JPH0716641A - 内面溝付管製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工ロールとバックアップロールの接触部に
おける滑りや擦れを抑え、更に回転ブレの発生を防止し
て高い溝切り加工精度を有する内面溝付管製造装置を提
供することにある。 【構成】 それぞれ第１の径を有する主ロールと、この
主ロールより大なる第２の径を有する補助ロールとを有
する複数の第１のロールと、それぞれ第１のロールの主
ロールと被加工管の被加工部の外面に接触する大径部
と、大径部と一体に形成されて第１のロールの補助ロー
ルと接触する小径部とを有する複数の第２のロールとを
有するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内面溝付管製造装置に関
し、特に、被加工管の外周から線状に押圧しながら、内
面に加工を施すことによって、加工速度、加工精度およ
び装置の耐久性を向上させた内面溝付管製造装置に関す
る。

【０００２】

【背景技術】図２は、被加工管と接するロールで被加工
管を押圧し、被加工管の内部の溝切り加工を行う提案中
の内面溝付管製造装置を示しており、特願平４−１６４
２９０号として本出願人より出願されている。この装置
は、被加工管１の周囲に配置されて周方向に回転する回
転ヘッド２と、回転ヘッド２にシャフト３で支持される
バックアップロール４と、被加工管１の入り側が窄めら
れた外周形状をなし、バックアップロール４によって被
加工管１の外周部に押圧されて回転する加工ロール５
と、被加工管１の引き抜き側の加工ロール５の端部に設
けられるスラストベアリング６とより構成される押圧部
を備えており、この押圧部が被加工管１を引き抜く引抜
き部７および引抜き部８の間に位置して設けられてい
る。

【０００３】また、被加工管１の内部には、外周部に螺
旋状の突起９ａが形成され、加工ロール５の押圧部に位
置して内接する溝切り加工プラグ９と、引抜き部７にお
ける被加工管１の内壁に接触して位置するフローティン
グプラグ１０とが設けられ、これらがタイロッド１１に
よって連結されて回転自在に支持されている。

【０００４】上記の内面溝付管製造装置によると、被加
工管１は引抜き部７で引き抜かれることにより外径が絞
り込まれる。このとき、管内に位置するフローティング
プラグ１０が被加工管１の内壁に当接する。この後、減
径された被加工管１は、引抜き方向に移動して回転ヘッ
ド２内に送り込まれる。

【０００５】図３は、図２の押圧部におけるＡ−Ａ断面
を示し、被加工管１の内部にはタイロッド１１によって
回転自在に支持される溝切り加工プラグ９が挿入されて
いる。この溝切り加工プラグ９が位置する被加工管１の
外周部にはバックアップロール４により被加工管１の中
心に向かって加工ロール５が押圧されている。

【０００６】回転ヘッド（図示せず）を図中に示すＡ方
向に回転させると、加工ロール５は、Ｂ方向に回転しな
がら時計回りにＣの軌跡を描いて被加工管１を押圧しな
がら回動する。このとき、バックアップロール４はＡ’
方向、即ち、反時計方向に回転しながら時計回りにＤの
軌跡を描いて回動する。

【０００７】このバックアップロール４は、シャフト３
を被加工管１の中心方向に向かって移動させることで押
圧量を調整することができる。この移動量の調整は、バ
ックアップロール４の全てを同時に同量だけ移動するこ
とができるとともに、個々について行うことができる。

【０００８】加工ロール５が被加工管１を押圧すると、
管内に挿入されている溝切り加工プラグ９の外周部に形
成された螺旋状の突起９ａが被加工管１の内壁に押し付
けられる。この突起９ａが押し付けられたままで被加工
管１が引き抜かれることにより溝切り加工プラグ９が回
転する。

