JPH07222935A - 微粉砕用ローラミルとそれを用いた低振動粉砕処理方法 - Google Patents
微粉砕用ローラミルとそれを用いた低振動粉砕処理方法Info
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- JPH07222935A JPH07222935A JP1907194A JP1907194A JPH07222935A JP H07222935 A JPH07222935 A JP H07222935A JP 1907194 A JP1907194 A JP 1907194A JP 1907194 A JP1907194 A JP 1907194A JP H07222935 A JPH07222935 A JP H07222935A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ローラミルの粉砕性能ならびに機能を低下させ
ることなく、特に低負荷時における粉砕ローラのスティ
ックスリップ現象に基づく自励振動の発生を防止できる
構造の微粉砕用ローラミルおよび低振動粉砕処理方法を
提供する。 【構成】ローラブラケットを加圧フレームで支持する支
持点と、被粉砕物と粉砕ローラの接触点とを通る直線の
垂線に対する傾き角度θを、次式で示される範囲内に構
成した微粉砕用ローラミル。 θ≦tan~1〔μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)〕 (式中、μは静止摩擦係数、F1Xは加圧装置の粉砕荷
重、F3Xは粉砕部の自重を表わす。) 【効果】ローラミルの構造強度に対する信頼性の向上、
および振動騒音環境を著しく改善できる。
ることなく、特に低負荷時における粉砕ローラのスティ
ックスリップ現象に基づく自励振動の発生を防止できる
構造の微粉砕用ローラミルおよび低振動粉砕処理方法を
提供する。 【構成】ローラブラケットを加圧フレームで支持する支
持点と、被粉砕物と粉砕ローラの接触点とを通る直線の
垂線に対する傾き角度θを、次式で示される範囲内に構
成した微粉砕用ローラミル。 θ≦tan~1〔μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)〕 (式中、μは静止摩擦係数、F1Xは加圧装置の粉砕荷
重、F3Xは粉砕部の自重を表わす。) 【効果】ローラミルの構造強度に対する信頼性の向上、
および振動騒音環境を著しく改善できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は石炭やセメントクリンカ
等、あるいは化学製品の原料を微粉砕するローラミルに
係り、特にミルの粉砕性能を低下させることなく、ミル
の粉砕部におけるスティックスリップ現象に基づく自励
振動の発生を抑制した実用性の高い防振構造を有する微
粉砕用ローラミルに関する。
等、あるいは化学製品の原料を微粉砕するローラミルに
係り、特にミルの粉砕性能を低下させることなく、ミル
の粉砕部におけるスティックスリップ現象に基づく自励
振動の発生を抑制した実用性の高い防振構造を有する微
粉砕用ローラミルに関する。
【0002】
【従来の技術】石炭焚ボイラ火炉において、低公害燃焼
(低NOx、未燃分低減)や急速負荷変動運用が実施さ
れ、それに伴って石炭の微粉砕機(ミルと言う)に対し
ても給炭量の幅拡い変動運用等、よりフレキシブルな運
用への対応が要求されるようになってきている。石炭、
セメント原料あるいは新素材原料などの塊状物を細かく
微粉砕する粉砕機の1つの型式として、低速回転運動を
行う粉砕テーブルと、その上で自転する複数の粉砕ロー
ラを備えた竪型のローラミルがあり、最近ではこの分野
における代表的機種の一つとして、その地位を固めつつ
ある。図2は、従来のローラミルの中心軸を通る面でミ
ルを縦割りにした断面構造を示す模式図である。この種
の粉砕機は、円筒型のケーシング(ミルハウジング)1
0内において、水平面内で低速回転する粉砕テーブル9
と、該粉砕テーブル9上に押しつけられた状態(この押
しつける力を粉砕荷重と言う)で自転する複数個の粉砕
ローラ7を備えている。粉砕テーブル9は、モータ17
により減速機18を介して低速回転する垂直軸11に固
定され駆動する。粉砕ローラの回転軸6は、粉砕ローラ
