JP2009048816A - 燃料電池システム、燃料電池自動車、および、電解質膜の抵抗検出方法 - Google Patents

燃料電池システム、燃料電池自動車、および、電解質膜の抵抗検出方法 Download PDF

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哲也 青木
Takashi Iimori
崇 飯森
Hiroaki Hashigaya
浩昭 橋ヶ谷
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敬介 鈴木
Yosuke Tomita
要介 冨田
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Abstract

【課題】電解質膜の抵抗検出に起因する燃料電池の劣化を抑制し、システムの運転状態に基づいて、電解質膜の抵抗検出の開始を判定する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】システムの運転状態を検出する運転状態と、燃料電池スタック1から取り出される電流と、燃料電池スタックにおける電圧との時系列的な推移に基づいて、電解質膜の抵抗検出を行っており、システムの運転状態に基づいて、電解質膜の抵抗検出の開始が判定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム、当該燃料電池システムを動力源とする燃料電池自動車、および、燃料電池システムの燃料電池スタックにおける電解質膜の抵抗検出方法に関する。
従来より、電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した構造体で構成される燃料電池が知られている。この燃料電池では、発電効率や電解質膜の破損を抑制する観点から、電解質膜の抵抗を検出することが行われる。
例えば特許文献1には、燃料電池から取り出す電流を変動させ、その際の燃料電池の電圧応答を計測し、電圧と電流とをフーリエ変換して燃料電池のインピーダンスを計測することにより、このインピーダンスの周波数特性から電解質膜の抵抗を検出する手法が開示されている。また、電解質膜の抵抗を検出する手法としては、これ以外にも、燃料電池から交流電流を取り出し電圧応答の振幅と遅れから燃料電池のインピーダンスを計測する交流インピーダンス法や、燃料電池から取り出す電流を遮断した時の電圧応答波形から燃料電池のインピーダンスを割り出す電流遮断法を用いて電解質膜の抵抗を割り出す方法が公知の技術として知られている。
特開2005−63946号公報
しかしながら、電解質膜の抵抗を検出するために、燃料電池から取り出す電流(または電圧)を変化させる必要があり、頻繁に電解質膜の抵抗検出を行うと、電流(または電圧)が変化する頻度が増加し、燃料電池が劣化してしまう可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電解質膜の抵抗検出に起因する燃料電池の劣化を抑制することである。
かかる課題を解決するために、本発明は、燃料電池スタックから取り出される電流と、燃料電池スタックにおける電圧との時系列的な推移に基づいて、電解質膜の抵抗検出を行っており、システムの運転状態に基づいて、電解質膜の抵抗検出の開始を判定する。
本発明によれば、運転状態に合わせて検出を行うことができるため、検出にともなう燃料電池スタックの劣化を抑制しつつ、電解質膜の抵抗を検出することができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる燃料電池システムを示す構成図である。燃料電池システムは、固体高分子電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した燃料電池構造体をセパレータで挟持した単位セルを複数積層して構成される燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、個々の燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、個々の酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、これらのガスを電気化学的に反応させて発電電力を発生する。本実施形態では、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用いるケースについて説明する。
この燃料電池スタック1を備える燃料電池システムには、燃料電池スタック1に水素を供給するための水素系と、燃料電池スタック1に空気を供給するための空気系と、燃料電池スタック1を冷却するための冷却系とが備えられている。
水素系において、燃料ガスである水素は、燃料タンク10(例えば、高圧水素ボンベ)に貯蔵されており、この燃料タンク10から水素供給流路L4を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、燃料タンク10の下流には燃料タンク元弁(図示せず)が設けられており、この燃料タンク元弁が開状態となると、燃料タンク10からの高圧水素ガスは、その下流に設けられた減圧弁(図示せず)によって機械的に所定の圧力まで減圧される。減圧された水素ガスは、減圧弁よりも下流に設けられた水素調圧弁11によって更に減圧された後に、燃料電池スタック1に供給される。水素調圧弁11は、自己に設定される開度に応じて燃料電池スタック1へ供給される水素の圧力を調整する機能を担っており、後述する制御装置30によってその開度が制御される。
燃料極からの排出ガス(未使用の水素を含むガス)は、水素循環流路L2へと排出される。この水素循環流路L2は、他方の端部が水素調圧弁11よりも下流側の水素供給流路L1に接続されている。水素循環流路L2と水素供給流路L1との合流部にはエゼクタが、また、この合流部よりも下流側の水素供給流路L1には水素循環ポンプ13が設けられており、これらの循環手段により、燃料極側からの排出ガスは、水素循環流路L2を通り水素供給流路L1(すなわち、燃料極における水素の供給側)へと循環される。水素循環ポンプ12の駆動量、すなわち、その回転数は、燃料電池スタック1へ供給される水素流量が所望の値となるように、制御装置30によって制御される。
ところで、酸化剤ガスとして空気を用いるケースでは、空気中の不純物が酸化剤極から燃料極に透過するため、燃料極を含む水素循環流路L2内での不純物量が増加し、水素分圧が減少する傾向となる。ここで、不純物は、燃料ガスである水素以外の非燃料ガス成分であり、代表的には窒素を挙げることができる。不純物量が多くなりすぎると、燃料電池スタック1の出力が低下したり、エゼクタ12および水素循環ポンプ13を含む水素循環手段によって水素を循環させることができなくなったりして、安定した発電を行うことができなくなる。そのため、燃料極および水素循環流路L2内の不純物量を管理する必要があり、水素循環流路L2には、これを流れるガスを外部に排出する不純物排出流路L3が設けられている。この不純物排出流路L3には、パージ弁14が設けられており、このパージ弁14の開き量を調整することにより、不純物排出流路L3を介して外部に排出される不純物量を調整することができる。パージ弁13は、燃料極および水素循環流路L2内に存在する不純物量が発電性能および循環性能を維持できるように、その開き量が制御装置30によって制御される。
空気系において、酸化剤ガスである空気は、例えば、大気がコンプレッサ20によって取り込まれた後に加圧され、加圧空気は空気供給流路L4を介して燃料電池スタック1に供給される。この空気供給流路L3には、加湿装置(図示せず)が設けられており、燃料電池スタック1に供給される空気は、燃料電池スタック1の発電性能を低下させない程度に加湿される。一方、酸化剤極からの排出ガスは、空気排出流路L5を介して排出される。空気排出流路L5には、空気調圧弁21が設けられている。コンプレッサ20は、酸化剤極に供給する空気の流量を調整する供給流量調整手段としての機能を担っており、制御装置30によってその回転数が制御される。空気調圧弁21は、燃料電池スタック1へ供給される空気の圧力を調整する機能を担っており、制御装置30によってその開度が制御される。
