JPH0721896Y2 - クロスフロ−水車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案はクロスフロー水車に関し、水車の効率低下防止
を企図したものである。

B.従来の技術 水力エネルギー回収の一環としてクロスフロー水車を利
用した発電システムが知られている。

第２図には従来のクロスフロー水車の構造を表わす一部
破断した斜視を、第３図には第２図中の要部断面を示し
てある。

水の位置エネルギーにより回転される複数のランナブレ
ード1aを有するランナ１は、ケーシング２内にシールが
内蔵された軸受3aを介して回転軸３に回転可能に支持さ
れている。ケーシング２とランナ１の上部外周面の間に
は、水漏れや水流の飛散を防止するために上部ノズル2a
がケーシング２から延設されている。ランナ１の上流側
において、ケーシング２には入口管４が接続され、この
入口管４の出口側に対応するケーシング２の入口側に
は、ランナ１に入る水量を調整するガイドベーン５が開
閉可能に設けられている。ランナ１の下流側において、
ケーシング２には別のケーシング６が接続され、これら
のケーシング2,6に垂下する放水管７が接続されてい
る。尚、この放水管７は水中に導かれる。入口管４より
流入した水はガイドベーン５で調整されてランナ１に入
り、ランナ１を回転させた後その外周から放出され、放
水管７を通して水中に排出される。

この水車の運転中、放水中に空気が混入して排出される
ことによりケーシング2,6等からなる水車室内は負圧と
なる。この負圧状態は入口管４からの水を強制的に吸い
込む力として作用し、結果として水車の効率を向上させ
ている。一方、水車室内が負圧になると、放水管７内の
放水面が上昇するが、ランナ１が浸るほど放水面が上昇
しては具合が悪いので、水車室内の負圧を調整して放水
面を適正にすべくケーシング６には弁装置８が設けてあ
る。つまり、水車室内の負圧がある値になると弁装置８
が開いて水車室内に空気を導き水車室内の負圧がある値
以上にならないようにしているのである。

C.考案が解決しようとする問題点 第２図に示したクロスフロー水車では、入口管４から流
入した水はガイドベーン５の上下側流路を通過してラン
ナ１に流入する。ランナ１に流入してからの水の流れ
は、第３図中矢印ａで示してあるが、最も回転軸３側を
貫流してランナ１から放出される部分の水は、図中二点
鎖線の丸印で示すように、ランナ１の回転に巻き込まれ
るような形（連れ回り）でしぶき状に巻上がる。これら
しぶき状に巻き上がった飛沫が空転部分のランナ１のラ
ンナブレード1aに衝突し、ランナ１にブレーキ作用を与
えクロスフロー水車の効率低下の原因となっていた。

本考案は上記状況に鑑みてなされたもので、ランナを貫
流した水が空転部分に巻き込まれることのないクロスフ
ロー水車を提供し、もってクロスフロー水車の効率低下
防止を図ることを目的とする。

D.問題点を解決するための手段 上記目的を達成するための本考案の構成は、ランナブレ
ードが円筒状に配されたランナをケーシングに回転自在
に支持し、前記ランナの上部の円筒面に水の流れを案内
する上部ノズルを該ランナの上部の円筒面に向けて前記
ケーシングに延設したクロスフロー水車において、前記
ランナの回転中心軸を挾んで前記上部ノズルの先端部と
反対側における該ランナの下部の円筒面に対向して先端
が位置する下部ノズルを前記ケーシングに延設し、該下
部ノズルと前記ランナ及び前記ケーシングで囲まれる空
間を形成し、該空間に外気を導入する外気導入弁を前記
下部ノズルに設けたことを特徴とする。

E.作用 ランナを貫流した回転軸側の水は、下部ノズルによって
ランナ内への巻込みが阻止され空転部にしぶきが巻き上
がらない。また、外気導入弁により下部ノズルとランナ
及びケーシングで囲まれた空間を大気圧に保ち、負圧状
態になることを防止してしぶきが吸い込まれるのを防止
する。

