JPH07226224A - 燃料電池の燃料供給装置 - Google Patents

燃料電池の燃料供給装置

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JPH07226224A
JPH07226224A JP6036530A JP3653094A JPH07226224A JP H07226224 A JPH07226224 A JP H07226224A JP 6036530 A JP6036530 A JP 6036530A JP 3653094 A JP3653094 A JP 3653094A JP H07226224 A JPH07226224 A JP H07226224A
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hydrogen gas
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water
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水素ガスを燃料ガスとする燃料電池の出力の
安定化を図る。 【構成】 PEFC12には、酸素ガス供給管路14か
らは酸素含有ガスである空気が、水素ガス供給管路16
からはメタノールを水蒸気改質して得られた水素ガス
が、それぞれ供給される。水素ガス供給管路16の管路
には、水素ガス中の水蒸気混在量を調節するバッファー
タンク18と、メタノール改質装置20とが設けられて
いる。このバッファータンク18は、タンクの冷却媒体
流路を通過する冷却媒体の流量等によりタンク内部温度
が制御可能に構成されている。そして、バッファータン
ク18のタンク内部温度を調節することで、水素ガス温
度の調節を通してガス中の水蒸気混在量を調節し、水蒸
気混在量調節済みの水素ガスをPEFC12に供給す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素ガスを燃料ガスと
する燃料電池に該水素ガスを供給する燃料供給装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、水素ガスを燃料ガスとする燃料
電池は、水素イオンをH+ x2O)の水和状態で透過
する電解質と電極とを有し、電極反応を促進させるため
の触媒層を介在させてこの電解質を電極で挟持して備え
る。このような燃料電池は、用いる電解質の種類により
種々のもの(例えば、固体高分子型燃料電池,りん酸型
燃料電池等)があるが、陽陰の電極において進行する電
極反応に差はなく、各極で進行する電極反応は、以下の
通りである。 陰極(水素極): 2H2 →4H+ +4e- … 陽極(酸素極): 4H+ +4e- +O2 →2H2O …
【0003】そして、陰極に燃料ガスである水素ガスが
供給されると、陰極ではの反応式が進行して水素イオ
ンが生成する。この生成した水素イオンがH+ x
2O)の水和状態で電解質(固体高分子型燃料電池であ
れば固体高分子電解質膜)を透過(拡散)して陽極に至
り、この陽極に酸素含有ガス、例えば空気が供給されて
いると、陽極ではの反応式が進行する。この,の
電極反応が各極で進行することで、燃料電池は起電力を
呈することになる。
【0004】燃料電池の電解質は、水素イオンが上記し
た水和状態で陰極側から陽極側に電解質を透過(拡散)
する都合上、陰極側で水分が不足する状態となる。ま
た、固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解
質膜は、適度な湿潤状態にあれば良好な電気伝導性(イ
オン導電性)を発揮するが、含水率が低下するとイオン
導電性が悪化して電解質として機能しなくなり、場合に
よっては電極反応を停止させてしまう。また、含水率が
高すぎてもイオン導電性が悪化する傾向がある。このた
め、陰極には、燃料ガスとしての水素ガスを供給すると
ともに、適当な量の水を常時補給する必要がある。従っ
て、燃料電池には、水蒸気にて加湿した水素ガスが燃料
供給装置から供給されている。
【0005】燃料供給装置から水蒸気加湿された水素ガ
スを燃料電池に供給するには、種々の方法があり、最も
単純な方法として、次のような技術がよく知られてい
る。つまり、メタノール等の炭化水素化合物を水蒸気改
質して水素ガスを生成するに当たり、メタノールと水と
の改質反応応は等モル反応であるため、メタノールに対
して若干余剰の水を供給して改質反応を起こさせ、余剰
の水に相当する量の水蒸気で水素ガスを加湿する方法で
ある。また、特開平3−269955では、生成した水
素ガスを熱交換して降温し、降温後の水素ガス中に燃料
電池の手前で水蒸気を添加し、水蒸気添加により加湿し
た水素ガスを燃料電池に供給する技術が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、メタノ
ールに対して若干余剰の水を供給し水分過多の状態で改
質反応を起こさせ加湿する場合には、次のような不具合
がある。例えば、余剰水の量を固定する場合、燃料電池
の加湿不足を回避するためには、燃料電池の発電時に最
大限必要とされる水分を水蒸気で供給する必要がある。
よって、定量の余剰水を供給して改質反応を起こさせる
必要があるが、改質反応の進行程度によっては水素ガス
中の水蒸気量が変動したり、燃料電池の発電状態によっ
ては水分過多となって電解質膜がいわゆる濡れすぎとな
るため、電極反応が低下し電池性能の低下を招くことが
ある。
【0007】また、改質反応に用いる水の量の増減調節
を通して水素ガス中の水蒸気量、即ち燃料電池の加湿程
度を調節することも可能であるが、次のような理由から
現実的ではない。即ち、供給水量の調節を減少側に行な
う場合には、メタノールに対して水のモル数が少なくな
るため、改質反応の中間生成物である一酸化炭素の発生
頻度が増し、この一酸化炭素が燃料電池の陰極に供給さ
れることになる。このように一酸化炭素が陰極に至る
と、電極反応を促進させるために設けられている触媒層
の触媒が一酸化炭素により被毒され、触媒としての機能
が低下してしまう。このため、電極反応の停止、延いて
は燃料電池の運転停止を招く。
【0008】一方、特開平3−269955に提案され
ているように、改質ガスの温度を燃料電池の温度と略同
じ程度に下げ、その下げた改質ガスに別途水を添加する
技術では、温度を下げるための熱交換器と、水を添加す
る加湿器との両方が必要となり、システムのコンパクト
化を図ることが困難であった。また、単純に熱交換器を
省くと、加湿器に供給される改質ガスの温度が高温(約
250〜300℃)であることに起因して、所望の加湿
状態に制御することが困難になるという問題があった。
例えば、一般的な加湿器であるバブラーを用いた場合、
バブラー内の水によって改質ガスが急激に冷却されるた
めに、改質ガスが保有している水分がバブラー内に添加
されバブラーの水管理が難しくなるほか、改質ガスによ
ってバブラー内の水自体の温度が影響を受け、加湿量を
コントロールし難くなるという問題があった。
【0009】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、水素ガスを燃料ガスとする燃料電池の出力の安定
化を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの請求項1記載の燃料電池の燃料供給装置で採用した
手段は、水素ガスを燃料ガスとする燃料電池に該水素ガ
スを供給する燃料供給装置であって、炭化水素化合物を
水蒸気改質して、水素ガスを水蒸気の混在状態で生成す
る改質手段と、該生成された水素ガスを前記水蒸気とと
もに前記燃料電池に供給する供給手段と、該供給される
水素ガスの経路において前記水蒸気を除去し、前記燃料
電池に供給される水素ガス中の水蒸気混在量を調節する