7の上部に設けられたローラブラケット5により支持さ
れている。ローラブラケット5は、その上部に設けられ
た加圧フレーム22により、連結機であるローラピボッ
ト4を介して支持されている。このローラピボット4は
ピン構造であるため、ローラブラケット5は粉砕テーブ
ル9の半径方向へ振子運動が可能となる。粉砕性能を支
配する主要因子である粉砕荷重は、粉砕ローラ7、加圧
フレーム22等の構造部材の自重と、加圧フレーム22
と基礎マット13を連結する加圧装置29付きのテンシ
ョンロッド12による下向きの荷重の合力として与えら
れる。加圧装置29の荷重値は、給炭量をベースにした
ローラミルの運転条件に応じてコントロールされる。図
2において、粉砕テーブル9の中心部へ供給管(シュー
ト)25より供給される被粉砕物(原料)26は、粉砕
テーブル9の回転による遠心力によって粉砕テーブル9
上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動し、粉砕テー
ブル9の外周側に装着された粉砕リング8の上面の粉砕
レース24と粉砕ローラ7との間に噛み込まれて粉砕さ
れる。ミルハウジング10の基底部には、図示していな
いがダクトにより熱風19が導入されている。この熱風
19は、粉砕テーブル9の外周部とミルハウジング10
の内周部との間のエアスロート20からミル内に吹き上
げられ、粉砕された粉粒体は熱風19の流れに乗ってミ
ルハウジング10内を上昇する過程で乾燥される。そし
て、ミルハウジング10の上部へ輸送された粉粒体は、
重力によって粗いものから順に落下し(1次分級)、さ
らに上昇したやや細かな粉粒体は、ミルハウジング10
の上部に設けられたサイクロンセパレータ、あるいは回
転分級器3により再度分級(2次分級)され、所定の粒
径以下となった微粉体は熱風19によって、ボイラ火炉
の場合には微粉炭バーナへ、あるいは微粉炭の貯蔵ビン
へと気流搬送される。そして、2次分級で篩い落された
粗い粉粒体は粉砕テーブル9上に落下し、ミル内へ供給
される新しい原料と共に再度粉砕される。このようにし
て粉砕、分級が繰り返えされ被粉砕物は微粉砕される。
以上説明した従来のローラミルにおいて、特に低負荷域
での運用において大きな振動が発生することが知られて
いる。図3に、ローラミルの起動から振動発生までの典
型的なパターンの一例を示す。給炭量を定格量から低減
して、低負荷状態〔図3(a)〕とし、その状態で回転
分級器3の回転数を徐々に増加〔図3(b)〕すると振
動が発生する。この状態では粉砕テーブル上の炭層の厚
みは薄く、かつ高粒度になっているものと推定され〔図
3(c)〕、ローラミルの振動は上記の条件が満たされ
ると発生するものと考えられる。図4に、ローラミルの
振動波形の一例を示す。振動は数秒間隔で発生と停止を
繰り返している。トルク変動のデータは、減速機18
(図2参照)で代表される構造全体の振動とほぼ完全に
同期しており、またそれらの卓越周波数も一致する。こ
の結果は、粉砕テーブル9からモータ17までの捩じり
系が励振されていることを示している。また図4に示す
ように、ローラブラケット5は振動が生じると同時に、
粉砕ローラが外側に高速で移動する現象(粉砕ローラの
横滑り現象)が生じ、この現象がミル振動の原因となっ
ているものと考えられる。なお、外側に移動した粉砕ロ
ーラ7は、振動の低減と共に内側に戻る振子運動を繰り
返す。このローラミルの振動現象は、図5に示すよう
に、スティックスリップ振動の一種であると云われてい
る。つまり、一様に回転する粉砕リング8と粉砕ローラ
7との間に滑りが生じ、その滑りがある周期で繰り返し
起こる現象である。このスティックスリップ振動の特徴
の一つに、発生する周期(周波数)は構造物の固有振動
数とは直接関係がなく、図5に示す牽引速度V0、静止
摩擦係数μ等に大きく依存することが知られている。こ
のような振動は、ある特定の炭種で特定の運転条件、つ
まり低負荷運用時にのみ発生することが分かっている
が、このような振動が生じた場合にはミル本体の構造強
度のみならず、周辺機器への振動伝播および環境に対す
る振動公害の面からも解決しなければならない大きな問
題となっていた。
(低NOx、未燃分低減)や急速負荷変動運用が実施さ
れ、それに伴って石炭の微粉砕機(ミルと言う)に対し