【０００９】このことにより、被加工管１の内壁に螺旋
状の連続した溝１２を有する内面溝付管１３が形成さ
れ、更に引き抜き方向に位置して設けられている引抜き
部８において引き抜かれることにより、所定の外径に減
径される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、提案中の内面
溝付管製造装置によると、被加工管に接する加工ロール
は図２のように被加工管入り側の径が絞り込まれてお
り、また、バックアップロールも加工ロールの先端部ま
で当接するように設計されているため、溝切り加工を高
速化した場合、または通常速度での使用でも加工ロール
とバックアップロールの接触部において、径の違いによ
る周速度の差が発生して滑りや擦れが生じ、発熱や摩耗
を引き起こして部品寿命の低下や加工精度の低化等の不
都合を招き、更に押圧時に発生する加工反力によって加
工ロールの回転ブレを生じるという問題がある。従っ
て、本発明の目的は、加工ロールとバックアップロール
の接触部における滑りや擦れを抑え、更に回転ブレの発
生を防止することにより高い溝切り加工精度を有する内
面溝付管製造装置を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、加工ロールと
バックアップロールの接触部における滑りや擦れを抑
え、更に回転ブレの発生を防止して高い溝切り加工精度
を付与するため、被加工管の被加工部の外周方向に位置
して第１の円軌跡上で自転しながら公転し、それぞれ第
１の径を有する主ロールと、この主ロールより大なる第
２の径を有する補助ロールとを有する複数の第１のロー
ルと、被加工管の被加工部の外面と複数の第１のロール
の内側の間に形成される空間に位置してそれぞれ第１の
ロールの主ロールと被加工管の被加工部の外面に接触す
る大径部と、大径部と一体に形成されて第１のロールの
補助ロールと接触する小径部とを有し、第１の円軌跡よ
り小なる半径の第２の円軌跡上で自転しながら公転する
複数の第２のロールとを有するようにした内面溝付管製
造装置を提供する。

【００１２】

【作用】本発明によると、第２のロールがシャフトの長
さ方向に２つの径の異なる独立したロールを直列に配置
し、また、第１のロールも２つの径の異なるロールに対
応した径の大径部と小径部を有する構成にしたことによ
り、第１のロールと第２のロールの接触部における周速
度の差による滑りや擦れが無くなる。更に、第１のロー
ルに生じる回転ブレは、第１のロールの小径部が第２の
ロールの大径ロールとの接触により抑えられるので部品
寿命および加工精度が向上する。

【００１３】

【実施例１】以下、本発明の内面溝付管製造装置を図面
を基に詳細に説明する。図２および図３と同一の構成を
有する部分については同一の符号および引用数字を付し
ているので、重複する説明を省略する。

【００１４】図１は、本発明の内面溝付管製造装置の一
実施例を示し、被加工管１の周囲に配置され、被加工管
１の外周部を周方向に回転する回転ヘッド２と、加工ロ
ール大径部１４Ａ、加工ロールテーパー部１４Ｂおよび
加工ロール小径部１４Ｃより成る加工ロール１４と、回
転ヘッド２にシャフト３によってそれぞれ支持され、加
工ロール大径部１４Ａに当接するバックアップロール１
５，加工ロール小径部１４Ｃに当接するバックアップロ
ール１６と、被加工管１の引き抜き側の加工ロール５の
端部に設けられるスラストベアリング６とより構成され
る押圧部を備えており、この押圧部が被加工管１を引き
抜く引抜き部７および引抜き部８の間に位置して設けら
れている。

【００１５】加工ロール１４は、加工ロール大径部１４
Ａに連続して加工ロールテーパー部１４Ｂを有し、更に
加工ロールテーパー部１４Ｂに連続して加工ロール小径
部１４Ｃが一体的に設けられている。加工ロール小径部
１４Ｃは被加工管１の入り側に位置するように設けられ
ている。

【００１６】加工ロール大径部１４Ａおよび加工ロール
小径部１４Ｃは円筒状をなし、これらの外周には同一の
シャフト３によって支持されているバックアップロール
１５，１６が当接する。バックアップロール１６は、バ
ックアップロール１５より大なる外径を有し、加工ロー
ル１４とバックアップロール１５，１６が当接した際に
シャフト３が被加工管１に平行となるように配置されて
いる。

【００１７】本発明の内面溝付管製造装置の動作を以下
に説明する。

【００１８】引抜き部７において引き抜かれることによ
り、所定の外径に減径された被加工管１は、加工ロール
１４に送り込まれる。

【００１９】加工ロール１４に送り込まれた被加工管１
は、バックアップロール１５に当接している加工ロール
大径部１４Ａによって長さ方向に垂直な押圧力を加えら
れる。

【００２０】このとき、加工ロール大径部１４Ａには、
被加工管１の長さ方向の塑性変形量の差より押圧方向を
傾むかせようとする加工反力が生じるが、加工ロール小
径部１４Ｃに接触し、バックアップロール１５より大な
る外径を有するバックアップロール１６によって加工ロ
ール１４の押圧方向が被加工管１の長さ方向に対して垂
直に作用するように保たれる。

