JPH07217411A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置全体の短尺化を図り、機関への搭載性と
エンジンルーム内のレイアウトの自由度を向上させる。 【構成】 タイミングプーリ６とスリーブ４との間に介
装された筒状歯車７を駆動機構によって前後方向に移動
させて、タイミングプーリ６とカムシャフト１との相対
回動移動を変換させるバルブタイミング制御装置であ
る。前記駆動機構の圧縮スプリング１９を筒状歯車７の
外周部７ａ側に設ける一方、圧力室２０を内周部７ｂ側
に設けて、三者７，１９，２０を並列に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸気・排気
バルブの開閉動作時期を運転状態に応じて可変制御する
バルブタイミング制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種バルブタイミング制御装置
としては、種々提供されており、その一例として米国特
許第４，５３５，７３１号公報に記載されたものなどが
知られている。

【０００３】概略を説明すれば、吸気・排気バルブを開
閉制御するカムシャフトは、前端部の外周に外歯が形成
されている。一方、カムシャフトの前端部に相対回動自
在に支持された略円筒状のスプロケットは、外周に機関
の回転力がタイミングチェーンを介して伝達される歯車
を備えていると共に、内周には内歯が形成されている。
そして、この内歯と上記カムシャフトの外歯との間に、
内外周の歯のうち少なくともいずれか一方がはす歯に形
成された筒状歯車が噛合しており、この筒状歯車を機関
運転状態に応じてオイルポンプにより油圧回路を介して
圧力室に供給される油圧や、圧縮スプリングのばね力に
よりカムシャフトの軸方向へ移動させることによって、
該カムシャフトをスプロケットに対して相対回動位相を
変換させて吸気・排気バルブの開閉時期を制御するよう
になっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のバルブタイミング制御装置にあっては、筒状歯車を
内部油圧によって一方に移動させる圧力室が該筒状歯車
の前端部に形成されていると共に、筒状歯車を他方に移
動させる圧縮スプリングが筒状歯車の後端部に配置され
ている。換言すれば、圧力室と筒状歯車及び圧縮スプリ
ングが、スプロケットの内部軸方向へ沿って直列に設け
られている。

【０００５】このため、装置全体の軸方向の長さが長く
なり、装置の大型化が余儀なくされ、この結果、装置の
機関への搭載性が悪化すると共に、エンジンルーム内で
のレイアウトの自由度が制約されてしまう。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課
題に鑑みて案出されたもので、機関によって回転駆動す
る回転体と、該回転体と相対回動自在に設けられ、外周
に吸排気バルブを作動させるカムを有するカムシャフト
と、前記回転体とカムシャフトとの間に介装されて、軸
方向の移動に伴い前記両者の相対回動位相を変換する位
相変換手段と、該位相変換手段を圧力室内の油圧とばね
部材のばね力との相対圧で軸方向へ移動させる駆動機構
とを備えたバルブタイミング制御装置において、前記圧
力室とばね部材とを、前記位相変換手段の内外周側に並
列に設けたことを特徴としている。

【０００７】

【作用】圧力室と圧縮スプリングが位相変換手段の内外
周に形成されて、夫々が並列に配置されているため、軸
方向の長さを可及的に小さくすることが可能となり、装
置全体の小型化が図れる。

【０００８】

【実施例】図１は、本発明のバルブタイミング制御装置
を吸気バルブ側に適用した一実施例を示している。

【０００９】即ち、図中１は外周に吸気バルブをバルブ
スプリングのばね力に抗して開作動させるカムを有する
カムシャフトであって、このカムシャフト１は本体がシ
リンダヘッド２の上端部に有するカム軸受２ａ及びブラ
ケット３を介して回転自在に支持されていると共に、本
体の前端部１ａにスリーブ４がボルト５を介して軸方向
から固着されている。また、図中６はカムシャフト前端
部１ａ及びスリーブ４の外周にカムシャフト１に対して
相対回動自在に設けられて、カムシャフト１に回転力を
伝達するタイミングプーリ、７は該タイミングプーリ６
とスリーブ４との間に介装された位相変換手段たる筒状
歯車である。

【００１０】前記スリーブ４は、軸方向の長さが短尺に
形成され、内周軸方向の略中央位置に略円環状の隔壁４
ａが一体に形成されていると共に、カムシャフト１側の
一端部に前端部１ａに噛合する段差外径状の嵌合部４ｂ
を有している。この嵌合部４ｂは、外周面略中央の段差
部４ｃを介して外端側に小径部４ｄが形成されている。
また、スリーブ４の小径部４ｄを除く外周面全体にはす
歯形のアウタ歯８が形成されている。

