JPH07223130A - ねじ締め装置 - Google Patents

ねじ締め装置

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Publication number
JPH07223130A
JPH07223130A JP1460694A JP1460694A JPH07223130A JP H07223130 A JPH07223130 A JP H07223130A JP 1460694 A JP1460694 A JP 1460694A JP 1460694 A JP1460694 A JP 1460694A JP H07223130 A JPH07223130 A JP H07223130A
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JP
Japan
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screw
bit shaft
male screw
shaft
tightening
Prior art date
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Pending
Application number
JP1460694A
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English (en)
Inventor
Masafumi Matsumura
雅文 松村
Tetsuo Maruta
哲郎 丸田
Yoji Sato
要司 佐藤
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH07223130A publication Critical patent/JPH07223130A/ja
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  • Details Of Spanners, Wrenches, And Screw Drivers And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不適切なまま締め付け動作を実行してしまう
ことを防止して締め不良率の低減及びねじ締めの効率を
向上させること。 【構成】 所定の位置まで下降させた(S150)後、ビッ
ト軸を90度逆転駆動して回転を止める(S160)。逆転
駆動なので、雄ねじは雌ねじ穴部へは侵入していかず、
また、ビット軸には所定の上下軸推力が加わっているの
で、ビット軸先端が雄ねじの十字穴に嵌合していない場
合であっても所定角度だけ逆回転させれば、その逆回転
の間に適切に嵌合する可能性が高くなる。逆転駆動が終
わると、ビット軸先端の軸動方向位置のデータに基づい
て嵌合状態が適切であるか否かを判断する(S170)。そ
して、嵌合状態が適切な場合(S170:YES)には、そのま
まねじ締めを許可し(S180)、一方、適切に嵌合してい
ない場合(S170:NO )には、S160へ戻って、再度9
0度の逆転駆動を実行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の雄ねじをワーク
の雌ねじ穴部に自動的に締め付けるに適したねじ締め装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ねじ締め工程の自動化が進むにつ
れ、各種の雄ねじをワークの雌ねじ穴部に締め付けるに
あたり、締め付けの不良率を低く抑えつつより高速にて
行う技術が要求されている。例えば、従来のねじ締め装
置においては、エアシリンダにより上下方向に軸動され
る電動ドライバの電動モータが、ねじ締め開始信号に基
づき所定のトルクを発生するように電源から電流を供給
されると、電動ドライバがエアシリンダにより下方へ軸
動されながらそのビット軸により電動モータからの所定
トルクにてねじ締めを行うようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなねじ締め装置においては、実際のねじ締め動作自体
も重要であるが、そのねじ締め動作に入る前の、雄ねじ
とビット軸の先端との嵌合が適切でない状態で締め付け
動作に入ると種々の問題が生じる。例えば、雄ねじが転
倒あるいは斜めになった状態でワークの雌ねじ穴部の外
端部分に衝突する等して、雄ねじが雌ねじ穴部を破壊し
同雌ねじ穴部と異常な噛み合い状態(以下、ねじかじり
という)となり、ワークを壊してしまう。また、雄ねじ
自身にも傷が付き、外観不良を起こしてしまうのであ
る。
【0004】これらの問題を解決するために、従来、ビ
ット軸の回転速度を落とし、かつ最高回転数も低速とし
て、ねじの噛み合いを確実に行おうとすることが提案さ
れている。しかし、電動ドライバのビット軸の回転速度
が一定であるため、上述のようにビット軸の回転速度を
低下させてねじ締め不良率を低減させようとすると、ね
じ締め作業のサイクルタイムが長いこともあり、作業時
間が不必要に長くなってしまうおそれがあった。そし
て、いくら低速にしても、ねじ締め動作に入る前の、雄
ねじとビット軸の先端との嵌合が不適切で最初から傾い
ている場合には、上記ねじかじりの発生は防止できない
のである。
【0005】そこで、本発明は、雄ねじとビット軸の先
端との嵌合が適切であるか否かを判断することによっ