F.実施例 第１図には本考案の一実施例に係るクロスフロー水車の
要部の断面側面を示してある。尚、第２図，第３図に示
したものと同一部材には同一符号を付して重複する説明
は省略する。

図示のクロスフロー水車は、ランナ１を貫流した水が流
出する時に生じる飛沫が、ランナ１の空転部分に浸入し
てランナブレード1aに衝突することを防止するため、先
端部がランナ１の下部円筒面に対向した位置に配される
下部ノズル11がケーシング２に延設されている。そし
て、下部ノズル11とランナ１及びケーシング２で囲まれ
る空間20が形成されている。更に、空間20内に外気を導
入するため、下部ノズル11に外気導入弁12が設けられて
いる。下部ノズル11の先端は回転軸３を挾んで上部ノズ
ル2aの先端の反対側に位置し、下部ノズル11の先端と回
転軸３を結ぶ線及び上部ノズル2aの先端と回転軸３を結
ぶ線により形成される角度θは120度乃至180度に設定さ
れている。

上記構成のクロスフロー水車の運転を行なうと、入口管
４より流入した水はガイドベーン５で調整されてランナ
１に入り、ランナ１を回転させた後その外周から放出さ
れ、放水管７を通して水中に排出される。最も回転軸３
寄りを貫流した水はランナ１の空転部1cに向かう水しぶ
きとなるが、この水しぶきは下部ノズル11に阻止されて
空転部1cには浸入しない。外気導入弁12により下部ノズ
ル11とランナ１及びケーシング２で囲まれる空間20に外
気13が導入され、一部の外気はランナ１の中心部へ流入
し、また一部の外気は下部ノズル11の先端とランナ１と
の間から放水管７内の水に混入して排出される。外気導
入弁12により下部ノズル11とランナ１及びケーシング２
で囲まれる空間20は負圧になることがなく水しぶきの流
入が確実に阻止される。またランナ１内に形成される空
気溜りを常に大気圧に保つことができる。

上述したクロスフロー水車は、下部ノズル11及び外気導
入弁12を設けたことにより、ランナ１を貫流した水しぶ
きがランナ１内に巻き込まれなくなり、ランナブレード
1aに水しぶきが衝突することがない。

G.考案の効果 本考案のクロスフロー水車は、先端がランナの下部円筒
面に対向する位置に配される下部ノズルをケーシングに
延設し、下部ノズルにランナ及びケーシングで囲まれた
空間に外気を吸入する外気導入弁を設けたので、ランナ
の空転部に空間が確保され、飛沫のランナ内への浸入が
空間に吸入された空気及び下部ノズルにより阻止され、
ランナ内を貫流した水がランナに巻き込まれなくなり水
しぶきがランナブレードに衝突することがなくなる。そ
の結果、ランナにブレーキ作用を与える虞がなくなりク
ロスフロー水車の効率低下を未然に防止し、常に安定し
た水車特性が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るクロスフロー水車の要
部の断面側面図、第２図は従来のクロスフロー水車の構
造を表わす一部破断斜視図、第３図は第２図中の要部の
断面側面図である。 図面中、 １はランナ、1aはランナブレード、２はケーシング、2a
は上部ノズル、３は回転軸、11は下部ノズル、12は外気
導入弁である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ランナブレードが円筒状に配されたランナ
   をケーシングに回転自在に支持し、前記ランナの上部の
   円筒面に水の流れを案内する上部ノズルを該ランナの上
   部の円筒面に向けて前記ケーシングに延設したクロスフ
   ロー水車において、前記ランナの回転中心軸を挾んで前
   記上部ノズルの先端部と反対側における該ランナの下部
   の円筒面に対向して先端が位置する下部ノズルを前記ケ
   ーシングに延設し、該下部ノズルと前記ランナ及び前記
   ケーシングで囲まれる空間を形成し、該空間に外気を導
   入する外気導入弁を前記下部ノズルに設けたことを特徴
   とするクロスフロー水車。