.31meq/gに対して、pKa+1.5〜6.8までの
弱酸領域の酸量は0.11meq/gであった。累積細孔容積0.4
66cc/gのうち、細孔直径が100Å以下60Åまでの細孔容
積の和は0.207cc/gであった。また、酸化ナトリウム含
量は0.5重量%以下であった。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
実施例6 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152)の焼成条
件を800℃で10時間とした以外は、実施例1と全く同様
に処理した。得られた低アルカリ弱酸性アルミナ触媒
は、BET法による比表面積110m2/g、水銀圧入法による直
径60Å以上の細孔の容積(累積細孔容積)は0.365cc/
g、平均細孔径90Åであり、ハメット指示薬による酸強
度分布は全酸量0.33meq/gに対して、pKa+1.5〜+6.8ま
での弱酸領域の酸量は0.13meq/gであった。累積細孔容
積0.365cc/gのうち、細孔直径が100Å以下60Åまでの細
孔容積の和は0.264cc/gであった。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
実施例7 実施例1におけるアルミナ系触媒(H−152)の焼成条
件を600℃で20時間とした以外は、実施例1と全く同様
に処理した。得られた低アルカリ弱酸性アルミナ触媒
は、水銀圧入法よる直径60Å以上の細孔の容積(累積細
孔容積)は0.407cc/g、平均細孔径102Åであり、累積細
孔容積0.407cc/gの内、細孔直径が100Å以下60Åまでの
細孔容積の和は0.253cc/gである。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
比較例1 アルコア.社より市販されているアルミナ系触媒(H−
152)を無処理のまま、実施例1に記載した反応装置に6
60cc充填し、アンモニアガス流通下に、電気炉で加熱
し、所定温度まで昇温した。フェノールの供給は、所定
温度に到達後、微量ポンプを用いて行なった。反応はア
ンモニアの存在下に、15kg/cm2Gの圧力で行なった。フ
ェノールの供給速度はLHSV換算で0.045hr-1、アンモニ
アのフェノールに対する供給モル比は15とした。反応温
度を変えた場合のフェノール転化率、アニリン選択率を
表1にまとめた。
比較例2 上記のH−152(無処理品)900mlをガラス管に充填し、
室温下に水を飽和させた窒素ガスを連続的に触媒層に供
給し、湿潤させた。次に、10w/v%酢酸水溶液1.5をポ
ンプを用いて約3/時間で触媒層を循環させた。循環
開始後、約8時間で循環水中の酢酸濃度は平衡に達し
た。ポンプを停止し、酢酸水を抜いた後、蒸留水をポン
プにより、触媒層に連続的に通水し、酢酸処理により生
じた中和塩(酢酸ナトリウム)の洗浄除去を行った。
水洗後の触媒は、熱風循環乾燥し、最後に700℃で5時
間マッフル炉内で焼成した。
以上のようにして調製した低アルカリ弱酸性アルミナ触
媒のBET法による比表面積167m2/g、水銀圧入法による直
径60Å以上の細孔の容積(累積細孔容積)は0.383cc/
g、平均細孔径125Åであり、ハメット指示薬による酸強
度分布は全酸量0.38meq/gに対して、pKa+1.5〜+6.8ま
での弱酸領域の酸量は0.10meq/gであった。累積細孔容
積0.383cc/gの内、細孔直径が100Å以下60Åまでの細孔
容積の和は0.170cc/gである。
該触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反応条
件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を表1
にまとめた。
比較例3 上記のH−152(無処理品)900mlをガラス管に充填し、
比較例2に記載した酢酸処理を行った。酢酸処理、引き
続く水洗後の触媒は熱風循環乾燥し、最後に500℃で5
時間マッフル炉内で焼成した。
以上のようにして調製した低アルカリ弱酸性アルミナ触
媒のBET法による比表面積183m2/g、水銀圧入法による直
径60Å以上の累積細孔容積は0.286cc/g、平均細孔径は1
27Å、ハメット指示薬による酸強度分布は全酸量0.41me
q/gに対して、pKa+6.8〜+1.5の弱酸領域の酸量は0.13
meq/gであった。累積細孔容積0.286cc/gのうち、細孔直
径が100Å以下60Åまでの細孔容積の和は0.106cc/gであ
る。
該調製触媒を用いて、実施例1と同一の反応装置及び反
応条件で行ったフェノールのアミノ化活性テスト結果を
表1にまとめた。
比較例4 上記のH−152(無処理品)1000mlをマッフル炉に装入
し、空気雰囲気下に700℃で5時間焼成した。該調製ア
ルミナの水銀圧入法による細孔直径60Å以上の累積細孔
容積は0.345cc/gであり、平均細孔径は94Åであった。
5時間経過後、室温まで冷却し、次に該焼成アルミナの
うち、660mlを実施例1と同じ反応器に充填した。
実施例1に記載した反応条件に従って、該調製アルミナ
の活性テストを行った。その結果を表1にまとめた。
この表1から、本発明により調製されたアルミナ系触媒
を用いてフェノールとアンモニアとからアニリンを製造
すると、フェノールの転化率は高く、しかもアニリンの
選択率も良好であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1および比較例1〜2の触媒の累積細
孔分布曲線を示したものである。ただし、細孔直径1000
Å以上の細孔容積の和を0とした累積細孔分布曲線を示
している。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール類とアミノ化剤とを反応させて
    アニリン類を製造する際に用いられるアルミナ系触媒で
    あって、アルカリ金属酸化物含量が0.5重量%以下であ
    り、ハメット指示薬により測定されるpKaが−3.0〜+6.
    8である、乾燥状態で80重量%以上のアルミナおよび20
    重量%未満のシリカを含有するアルミナ系触媒。
  2. 【請求項2】フェノール類とアミノ化剤とを反応させて
    アニリン類を製造する際に用いられるアルミナ系触媒の
    調製方法であって、乾燥状態で80重量%以上のアルミナ
    および20重量%未満のシリカを含有するアルミナ系触媒
    を600〜900℃の温度で焼成し、次いで酸処理することを
    特徴とする、アルカリ金属酸化物含量が0.5重量%以下
    であり、ハメット指示薬により測定されるpKaが−3.0〜
    +6.8であるアルミナ系触媒の調製方法。
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