て、不適切なまま締め付け動作を実行してしまうことを
防止して締め不良率の低減に寄与するねじ締め装置を提
供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、
雄ねじとビット軸先端との嵌合が適切か否かに応じて所
定の制御を行うことで、締め不良率を低減させ、かつね
じ締めの効率を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された請求項1に記載の発明は、駆動手段によりそ
の作動状態に応じ駆動されて正逆自在に回転しつつ軸動
し、雄ねじをワークの雌ねじ穴部に締め付けるビット軸
を備えたねじ締め付け機構と、上記雄ねじをワークの雌
ねじ穴部に締め付ける前の状態であり、上記ビット軸が
上記雄ねじに当接する位置において、軸動方向へ所定の
押圧力が設定された状態で、上記ビット軸を所定角度だ
け逆転駆動させる逆転制御手段と、上記ビット軸の軸動
方向位置を検出する軸動方向位置検出手段と、上記逆転
制御手段によって逆転駆動された後で、上記軸動方向位
置検出手段によって検出された軸動方向位置データを基
に、上記ビット軸の先端が上記雄ねじのねじ頭に適切に
嵌合したか否かを判断する嵌合判断手段とを備えたこと
を特徴とするねじ締め装置である。
【0007】なお、逆転制御手段による逆転駆動時の逆
転方向とは、雄ねじの雌ねじ穴部への締め付け方向とは
逆の回転方向である。また、この所定角度は、雄ねじの
頭の穴の形状によって異なるが、例えば十字穴であれ
ば、理論的には90度回転させればその間に嵌合する
し、一字穴でも180度回転させればその間に嵌合する
ので、その穴の形状によって十字穴なら90度以上に、
一字穴なら180度以上に設定すればよい。
【0008】一方、上記逆転制御手段によってビット軸
が逆転駆動される際、ビット軸に加えられる軸動方向へ
の所定の押圧力について説明すると、この押圧力は、雄
ねじを締め上げる際の押圧力と比較すると弱い力であ
る。従来のねじ締め装置では、締め上げる際に十分な押
圧力で固定されていたが、この押圧力はかなり強い力で
あり、雄ねじをワークの雌ねじ穴部に締め付ける前の状
態でこの押圧力を加えると、雄ねじが転倒したりして、
締め不良の原因となる。
【0009】従って、最低限雄ねじが転倒しないような
押圧力であればよい。好ましくは、ビット軸の先端が当
接する雄ねじのねじ頭部分や雄ねじの先端が当接するワ
ークの雌ねじ穴部に傷がつかない程度の弱い力であるこ
とが望ましい。なぜなら、例えねじ締め自体はうまくい
ったとしても、雄ねじのねじ頭部分に傷があれば、現実
には外観不良として製品の価値が下がるからである。
【0010】なお、回転速度については特に言及してし
ていないが、常識外の速度で回転させれば、適切なねじ
締めができない可能性があることは当然であるので、本
ねじ締め装置においても、常識内の回転速度で作業が行
われることは当然である。一方、ビット軸の先端が雄ね
じのねじ頭に適切に嵌合しているか否かは、例えばビッ
ト軸の先端位置が、雄ねじのねじ頭の十字穴や一字穴の
底面から所定の高さ以内にあるか否かで判断することが
できる。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載のねじ締め装置において、さらに、上記嵌合
判断手段による判断結果に基づき、上記ビット軸の先端
が上記雄ねじのねじ頭に適切に嵌合している場合には、
そのままねじ締めを許可し、一方、適切に嵌合していな
い場合には、上記逆転制御手段による所定角度の逆転駆
動を再度実行させる判断後制御手段を備えたことを特徴
とする。
【0012】
【作用】上記構成を有する請求項1に記載のねじ締め装
置によれば、逆転制御手段によって、雄ねじをワークの
雌ねじ穴部に締め付ける前の状態であり、ビット軸が雄
ねじに当接する位置において、軸動方向へ所定の押圧力
が設定された状態でビット軸を所定角度だけ逆転駆動さ
せる。逆転駆動なので、雄ねじは雌ねじ穴部へは侵入し
ていかず、また、ビット軸には軸動方向へ所定に押圧力
が加わっているので、ビット軸の先端が雄ねじのねじ頭
の穴(十字や一字)に嵌合していない場合であっても所
定角度だけ逆回転させれば、その所定角度の逆回転の間
に適切に嵌合する可能性が高くなる。
【0013】そして、軸動方向位置検出手段にてビット
軸の軸動方向位置を検出しており、嵌合判断手段が、逆
転制御手段によって逆転駆動された後で、軸動方向位置
検出手段によって検出された軸動方向位置データを基に
ビット軸の先端が上記雄ねじのねじ頭に適切に嵌合した
か否かを判断する。
【0014】上記逆転駆動によりビット軸の先端が雄ね
じのねじ頭に適切に嵌合する可能性は高くなるのである
が、それでも必ずしも適切な嵌合が実現するとは限らな
い。例えば、ねじそのものが逆回転するビットと共に逆
回転した場合や、予めねじ頭部に損傷がありビットの嵌
合が不可能な場合には嵌合しない。そして、適切に嵌合
していない状態のままでねじ締めを実行してしまうと、
例えば雄ねじが転倒あるいは斜めになった状態でワーク
の雌ねじ穴部の外端部分に衝突する等して、雄ねじが雌
ねじ穴部を破壊してねじかじりとなったり、ワークを壊
してしまう可能性がある。また、雄ねじ自身にも傷が付
き、外観不良を起こしてしまう。
【0015】従って、嵌合判断手段によって適切な嵌合
か否かを判断することで、不適切なまま締め付け動作を
実行してしまうことを防止して、締め不良率の低減に寄
与することができる。なお、嵌合判断手段によって適切
