JPH07222565A - 高粘性水中油型クリーム類の製造方法 - Google Patents

高粘性水中油型クリーム類の製造方法

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JPH07222565A
JPH07222565A JP6036590A JP3659094A JPH07222565A JP H07222565 A JPH07222565 A JP H07222565A JP 6036590 A JP6036590 A JP 6036590A JP 3659094 A JP3659094 A JP 3659094A JP H07222565 A JPH07222565 A JP H07222565A
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JP
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cream
temperature
cooling
oil
water
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JP6036590A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Nishiyama
敏彦 西山
Yoshiyuki Yamane
義之 山根
Takashi Seki
隆志 関
Kazunari Sato
一成 佐藤
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 油脂3〜60%、蛋白質成分、乳化剤及び水
を必須成分とし、3〜7℃で冷蔵保存する5℃の粘度が
50〜3000cpの水中油型クリームを製造するに際
し、上記各成分を120〜150℃で超高温加熱滅菌処
理し、脂肪球を平均粒径2μm以下に乳化した後、掻取
式冷却器で該乳化物の結晶化温度域を急冷することを特
徴とする高粘性水中油型クリーム類の製造方法。 【効果】 高粘度でも安定で、クリームのエージングを
12時間以内と従来の1/2以下で行うことができ生産
効率が極めて高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常温流通又はチルド流
通するパンフィリング、洋菓子スナックフィリング等の
用途に用いるホイップ済みクリーム、又はホイップ用ク
リームに関する。更に詳しくは、クリームの保存温度が
3〜7℃であり、5℃での粘度が50〜3000cps
と従来の一般的なホイップクリームの粘度より高い粘度
であっても安定で、更にクリームのエージングを12時
間以内で終了することが可能な、生産効率の極めて高い
水中油型クリーム類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、製パン業界、洋菓子業界の動向を
見ると、従来、油中水型(W/O型)クリームをフィリ
ング材として用いてきた商品に、より食感の好ましい水
中油型(O/W型)クリームを用いる動きが顕著となっ
ている。この動きに応えるためのO/W型クリームの要
求特性として、従来の一般的なホイップクリームより衛
生的にも物性的にも、いわゆる「日持ち」が向上するこ
とが必要である。この目的のためにクリームの配合組成
に様々な工夫がなされているが、クリームの粘度が従来
の一般的なクリームの粘度50〜250cpsより粘度
が高くなる傾向にある。
【0003】このような粘度の高いO/W型クリームを
製造するにあたっては、特にその冷却工程において従来
の一般的なクリームで広く行われていたプレート式冷却
では粘度が高いためプレート間で液漏れが生じたり、プ
レート内でいわゆるショートパスが生じたりして適正な
分散状態、安定性が得られない。また、O/W型クリー
ムを製造するにあたって目的とする商品性を得るため
に、クリームを冷却後12〜48時間、保存温度である
3〜7℃にエージングしてクリームの製造を完了するの
が一般的であるが、かかるエージングは生産効率を非常
に低下させる原因となり問題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決した、高粘度でも安定で且つエージングを12時
間以下で行うことのできる生産効率の高い高粘性水中油
型クリーム類の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み、これらの問題を克服するべく鋭意研究の結