水蒸気混在量調節手段とを備えることをその要旨とす
る。
【0011】この場合、請求項2記載の燃料電池の燃料
供給装置では、前記燃料電池の運転状態を検出する運転
状態検出手段と、該検出した運転状態に基づいて前記燃
料電池の湿潤状態を判定する湿潤状態判定手段と、該判
定した湿潤状態に応じて前記水蒸気混在量調節手段を制
御する制御手段とを備える。
【0012】また、請求項3記載の燃料電池の燃料供給
装置では、前記水蒸気混在量調節手段は、前記水素ガス
の経路に設けられ、水素ガスが水蒸気とともに流入する
緩衝容器と、該緩衝容器の内部温度を制御する温度制御
部とを有する。
【0013】この場合、請求項4記載の燃料電池の燃料
供給装置では、前記緩衝容器は、前記燃料電池に供給さ
れる酸素含有ガスが通過する流体経路を容器内部との間
で熱交換が行なえるように構成され、前記温度制御部
は、前記流体経路を通過する前記酸素含有ガス量を制御
するものである。
【0014】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の燃料電池の燃
料供給装置では、まず、改質手段により炭化水素化合物
を水蒸気改質し、水蒸気の混在状態で水素ガスを生成す
る。この生成された水素ガスは、供給手段により水蒸気
とともに燃料電池に供給されるが、その経路において水
蒸気混在量調節手段による水蒸気の除去を通して、水素
ガス中の水蒸気混在量が確実に調節される。よって、燃
料電池に供給される水素ガス中の水分は水滴化すること
なく水蒸気として混在するので、燃料電池には水滴とし
て水が水素ガスとともに供給されることはない。
【0015】請求項2記載の燃料電池の燃料供給装置で
は、運転状態検出手段の検出した燃料電池の運転状態に
基づいて、湿潤状態判定手段により燃料電池の湿潤状態
を判定する。そして、水素ガス中の水蒸気混在量を調節
する水蒸気混在量調節手段を、制御手段により、燃料電
池の湿潤状態に応じて制御するので、燃料電池の湿潤状
態に応じて水素ガス中の水蒸気混在量を調節できる。よ
って、燃料電池の湿潤状態が水分過多であれば水蒸気混
在量を少なく調節することで、水分過多を水蒸気として
の水分で解消することができる。一方、水分不足であれ
ば水蒸気混在量を多く調節することで、水分不足を水蒸
気としての水分で解消することができる。
【0016】請求項3記載の燃料電池の燃料供給装置で
は、水素ガスの経路に設けられた緩衝容器の内部温度を
温度制御部により制御するので、緩衝容器に水蒸気とと
もに流入する水素ガス中の水蒸気を、この緩衝容器内で
除去し、燃料電池に供給される水素ガス中の水蒸気混在
量を調節する。
【0017】請求項4記載の燃料電池の燃料供給装置で
は、緩衝容器を、燃料電池に供給される酸素含有ガスが
通過する流体経路を緩衝容器内部との間で熱交換が行な
えるよいに構成したものとし、温度制御部により、流体
経路を通過する酸素含有ガス量を制御する。よって、酸
素含有ガスとの熱交換を通して緩衝容器の内部温度を制
御し、燃料電池に供給される水素ガス中の水蒸気混在量
を調節する。このため、水素ガス中の水蒸気混在量の調
節とともに、酸素含有ガスの温度をも調節できる。
【0018】
【実施例】次に、本発明に係る燃料電池の燃料供給装置
の好適な実施例について、図面に基づき説明する。図1
は、実施例の燃料供給装置を適用した燃料電池システム
のブロック図である。
【0019】実施例の燃料電池システム10は、固体高
分子型燃料電池(以下、PEFCと略称する)12を中
心に備え、PEFC12には、酸素ガス供給管路14か
らは酸素含有ガスである空気が、水素ガス供給管路16
からはメタノールを水蒸気改質して得られた水素ガス
が、それぞれ供給される。水素ガス供給管路16の管路
には、水素ガス中の水蒸気混在量を調節するバッファー
タンク18と、メタノール改質装置20とが設けられて
いる。なお、上記の両管路には適宜な箇所に逆流防止弁
が設けられているが、本発明の要旨とは直接関係しない
ので図示されていない。
【0020】PEFC12は、固体高分子電解質膜を陽
陰の電極で挟持して備え、陽極への空気と陰極への水素
ガスとの供給を受けて陽陰の電極において上記の,
の電極反応を進行させる。そして、PEFC12は、当
該電極反応を経て得られた起電力により、配線22,2
4を介して外部の駆動機器、例えば電気自動車における
モータを駆動する。
【0021】メタノール改質装置20は、メタノールタ
ンク26から圧送ポンプ28によりメタノールの供給を
受け、水タンク30から圧送ポンプ32により水の供給
を受ける。そして、メタノール改質装置20は、改質触
媒を介してメタノールと水との改質反応を250〜30
0℃の温度で進行させてメタノールを水蒸気改質し、高
温(約260℃前後)の水素ガスを水蒸気の混在状態で
生成する。この生成された水素ガスは、その下流のバッ
ファータンク18に送り出される。
【0022】このように水タンク30からメタノール改
質装置20に水を供給するに当たっては、以下に説明す
るように、メタノールに対してやや過多の量の水が供給
されている。つまり、メタノール改質装置20に供給さ
れた水がメタノール改質装置20で水蒸気改質されて生
成する水素ガス中に水蒸気として残存し、しかも残存量
(水蒸気混在量)がPEFC12の駆動時(発電時)に
必要となり得る最大水蒸気量よりも若干多くなるよう、
メタノール改質装置20への水の供給量が定められてい
る。換言すれば、水素ガス温度が約260℃からPEF
C12の運転温度(80〜100℃)に近似した温度、
例えば80℃に降下しても、その温度における水素ガス
中の水蒸気が飽和状態となり得る程度に、メタノールに
対してやや過多の量の水が供給されている。
【0023】メタノール改質装置20から水素ガスが送
り出されるバッファータンク18は、タンク内部の温度
を調節する温度調節機構を有し、後述する電子制御装置
によるこの温度調節機構の運転制御を通して、タンク内
部温度を制御する。この場合、バッファータンク18に
は、メタノール改質装置20から高温(約260℃前
後)の水素ガスが送られており、バッファータンク18
からPEFC12に供給する水素ガス温度は、PEFC
12の運転温度(80〜100℃)に近似した温度であ
ることが望ましい。このため、バッファータンク18
は、水,空気等の冷却媒体を用いた温度調節機構とし
て、次のような構成を備える。
【0024】図2に示すように、バッファータンク18
は、金属製の本体容器部40の上下端を、上部カバー部
42,下部カバー部44で塞ぎ、これらをOリング46
を介在させてボルト48により水密に締め付けて形成さ
れている。上部カバー部42にはガス導入ポート50が
設けられており、当該ポートはメタノール改質装置20
と接続されている。また、上部カバー部42にはガス排
出ポート52が設けられており、当該ポートはPEFC
12と接続されている。このため、バッファータンク1
8内部には、ガス導入ポート50を経てメタノール改質
装置20から高温の水素ガスが水蒸気の混在状態で流入
し、タンク内に流入した水素ガスはガス排出ポート52
を経てPEFC12に供給されることになる。更に、上
部カバー部42には、バッファータンク18内部の温度
を検出するタンク側温度センサ53が取付固定されてい
る。なお、このタンク側温度センサ53は、後述の電子
制御装置70に接続されている。
【0025】一方、下部カバー部44には、バッファー
タンク内部で凝結して液化した水54を排出するための
水排出ポート56が設けられおり、この水排出ポート5
6は、図1に示すように循環用ポンプ58を介在させて
水循環管路60により水タンク30と接続されている。
このため、バッファータンク18内部に滞留した水54
は、循環用ポンプ58により、水タンク30に返送さ
れ、メタノール改質装置20に供給する水として循環す
