JP2013239350A - 燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の湿潤状態を良好にする燃料電池システム及びその運転方法を提供する。
【解決手段】燃料電池10と、アノード流路から排出されるアノードオフガスが、アノード供給流路を介して前記アノード流路の供給側に循環するように設けられるアノード循環流路と、水素ポンプ27と、燃料電池10の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、燃料電池10の湿潤度を推定する湿潤度推定手段と、燃料電池10の湿潤度を調整する湿潤度調整手段と、を備え、前記湿潤度調整手段は、前記湿潤度推定手段によって燃料電池10の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、燃料電池10の湿潤度が所定値以上となるように制御するとともに、水素ポンプ27の回転速度を上昇させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びその運転方法に関する。
燃料電池車などに使用される燃料電池には、アノードガス(水素)が供給されるアノード流路と、カソードガス(酸素を含む空気)が供給されるカソード流路と、が設けられている。そして、アノード側で生成される水素イオン(プロトン)を、固体高分子膜(電解質膜)を介してカソード側まで移動させ、カソードガスに含まれる酸素と電極反応させることによって、走行モータなどの負荷に電力を供給している。
ところで、アノード側からカソード側に向けて水素イオンをスムーズに移動させるためには、前記した固体高分子膜が適量の水を含有している必要がある。つまり、燃料電池から所望の電流を取り出すために、固体高分子膜を適度な湿潤状態にする必要がある。
例えば、特許文献1には、燃料電池のインピーダンスを測定し、このインピーダンスに基づいて燃料電池の湿潤状態(つまり、含水量)を推定することが記載されている。また、燃料電池車の走行速度が所定値以上である場合、乾燥運転から湿潤運転に切り替えて、燃料電池の固体高分子膜を湿潤することが記載されている。
特開2010−135341号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、燃料電池のインピーダンスを測定できない場合や、インピーダンスの測定間隔が所定値以上である場合、湿潤運転を禁止して乾燥運転(つまり、通常運転)を行う。なお、燃料電池のインピーダンスを測定できない場合とは、例えば、燃料電池システムの制御系に、インピーダンス測定のための正弦波信号を重畳できない場合である。
このような状況において、例えば、燃料電池車を急加速させようとしても(つまり、燃料電池への要求出力が急増しても)、前記した固体高分子膜の含水量が足らず、要求出力に対して即座に応じることができない可能性がある。
一方、固体高分子膜の含水量が過多である状態が長時間継続すると、燃料電池の単セルが徐々に劣化していく。したがって、湿潤状態を適度に保って燃料電池の劣化を抑制する必要がある。
そこで、本発明は、燃料電池の湿潤状態を良好にする燃料電池システム及びその運転方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、アノード供給流路を介してアノード流路にアノードガスが供給され、カソード供給流路を介してカソード流路にカソードガスが供給されて発電する燃料電池と、前記アノード流路から排出されるアノードオフガスが、前記アノード供給流路を介して前記アノード流路の供給側に循環するように設けられるアノード循環流路と、前記アノード循環流路に設けられ、アノードオフガスを循環させるアノード循環ポンプと、前記燃料電池の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、前記燃料電池の湿潤度を推定する湿潤度推定手段と、前記燃料電池の湿潤度を調整する湿潤度調整手段と、を備える燃料電池システムであって、前記湿潤度調整手段は、前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御するとともに、前記アノード循環ポンプの回転速度を上昇させることを特徴とする。
する。
かかる構成によれば、湿潤度推定手段によって、燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、湿潤度調整手段は燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御する。したがって、燃料電池を適切に加湿することができる。
また、燃料電池で多量の水が生成されて水分過多になった場合でも、アノード循環ポンプの回転速度を上昇させることによってアノード循環流路での気体の流量を増加させ、アノード流路に存在する水を排出することができる。したがって、燃料電池の湿潤状態を良好にすることができる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記カソード流路から排出されるカソードオフガスが、前記カソード供給流路を介して前記カソード流路の供給側に循環するように設けられるカソード循環流路と、前記カソード循環流路に設けられ、カソードオフガスを循環させるカソード循環ポンプと、を備え、前記湿潤度調整手段は、前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記カソード循環ポンプの回転速度を上昇させることが好ましい。
かかる構成によれば、湿潤度推定手段によって、燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、湿潤度調整手段は、カソード循環ポンプの回転速度を上昇させる。その結果、燃料電池で多量の水が生成されて水分過多になった場合でも、カソード循環ポンプの回転速度を上昇させることによってカソード循環流路での気体の流量を増加させ、カソード流路に存在する水を排出することができる。したがって、燃料電池の湿潤状態を良好にすることができる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記湿潤度推定手段は、前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電流が所定値未満である状態が、所定時間を超えて継続した場合、又は、前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電流が所定値未満であると共に、前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電力の積算量が所定量を超えた場合、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定することが好ましい。
かかる構成によれば、要求出力に応じた燃料電池の出力電流が所定値未満である(つまり、燃料電池で生成される水の量が少ない)状態が所定時間を超えて継続した場合、湿潤度推定手段は、燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定する。
また、要求出力に応じた燃料電池の出力電流が所定値未満であると共に、この要求出力に応じた出力電力の積算量が所定量を超えた場合、湿潤度推定手段は、燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定する。
したがって、燃料電池の湿潤度を適切に推定することができる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記カソード流路に接続されるカソードガス供給流路に設けられ、カソードガスを加湿する加湿器と、前記カソード供給流路に供給されるカソードガスが、前記加湿器をバイパスして前記カソード流路に流入するように設けられるバイパス流路と、前記バイパス流路を通流するカソードガスの流量を調整するバイパス流量調整手段と、前記燃料電池の冷媒流路に冷媒を循環させる冷媒ポンプと、前記燃料電池の負荷に対して電力供給可能であると共に、前記燃料電池からの電力により充電可能なバッテリと、前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、を備え、前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、以下の(1)及び/又は(2)の制御が実行されることが好ましい。
(1)前記バイパス流量調整手段が、前記バイパス流路を通流するカソードガスの流量を低減する制御。
(2)前記充電量検出手段によって検出される前記バッテリの充電量が所定量以上である場合、前記湿潤度調整手段が前記冷媒ポンプの回転速度を上昇させ、
前記充電量検出手段によって検出される前記バッテリの充電量が所定量未満である場合、前記湿潤度調整手段が前記バッテリへの充電を行う制御。
かかる構成によれば、バイパス流量調整手段はバイパス流路を通流するカソードガスの流量を低減する。これによって、カソードガス供給流路に供給されるカソードガスのうち、加湿器を介してカソード流路に流入するものの比率が高くなる。したがって、加湿されたカソードガスがカソード流路に流入し、短時間で燃料電池を高湿潤の状態にすることができる。
また、充電量検出手段によって検出されるバッテリの充電量が所定量以上である場合、湿潤度調整手段は冷媒ポンプの回転速度を上昇させる。したがって、冷媒ポンプの回転速度が上昇することによって燃料電池で生成された水の凝縮が進み、燃料電池の加湿が促進される。
また、充電量検出手段によって検出されるバッテリの充電量が所定量未満である場合、湿潤度調整手段はバッテリへの充電を行う。したがって、燃料電池の加湿を好適に促進できる。