な嵌合か否かを判断した後については、例えばその判断
結果を表示したり、音声で警告したりすることも考えら
れるし、また、次に説明する請求項2のような処理等が
考えられる。
【0016】その請求項2に記載のねじ締め装置による
作用を説明すると、本ねじ締め装置によれば、上記嵌合
判断手段による判断結果に基づき、判断後制御手段が、
ビット軸の先端が雄ねじのねじ頭に適切に嵌合している
場合には、そのままねじ締めを許可し、一方、適切に嵌
合していない場合には、逆転制御手段による所定角度の
逆転駆動を再度実行させる。
【0017】このように、適切な嵌合の場合はもちろん
そのままねじ締めを行うことで、ねじ締め不良が生じこ
となく作業が進み、不適切な嵌合の場合は再度逆転駆動
させることで、適切な嵌合となる機会を与え、その再度
の逆転駆動で適切に嵌合すれば、そのままねじ締めに移
行するのである。従って、上記請求項1で説明した締め
不良率の低減に加え、ねじ締め作業の効率を向上させる
ことができる。
【0018】なお、請求項2の基本的な技術思想は、不
適切な嵌合の場合は逆転駆動を繰り返すことによって適
切な嵌合にし、適切な嵌合となった場合にはそのままね
じ締めに移行することであるが、ビット軸を代表とする
ねじ締め付け機構側における原因や雄ねじ側の原因等に
よって、何回逆転駆動させても物理的に適切な嵌合とな
らない場合も考えられる。例えばねじの頭に損傷があ
り、嵌合が不可能な場合や、ねじの異欠品の場合等であ
る。そのような状況も考慮して、逆転駆動を所定回数行
っても適切な嵌合にならない場合には、エラー表示等を
して、修復を促すようにすると、全体としての作業能率
のさらなる向上という点で好ましい。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は、本実施例のねじ締め装置の本体を示し
ている。この装置本体は、コ字状支持体10を備えてお
り、この支持体10は、適宜な静止部材により図1に示
すように鉛直方向に支持されている。上下軸20は雄ね
じ軸を構成するもので、この上下軸20は水平方向に回
転可能に鉛直方向に支持体10に組み付けられている。
かかる場合、上下軸20の上端部21は、支持体10の
上側腕11内に回転可能に軸支されており、一方、上下
軸20の下端部22は、支持体10の下側腕12内に回
転可能に軸支されている。
【0020】上下軸制御用直流サーボモータ30は、支
持体10の上側腕11上に、上下軸20と同軸的に装着
されており、この直流サーボモータ30の回転軸は、支
持体10の上側腕11内にて、上下軸20の上端部21
に同軸的に連結されている。上下動部材40は、その円
環部41にて上下軸20に同軸的に嵌装されており、円
環部41は、その雌ねじ穴部にて上下軸20の雄ねじ部
に上下動可能に螺合している。
【0021】また、電動ドライバ50が、上下動部材4
0の円環状支持部42に組み付けられている。この電動
ドライバ50は、ビット軸制御用直流サーボモータ50
aを備えており、直流サーボモータ50aは、支持部4
2の貫通穴42aと同軸的に同支持部42上に直接装着
されている。
【0022】ビット軸50bはその基端部にて、支持部
42の貫通穴42a内に、直流サーボモータ50aの回
転軸に同軸的に連結支持されており、このビット軸50
bは、上下軸20に平行に鉛直方向に下方へ延出してい
る。これにより、ビット軸50bは直流サーボモータ5
0aの回転に応じて正逆自在に回転する。なお、本実施
例では、先端が十字とされたビット軸50bを用いてい
る。
【0023】一方、ビット軸50bには、その外方から
吸着パイプ50cが同軸的に遊嵌されており、この吸着
パイプ50cは、ビット軸50bに同軸的に遊嵌したコ
イルスプリング50dを介し、上下動部材40の支持部
42に下方から鉛直状に支持されている。そして、この
吸着パイプ50cには、内周側と外周側とを連通する連
通穴53が設けられており、この連通穴53には、吸着
用コンバム55からの吸入管56が取り付けられてい
る。また、この吸入管56には、内部の圧力を検出する
ための圧力センサ57が取り付られている。
【0024】次に、ねじ締め装置の電気的構成について
図1及び図2を参照して説明する。上記直流サーボモー
タ30にはロータリー型エンコーダ60が同軸的に組み
付けられており、このエンコーダ60は、直流サーボモ
ータ30の回転量、即ち上下軸20の回転量を計測して
回転量データとして出力する。かかる場合、この回転量
データはビット軸50bの先端51の上動端から下方へ
の回転量を表し、回転量データが零のときビット軸50
bの回転量が零である。そして、ビット軸50bの先端
51の上動端における位置データとこの回転量によっ
て、ビット軸先端51の軸動方向(この場合は上下方
向)の位置が判るのである。
【0025】また、直流サーボモータ50aにはロータ
リー型エンコーダ70が同軸的に組み付けられており、
このエンコーダ70は、直流サーボモータ50aの回転
量、即ちビット軸50bの回転量を計測して回転量デー
タとして出力する。マイクロコンピュータ80は、所定
のプログラムに従い、両エンコーダ60、70、上下軸
駆動用サーボコントローラ90及びビット軸駆動用コン
トローラ100との協働により実行し、この実行中にお
いて、両サーボコントローラ90、100を制御するに
必要な演算処理を行う。但し、その際のプログラムはマ
イクロコンピュータ80のROMに予め記憶されてい
る。