果、クリームを120〜150℃の蒸気直接滅菌処理
し、ホモジナイザーにて平均粒子径2μm以下に乳化し
た後、掻取式冷却器でその油相部の結晶化温度域を急冷
することによって、適正な分散状態、安定性が得られる
ことを見出し、更にこの急冷の後、同じく掻取式冷却器
で油脂の結晶化熱を除去し保存温度以下に深冷すること
によって、エージング時間を12時間以内に短縮できる
ことを見出し、本願発明を完成した。
【0006】本発明の製造方法の対象となるO/W型ク
リームは、油脂、蛋白質成分、乳化剤、及び水を必須成
分とし、3〜7℃で冷蔵保存する5℃の粘度が50〜3
000cpsである。油脂は特に制限されず、従来ホイ
ップクリームに用いられる動植物硬化油、分別油、ウム
エス油、動植物油等の1種又は2種以上が用途に応じて
用いられる。添加量は3〜60%(重量%、以下同じ)
である。油脂が3%より少ないと実用上意味がなく、油
脂が60%より多いと乳化状態が油中水型に転相を起こ
しやすい。
【0007】蛋白質成分は、保存温度域における保存中
の乳化安定性を維持させるために必要で、このような蛋
白質成分としては、脱脂粉乳、脱脂乳、全脂粉乳、カゼ
イン、ラクトアルブミン等の乳蛋白質のほか植物性蛋白
質なども例示でき、特に乳化安定性を阻害しなければ制
限はない。これらは単独又は2種以上混合して用いられ
る。
【0008】乳化剤は特に制限されず、通常使用される
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪
酸エステル、レシチン等が単独又は2種以上混合して用
いられる。添加量は0.05〜5%と通常の範囲でよ
い。添加量が0.05%より少ないと乳化効果がみられ
ず、添加量が5%より多いとクリームの味に乳化剤の
「渋み」がでてくるので好ましくない。
【0009】本発明の製造方法の対象となるO/W型ク
リームは、上記必須成分の他に、いわゆる「日持ち」を
向上させる目的で、糖類、増粘多糖類を、また賦味賦香
の目的で香料、各種ソース等を、更にまた乳化安定剤と
して各種塩類等が用いられる。
【0010】糖類はホイップされたクリームを長期保存
するのに特に有効であり、低甘味の糖類が好ましい。こ
のような糖類として、ソルビトール、ラクチトール、水
飴、マルトオリゴ糖、還元澱粉糖化物が例示でき、これ
らの糖類の1種又は2種以上を20〜60%添加する。
添加量が20%より少ないと「日持ち」の充分な向上効
果が得られず、添加量が60%より多いと甘味が強すぎ
る傾向がある。このなかでソルビトール、還元澱粉糖化
物を多用するのは味の点で好ましくなく、3糖類以上の
マルトオリゴ糖が低甘味であり味も良質であるので、3
糖類以上のマルトオリゴ糖を糖類中50%以上添加する
のが好ましい。
【0011】増粘多糖類はホイップしたクリームの内相
の維持、離水防止に有効であり、キサンタンガム、グア
ガム、カラギーナン、アラビアガム、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等が例示できる。添加
量は0.01〜2.0%が好適である。添加量が0.0
1%より少ないと充分な添加効果が認められず、添加量
が2.0%より多いとクリームの粘度が極端に高くなる
傾向がある。
【0012】香料、ソースは目的とする風味、味に応じ
て各種ミルクフレーバー、バターフレーバー、ヴァニラ
エッセンス、ストロベリーソース、メロンソース、チョ
コソース等が添加され、添加量は特に乳化安定性を阻害
しなければ制限はなく、適宜決定すればよい。
【0013】塩類としては、ピロリン酸塩、トリポリリ
ン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等のリン酸塩、クエン酸塩
が好適で、これらの1種又は2種以上がクリーム原液の
安定性を付与する目的で添加される。添加量は0.04
〜0.4%が好適である。添加量が0.04%より少な
いと充分な添加効果が認められず、添加量が0.4%よ
り多いと味に影響が現れる傾向がある。
【0014】本発明の製造方法は、上記成分のうち油溶
性のものは油脂に、水溶性のものは水に溶解させる。次
いで油相と水相を予備乳化した後、超高温加熱滅菌(U
HT)処理を行う。UHT処理の装置としては、例えば
APVプレート式(APV社製)、ストルク・チューブ
ラー型(ストルク社製)、コンサーム掻取式(アルファ