ても給炭量の幅拡い変動運用等、よりフレキシブルな運
用への対応が要求されるようになってきている。石炭、
セメント原料あるいは新素材原料などの塊状物を細かく
微粉砕する粉砕機の1つの型式として、低速回転運動を
行う粉砕テーブルと、その上で自転する複数の粉砕ロー
ラを備えた竪型のローラミルがあり、最近ではこの分野
における代表的機種の一つとして、その地位を固めつつ
ある。図2は、従来のローラミルの中心軸を通る面でミ
ルを縦割りにした断面構造を示す模式図である。この種
の粉砕機は、円筒型のケーシング(ミルハウジング)1
0内において、水平面内で低速回転する粉砕テーブル9
と、該粉砕テーブル9上に押しつけられた状態(この押
しつける力を粉砕荷重と言う)で自転する複数個の粉砕
ローラ7を備えている。粉砕テーブル9は、モータ17
により減速機18を介して低速回転する垂直軸11に固
定され駆動する。粉砕ローラの回転軸6は、粉砕ローラ
7の上部に設けられたローラブラケット5により支持さ
れている。ローラブラケット5は、その上部に設けられ
た加圧フレーム22により、連結機であるローラピボッ
ト4を介して支持されている。このローラピボット4は
ピン構造であるため、ローラブラケット5は粉砕テーブ
ル9の半径方向へ振子運動が可能となる。粉砕性能を支
配する主要因子である粉砕荷重は、粉砕ローラ7、加圧
フレーム22等の構造部材の自重と、加圧フレーム22
と基礎マット13を連結する加圧装置29付きのテンシ
ョンロッド12による下向きの荷重の合力として与えら
れる。加圧装置29の荷重値は、給炭量をベースにした
ローラミルの運転条件に応じてコントロールされる。図
2において、粉砕テーブル9の中心部へ供給管(シュー
ト)25より供給される被粉砕物(原料)26は、粉砕
テーブル9の回転による遠心力によって粉砕テーブル9
上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動し、粉砕テー
ブル9の外周側に装着された粉砕リング8の上面の粉砕
レース24と粉砕ローラ7との間に噛み込まれて粉砕さ
れる。ミルハウジング10の基底部には、図示していな
いがダクトにより熱風19が導入されている。この熱風
19は、粉砕テーブル9の外周部とミルハウジング10
の内周部との間のエアスロート20からミル内に吹き上
げられ、粉砕された粉粒体は熱風19の流れに乗ってミ
ルハウジング10内を上昇する過程で乾燥される。そし
て、ミルハウジング10の上部へ輸送された粉粒体は、
重力によって粗いものから順に落下し(1次分級)、さ
らに上昇したやや細かな粉粒体は、ミルハウジング10
の上部に設けられたサイクロンセパレータ、あるいは回
転分級器3により再度分級(2次分級)され、所定の粒
径以下となった微粉体は熱風19によって、ボイラ火炉
の場合には微粉炭バーナへ、あるいは微粉炭の貯蔵ビン
へと気流搬送される。そして、2次分級で篩い落された
粗い粉粒体は粉砕テーブル9上に落下し、ミル内へ供給
される新しい原料と共に再度粉砕される。このようにし
て粉砕、分級が繰り返えされ被粉砕物は微粉砕される。
以上説明した従来のローラミルにおいて、特に低負荷域
での運用において大きな振動が発生することが知られて
いる。図3に、ローラミルの起動から振動発生までの典
型的なパターンの一例を示す。給炭量を定格量から低減
して、低負荷状態〔図3(a)〕とし、その状態で回転
分級器3の回転数を徐々に増加〔図3(b)〕すると振
動が発生する。この状態では粉砕テーブル上の炭層の厚
みは薄く、かつ高粒度になっているものと推定され〔図
3(c)〕、ローラミルの振動は上記の条件が満たされ
ると発生するものと考えられる。図4に、ローラミルの
振動波形の一例を示す。振動は数秒間隔で発生と停止を
繰り返している。トルク変動のデータは、減速機18
(図2参照)で代表される構造全体の振動とほぼ完全に
同期しており、またそれらの卓越周波数も一致する。こ
の結果は、粉砕テーブル9からモータ17までの捩じり
系が励振されていることを示している。また図4に示す
ように、ローラブラケット5は振動が生じると同時に、
粉砕ローラが外側に高速で移動する現象(粉砕ローラの
横滑り現象)が生じ、この現象がミル振動の原因となっ
ているものと考えられる。なお、外側に移動した粉砕ロ