【0026】また、マイクロコンピュータ80のROM
には、上下軸推力、ビット軸回転速度、雄ねじの長さ及
びねじピッチ、逆転回転量、逆転回転時推力、着座前回
転量、食いつき回転量範囲、異常トルク、設定トルク、
設定回転量に係るデータ等が予め記憶されている。
【0027】但し、これらのデータは次のようにして定
められている。このデータの作成にあたり、本発明者等
がねじ締め時間の短縮やねじ締め不良率の低減に関し、
詳細に検討したところ、次のようなことが確認された。
大きく分けて、ねじ締め動作自体及びそのねじ締め動作
に入る前の、雄ねじ110とビット軸50bの先端との
嵌合の2点が重要である。
【0028】ねじ締め動作に入る前の、雄ねじ110と
ビット軸50bの先端51との嵌合が適切でない状態で
締め付け動作に入った場合の問題について例示すると、
雄ねじ110が転倒あるいは斜めになった状態でワーク
Wの雌ねじ穴部Waの外端部分に衝突する等して、雄ね
じ110が雌ねじ穴部Waを破壊し同雌ねじ穴部Waと
異常な噛み合いとなるねじかじりとなり、ワークWを壊
してしまう。また、雄ねじ110自身にも傷が付き、外
観不良を起こしてしまうのである。
【0029】従って、両者が適切に嵌合した後で、実際
のねじ締め動作を実行することが肝心である。また、実
際のねじ締め動作における必要な性能や機能には次のよ
うなことが挙げられる。
【0030】短時間でねじ締めができること。 ねじかじり、ねじの頭つぶし(雄ねじの頭の十字穴の
周縁が削れて丸い穴になることをいう)或いは雄ねじの
空回り等のねじ締め不良を発生させないこと。 ねじ締め不良が発生した場合、100(%)検出可能
なこと。
【0031】ねじ締め不良が生じないようにティーチ
ング点(ねじ締め開始位置等)を修正していくこと。そ
して、ねじ締め時間の短縮を実現するにあたっては、ビ
ット軸50bを高速回転させることが必要である。しか
し、ビット軸50bの回転速度を上昇させていくと、ね
じの喰い始め時に生ずるねじかじり、トルク増大時に生
ずるトルク精度の低下やねじ頭の破壊等のねじ締め不良
が起こる。即ち、ねじ締めの高速回転化とねじ締め不良
の低減とは相反する現象が生ずる。しかして、このよう
な現象に対し種々の検討を加えたところ、ねじの喰い始
めとトルク上昇直前には、ビット軸50bの回転速度を
低下させ、その他の場合には、ビット軸50bの回転速
度を高くすれば、ねじ締め不良の低減を図りつつ、ねじ
締め時間の短縮を実現できることが判った。
【0032】また、ねじ締め不良としては、ビット軸5
0bが雄ねじ110の頭から浮いてトルクが上昇しない
とか、雄ねじ110の頭、或いは雌ねじをつぶすとかい
った種々の現象がある。これらの現象は、雄ねじ110
の雌ねじ穴部Waへの締め付け時における雄ねじ110
のねじ進み方向の力(即ちビット軸50bの推力)が適
正でないために起こるものである。これに対し種々の検
討を加えたところ、ねじ締めのトルク上昇時には、ビッ
ト軸50bの先端51が雄ねじ110の頭から外れない
ように、雄ねじ110の頭に対するビット軸50bの先
端の押し付け力を、締め付けトルクの20〜30(%)
の力にする必要があることが判った。
【0033】雄ねじは、雌ねじ穴部Waに着座するまで
は、この推力を受けるため、推力が強すぎると、雌ねじ
の破壊やねじかじりを起こす。これに対し種々の検討を
加えたところ、上下軸の推力を、ねじの喰い始めまでの
時間、雄ねじ110の着座後の時間、及びその他の時間
でそれぞれ適正にする必要があることが判った。
【0034】以上のことから、以下のようにねじ締め工
程を三つの工程に分解できることが判る。 雄ねじ110が雌ねじ穴部Waに喰い込むまでの工
程。 雄ねじ110が雌ねじ穴部Waに喰い込んでから着座
するまでの工程。
【0035】雄ねじ110が雌ねじ穴部Waに着座し
てからトルク上昇するまでの工程。そして、これらの三
つの工程に分解するためには、ねじ締め装置にねじ締め
状態を検出する機能が要請される。雄ねじ110が雌ね
じ穴部Waに喰い込む前後でのトルクの変化は微小であ
るため、ねじの喰い始めは、ビット軸50bのトルクや
回転位置等で検出することは不可能である。しかし、ビ
ット軸50bの先端は雄ねじ110に追従して進むた
め、雄ねじ110が空回りすればビット軸50bの先端
は同じ位置にある。また、雄ねじ110が喰い始めれ
ば、ビット軸50bの先端は雄ねじ110のねじピッチ
で進むため、雄ねじ110が喰い始めたかどうかは、ビ
ット軸50bの先端の動きに注意しておれば、ねじの喰
い始めを検出することができることが判る。
【0036】また、雄ねじ110の着座時にはビット軸
50bのトルクが上昇するため、ビット軸50bのトル
クの変化に注意しておれば、雄ねじ110の着座を検出
することができる。但し、ビット軸50bの高速回転下
では着座検出の時間的精度が低下するので、着座しそう
な時間を予め見計らってビット軸50bの回転速度を低
下させる必要がある。かかる場合、雄ねじ110の喰い
始めの時間、ビット軸50bの回転速度及び雄ねじ11
0のねじピッチが既知であることから、これらに基づ
き、雄ねじ110の長さとの関連で、着座しそうな時間
を推定できる。
【0037】このような本発明者等の検討結果を前提に
すると、雄ねじ110のねじ締めパターンとの関連にお
けるビット軸回転速度、上下軸推力及びビット軸トルク
は図3に示すようになる。これによれば、ねじ締めパタ
ーンが開始状態にあるときが、雄ねじ110のワークW