また、本発明に係る燃料電池システムの運転方法は、アノード供給流路を介してアノード流路にアノードガスが供給され、カソード供給流路を介してカソード流路にカソードガスが供給されて発電する燃料電池と、前記アノード流路から排出されるアノードオフガスが、前記アノード供給流路を介して前記アノード流路の供給側に循環するように設けられるアノード循環流路と、前記アノード循環流路に設けられ、アノードオフガスを循環させるアノード循環ポンプと、を備える燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、前記燃料電池の湿潤度を推定する湿潤度推定ステップと、前記湿潤度推定ステップにおいて、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御するとともに、前記アノード循環ポンプの回転速度を上昇させる湿潤度調整ステップと、を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、湿潤度推定ステップにおいて、燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、湿潤度調整ステップでは、前記燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御する。したがって、燃料電池を適切に加湿することができる。
また、燃料電池で多量の水が生成されて水分過多になった場合でも、アノード循環ポンプの回転速度を上昇させることによってアノード循環流路での気体の流量を増加させ、アノード流路に存在する水を排出することができる。したがって、燃料電池の湿潤状態を良好にすることができる。
本発明によれば、要求出力に適切に対応できる燃料電池システム及びその運転方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 (a)は燃料電池の膜含水量と、高出力要請時における燃料電池の出力との関係を示すグラフであり、(b)は燃料電池の膜抵抗値と、膜含水量との関係を示すグラフである。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は要求出力の推移であり、(b)は水素圧の推移であり、(c)はエア圧の推移であり、(d)は燃料電池の出力電力の推移であり、(e)は燃料電池の出力電流の推移であり、(f)は発電レート積算値の推移である。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は低負荷連続運転実績フラグの推移であり、(b)は高出力準備完了フラグの推移であり、(c)は加湿器バイパス弁の開度の推移であり、(d)は冷媒ポンプの回転速度の推移であり、(e)はコンプレッサの回転速度の推移である。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は冷媒温度の推移であり、(b)は水素ポンプの回転速度の推移であり、(d)はエアポンプの回転速度の推移であり、(e)は燃料電池の湿潤度の推移であり、(f)はバッテリのSOCの推移である。 燃料電池システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける乾燥モードでの処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける高出力準備処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける高出力準備処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は、燃料電池システムにおける加湿モード1の処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は、燃料電池システムにおけう加湿モード2の処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける代替加湿モードの処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は水素圧の推移であり、(b)はエア圧の推移であり、(c)は燃料電池の出力電力の推移であり、(d)は燃料電池の出力電流の推移であり、(e)は発電レート積算値の推移である。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は目標水素圧との差の推移であり、(b)は高負荷発電時間カウンタの推移であり、(c)は加湿器バイパス弁の開度の推移であり、(d)は低負荷連続運転実績フラグの推移であり、(e)は高負荷発電実績フラグの推移である。 燃料電池システムにおけるタイムチャートであり、(a)は冷媒温度の推移であり、(b)は燃料電池の湿潤度の推移であり、(c)は冷媒ポンプの回転速度の推移であり、(d)はコンプレッサの回転速度の推移である。 燃料電池システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける加速判定処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける加速制御処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける加速制御処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける急加速運転制御処理の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムにおける加速運転制御処理の流れを示すフローチャートである。 (a)はエアポンプの消費電力と、燃料電池への供給エア流量との関係を示すグラフであり、(b)はエアポンプの消費電力と、燃料電池の安定発電度との関係を示すグラフである。 高出力要求があった場合における燃料電池の出力の時間的変化を示すグラフである。 (a)は燃料電池の劣化度合いと、インピーダンス及び劣化補正係数との関係を示すグラフであり、(b)は燃料電池の劣化度合いと湿潤度との関係を示すグラフである。
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
≪燃料電池システムの構成≫
図1に示すように、燃料電池システム1は、例えば、図示しない燃料電池車(移動体)に搭載されている。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、燃料電池10のアノードに対してアノードガス(水素)を供給するアノード系20と、燃料電池10のカソードに対してカソードガス(酸素を含む空気)を供給するカソード系30と、燃料電池10を経由するように冷媒を循環させて燃料電池10を適温に保つ冷媒系40と、燃料電池10の発電電力を消費する電力消費系50と、これらを制御するECU60と、を備えている。
<燃料電池>
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、図示しない膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を一対の導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セル(図示せず)を複数積層して構成されている。
燃料電池10の各セパレータには、各膜/電極接合体の全面に水素又は酸素を供給するための溝及び貫通孔が形成されており、これらの溝及び貫通孔がアノード流路11、カソード流路12として機能している。また、セパレータには、燃料電池10を冷却するための冷媒(例えば、エチレングリコールを含む水)が通流する冷媒流路13が形成されている。
燃料電池10では、アノード流路11を介してアノードガス(水素)が供給されると、(式1)の電極反応が起こり、カソード流路12を介してカソードガス(酸素を含む空気)が供給されると、(式2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(Open Circuit Voltage:OCV)が発生する。
2H→4H+4e・・・(式1)
+4H+4e→2HO・・・(式2)
<アノード系>
アノード系20は、水素タンク21と、遮断弁22と、減圧弁23と、エゼクタ24と、水素圧センサ25と、気液分離器26と、水素ポンプ27と、ドレン弁28と、パージ弁29と、を備えている。
水素タンク21は、配管a1を介して遮断弁22に接続され、高純度の水素が高圧で圧縮充填されている。
遮断弁22は、配管a2を介して減圧弁23に接続され、ECU60からの指令によって開かれると、水素タンク21からの水素がアノード供給流路を介して燃料電池10のアノード流路11に供給されるようになっている。
なお、「アノード供給流路」は、配管a1、遮断弁22、配管a2、減圧弁23、配管a3、エゼクタ24、及び配管a4を含んで構成されている。
減圧弁23は、配管a3を介してエゼクタ24に接続され、配管a2を介して供給されるアノードガス(水素)の圧力を、カソード流路12を通流するカソードガス(空気)の圧力に応じて調整するものである。
エゼクタ24は、配管a3を介してアノード流路11の入口に接続され、水素タンク21から供給される水素をノズル(図示せず)から噴射することによって、ノズルの周囲に負圧を発生させるものである。これによって、アノード流路11の出口から排出されるアノードオフガス(未反応の水素を含む)が、配管a5,配管a6を介して吸引される。
水素圧センサ25は、配管a4を通流する水素の圧力を検出し、ECU60に出力する機能を有している。なお、図1では、水素圧センサ25を含むセンサ類からECU60に出力される検出信号の図示を省略している。
気液分離器26は、配管a5を介してアノード流路11の出口に接続され、アノード流路11から排出されるアノードオフガスに含まれる水分を分離して一時的に貯留するものである。
水素ポンプ27(アノード循環ポンプ)は、配管a6から分岐した配管a7に吸入側が接続され、配管a4から分岐した配管a8に吐出側が接続されている。そして、ECU60からの指令に従って水素ポンプ27が駆動すると、配管a8,a4、アノード流路11、配管a5、気液分離器26、及び配管a7を含む「アノード循環流路」において、アノードオフガスを循環させるようになっている。
ドレン弁28は、配管a9を介して気液分離器26の下部に接続され、配管a10を介して希釈器37に接続されている。ドレン弁28は、ECU60からの指令に従って開弁することにより、気液分離器26に貯留された水を希釈器37に排出する機能を有している。
パージ弁29は、配管a6から分岐した配管a11に接続され、配管a12を介して希釈器37に接続されている。パージ弁29は、ECU60からの指令に従って開弁することにより、配管a4、アノード流路11、配管a5,a6を含む循環流路に蓄積した不純物(窒素、水分など)を希釈器37に排出する機能を有している。
<カソード系>