また、空気系には、空気供給流路L4のコンプレッサ20下流側と、空気排出流路L5の空気調圧弁21下流側との間をつなぐバイパス流路L6が設けられており、このバイパス流路L6により、コンプレッサ20からの空気を燃料電池スタック1をバイパスさせて流すことができる。バイパス流路L6には、この流路を通る空気の流量を調整するバイパス弁22が設けられており、制御装置30によってその開度が制御される。
冷却系は、燃料電池スタック1を冷却する冷媒が循環する閉ループ状の冷却流路L7を有している。なお、図1では、冷却系の一部が省略して描かれている。この冷却流路L7には、冷媒を循環させる冷媒ポンプ(図示せず)、および、冷媒を冷却するラジエータ(図示せず)が設けられている。この冷媒ポンプを動作させることにより、冷却流路L7内の冷媒が循環する。燃料電池スタック1の冷却によって温度が上昇した冷媒は、冷却流路L7を経由して、ラジエータへと流れ、ラジエータによって冷却される。冷却された冷媒は、燃料電池スタック1へと供給される。冷却流路L7は、燃料電池スタック1内においてその流路が細かく分岐しており、これにより、燃料電池スタック1は、その内部が全体に亘って冷却されるようになっている。
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック1には、DC/DCコンバータ(電流取出手段)2が接続されている。このDC/DCコンバータ2は、制御装置30によって制御され、燃料電池スタック1から電力を取り出すために燃料電池スタック1の電圧を調整する。また、DC/DCコンバータ2は、車両を駆動する電動モータ4といった負荷装置の電圧に変換し、燃料電池スタック1から取り出した電力を負荷装置に出力する。
DC/DCコンバータ2および電動モータ4には、二次電池(電力貯蔵手段)3が接続されている。二次電池3は、次に示すような機能を担っている。第1に、燃料電池スタック1で発電を行うために動作させる種々の補機(例えば、水素循環ポンプ13やコンプレッサ20)に対して、それを駆動するために必要な電力を供給する。第2に、システムに要求される電力(要求電力)に対し、燃料電池スタック1における発電電力が不足する場合、不足分の電力を電動モータ4に供給する。第3に、燃料電池スタック1の発電電力が要求電力に対して余剰となった場合、余剰分の電力を蓄電し、また、電動モータ4の回生電力を蓄電する。
図2は、本実施形態に係る制御装置30を示すブロック図である。制御装置30は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従ってシステムの各部を制御することにより、燃料電池スタック1の運転状態を制御する。本実施形態との関係では、この制御装置30は、燃料電池スタック1を構成する電解質膜の抵抗を検出する機能を担っている。制御装置30としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。この制御装置30には、各種のセンサなどの信号が制御入力として入力されている。
電圧センサ(電圧検出手段)5は、燃料電池スタック1の電圧を検出するセンサであり、本実施形態では、個々の単位セル毎に、または、二つ以上の連続した単位セルで構成されるセル群毎に電圧(セル電圧)を検出する。電流センサ(電流検出手段)6は、燃料電池スタック1から取り出される電流を取出電流として検出する。貯蔵電力量センサ(貯蔵電力量検出手段)7は、二次電池3に貯蔵されている電力量を貯蔵電力量として検出し、充放電電力センサ(充放電電力検出手段)8は、二次電池3が充放電できる電力を充放電電力として検出する。水素圧力センサ15は、燃料電池スタック1へ供給される水素圧力を検出する。空気流量センサ23は、燃料電池スタック1へ供給される空気流量を検出し、空気圧力センサ24は、燃料電池スタックへ供給される空気圧力を検出する。空気湿度センサ25は、燃料電池スタック1から排出される空気の湿度(相対湿度)を排出空気湿度として検出する。また、この制御装置30には、燃料電池スタック1における発電電力の要求値である要求電力が入力されている。
制御装置30は、これを機能的に捉えた場合、各種の検出部31〜35,37と、各種の算出部36,38〜41と、各種の制御部42〜47を主体に構成されている。
電流検出部31は、電流センサ6からの検出信号を読み込み、燃料電池スタック1からの取出電流を特定する。電圧検出部32は、電圧センサ5からの検出信号を読み込み、単位セル毎のまたはセル群毎の電圧を特定する。燃料圧力検出部33は、水素圧力センサ15の検出信号を読み込み、燃料電池スタック1へ供給される水素圧力を特定する。酸化剤圧力検出部34は、空気圧力センサ24からの検出信号を読み込み、燃料電池スタックへ供給される空気圧力を特定する。酸化剤流量検出部35は、空気流量センサ23からの検出信号を読み込み、燃料電池スタック1へ供給される空気流量を特定する。
膜抵抗検出部37は、電解質膜の抵抗を検出する機能を担っており、膜抵抗算出部37aと、発電電力検出部37bと、貯蔵電力量検出部37cと、充放電電力検出部37dと、乾燥状態推定部37eとで構成されている。膜抵抗算出部(膜抵抗検出手段)37aは、電流検出部31において特定された取出電流と、電圧検出部21において特定されたセル電圧との時系列的な推移に基づいて、電解質膜の抵抗を算出(検出)する。この膜抵抗算出部37aは、個々のセル電圧を対象として処理を実行した場合には、個々の単位セル(またはセル群)を単位として電解質膜の抵抗を算出することができ、個々のセル電圧から特定される燃料電池スタック1の総体的な電圧を対象として処理を実行した場合には、燃料電池スタック1の全体を単位として電解質膜の抵抗を算出することができる。また、この膜抵抗算出部37aは、発電電力検出部37bと、貯蔵電力量検出部37cと、充放電電力検出部37dと、乾燥状態推定部37eといったシステムの運転状態を検出する運転状態検出手段の検出結果に基づいて、電解質膜の抵抗検出の開始を判定する判定手段としての機能も担っている。
発電電力検出部37bは、電流検出部31において特定された取出電流と、電圧検出部21において特定された個々のセル電圧とに基づいて、燃料電池スタック1の発電電力を算出する。貯蔵電力量検出部37cは、貯蔵電力量センサ7からの検出信号を読み込み、二次電池3の貯蔵電力量を特定する。充放電電力検出部37dは、充放電電力センサ8からの検出信号を読み込み、二次電池3の充放電電力を特定する。乾燥状態推定部37eは、燃料電池スタック1の乾燥状態を推定する乾燥状態推定部としての機能を担っており、本実施形態では、燃料電池スタック1の酸化剤極から排出される空気の湿度を検出する酸化剤湿度検出部を含んでいる。この酸化剤湿度検出部は、空気湿度センサ25からの検出信号を読み込み、排出空気湿度を特定する。
発電電流算出部36は、燃料電池スタック1への要求電力と、膜抵抗検出部37における電解質膜の抵抗検出の開始タイミングとに基づいて、燃料電池スタック1から取り出す電流(取出電流)の目標値を算出する。燃料流量算出部38は、発電電流算出部36における取出電流の目標値と、膜抵抗検出部37における電解質膜の抵抗検出の開始タイミングとに基づいて、燃料電池スタック1に供給する水素流量の目標値を算出する。酸化剤流量算出部39は、発電電流算出部36における取出電流の目標値と、膜抵抗検出部37における電解質膜の抵抗検出の開始タイミングとに基づいて、燃料電池スタック1に供給する空気流量の目標値を算出する。燃料圧力算出部40は、発電電流算出部36における取出電流の目標値に基づいて、燃料電池スタック1に供給する水素圧力の目標値を算出する。酸化剤圧力算出部41は、発電電流算出部36における取出電流の目標値に基づいて、燃料電池スタック1に供給する空気圧力の目標値を算出する。