る。なお、上記した水の循環は、所定時間毎の循環用ポ
ンプ58の間歇駆動により、間歇的に行なわれている。
【0026】本体容器部40の側壁には、水や空気等の
冷却媒体が通過する冷却媒体流路62が容器内部を取り
囲むよう形成されている。従って、図示しない流入口か
ら冷却媒体が外部配管63を経て冷却媒体流路62に流
入し、当該流路を冷却媒体が通過すれば、当該冷却媒体
とバッファータンク18内部の水素ガスとの間で熱交換
が起きる。このため、冷却媒体流路62を通過する冷却
媒体の温度や通過量(単位時間当たり流量)の制御を通
して、タンク内部温度を制御すること、即ち水素ガス温
度を制御することが可能である。なお、この冷却媒体流
路62は、隣合う流路から独立して個別に形成しても良
く、また、螺旋状に形成しても良い。
【0027】本体容器部40の内部には、タンク内部を
上下に区画する多孔の隔壁64が設けられており、この
隔壁64で区画された上部空間には、熱伝導率の高い金
属またはセラミックの球状充填物66が充填されてい
る。このため、ガス導入ポート50を経て流入した水蒸
気混在状態の高温の水素ガスと冷却媒体流路62を通過
する冷却媒体との熱交換は、隔壁64上方の上部空間の
球状充填物66を介して効率よく行なわれる。また、本
体容器部40は、その外周において断熱材68により被
覆されており、本体容器部40側壁から外部への熱の放
出は遮断されている。
【0028】従って、上記構造を有するバッファータン
ク18に高温(約260℃前後)の水素ガスが水蒸気の
混在状態で流入すると、この高温の水素ガスは、冷却媒
体との熱交換を経てバッファータンク18内部において
冷却され、冷却媒体流路62を通過する冷却媒体の温度
やその通過量で規定される温度とされる。この水素ガス
の冷却により、水素ガス中の水蒸気は、冷却後の水素ガ
ス温度(タンク内部温度)における飽和水蒸気量を越え
る分についてバッファータンク18内部において凝結し
て水滴となり、水素ガス中には、水蒸気が飽和状態で存
在することになる。冷却媒体流路62を通過する冷却媒
体の流量は、電子制御装置からの制御信号により定ま
り、バッファータンク18の冷却媒体流路62に接続さ
れた外部配管63に設けられた流量調整バルブ65を駆
動制御することで流量調整、即ちタンク内温度調節がな
される。なお、凝結した水滴は、隔壁64の孔を通過し
て隔壁64下方の下部空間に落下し、水排出ポート56
から水タンク30に返送される。
【0029】燃料電池システム10は、この他、バッフ
ァータンク18におけるタンク内部温度を制御するため
の電子制御装置70と、PEFC12における固体高分
子電解質膜と電極(陰極)との接合部近傍の温度を検出
する電池側温度センサ72と、PEFC12の出力電圧
を検出する電圧計74と、インピーダンスを検出するイ
ンピーダンス計76とを備える。この電子制御装置70
は、CPU,ROM,RAMを中心に論理演算回路とし
て構成され、これらとコモンバスを介して相互に接続さ
れた入力ポート及び出力ポートにより外部との入出力を
行う。本実施例の燃料電池システム10では、電子制御
装置70は、タンク側温度センサ53,電池側温度セン
サ72,電圧計74およびインピーダンス計76から、
バッファータンク18のタンク内部温度TTANK,PEF
C12の電解質膜近傍温度TPEFC,PEFC12の出力
電圧VおよびPEFC12のインピーダンスZの入力を
受け、バッファータンク18の内部温度を調節すべく、
バッファータンク18の流量調整バルブ65を駆動制御
する。
【0030】次に、上記した構成を備える本実施例の燃
料電池システム10において行なわれる燃料電池システ
ム運転制御(ルーチン)について、図3のフローチャー
トに基づき説明する。図示するように、この燃料電池シ
ステム運転ルーチンは、まず、燃料電池システム10の
メインスイッチがONであるかOFFであるかを判断す
る(ステップS100)。なお、このメインスイッチの
ON/OFFは、例えばバッテリの蓄電状態等に応じて
制御用コンピュータから出力される指令信号で代用でき
るので、メインスイッチは機械的なスイッチに限定され
るものではない。
【0031】このステップS100で肯定判断が下され
る場合には、この燃料電池システム10がメインスイッ
チのONを受けて当初のON状態に至ったシステムの立
上げの場合と、このON状態が継続している定常運転継
続中の場合とがある。よって、ステップS100での肯
定判断に続いては、燃料電池システム10のON状態は
既に所定期間に亘り継続している旨を示すフラグ(ON
状態継続フラグFON)の値が1であるか否かを判断する
(ステップS105)。なお、このON状態継続フラグ
FONは、最初の本ルーチンの実行に先立つ初期処理にて
初期値0とされ、後述の本ルーチンの処理にて値0或い
は値1とされる。
【0032】ここで、ON状態継続フラグFON≠1であ
れば、燃料電池システム10がメインスイッチのONを
受けて当初のON状態に至ったシステム立上げ時なの
で、以下に記す複数の処理からなるシステム立上げ過渡
期処理(ステップS110)に移行する。そして、当該
処理が終了すれば「リターン」を抜けて上記処理を繰り
返す。
【0033】このステップS110のシステム立上げ過
渡期処理では、図4に示すように、タンク側温度センサ
53と電池側温度センサ72からバッファータンク18
のタンク内部温度TTANKとPEFC12の電解質膜近傍
温度TPEFCを入力し(ステップS112)、その後、両
温度を比較する(ステップS114)。即ち、タンク内
部温度TTANKが電解質膜近傍温度TPEFCより高い温度で
あるか否かを判断する。
【0034】ここで、肯定判断すれば、バッファータン
ク18の内部温度の制御目標温度をステップS112で
入力したPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCとし、
電解質膜近傍温度TPEFCとタンク内部温度TTANKとの差
に応じてバッファータンク18の冷却媒体の流量調整バ
ルブ65を流量増大側に駆動制御する(ステップS11
6)。この際、流量調整バルブ65にはTPEFCとTTANK
との温度差に応じた制御信号が出力され、温度差が大き
いほど流量調整バルブ65は多くの流量となるよう駆動
制御される。このため、バッファータンク18の冷却媒
体流路62を通過する冷却媒体の流量が温度差に応じて
増大するので、タンク内部温度TTANKは降下することに
なる。なお、ステップS116に続いては、後述のステ
ップS122が実行される。
【0035】一方、ステップS114で否定判断した場
合には、TPEFCとTTANKとの差が所定値α以下であるか
否かを判断する(ステップS118)。つまり、ステッ
プS114で否定判断すればTTANK≦TPEFCであるが、
その温度差が適正であるか、より詳細に説明すればタン
ク内部温度TTANKが電解質膜近傍温度TPEFCに比べて低
すぎないかを判断する。このステップS118で肯定判
断すれば、タンク内部温度TTANKは電解質膜近傍温度T
PEFC以下でありその温度差は適正であるためにタンク内
部温度TTANKを変更制御する必要がないとして、後述の
ステップS122に移行する。
【0036】これに対して、ステップS118で否定判
断すれば、タンク内部温度TTANKは電解質膜近傍温度T
PEFC以下であるもののTTANKはTPEFCに比べて低すぎる
ことになる。よって、タンク内部温度TTANKを電解質膜
近傍温度TPEFCに近づくよう昇温させるべく、バッファ
ータンク18の冷却媒体の流量調整バルブ65を流量減
少側に駆動制御する(ステップS120)。この際、流
量調整バルブ65にはTPEFCとTTANKとの温度差に応じ
た制御信号が出力され、温度差が大きいほど流量調整バ
ルブ65は流量減となるよう駆動制御される。このた
め、バッファータンク18の冷却媒体流路62を通過す