カソード系30は、コンプレッサ31と、インタークーラ32と、加湿器33と、加湿器バイパス弁34と、エア圧センサ35と、エアポンプ36と、希釈器37と、を備えている。
コンプレッサ31(圧力調整手段)は、配管b1を介してインタークーラ32に接続され、ECU60からの指令に従って内部の羽根車(図示せず)を回転させることにより、車外から空気(カソードガス)を吸引・圧縮し、カソード供給流路を介して燃料電池10のカソード流路12に供給するものである。
なお、「カソードガス供給流路」は、配管b1、インタークーラ32、配管b2、加湿器33、及び配管b3を含んで構成されている。また、加湿器バイパス弁34が開いている場合、「カソードガス供給流路」は、配管b4、加湿器バイパス弁34、及び配管b5をさらに含んで構成される。
インタークーラ32は、配管b2を介して加湿器33に接続され、配管b1を介してコンプレッサ31から供給される高温の空気を冷却し、適温にする熱交換器である。
加湿器33は、配管b3を介してカソード流路12の入口に接続され、配管b2を介して流入する低湿潤のカソードガス(空気)と、配管b6を介して流入する高湿潤のカソードオフガスとの間で、中空糸膜(図示せず)を介して水分交換を行い、カソード流路12に向かうカソードガスを加湿するものである。
加湿器バイパス弁34(バイパス流量調整手段)は、配管b2から分岐する配管b4に接続されると共に、配管b3から分岐する配管b5に接続される二方弁である。つまり、加湿器33は、カソード供給流路に供給されるカソードガスが、加湿器33をバイパスしてカソード流路12に流入する「バイパス流路」(配管b4,b5)に設置されている。
加湿器バイパス弁34は、例えば電磁弁であり、ECU60からの指令に従って、その開度が調整される。つまり加湿器バイパス弁34の開度に応じて、加湿器33をバイパスしてカソード流路12に流入するカソードガスの流量(比率)を調整するようになっている。これによって、カソード流路12に流入するカソードガスの加湿状態を調整することができる。ちなみに、後記する加湿モード(第2出力制御)が実行された場合、湿器バイパス弁は、ECU60の指令に従って開度を絞り、バイパス流路を通流するカソードガスの流量を低減する。
エア圧センサ35は、配管b3を通流する空気の圧力を検出し、ECU60に出力する機能を有している。
エアポンプ(カソード循環ポンプ)36は、配管b6から分岐する配管b8に吸入側が接続され、配管b3から分岐する配管b9に吐出側が接続されている。そして、ECU60からの指令に従ってエアポンプ36が駆動すると、配管b9,b3、カソード流路12、配管b6,b8を含む「カソード循環流路」において、カソードオフガスを循環させるようになっている。
希釈器37は、配管b7を介して加湿器33に接続され、配管a10を介してドレン弁28に接続され、配管a12を介してパージ弁29に接続されている。また、希釈器37は、パージ弁29が開いた場合に配管a12を介して流入するアノードオフガスを、配管b7を介して流入するカソードオフガスで希釈する。ちなみに、希釈器37内のオフガスなど(水分を含む)は、配管b10を介して車外に排出される。
<冷媒系>
冷媒系40は、冷媒ポンプ41と、ラジエータ42と、サーモスタット弁43と、冷媒温度センサ44と、を備えている。
冷媒ポンプ41は、吸入側が配管c4を介してサーモスタット弁43に接続され、吐出側が配管c1を介して冷媒流路13の入口と接続されている。そして、ECU60からの指令に従って冷媒ポンプ41が駆動すると、配管c4を介して冷媒を吸入し、配管c1を介して冷媒流路13に圧送して、燃料電池10の冷媒流路13に冷媒を循環させるようになっている。
ラジエータ42は、配管c2を介して冷媒流路13の出口に接続され、配管c3を介してサーモスタット弁43に接続されている。ラジエータ42は、配管c2から流入する冷媒を、外気との熱交換により放熱させるものである。
サーモスタット弁43は、一方の流入口が配管c3を介してラジエータ42に接続され、他方の流入口が配管c5、c2を介して冷媒流路13の出口に接続され、流出口が配管c4を介して冷媒ポンプ41の吸入側に接続されている。サーモスタット弁43は、冷媒温度に応じて体積変化するワックス(図示せず)を有し、当該体積変化に応じて配管c3と配管c5とを通流する冷媒の流量比率を調整するものである。これによって、配管c1を介して冷媒流路13に流入する冷媒の温度を調整している。すなわち、冷媒温度が比較的高い場合、配管c4を介してラジエータ42に向かう冷媒の流量が多くなる。
冷媒温度センサ44は、配管c2を通流する冷媒の温度を検出し、ECU60に出力する機能を有している。
<電力消費系>
電力消費系50は、出力検出器51と、VCU52と、バッテリ53と、電圧センサ54と、走行モータ55と、を備えている。
出力検出器51は、電流センサ(図示せず)及び電圧センサ(図示せず)を備え、燃料電池10の電流値、電圧値をそれぞれ検出してECU60に出力する機能を有している。
VCU52(Voltage Control Unit)は、ECU60からの指令に従って燃料電池10の発電電力やバッテリ53の充放電を制御するものであり、DC/DCチョッパ、DC/DCコンバータなどの電子回路が内蔵されている。
バッテリ53は、燃料電池10の負荷(走行モータ55など)に対して電力供給可能であると共に、燃料電池10からの電力により充電可能となっている。すなわち、バッテリ53はVCU52に接続され、燃料電池10の余剰発電電力や走行モータ55かからの回生電力を蓄えたり、充電した電力を放電して負荷への電力供給を補助したりする。ちなみに、バッテリ53として、例えば、複数のリチウムイオン型の二次電池を使用することができる。
電圧センサ54(充電量検出手段)は、バッテリ53の充電量を検出し、当該充電量をECU60に出力する機能を有している。
走行モータ55(外部負荷)は、燃料電池10及び/又はバッテリ53から供給される電力によって回転する電動モータであり、燃料電池10が搭載された移動体の動力源となる。
<制御系>
ECU60(Electric Control Unit)は、CPU、RAM、ROM、各種インタフェースなどの電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って各種機能を発揮する。
また、ECU60には、図1に示す出力検出器51及び各センサからの検出信号や、アクセル71の開度を示す信号などが入力される。そして、ECU60は、入力される各信号に応じて遮断弁22、ドレン弁28、パージ弁29、加湿器バイパス弁34の開閉や、水素ポンプ27、コンプレッサ31、エアポンプ36、冷媒ポンプ41の駆動や、VCU52の動作などを制御する。
<その他機器>
アクセル71は、燃料電池10が搭載された燃料電池車(移動体)を運転する際に、運転者によって踏まれるペダルであり、運転席の足元に配置されている。また、アクセル71は、その開度(つまり、踏み込み量)を示すアクセル開度情報をECU60に出力するようになっている。
<ECU60−要求出力算出機能>
ECU60は、走行モータ55を含む負荷の時々刻々の要求出力(つまり、要求電力)を算出する機能を備えている。なお、前記した要求出力は、アクセル71からECU60に入力されるアクセル開度情報などに基づいて算出される。
<ECU60−負荷領域判定機能>
ECU60は、VCU52が備える電流センサ(図示せず)によって検出される電流値と、予め設定された閾値とを比較することによって、前記電流値が、高負荷発電領域にあるか低負荷発電領域にあるかを判定する機能を備えている。
なお、「高負荷発電領域」とは、燃料電池10から出力される電流が所定値以上となる電流領域である。この場合、前記(式1)、(式2)の電極反応で生成される水によって、燃料電池10の固体高分子膜が徐々に加湿される。
一方、「低負荷発電領域」とは、燃料電池10から出力される電流が所定値未満となる電流領域である。この場合、生成される水が少ないため、燃料電池10の固体高分子膜が徐々に乾燥していく。
以下の説明において、「燃料電池10が加湿される(又は、乾燥する)」と記す場合、燃料電池10が備える固体高分子膜が加湿される(又は、乾燥する)ことを意味するものとする。
<ECU60−湿潤度推定機能>
ECU60は、燃料電池10の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、燃料電池10の湿潤度を推定する機能を有している。すなわち、ECU60は、燃料電池10の出力電流に応じて所定の発電レートを逐次積算することによって発電レート積算値を算出する機能を備えている。なお、発電レート積算値が大きくなるほど、燃料電池10の湿潤度は小さくなる。
<ECU60−湿潤度調整機能>
ECU60は、前記した発電レート積算値と所定の閾値とを比較し、その比較結果に応じて乾燥モード及び加湿モードのうちいずれかを実行し、燃料電池10の湿潤度を調整する機能を有している。
なお、「乾燥運転」とは、燃料電池10を乾燥させる際の運転モードであり、「加湿運転」とは、燃料電池10を加湿するための運転モードである。
すなわち、ECU60は、燃料電池10の湿潤度が所定値未満である場合、電圧センサ54(充電量検出手段)によって検出される要求出力に対応して燃料電池10の出力を制御する乾燥運転(第1出力制御)から、要求出力を超えるように燃料電池10の出力を制御する加湿運転(第2出力制御)に切り替える。
<ECU60−高出力準備完了判定機能>
ECU60は、加湿運転を開始してから所定時間が経過した場合に、高出力準備が完了したことを示すフラグを立てる機能を有している。ここで、「高出力準備が完了した」とは、例えば、アクセル71の開度が大きくなって燃料電池車を急加速させる必要が生じた場合に、それに即座に対応できる(つまり、高出力運転できる)ことを意味している。
<ECU60−加湿モード決定機能>
ECU60は、加湿運転を実行する際にバッテリ53の充電量と所定の閾値とを比較し、その比較結果に応じて、加湿モード1、加湿モード2、及び代替加湿モードのうちいずれのモードで加湿運転を実行するかを決定する機能を備えている。
ちなみに、電圧センサ54(充電量検出手段)によって検出されるバッテリ53の充電量が所定量以上である場合、ECU60は、加湿運転(第2出力制御)を実行して冷媒ポンプ41の回転速度を上昇させる。一方、電圧センサ54によって検出されるバッテリ53の充電量が所定量未満である場合、ECU60は、加湿運転(第2出力制御)を実行してバッテリ53への充電を行う。