ラバル社製)等の間接加熱方式と、ユーペリゼーション
滅菌装置(アルプラ社製)、VTIS滅菌装置(アルフ
ァラバル社製)等の直接加熱方式が例示でき、これら何
れの装置を使用してもよい。滅菌する温度は120〜1
50℃の範囲である。120℃未満では滅菌時間が長く
なり、蛋白質成分の変性をもたらし、また150℃を越
えると蛋白質成分と糖類とが反応し、焼けこげが生じや
すくなる。
【0015】本発明の製造方法は、かかるUHT処理の
後、例えば均質化機(ホモジナイザー)0〜200Kg/
cm2 の条件下にて脂肪球を平均粒径2μm以下に乳化す
る。脂肪球の平均粒径が2μmより大きい場合は、製造
後安定な分散状態が得られにくい。
【0016】本発明の製造方法は、上記の如くして得ら
れた乳化物をその保存温度である3〜7℃に冷却する
が、本発明の最大のポイントはその冷却方法にある。即
ち、本発明の第一は、掻取式冷却器でクリーム中の油相
部の結晶化温度域を急冷することによって適正な分散状
態、安定性が得られるということである。この急冷の第
1の条件は、入口温度をDSCにて当該クリームの油相
部を5℃/min.で冷却した際、その結晶化開始温度プラ
ス20℃から固体脂含量が20%以下となる温度域とす
ることである。
【0017】即ち、掻取式冷却器の急冷部(A1ユニッ
ト)での冷却を効果的にするために、A1ユニツトで冷
却するまでにクリームを温調する。この温調する状態
は、クリーム中の油相部が結晶化開始する直前の状態が
最も効果的な冷却が可能となるわけであるが、DSCに
て当該クリームの油相部を5℃/min.で冷却した際、そ
の結晶化開始温度プラス20℃から固体脂含量が20%
以下の温度域であればA1ユニツトで充分な冷却効果が
得られる。A1ユニツト入口温度が上記結晶化開始温度
プラス20℃よりも高い場合は、A1ユニツトで充分な
冷却効果が得られない。また、A1ユニツト入口温度が
上記固体脂含量が20%より高くなるような低い温度で
は急冷を行うまでに析出した油脂結晶の影響を受け安定
なクリームが得られない。このA1ユニツト入口までの
温調は、掻取式熱交換器、プレート式熱交換器、チュー
ブラー式熱交換器等が例示できるが、上記条件が満たさ
れれば特にその種類は問わない。
【0018】急冷の第2の条件は、入口から出口までの
平均冷却速度を12℃/min.以上とすることである。こ
こで平均冷却速度とは(入口温度−出口温度)/(ユニ
ツト滞留時間)である。この平均冷却速度が12℃/mi
n.に満たない場合は、冷却中にクリーム中に分散してい
る脂肪球粒子の凝集・合一が認められるようになり安定
なクリームが得られない。急冷の第3の条件であるA1
ユニツトの出口温度は、0〜10℃の範囲内であればよ
い。出口温度が上記範囲外では、良好な結果が得られに
くい。
【0019】以上の3条件の範囲内で、A1ユニツトに
おいて同じくDSCにて当該クリームの油相部を5℃/
min.で冷却した際、5℃で析出する固体脂含量の70〜
120%の油脂を急冷析出させることにより安定なクリ
ームが得られる。
【0020】即ち、DSCにて当該クリームの油相部を
5℃/min.で冷却した際に、x℃において析出する固体
脂含量をSFC at X℃とすれば、上記3条件範囲
内で 〔(SFC at X出口温度−SFC at X入口
温度)/SFC at5℃〕 × 100 = 70〜
120% であれば安定なクリームが得られる。
【0021】本発明の第二は、このA1ユニツトでの急
冷の後、同じく掻取式冷却器(A2ユニツト)で油脂の
結晶化熱を除去しながら保存温度以下に深冷することに
よってエージング時間を12時間以内に短縮可能である
ということである。即ち、A1ユニツトで冷却したクリ
ームをそのまま保存した場合、クリーム中の油脂の結晶
化熱によってクリームの温度は上昇する。従って、その
後クリームの温度を保存温度まで再度低下させなければ
ならなくなるため、安定な商品性が得られるまでのエー
ジング時間が通常では12〜48時間必要となる。そこ
でA1ユニツトで冷却した後、更に同じく掻取式冷却器
でこの結晶化熱を除去し、クリームの温度上昇を抑制す
るのがA2ユニツトの目的である。
【0022】結晶化熱を除去するためにはA2ユニツト
での第1の条件は滞留時間であるが、掻取式冷却器を何
基も並設するのは装置加工面、運転管理上から得策では
なく、掻取式冷却器のクレアランスを大きくし、滞留時