ーラ7は、振動の低減と共に内側に戻る振子運動を繰り
返す。このローラミルの振動現象は、図5に示すよう
に、スティックスリップ振動の一種であると云われてい
る。つまり、一様に回転する粉砕リング8と粉砕ローラ
7との間に滑りが生じ、その滑りがある周期で繰り返し
起こる現象である。このスティックスリップ振動の特徴
の一つに、発生する周期(周波数)は構造物の固有振動
数とは直接関係がなく、図5に示す牽引速度V0、静止
摩擦係数μ等に大きく依存することが知られている。こ
のような振動は、ある特定の炭種で特定の運転条件、つ
まり低負荷運用時にのみ発生することが分かっている
が、このような振動が生じた場合にはミル本体の構造強
度のみならず、周辺機器への振動伝播および環境に対す
る振動公害の面からも解決しなければならない大きな問
題となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく、従来
のローラミルの粉砕部の構造において、粉砕ローラのス
ティックスリップ現象に基づく自励振動の発生を防止す
る対策として、粉砕ローラの傾き角度θを調整して振動
を抑制する配慮は全くなされておらず、ローラミル本体
の構造強度の信頼性、およびミル周辺に配設されている
種々の機器への振動伝播および環境に対する振動公害な
どの問題があった。
のローラミルの粉砕部の構造において、粉砕ローラのス
ティックスリップ現象に基づく自励振動の発生を防止す
る対策として、粉砕ローラの傾き角度θを調整して振動
を抑制する配慮は全くなされておらず、ローラミル本体
の構造強度の信頼性、およびミル周辺に配設されている
種々の機器への振動伝播および環境に対する振動公害な
どの問題があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消するものであって、ローラミルの粉砕性能な
らびに機能を低下させることなく、ミルの粉砕部におけ
る振動、特に粉砕ローラのスティックスリップ現象に基
づく自励振動の発生を防止した構造の微粉砕用ローラミ
ルを提供することにある。
題点を解消するものであって、ローラミルの粉砕性能な
らびに機能を低下させることなく、ミルの粉砕部におけ
る振動、特に粉砕ローラのスティックスリップ現象に基
づく自励振動の発生を防止した構造の微粉砕用ローラミ
ルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、ローラブラケットを加圧フレームで支持す
る支持点と、粉砕リング上の被粉砕物と粉砕ローラとの
接触点を通る直線の垂線に対する傾き角度を、スティッ
クスリップ振動を起こさない範囲内の設定の傾き角度と
した構造のローラミルとするものである。本発明の具体
的構成は、水平面上を垂直軸回りに回転し、上部に粉砕
面を有する粉砕リングを装着した回転テーブルと、上記
粉砕リングの外周側の粉砕面の周辺部を押し圧する状態
で回転する複数個の粉砕ローラと、該粉砕ローラの回転
軸を支持するローラブラケットと、該ローラブラケット
を支持する加圧フレームにより構成される粉砕部と、上
記加圧フレームに荷重を作用させる加圧装置を少なくと
も備えたローラミルにおいて、上記ローラブラケットを
加圧フレームで支持する支持点と、上記粉砕リング上の
被粉砕物と粉砕ローラの接触点とを通る直線の垂線に対
する傾き角度θを、次式で示される範囲内に設定して構
成した微粉砕用ローラミルである。
するために、ローラブラケットを加圧フレームで支持す
る支持点と、粉砕リング上の被粉砕物と粉砕ローラとの
接触点を通る直線の垂線に対する傾き角度を、スティッ
クスリップ振動を起こさない範囲内の設定の傾き角度と
した構造のローラミルとするものである。本発明の具体
的構成は、水平面上を垂直軸回りに回転し、上部に粉砕
面を有する粉砕リングを装着した回転テーブルと、上記
粉砕リングの外周側の粉砕面の周辺部を押し圧する状態
で回転する複数個の粉砕ローラと、該粉砕ローラの回転
軸を支持するローラブラケットと、該ローラブラケット
を支持する加圧フレームにより構成される粉砕部と、上
記加圧フレームに荷重を作用させる加圧装置を少なくと
も備えたローラミルにおいて、上記ローラブラケットを
加圧フレームで支持する支持点と、上記粉砕リング上の
被粉砕物と粉砕ローラの接触点とを通る直線の垂線に対