<ECU60−フラッディング防止機能>
ECU60は、加湿運転を行う際に燃料電池10でフラッディングが起こることを防止するために、水素ポンプ27及び/又はエアポンプ36を駆動する機能を有している。
<ECU60−加速判定機能>
ECU60は、アクセル71から入力されるアクセル開度情報に基づいて目標水素圧力を算出し、目標水素圧力の偏差が所定値以上であるか否かによって、要求出力の上昇(又は急上昇)を判定する機能を有している。
<ECU60−運転モード決定機能>
ECU60は、前記した水素圧力と目標水素圧力との差を所定の閾値と比較し、その比較結果に応じて通常モード、加速モード、及び急加速モードのうちいずれのモードで加速運転するかを決定する機能を備えている。
<燃料電池の湿潤状態について>
図2(a)に示すグラフの横軸は、燃料電池10が備える固体高分子膜の含水量(膜含水量)であり、縦軸は、高出力要請時(つまり、アクセル71の開度が大きいとき)における燃料電池10の出力可能電力である。
図2(a)に示すように、膜含水量ゼロから膜含水量Q1までの領域Aでは、固体高分子膜の含水量が増えるにつれて高出力要請時の出力可能電力も大きくなる。したがって、高出力要請時に即座に対応することのみを考慮すると、燃料電池10は湿潤状態である方が好ましい。
ちなみに、膜含水量Q1以上である領域Bでは、出力W1からほとんど上昇しない。これは、膜含水量Q1以上の領域では、燃料電池10が水分過多になるためである。当該領域では、フラッディングが起こりやすく、燃料電池10での発電が不安定になりやすい。したがって、燃料電池10の膜含水量をQ1以下とすることが好ましい。
図2(b)に示すグラフの横軸は、燃料電池10の固体高分子膜の膜抵抗値であり、縦軸は、固体高分子膜の膜含水量である。
図2(b)に示すように、燃料電池10が乾燥し、膜含水量が減少するにつれて膜抵抗値が大きくなる。しかしながら、湿潤状態が長時間継続すると燃料電池10の劣化が進むため、耐久性のみを考慮すると、燃料電池10は乾燥しているほうが好ましい。
以上より、通常運転時には燃料電池10を乾燥状態にして耐久性を良好に保ち、高出力運転時には燃料電池10を湿潤状態にして性能を向上させる(つまり、膜抵抗値を小さくして高出力要請にすばやく対応する)必要がある。
なお、アクセル71の開度が大きくなった時点において、既に燃料電池10が充分に加湿されていれば、高出力要請に対して瞬時に対応できる。このような高性能を実現するため、本実施形態では、以下に示す手順にしたがって乾燥運転及び加湿運転を行う。
<燃料電池システムの動作1>
次に、図3〜図5に示すタイムチャートを参照しつつ、図6〜図11示すフローチャートを用いて燃料電池システム1の動作を説明する。なお、図3〜図5に示す時刻t0,t1,・・・,t5は、それぞれ共通であり、時間が経過するにしたがって各検出値、フラグ、指令値などが連動して推移していく。
また、図3〜図5のそれぞれのタイムチャートの具体的な意味については、フローチャートの説明と並行して順次説明していく。
図3(a)に示す「要求出力」とは、走行モータ55(負荷)などの駆動に必要となる出力電力を意味し、ECU60によって算出される。
また、図3(d)に示す「FC出力」とは、燃料電池10からの出力電力を意味し、出力検出器51(図1参照)によって検出される。
また、図3(e)に示す「FC電流」とは、燃料電池10からの出力電流を意味し、出力検出器51によって検出される。
なお、「FC出力」及び「FC電流」は、燃料電池10のアノード流路11(図1参照)を通流する水素(アノードガス)の流量、カソード流路12を通流する空気(カソードガス)の流量、燃料電池10の湿潤度などによって決まる。
ECU60は、前記した要求出力に応じてコンプレッサ31(図1参照)などの駆動を制御し、燃料電池10から所定の電力を取り出すようになっている。
図3(及び図4、図5)に示すように、時刻t0〜t1において燃料電池システム1は、高負荷運転を行っている。ここで、「高負荷運転」とは、燃料電池10から出力される電流(FC電流:図3(e)参照)が、前記した高負荷領域にある状態を意味している。(式1)、(式2)を用いて説明したように、このような高負荷運転を実行した場合、燃料電池10で生成される水の量が増える。その結果、燃料電池10は加湿され、FC湿潤度W(例えば、85%)以上の高い値となる(図5(e)の時刻t0〜t1参照)。
ちなみに、図3(e)に示すように、FC電流が高負荷領域及び低負荷領域のうちいずれであるかは、閾値I(例えば、180A)を基準として判定される。
そして、時刻t1において運転者の操作によりアクセル71(図1参照)の開度が小さくなると、それに応じて要求負荷も小さくなり(図3(a)参照)、FC電流が閾値Iを下回って低負荷領域に入る(図3(e)参照)。
次に、前記判断過程を含め、図6〜図11のフローチャートを用いてECU60の処理を順次説明する。
図6のステップS101においてECU60は、出力検出器51(図1参照)から入力される燃料電池10の出力電流(FC電流)が、閾値I以下であるか否かを判定する。
なお、閾値Iの値は、実験やシミュレーションに基づく値であり、予め記憶手段(図示せず)に格納されている。
FC電流が閾値I以下である場合(S101→Yes)、ECU60の処理はステップS102に進む。ちなみに、図3(e)に示す「FC電流」が、時刻t1において閾値I以下となる過程が、この場合に対応する。
一方、FC電流が閾値Iより大きい場合(S101→No)、ECU60の処理はステップS103に進む。
ステップS102においてECU60は、発電レート積算値に低負荷発電レートを加算する。ここで、「低負荷発電レート」とは、FC電流の値が閾値I以下の低負荷領域にある場合に逐次加算される正の値であり、予め記憶手段(図示せず)に格納されている。
図3(e)の時刻t1〜t2では、FC電流が、閾値I以下の低負荷領域にある。したがって、図3(f)の時刻t1〜t2において燃料電池10の乾燥が進み、低負荷発電レートが逐次加算されていくため、発電レート積算値Fは徐々に増加していく。
なお、「発電レート積算値」(図3(f)参照)とは、燃料電池10の湿潤状態(乾燥度合い、及び、乾燥状態の継続)を示す値であり、発電レート積算値が大きいほど燃料電池10の湿潤度は低く、乾燥している。
このように、FC電流が閾値Iより小さい(つまり、燃料電池10で生成される水の量が少ない)場合に低負荷発電レート(正の値)を逐次加算していくことで、燃料電池10の湿潤度を発電レート積算値に反映させることができる。
ステップS103においてECU60は、発電レート積算値に高負荷発電レートを加算する。ここで、「高負荷発電レート」とは、FC電流の値が閾値Iより大きい高負荷領域にある場合に逐次加算される負の値であり、予め記憶手段(図示せず)に格納されている。
例えば、図3(e)の時刻t2〜t3では、FC電流が、閾値Iより大きい高負荷領域にある。したがって、図3(f)の時刻t2〜t3において、発電レート積算値Fは徐々に減少していく。
このように、FC電流が閾値Iより大きい(つまり、燃料電池10で生成される水の量が多い)場合に、発電レート積算値に高負荷発電レート(負の値)を逐次加算していくことで、燃料電池10の湿潤度を発電レート積算値に反映させることができる。
ステップS104においてECU60は、発電レート積算値Fが、所定の閾値F1未満であるか否かを判定する。発電レート積算値Fが閾値F1未満である場合(S104→Yes)、ECU60の処理はステップS105に進む。
ステップS105においてECU60は、乾燥モードで低負荷運転を実行し、ステップS101の処理に戻る。なお、「乾燥モード」とは、比較的小さな要求出力(図3(a)の時刻t1〜t2参照)に対応して、所定のFC電流を出力する運転モードである。この場合、燃料電池10内で生成される水の量が少ないため、燃料電池10は徐々に乾燥していく(図5(e)参照)。
なお、図5(e)に示す「FC湿潤度」は、燃料電池10に含有可能な水量を100%とした場合の値であり、燃料電池10の湿潤度合いを意味している。
(2.乾燥モード)
次に、図7を用いて乾燥モード時の処理について説明する。
図7のステップS1051においてECU60は、アクセル71の開度に応じてコンプレッサ31の駆動を制御し、水素圧・エア圧を通常の値とする。ここで、「通常」とは、運転者によるアクセル71の操作に応じた電力を生成する(つまり、それを超える電力を生成するものではない)ことを意味している。
また、「水素圧」とは、水素圧センサ25によって検出される水素の圧力であり(図1、図3(b)参照)、「エア圧」とは、エア圧センサ35によって検出される空気の圧力である(図1、図3(c)参照)。
ステップS1052においてECU60は、冷媒ポンプ41(図1参照)が備えるモータの回転速度を通常の値とする。すなわち、図4(d)に示すように、FC電流が低負荷領域にある時刻t1〜t2において、ECU60は、冷媒ポンプ41を回転速度P1(例えば、定格の20%)で回転させる。
ステップS1053においてECU60は、水素ポンプ27(図1参照)の駆動をOFFにする。次に、ステップS1054においてECU60は、エアポンプ36(図1参照)の駆動をOFFにする。すなわち、ECU60は、図5(b),(c)の時刻t1〜t2において水素ポンプ27及びエアポンプ36を停止させる。なお、水素ポンプ27及びエアポンプ36は、後記する加湿モードにおいて駆動される。
ステップS1055においてECU60は、加湿器バイパス弁34(図1参照)の開度を通常とする。すなわち、ECU60は、図4(c)の時刻t1〜t2において加湿器バイパス弁34を開度B1(例えば、全開の80%)にする。これによって、比較的乾燥した空気がカソード流路12に流入する。
再び、図6に戻って説明を続ける。ステップS104において発電レート積算値Fが閾値F1以上である場合(S104→No)、ECU60の処理はステップS106に進む。前記したように、発電レート積算値には燃料電池の湿潤度が反映されている。したがって、発電レート積算値Fが閾値F1以上である場合、燃料電池10の湿潤度が所定値以下(例えば、10%以下)であると推定される。
ステップS106においてECU60は、低負荷連続運転実績フラグをONにする。つまり、図4(a)に示すように、発電レート積算値Fが閾値F1に達する時刻t2において、ECU60は低負荷連続運転実績フラグをONにする。