の雌ねじ穴部Waへの喰い付き始めまでに対応する。ね
じ締めパターンがねじ込み状態にあるときが、雄ねじ1
10の喰い付き始め後雄ねじ110の着座前(雄ねじ1
10の雌ねじ穴部Waへの締め付けにより雄ねじ110
の頭が雌ねじ穴部Waの開口端上に当接する前)までに
対応する。また、ねじ締めパターンが締め上げ状態にあ
るときが、雄ねじ110の着座前から着座時までに対応
する。
【0038】しかして、上下軸推力(上下軸20が電動
ドライバ50を上下動させる推力を表し、雄ねじ110
の頭に対するビット軸50bの先端の押し付け力に相
当)は、図3にて示すように、ねじ締めパターンの開始
状態、ねじ込み状態及び締め上げ状態に対応して最適推
力調整を確保すべく第1、第2及び第3の上下軸推力と
してそれぞれ設定されている。この場合、第1上下軸推
力から第3上下軸推力にかけて階段状に順次大きく定め
られているが、第1上下軸推力は、雄ねじ110の雌ね
じ穴部Waに対する傾きやロッキングを防止しつつ確実
な喰い付きを実現するように、小さく定められている。
第2上下軸推力は、雄ねじ110の雌ねじ穴部Waに対
する傾きやロッキングを防止しつつ確実なねじ込みを実
現するように、第1上下軸推力よりも大きく定められて
いる。また、第3上下軸推力は、雄ねじ110の締め上
げを十分な下動推力でもって雄ねじ110の頭つぶれを
防止しつつ実現するように第2上下軸推力よりも大きく
定められている。
【0039】また、ビット軸回転速度(ビット軸50b
の回転速度に相当)は、図3にて示すように、ねじ締め
パターンの開始状態、ねじ込み状態及び締め上げ状態に
対応して第1、第2及び第3のビット軸回転速度として
それぞれ設定されている。この場合、第1ビット軸回転
速度は、雄ねじ110の確実な喰い付きを実現するた
め、低い値に定められている。第2ビット軸回転速度
は、雄ねじ110のねじ込み時間の短縮を実現するよう
に第1ビット軸回転速度よりもかなり高く定められてい
る。また、第3ビット軸回転速度は、雄ねじ110の締
め上げを高精度の安定したトルクで実現するように第1
ビット軸回転速度よりも幾分低い値に定められている。
【0040】異常トルクは、雄ねじ110のねじ込み状
態においてビット軸トルク(ビット軸50bに生ずるト
ルク)が図3にて破線により示すように異常に高くなっ
たときの値に定められている。例えば、異常トルクは、
雄ねじ110の雌ねじ穴部Waとの異常な噛み合い状態
に生ずる。設定トルクは、雄ねじ110の締め上げ状態
における増大トルクが締め上げ完了に対応するときの値
を表す(図3参照)。また、雄ねじ110の長さは雄ね
じ110の首下長さをいう。着座前回転量は、雄ねじ1
10のワークWの雌ねじ穴部Waへの締め付け終了前の
ビット軸50bの回転量を表す。喰い付き異常回転量範
囲は、雄ねじ110が雌ねじ穴部Waと異常に噛み合う
状態でのビット軸50bの異常回転量の範囲を表す。
【0041】入力装置80aは、雄ねじ110の雌ねじ
穴部Waへの締め付け状態がねじ浮き状態であると目視
により判断されたとき、操作されてねじ締め不良信号を
マイクロコンピュータ80に入力する。サーボコントロ
ーラ90は、図4(A)にて示すように、マイクロコン
ピュータ80から後述のように上下軸推力の出力指令を
受けると、同サーボコントローラ90は、直流サーボモ
ータ30へ付与する上下軸駆動電流Iのうちのフィード
バック値をゲインKf倍した値に、前記上下軸推力を加
算し、この加算結果値を、ゲインKg倍して上下軸駆動
電流Iとして直流サーボモータ30に付与する。一方、
サーボコントローラ100は、図4(B)にて示すよう
に、マイクロコンピュータ80から後述のように上下軸
推力の出力指令を受けると、同サーボコントローラ10
0は、アナログスイッチ101を介し直流サーボモータ
50aへ付与するビット軸駆動電流Jのうちのフィード
バック値をゲインKF 倍した値に、前記上下軸推力を加
算し、この加算結果値を、ゲインKG 倍してビット軸駆
動電流Jとしてアナログスイッチ101に付与する。
【0042】アナログスイッチ101は、コンパレータ
102からのハイレベルの比較信号に応答して開き、ま
た、コンパレータ102からのローレベルの比較信号に
応答して閉じる。これにより、アナログスイッチ101
が閉じているとき、直流サーボモータ50aはビット軸
駆動電流Jを付与される。一方、アナログスイッチ10
1が開いているとき、直流サーボモータ50aはビット
軸駆動電流Jの付与から遮断される。コンパレータ10
2は、ビット軸駆動電流Jのうちのフィードバック値
を、マイクロコンピュータ80からの前記設定トルクに
対応するビット軸駆動電流と比較する。そして、前記フ
ィードバック値が前記設定トルクに対応するビット軸駆
動電流よりも小さいとき、コンパレータ102がローレ
ベルの比較信号をアナログスイッチ101に出力する。
一方、前記フィードバック値が前記設定トルクに対応す
るビット軸駆動電流よりも大きいとき、コンパレータ1
02がハイレベルの比較信号をアナログスイッチ101
に出力する。
【0043】次に、上記構成を有する本実施例のねじ締
め装置の作動について、図5のフローチャートを参照し
ながら説明する。まず、図示しないねじ供給機構から雄
ねじ110(図1参照)を吸着パイプ50c内にその下
方から供給して吸着させる(ステップ110。以下ステ
ップをSと記す。)。具体的には、吸着用コンバム55
を作動させると、吸着パイプ50cの連通穴53には吸
着用コンバム55からの吸入管56が設けられており、