【００２１】このような状態で、図３に示した回転運動
に基づいて溝切り加工が行われる。

【００２２】加工ロール１４が大径部１４Ａおよび小径
部１４Ｃを有するので、加工ロールが被加工管１の加工
反力によって傾くことなく、被加工管１の内壁に溝切り
加工プラグ９の螺旋状の突起９ａが安定して押し当てら
れることによって良好な溝切り加工が行われる。

【００２３】シャフト３に設けられたバックアップロー
ル１５，１６は独立して回転できるので、その回転半径
の違いによる滑りや擦れを生じずに加工ロール１４の傾
きを効果的に抑制する。従って、被加工管の送りを高速
化しても加工ロール１４が正常に回転するので回転ブレ
の発生が防止される。このバックアップロール１５，１
６および加工ロール１４の当接幅は特に限定されない
が、被加工管の加工度および加工速度等の加工条件に応
じて設定される。

【００２４】バックアップロール１５，１６の押圧量
は、提案中の内面溝付管製造装置と同様にシャフト３を
被加工管１の中心方向に移動させることで調整すること
が可能である。よって、バックアップロール１５，１６
を有する複数のシャフト３全て、あるいは個々の押圧量
を調整し、加工ロール１４を水平に回転させることで加
工精度を向上させることができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の内面溝付管
製造装置によると、被加工管の被加工部の外周方向に位
置して第１の円軌跡上で自転しながら公転し、それぞれ
第１の径を有する主ロールと、この主ロールより大なる
第２の径を有する補助ロールとを有する複数の第１のロ
ールと、被加工管の被加工部の外面と複数の第１のロー
ルの内側の間に形成される空間に位置してそれぞれ第１
のロールの主ロールと被加工管の被加工部の外面に接触
する大径部と、大径部と一体に形成されて第１のロール
の補助ロールと接触する小径部とを有し、第１の円軌跡
より小なる半径の第２の円軌跡上で自転しながら公転す
る複数の第２のロールとを有するようにしたため、加工
ロールとバックアップロールの接触部における滑りや擦
れを抑え、更に回転ブレの発生を防止して高い溝切り加
工精度を付与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の内面溝付管製造装置の一実施例を示す
説明図である。

【図２】従来の内面溝付管製造装置を示す説明図であ
る。

【図３】従来の内面溝付管製造装置のＡ−Ａ断面におけ
る動作を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 被加工管 ２ 回転ヘッド ３ シャフト ４ バックアップロ
ール ５ 加工ロール ６ スラストベアリ
ング ７，８ 引抜き部 ９ 溝切り加工プラ
グ ９ａ 突起 １０ フローティング
プラグ １１ タイロッド １２ 溝 １３ 内面溝付管 １４ 加工ロール １４Ａ 加工ロール大径部 １４Ｂ 加工ロールテー
パー部 １４Ｃ 加工ロール小径部 １５，１６ バックアッ
プロール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横溝 健治 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社システムマテリアル研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加工管の被加工部の内面に接触して位
   置し、内面溝に応じた溝切り部を外周に有する溝切り加
   工プラグと、 前記被加工管の被加工部の外周方向に位置し、第１の円
   軌跡上で自転しながら公転する複数の第１のロールと、 前記被加工管の被加工部の外面と前記複数の第１のロー
   ルの内側の間に形成される空間に位置し、前記複数の第
   １のロールと接触することによってその回転力を受ける
   ことにより前記第１の円軌跡より小なる半径の第２の円
   軌跡上で自転しながら公転する複数の第２のロールを備
   え、 前記複数の第１のロールは、それぞれ第１の径を有する
   主ロールと、この主ロールより大なる第２の径を有し、
   前記主ロールの公転運動に従属する公転運動を行いなが
   ら前記主ロールの自転運動から独立した自転運動を行う
   補助ロールを有し、 前記複数の第２のロールは、それぞれ前記第１のロール
   の前記主ロールと前記被加工管の被加工部の外面に接触
   する大径部と、前記大径部と一体に形成され、前記被加
   工管と接触せず前記第１のロールの前記補助ロールと接
   触する小径部を有し、 前記第２のロールの前記大径部および前記小径部は、前
   記第１ロールの前記主ロールおよび前記補助ロールの回
   転を受けることにより前記大径部が前記被加工管の被加
   工部を押圧し、前記溝切り加工プラグは前記被加工管の
   軸方向の移動により回転することにより、前記被加工管
   の被加工部の内面に溝を形成することを特徴とする内面
   溝付管製造装置。