次に、ステップS107においてECU60は、高出力準備処理(湿潤度調整ステップ)を実行する。
なお、「高出力準備処理」とは、要求出力が急増した場合でも瞬時に対応できるように燃料電池10を予め加湿しておく処理を意味している。
すなわち、発電レート積算値Fが閾値F1より大きくなると(つまり、燃料電池10の乾燥度合いが大きくなると:図3(f)、図5(e)参照)、ECU60は低負荷連続運転実績フラグをONにし(図4(a)参照)、燃料電池10を加湿する高出力準備処理を開始する。
(3.高出力準備処理)
次に、図8を用いて高出力準備処理について説明する。ステップS201においてECU60は、加湿器バイパス弁34(図1参照)の開度を絞る。つまり、図4(c)に示すように、時刻t2においてECU60は、加湿器バイパス弁34の開度をB1(例えば、全開の80%)からB2(例えば、全開の5%)に絞る。これによって、加湿器33に流入する空気の流量を増加させ、加湿された空気をアノード流路11に流入させることができる。
ステップS202においてECU60は、バッテリ53の充電量(State Of Charge:SOC)が、閾値V(上限値)より低いか否かを判定する。なお、バッテリ53の充電量は、電圧センサ54(図1参照)によって検出される電圧値に基づいて算出される。バッテリ53の充電量が閾値Vより低い場合(S202→Yes)、ECU60の処理はステップS203に進む。一方、バッテリ53のSOCが閾値V以上である場合(S202→No)、ECU60の処理はステップS206に進む。
ステップS203においてECU60は、バッテリ53の充電量が閾値V(中央値)より低いか否かを判定する。なお、閾値Vは、閾値Vよりも低い所定の電圧閾値である。バッテリ53の充電量が閾値Vより低い場合(S203→Yes)、ECU60の処理はステップS204に進む。一方、バッテリ53のSOCが閾値V以上である場合(S203→No)、ECU60の処理はステップS205に進む。
次に、ステップS204においてECU60は、加湿モード1で高負荷運転を実行する。例えば、図5(f)に示す時刻t2におけるバッテリ53の充電量は、比較的低くなっている。つまり、バッテリ53をさらに充電する余裕がある。この場合、ECU60は、要求出力に対応する電力よりも大きな電力を生成して、バッテリ53を充電しつつ燃料電池10を加湿する「加湿モード1」を実行する。
また、ステップS205においてECU60は、加湿モード2で高負荷運転を実行する。加湿モード2は、バッテリ53のSOCが比較的高い(V<SOC≦V)場合に実行される加湿モードである。
また、ステップS206においてECU60は、代替加湿モードで高負荷運転を実行する。代替加湿モードは、バッテリ53がほぼ満充電の状態になっている(SOC>V)場合に実行される加湿モードである。
次に、前記した3つの加湿モードについて順次説明する。
(3−1.加湿モード1)
図10(a)のステップS2041においてECU60は、高出力要請準備目標電流をセットする。ちなみに、「高出力要請準備目標電流」とは、要求出力に対応する電流よりも大きい所定の電流値であり、要求出力に応じて適宜設定される。
ステップS2042においてECU60は、水素圧及びエア圧を上昇させる。つまり、ECU60は、前記した高出力要請準備目標電流に対応させるように、コンプレッサ31(図1参照)が備えるモータの回転速度を上昇させてエア圧を高くする。なお、それに応じて減圧弁23の開度が変化し、水素圧が高くなる。
そうすると、前記した(式1)、(式2)の反応が促進され、より多くの水が生成される。なお、加湿モード1を実行する際、燃料電池10の余剰電力はバッテリ53(図1参照)に充電される。
(3−2.加湿モード2)
図10(b)に示すステップS2051,S2052の処理は、図10(a)に示す加湿モード1のステップS2041、S2042と同様であるから説明を省略する。
ステップS2053においてECU60は、冷媒ポンプ41(図1参照)が備えるモータ(図示せず)の回転速度を上昇させる。すなわち、図4(d)に示す時刻t1〜t2においてECU60は、冷媒ポンプ41が備えるモータの回転速度をP1(例えば、定格の20%)からP2(例えば、定格の60%)に上昇させる。
これによって、燃料電池10を冷却して凝縮水を発生させ、より効果的に燃料電池10を加湿することができる。ちなみに、図5(a)では、前記した(式1)、(式2)の反応が活性化しているため、燃料電池10の温度(つまり、冷媒温度)が上昇している。
ステップS2054においてECU60は、水素ポンプ27(図1参照)を駆動させる。つまり、図5(b)に示す時刻t1〜t2においてECU60は、水素ポンプ27が備えるモータを回転速度H2(例えば、定格の80%)で駆動させる。
ステップS2055においてECU60は、エアポンプ36(図2参照)を駆動させる。つまり、図5(c)に示す時刻t1〜t2においてECU60は、エアポンプ36が備えるモータを回転速度A2(例えば、定格の80%)で駆動させる。
このように、水素ポンプ27及びエアポンプ36を駆動させることによって、図1に示す配管a8,a4を介してアノード流路11にアノードオフガスが流入すると共に、配管b9,b3を介してカソード流路12にカソードオフガスが流入する。したがって、前記した(式1)、(式2)の反応が促進されると共に、燃料電池10の固体高分子膜から溢れ出た余分な水を排出し、フラッディングを抑制することができる。
なお、水素ポンプ27及びエアポンプ36のうち、いずれか一方のみを駆動してもよい。
また、このように各ポンプを駆動させた場合でも、加湿モード1では、燃料電池車の走行及び各機器の駆動に必要となる量を上回る電力が生成される。この余剰電力は、バッテリ53(図1参照)に充電される。つまり、図5(f)に示す時刻t2〜t3において、バッテリ53のSOCは徐々に上昇していく。
ちなみに、水素ポンプ27及びエアポンプ36をバッテリ53からの電力で駆動してもよい。
(3−3.代替加湿モード)
図11のステップS2061においてECU60は、電流指令値をセットする。なお、当該電流指令値は、要求出力電流に対応する値であり、前記した高出力要請準備目標電流より小さい。
また、代替加湿モードを行う際には、バッテリ53がほぼ満充電の状態となっているため、バッテリ53への充電は行わない。したがって、バッテリ53に充電された電力を使用する場合、バッテリ53のSOCは徐々に減少していく(図5(f)参照)。
図11のステップS2062〜S2065は、図10(b)のステップS2052〜S2055と同様であるため、詳細な説明は省略する。
代替加湿モードを行う時刻t4〜t5において冷媒ポンプ41が駆動されると共に(図4(d)参照)、水素ポンプ27及びエアポンプ36が駆動される(図5(b),(c)参照)。
そうすると、時刻t4〜t5において冷媒温度が上昇し(図4(a)参照)、水素圧及びエア圧が上昇する(図3(b),(c)参照)。これによって、図4(e)に示すように、FC湿潤度が急速に上昇する。
このように、代替加湿モードで低負荷運転を実行することによって、水素圧及びエア圧を上昇させて前記(式1)、(式2)の反応を促進させると共に、冷媒ポンプ41が備えるモータの回転速度を上昇させ、燃料電池10を適温にする。これによって、燃料電池10を加湿し、その後の高出力要求に備えることができる。また、水素ポンプ27及びエアポンプ36を駆動することによって余分な水を排出し、燃料電池10のフラッディングを防止することができる。
再び、図8に戻って説明を続ける。ステップS207においてECU60は、発電レート積算値Fに高負荷発電レートを加算する。ちなみに、高負荷発電レートは、前記したように負の値である。したがって、図3(f)の時刻t2〜t3において加湿モード2を実行する際、及び、時刻t4〜t5において代替加湿モードを実行する際、発電レート積算値Fは、徐々に減少していく。これは、燃料電池10が徐々に加湿される過程(つまり、乾燥度合いが減少する過程)に対応している。
ステップS208においてECU60は、高出力準備完了フラグがONであるか否かを判定する。高出力準備完了フラグがONである場合(S208→Yes)、ECU60の処理はステップS211に進む。一方、高出力準備完了フラグがOFFである場合(S208→No)、ECU60の処理はステップS209に進む。
ステップS209においてECU60は、加湿運転を開始してから所定時間Δt1が経過したか否かを判定する。ちなみに、所定時間Δt1は、前記した加湿運転による効果が燃料電池10の湿潤状態に反映されるまでの遅れを想定した時間である。
加湿運転を開始してから所定時間Δt1が経過している場合(S209→Yes)、ECU60の処理はステップS210に進む。一方、加湿運転を開始してから所定時間Δt1が経過していない場合(S209→No)、ECU60の処理はステップS202に戻る。
ステップS210においてECU60は、高出力準備完了フラグをONにする(図4(b)参照)。ちなみに「高出力準備完了フラグ」とは、燃料電池10が充分に湿潤し、高出力運転を行う準備ができたことを示すフラグである。
ステップS211においてECU60は、発電レート積算値Fが閾値F2以下であるか否かを判定する。つまり、ECU60は、図3(f)の時刻t2〜t3において徐々に減少する発電レート積算値が閾値F2以下になるか否かを、所定のサイクルタイムごとに監視する。
ステップS212においてECU60は、低負荷連続運転実績フラグをOFFにする(図4(a)参照)。これは、加湿モードを終了する際のトリガとなる。
次に、ステップS213においてECU60は、再び乾燥モードで低負荷運転を実行する。すなわち、ECU60は、加湿器バイパス弁34の開度を通常の値とし(図4(c)参照)、冷媒ポンプ41の回転速度を通常の値とする(図4(d)参照)。
これによって、FC出力(図3(d)参照)及びFC電流(図3(e)参照)は、要求出力(図3(a)参照)に応じた通常の値になる。なお、加湿モード2が終了した時刻t3において、燃料電池10は充分に湿潤されている(図5(e)参照)。また、バッテリ53は、ほぼ満充電の状態になっている(図5(f)参照)。
次に、ステップS214においてECU60は、乾燥モード開始から所定時間Δt2が経過したか否かを判定する。なお、所定時間Δt2は、乾燥モードを開始してから(つまり、加湿モードを終了してから)、燃料電池10が高湿潤状態を保っている時間である。
