JPH0722508U

JPH0722508U - マグネットロール

Info

Publication number: JPH0722508U
Application number: JP1170894U
Authority: JP
Inventors: 正俊平井; 嘉男坂田; 雅治岩井; 雅治阿部
Original assignee: Kaneka Corp
Current assignee: Kaneka Corp
Priority date: 1994-08-26
Filing date: 1994-08-26
Publication date: 1995-04-21

Abstract

(57)【要約】【構成】少なくとも１個の、複数の磁極を有する極異
方配向樹脂永久磁石片を含む複数個の磁石がシャフト上
に装着されてなり、且つ前記極異方配向樹脂永久磁石片
がその外面部に複数の磁極を有するとともに、シャフト
装着部付近の内面部にも磁極を有することを特徴とする
マグネットロール。【効果】磁極表面磁場強度が大きく、寸法精度が良好
で加工費が安価である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は新規なマグネットロールに関し、更に詳しくは、表面磁場が強く、寸法精度が良好で、且つ加工費の安価な、乾式複写機の磁気ブラシ用マグネットロール、クリーニング用マグネットロール等に使用されるマグネットロールに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、磁極表面磁場強度が大きく、生産性の高いマグネットロールに関して、数々の研究がなされて来た。一般に磁極用磁石の寸法精度が良く、またシャフトに装着する点数が少ない程生産性が向上する。

【０００３】焼結法で製造された磁石は磁極表面磁場強度は高いが、焼成時の収縮や歪のために寸法精度が悪く、また衝撃強度等の機械的特性が劣る。樹脂マグネットは寸法精度が良く、また表面磁場強度は、粉体の含有率を高めるか、磁気配向度、特に成形時の粉体の磁場による配向度を高めることにより向上させることができるが、樹脂マグネットを一体成形する場合、粉体を配向させるための磁場を発生する電磁石又は永久磁石は物理的に樹脂マグネット成形のための空間の外側にしか設置できず、そのため粉体の好ましい配向を得ることが困難である。

【０００４】そこで、例えば特開昭５９−１４３３０７、及び特開昭５９−１６６９７８は棒状シャフトと樹脂マグネット材料とを共押出し法により一体成形すると共に粉体を再配向させる方法を提案している。また、特開昭５９−１６６９７９は棒状シャフトと樹脂マグネット材料とを共押出し法により一体成形すると共に磁性粉体をラジアル配向させる方法を提案している。また、その中で棒状シャフトを配向用磁場形成のための磁気回路の一部として使用している。しかし、これらの提案は棒状シャフトを樹脂マグネットが覆っているため、所定長さへの切断工程及び該切断体の両端のシャフトを露出させるための切削工程を必要とする。更に樹脂マグネット外周がシャフト中心軸に対して偏心しやすいという欠点を持っている。

【０００５】また、例えば特開昭５９−２２０９１１では射出成形法により成形すると共に永久磁石で作成したヨークを通じてパルス磁場を印加することにより極異方配向を図っている。しかしながら永久磁石の透磁率は小さいため、透磁率の大きい軟質磁性体をヨークとして用いた場合に比べ小さなパルス磁場しか得られず、期待する配向が得られない。

【０００６】更に、例えば特開昭６０−１９６９１９では、射出成形法又は加圧成形法により、位置決めのための凹凸のついた半割れ状の樹脂マグネット１組を作成し、引き続きシャフトと共に金型内で軟化融着させ且つ粉体を磁場配向させる方法が提案されている。しかし、該方法は加熱により可塑化せしめて成形後冷却した成形体を再度加熱加圧成形するという複雑な工程を要し、生産性が悪い。

【０００７】一方、従来、マグネットロールに使用される極異方配向樹脂磁石は、例えば図１及び図２の概略断面図に示すような装置から作られている。これらの図において、（１）は非磁性ダイ、（２）は磁性ダイ、（３）はキャビティ、（４）はヨーク、（５）は励磁コイル、（６）は非磁性金型、（７）は磁性金型である。かかる装置により製作された磁石は、例えば図３の概略図に示されるような形状からなり、これを用いてマグネットロールを製造するには、その円筒状中心軸部分にシャフトを通し且つ固定するという極めて難しい工程が必要であり、しかも、それが円筒状中心空隙部分とシャフト間の空隙によるマグネットロールの偏心の原因となっていた。更にまた、極異方配向が不充分で、充分に満足し得る磁気特性を有するものではなかった。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記問題点を解決し、磁極表面磁場強度が大きく、寸法精度が良好で、且つ生産性の高いマグネットロールを提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案者らはかかる実情に鑑み、上記問題点を解消すべく鋭意研究の結果、粉体の配向度を高めた、外面部に複数個の磁極を有するとともに内面部にも磁極を有する極異方配向樹脂永久磁石を少なくとも１個シャフト上に装着したことにより、強い表面磁場強度を持ち、寸法精度が良好で且つ安価なマグネットロールを得、上記問題点を一挙に解決したものである。即ち、本考案は少なくとも１個の、複数の磁極を有する極異方配向樹脂永久磁石片を含む複数個の磁石がシャフト上に装着されてなり、且つ前記極異方配向樹脂永久磁石片がその外面部に複数の磁極を有するとともに、シャフト装着部付近の内面部にも磁極を有することを特徴とするマグネットロールを内容とするものである。