間を長くするのが有利である。この必要滞留時間は油脂
類の配合組成、冷却温度等により変化し一概には規定し
難いが、滞留時間が20秒以上であれば、その効果、即
ちクリームの温度上昇の抑制が顕著に認められる。
【0023】更に、この結晶化熱は完全に除去される必
要はない。即ち、問題となる結晶化熱はクリーム冷却後
〜約1時間の間に発生し終えるのが通常である。そこ
で、この結晶化熱を発生し終えたクリームの温度がクリ
ームの保存温度である3〜7℃となるようにA2ユニツ
トの出口温度を調節してやればエージング時間は大幅に
短縮可能である。即ち、予め製造しようとする組成のク
リームを製造しようとする条件下で製造し、その条件下
で発生する結晶化熱による冷却後のクリームの昇温度を
測定する。この測定結果よりA2ユニツトの第2の条件
である出口温度は (A2ユニツト出口温度) =〔(クリームの保存温
度)−(冷却後のクリームの昇温度)±1〕℃ とすることであり、これによりクリームは冷却後1時間
以内に保存温度に達する。この測定に際しては、特にA
1ユニツトの冷却条件とA2ユニツトの滞留時間を実際
の製造条件に合致させることが肝要である。
【0024】以上の如くA2ユニツトの条件を設定すれ
ば、本発明者らの結果によれば、A2ユニツトを用いな
い製造方法の場合、クリームのエージング時間が12〜
48時間必要であったものが、A2ユニツトを用いるこ
とによって2〜12時間でクリームは求める安定した商
品性を呈するようになる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づいて更
に詳細に説明するが、これらは本発明のごく一部の例で
あって、これらにより何ら制限を受けるものではない。 実施例1
【0026】
【表1】
【0027】上記表1の配合(油相部のDSCチャー
ト:図1)を60℃で予備乳化し、140℃、4秒の蒸
気直接加熱滅菌処理を施した後、60℃にて2段式ホモ
ジナイザーで1段圧50Kg/cm2 、2段圧50Kg/cm2
にて均質化の後、図2の条件で冷却し、ホイップクリー
ムを得た。A1ユニツトは、(1)入口温度はDSCで
の結晶化開始温度プラス5.5℃であり、(2)平均冷
却速度は20.2℃/min.であり、(3)出口温度は
9.0℃であり、それぞれ第1、第2、第3の条件を満
たし、A1ユニツトで急冷の際の油脂の析出量は5℃の
固体脂量に対し 〔(9.0℃の固体脂量−26.5℃の固体脂量)/5
℃の固体脂量〕×100 =〔(65.8−0)/86.6〕×100 =76.0% となり、本冷却条件は本発明の第一であるA1ユニツト
急冷部の条件を満たしている。得られたクリームの分散
状態は図3に示すとおり水準1、2とも直径0.8μm
にピークを有する細かな単一分散状態が得られ、粘度変
化等の原液安定性は充分であった。
【0028】また図2において、水準1が本発明の第二
であるA2ユニツトの条件を満たしている。即ち、水準
1の冷却直後のクリームをジュワー瓶にサンプリングし
クリームの昇温を測定したところ昇温度は2.54℃で
あり、A2出口温度を2.5℃とすれば昇温後のクリー
ムの温度はほぼ5℃となることが想定された。実際、水
準1のクリームの品質変化を評価した結果を図4、5に
示す。クリームの温度、粘度とも製造後2時間でほぼ一
定の値を示し、ホイップに要する時間(W.T.)、適
正比重も安定した値を示した。このクリームを以後数日
間品質をチェックしたが安定した物性を呈していた。
【0029】比較例1 実施例1と同一の組成で、その冷却を図6の如くプレー
ト式冷却器で製造を試みた。プレート式冷却器で製造し
た場合、冷却中にクリームの粘度が極端に増加し、1日
後でほぼ流動性がなくなり、とてもホイップクリームと
して市場に供し得るレベルではなかった。このものの分
散状態を測定すると、図7に見られるようにホモジナイ
ザーで直径0.8μmに分散されていた脂肪球粒子が、
冷却によって5〜50μmに凝集・合一していた。
【0030】実施例2 実施例1と同一の組成で、その冷却を図8の如く本発明
のA2ユニツトのない冷却条件で製造を試みた。本冷却
条件は、本発明第一であるA1ユニツト急冷部の条件を
満たしている。得られたクリームの分散状態は図9に示
すとおり直径0.8μmにピークを有する細かな単一分
散状態が得られ、粘度変化等の原液安定性は充分であっ
た。しかし、冷却直後のクリームをジュワー瓶にサンプ
リングしクリームの昇温を測定したところ昇温度は7.