乾燥モード開始から所定時間Δt2が経過した場合(S214→Yes)、ECU60の処理はステップS215に進む。一方、乾燥モード開始から所定時間Δt2が経過していない場合(S214→No)、ECU60はステップS214の処理を繰り返す。次に、ステップS215においてECU60は、高出力準備完了フラグをOFFにする。(図4(b)参照)。
なお、ステップS215の処理を実行した後、ECU60の処理は、再び図6のステップS101に戻る。
例えば、時刻t5付近において要求出力が増加し(図5(a)参照)、水素圧センサ25によって検出される水素圧と目標水素圧との差が大きくなった場合でも(図5(d)参照)、以下のように即座に対応できる。すなわち、前記差の増加に応じてコンプレッサ31の回転速度を上昇させることによって(図4(e)参照)、エア圧が上昇する(図3(c)参照)。そうすると、エア圧の上昇に応じて減圧弁23の開度が大きくなり、水素圧も上昇する(図3(b)参照)。
ここで、時刻t4〜t5において実行した代替加湿モードにより、燃料電池10は充分に加湿されている。したがって、前記(式1)、(式2)の反応がスムーズに進むため、FC電流及びFC出力は、要求出力に応じて速やかに上昇する(図3(d),(e)参照)。
<燃料電池システムの動作2>
次に、図12〜図14に示すタイムチャートを参照しつつ、図15〜図20に示すフローチャートを用いて燃料電池システム1の動作を説明する。なお、図12〜図14に示す時刻t6,t7,・・・,t12は、それぞれ共通であり、時刻が経過するにしたがって各検出値、フラグ、指令値などが連動して推移していく。
図15のステップS30においてECU60は、加速判定処理を実行する。ここで、「加速判定処理」は、要求出力の増加(要求出力に対応する目標水素圧の偏差)に基づいて判定される。
次に、ステップS40においてECU60は、判定結果に応じた加速制御処理を実行する。すなわち、ECU60は、要求出力に応じるために必要な目標水素圧の偏差(増加率)に応じて、加速制御処理を実行する。
(4.加速判定処理)
図16のステップS301においてECU60は、高負荷発電実績フラグがONであるか否かを判定する。なお、高負荷発電実績フラグとは、加速を開始した時刻から所定時間Δt5後にONされるフラグである(図13(e)参照)。
高負荷発電実績フラグがONである場合(S301→Yes)、ECU60の処理はステップS302に進む。一方、高負荷発電実績フラグがOFFである場合(S301→No)、ECU60の処理はステップS304に進む。
ステップS302においてECU60は、高負荷発電実績フラグをONにしてから所定時間Δt3が経過したか否かを判定する。高負荷発電実績フラグをONにしてから所定時間Δt3が経過した場合(S302→Yes)、ECU60の処理はステップS303に進む。一方、高負荷発電実績フラグをONにしてから所定時間Δt3が経過していない場合(S302→No)、ECU60の処理は図17のステップS401に進む。
これは、高負荷発電フラグをONにしてから所定時間Δt3が経過するまでは、燃料電池10が高湿潤の状態を保っており、通常制御で足りるからである。
ステップS303においてECU60は、高負荷発電実績フラグをOFFにして、ステップS304の処理に進む。例えば、図13(e)の時刻t7から所定時間Δt3が経過すると、ECU60は、高負荷発電実績フラグをONからOFFに切り替える。
ステップS304においてECU60は、発電レート積算値Fが所定の閾値F1以上であるか否かを判定する。発電レート積算値Fが閾値F1以上である場合(S304→Yes)、ECU60の処理はステップS305に進む。一方、発電レート積算値Fが閾値F1未満である場合(S304→No)、ECU60の処理はステップS401(図17参照)に進む。
ステップS305においてECU60は、低負荷連続運転実績フラグをONにする。例えば、図12(e)の時刻t9において、発電レート積算値Fは閾値F1に達する(つまり、燃料電池10の乾燥状態が所定時間継続する)。そうすると、図13(d)に示すように、ECU60は、低負荷連続運転実績フラグをOFFからONに切り替える。
ステップS306においてECU60は、燃料電池10の電流指令値が負荷領域判定閾値I以上であるか否かを判定する。なお、負荷領域判定閾値Iは、電流指令値が、前記した高負荷領域にあるか否かを判定する際の閾値である。
燃料電池10の電流指令値が負荷領域判定閾値I以上である場合(S306→Yes)、ECU60の処理はステップS307に進む。一方、燃料電池10の電流指令値が負荷領域判定閾値I未満である場合(S306→No)、ECU60の処理はステップS401(図17参照)に進む。
ステップS307においてECU60は、目標水素圧の偏差が所定値P以上であるか否かを判定する。なお、目標水素圧の偏差は、要求出力の増加率に対応する。目標水素圧の偏差が所定値P以上である場合(S307→Yes)、ECU60の処理はステップS308に進む。一方、目標水素圧の偏差が所定値P未満である場合(S307→No)、ECU60の処理はステップS401(図17参照)に進む。
ステップS308においてECU60は、燃料電池10の加速準備が完了したか否かを判定する。なお、加速準備が完了したか否か(つまり、燃料電池10が充分に加湿されているか否か)は、例えば、発電レート積算値Fが所定値以上であるか否かに基づいて判定することができる。
例えば、図12(e)の時刻t10において発電レート積算値はF1であり、高い値となっている(つまり、燃料電池10が乾燥している:図14(b)参照)。また、図13(a)の時刻t10においてアクセル71の開度が急に大きくなり、目標水素圧の偏差が所定値Pに達している。
このとき、通常の制御を行うとすると、急加速の要求に即座に対応できない。したがって、ECU60は、アクセル71の開度が急に大きくなった場合に、目標水素圧の偏差や電流指令値などに応じて、後記する急加速運転制御、加速運転制御、又は通常制御を実行する。
再び、図16に戻って説明を続ける。燃料電池10の加速準備が完了している場合(S308→Yes)、ECU60の処理はステップS401(図17参照)に進む。一方、燃料電池10の加速準備が完了していない場合(S309→No)、ECU60の処理はステップS309に進む。
ステップS309においてECU60は、電流指令値が急加速判定閾値Ia以上であるか否かを判定する。なお、急加速判定閾値Iaは、前記した負荷領域判定閾値Iより大きい所定値である。
電流指令値が急加速判定閾値Ia以上である場合(S309→Yes)、ECU60の処理はステップ310に進む。一方、電流指令値が所定値Ia未満である場合(S309→No)、ECU60の処理はステップS311に進む。
ステップS310においてECU60は、急加速確定フラグをONにする。また、ステップS311においてECU60は、加速確定フラグをONにする。
(5.判定結果に応じた加速制御処理)
図17のステップS401においてECU60は、加速後タイマをスタートする。なお、加速後タイマの値は、後記する高負荷発電実績フラグをONにする際、用いられる(図18のS416参照)。
ステップS402においてECU60は、急加速判定確定フラグがONであるか否かを判定する。急加速判定確定フラグがONである場合(S402→Yes)、ECU60の処理はステップS404に進む。一方、急加速判定確定フラグがOFFである場合(S402→No)、ECU60の処理はステップS403に進む。
ステップS403においてECU60は、加速判定確定フラグがONになっているか否かを判定する。加速判定確定フラグがONである場合(S403→Yes)、ECU60の処理はステップS405に進む。一方、加速判定確定フラグがOFFである場合(S403→No)、ECU60の処理はステップS413に進む。
ステップS404においてECU60は、急加速運転制御を実行する。また、ステップS405においてECU60は、加速運転制御を実行する。
(5−1.急加速運転制御)
次に、図19を用いて、急加速運転制御について説明する。なお、急加速運転制御及び加速制御は、アクセル71の開度が急に大きくなった時点において加速準備が完了していない(つまり、燃料電池10が充分に加湿されていない)場合に実行される制御である。
ステップS4041においてECU60は、加湿器バイパス弁34(図1参照)の開度を絞る。例えば、図13(c)の時刻t10においてECU60は、加湿器バイパス弁34を所定量だけ絞る。これによって加湿器33に流入する空気の流量(比率)が増加し、加湿された空気が配管b3を介してカソード流路12に流入する。
ステップS4042においてECU60は、作動エア圧をセットする。なお、作動エア圧は、急加速制御が実行されるように予め設定される値である。これに応じて、図12(b)の時刻t10においてエア圧が上昇する。さらに、エア圧の上昇に応じて減圧弁23の開度が大きくなり、水素圧も上昇する(図12(a)参照)。
ステップS4043においてECU60は、エアポンプ36の回転速度をセットする。なお、最大限の正味出力(走行モータ55への出力)が得られるように、エアポンプ36の回転速度を制限する。
ステップS4044においてECU60は、冷媒ポンプ41の回転速度をセットする。なお、最大限の正味出力が得られるように、冷媒ポンプ41の回転速度も制限する。つまり、図14(c)の時刻t10において、冷媒ポンプ41の回転速度を低下させる
その結果、前記した(式1)、(式2)の反応が促進して燃料電池10が加湿され(図14(b)参照)、FC出力及びFC電流が急上昇する(図14(c),(d)参照)。つまり、急加速の要求があった時点において燃料電池10が乾燥状態であっても、水素ポンプ27、エアポンプ36及び冷媒ポンプ41を含む「補機」の電力消費を低減させつつ、燃料電池10を加湿する。これによって、補機の電力消費が低減されたぶん、外部負荷(走行モータ)への正味出力が一時的に急増され、急加速の要求に適切に応じることができる。
(5−2.加速運転制御)
次に、図20のステップS4051においてECU60は、加湿器バイパス弁34(図1参照)の開度を絞る。次に、ステップS4052においてECU60は、作動エア圧を加速用マップから読み込む。なお、当該加速用マップは、燃料電池10の状態などに応じて作動エア圧を出力するための実験などにより予め設定され、記憶手段(図示せず)に格納されている。