する傾き角度θを、次式で示される範囲内に設定して構
成した微粉砕用ローラミルである。
【0006】 θ≦tan~1〔μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)〕 (式中、μは静止摩擦係数、F1Xは加圧装置の粉砕荷
重、F3Xはミル粉砕部の自重を表わす。) このような構造とすることにより、粉砕ローラの外側へ
の横滑り現象が抑止され、粉砕ローラのスティックスリ
ップ振動の発生を防止することができ、低振動で石炭等
の原料を微粉砕処理することが可能となる。本発明の微
粉砕用ローラミルは、被粉砕物として石炭を用いた場合
に、上記粉砕ローラの傾き角度θを5度以下に設定し構
成することが望ましい。さらに本発明は、上記の微粉砕
用ローラミルを用い、被粉砕物の低負荷状態において、
低振動で微粉砕処理を行うことができる低振動粉砕処理
方法である。
重、F3Xはミル粉砕部の自重を表わす。) このような構造とすることにより、粉砕ローラの外側へ
の横滑り現象が抑止され、粉砕ローラのスティックスリ
ップ振動の発生を防止することができ、低振動で石炭等
の原料を微粉砕処理することが可能となる。本発明の微
粉砕用ローラミルは、被粉砕物として石炭を用いた場合
に、上記粉砕ローラの傾き角度θを5度以下に設定し構
成することが望ましい。さらに本発明は、上記の微粉砕
用ローラミルを用い、被粉砕物の低負荷状態において、
低振動で微粉砕処理を行うことができる低振動粉砕処理
方法である。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。図1は、本発明のローラミルに
おける粉砕ローラの傾き角度と作用する粉砕荷重の関係
を示す説明図である。図において、加圧フレーム22
(図2参照)とローラブラケット5は、ローラピボット
4を介して連結されており、粉砕荷重はローラピボット
4上の点Aで鉛直下方に作用する。粉砕ローラ7は、そ
の下部にある粉砕リング8と点Bで接している。本実施
例では、上記の2つの点A、Bを結ぶ直線と、上記点A
を通る垂線との成す角度、すなわち粉砕ローラ7の傾き
角度θを、粉砕ローラ7が外側(ミルハウジング側)に
横滑りを起こさない範囲内に設定するものである。従来
のローラミルにおいて、上記粉砕ローラの傾き角度が約
15度程度であったものを、本発明のローラミルにおい
ては、本実施例で後述するごとく5度以下の傾き角度と
するものである。ここで、ローラミルのスティックスリ
ップ振動の発生と粉砕ローラ7の動きとの関係について
説明する。ローラミルの振動のキーポイントは、自由な
状態では人力により自在に回転が可能で回り易い粉砕ロ
ーラ7が、粉砕リング8との間でなぜ滑りを起こすかに
ついて理解することにより解決できる。図4に示すよう
に、ローラブラケットは振動の発生と同時に、外側(ミ
ルハウジング側)へ急激に横滑りする。すると、図6に
示すように、粉砕ローラ7と粉砕リング23との接触点
が、AからBに移動する。接触点Bは回転半径rBであ
り、接触点Bにおける粉砕リング23の回転速度は、接
触点Aの回転半径rAより大きい分(rB−rA)だけ速
くなる。つまり、粉砕ローラ7は急激に回転速度の増大
を強制されるが、粉砕ローラ7の回転慣性が大きいた
め、直ぐにこれに追従することができず滑りを生じるこ
とになる。その結果として、スティックスリップ振動が
励起される。言い換えれば、粉砕ローラ7の外側への横
滑りを防止することにより、上記の振動を抑止すること
ができる。次に、ローラミルのスティックスリップ振動
の発生の原因である粉砕ローラの外側への横滑り現象が
なぜ生じるかについて、図1に示す粉砕ローラと粉砕荷
重のバランスから説明する。図において、粉砕ローラ7
は、粉砕荷重F1Xとミル粉砕部の自重F3Xを受ける。ま
た、粉砕リング8との接触点Bにおいて、摩擦力F2Yお
よび鉛直抗力F2Xを受ける。これらの力の釣合いを考え
る。まず、Y軸方向については、次の(数1)式とな
る。 F2Y=F1Y ……(数1) つまり、ローラピボット4において、粉砕ローラ7また
は粉砕ブラケット5の系統は摩擦力F2Yに等しい荷重を
水平方向に受けていることが分かる。次に、接触点Bの
回りのモーメントの釣合いを考える。図1に示す記号を
用いると、次の(数2)式および(数3)式を導くこと