【００１１】前記タイミングプーリ６は、横断面略エ字
形状のプーリ本体９と、該プーリ本体９の後端内周にか
しめ固定された円環状のリアカバー１０と、プーリ本体
９の前端内周にかしめ固定されたフロントカバー１１と
から構成されている。前記プーリ本体９は、その軸方向
の長さが比較的短尺に形成され、外周にタイミングベル
トが巻装される歯形を有していると共に、内周にはす歯
形のインナ歯１２が形成されている。また、リアカバー
１０は、筒状の内周部１０ａが前記スリーブ４の小径部
４ｄとカムシャフト前端部１ａとの外周に跨った形で回
転自在に支持されている。さらに、フロントカバー１１
は、中央部に形成された作業用孔１１ａの内周縁に円板
状のキャップ１３がシールリング１４及びスナップリン
グ１５を介して固定されていると共に、前記作業用孔１
１ａの内側孔縁に筒状突起１１ｂが一体に設けられてい
る。

【００１２】前記筒状歯車７は、図１に示すように軸方
向の長さが短尺に形成されていると共に、縦断面略Ｓ字
形に形成されており、図中逆コ字形の外周部７ａはカム
シャフト１側が凹状に形成されている一方、コ字形の内
周部７ｂはフロントカバー１１側が凹状に形成されてい
る。また、内周面と外周面の夫々に前記インナ歯１２と
アウタ歯８に噛合するはす歯形の内外歯１６，１７が形
成されている。更に、筒状歯車７は、前記フロントカバ
ー１１の筒状突起１１ｂの外周面に固定されたガイド部
材１８によって軸方向へ摺動案内されるようになってい
る。即ち、このガイド部材１８は、全体が縦断面略コ字
形に形成され、水平方向に延設された円環部１８ａに前
記内周部７ｂの凹部が摺動自在に嵌入して筒状歯車７の
傾動を防止して軸方向へ安定移動させるようになってい
る。更にまた、筒状歯車７は、駆動機構によって前後軸
方向へ移動されるようになっている。

【００１３】この駆動機構は、前記筒状歯車７の外周部
７ａの内面とリアカバー１０の対向内端面との間に弾装
されて該筒状歯車７を前方向（図中左方向）へ移動させ
るばね部材たる圧縮スプリング１９と、内周部７ｂの内
面と円環部１８ａの外端面との間に形成されて、内部油
圧により筒状歯車７を後方向（図中右方向）へ移動させ
る圧力室２０と、該圧力室２０内に油圧を給排する油圧
回路２１とを備えている。

【００１４】前記油圧回路２１は、オイルポンプ２２に
接続されたオイルメインギャラリ２３と圧力室２０とを
連通する油圧通路２４と、該油圧通路２４とオイルメイ
ンギャラリ２３との間に介装されて油圧通路２４とドレ
ン通路２５を切り換え制御する三方型の電磁切換弁２６
と、該電磁切換弁２６を機関運転状態に応じてＯＮ−Ｏ
ＦＦ的に切り換え作動させるコントローラ２７とを備え
ている。

【００１５】前記油圧通路２４は、シリンダヘッド２内
部からカムシャフト１の半径方向及び軸心方向とボルト
５の内部軸心方向に貫通形成された通路部２８と、ボル
ト５の頭部５ａ外周側に形成されて前記通路部２８に連
通する通路室２９と、前記円環部１１ｂとガイド部材の
内部に連続して形成され、通路室２９と圧力室２０とを
連通する連通路３０とから構成されている。

【００１６】前記電磁切換弁２６は、内部に図外の電磁
コイルや固定コア及び可動コアが設けられていると共
に、該可動コアの先端に油圧通路２４とドレン通路２５
とを適宜切り換えるスプール弁が設けられている。

【００１７】前記コントローラ２７は、内蔵されたマイ
クロコンピュータがクランク角センサやエアフローメー
タ及び水温センサ，スロットルバルブスイッチ等の各セ
ンサ類から出力された機関回転数等の情報信号に基づい
て現在の機関運転状態を検出すると共に、低負荷時には
電磁切換弁２６にＯＦＦ信号を、高負荷時にはＯＮ信号
を夫々出力するようになっている。

【００１８】尚、前記スリーブ４の段差部４ｃとリアカ
バー１０の内周部との間には、該スリーブ４に対してタ
イミングプーリ６を図中右方向へ付勢する皿ばね３１が
弾装されている。