雄ねじ110は吸い上げられて、吸着パイプ50cに把
持されることとなる。なお、この把持は、ビット軸50
bと雄ねじ110とが同軸上に位置するようになされる
のが理想的であるが、吸着動作において、雄ねじ110
が斜めになって把持される可能性もある。
【0044】そのため、本実施例においては、吸入管5
6に取り付けられた圧力センサ57によって、ねじの吸
着動作が適切に行われたか否かを判定する(S12
0)。雄ねじ110が吸着パイプ50cの開口部を完全
に塞ぐ状態の場合には、外部から空気が流入しないの
で、適正な値となるが、例えば雄ねじ110が斜めにな
って吸着パイプ50cの開口部が完全に塞がれていない
場合には、隙間から外部空気が流入するので適正な値と
ならない。従って、この内部の圧力を監視することによ
って、吸着が適切な否かを判断するのである。吸着状態
が適切でない場合(S120:のNO)には、そのまま
本処理を終了する。なお、このとき「吸着エラー」等の
表示を出す等して、修正を促すようにすることや、予め
自動プログラムにて、ねじを捨てた後、再度吸着を試み
るようにすると良い。
【0045】一方、吸着状態が適切な場合(S120:
YES)は、吸着した雄ねじ110を、ねじ締め前のテ
ィーチングポイントまで移動させる(S130)。この
ティーチングポイントとは、ねじ長さのばらつきを考慮
した上で、ねじがねじ穴に接するポイント、例えばねじ
とねじ穴部分とのクリアランスが1mm程度となるポイ
ントである。
【0046】そして、雄ねじ110を押さえ付ける上下
軸推力を設定し(S140)、ビット軸先端51と雄ね
じ110のねじ頭、雄ねじ110の先端と雌ねじ穴部W
aが当接する位置まで下降させる(S150)。このS
140における上下軸推力について説明すると、この上
下軸推力は、後述する雄ねじ110を締め上げる際の上
下軸推力と比較すると相対的に弱い力である。従来のね
じ締め装置では、締め上げる際に十分な上下軸推力で固
定されていたが、この上下軸推力はかなり強い力であ
り、雄ねじ110をワークWの雌ねじ穴部Waに締め付
ける前の状態でこの力を加えると、雄ねじ110が転倒
したりして、締め不良の原因となる。
【0047】従って、最低限雄ねじ110が転倒しない
ような押圧力であればよい。好ましくは、ビット軸先端
51が当接する雄ねじ110のねじ頭部分や雄ねじ11
0の先端が当接する雌ねじ穴部Waに傷がつかない程度
の弱い力であることが望ましい。なぜなら、例えねじ締
め自体はうまくいったとしても、雄ねじのねじ頭部分に
傷があれば、現実には外観不良として製品の価値が下が
るからである。
【0048】上記S150における所定の位置まで下降
させた後、ビット軸50bを90度逆転駆動して回転を
止める(S160)。逆転駆動なので、雄ねじ110は
雌ねじ穴部Waへは侵入していかず、また、ビット軸5
0bには上記所定の上下軸推力が加わっているので、ビ
ット軸先端51が雄ねじ110のねじ頭の穴(十字や一
字)に嵌合していない場合であっても所定角度だけ逆回
転させれば、その逆回転の間に適切に嵌合する可能性が
高くなる。
【0049】例えば、図6(A)に示すように、ビット
軸先端51と雄ねじ110のねじ頭、雄ねじ110の先
端と雌ねじ穴部Waが当接する位置まで下降させたと
き、雄ねじ110が多少斜めになっていて、ビット軸先
端51と雄ねじ110のねじ頭に設けられた十字穴11
3と適正に嵌合しない場合が考えられる。また、雄ねじ
110が直立していても、ビット軸先端51と雄ねじ1
10の十字穴113とが適正に嵌合しない場合はある。
【0050】このようなときでも、逆転駆動させると、
図6(B)に示すように、雄ねじ110は雌ねじ穴部W
aへは侵入していかず、ビット軸50bの先端51が雄
ねじ110の十字穴113に対応する位置に来るとビッ
ト軸50bに加わる上下軸推力のため、ビット軸先端5
1が十字穴113に嵌合する。90度回転する間に嵌合
して、その後雄ねじ110も一緒に逆回転してから止ま
る。ビット軸先端51が十字穴113に嵌合すること
で、雄ねじ110は直立する。
【0051】図5に戻り、S160での逆転駆動が終わ
ると、嵌合状態が適切であるか否かを判断する(S17
0)。この判断は、ビット軸先端51の軸動方向(この
場合上下方向)位置のデータに基づいて判断する。例え
ばビット軸先端51の位置が、雄ねじ110の十字穴1
13底面から所定の高さ以内にあるか否かで判断するこ
とができる。
【0052】上記S160での逆転駆動によりビット軸
先端51が雄ねじ110の十字穴113に適切に嵌合す
る可能性は高くなるのであるが、それでも必ずしも適切
な嵌合が実現するとは限らない。例えば、ねじそのもの
が逆回転するビットと共に逆回転した場合や、予めねじ
頭部に損傷がありビットの嵌合が不可能な場合には嵌合
しないのである。そして、適切に嵌合していない状態の
ままでねじ締めを実行してしまうと、やはり雄ねじ11
0がワークWの雌ねじ穴部Waの外端部分に衝突する等
してねじかじりとなったり、ワークWを壊してしまった
り、あるいは雄ねじ110の十字穴113を壊してしま
い、ビット軸先端51が引っ掛からないような状態とな
ったりする可能性がある。
【0053】従って、嵌合状態が適切な場合(S17
0:YES)には、そのままねじ締めを許可し(S18
0)、一方、適切に嵌合していない場合(S170:N
O)には、S160へ戻って、再度90度の逆転駆動を
実行させる。そして、S170で嵌合状態が適切か否か