ができる。 F1X・L2+F3X・L1=F1Y・L3 =F2Y・L3 ……(数2) ∴ F2Y=(F1X・L2+F3X・L1)/L3 ……(数3) つまり、粉砕荷重F1Xおよび自重F3Xと釣り合うために
は上記(数3)式に示すような摩擦力が必要となる。こ
こで、この摩擦力の最大値、つまり最大静止摩擦力F
maxは、次の(数4)式で与えられる。 Fmax=μ・F2X ……(数4) ここで、μは静止摩擦係数を表わす。X方向の釣合い方
程式より、次の(数5)、(数6)式を導き出すことが
できる。 F2X=F1X+F3X ……(数5) ∴ Fmax=μ(F1X+F3X) ……(数6) したがって、滑りが発生する条件は、次の(数7)式で
表わされる。 F2Y>Fmax ……(数7) したがって、鉛直方向の荷重F1X、F3Xが作用する場合
の滑り発生条件は、次に示す(数8)式で与えられる。 G=(F1X・L2+F3X・L1)/L3−μ・(F1X+F3X)>0 ……(数8) 上記(数8)式により、静止摩擦係数μが小さいと滑り
が発生することになるが、石炭の場合の炭層の静止摩擦
係数μは、実験によれば0.1〜0.3である。実際の
ミル振動時には、低負荷時で回転分級器の回転数を増加
すると、炭層の摩擦係数は、図3(c)に示すように変
動するものと予想される。ここで、μが最小値0.1の
場合であっても粉砕ローラは滑ることがない、つまり、
上記Gの値が正とならないような条件を、図1に示す粉
砕ローラの傾き角度θの調整により実現する場合を考え
る。この傾き角度θと、L2、L3の間の関係式であるta
nθ=L2/L3を用い、かつ近似的にL1/L2≒0.5
が成り立つことを考慮すると、Gが正とならない条件
は、次の(数9)式で表わされる。 θ≦tan~1(μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)) ……(数9) 実際のローラミルにおいて、F1X=30ton、F3X/F1X
=0.5と仮定し、μ=0.1とすると、滑りを発生しな
い条件を表わす(数9)式の値は、θ≦5°となる。こ
のような条件を満たすことにより、粉砕ローラ7の外側
への滑りが生じなくなり、スティックスリップ振動の発
生を効果的に抑止することができる。
さらに詳細に説明する。図1は、本発明のローラミルに
おける粉砕ローラの傾き角度と作用する粉砕荷重の関係
を示す説明図である。図において、加圧フレーム22
(図2参照)とローラブラケット5は、ローラピボット
4を介して連結されており、粉砕荷重はローラピボット
4上の点Aで鉛直下方に作用する。粉砕ローラ7は、そ
の下部にある粉砕リング8と点Bで接している。本実施
例では、上記の2つの点A、Bを結ぶ直線と、上記点A
を通る垂線との成す角度、すなわち粉砕ローラ7の傾き
角度θを、粉砕ローラ7が外側(ミルハウジング側)に
横滑りを起こさない範囲内に設定するものである。従来
のローラミルにおいて、上記粉砕ローラの傾き角度が約
15度程度であったものを、本発明のローラミルにおい
ては、本実施例で後述するごとく5度以下の傾き角度と
するものである。ここで、ローラミルのスティックスリ
ップ振動の発生と粉砕ローラ7の動きとの関係について
説明する。ローラミルの振動のキーポイントは、自由な
状態では人力により自在に回転が可能で回り易い粉砕ロ
ーラ7が、粉砕リング8との間でなぜ滑りを起こすかに
ついて理解することにより解決できる。図4に示すよう
に、ローラブラケットは振動の発生と同時に、外側(ミ
ルハウジング側)へ急激に横滑りする。すると、図6に
示すように、粉砕ローラ7と粉砕リング23との接触点
が、AからBに移動する。接触点Bは回転半径rBであ
り、接触点Bにおける粉砕リング23の回転速度は、接
触点Aの回転半径rAより大きい分(rB−rA)だけ速
くなる。つまり、粉砕ローラ7は急激に回転速度の増大
を強制されるが、粉砕ローラ7の回転慣性が大きいた
め、直ぐにこれに追従することができず滑りを生じるこ
とになる。その結果として、スティックスリップ振動が
励起される。言い換えれば、粉砕ローラ7の外側への横
滑りを防止することにより、上記の振動を抑止すること
ができる。次に、ローラミルのスティックスリップ振動
の発生の原因である粉砕ローラの外側への横滑り現象が
