JPH07223022A - 内面溝付管製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転ヘッドが高速で回転してもシャフトにた
わみを生じず、バックアップロールの押圧力に偏りのな
い内面溝付管製造装置を提供することにある。 【構成】 被加工管の被加工部の内面に溝切り加工を行
う溝切り加工プラグと、被加工管の周囲に設けられた回
転ヘッドに支持され、第１の円軌跡上で自転しながら公
転する複数のロールと、複数のロールと接触して回転力
を受けることにより第２の円軌跡上で自転しながら公転
する複数の押圧手段と、複数のロールの外周と内接する
内径部を有する円筒状の補強部材を有するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内面溝付管製造装置に関
し、特に、バックアップロールを支持するシャフトのた
わみを防止することによって、高速での内面溝切り加工
時においても優れた溝切りを可能とする内面溝付管製造
装置に関する。

【０００２】

【背景技術】図４は、被加工管と接するロールで被加工
管を押圧し、被加工管の内部の溝切り加工を行う提案中
の内面溝付管製造装置を示しており、特願平４−１６４
２９０号として本出願人より出願されている。この装置
は、被加工管１の周囲に配置されて周方向に回転する回
転ヘッド２と、回転ヘッド２にシャフト３で片持ち支持
される複数のバックアップロール４と、被加工管１の入
り側が窄められた外周形状をなし、バックアップロール
４によって被加工管１の外周部に押圧されて回転する複
数の加工ロール５と、被加工管１の引抜き側の複数の加
工ロール５の端部に設けられるスラストベアリング１３
とより構成される押圧部を備えており、この押圧部が被
加工管１を引き抜く引抜き部６および引抜き部７の間に
位置して設けられている。

【０００３】また、被加工管１の内部には、外周部に螺
旋状の突起８ａが形成され、加工ロール５の押圧部に位
置して内接する溝切り加工プラグ８と、引抜き部６にお
ける被加工管１の内壁に接触して位置するフローティン
グプラグ９とが設けられ、これらがタイロッド１０によ
って連結されて回転自在に支持されている。

【０００４】上記の内面溝付管製造装置によると、被加
工管１は引抜き部６で引き抜かれることにより外径が絞
り込まれる。このとき、管内に位置するフローティング
プラグ９が被加工管１の内壁に当接する。この後、減径
された被加工管１は、引抜き方向に移動して複数の回転
ヘッド２内に送り込まれる。

【０００５】図５は、図４の押圧部におけるＡ−Ａ断面
を示し、被加工管１の内部にはタイロッド１０によって
回転自在に支持される溝切り加工プラグ８が挿入されて
いる。この溝切り加工プラグ８が位置する被加工管１の
外周部には複数のバックアップロール４によって被加工
管１の中心方向に複数の加工ロール５が押圧されてい
る。

【０００６】複数のバックアップロール４が図中に示す
Ａ方向に連動的に回転すると、複数の加工ロール５はＢ
方向に回転しながら時計回りにｂの軌跡を描いて被加工
管１を押圧しながら回動する。このとき、複数のバック
アップロール４は反時計方向に回転しながら時計回りに
ａの軌跡を描いて回動する。

【０００７】この複数のバックアップロール４は、シャ
フト３を被加工管１の中心方向に向かって移動させるこ
とで押圧量を調整することができる。この移動量の調整
は、バックアップロール４の全てを同時に同量だけ移動
することができるとともに、各々について行うことがで
きる。

【０００８】複数の加工ロール５が被加工管１を押圧す
ると、管内に挿入されている溝切り加工プラグ８の外周
部に形成された螺旋状の突起８ａが被加工管１の内壁に
押し付けられる。この突起８ａが押し付けられたままで
被加工管１が引き抜かれることにより溝切り加工プラグ
８が回転する。

【０００９】このことにより、被加工管１の内壁に螺旋
状の連続した溝１１を有する内面溝付管１２が形成さ
れ、更に引き抜き方向に位置して設けられている引抜き
部７において引き抜かれることにより、所定の外径に減
径される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、提案中の内面
溝付管製造装置によると、回転ヘッドによって回転して
加工ロールを押圧するバックアップロールに回転ヘッド
の回転速度に応じた遠心力が作用してシャフトにたわみ
が生じるため、バックアップロールの先端部が径方向に
拡大し、その結果、加工ロールの押圧力が低下して溝形
成に悪影響を及ぼすという問題がある。従って、本発明
の目的は、回転ヘッドが高速で回転したとしてもシャフ
トにたわみを生じず、バックアップロールの押圧力に偏
りのない内面溝付管製造装置を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は回転ヘッドが高
速で回転したとしてもシャフトにたわみを生じず、バッ
クアップロールの押圧力に偏りのないようにするため、
被加工管の被加工部の内面に接触して位置し、内面溝に
応じた溝切り部を外周に有する溝切り加工プラグと、被
加工管の被加工部の外周方向に位置し、各々が回転ヘッ
ドにシャフトで支持されて回転することにより、第１の
円軌跡上で自転しながら公転する複数のロールと、被加
工管の被加工部の外面と複数のロールの内側の間に形成
される空間に位置し、複数のロールと接触することによ
ってその回転力を受けることにより第１の円軌跡より小
なる半径の第２の円軌跡上で自転しながら公転する複数
の押圧手段と、第１及び第２の円軌跡と同軸状に設けら
れ、複数のロールの外周と内接する内径部を有する円筒
状の補強部材を有するようにした内面溝付管製造装置を
提供する。