を判断し、適切な嵌合であればS180へ移行し、一方
不適切な嵌合であれば再度S160へ戻る。
【0054】このようにして、適切な嵌合の場合はもち
ろんそのままねじ締めを行うことで、ねじ締め不良が生
じことなく作業が進み、不適切な嵌合の場合は再度逆転
駆動させることで、適切な嵌合となる機会を与え、その
再度の逆転駆動で適切に嵌合すれば、そのままねじ締め
に移行するのである。従って、締め不良率の低減効果に
加え、ねじ締め作業の効率を向上させることができる。
【0055】なお、ビット軸50bを代表とするねじ締
め付け機構側における原因や雄ねじ110側の原因等に
よって、S160での逆転駆動を何度させても物理的に
適切な嵌合とならない場合も考えられる。従って、その
ような状況も考慮して、S160の逆転駆動を所定回数
行っても適切な嵌合にならない場合(S170:NO)
には、エラー表示等をして、図5の処理を終了するよう
にしてもよい。その所定回数は例えば3回程度である
が、当該作業の所定サイクルタイムに対して余裕がある
場合は、4回以上の再試行も可能である。このようにす
ると、全体としての作業能率のさらなる向上という点で
好ましい。
【0056】以上説明したように、ビット軸先端51と
雄ねじ110の十字穴113との適切な嵌合が完了した
後、実際のねじ締め処理が実行される。本施例における
ねじ締め処理について説明すると、本実施例において
は、ねじ締めパターンが、図3にて示したように、開始
状態、ねじ込み状態及び締め上げ状態に三分割されてい
る。そして、ねじ締めパターンの開始状態、ねじ込み状
態及び締め上げ状態にそれぞれ対応して第1、第2及び
第3のビット軸回転速度を定めるとともに、第1ビット
軸回転速度を低く、第2ビット軸回転速度を高く、かつ
第3ビット軸回転速度を低く設定し、また、ねじ締めパ
ターンの開始状態、ねじ込み状態及び締め上げ状態にそ
れぞれ対応して第1、第2及び第3の上下軸推力を適正
な値に設定してある。
【0057】これにより、ねじ締めパターンの開始状態
では、ビット軸50bの回転速度を低くかつ軸動推力を
小さくするように、各サーボモータ30、50aのトル
ク及び回転速度が制御される。このため、上下軸20が
サーボモータ30により駆動されて第1上下軸推力でも
って上下動部材40を下動し、ビット軸50bが、上下
動部材40と共に第1上下軸推力でもって下動しつつ、
サーボモータ50aにより第1ビット軸回転速度にて駆
動されて、雄ねじ110を雄ねじ穴部Waに喰い付かせ
る。
【0058】この場合、上述のように、前記開始状態で
は、ビット軸50bの回転速度が低くかつ下動推力が小
さいので、雄ねじ110の雌ねじ穴部Waへの喰い付き
を正常にしかも確実に実現できる。また、喰い付き始め
の判別をビット軸50bの一回転あたりの下動量でもっ
て行うようにすれば、雌ねじ穴部Waへの喰い付きの判
断が高精度にてなされ得る。また、上述のように第1上
下軸推力及び第1ビット軸回転速度が定められているの
で、雄ねじ110や雌ねじ穴部Waを破壊しない程度の
力でもってねじの喰い合いを促進できる。
【0059】また、前記ねじ締め状態では、ビット軸5
0bの回転速度を高くかつ軸動推力を前記開始状態より
も大きくするように、各サーボモータ30、50aのト
ルク及び回転速度が制御される。このため、上下軸20
がサーボモータ30により駆動されて第2上下軸推力で
もって上下動部材40を下動し、ビット軸50bが、上
下動部材40と共に第2上下軸推力でもって下動しつ
つ、サーボモータ50aにより第2ビット軸回転速度に
て駆動されて、雌ねじ穴部Waに喰い付き始め後の雄ね
じ110を雌ねじ穴部Waにねじ込む。
【0060】この場合、上述のように、前記ねじ締め状
態では、ビット軸50bの回転速度が高くかつ軸動推力
が前記開始状態よりも大きいので、雄ねじ110の雌ね
じ穴部Waへのねじ込みを短時間にて適正にしかも確実
に実現できる。また、前記締め上げ状態では、ビット軸
50bの回転速度を低くかつ軸動推力を前記ねじ締め状
態よりも大きくするように、各サーボモータ30、50
aのトルク及び回転速度が制御される。このため、上下
軸20がサーボモータ30により駆動されて第3上下軸
推力でもって上下動部材40を下動し、ビット軸50b
が、上下動部材40と共に第3上下軸推力でもって下動
しつつ、サーボモータ50aにより第3ビット軸回転速
度にて駆動されて、雌ねじ穴部Waに対し着座前に達し
た後の雄ねじ110を雌ねじ穴部Waに着座させた後同
雌ねじ穴部Waに締め上げる。
【0061】この場合、上述のように、前記締め上げ状
態では、ビット軸50bの回転速度が低くかつ軸動推力
が前記ねじ締め状態よりも大きいので、雄ねじ110の
雌ねじ穴部Waへの締め上げを安定にかつ高精度にて確
実に実現できる。また、ステップ230にて着座前回転
量を判別し、これによって、その後の締め上げ時に必要
なトルク増大をタイミングよく的確に実現できる。
【0062】以上の開始状態、ねじ込み状態及び締め上
げ状態を経ることにより、雄ねじ110のねじ締め不良
を低減しつつ同雄ねじ110の雌ねじ穴部Waへのねじ
締め時間を著しく短縮できる。かかる場合、前記開始状
態、ねじ込み状態及び締め上げ状態の各状態ごとに、ビ
ット軸50bの回転速度及び軸動推力が適正に定められ
ているので、ビット軸50bの先端が雄ねじ110の頭
から滑ることなく、最適なねじ締め推力にて、雄ねじ1
10のねじ締めを確実に達成し得る。
【0063】以上本発明は、このような実施例に何等限