なぜ生じるかについて、図1に示す粉砕ローラと粉砕荷
重のバランスから説明する。図において、粉砕ローラ7
は、粉砕荷重F1Xとミル粉砕部の自重F3Xを受ける。ま
た、粉砕リング8との接触点Bにおいて、摩擦力F2Yお
よび鉛直抗力F2Xを受ける。これらの力の釣合いを考え
る。まず、Y軸方向については、次の(数1)式とな
る。 F2Y=F1Y ……(数1) つまり、ローラピボット4において、粉砕ローラ7また
は粉砕ブラケット5の系統は摩擦力F2Yに等しい荷重を
水平方向に受けていることが分かる。次に、接触点Bの
回りのモーメントの釣合いを考える。図1に示す記号を
用いると、次の(数2)式および(数3)式を導くこと
ができる。 F1X・L2+F3X・L1=F1Y・L3 =F2Y・L3 ……(数2) ∴ F2Y=(F1X・L2+F3X・L1)/L3 ……(数3) つまり、粉砕荷重F1Xおよび自重F3Xと釣り合うために
は上記(数3)式に示すような摩擦力が必要となる。こ
こで、この摩擦力の最大値、つまり最大静止摩擦力F
maxは、次の(数4)式で与えられる。 Fmax=μ・F2X ……(数4) ここで、μは静止摩擦係数を表わす。X方向の釣合い方
程式より、次の(数5)、(数6)式を導き出すことが
できる。 F2X=F1X+F3X ……(数5) ∴ Fmax=μ(F1X+F3X) ……(数6) したがって、滑りが発生する条件は、次の(数7)式で
表わされる。 F2Y>Fmax ……(数7) したがって、鉛直方向の荷重F1X、F3Xが作用する場合
の滑り発生条件は、次に示す(数8)式で与えられる。 G=(F1X・L2+F3X・L1)/L3−μ・(F1X+F3X)>0 ……(数8) 上記(数8)式により、静止摩擦係数μが小さいと滑り
が発生することになるが、石炭の場合の炭層の静止摩擦
係数μは、実験によれば0.1〜0.3である。実際の
ミル振動時には、低負荷時で回転分級器の回転数を増加
すると、炭層の摩擦係数は、図3(c)に示すように変
動するものと予想される。ここで、μが最小値0.1の
場合であっても粉砕ローラは滑ることがない、つまり、
上記Gの値が正とならないような条件を、図1に示す粉
砕ローラの傾き角度θの調整により実現する場合を考え
る。この傾き角度θと、L2、L3の間の関係式であるta
nθ=L2/L3を用い、かつ近似的にL1/L2≒0.5
が成り立つことを考慮すると、Gが正とならない条件
は、次の(数9)式で表わされる。 θ≦tan~1(μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)) ……(数9) 実際のローラミルにおいて、F1X=30ton、F3X/F1X
=0.5と仮定し、μ=0.1とすると、滑りを発生しな
い条件を表わす(数9)式の値は、θ≦5°となる。こ
のような条件を満たすことにより、粉砕ローラ7の外側
への滑りが生じなくなり、スティックスリップ振動の発
生を効果的に抑止することができる。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、粉砕ローラの傾き角度
を設定の範囲内とすることにより、ミルの性能ならびに
機能を損なうことなく、特に低負荷域で発生する自励振
動を効果的に防止することができ、ローラミルの構造上
の強度に対する信頼性、および振動騒音環境を著しく向
上させることができ、結果としてローラミルの最低負荷
の切下げ、多種類の石炭などの被粉砕物に対応すること
ができ、ローラミルのフレキシブルな運用が可能とな
る。
を設定の範囲内とすることにより、ミルの性能ならびに
機能を損なうことなく、特に低負荷域で発生する自励振
動を効果的に防止することができ、ローラミルの構造上
の強度に対する信頼性、および振動騒音環境を著しく向
上させることができ、結果としてローラミルの最低負荷
の切下げ、多種類の石炭などの被粉砕物に対応すること
ができ、ローラミルのフレキシブルな運用が可能とな
る。
【図1】本発明の実施例において例示した粉砕ローラの
傾き角度と粉砕荷重の関係を示す模式図。
傾き角度と粉砕荷重の関係を示す模式図。
【図2】従来のローラミルの全体の構成を示す模式図。
【図3】従来のローラミルの振動発生の過程を示すグラ
フ。
フ。
【図4】従来のローラミルの振動波形データを示す説明
図。
図。