53℃であり、A2出口温度が4℃であるから、昇温後
のクリームの温度は外部からの冷却がない限りほぼ12
℃となることが想定された。実際、このクリームをタン
キング(タンク内で保存)し品質変化を評価した結果を
図10、11に示す。
【0031】タンキング中、ジャケット方式でタンク内
を5℃チルド水で冷却を行っていたが、クリームの温度
は1時間後で約9℃となり、5℃に到達するのに約24
時間を要した。これにともない安定な粘度を示したのは
約15〜25時間後であった。ホイップ特性のうちホイ
ップに要する時間(W.T.)が安定になるのに24時
間要した。以上の現象よりエージングの必要時間は24
時間以上であると判断され、A2ユニツトがない場合、
生産効率が低下することが確認された。なお、このエー
ジング後クリームを数日間品質をチェックしたが、実施
例1と同様な安定した物性を呈しておりホイップクリー
ムの品質としては充分であった。
【0032】実施例3
【0033】
【表2】
【0034】上記表2の配合(油相部のDSCチャー
ト:図12)を60℃で予備乳化し、140℃、4秒の
蒸気直接加熱滅菌処理を施した後、62℃にて2段式ホ
モジナイザーで1段圧70Kg/cm2 、2段圧50Kg/cm
2 にて均質化の後、図13の条件で冷却し、ホイップク
リームを得た。A1ユニツトは、(1)入口温度24.
7℃におけるDSCの固体脂発生量は6.2%であり、
(2)平均冷却速度は23.3℃/min.であり、(3)
出口温度は4.5℃であり、それぞれ第1、第2、第3
の条件を満たし、A1ユニツトで急冷の際の油脂の析出
量は5℃の固体脂量に対し 〔(4.5℃の固体脂量−24.7℃の固体脂量)/5
℃の固体脂量〕×100 =〔(98.0−6.2)/97.7〕×100 =94.0% となり、本発明の第一であるA1ユニツトの条件を満た
している。
【0035】A2ユニツトの冷却条件も(1)滞留時間
は30秒であり、本発明の第二であるA2ユニツトの第
1条件を、(2)また、製造後のクリーム昇温度を測定
したところ3.6℃であり、クリームが温度上昇した後
の品温は5±1℃の範囲内となり第2条件をそれぞれ満
たし、本発明の第二のA2ユニツトの条件を満たしてい
る。実際に、この条件下で製造したクリームの原液は脂
肪球の凝集・合一もなく安定であり(図14)、製造後
3時間でホイップしたところ起泡性、保型性にすぐれた
安定なホイップ特性を有しており、以後このホイップ特
性に変化は認められなかった。
【0036】比較例2 実施例3と同一の組成で、その冷却を図15の冷却条件
で製造を試みた。この冷却条件は、本発明の第1である
A1ユニツトの冷却条件外である。得られたクリームの
分散状態は粒子径3〜5μmの脂肪球の凝集・合一体が
生じていた(図16)。その結果クリームの粘度も製造
直後では1500cp程度であるが、数日後には流動性
がなくなり、とてもホイップクリームとして市場に供し
得るレベルではなかった。
【0037】実施例4
【0038】
【表3】
【0039】上記表3の配合(油相部のDSCチャー
ト:図17)を60℃で予備乳化し、140℃、4秒の
蒸気直接加熱滅菌処理を施した後、62℃にて2段式ホ
モジナイザーで1段圧70Kg/cm2 、2段圧50Kg/cm
2 にて均質化の後、図18の条件で冷却し、ホイップク
リームを得た。得られたクリームの分散状態は図19に
示した。該クリームは40分後に温度が1.5℃上昇
し、その後温度5℃、粘度150cpで安定となった。
このものを2時間後にホイップした結果、比重0.4
3、W.T.4分、保型性に優れた安定な特性を示して
おり、以後この品質は変化しなかった。
【0040】実施例5
【0041】
【表4】
【0042】上記表4の配合(油相部のDSCチャー
ト:図20)を60℃で予備乳化し、140℃、4秒の
蒸気直接加熱滅菌処理を施した後、60℃にて2段式ホ
モジナイザーで1段圧70Kg/cm2 、2段圧50Kg/cm
2 にて均質化の後、図21の条件で冷却し、ホイップク
リームを得た。得られたクリームは1時間後に温度が
5.0℃上昇し、その後温度5℃、粘度1100cpで
安定となった。このものを2時間後にホイップした結
果、比重0.40、W.T.6分、保型性に優れた安定
な特性を示しており、以後この品質は変化しなかった。
【0043】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、5℃での粘
度が100〜3000cpsと従来の一般的なホイップ
クリームの粘度より高い粘度であっても安定であり、更
にクリームのエージングを長くとも12時間以内、即
ち、従来法に比し約1/2以下で終了するという従来よ
り生産効率の高い製造方法で常温流通、チルド流通する
パンフィリング、洋菓子スナックフィリング等の用途に
用いるホイップ済みクリーム、又はホイップ用クリーム
を提供することができる。また、本発明の製造方法は、