る冷却媒体の流量が温度差に応じて減少するので、タン
ク内部温度TTANKは上昇することになる。
【0037】そして、ステップS116,118および
ステップS120に続いては、燃料電池システム10が
システム立上げ過渡期にあるか或いは定常運転の継続中
にあるか否かをメインスイッチがONとされてからの経
過時間等に基づき判断する(ステップS122)。ここ
で、否定判断すればいまだシステム立上げ過渡期である
として、新たな処理を行なうことなく「リターン」を抜
け、上記した各処理を繰り返す。
【0038】一方、ステップS122で肯定判断すれ
ば、燃料電池システム10はシステム立上げ過渡期を脱
して定常運転の継続中にあることになるので、ON状態
継続フラグFONに値1をセットする(ステップS12
4)。このようにFON=1とされると、その後の本ルー
チンのステップS105で肯定判断されるので(図3参
照)、このステップS124でFONに値1がセットされ
るまでの間に亘って、上記したステップS112〜12
4までの処理からなるシステム立上げ過渡期処理が繰り
返し実行される。
【0039】燃料電池システム10がシステム立上げ過
渡期にある間は、電解質膜近傍温度TPEFCはPEFC1
2の運転に伴って昇温する。よって、この間にステップ
S112〜124からなるシステム立上げ過渡期処理を
繰り返すことにより、バッファータンク18は、そのタ
ンク内部温度TTANKがPEFC12の電解質膜近傍温度
TPEFCより所定温度(α)だけ低い温度となるよう、当
初の温度から昇温制御される。このため、燃料電池シス
テム10がシステム立上げ過渡期にある場合には、バッ
ファータンク18に流入した水素ガス(約260℃前
後)は、冷却媒体との熱交換を経てPEFC12の電解
質膜近傍温度TPEFCより所定温度(α)だけ低い温度で
あるタンク内部温度TTANKとされるとともに、電解質膜
近傍温度TPEFCの上昇に併せて上昇したタンク内部温度
TTANKとされる。よって、バッファータンク18におい
て、水素ガス中の水蒸気は、TPEFC以下の温度における
飽和状態とされ、過剰な水蒸気は凝結してバッファータ
ンク18内で水滴となる。また、PEFC12に供給さ
れる水素ガス中の水蒸気量は、電解質膜近傍温度TPEFC
の上昇に併せて増加することになる。
【0040】従って、バッファータンク18のガス排出
ポート52からは、水蒸気を飽和状態で混在した水素ガ
スがPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCより所定温
度(α)だけ低い温度でPEFC12に供給される。こ
のため、燃料電池システム10のシステム立上げ過渡期
には、水分が水滴としてPEFC12に供給されること
がないとともに、電池内部で水蒸気が凝結して水滴化す
ることもない。しかも、PEFC12の昇温に併せてバ
ッファータンク18内のタンク内部温度TTANKを高めて
いくことができる。
【0041】このようにシステム立上げ過渡期処理のス
テップS124においてFON=1とされると、システム
立上げ過渡期処理の終了時にあってもシステムONであ
ることと相俟って、次回の本ルーチンでは、ステップS
100の肯定判断に続くステップS105で肯定判断さ
れる。そして、この肯定判断を受けて、燃料電池システ
ム10はON状態が継続している定常運転継続中の状態
にあるといえる。よって、この場合には、以下に記す複
数の処理からなるシステム定常運転時処理(ステップS
130)に移行し、当該処理が終了すれば「リターン」
を抜けて上記処理を繰り返す。
【0042】このステップS130のシステム定常運転
時処理では、図5に示すように、まず、電圧計74とイ
ンピーダンス計76からPEFC12の出力電圧Vとイ
ンピーダンスZを入力する(ステップS132)。
【0043】PEFC12の固体高分子電解質膜は適度
な湿潤状態にあれば良好な電気伝導性(イオン導電性)
を発揮することから、固体高分子電解質膜の含水率が過
多となると、PEFC12の出力は低下する。また、こ
の電解質膜に接合する電極表面が水滴で閉塞されても、
膜への水素ガスの透過が阻害されるのでやはりPEFC
12の出力は低下する。つまり、この両者の場合は、電
池内部の湿潤状態が水分過多の場合であり、この水分過
多の状態に至るとPEFC12の出力電圧Vは低下す
る。しかも、このように水分過多となると、PEFC1
2のインピーダンスZは低下することが知られている。
その反面、電池内部の湿潤状態が水分不足となって固体
高分子電解質膜の含水率が低下すると、PEFC12の
出力電圧Vは低下するとともに、インピーダンスZは上
昇することが知られている。
【0044】従って、ステップS132で入力したPE
FC12の出力電圧VとインピーダンスZとから、ステ
ップS132に続くステップS134では、PEFC1
2内部の湿潤状態が適正であるか、水分過多(濡れす
ぎ)或いは水分不足(乾きすぎ)であるか否かを判断す
る。このステップS134で、電池内部の湿潤状態が適
正であると判断すると、PEFC12が適正な運転を継
続していくためには、バッファータンク18内のタンク
内部温度TTANKの変更は必要ないとして、バッファータ
ンク18の冷却媒体の流量調整バルブ65の流量を固定
維持する(ステップS136)。よって、タンク内部温
度TTANKは、電池内部の湿潤状態が適正状態にあると判
断したときの温度に維持される。このため、バッファー
タンク18においては、流入する水素ガス中の水蒸気は
一定量が凝結して水滴化し、水素ガス中に混在する水蒸
気量は定量となる。その後は、「リターン」を抜けて上
記処理を繰り返す。
【0045】一方、ステップS134で出力電圧Vとイ
ンピーダンスZとからPEFC12内部の湿潤状態が上
記した水分過多であると判断した場合には、バッファー
タンク18の冷却媒体の流量調整バルブ65を流量増大
側に駆動制御する(ステップS138)。この際、流量
調整バルブ65には、電池内部の湿潤状態が適正状態に
あるときの出力電圧VおよびインピーダンスZと、ステ
ップS132で入力した出力電圧Vおよびインピーダン
スZとを対比して得られる制御信号が出力され、水分過
多の程度が大きいほど流量調整バルブ65は多くの流量
となるよう駆動制御される。このため、バッファータン
ク18の冷却媒体流路62を通過する冷却媒体の流量が
水分過多の程度に応じて増大するので、タンク内部温度
TTANKは降下することになる。この結果、バッファータ
ンク18においては、流入する水素ガス中の水蒸気は多
くの量が凝結して水滴化し、水素ガス中に混在する水蒸
気量は減少するので水素ガスにおける水蒸気量は以前よ
り少なくなる。そして、ステップS136の後には、
「リターン」を抜けて上記処理を繰り返す。
【0046】このようにタンク内部温度TTANKを降下さ
せるに当たっては、冷却媒体の流量増に伴うタンク内部
温度TTANKの温度変化が電解質膜近傍温度TPEFCに対し
て最大−10℃程度になるよう、冷却媒体流量が増大制
御される。
【0047】また、ステップS134で出力電圧Vとイ
ンピーダンスZとからPEFC12内部の湿潤状態が上
記した水分不足であると判断した場合には、バッファー
タンク18の冷却媒体の流量調整バルブ65を流量減少
側に駆動制御する(ステップS140)。この際、流量
調整バルブ65には、電池内部の湿潤状態が適正状態に
あるときの出力電圧VおよびインピーダンスZと、ステ
ップS152で入力した出力電圧Vおよびインピーダン
スZとを対比して得られる制御信号が出力され、水分不
足の程度が大きいほど流量調整バルブ65は流量減少側
に駆動制御される。このため、バッファータンク18の
冷却媒体流路62を通過する冷却媒体の流量が水分不足
の程度に応じて減少するので、タンク内部温度TTANKは
上昇することになる。この結果、バッファータンク18