【図5】従来のローラミルの振動のモデルを示す説明
図。
図。
【図6】従来のローラミルにおける粉砕ローラの挙動を
示す説明図。
示す説明図。
1…微粉体排出管 2…回転分級器の回転軸 3…回転分級器 4…ローラピボット 5…ローラブラケット 6…粉砕ローラの回転軸 7…粉砕ローラ 8…粉砕リング 9…粉砕テーブル 10…ミルハウジング 11…垂直軸 12…テンションロッド 13…基礎マット 14…ベースプレート 15…減速機入力軸 16…モータ出力軸 17…モータ 18…減速機 19…熱風 20…エアスロート 21…垂直軸の回転軸 22…加圧フレーム 23…粉砕リング 24…粉砕レース 25…供給管(シュート) 26…被粉砕物(原料) 27…粉砕ローラ(安定時) 28…粉砕ローラ(振動時) 29…加圧装置
Claims (3)
- 【請求項1】水平面上を垂直軸回りに回転し、上部に粉
砕面を有する粉砕リングを装着した回転テーブルと、上
記粉砕リングの外周側の粉砕面の周辺部を押し圧する状
態で回転する複数個の粉砕ローラと、該粉砕ローラの回
転軸を支持するローラブラケットと、該ローラブラケッ
トを支持する加圧フレームにより構成される粉砕部と、
上記加圧フレームに荷重を作用させる加圧装置を少なく
とも備えたローラミルにおいて、上記ローラブラケット
を加圧フレームで支持する支持点と、上記粉砕リング上
の被粉砕物と粉砕ローラの接触点とを通る直線の垂線に
対する傾き角度θを、次式で示される範囲内に設定し構
成したことを特徴とする微粉砕用ローラミル。 θ≦tan~1〔μ(F1X+F3X)/(F1X+0.5・F3X)〕 (式中、μは静止摩擦係数、F1Xは加圧装置の粉砕荷
重、F3Xはミル粉砕部の自重を表わす。) - 【請求項2】請求項1において、被粉砕物は石炭であ
り、粉砕ローラの傾き角度θを5度以下に設定し構成し
たことを特徴とする微粉砕用ローラミル。 - 【請求項3】請求項1または請求項2記載の微粉砕用ロ
ーラミルを用い、低負荷状態において低振動で微粉砕処
理を行うことを特徴とする低振動粉砕処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1907194A JPH07222935A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 微粉砕用ローラミルとそれを用いた低振動粉砕処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1907194A JPH07222935A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 微粉砕用ローラミルとそれを用いた低振動粉砕処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07222935A true JPH07222935A (ja) | 1995-08-22 |
Family
ID=11989206
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1907194A Pending JPH07222935A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 微粉砕用ローラミルとそれを用いた低振動粉砕処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07222935A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101966479A (zh) * | 2010-10-13 | 2011-02-09 | 湖南广义科技有限公司 | 一种立辊式粉碎机 |
-
1994
- 1994-02-16 JP JP1907194A patent/JPH07222935A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101966479A (zh) * | 2010-10-13 | 2011-02-09 | 湖南广义科技有限公司 | 一种立辊式粉碎机 |
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