発電電流制御部42は、発電電流算出部36における取出電流の目標値に基づいて、DC/DCコンバータ2を制御する。水素循環ポンプ回転数制御部43は、燃料流量算出部38における水素流量の目標値に基づいて、水素循環ポンプ13の回転数を制御する。コンプレッサ回転数制御部44は、酸化剤流量算出部39における空気流量の目標値に基づいて、コンプレッサ20の回転数を制御する。水素調圧弁開度制御部45は、燃料圧力算出部40における水素圧力の目標値と、燃料圧力検出部33における水素圧力とに基づいて、水素調圧弁11の開度をフィードバック制御する。空気調圧弁開度制御部46は、酸化剤圧力算出部41における空気圧力の目標値と、酸化剤圧力検出部34における空気圧力とに基づいて、空気調圧弁21の開度をフィードバック制御する。バイパス弁開度制御部47は、膜抵抗検出部37における電解質膜の抵抗の検出タイミングと、酸化剤流量検出部35における空気流量とに基づいて、バイパス弁22の開度を制御する。
図3は、本発明の実施形態にかかる電解質膜の抵抗検出の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、所定周期で呼び出され、制御装置30によって実行される。
まず、ステップ10(S10)において、各種の検出パラメータが読み込まれる。具体的には、電流検出部31は、電流センサ6から燃料電池スタック1からの取出電流Istkを読み込み、電圧検出部32は、電圧センサ5から個々のセル電圧Vcellを読み込む。燃料圧力検出部33は、水素圧力センサ15から燃料電池スタック1に供給される水素圧力Phを読み込み、酸化剤圧力検出部34は、空気圧力センサ24から燃料電池スタック1に供給される空気圧力Pairを読み込む。酸化剤流量検出部35は、空気流量センサ23から燃料電池スタック1に供給される空気流量Qairを読み込む。貯蔵電力量検出部37eは、貯蔵電力量センサ7から二次電池3の貯蔵電力量Qcを読み込み、充放電電力検出部37dは、充放電電力センサ8から二次電池3からの充放電電力Pcdを読み込む。乾燥状態推定部37eは、空気湿度センサ25から排出空気湿度Hairを読み込む。
ステップ11(S11)において、発電電力検出部37bは、個々のセル電圧Vcellに基づいて、燃料電池スタック1における総体的な電圧をスタック電圧Vstkとして算出する。具体的には、スタック電圧Vstkは、個々のセル電圧Vcellの総和として算出される。
ステップ12(S12)において、発電電力検出部37bは、取出電流Istkと、スタック電圧Vstkとに基づいて、燃料電池スタック1の発電電力Pstkを検出する。具体的には、発電電力Pstkは、取出電流Istkとスタック電圧Vstkとを積算することにより算出される。
ステップ13(S13)において、膜抵抗検出部37は、排出空気湿度Hairに基づいて、電解質膜の抵抗を検出するための電流および電圧に関するサンプリングの時間間隔ΔTを算出する。膜抵抗検出部37は、排出空気湿度Hairと時間間隔ΔTとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、排出空気湿度Hairから一義的に時間間隔ΔTを算出する。図7は、排出空気湿度Hairと時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、時間間隔ΔTは、相対湿度Hairが大きい程、その値が長くなるような傾向、すなわち、電解質膜の乾燥傾向が強い程、その値が短くなるような傾向を有している。このような対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、最も過酷な乾燥状態での相対湿度を調べ、その相対湿度において可能な限り早い時間間隔ΔTを設定する。また、燃料電池スタック1からの取出電流を周期的に変動させる実験を行い、その実験結果から通常運転条件では燃料電池スタック1の劣化が問題とならない程度の計測頻度となるように定める。
ステップ14(S14)において、各種の状態パラメータの目標値が算出される。このステップ14において算出される状態パラメータとしては、燃料電池スタック1からの取出電流、燃料電池スタック1に対する水素流量、空気流量、水素圧力および空気圧力である。
発電電流算出部36は、燃料電池スタック1への要求電力Prに基づいて、暫定的な取出電流の目標値(目標取出電流)Izstkを算出する。発電電流算出部36は、要求電力Prと目標取出電流Izstkとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、要求電力Prから一義的に暫定的な目標取出電流Izstkを算出する。図8は、要求電力Prと目標取出電流Izstkとの対応関係を示す説明図である。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、燃料電池スタック1における取出電流とスタック電圧の関係を検出することにより設定されている。
燃料流量算出部38は、暫定的な目標取出電流Izstkに基づいて、暫定的な水素流量の目標値(目標水素流量)Qzhを算出する。燃料流量算出部38は、目標取出電流Izstkと目標水素流量Qzhとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、暫定的な目標取出電流Izstkから一義的に暫定的な目標水素流量Qzhを算出する。図9は、目標取出電流Izstkと目標水素流量Qzhとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、目標水素流量Qzhは、目標取出電流Izstkが大きい程、その値が大きくなるような傾向を有している。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、電流で消費される水素量を見積もるとともに、各単位セルへの配流ばらつきを調査し、配流ばらつきが存在しても電流による消費で水素不足にならないような関係として設定されている。
酸化剤流量算出部39は、暫定的な目標発電電流Izstkに基づいて、暫定的な空気流量の目標値(目標空気流量)Qzairを算出する。酸化剤流量算出部39は、目標取出電流Izstkと目標空気流量Qzairとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、暫定的な目標取出電流Izstkから一義的に暫定的な目標空気流量Qzairを算出する。図10は、目標取出電流Izstkと目標空気流量Qzairとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、目標空気流量Qzairは、目標取出電流Izstkが大きい程、その値が大きくなるような傾向を有している。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、電流で消費される酸素量と大気中の酸素成分比率から必要な空気流量とを見積もるとともに、各単位セルへの配流ばらつきを調査し、配流ばらつきが合っても電流による消費で酸素不足にならないような関係として設定されている。
燃料圧力算出部40は、暫定的な目標発電電流Izstkに基づいて、水素圧力の目標値(目標水素圧力)Pthを算出する。燃料圧力算出部40は、目標取出電流Izstkと目標水素圧力Pthとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、暫定的な目標取出電流Izstkから一義的に目標水素圧力Pthを算出する。図11は、目標取出電流Izstkと目標水素圧力Pthとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、目標水素圧力Pthは、目標取出電流Izstkが大きい程、その値が大きくなるような傾向を有している。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、圧力上昇による燃料電池スタック1の発電効率向上による効果と、圧力を上昇させることで増えるコンプレッサ等の補機類の消費電力増加による損失とを考慮して、最も効率よく発電が行えるような関係に設定されている。