においては、流入する水素ガス中の水蒸気は少量しか凝
結して水滴化せず、水素ガス中に混在する水蒸気量はあ
まり減少しない。つまり、水素ガスにおける水蒸気量は
以前より多くなる。そして、ステップS140の後に
は、「リターン」を抜けて上記処理を繰り返す。
【0048】このようにタンク内部温度TTANKを上昇さ
せるに当たっては、冷却媒体の流量増に伴うタンク内部
温度TTANKの温度変化が電解質膜近傍温度TPEFCに対し
て最大+5℃程度になるよう、冷却媒体流量が減少制御
される。
【0049】従って、PEFC12が定常運転にある場
合には、ステップS132〜140からなる定常運転時
処理が繰り返されるので、バッファータンク18のタン
ク内部温度TTANKは、電池内部の湿潤状態に応じて温度
制御される。このため、PEFC12が定常運転状態に
ある場合には、バッファータンク18に流入した水素ガ
ス(約260℃前後)は、バッファータンク18におけ
る冷却媒体との熱交換を経て温度制御されるので、水素
ガス中の水蒸気は、バッファータンク18における凝結
を経てその混在量が電池内部の湿潤状態に応じて調節さ
れる。
【0050】よって、バッファータンク18のガス排出
ポート52からは、電池内部の湿潤状態が水分過多であ
れば、水蒸気混在量が以前より少ない水素ガスがPEF
C12に供給されて水分過多が解消されることになる。
また、水分不足であれば、水蒸気混在量が以前より多い
水素ガスがPEFC12に供給されて水分不足が解消さ
れることになる。そして、水分過多或いは水分不足が解
消されれば、一定量の水蒸気を混在する水素ガスが継続
してPEFC12に供給されることになる。
【0051】しかも、このような水蒸気混在量の調節
は、バッファータンク18において水素ガス中の水蒸気
の凝結・水滴化を経た水蒸気の除去を通して行なわれる
ので、PEFC12に供給される水素ガス中には水分が
水蒸気として混在し、PEFC12には水分が水滴とし
て水素ガスとともに供給されることはない。
【0052】燃料電池システム10がシステムのON状
態にある時には、当該システムに含まれるPEFC12
やメタノール改質装置20,バッファータンク18は上
記したように駆動制御されているが、メインスイッチの
OFFや非常停止スイッチ等のON等を受けて、燃料電
池システム10はシステムのON状態からOFF状態に
至る。すると、図3に示すように、本ルーチンのステッ
プS100では否定判断され、次のステップS145に
移行する。
【0053】燃料電池システム10がOFF状態にある
場合には、燃料電池システム10が上記したON状態か
らOFF状態に推移した場合とシステムのOFF状態が
継続している場合とがあり、この両者の場合であって
も、ステップS100で否定判断が下される。そこで、
いずれのOFF状態であるかを判断すべく、ステップS
100の否定判断に続くステップS145では、ON状
態継続フラグFONの値が1であるか否かを、再度判断す
る。なお、システムがOFF状態にある場合には、シス
テムを構成する総ての機器がOFFとなっている場合の
他、各機器、例えばPEFC12やメタノール改質装置
20,バッファータンク18等がOFF状態にある場合
も該当する。
【0054】そして、このステップS145で否定判断
(FON=0)すれば、このON状態継続フラグFONはシ
ステムのONの後のシステム立上げ過渡期処理において
しか値1とされないので、当初からFON=0のまま、即
ち燃料電池システム10のOFF状態は継続している場
合である。よって、ステップS145で否定判断した場
合には、「リターン」を抜けて上記処理を繰り返す。
【0055】しかし、ステップS145で肯定判断した
場合(FON=1)には、燃料電池システム10の状態が
ON状態からOFF状態に推移した場合であるので、以
下に記す複数の処理からなるシステム停止過渡期処理
(ステップS150)に移行する。そして、当該処理が
終了すれば「リターン」を抜けて上記処理を繰り返す。
このシステム停止過渡期処理は、メインスイッチのOF
F後に、それまで運転中であった燃料電池システム10
をその再起動時を考慮して良好な状態で停止させること
を目的とするものであり、このシステム停止過渡期にあ
る間はPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCはメイン
スイッチのOFF後に徐々に降温(降下)することも考
慮されている。
【0056】より詳しく説明すると、PEFC12やメ
タノール改質装置20,バッファータンク18等の燃料
電池システム10の各構成機器をメインスイッチのOF
F後に総て一律にOFFとするのではない。そして、各
構成機器を一律にOFFとしないことで、当該スイッチ
のOFFに連動して停止するメタノール改質装置20か
ら水蒸気を混在した残ガスがPEFC12に流入してP
EFC12内で水蒸気が凝結することを防止するととも
に、その残ガス中の余分な水蒸気の除去を図るために、
メインスイッチのOFF後もしばらくの間、バッファー
タンク18のタンク内部温度TTANKをPEFC12の電
解質膜近傍温度TPEFCの低下に併せて低下させるよう制
御するのである。
【0057】即ち、このステップS150のシステム停
止過渡期処理では、図6に示すように、システム立上げ
過渡期処理におけるステップS112〜120までと同
様、タンク内部温度TTANKを電解質膜近傍温度TPEFCの
降下に追従して制御する。まず、タンク内部温度TTANK
と電解質膜近傍温度TPEFCを入力し(ステップS15
2)、その後、両温度を比較して(ステップS15
4)、タンク内部温度TTANKが電解質膜近傍温度TPEFC
より高い温度であるか否かを判断する。
【0058】ここで、肯定判断すれば、バッファータン
ク18の内部温度の制御目標温度をステップS152で
入力したPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCとし、
電解質膜近傍温度TPEFCとタンク内部温度TTANKとの差
に応じてバッファータンク18の冷却媒体の流量調整バ
ルブ65を流量増大側に駆動制御する(ステップS15
6)。この際、流量調整バルブ65にはTPEFCとTTANK
との温度差に応じた制御信号が出力され、温度差が大き
いほど流量調整バルブ65は多くの流量となるよう駆動
制御される。このため、バッファータンク18の冷却媒
体流路62を通過する冷却媒体の流量が温度差に応じて
増大するので、タンク内部温度TTANKは降下することに
なる。なお、ステップS156に続いては、後述のステ
ップS162が実行される。
【0059】一方、ステップS154で否定判断した場
合には、TPEFCとTTANKとの差が所定値α以下であるか
否かを判断する(ステップS158)。つまり、ステッ
プS154で否定判断すればTTANK≦TPEFCであるが、
その温度差が適正であるか、より詳細に説明すればタン
ク内部温度TTANKが電解質膜近傍温度TPEFCに比べて低
すぎないかを判断する。このステップS158で肯定判
断すれば、タンク内部温度TTANKは電解質膜近傍温度T
PEFC以下でありその温度差は適正であるためにタンク内
部温度TTANKを変更制御する必要がないとして、後述の
ステップS162に移行する。
【0060】これに対して、ステップS158で否定判
断すれば、タンク内部温度TTANKは電解質膜近傍温度T
PEFC以下であるもののTTANKはTPEFCに比べて低すぎる
ことになる。よって、タンク内部温度TTANKを電解質膜
近傍温度TPEFCに近づくよう昇温させるべく、バッファ
ータンク18の冷却媒体の流量調整バルブ65を流量減
少側に駆動制御する(ステップS160)。この際、流
量調整バルブ65にはTPEFCとTTANKとの温度差に応じ
た制御信号が出力され、温度差が大きいほど流量調整バ