再び、図17に戻って説明を続ける。ステップ406においてECU60は、加速後高負荷発電カウンタの減算を開始する(図13(b)の時刻t10参照)。なお、加速後高負荷発電カウンタは、後記する低負荷連続運転実績フラグなどをOFFする際のトリガとなる。また、加速後高負荷発電カウンタによってカウントされる時間Δt4(図13(b)参照)は、加速又は急加速の要求があった場合に、通常制御に移行しても適切に対応できる湿潤状態とするための加湿に要する時間である。
ステップS407においてECU60は、加速後高負荷発電カウンタの値Cがゼロであるか否かを判定する。加速後高負荷発電カウンタの値Cがゼロである場合(S407→Yes)、ECU60の処理はステップS409に進む。一方、加速後高負荷発電カウンタの値Cがゼロでない場合(S407→No)、ECU60の処理はステップS408に進む。
ステップS408においてECU60は、電流指令値が負荷領域閾値I未満であるか否かを判定する。なお、負荷領域判定閾値Iは、電流指令値が、前記した高負荷領域にあるか否かを判定する際の閾値である。
電流指令値が負荷領域閾値I未満である場合(S408→Yes)、ECU60の処理はステップS409に進む。一方、電流指令値が負荷領域閾値I以上である場合(S408→No)、ECU60の処理はステップS406に戻る。
ステップS409においてECU60は、低負荷連続運転実績フラグをOFFにする。例えば、図13(b)に示す時刻t10から時間Δt4をカウントする場合、図12(e)に示す発電レート積算値は、時刻t10から時間Δt4後の時刻t11に閾値F2を下回る(つまり、時刻t11において燃料電池10は充分に加湿されている:図14(b)参照)。したがって、急加速運転の直後は燃料電池10を加湿する必要はないため、前記したように低負荷連続運転実績フラグをOFFにする。
次に、ステップS410においてECU60は、急加速判定確定フラグをOFFにする。次に、ステップS411においてECU60は、加速判定確定フラグをOFFにする。
そして、ステップS412においてECU60は、加速後高負荷発電カウンタをリセットする。
次に、図18のS413においてECU60は、通常制御のプログラムを記憶手段(図示せず)から読み出す。これは、加速運転又は急加速運転を行った場合でも、所定時間Δt4(図13(b)参照)の間に燃料電池10が加湿されることで、通常制御に移行できるためである。
ステップS414においてECU60は、所定負荷まで減速したか否かを判定する。ちなみに、所定負荷は、高負荷発電実績フラグをONにする必要がないと判断する際の閾値となる出力である。
所定負荷まで減速した場合(S414→Yes)、ECU60の処理はステップS417に進む。一方、所定負荷まで減速していない場合(S414→No)、ECU60の処理はステップS415に進む。
ステップS415においてECU60は、加速運転を開始してから所定時間Δt5が経過したか否かを判定する。加速運転を開始してから所定時間Δt5が経過している場合(S415→Yes)、ECU60の処理はステップS416に進む。一方、加速運転を開始してから所定時間Δt5が経過していない場合(S415→No)、ECU60の処理はステップS414に戻る。
ステップS416においてECU60は、高負荷発電実績フラグをONにする(図13(e)参照)。ちなみに、高湿潤状態が継続すると燃料電池10は徐々に劣化する可能性がある。したがって、少なくとも高負荷運転終了から所定時間Δt3が経過するまでは(図13(e)参照)、低負荷運転(乾燥モード)を行って燃料電池10を乾燥させる。
次に、ステップS417においてECU60は、加速後タイマをリセットする。
なお、低負連続運転実績フラグと高負荷発電実績フラグとがいずれも立つ場合、高負荷発電実績フラグを優先し、通常制御とすることが好ましい。
<フラッディングの抑制>
前記した急加速運転では、カソード循環流路に設置されているエアポンプ36の駆動を制限することによって、走行モータ55に供給される正味出力を最大限に引き出している。
例えば、図21(a)に示すように、エアポンプ36消費電力をP2からP1に減少させて通常制御から専用制御(補機の出力を制限する制御)に移行した場合、燃料電池10に供給されるエア流量はQ2からQ1に減少する。
この場合、図21(b)に示すように、燃料電池10の安定発電度はα2からα1に減少する。さらに、エアポンプ36の消費電力がP1を下回るとカソードガスの供給不足となり、安定発電度が急速に低下する。したがって、所定値以上の安定発電度を確保しつつ、最大限の正味出力を引き出すように、エアポンプ36の回転速度を適度に低下させることが好ましい。
≪効果≫
本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、低負荷運転時において、条件に応じて定期的に燃料電池10を加湿する加湿運転を実行する。ここで、燃料電池10の出力電流が低負荷領域にある場合(S101→Yes)、発電レート積算値に低負荷発電レート(正の値)を逐次加算していく(S102)。一方、燃料電池10の出力電流が高負荷領域にある場合(S101→No)、発電レート積算値に高負荷発電レート(負の値)を逐次加算していく(S103)。これによって、燃料電池10の湿潤状態を発電レート積算値に適切に反映させることができる。
また、高湿潤状態が長時間継続すると、燃料電池10のセルなどが劣化する可能性がある。したがって、加湿モードを開始してから所定時間が経過すると(つまり、発電レート積算値が所定値未満になると:S104→Yes)、速やかに乾燥モードに移行する(S105)。これによって、燃料電池10の劣化を抑制できる。
このように、燃料電池10の加湿状態を適切にコントロールすることで、アクセル71の開度が大きくなって要求出力が急増した場合でも、燃料電池10での電極反応がスムーズに進むため、前記要求出力に対して瞬時に応じることができる。
また、加湿モードを実行する際、バッテリ53に余裕がある場合には充電し(S204)、バッテリ53に余裕がない場合には冷媒ポンプ41などの回転速度を上昇させる(S206)。したがって、燃料電池10で生成された余剰電力の収支を図り、無駄な電力消費をなくすことができる。なお、冷媒ポンプ41の回転速度を上昇すると、燃料電池10が急冷却されて凝縮水が増加するため、燃料電池10の含水量を増加させ、電極反応を促進させることができる。
また、本実施形態では、燃料電池システム1にインピーダンス計測装置を搭載する必要がなく、湿潤状態などを求めるプログラムをECU60に予め組み込んでフィードフォワード制御を実行する。したがって、ECU60の処理負荷を軽減できると共に、コストを削減できる。
また、コンプレッサ31の下流側にインタークーラ32を設けることで、圧縮されて高温・高圧になったカソードガス(空気)を適度に冷却し、燃料電池10のカソード流路12に供給することができる。
また、前記した加湿制御によって燃料電池10内で凝縮水が増加する。そうすると、カソード流路12及びアノード流路11においても凝縮水が発生し、水分過多になる可能性がある。したがって、アノード側に設けられている水素ポンプ27を駆動してアノード流路11内の余分な水を排出し(S2054,S2064)、カソード側に設けられているエアポンプ36を駆動してカソード流路12内の余分な水を排出する(S2055,S2065)。
これによって、前記した(式1)、(式2)の反応が促進されると共に、燃料電池10の固体高分子膜から出た余分な水を掃気して、フラッディングを抑制することができる。
ちなみに、水素ポンプ27やエアポンプ36によって凝縮水を排出しても、固体高分子膜には適度な水が保有される。これによって、燃料電池10におけるフラッディングの発生を抑制すると共に、燃料電池10を良好な高湿潤の状態にすることができる。
また、要求出力が急増した場合に燃料電池10が充分に湿潤していなくとも(S307→Yes)、エアポンプ36の出力を下げて供給流量を低減し(S4043)、冷媒ポンプ41の出力を下げて冷媒の循環流量を低減する(S4044)。このように、これら補機への出力を一時的に低減することで浮いた電力を、走行モータ55に振り分けることができる。したがって、走行モータ55への正味出力を最大限に引き出すことができる。
また、アノード流路11内、及び、カソード流路12内にたまった余分な水を、水素ポンプ27やエアポンプ36によって排出することで、燃料電池10の固体高分子膜を充分に加湿しつつ、フラッディングを確実に防止することができる。
また、水素センサによって検出される水素圧と、目標水素圧との差に基づいて、通常制御、加速運転制御、又は急加速制御を行うことによって、燃料電池10の状態に応じたきめ細かい制御を行うことができる。
図22は、高出力要求があった場合における燃料電池10の出力の時間的変化を示すグラフである。図22に示すように、高出力要求時において通常の乾燥運転(つまり、要求出力に対応した発電)を行っている場合、燃料電池10が充分に加湿されるまでに所定時間(t−t)がかかる。
これに対して、本実施形態に係る加湿潤運転を実行した場合、高出力要求があった時刻tにおいて燃料電池10は充分に加湿されている。したがって、高出力要求に応じて燃料電池10の出力電力を増加させ、速やかにFC出力Wを得ることができる。
また、要求出力が急増した場合に燃料電池10が充分に湿潤していなくとも、補機への出力を制限する専用運転を実行することで、加湿運転よりも短時間でFC出力Wを得ることができる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る燃料電池システム1について前記実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更などを行うことができる。
例えば、前記実施形態では、発電レート積算値の値に基づいて燃料電池10の湿潤度を推定する場合について説明したが、これに限らない。
例えば、前記実施形態では、燃料電池10への要求出力に応じた出力電流が所定値未満である状態が所定時間を超えて継続した場合、ECU60が燃料電池10の湿潤度を所定値未満と判定してもよい。
また、燃料電池10への要求出力に応じた出力電流が所定値未満であると共に、前記要求出力に応じた出力電力の積算量が所定量を超えた場合、ECU60が燃料電池10の湿潤度を所定値未満と判断してもよい。