【００１９】以下、本実施例の作用について説明する。

【００２０】まず、機関低負荷時には、電磁切換弁２６
にＯＦＦ信号が出力されてオイルメインギャラリ２３と
油圧通路２４との連通が遮断され、両通路２３，２４と
ドレン通路２５が連通する。したがって、オイルメイン
ギャラリ２３の作動油は、ドレン通路２５を通って外部
に排出されて圧力室２０に供給されず、また、該圧力室
２０内の作動油もドレン通路２５から外部に排出され
る。したがって、筒状歯車７は、図１に示すように圧力
室２０の低圧化に伴い、圧縮スプリング１９のばね力で
各歯８，１６，１２，１７を介して最大前方向位置に保
持される。このため、タイミングプーリ６とカムシャフ
ト１が一方向に相対回動して吸気バルブの閉時期を遅角
側に制御する。

【００２１】一方、機関高負荷時には、図２に示すよう
に電磁切換弁２６にＯＮ信号が出力されてドレン通路２
５を閉成すると共に、オイルメインギャラリ２３と油圧
通路２４とを連通させる。したがって、油圧通路２４を
介して圧力室２０内に作動油が供給されて、該圧力室２
０の内圧が上昇する。これに伴い筒状歯車７は、図２に
示すように圧縮スプリング１９のばね力に抗して最大後
方向位置に移動する。このため、タイミングプーリ６と
カムシャフト１が他方向に相対回動して吸気バルブの閉
時期を進角側に制御する。

【００２２】したがって、機関運転状態に応じて最適な
バルブタイミングが得られ、低負荷時の燃費等の向上と
高負荷時の出力等の向上が図れる。

【００２３】しかも、前述のように筒状歯車７の内周部
７ｂ内側に圧力室２０を、外周部７ａ側に圧縮スプリン
グ１９を設けて、三者７，１９，２０を並列状態に配置
したため、筒状歯車７の軸方向の十分な移動ストローク
量を確保しつつ装置全体の短尺化が図れる。

【００２４】また、スリーブ４とリアカバー１０との間
に弾装された皿ばね３１によってタイミングプーリ６を
カムシャフト１軸方向に付勢したため、各歯８，１６，
１２，１７のはす歯に作用するカムシャフト１の正負の
トルク変動のカムシャフト１の軸方向分力によるタイミ
ングプーリ６のばたつきを防止できる。また、皿ばね３
１がフロントカバー１１，ガイド部材１８，隔壁４ａの
各々の間に摺動摩擦抵抗を与えているので、カムシャフ
ト１の正負のトルク変動に伴う打音の発生を防止でき
る。

【００２５】尚、本実施例では軸長の短かな皿ばね３１
を用い、さらには該皿ばね３１をスリーブ４とリアカバ
ー１０との間に設けたため、装置の短尺化が一層助長さ
れる。

【００２６】また、本発明は、前記実施例の構成に限定
されるものではなく、例えば圧力室２０を筒状歯車７の
外周側に、圧縮スプリング１９を内周側に並列に設ける
ことも可能である。また、回転体は、スプロケット等で
もよい。

【００２７】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、位相変換手段をカムシャフト軸方向に移動させ
る駆動機構の圧力室とばね部材とを、前記位相変換手段
の内外周側に並列に設けたため、従来のような軸方向に
直列に設ける場合に比較して装置の軸方向の長さを十分
に短尺化することが可能になる。

【００２８】この結果、該バルブタイミング制御装置の
機関への搭載性が向上すると共に、エンジンルーム内で
のレイアウトの自由度が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す縦断面図。

【図２】本実施例の作用を示す説明図。

【符号の説明】

１…カムシャフト ２…シリンダヘッド ６…タイミングプーリ（回転体） ７…筒状歯車（位相変換手段） １９…圧縮スプリング（ばね部材） ２０…圧力室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機関によって回転駆動する回転体と、該
   回転体と相対回動自在に設けられ、外周に吸排気バルブ
   を作動させるカムを有するカムシャフトと、前記回転体
   とカムシャフトとの間に介装されて、軸方向の移動に伴
   い前記両者の相対回動位相を変換する位相変換手段と、
   該位相変換手段を圧力室内の油圧とばね部材のばね力と
   の相対圧で軸方向へ移動させる駆動機構とを備えたバル
   ブタイミング制御装置において、 前記圧力室とばね部材とを、前記位相変換手段の内外周
   側に並列に設けたことを特徴とする内燃機関のバルブタ
   イミング制御装置。