定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々成る態様で実施し得る。例えば、上記実施例に
おいては、直流サーボモータ50aの回転軸をビット軸
50bと同軸的に直接連結するようにしたが、これに代
えて、直流サーボモータ50aの回転軸を、適宜な減速
機構を介してビット軸50bと同軸的に連結して実施し
てもよい。
【0064】また、上記実施例では、ビット軸先端51
の軸動方向位置を、エンコーダ60からの回転量データ
とビット軸先端51の上動端における位置データとに基
づいて検出するようにしたが、近接スイッチを配置し
て、直接検出するようにしてもよい。さらに、上記実施
例においては、マイクロコンピュータ80のROMに記
憶される上下軸推力、ビット軸回転速度、雄ねじの長さ
及びねじピッチ、逆転回転量、逆転回転時推力、着座前
回転量、喰い付き回転量範囲、異常トルク、設定トル
ク、設定回転量に係るデータ等は、一種類の雄ねじを対
照に特定されているが、複数種類の雄ねじに対して本発
明を適用する場合には、各種類毎の雄ねじに対してそれ
ぞれ上記各データを作成して記憶すればよい。
【0065】また、本発明の実施にあたっては、雄ねじ
110の頭の穴は十字穴113に限ることなく、例え
ば、一字穴であってもよい。その場合には、上記S16
0における逆転駆動を90度ではなく、180度にすれ
ばよい。また、その逆転駆動時の所定角度についてさら
にいうならば、十字穴の場合の90度や一字穴の場合の
180度は、最低限その角度だけ逆回転させれば、ずれ
ていたビット軸先端51と雄ねじ110のねじ頭の穴と
が嵌合するという理論値なので、例えば十字穴の場合に
100度、一字穴の場合に200度という具合いに多少
多めに設定してもよい。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のねじ締め
装置によれば、雄ねじとビット軸の先端との嵌合が適切
であるか否かを判断することによって、不適切なまま締
め付け動作を実行してしまうことを防止できるので、締
め不良率の低減に寄与することができる。
【0067】また、請求項2に記載のねじ締め装置で
は、適切な嵌合の場合はもちろんそのままねじ締めを行
うことで、ねじ締め不良が生じことなく作業が進み、不
適切な嵌合の場合は再度逆転駆動させることで、適切な
嵌合となる機会を与え、その再度の逆転駆動で適切に嵌
合すれば、そのままねじ締めに移行するため、上記締め
不良率の低減に加え、ねじ締め作業の効率を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のねじ締め装置本体の概略
側面図である。
【図2】 同本実施例のねじ締め装置の電気的構成を示
すブロック図である。
【図3】 ねじ締めパターンの各状態との関連における
ビット軸回転速度、上下軸推力及びビット軸トルクの変
化を示す説明図である。
【図4】 図2の上下軸駆動用サーボコントローラ及び
ビット軸駆動用サーボコントローラの模式的回路構成図
である。
【図5】 図2のマイクロコンピュータの作用を示すフ
ローチャートである。
【図6】 本実施例の逆転駆動によるビット軸及び雄ね
じの作動を示す概略側面図である。
【符号の説明】
10…支持体、 20…上下軸、 30…上下軸制
御用直流サーボモータ、40…上下動部材、 50…電
動ドライバ、50a…ビット軸制御用直流サーボモー
タ、 50b…ビット軸、50c…吸着パイプ、 50
d…コイルスプリング、 51…ビット軸先端、60,
70…エンコーダ、 80…マイクロコンピュータ、8
0a…入力装置、 90,100…サーボコントロー
ラ、 113…十字穴、W…ワーク、 Wa…雌ねじ穴

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動手段によりその作動状態に応じ駆動
    されて正逆自在に回転しつつ軸動し、雄ねじをワークの
    雌ねじ穴部に締め付けるビット軸を備えたねじ締め付け
    機構と、 上記雄ねじをワークの雌ねじ穴部に締め付ける前の状態
    であり、上記ビット軸が上記雄ねじに当接する位置にお
    いて、軸動方向へ所定の押圧力が設定された状態で、上
    記ビット軸を所定角度だけ逆転駆動させる逆転制御手段
    と、 上記ビット軸の軸動方向位置を検出する軸動方向位置検
    出手段と、 上記逆転制御手段によって逆転駆動された後で、上記軸
    動方向位置検出手段によって検出された軸動方向位置デ
    ータを基に、上記ビット軸の先端が上記雄ねじのねじ頭
    に適切に嵌合したか否かを判断する嵌合判断手段と、 を備えたことを特徴とするねじ締め装置。
  2. 【請求項2】 上記請求項1に記載のねじ締め装置にお
    いて、さらに、 上記嵌合判断手段による判断結果に基づき、上記ビット
    軸の先端が上記雄ねじのねじ頭に適切に嵌合している場
    合には、そのままねじ締めを許可し、一方、適切に嵌合
    していない場合には、上記逆転制御手段による所定角度
    の逆転駆動を再度実行させる判断後制御手段を備えたこ
    とを特徴とするねじ締め装置。
JP1460694A 1994-02-08 1994-02-08 ねじ締め装置 Pending JPH07223130A (ja)

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