【００１２】

【作用】本発明によると、回転ヘッドにシャフトで支持
された複数のロールの外周を補強部材の内径部に内接さ
せることにより、回転ヘッドが回転して複数のロールが
第１の円軌跡上を公転する際にシャフトのたわみが押さ
え込まれるので公転半径の拡大が防止される。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の内面溝付管製造装置を図面を
基に詳細に説明する。図４および図５と同一の構成を有
する部分については同一の符号および引用数字を付して
いるので、重複する説明を省略する。

【００１４】図１は、本発明の内面溝付管製造装置の一
実施例を示し、被加工管１の周囲に配置され、被加工管
１の外周部を周方向に回転する回転ヘッド２と、回転ヘ
ッド２にシャフト３によってそれぞれ片持ち支持される
複数のバックアップロール４と、被加工管１の外周に配
置され、引抜き部６側の先端が窄められた外周形状を有
し、バックアップロール４によって被加工管１の中心方
向に押圧される複数の加工ロール５と、被加工管１の引
き抜き側の加工ロール５の端部に設けられるスラストベ
アリング１３と、バックアップロール４の外周と内接す
る内径部１４Ａを有し、バックアップロール４、加工ロ
ール５を内包して被加工管１に同軸状に設けられる補強
リング１４と、補強リング１４にねじ等（図示せず）に
よって固定される側板１５，１６より構成される押圧部
を備えており、この押圧部が被加工管１を引き抜く引抜
き部６および引抜き部７の間に位置して設けられてい
る。

【００１５】バックアップロール４は、被加工管１の送
り込み側が窄められた加工ロール５と線状に接するよう
に形成された外周形状を有しており、回転ヘッド２側に
設けられたスラストベアリング１３とともに加工ロール
５が被加工管１の長さ方向へ移動することを防止してい
る。

【００１６】図２は、図１におけるＡ−Ａ断面を示し、
被加工管１の外周を押圧する所定の間隔で配置された複
数の加工ロール５と、複数の加工ロール５の２つと外接
し、補強リング１４の内径部１４Ａに内接する複数のバ
ックアップロール４が被加工管１に同軸状に配置されて
いる。

【００１７】補強リング１４の一方の側面にねじ等（図
示せず）によって固定される側板１５には、被加工管１
を挿通させるための孔１５Ａが設けられており、他方の
側面に同様にねじ等（図示せず）によって固定される側
板１６にも孔１６Ａが設けられている。孔１６Ａは回転
ヘッド２に設けられるシャフト３を通すため、孔１５Ａ
に対して大径化されている。

【００１８】この側板１５，１６は、バックアップロー
ル４、加工ロール５及び補強リング１４の接触、スリッ
プ等により生じる発熱の放散を促すためにリブ形状或い
はプロペラ状に形成されても良い。

【００１９】更に、補強リングの表面に凹凸を設けて表
面積を拡大することにより、放熱性を高める処理を施し
ても良い。

【００２０】以下に、本発明の内面溝付管製造装置の動
作を説明する。

【００２１】引抜き部６において引き抜かれることによ
り、所定の外径に減径された被加工管１は、加工ロール
５に送り込まれる。

【００２２】加工ロール５に送り込まれた被加工管１
は、回転ヘッド２にシャフト３によって支持されたバッ
クアップロール４が回転することによって長さ方向に垂
直な押圧力を加えられる。

【００２３】ここで、図２に示すようにバックアップロ
ール４がＡ方向に回転すると、加工ロール５はＢの方向
に回転し、被加工管１の外周を押圧しながらｂの軌跡を
反時計周りに回動する。一方、バックアップロール４は
反時計周りにａの軌跡を描いて回動する。

【００２４】また、補強リング１４はバックアップロー
ル４のＡ方向の回転に基づいてＣ方向に回転し、回転ヘ
ッド２の回転速度の上昇に伴ってバックアップロール４
の公転軌跡ａが回転ヘッド２の径方向に拡がることを防
止するとともに溝切り加工に伴って生じる発熱を表面よ
り効果的に放散する。

【００２５】このことにより、加工ロール５は被加工管
１の外周において、その長さ方向に一定の押圧力を負荷
するので、タイロッド１０によって被加工管１内に回転
自在に挿入されている溝切り加工プラグ８によって連続
した溝切りが行われる。