酸化剤圧力算出部41は、暫定的な目標発電電流Izstkに基づいて、空気圧力の目標値(目標空気圧力)Ptairを算出する。酸化剤圧力算出部41は、目標取出電流Izstkと目標空気圧力Ptairとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、暫定的な目標取出電流Izstkから一義的に目標空気圧力Ptairを算出する。目標水素圧力Pthは、目標取出電流Izstkに対して、目標水素圧力Pthと同じ値となるような関係となっている。
ステップ15(S15)において、膜抵抗検出部37は、膜抵抗検出の実施判定処理を行う。この膜抵抗検出の実施判定処理は、電解質膜の抵抗検出を開始することができるのか、それともできないのかを判定する処理であり、その詳細については後述する。
ステップ16(S16)において、膜抵抗検出部37は、発電量の増減判定処理を行う。この発電量の増減判定処理は、電解質膜の抵抗を検出する際に発電電力を増やすのか、それとも減らすのかを判定する処理であり、その詳細については後述する。
ステップ17(S17)において、膜抵抗検出部37は、膜抵抗の検出処理を行う。この膜抵抗の検出処理は、電解質膜の抵抗を検出するために、電流、水素流量、空気流量、バイパス弁22の開度を調整する処理であり、その詳細については後述する。
ステップ18(S18)において、膜抵抗検出部37は、電解質膜の抵抗検出を行う期間中にセットされる検出中フラグFmと、取出電流Istkと、個々のセル電圧Vcellまたはスタック電圧Vstkとに基づいて、電解質膜の抵抗を検出する。膜抵抗検出部37は、検出中フラグFmがセットされている期間における、取出電流Istkと、セル電圧Vcellまたはスタック電圧Vstkとの時系列的な推移に基づいて、単位セルまたは燃料電池スタック1の電解質膜の抵抗を算出する。なお、抵抗算出の詳細な手法については、特開2005−63946号公報に開示されているので必要ならば参照されたい。
ステップ19(S19)において、各種の制御パラメータが算出される。このステップ19において算出される制御パラメータとしては、コンプレッサ20の目標回転数、水素循環ポンプ13の目標回転数、空気調圧弁21の目標開度、水素調圧弁11の目標開度、バイパス弁22の目標開度、DC/DCコンバータ2の動作量であり、燃料電池スタック1の発電に必要なパラメータが挙げられる。
コンプレッサ回転数制御部44は、後述する最終的な目標空気流量Qtairに基づいて、コンプレッサ20の目標回転数Rtcmpを算出する。コンプレッサ回転数制御部44は、目標空気流量Qtairとコンプレッサ20の目標回転数Rtcmpとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、目標空気流量Qtairから一義的にコンプレッサ20の目標回転数Rtcmpを算出する。図12は、目標空気流量Qtairとコンプレッサ20の目標回転数Rtcmpとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、コンプレッサ20の目標回転数Rtcmpは、目標空気流量Qtairが大きい程、その値が大きくなるような傾向に設定されている。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、空気流量と、コンプレッサ20の回転数との関係を取得することにより設定されている。
水素循環ポンプ回転数制御部43は、後述する最終的な目標水素流量Qthに基づいて、水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpを算出する。水素循環ポンプ回転数制御部43は、目標水素流量Qthと水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpとの対応関係を保持したテーブルまたは計算式を有しており、目標水素流量Qthから一義的に水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpを算出する。図13は、目標水素流量Qthと水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpとの対応関係を示す説明図である。同図に示すように、水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpは、目標水素流量Qthが大きい程、その値が大きくなるような傾向に設定されている。両者の対応関係は、実験やシミュレーションを通じて、水素流量と、水素循環ポンプ13の回転数との関係を取得することにより設定されている。
水素調圧弁開度制御部45は、目標水素圧力Pthと、検出値である水素圧力Phとに基づいて、この水素圧力Phが目標水素圧力Pthとなるように、水素調圧弁11の目標開度Dtacvを算出する。
空気調圧弁開度制御部46は、目標空気圧力Ptairと、検出値である空気圧力Pairとに基づいて、この空気圧力Pairが目標空気圧力Ptairとなるように、空気調圧弁21の目標開度Dthcvを算出する。
バイパス弁開度制御部47は、目標空気流量Qtairと、検出値である空気流量Qairと、後述する使用許可フラグFbpsとに基づいて、バイパス弁22の目標開度Dtbpsを算出する。具体的には、使用許可フラグFbpsがセットされている場合には、空気流量Qairが、後述する仮想目標空気流量Qvtairとなるように、バイパス弁22の目標開度Dtbps[deg]が算出される。一方、使用許可フラグFbpsがクリアされている場合には、バイパス弁22の目標開度Dtbpsは、全閉状態として算出される。
発電電流制御部42は、目標取出電流Izstkに基づいて、DC/DCコンバータ2の動作量を算出する。
ステップS20(S20)において、算出された制御パラメータに対応した駆動信号が各種のアクチュエータに対して出力され、DC/DCコンバータ2、水素循環ポンプ13、コンプレッサ20、水素調圧弁11、空気調圧弁21、バイパス弁22が制御される。
図4は、ステップ15における膜抵抗検出の実施判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、ステップ30(S30)において、電解質膜の抵抗検出を開始してからの経過時間Tmが、ステップ13において算出された時間間隔ΔT以上経過しているか否かが判定される。この判定を行う前提として、検出中フラグFmがクリア状態からセット状態に切り替わってからの時間がカウントされており、検出を開始してからの経過時間Tmが算出されている。ステップ30において否定判定された場合には、ステップ31(S31)に進み、電解質膜の抵抗検出を開始しないことを示す検出非実施フラグFnmがセットされる。一方、ステップ30において肯定判定された場合には、ステップ32(S32)に進む。
ステップ32において、電力ばらつきΔPiが算出される。この電力ばらつきΔPiは、現在から所定時間だけ前に遡った期間における発電電力Pstkのばらつきを示すものであり、該当期間における発電電力Pstkの推移のうち、最大値から最小値を減算することにより算出される。ここで、所定時間は、実験やシミュレーションを通じて、電解質膜の抵抗を検出する場合に最も精度よくその値が検出できる時間を調査することにより設定されている。
ステップ33(S33)において、電力ばらつきΔPiが安定判定値ΔPithよりも小さいか否かが判定される。この安定判定値ΔPithは、実験やシミュレーションを通じて電解質膜の抵抗の検出を行い、最も精度よく検出できるシーンでの電力ばらつきΔPiの上限値を調査して設定されている。このステップ33において否定判定された場合には、ステップ34(S34)に進み、検出非実施フラグFnmがセットされる。一方、ステップ33において肯定判定された場合には、ステップ35(S35)に進む。
ステップ35において、二次電池3の充放電電力Pcdが補助電力判定値ΔPsthよりも小さいか否かが判定される。この補助電力判定値ΔPsthは、実験やシミュレーションを通じて電解質膜の抵抗検出で使用する電力を調査しておき、二次電池3が充放電できる最大の電力から電解質膜の抵抗の検出で使用する電力を減算することにより設定されている。このステップ35において否定判定された場合には、ステップ36(S36)に進み、検出非実施フラグFnmがセットされる。一方、ステップ35において肯定判定された場合には、ステップ37(S37)に進む。