【００１０】

【実施例】

本考案を実施態様を示す図面に基づいて説明する。図４及び図５は、本考案に係わる極異方配向樹脂永久磁石を押出法によって製造するためのダイ及びヨーク部分の概略断面図である。図中、（１）は非磁性ダイ、（２）は磁性ダイ、（３）はキャビティ、（４）はヨーク、（５）は励磁コイルである。このような装置から得られる極異方配向樹脂永久磁石は、キャビティ（３）の内側中央部、即ち極異方配向の極に相当する部分に配向用の磁場印加ヨークを存在させて極異方磁場配向成形されてなるから、外面部に複数の磁極を有するとともに、内面部（シャフト装着部）にも磁極を有し、図１、図２で示した従来装置により得られる磁石に比べて高度に極異方磁場配向され、大きな磁気特性を有する。

【００１１】図６、図７は、それぞれ本考案のマグネットロールに用いられる極異方配向樹脂永久磁石の一例を示す斜視図である。

【００１２】図８は本考案によるマグネットロールの概略断面図で、極異方配向樹脂永久磁石２個（８）（８）がシャフト（１０）に装着されている。

【００１３】図９は他の実施態様を示し、シャフト（１０）に極異方配向永久磁石（８）と樹脂永久磁石（９）が装着されている。

【００１４】図１０又は図１１は、それぞれ別の実施態様を示し、シャフト（１０）に極異方配向永久磁石（８）と必要に応じて樹脂永久磁石（９）及び／又は軟質磁性体（１１）が装着されている。

【００１５】本考案における極異方配向樹脂永久磁石は、バインダーとなる合成樹脂と粉体とを混合し押出成形法、射出成形法又は圧縮成形法のいづれかで成形後固化せしめた樹脂マグネットである。ここで合成樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、その他の熱硬化性樹脂、あるいはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファィド樹脂、その他の熱可塑性樹脂が成形体の形状や成形方法、あるいは必要耐熱温度等のマグネットロールの設計上、及び生産方式上の理由により適宜選択又は併用して用いられる。

【００１６】粉体としては、フェライト粉体や希土類磁性粉体即ち、具体的には磁気異方性の大きいストロンチウムフェライトやバリウムフェライトのようなマグネットプラムバイト型フェライト粉体あるいはＳｍＣｏ₅系Ｓｍ₂Ｃｏ₁₇系もしくはＮｄ −Ｆｅ−Ｂ元素を主体とする希土類系磁性粉体が好ましく、中でもマグネトプラムバイト型フェライト粉体は安価で、安定であるため特に好適である。

【００１７】また、粉体の充填率及び配向を高めるために、滑剤や加工性改良剤、その他の添加剤を加えたり、粉体の表面をシランカップリング剤やチタネート系表面処理剤あるいはリン化合物であらかじめ処理することが好ましい

【００１８】更に本考案に係わる極異方配向樹脂磁石は、成形時にマグネットロールに組み立てた時シャフトに相当する部分、即ち極異方配向の極に相当する部分に配向のための磁場印加ヨークの１つを存在させているので、従来法に比べ配向のための印加磁場強度を高めることが可能となり、磁性粉体の配向度が高められ、通常の異方性樹脂永久磁石より強力な磁力を得ることができる。また、本考案で用いられる軟質磁性体は、鉄、パーマロイ、ケイ素鋼等の透磁率の高いものが好ましい。

【００１９】

【考案の効果】

本考案によるマグネットロールは１片で複数個の磁極を有する樹脂永久磁石が装着できるうえ、装着数も少なく２〜３回の接着工程でよいため生産性が高く、しかも、シャフト装着部付近の磁石内面部にも磁極を有するので強い表面磁場強度をもち、且つ寸法精度が良好で従来品に見られるような偏心も起こさないので、良質で生産性の高いマグネットロールが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の押出法による極異方配向樹脂磁石製造の
ためのダイ及びヨーク部分の概略断面図である。

【図２】従来の射出法による極異方配向樹脂磁石製造の
ための金型及びヨーク部分の概略断面図である。

【図３】従来の極異方配向樹脂磁石の概略図である。

【図４】本考案に用いられる極異方配向樹脂永久磁石を
押出法によって製造するためのダイ及びヨーク部分の概
略断面図である。

【図５】本考案に用いられる極異方配向樹脂永久磁石を
押出法によって製造するためのダイ及びヨーク部分の概
略断面図である。

【図６】本考案に用いられる極異方配向樹脂永久磁石の
一例を示す概略図である。

【図７】本考案に用いられる極異方配向樹脂永久磁石の
一例を示す概略図である。

【図８】本考案マグネットロールの実施態様を示す概略
図である。

【図９】本考案マグネットロールの実施態様を示す概略
図である。

【図１０】本考案マグネットロールの実施態様を示す概
略図である。

【図１１】本考案マグネットロールの実施態様を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ダイ（非磁性）２ダイ（磁性）３キャビティ４ヨーク５励磁コイル６金型（非磁性）７金型（磁性）８極異方配向樹脂永久磁石９樹脂永久磁石１０シャフト１１軟質磁性体

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】少なくとも１個の、複数の磁極を有する
極異方配向樹脂永久磁石片を含む複数個の磁石がシャフ
ト上に装着されてなり、且つ前記極異方配向樹脂永久磁
石片がその外面部に複数の磁極を有するとともに、シャ
フト装着部付近の内面部にも磁極を有することを特徴と
するマグネットロール。
【請求項２】極異方配向樹脂永久磁石の他に、樹脂永
久磁石及び／又は軟質磁性体をシャフト上に装着した請
求項１記載のマグネットロール。
【請求項３】軟質磁性体が鉄、パーマロイ、ケイ素
鋼、その他の透磁率の高い軟質磁性体である請求項２記
載のマグネットロール。
【請求項４】２個の極異方配向樹脂永久磁石がシャフ
ト上に装着された請求項１、２又は３記載のマグネット
ロール。