また、前記実施形態では、発電レート積算値の算出に際し、低負荷発電レート及び高負荷発電レートとして固定値を用いる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、低負荷発電レート及び高負荷発電レートが、燃料電池10の出力電流の値に応じて適宜設定してもよい。
また、前記した加湿モードにおいて、バッテリ53の電力消費が順調である場合には、水素ポンプ27及び/又はエアポンプ36を使用しないようにしてもよい。
また、加湿モードと代替加湿モードを組み合わせてもよい。すなわち、エアポンプ36などの補機に電力供給しつつ、余剰電力をバッテリ53に充電してもよい。これによって、より速やかに燃料電池10を加湿できると共に、無駄な電力消費を低減できる。
また、前記した代替加湿モードを実行する場合、水素ポンプ27及びエアポンプ36を駆動することとしたが、いずれか一方を駆動することとしてもよい。また、急加速運転時における水素ポンプ27及びエアポンプ36についても同様である。
また、前記した補機への電力供給を制限する専用運転を行う際に、エアポンプ36及び水素ポンプ27を停止させてもよい。これによって、より大きな正味電力を得ることができる。
また、前記で説明した急加速運転制御を実行する際、冷媒ポンプ(補機)などの消費電力を低減させることとしたが、これに限らない。
例えば、配管b7(図1参照)に背圧弁(圧力調整手段:図示せず)を設け、ECU60が当該背圧弁の開度を絞ることによって、カソード流路12を通流する空気の圧力を増加させてもよい。これによって、燃料電池10内の水蒸気が凝縮しやすくなり、生成された凝縮水によって燃料電池10が加湿される。
また、前記で説明した急加速(又は加速)運転制御を実行する際、ECU60が、負荷から燃料電池10への要求出力を超えるように出力制御を実行してもよい。これによって、燃料電池での電極反応が促進され、生成される水によって加湿できる。
なお、余剰電力については、バッテリ53の充電量が所定値以上である場合、冷媒ポンプ41の回転速度を上昇に用い、バッテリ53の充電量が所定値未満である場合、バッテリ53に充電する。
また、前記実施形態では、インピーダンス装置を用いない場合について説明したが、これに限らない。すなわち、燃料電池10にインピーダンス装置を接続し、計測したインピーダンスをECU60に出力することとしてもよい。
この場合、インピーダンス装置を状態量の補正用として使用することができる。例えば新品時の設定パラメータに対し劣化補正をかける際に、インピーダンス運用初期からの偏差にて劣化補正係数を算出し、予め設定された運転条件(加湿制御MAP)にフィードバックすることができる。
すなわち、図23(a)に示すように、燃料電池10の劣化が進むにしたがってインピーダンスも大きくなり、劣化補正係数も大きくなる。なお、Z1は燃料電池10が新品である場合のインピーダンスである。
また、図23(b)に示すように、燃料電池10の劣化が進むにしたがって、燃料電池10の湿潤度が低下する。したがって、インピーダンス計測装置によって計測した燃料電池10のインピーダンスを用いて算出した劣化補正係数を用いることで、より正確に燃料電池10の湿潤度を把握することができる。
また、インピーダンス計測装置を燃料電池10の湿潤状態を検出する「湿潤度状態出手段」として用いてもよい。この場合、たとえインピーダンス測定値が使用できなくなっても、前記した発電レート積算値を用いたフィードフォワード制御に切り替えることによって、速やかに対応することができる。
また、前記実施形態では、バイパス流路に加湿器バイパス弁34を設ける場合について説明したが、これに限らない。すなわち、加湿器バイパス弁34に代えて、水素インジェクタをバイパス流路に設けてもよい。また、エゼクタ24の導入側に水素インジェクタを設けてもよい。
また、前記実施形態では、図1に示すように、配管c4に冷媒ポンプ41の吸入側を接続し、配管c1に冷媒ポンプ41の吐出側を接続する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、冷媒ポンプ41に代えて、配管c3上に冷媒ポンプを設けてもよい。また、これら2つを併用してもよい。
また、冷媒ポンプ41に代えて、配管c2のうち配管c5との接続箇所よりも冷媒流路13の出口側に冷媒ポンプを設けてもよい。
また、ECU60は、燃料電池10の湿潤度が所定値未満であると推定した場合、以下の(1)及び/又は(2)の制御を実行してもよい。
(1)ECU60が、バイパス流路b4,b5(図1参照)を通流するカソードガスの流量を低減するように加湿器バイパス弁34を制御する。
(2)電圧センサ54(図1参照)によって検出されるバッテリ53の充電量が所定量以上である場合、ECU60が冷媒ポンプ41の回転速度を上昇させ、電圧センサ54によって検出されるバッテリ53の充電量が所定量未満である場合、バッテリ53への充電を行うように制御する。
1 燃料電池システム
10 燃料電池
11 アノード流路
12 カソード流路
13 冷媒流路
25 水素圧センサ
27 水素ポンプ
31 コンプレッサ
33 加湿器
34 加湿器バイパス弁(バイパス流量調整手段)
35 エア圧センサ
36 エアポンプ
41 冷媒ポンプ
44 冷媒温度センサ
51 出力検出器
52 VCU
53 バッテリ
54 電圧センサ(充電量検出手段)
60 ECU(要求出力算出手段、湿潤度推定手段、湿潤度調整手段、バイパス流量調整手段)
71 アクセル

Claims (5)

  1. アノード供給流路を介してアノード流路にアノードガスが供給され、カソード供給流路を介してカソード流路にカソードガスが供給されて発電する燃料電池と、
    前記アノード流路から排出されるアノードオフガスが、前記アノード供給流路を介して前記アノード流路の供給側に循環するように設けられるアノード循環流路と、
    前記アノード循環流路に設けられ、アノードオフガスを循環させるアノード循環ポンプと、
    前記燃料電池の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、前記燃料電池の湿潤度を推定する湿潤度推定手段と、
    前記燃料電池の湿潤度を調整する湿潤度調整手段と、
    を備える燃料電池システムであって、
    前記湿潤度調整手段は、
    前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御するとともに、前記アノード循環ポンプの回転速度を上昇させる
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記カソード流路から排出されるカソードオフガスが、前記カソード供給流路を介して前記カソード流路の供給側に循環するように設けられるカソード循環流路と、
    前記カソード循環流路に設けられ、カソードオフガスを循環させるカソード循環ポンプと、
    を備え、
    前記湿潤度調整手段は、
    前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記カソード循環ポンプの回転速度を上昇させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記湿潤度推定手段は、
    前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電流が所定値未満である状態が、所定時間を超えて継続した場合、
    又は、
    前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電流が所定値未満であると共に、前記要求出力に応じた前記燃料電池の出力電力の積算量が所定量を超えた場合、
    前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記カソード流路に接続されるカソードガス供給流路に設けられ、カソードガスを加湿する加湿器と、
    前記カソード供給流路に供給されるカソードガスが、前記加湿器をバイパスして前記カソード流路に流入するように設けられるバイパス流路と、
    前記バイパス流路を通流するカソードガスの流量を調整するバイパス流量調整手段と、
    前記燃料電池の冷媒流路に冷媒を循環させる冷媒ポンプと、
    前記燃料電池の負荷に対して電力供給可能であると共に、前記燃料電池からの電力により充電可能なバッテリと、
    前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
    を備え、
    前記湿潤度推定手段によって、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、以下の(1)及び/又は(2)の制御が実行されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
    (1)前記バイパス流量調整手段が、前記バイパス流路を通流するカソードガスの流量を低減する制御。
    (2)前記充電量検出手段によって検出される前記バッテリの充電量が所定量以上である場合、前記湿潤度調整手段が前記冷媒ポンプの回転速度を上昇させ、
    前記充電量検出手段によって検出される前記バッテリの充電量が所定量未満である場合、前記湿潤度調整手段が前記バッテリへの充電を行う制御。
  5. アノード供給流路を介してアノード流路にアノードガスが供給され、カソード供給流路を介してカソード流路にカソードガスが供給されて発電する燃料電池と、前記アノード流路から排出されるアノードオフガスが、前記アノード供給流路を介して前記アノード流路の供給側に循環するように設けられるアノード循環流路と、前記アノード循環流路に設けられ、アノードオフガスを循環させるアノード循環ポンプと、を備える燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃料電池の湿潤度と相関関係にある電流値を含む情報に基づいて、前記燃料電池の湿潤度を推定する湿潤度推定ステップと、
    前記湿潤度推定ステップにおいて、前記燃料電池の湿潤度が所定値未満であると推定された場合、前記燃料電池の湿潤度が所定値以上となるように制御するとともに、前記アノード循環ポンプの回転速度を上昇させる湿潤度調整ステップと、を含む
    ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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