【００２６】バックアップロール４の押圧量は、提案中
の内面溝付管製造装置と同様にシャフト３を被加工管１
の中心方向に移動させることで調整することが可能であ
る。よって、バックアップロール４を有する複数のシャ
フト３全て、あるいは個々の押圧量を調整し、加工ロー
ル５を水平に回転させることで加工度を変化させること
ができる。

【００２７】図３は、本発明の内面溝付管製造装置の他
の実施例を示し、送り出し側の端面を球面状に形成した
複数の加工ロール１７と、加工ロール１７との当たり面
が円筒状に形成された複数のバックアップロール１８と
を有している。

【００２８】バックアップロール１８の外周は、被加工
管１に同軸状に設けられる補強リング１４の内径部１４
Ａに内接しており、補強リング１４は孔１５Ａ，１６Ａ
を有し、ねじ等（図示せず）により固定される側板１
５，１６によって加工ロール１７、バックアップロール
１８を内包している。

【００２９】このように加工ロール１７の送り出し側を
球面状に形成してスラストベアリングを省略することに
より、構成が簡素化されるとともにシャフト３の長さを
短くできるので回転ヘッド２の高速回転時にシャフト３
がたわみにくくなり、補強リング１４にかかる負担を減
らすことができる。

【００３０】更に、円筒状の当たり面を有するバックア
ップロール１８によって押圧力が効果的に伝わり、補強
リングへの優れた伝熱性が得られる。なお、押圧手段と
しては、ロールに限らず、複数のボールを用いても差し
支えない。その場合、バックアップロールとしては、図
１に示すように縮径部を設けたものが使用されるが、図
３の例の場合と同様、シャフトの長さを短くして、補強
リングにかかる負担を減らすことができる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の内面溝付管
製造装置によると、被加工管の被加工部の内面に接触し
て位置し、内面溝に応じた溝切り部を外周に有する溝切
り加工プラグと、被加工管の被加工部の外周方向に位置
し、各々が回転ヘッドにシャフトで支持されて回転する
ことにより、第１の円軌跡上で自転しながら公転する複
数のロールと、被加工管の被加工部の外面と複数のロー
ルの内側の間に形成される空間に位置し、複数のロール
と接触することによってその回転力を受けることにより
第１の円軌跡より小なる半径の第２の円軌跡上で自転し
ながら公転する複数の押圧手段と、第１及び第２の円軌
跡と同軸状に設けられ、複数のロールの外周と内接する
内径部を有する円筒状の補強部材を有するようにしたた
め、回転ヘッドが高速で回転したとしてもシャフトにた
わみを生じず、バックアップロールの押圧力に偏りを生
じないようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の内面溝付管製造装置の一実施例を示す
説明図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面における動作を示す説明図で
ある。

【図３】本発明の内面溝付管製造装置の他の実施例を示
す説明図である。

【図４】従来の内面溝付管製造装置を示す説明図であ
る。

【図５】図４のＡ−Ａ断面における動作を示す説明図で
ある。

【符号の説明】

１ 被加工管 ２ 回転ヘッド ３ シャフト ４ バックアップロ
ール ５ 加工ロール ６，７ 引抜き部 ８ 溝切り加工プラグ ８ａ 突起 ９ フローティングプラグ １０ タイロッド １１ 溝 １２ 内面溝付管 １３ スラストベアリング １４ 補強リング １４Ａ 内径部 １５，１６ 側板 １７ 加工ロール １８ バックアップロ
ール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加工管の被加工部の内面に接触して位
   置し、内面溝に応じた溝切り部を外周に有する溝切り加
   工プラグと、 前記被加工管の被加工部の外周方向に位置し、各々が回
   転ヘッドにシャフトで支持されて回転することにより、
   第１の円軌跡上で自転しながら公転する複数のロール
   と、 前記被加工管の被加工部の外面と前記複数のロールの内
   側の間に形成される空間に位置し、前記複数のロールと
   接触することによってその回転力を受けることにより前
   記第１の円軌跡より小なる半径の第２の円軌跡上で自転
   しながら公転する複数の押圧手段と、 前記第１及び第２の円軌跡と同軸状に設けられ、前記複
   数のロールの外周と内接する内径部を有する円筒状の補
   強部材を有し、 前記回転ヘッドが回転することによって、前記複数のロ
   ールは前記補強部材の前記内径部に接することにより遠
   心力に基づく軸変形を抑止された状態で自転しながら前
   記第１の円軌跡上を公転するとともに、前記補強部材を
   前記複数のロールの公転方向に回転させ、前記複数の押
   圧手段を前記被加工管の外周に押圧することによって前
   記被加工管の被加工部を押圧し、前記溝切り加工プラグ
   は前記被加工管の軸方向の移動により回転し、前記被加
   工管の被加工部の内面に溝を形成することを特徴とする
   内面溝付管製造装置。