ステップ37において、二次電池3の貯蔵電力量Qcが、検出上限電力量Qmax以下であるか否かが判定される。この検出上限電力量Qmaxは、実験やシミュレーションを通じて電解質膜の抵抗の検出で充電する電力量を調査しておき、二次電池3が充電できる最大の電力量から電解質膜の抵抗検出で充電される電力量を減算することにより設定されている。このステップ37において否定判定された場合には、ステップ38(S38)に進む。一方、ステップ37において肯定判定された場合には、ステップ40(S40)に進む。
ステップ38において、燃料電池スタック1の発電電力Pstkが検出下限電力Pmin以上であるか否かが判定される。この検出下限電力Pminは、実験やシミュレーションを通じて、発電電力を減らして電解質膜の抵抗検出を行う場合に必要な電力の減少幅を調査することにより設定されている。ステップ38において否定判定された場合には、ステップ39(S39)に進み、検出非実施フラグFnmがセットされる。一方、ステップ38において肯定判定された場合には、ステップ40に進む。
ステップ40において、二次電池3の貯蔵電力量Qcが、検出下限電力量Qmin以上であるか否かが判定される。この検出下限電力量Qminは、実験やシミュレーションを通じて電解質膜の抵抗検出で放電する電力量を調査することにより設定されている。このステップ40において否定判定された場合には、ステップ41(S41)に進む。一方、ステップ40において肯定判定された場合には、ステップ43(S43)に進む。
ステップ41において、燃料電池スタック1の発電電力Pstkが検出上限電力Pmax以下であるか否かが判定される。この検出上限電力Pmaxは、実験やシミュレーションを通じて、発電電力を増やして電解質膜の抵抗検出を行う場合に必要な電力の増加幅を調査し、燃料電池スタック1の最大発電電力から電力増加幅を減算することにより設定される。ステップ41において否定判定された場合には、ステップ42(S42)に進み、検出非実施フラグFnmをセットする。一方、ステップ41において肯定判定された場合には、ステップ43に進む。
ステップ43において、排出空気湿度Hairが、乾燥判定湿度Hathよりも大きいか否かが判定される。この乾燥判定湿度Hathは、燃料電池スタック1が乾燥しているか否かを判定するための湿度の基準値であり、実験やシミュレーションを通じてその最適値が予め設定されている。このステップ43において否定判定された場合、すなわち、燃料電池スタック1が乾燥していると推定される場合には、ステップ44(S44)に進み、検出非実施フラグFnmをセットする。一方、ステップ43において肯定判定された場合には、本ルーチンを抜ける。
図5は、ステップ16における発電量の増減判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、ステップ50(S50)において、検出中フラグFmがセットされているか否かが判定される。このステップ50において肯定判定された場合には、後述するステップ51〜56の処理をスキップして、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ50で否定判定された場合には、ステップ51(S51)に進む。
ステップ51において、燃料電池スタック1の発電電力Pstkが検出下限電力Pmin以上であるか否かが判定される。このステップ51において肯定判定された場合には、ステップ52(S52)に進む。一方、ステップ51において否定判定された場合には、後述するステップ56(S56)に進む。
ステップ52において、燃料電池スタック1の発電電力Pstkが検出上限電力Pmax以下であるか否かが判定される。このステップ52において肯定判定された場合には、ステップ53(S53)に進む。一方、ステップ52において否定判定された場合には、後述するステップ55(S55)に進む。
ステップ53において、二次電池3の貯蔵電力量Qcが理想貯蔵電力量Qciよりも大きいか否かが判定される。この理想貯蔵電力量Qciは、実験やシミュレーションを通じて、燃料電池スタック1の発電で不足する電力を補助でき、かつ、回生電力を充電できるような、充電にも放電にも適切な貯蔵電力量を調査することにより設定されている。ステップ53において肯定判定された場合には、ステップ54(S54)に進む。一方、ステップ53において否定判定された場合には、ステップ55に進む。
ステップ54において、電解質膜の抵抗検出を行う場合に燃料電池スタック1の発電電力を増やすことを示す発電電力増加フラグFidをセットし、これにより、電解質膜の抵抗検出において発電電力を増やすことを選択した上で本ルーチンを抜ける。
ステップ55において、発電電力増加フラグFidをクリアし、これにより、電解質膜の抵抗検出において発電電力を減らすことを選択した上で本ルーチンを抜ける。
ステップ56において、発電電力増加フラグFidをセットし、これにより、電解質膜の抵抗検出において発電電力を増やすことを選択した上で本ルーチンを抜ける。
図6は、ステップ17における電解質膜の抵抗検出処理の手順を示すフローチャートである。まず、ステップ60(S60)において、検出中フラグFmがセットされているか否かが判定される。このステップ60において否定判定された場合には、ステップ61(S61)に進む。一方、ステップ60において肯定判定された場合には、ステップ65(S65)に進む。
ステップ61において、最終的な目標取出電流Itstkとして、ステップ14において算出された暫定的な目標発電電流Izstkが確定される。また、最終的な目標水素流量Qthとして、ステップ14において算出された暫定的な目標水素流量Qzhが確定され、最終的な目標空気流量Qtairとして、ステップ14において算出された暫定的な目標空気流量Qzairが確定される。そして、ステップ14において算出された暫定的な目標取出電流Izstkが検出時ベース電流Ibとして記憶され、要求電力Prがベース要求電力Pbdとして記憶される。
ステップ62(S62)において、検出非実施フラグFnmがセットされているか否かが判定される。このステップ62において否定判定された場合には、ステップ63(S63)に進み、検出中フラグFmをセットした上で本ルーチンを抜ける。一方、ステップ62において肯定判定された場合には、ステップ64(S64)に進み、検出非実施フラグFnmをクリアした上で本ルーチンを抜ける。
ステップ65において、電解質膜の抵抗検出を行う場合に、燃料電池スタック1の発電電力を減少させるのか否か、すなわち、発電電力増加フラグFidがクリアされているか否かが判定される。このステップ65において肯定判定された場合には、ステップ66(S66)に進む。一方、ステップ65において否定判定された場合には、ステップ68(S68)に進む。
ステップ66において、バイパス弁22を開くことにより、燃料電池スタック1に供給される空気流量を減少させることを許可する使用許可フラグFbpsがセットされる。また、最終的な目標水素流量Qthとして、ステップ14において算出された暫定的な目標水素流量Qzhが確定され、最終的な目標空気流量Qtairとして、ステップ14において算出された暫定的な目標空気流量Qzairが確定される。さらに、電解質膜の抵抗検出に必要な取出電流に対応した空気流量が、仮想目標空気流量Qvtairとして記憶される。
ステップ67(S67)において、検出時ベース電流Ibから、電解質膜の抵抗検出を行うために必要な取出電流の変化幅ΔImを減算するこより、最終的な目標取出電流Itstkが確定される。
ステップ68において、電解質膜の抵抗検出を行うために必要な取出電流の変化幅ΔImに、ステップ14において算出された暫定的な目標取出電流Izstkを加算することにより、仮想取出電流Ivstkが算出される。そして、暫定的な目標水素流量Qzhの算出手法と同様のテーブルなどを用いて、仮想取出電流Ivstkから、これに対応する水素流量Qzhを求め、これを最終的な目標水素流量Qthとして決定する。また、暫定的な目標空気流量Qzairの算出手法と同様のテーブルなどを用いて、仮想取出電流Ivstkから、これに対応する空気流量Qzairを求め、これを最終的な目標空気流量Qtairとして決定する。さらに、最終的な目標取出電流Itstkとして、暫定的な目標取出電流Izstkが確定される。