ホイップ性能を要求されない用途のO/W型クリームの
製造方法にも広く用いられ得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における油相部のDSCチャートを示
す。
【図2】実施例1の製造フロー及び結果を示す。
【図3】実施例1で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図4】実施例1の水準1で得られたクリームの温度及
び粘度変化を示す。
【図5】実施例1の水準1で得られたクリームのホイッ
プ特性の変化を示す。
【図6】比較例1の製造フロー及び結果を示す。
【図7】比較例1で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図8】実施例2の製造フロー及び結果を示す。
【図9】実施例2で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図10】実施例2で得られたクリームの温度及び粘度
変化を示す。
【図11】実施例2で得られたクリームのホイップ特性
の変化を示す。
【図12】実施例3における油相部のDSCチャートを
示す。
【図13】実施例3の製造フロー及び結果を示す。
【図14】実施例3で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図15】比較例2の製造フロー及び結果を示す。
【図16】比較例2で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図17】実施例4における油相部のDSCチャートを
示す。
【図18】実施例4の製造フロー及び結果を示す。
【図19】実施例4で得られたクリームの粒径分布を示
す。
【図20】実施例5における油相部のDSCチャートを
示す。
【図21】実施例5の製造フロー及び結果を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂3〜60%、蛋白質成分、乳化剤及
    び水を必須成分とし、3〜7℃で冷蔵保存する5℃の粘
    度が50〜3000cpの水中油型クリームを製造する
    に際し、上記各成分を120〜150℃で超高温加熱滅
    菌処理し、脂肪球を平均粒径2μm以下に乳化した後、
    掻取式冷却器で該乳化物の結晶化温度域を急冷すること
    を特徴とする高粘性水中油型クリーム類の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の冷却に続いて、更に掻取
    式冷却器で保存温度以下に深冷することによって油脂の
    結晶化熱を除去し、冷却後のクリームのエージングを1
    2時間以内で行うことを特徴とする高粘性水中油型クリ
    ーム類の製造方法。
  3. 【請求項3】 油脂3〜60%、蛋白質成分、乳化剤、
    及び水を必須成分とし、3〜7℃で冷蔵保存する5℃の
    粘度が50〜3000cpの水中油型クリームを製造す
    るに際し、上記各成分を120〜150℃で超高温加熱
    滅菌処理し、脂肪球を平均粒径2μm以下に乳化した
    後、掻取式冷却器(A1ユニット)において、(1)入
    口温度を、DSCにて該乳化物の油相部を5℃/min.で
    冷却した際、その結晶化開始温度プラス20℃から固体
    脂含量が20%以下となる温度域とし、(2)入口から
    出口までの平均冷却速度を12℃/min.以上とし、かつ
    (3)出口温度を0〜10℃とする条件下で、同じくD
    SCにて該乳化物の油相部を5℃/min.で冷却した際、
    5℃で析出する固体脂含量の70〜120%の油脂を急
    冷析出させることを特徴とする高粘性水中油型クリーム
    類の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の冷却に続いて、更に掻取
    式冷却器(A2ユニット)において、(1)滞留時間2
    0秒以上とし、(2)出口温度を〔(保存温度)−(冷
    却後のクリームの昇温度)±1〕℃とする冷却を行うこ
    とにより、冷却後のクリームのエージングを12時間以
    内で行うことを特徴とする高粘性水中油型クリーム類の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 クリームの成分として、更に糖類を20
    〜60%添加する請求項1〜4記載の高粘性水中油型ク
    リーム類の製造方法。
  6. 【請求項6】 糖類として、3糖類以上のマルトオリゴ
    糖が糖類中50%以上である請求項5記載の高粘性水中
    油型クリーム類の製造方法。
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