ルブ65は流量減となるよう駆動制御される。このた
め、バッファータンク18の冷却媒体流路62を通過す
る冷却媒体の流量が温度差に応じて減少するので、タン
ク内部温度TTANKは上昇することになる。
【0061】そして、ステップS156,158および
ステップS160に続いては、燃料電池システム10が
システム停止過渡期にあるか或いは停止継続中にあるか
否かをメインスイッチがOFFとされてからの経過時間
等に基づき判断する(ステップS162)。ここで、否
定判断すればいまだシステム停止過渡期であるとして、
新たな処理を行なうことなく「リターン」を抜け、上記
した各処理を繰り返す。
【0062】一方、ステップS162で肯定判断すれ
ば、燃料電池システム10はシステム停止過渡期を脱し
て停止継続中に至ったこと或いは当初から停止継続中で
あることになるので、ON状態継続フラグFONに値0を
セットする(ステップS164)。このようにFON=0
とされると、その後の本ルーチンのステップS105で
は否定判断されるので(図3参照)、このステップS1
64でFONに値0がセットされるまでの間に亘って、上
記したステップS152〜164までの処理からなるシ
ステム停止過渡期処理が繰り返し実行される。
【0063】従って、燃料電池システム10がシステム
停止過渡期にある間には、ステップS152〜164か
らなるシステム停止過渡期処理が繰り返されこの間は電
解質膜近傍温度TPEFCは徐々に低下するので、バッファ
ータンク18は、そのタンク内部温度TTANKがPEFC
12の電解質膜近傍温度TPEFCより所定温度(α)だけ
低い温度となるよう運転継続中の温度から降温制御され
る。このため、メインスイッチのOFF等を受けてシス
テムがOFF状態とされた場合には、バッファータンク
18に流入した残ガスは、冷却媒体との熱交換を経てP
EFC12の電解質膜近傍温度TPEFCより低い温度であ
るタンク内部温度TTANKとされる。しかも、この場合に
は、電解質膜近傍温度TPEFCは徐々に降下する。よっ
て、バッファータンク18に流入した残ガスは、電解質
膜近傍温度TPEFCの降下に併せて降下したタンク内部温
度TTANKとされる。この結果、バッファータンク18に
おいて、残ガス中の水蒸気は、TPEFCより低い温度にお
ける飽和状態とされ、過剰な水蒸気は凝結してバッファ
ータンク18内で水滴となり水素ガス供給管路16の経
路外に除去される。また、PEFC12に供給される残
ガス中の水蒸気量は、電解質膜近傍温度TPEFCの降下に
併せて減少することになる。
【0064】よって、バッファータンク18のガス排出
ポート52からは、水蒸気を飽和状態で混在した残ガス
がその時のPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCより
所定温度(α)だけ低い温度でPEFC12に供給され
る。このため、システム停止の場合には、水分が水滴と
して供給されることがないとともに、TPEFC>TTANKで
あることから電池内部で水蒸気が凝結して水滴化するこ
ともない。従って、システム停止の場合には、電池内部
に水分が水滴として残存することがない。
【0065】以上説明したように本実施例の燃料電池の
燃料供給装置では、PEFC12に水分を水蒸気として
供給する水素ガス中の水蒸気混在量の調節を、バッファ
ータンク18のタンク内部温度TTANKの調節を経た水蒸
気の除去を通して行なう。この結果、本実施例の燃料電
池の燃料供給装置によれば、水素ガス中の水蒸気混在量
の調節を確実に行なうことができ、燃料電池の出力の安
定化を図ることができる。
【0066】また、本実施例の燃料電池の燃料供給装置
では、システム停止の場合に、PEFC12に水分を水
滴として供給せず、しかもPEFC12におけるガス中
の水蒸気の凝結を回避する。このため、本実施例の燃料
電池の燃料供給装置によれば、システム停止の場合に、
電池内部に水分が水滴として残存することがなくPEF
C12の固体高分子電解質膜/電極接合体の界面に塗布
された触媒の劣化や、PEFC12におけるガス配管の
腐食等を確実に回避することができる。
【0067】また、システム停止の場合にあっても、水
蒸気として水分を供給する。よって、本実施例の燃料電
池の燃料供給装置によれば、不用意な固体高分子電解質
膜のいわゆるドライアップを回避し、再起動時における
始動特性を向上させることができる。
【0068】更に、本実施例の燃料電池の燃料供給装置
では、システムの立上げ過渡期に、PEFC12に水分
を水滴として供給せず、しかもPEFC12における水
素ガス中の水蒸気の凝結を回避する。このため、本実施
例の燃料電池の燃料供給装置によれば、PEFC12の
固体高分子電解質膜に接合する電極表面を水滴で閉塞す
ることがなく膜への水素ガスの透過を阻害しないので、
始動特性を向上させることができるとともに、起動初期
から早期のうちに適正な出力電圧を得ることができる。
【0069】また、システムの立上げ過渡期には、水素
ガス中の水蒸気を飽和状態でかつその量を電解質膜近傍
温度TPEFCの上昇に併せて増加させる。よって、本実施
例の燃料電池の燃料供給装置によれば、電解質膜近傍温
度TPEFCの上昇の間に亘っての電池内部の湿潤状態の適
正化を通して、PEFC12をより速く定常運転にする
ことができる。
【0070】加えて、本実施例の燃料電池の燃料供給装
置では、PEFC12が定常運転にある場合にあって
も、PEFC12には水分を水滴として供給せず、PE
FC12の固体高分子電解質膜への水分補給を飽和状態
の水蒸気で賄う。このため、本実施例の燃料電池の燃料
供給装置によれば、PEFC12の固体高分子電解質膜
に接合する電極表面を水滴で閉塞することがなく膜への
水素ガスの透過を阻害しないので、定常運転時における
電極反応の円滑な進行を通して安定した出力を得ること
ができる。
【0071】また、本実施例の燃料電池の燃料供給装置
では、PEFC12が定常運転にある場合に、水素ガス
中の水蒸気の混在量を電池内部の湿潤状態に応じて調節
する。このため、本実施例の燃料電池の燃料供給装置に
よれば、電池内部が水分過多や水分不足に至ってPEF
C12の出力が低下しても、水素ガス中の水蒸気混在量
の調整を通してこの水分過多や水分不足を解消し、安定
した出力を得ることができる。
【0072】ここで、上記した本実施例の燃料供給装置
と水蒸気混在量の調節を行なわず水蒸気混在量が一定
(定常状態に必要な水蒸気混在量)の水素ガスを供給す
る燃料供給装置(従来例)との評価試験について説明す
る。この評価試験は、PEFC12の定常運転時の出力
(電流値)を100とした場合、その出力を起動からの
経過時間毎に測定することで行なった。その結果を図7
に示す。
【0073】この図7から明らかなように、本実施例の
燃料供給装置によれば、起動時からスムースに出力が上
昇し、15分を経過すれば定常時の約90%の出力を得
ることができた。しかも、30分経過後にはほぼ100
%の出力を継続して得ることができた。しかしながら、
従来例では、起動初期には急激に出力が立ち上がるもの
の10分経過後からは徐々に出力が低下した。しかも、
10分経過時点の出力は定常時の約67%に過ぎなかっ
た。よって、本実施例の燃料供給装置によれば、安定し
た出力を得ることができることが判明した。なお、従来
例の燃料供給装置で観察された出力の様子は、以下のよ
うに説明できる。
【0074】従来例では、水蒸気混在量が調節されてい
ないので、燃料電池にはその温度が低いものの大量の水
蒸気が供給される。このため、一時的にセル抵抗が低下
して急激に出力が上がる。しかし、その後は、過剰な水
蒸気が燃料電池内部で凝結して水滴化し、電極を閉塞し
たりセル抵抗の上昇を招く。このため、定常時の出力ま
で上昇することなく徐々に出力が低下する。
【0075】また、本実施例の燃料電池の燃料供給装置