ステップ69(S69)において、検出中フラグFmがクリア状態からセット状態に切り替わってから経過した時間である経過時間Tmが、所定時間T2以上であるか否かが判定される。このステップ69において肯定判定された場合には、ステップ70(S70)に進む。一方、ステップ69において否定判定された場合には、ステップ71(S71)に進む。
ステップ70において、検出時ベース電流Ibに、電解質膜の抵抗検出を行うために必要な取出電流の変化幅ΔImを加算することにより、最終的な目標取出電流Itstkが確定される。
ステップ71(S71)において、検出中フラグFmがクリア状態からセット状態に切り替わってから経過した時間である経過時間Tmが、電解質膜の抵抗を検出するために必要な検出時間Tend(すなわち、検出中フラグFmがクリア状態からセット状態に切り替わったタイミングから時間間隔ΔTを経過した時間)を経過したか否かが判定される。このステップ71において否定判定された場合には、ステップ72(S72)に進む。一方、ステップ71において肯定判定された場合には、ステップ73(S73)に進む。
ステップ72において、ベース要求電力Pbdと現在の要求電力Prとの差の絶対値が、検出中止閾値ΔPstp以下であるか否かが判定される。この検出中止閾値ΔPstpは、二次電池3で充放電できる電力の最大値が設定されている。このステップ72において肯定判定された場合には、本ルーチンを抜ける。ステップ72において否定判定された場合には、ステップ73に進む。
ステップ73において、使用許可フラグFbpsがクリアされる。また、最終的な目標取出電流Itstkがリセットされ、ステップ14において算出された暫定的な目標取出電流Izstkがその値に確定される。さらに、最終的な目標水素流量Qthがリセットされ、ステップ14において算出された暫定的な目標水素流量Qzhがその値に確定される。目標空気流量Qtairがリセットされ、ステップ14において算出された暫定的な目標空気流量Qzairがその値に確定される。
ステップ74(S74)において、検出中フラグFmがクリアされ、その後、本ルーチンを抜ける。
このように本実施形態によれば、燃料電池スタックから取り出される電流と、燃料電池スタックにおける電圧との時系列的な推移に基づいて、電解質膜の抵抗検出を行っており、システムの運転状態に基づいて、電解質膜の抵抗検出の開始が判定される。これにより、運転状態に合わせて検出を行うことができるため、検出にともなう燃料電池スタック1の劣化を抑制しつつ、電解質膜の抵抗を検出することができる。
また、本実施形態によれば、電解質膜が乾燥していると推定された場合に、電解質膜の抵抗検出の開始が判定される。そのため、電解質膜の抵抗を検出する必要がないような、良好な湿潤状態の場合には電解質膜の抵抗検出が行われない。電解質膜の抵抗検出では、電流あるいは電圧を変動させる必要があるが、かかる構成によれば、電圧変動または電流変動の頻度を低下させることができ、燃料電池スタックの劣化を抑えることができる。
また、本実施形態によれば、燃料電池スタック1の酸化剤極から排出される酸化剤ガスの湿度が低い程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定される。これにより、精度よく乾燥状態を推定することができる。
また、本実施形態によれば、電解質膜の乾燥傾向が強い程、抵抗検出における電流および電圧に関するサンプリングの時間間隔ΔTが短く設定される。これにより、電解質膜の乾燥が進行していて、短い時間で電解質膜の抵抗が大きく変わるような場合であっても、電解質膜の抵抗を精度よく検出することができる。
また、本実施形態によれば、電力ばらつきΔPiから、すなわち、発電電力の時系列的な推移に基づいて発電電力が安定していることを判定した場合に、電解質膜の抵抗検出の開始が判定される。電解質膜の抵抗検出を行う直前に発電電力が大きく変わるようなケースでは、発電電力変化の影響を受けて、電解質膜の抵抗を誤検出する可能性があるが、かかる構成によれば、そのような不都合を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、二次電池3における充放電電力Pcdの絶対値が小さいことを判定した場合に、電解質膜の抵抗検出の開始が判定される。かかる構成によれば、二次電池3で充放電を行っており、電解質膜の抵抗検出で使用する電力を二次電池3で補えないといったシーンにおいて、電解質膜の抵抗検出を実行して事態を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、二次電池3の貯蔵電力量Qcが理想貯蔵電力量Qciよりも多い場合は、発電電力が減少するように燃料電池スタック1の発電状態を制御した上で、または、二次電池3の貯蔵電力量Qcが理想貯蔵電力量Qciよりも少ない場合は、発電電力が増加するように燃料電池スタック1の発電状態を制御した上で、電解質膜の抵抗が検出される。かかる構成によれば、二次電池3の貯蔵電力量Qcを充電にも放電にも使えるような、理想的な電力量に近づけることができる。
また、本実施形態によれば、電解質膜の抵抗を検出するために必要な発電電力の変化幅に応じて、発電電力が増減するように燃料電池スタック1の発電状態を制御した上で、電解質膜の抵抗が検出される。かかる構成によれば、電解質膜の抵抗を検出するために必要な発電電力の変化幅を、燃料電池スタック1からの発電電力に左右されずに確保することができる。そのため、燃料電池スタック1の発電電力の状態に拘わらず、電解質膜の抵抗を検出することができる。
また、本実施形態によれば、発電電力が増加するように燃料電池スタック1の発電状態を制御した上で、電解質膜の抵抗を検出する場合には、ステップ69の処理に示すように、所定時間だけ待機することにより、発電電力を実質的に増加させる以前に、反応ガスが不足しないよう供給量が増加させられる。かかる構成によれば、電解質膜の抵抗検出にともない、燃料ガスあるいは酸化剤ガスといった反応ガスが不足し、燃料電池スタック1が劣化することといった事態を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、発電電力が減少するように燃料電池スタック1の発電状態を制御した上で、電解質膜の抵抗を検出する場合には、反応ガスの供給量を変えない構成としている。かかる構成によれば、燃料ガスあるいは酸化剤ガスの供給量が変化することで、音などが変化するといった違和感を低減することができる。
また、本実施形態によれば、燃料電池スタックに供給される反応ガスの少なくとも一部をバイパスさせる構成となっている。これにより、燃料電池スタック1に過剰な燃料ガスあるいは酸化剤ガスが供給されることで、燃料電池スタック1が乾燥するといった事態を抑制することができる。
なお、本実施形態では、電解質膜の抵抗を検出するために必要な発電電力の変化幅に応じて、二次電池3の充放電電力を制御した上で、電解質膜の抵抗を検出してもよい。かかる構成によれば、電解質膜の抵抗が測定できるように二次電池3の貯蔵電力量を変化させることができるので、二次電池3が貯蔵できる最大あるいは最小の電力量の制約で、電解質膜の抵抗検出を実行できないといった状態が継続されることを抑制することができる。
さらに、上述した実施形態では、電解質膜の乾燥状態を推定する手法として、酸化剤極から排出される酸化剤ガスの湿度を用いている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、以下に示すような、種々な方法を用いて電解質膜の乾燥状態を推定してもよい。