によれば、次のような利点がある。即ち、本実施例の燃
料電池の燃料供給装置では、バッファータンク18で水
蒸気が水滴化した水を、循環用ポンプ58により水循環
管路60を経て水タンク30に返送し、メタノール改質
装置20に供給する水として循環させる。このため、本
実施例の燃料電池の燃料供給装置によれば、水の利用効
率を高めることができる。
【0076】次に、他の実施例について説明する。ま
ず、第2実施例の燃料供給装置について説明する。この
第2実施例の燃料供給装置は、上記した燃料電池システ
ム10におけるバッファータンク18の冷却媒体を酸素
ガス供給管路14を経てPEFC12に供給される酸素
含有ガス(空気)とした点で、その構成が相違する。即
ち、図8に示すように、PEFC12に空気を供給する
酸素ガス供給管路14には、その上流側から空気の圧送
ポンプ80が設けられており、当該ポンプの下流におい
ては、この酸素ガス供給管路14は、バッファータンク
18の下流で合流する分岐管路14a,14bとされて
いる。各分岐管路14a,14bには、当該管路を通過
する流量を調整する流量調整バルブ81,82が設けら
れている。なお、圧送ポンプ80としてはコンプレッサ
ーによる大気加圧供給装置を例示することができる。ま
た、圧送ポンプ80の外には、例えば高圧空気ガスボン
ベや液体空気タンクを用いたガス供給装置を用いること
もできる。
【0077】流量調整バルブ82が設けられた側の分岐
管路14bは、バッファータンク18の外部配管63
(図2参照)と接続されており、この分岐管路14bを
通過する空気がバッファータンク18の冷却媒体流路6
2を通する間に水素ガスとの熱交換に供される。また、
この酸素ガス供給管路14には、管路を通過する空気を
加湿する加湿器83が各分岐管路の合流点下流に設けら
れている。なお、この加湿器83は、管路を通過する空
気を加湿することができればいかような構成でも良く、
バブリング法による加湿器の他、水を直接ガス気流中で
霧化する方式の加湿器や、気体状の水(水蒸気)は通す
が液体状の水は通さない多孔質膜を用いて加湿する方式
の加湿器など、いずれの加湿器を採用しても良い。この
ように加湿器83により加湿することで空気温度が低下
する場合には、加熱手段を加湿器と併用することによ
り、PEFC12には所定温度まで昇温させた空気を供
給することができる。
【0078】上記構成の第2実施例の燃料供給装置で
は、電子制御装置70からの制御信号により各分岐管路
14a,14bの流量調整バルブ81,82を駆動制御
することで、例えばその流量比を制御することで、バッ
ファータンク18の冷却媒体流路62を通過する空気の
流量を調節できる。このため、第2実施例の燃料供給装
置によれば、バッファータンク18のタンク内部温度の
調節を通した水素ガス中の水蒸気混在量の調節による燃
料電池出力の安定化に加え、PEFC12にはバッファ
ータンク18で昇温させた空気を供給できる。よって、
空気温度の昇温調節を通して、より一層電極反応を円滑
化させて安定した出力を得ることができる。また、PE
FC12に供給する空気を昇温させるための特別な装置
を必要とせず、構成の簡略化を図ることができる。
【0079】次に、第3実施例の燃料供給装置について
説明する。この第3実施例の燃料供給装置は、上記した
燃料電池システム10におけるバッファータンク18の
冷却媒体をPEFC12の冷却水とした点で、その構成
が相違する。即ち、図9に示すように、PEFC12の
図示しない冷却水流路に冷却水を循環供給する冷却水循
環管路84には、電池側温度センサ72(図1参照)の
検出したPEFC12の電解質膜近傍温度TPEFCに応じ
て冷却水循環管路84の冷却水流量を調整する冷却水ポ
ンプ85と、当該管路の冷却水を放熱を通して所定温度
に冷却(維持)する放熱器86とが設けられている。ま
た、冷却水循環管路84には、バッファータンク18の
外部配管63(図2参照)に接続されたタンク冷却水循
環管路87が、冷却水ポンプ85の下流で冷却水循環管
路84から分岐し放熱器86の上流で冷却水循環管路8
4と合流するよう設けられている。そして、このタンク
冷却水循環管路87には、当該管路を通過する流量を調
整する流量調整バルブ88が設けられている。
【0080】従って、タンク冷却水循環管路87を通過
する燃料電池冷却水がバッファータンク18の冷却媒体
流路62を通する間に水素ガスとの熱交換に供される。
このため、第3実施例の燃料供給装置では、電子制御装
置70からの制御信号によりタンク冷却水循環管路87
の流量調整バルブ88を駆動制御することで、バッファ
ータンク18の冷却媒体流路62を通過する冷却水の流
量を調節できる。この結果、第3実施例の燃料供給装置
によれば、既述した第1実施例と同様に、バッファータ
ンク18のタンク内部温度の調節を通して水素ガス中の
水蒸気混在量を調節し、燃料電池出力の安定化を図るこ
とができる。また、バッファータンク18における熱交
換媒体の供給を行なうためだけの特別な装置を必要とせ
ず、構成の簡略化を図ることができる。
【0081】次に、第4実施例の燃料供給装置について
説明する。この第4実施例の燃料供給装置は、熱交換に
より水素ガス中の水蒸気を凝結・水滴化して水素ガス中
の水蒸気混在量を調整するバッファータンク18に代わ
り、吸水性高分子樹脂や多孔質体粒子等を内蔵しこれら
にガス中の水蒸気を吸着して水素ガス中の水蒸気を除去
する除湿装置を用いた点で、その構成が相違する。即
ち、図10に示すように、PEFC12に水素ガスを供
給する水素ガス供給管路16は、メタノール改質装置2
0とPEFC12との間において、メタノール改質装置
20の下流で分岐しPEFC12手前で合流する分岐管
路16a,16bとされている。各分岐管路16a,1
6bには、当該管路を通過する流量を調整する流量調整
バルブ89,90が設けられている。そして、分岐管路
16bには、流量調整バルブ90の下流にガス中の水蒸
気を吸着して水素ガス中の水蒸気を除去する除湿装置9
1が設けられている。この除湿装置91は、内蔵する吸
水性高分子樹脂等の量や性質により、当該装置を通過す
る水素ガスの単位流量当たり一定の水蒸気を除湿する能
力を有する。このため、除湿装置91を通過する水素ガ
スの流量を変えることで、水蒸気除去量を調節すること
ができる。
【0082】上記構成の第4実施例の燃料供給装置で
は、電子制御装置70からの制御信号により各分岐管路
16a,16bの流量調整バルブ89,90を駆動制御
することで、例えばその流量比を制御することで、各分
岐管路が合流してPEFC12に至る水素ガス中の水蒸
気混在量を除湿装置91による水蒸気除去を通して調節
できる。このため、第4実施例の燃料供給装置によれ
ば、燃料電池出力の安定化を図ることができる。なお、
分岐管路16aにも、流量調整バルブ89の下流に分岐
管路16bの除湿装置91と異なる除湿能力を有する除
湿装置を設け、電子制御装置70からの制御信号により
各分岐管路16a,16bの流量調整バルブ89,90
を駆動制御するよう構成することもできる。
【0083】以上本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例になんら限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0084】例えば、システム停止過渡期処理におい
て、タンク内部温度TTANKを電解質膜近傍温度TPEFC以
下でその温度差が適正(α)となるよう降温制御したが
(ステップS158,160)、タンク内部温度TTANK
を電解質膜近傍温度TPEFC以下の温度となるよう降温制
御するよう構成することもできる。つまり、システム停
止過渡期処理におけるステップS158を省略し、ステ
ップS154で否定判断した場合にはステップS160
に移行すればよい。
【0085】なお、上記した実施例では、水素ガス中の