第1の手法としては、乾燥状態推定部37eは、酸化剤湿度検出部に変えて、水収支算出部(水収支算出手段)で構成してもよい。この水収支算出部は、次に示すような処理を行う。まず、燃料電池スタック1に流入する冷却水温度から飽和水蒸気圧を算出する。この際、水素は飽和水蒸気圧分の水を含んでいると仮定して、目標水素流量Qthと、水素圧力センサ15で検出した水素圧力Phとから、理想気体の状態方程式に基づいて、燃料電池スタック1に水素と共に供給される水の量を推定する。また、燃料電池スタック1から排出される冷却水温度から同様の計算を行い、燃料電池スタック1から余剰水素と共に排出される水の量を算出する。さらに、目標水素流量Qthにかえて空気流量センサ23の空気流量Qairを用い、また、水素圧力センサ15の水素圧力Phにかえて空気圧力センサ24の空気圧力Pairを用いることで、燃料電池スタック1に空気とともに流入する水の量と、燃料電池スタック1から空気とともに排出される水の量を算出する。また、燃料電池スタック1内において反応によって生成される水の量を計算する。以上の演算結果を用いて、燃料電池スタック1に供給される水の量と、燃料電池スタック1で生成される水の量とを加算した値から、燃料電池スタック1から排出される水の量を減算した水収支が算出される。この水収支は、その値が負で、水収支の値の絶対値が大きい程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定することができる。このケースでは、図14に示すように、水収支に基づいて、上述した時間間隔ΔTを算出してもよい。なお、水収支を時間積分した値を用いて、水収支が負である時間が長い程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定してもよい。かかる構成によれば、乾燥状態を精度よく推定することができる。
また、これ以外にも、乾燥状態推定部37eは、スタック電圧Vstkを燃料電池スタック1に含まれる単位セルの数で除算して、単位セル当たりの平均電圧を算出する。なお、単位セルではなくセル群を対象としてセル電圧を検出している場合には、個々のセル電圧を対象として、それをセル群に含まれる単位セルの数で除算し、単位セル当たりの電圧を算出する。そして、単位セル当たりの平均電圧と、各単位セルにおけるセル電圧との差、すなわち、電圧のばらつきの絶対値が大きい程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定することができる。このケースでは、図15に示すように、電圧のばらつきに応じて、上述した時間間隔ΔTを算出してもよい。かかる構成によれば、燃料電池スタック1の一部において乾燥が生じているようなケースでも、その乾燥状態を精度よく推定することができる。
また、乾燥状態推定部37eは、図16に示すように、電解質膜の理想的な湿潤状態時における燃料電池スタック1からの取出電流Istkに対するスタック電圧Vstkの特性を基準特性として備えておくことで、この基準特性に対するスタック電圧Vstkの低下幅が大きい程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定してもよい。このケースでは、図17に示すように、スタック電圧Vstkの低下幅に応じて、上述した時間間隔ΔTを算出してもよい。かかる構成によれば、燃料電池スタック1全体の乾燥状態を精度よく推定することができる。
また、乾燥状態推定部37eは、燃料電池スタック1の停止状態の時間(停止から起動までの放置時間)が長い程、電解質膜が乾燥傾向にあると推定してもよい。このケースでは、図18に示すように、放置時間に応じて、上述した時間間隔ΔTを算出してもよい。
また、本発明は、燃料電池スタック1内の単位セル(またはセル群)の電圧を全て検出するのではなく、燃料電池スタック1に供給される冷却水に配流ばらつきがある場合は、冷却水が流れにくい単位セル(またはセル群)の電圧だけを検出してもよい。または、燃料電池スタックに供給される空気の配流ばらつきがある場合は、空気が流れにくい単位セル(またはセル群)の電圧だけを検出するという方法をとってもよい。
さらに、上述した実施形態では、フーリエ変換を用いた電解質膜の抵抗の検出法について記載したが、例えば、交流インピーダンス法や電流遮断法等の電流あるいは電圧を操作してその時間変化に基づいて、電解質膜の抵抗を検出する他の検出方法を適用してもよい。
また、このような燃料電池システムは、図19に示すように、燃料電池システムから供給される電力によって駆動する燃料電池自動車100に適用することができる。このケースでは、電解質膜の抵抗をモニタリングすることができるので、燃料電池スタックの不具合などの原因を未然に特定することができ、自動車としての信頼性の向上を図ることができる。なお、図19に示す燃料電池自動車では、燃料電池システムを構成する要素のうち、燃料電池スタック1以外の要素については便宜上省略されている。
燃料電池システムを示す構成図 制御装置30を示すブロック図 電解質膜の抵抗検出の処理手順を示すフローチャート ステップ15における膜抵抗検出の実施判定処理の手順を示すフローチャート ステップ16における発電量の増減判定処理の手順を示すフローチャート ステップ17における電解質膜の抵抗検出処理の手順を示すフローチャート 排出空気湿度Hairと時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図 要求電力Prと目標取出電流Izstkとの対応関係を示す説明図 目標取出電流Izstkと目標水素流量Qzhとの対応関係を示す説明図 目標取出電流Izstkと目標空気流量Qzairとの対応関係を示す説明図 目標取出電流Izstkと目標水素圧力Pthとの対応関係を示す説明図 目標空気流量Qtairとコンプレッサ20の目標回転数Rtcmpとの対応関係を示す説明図 目標水素流量Qthと水素循環ポンプ13の目標回転数Rthrpとの対応関係を示す説明図 水収支と時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図 電圧のばらつき時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図 燃料電池スタック1からの取出電流Istkに対するスタック電圧Vstkの特性を示す説明図 スタック電圧Vstkの低下幅と時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図 放置時間と時間間隔ΔTとの対応関係を示す説明図 燃料電池自動車100の説明図
符号の説明
1 燃料電池スタック
2 コンバータ
3 二次電池
4 電動モータ
5 電圧センサ
6 電流センサ
7 貯蔵電力量センサ
8 充放電電力センサ
10 燃料タンク
11 水素調圧弁
12 エゼクタ
12 水素循環ポンプ
13 パージ弁
13 水素循環ポンプ
14 パージ弁
15 水素圧力センサ
20 コンプレッサ
21 空気調圧弁
21 電圧検出部
22 バイパス弁
23 空気流量センサ
24 空気圧力センサ
25 空気湿度センサ
30 制御装置
31 電流検出部
32 電圧検出部
33 燃料圧力検出部
34 酸化剤圧力検出部
35 酸化剤流量検出部
36 発電電流算出部
37 膜抵抗検出部
37a 膜抵抗算出部
37b 発電電力検出部
37c 貯蔵電力量検出部
37d 充放電電力検出部
37e 乾燥状態推定部
38 料流量算出部
39 酸化剤流量算出部
40 燃料圧力算出部
41 酸化剤圧力算出部
42 発電電流制御部
43 水素循環ポンプ回転数制御部
44 コンプレッサ回転数制御部
45 水素調圧弁開度制御部
46 空気調圧弁開度制御部
47 バイパス弁開度制御部
100 燃料電池自動車

Claims (18)

  1. 燃料電池システムにおいて、
    電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した構造体で構成される単位セルを複数積層して構成される燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックから電流を取り出す電流取出手段と、
    前記電流取出手段によって取り出される電流を検出する電流検出手段と、
    前記燃料電池スタックにおける電圧を検出する電圧検出手段と、
    システムの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記運転状態検出手段の検出結果に基づいて、前記電解質膜の抵抗検出の開始を判定する判定手段と、
    前記判定手段によって判定された前記電解質膜の抵抗検出の開始に応じて、前記電流検出手段によって検出される電流と、前記電圧検出手段によって検出される電圧との時系列的な推移に基づいて、前記電解質膜の抵抗を検出する抵抗検出手段と
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記運転状態検出手段は、前記電解質膜の乾燥状態を推定する乾燥状態推定手段を含み、
    前記判定手段は、前記乾燥状態推定手段によって前記電解質膜が乾燥していると推定された場合に、前記電解質膜の抵抗検出の開始を判定することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  3. 前記乾燥状態推定手段は、前記燃料電池スタックの酸化剤極から排出される酸化剤ガスの湿度を検出する湿度検出手段を含み、当該湿度検出手段で検出される湿度が低い程、前記電解質膜が乾燥傾向にあると推定することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  4. 前記乾燥状態推定手段は、前記燃料電池スタックに供給される水の量と前記燃料電池スタックで生成される水の量とを加算した値から、前記燃料電池スタックから排出される水の量を減算した水収支を算出する水収支算出手段を有し、当該水収支算出手段において算出される水収支が負の値の場合で、当該水収支の絶対値が大きく、または、当該水収支が負の値になっている時間が長い程、前記電解質膜が乾燥傾向にあると推定することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  5. 前記電圧検出手段は、少なくとも一つ以上の連続した前記単位セルで構成されるセル群毎に電圧を検出しており、
    前記乾燥状態推定手段は、前記電圧検出手段によって検出される前記セル群の電圧と、その他の前記セル群の電圧との差の絶対値が大きい程、前記電解質膜が乾燥傾向にあると推定することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  6. 前記乾燥状態推定手段は、前記電解質膜の理想的な湿潤状態時における前記燃料電池スタックから取り出した電流に対する電圧の特性を基準特性とし、当該基準特性からの電圧の低下幅が大きい程、前記電解質膜が乾燥傾向にあると推定することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  7. 前記乾燥状態推定手段は、前記燃料電池スタックの停止状態の時間が長い程、前記電解質膜が乾燥傾向にあると推定することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  8. 前記抵抗検出手段は、前記乾燥状態推定手段による推定結果に基づいて、前記電解質膜の乾燥傾向が強い程、前記電流および前記電圧に関するサンプリングの時間間隔を短く設定することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  9. 前記運転状態検出手段は、前記燃料電池スタックにおける発電電力を検出する発電電力検出手段を含み、
    前記判定手段は、前記発電電力検出手段によって検出される発電電力の時系列的な推移に基づいて、前記発電電力が安定していることを判定した場合に、前記電解質膜の抵抗検出の開始を判定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  10. 前記燃料電池スタックの発電電力が要求電力に対して不足する場合に当該不足分の電力を供給するとともに、前記燃料電池スタックの発電電力が要求電力に対して余剰となった場合に当該余剰分の電力を貯蔵する電力貯蔵手段をさらに有し、
    前記運転状態検出手段は、前記電力貯蔵手段が充放電できる電力を充放電電力として検出する充放電電力検出手段を含み、
    前記判定手段は、前記充放電電力検出手段の検出結果に基づいて、前記電力貯蔵手段における充放電電力の絶対値が小さいことを判定した場合に、前記電解質膜の抵抗検出の開始を判定することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  11. 前記運転状態検出手段は、前記電力貯蔵手段に貯蔵される電力量を貯蔵電力量として検出する貯蔵電力量検出手段を含み、
    前記抵抗検出手段は、前記貯蔵電力量検出手段による検出結果に基づいて、当該検出された貯蔵電力量が理想貯蔵電力量よりも多い場合は、発電電力が減少するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、または、前記検出された貯蔵電力量が理想貯蔵電力量よりも少ない場合は、発電電力が増加するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出することを特徴とする請求項10に記載された燃料電池システム。
  12. 前記抵抗検出手段は、電解質膜の抵抗を検出するために必要な発電電力の変化幅に応じて、発電電力が増減するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  13. 前記燃料電池スタックの発電電力が要求電力に対して不足する場合に当該不足分の電力を供給するとともに、前記燃料電池スタックの発電電力が要求電力に対して余剰となった場合に当該余剰分の電力を貯蔵する電力貯蔵手段をさらに有し、
    前記抵抗検出手段は、電解質膜の抵抗を検出するために必要な発電電力の変化幅に応じて、前記電力貯蔵手段の充放電電力を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  14. 前記燃料電池スタックへ反応ガスを供給する反応ガス供給手段をさらに有し、
    前記反応ガス供給手段は、発電電力が増加するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出する場合には、当該発電電力を増加させる以前に、前記反応ガスが不足しないよう供給量を増加させることを特徴とする請求項11または12に記載された燃料電池システム。
  15. 前記燃料電池スタックへ反応ガスを供給する反応ガス供給手段をさらに有し、
    前記反応ガス供給手段は、発電電力が減少するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出する場合には、前記反応ガスの供給量を通常時と同じに制御することを特徴とする請求項11または12に記載された燃料電池システム。
  16. 前記反応ガス供給手段は、発電電力が減少するように前記燃料電池スタックの発電状態を制御した上で、前記電解質膜の抵抗を検出する場合には、前記燃料電池スタックに供給される反応ガスの少なくとも一部をバイパスさせることを特徴とする請求項15に記載された燃料電池システム。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に記載された燃料電池システムから供給される電力によって駆動する燃料電池自動車。
  18. 電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した構造体で構成される単位セルを複数積層して構成される燃料電池スタックにおける電解質膜の抵抗検出方法において、
    前記燃料電池スタックから取り出される電流を検出し、
    前記燃料電池スタックにおける電圧を検出し、
    システムの運転状態を検出し、
    前記運転状態検出手段の検出結果に基づいて、前記電解質膜の抵抗検出の開始を判定し、
    前記判定手段によって判定された前記電解質膜の抵抗検出の開始に応じて、前記電流検出手段によって検出される電流と、前記電圧検出手段によって検出される電圧との時系列的な推移に基づいて、前記電解質膜の抵抗を検出する
    ことを特徴とする電解質膜の抵抗検出方法。
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