水蒸気混在量を水素ガス管路中から除去することで調節
したが、燃料電池の出力の安定化を図るには、水蒸気除
去と水蒸気混入を併用して次のように構成することもで
きる。
【0086】即ち、水素ガスを燃料ガスとする燃料電池
に該水素ガスを供給する燃料供給装置であって、炭化水
素化合物を水蒸気改質して、水素ガスを水蒸気の混在状
態で生成する改質手段と、該生成された水素ガスを前記
水蒸気とともに前記燃料電池に供給する供給手段と、前
記燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該検出した運転状態に基づいて前記燃料電池の湿潤状態
を判定する湿潤状態判定手段と、前記燃料電池に供給さ
れる水素ガス中の水蒸気混在量を、前記判定した湿潤状
態に応じて増減調節する水蒸気混在量増減調節手段とを
備える。
【0087】この場合、水蒸気混在量を増減調節する水
蒸気混在量増減調節手段は、上記した各実施例における
バッファータンク18や除湿装置91等の水蒸気除去装
置と、加湿装置等の水蒸気混入装置を併用することで実
現される。
【0088】この燃料電池の燃料供給装置では、燃料電
池に供給される水素ガス中の水蒸気混在量を調節するに
当たり、水素ガス中に水蒸気を混入したり除去すること
で水蒸気混在量を増減調節する。そして、この増減調整
を燃料電池の運転状態に基づいて判定した燃料電池の湿
潤状態に応じて行なう。このため、燃料電池の湿潤が過
多であれば、供給される水素ガス中の水蒸気混在量を、
水蒸気の除去により少なめに調節して湿潤過多を回避す
ることができる。一方、燃料電池の湿潤が不足していれ
ば、供給される水素ガス中の水蒸気混在量を、水蒸気の
添加により多めに調節して湿潤不足を回避することがで
きる。この結果、常に燃料電池を好適な湿潤状態におく
ことを通して、安定した出力を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1ないし請求
項4記載の燃料電池の燃料供給装置では、燃料電池に水
分を水蒸気として供給する水素ガス中の水蒸気混在量の
調節を水蒸気の除去を通して確実に行なう。この結果、
本発明の燃料電池の燃料供給装置によれば、燃料電池を
常に好適な湿潤状態におくことができ、燃料電池の出力
の安定化を図ることができる。また、加湿器等を別途必
要としないので、その構成の簡略化を図ることもでき
る。
【0090】しかも、請求項1ないし請求項4記載の燃
料電池の燃料供給装置では、燃料電池には水分を水滴と
して供給せず、燃料電池への水分補給を飽和状態の水蒸
気で賄う。この結果、請求項1ないし請求項4記載の燃
料電池の燃料供給装置によれば、燃料電池における電極
を水滴で閉塞することがなく、電解質膜への水素ガスの
透過を阻害しないので、電極反応の円滑な進行を通して
安定した出力を得ることができる。
【0091】請求項2記載の燃料電池の燃料供給装置で
は、燃料電池に供給される水素ガス中の水蒸気の混在量
を燃料電池の湿潤状態に応じて調節する。このため、請
求項2記載の燃料電池の燃料供給装置によれば、電池内
部が水分過多や水分不足に至って出力が低下しても、水
素ガス中の水蒸気混在量の調整を通してこの水分過多や
水分不足を解消し、安定した出力を得ることができる。
【0092】請求項4記載の燃料電池の燃料供給装置で
は、燃料電池に供給される酸素含有ガスとの熱交換を通
して緩衝容器の内部温度を制御し、燃料電池に供給され
る水素ガス中の水蒸気混在量を調節する。このため、請
求項4記載の燃料電池の燃料供給装置によれば、水素ガ
ス中の水蒸気混在量の調節に加え、酸素含有ガスの温度
をも調節することができるので、電極反応のより一層の
円滑化を通して出力の安定化を図ることができる。ま
た、燃料電池に供給する酸素含有ガスを昇温させるため
の特別な装置を必要とせず、構成の簡略化を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の燃料供給装置を適用した燃料電池
システムのブロック図。
【図2】第1実施例の燃料供給装置におけるバッファー
タンク18の概略断面図。
【図3】燃料電池システム10において行なわれる燃料
電池システム運転ルーチンのフローチャート。
【図4】燃料電池運転ルーチンにおけるシステム立上げ
過渡期処理の詳細フローチャート。
【図5】燃料電池運転ルーチンにおける定常運転時処理
の詳細フローチャート。
【図6】燃料電池運転ルーチンにおけるシステム停止過
渡期処理の詳細フローチャート。
【図7】実施例の燃料供給装置と従来例の燃料供給装置
との評価の結果を示すグラフ。
【図8】第2実施例の燃料供給装置を適用した燃料電池
システムの要部ブロック図。
【図9】第3実施例の燃料供給装置を適用した燃料電池
システムの要部ブロック図。
【図10】第4実施例の燃料供給装置を適用した燃料電
池システムの要部ブロック図。
【符号の説明】
10…燃料電池システム 12…PEFC 14…酸素ガス供給管路 14a,14b…分岐管路 16…水素ガス供給管路 16a,16b…分岐管路 18…バッファータンク 20…メタノール改質装置 26…メタノールタンク 28…圧送ポンプ 30…水タンク 32…圧送ポンプ 53…タンク側温度センサ 58…循環用ポンプ 60…水循環管路 62…冷却媒体流路 63…外部配管 65…流量調整バルブ 66…球状充填物 70…電子制御装置 72…電池側温度センサ 74…電圧計 76…インピーダンス計 80…圧送ポンプ 81,82…流量調整バルブ 83…加湿器 84…冷却水循環管路 85…冷却水ポンプ 86…放熱器 87…タンク冷却水循環管路 88…流量調整バルブ 89,90…流量調整バルブ 91…除湿装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素ガスを燃料ガスとする燃料電池に該
    水素ガスを供給する燃料供給装置であって、 炭化水素化合物を水蒸気改質して、水素ガスを水蒸気の
    混在状態で生成する改質手段と、 該生成された水素ガスを前記水蒸気とともに前記燃料電
    池に供給する供給手段と、 該供給される水素ガスの経路において前記水蒸気を除去
    し、前記燃料電池に供給される水素ガス中の水蒸気混在
    量を調節する水蒸気混在量調節手段とを備えることを特
    徴とする燃料電池の燃料供給装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料電池の燃料供給装置
    であって、 前記燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出手段
    と、 該検出した運転状態に基づいて前記燃料電池の湿潤状態
    を判定する湿潤状態判定手段と、 該判定した湿潤状態に応じて前記水蒸気混在量調節手段
    を制御する制御手段とを備える燃料電池の燃料供給装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燃料電池の燃料供給装置
    であって、 前記水蒸気混在量調節手段は、 前記水素ガスの経路に設けられ、水素ガスが水蒸気とと
    もに流入する緩衝容器と、 該緩衝容器の内部温度を制御する温度制御部とを有する
    燃料電池の燃料供給装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の燃料電池の燃料供給装置
    であって、 前記緩衝容器は、前記燃料電池に供給される酸素含有ガ
    スが通過する流体経路を容器内部との間で熱交換が行な
    えるように構成され、 前記温度制御部は、前記流体経路を通過する前記酸素含
    有ガス量を制御するものである燃料電池の燃料供給装
    置。
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