JPH07216342A - 冷凍機等の圧縮機用ガスケット - Google Patents

冷凍機等の圧縮機用ガスケット

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JPH07216342A
JPH07216342A JP19189394A JP19189394A JPH07216342A JP H07216342 A JPH07216342 A JP H07216342A JP 19189394 A JP19189394 A JP 19189394A JP 19189394 A JP19189394 A JP 19189394A JP H07216342 A JPH07216342 A JP H07216342A
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JP
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fiber
gasket
weight
refrigerator
compressor
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JP19189394A
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English (en)
Inventor
Satoshi Amano
聡 天野
Takahiko Ito
貴彦 伊藤
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Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2210/00Fluid
    • F04C2210/26Refrigerants with particular properties, e.g. HFC-134a

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  • Sealing Material Composition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 アスベストの使用なしに、フッ化炭化水素系
の冷媒と、ポリアルキレングリコール(PAG)系、P
AGの少なくとも一方の末端をエステル化変性したエス
テル変性PAG系又はエステル系の合成冷凍機油を使用
する冷凍機等の圧縮機に使用され、気密を保持し、強度
及び耐久性にも優れ、沈殿物を生じない冷凍機等の圧縮
機用ガスケットを提供する。 【構成】 アスベスト以外の無機充填材と、ポリカルボ
ジイミド樹脂と、カルボジイミド基と反応性を有する官
能基を有するゴム材と、必要に応じ添加される有機繊維
又は無機繊維による繊維成分とよりなり、フッ化炭化水
素系冷媒、及びPAG系、エステル変性PAG系又はエ
ステル系の合成冷凍機油を用いる冷凍機用の圧縮機にお
いて、各部の気密を保持するための所定の形状を有する
圧縮機用ガスケットの構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機等の圧縮機用ガ
スケットに関するものであり、更に詳しくは、特にフッ
化炭化水素系冷媒(HFC)と、ポリアルキレングリコ
ール系(PAG系)、ポリアルキレングリコールの少な
くとも一方の末端をエステル化して変性したエステル変
性PAG系又はエステル系の合成潤滑油から選ばれた冷
凍機油を用いる冷凍機等の圧縮機において、各部の気密
を保持するために使用されるシリンダーヘッドガスケッ
トやマフラーガスケット等のガスケットであって、アス
ベスト繊維を使用することなく、上記冷媒及び冷凍機油
に対し優れた強度、シール性及び耐性を示す冷凍機等の
圧縮機用ガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カーエアコン、冷蔵庫や空調機等
の冷凍サイクルにおいては、冷媒として極性基を有しな
いジクロロジフルオロメタン(CF2Cl2)を主に使用
していたため、冷凍機油としては主に鉱油等が用いられ
ていたが、昨今の地球の環境問題により、塩素原子を含
む前記ジクロロジフルオロメタンを使用できなくなり、
これに代わって1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(HFC134a)で代表される塩素原子を含まないフ
ッ化炭化水素系冷媒(HFC)のみが使用できるように
なりつつある。
【0003】しかしながら、1,1,1,2−テトラフ
ルオロエタンを代表とする前記塩素原子を含まないフッ
化炭化水素系冷媒は、極性基を有しているために鉱油等
との相溶性に欠け、これを冷凍サイクルに使用した場合
は、圧縮機の冷凍機油として従来の鉱油を使用すること
はできない。
【0004】そこで、この問題を解決するために、冷凍
機油として、構成する分子中に極性基を有するPAG
系、エステル変性PAG系又はエステル系の合成潤滑油
を使用することが提案されている。
【0005】一方、冷凍機等の圧縮機用として使用され
ているガスケットは、従来は基材繊維としてのアスベス
ト、結合材としてのアクリルニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)やクロロプレン(CR)等に代表されるゴム
材、このゴム材を加硫するための加硫剤、更に充填剤を
使用し、シール性や強度及び冷媒、冷凍機油に対する耐
性を持たせていたが、近年になってアスベストの人体に
対する悪影響が指摘され、その入手及び取り扱いが困難
になるに至り、使用ができなくなりつつある。
【0006】このため、アスベストに代わる繊維基材を
用いてなるアスベストシートの代替物を製造しようとい
う研究が盛んに行なわれており、例えばアスベストの代
替としてガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、
炭素繊維等の無機繊維、アラミド、ポリエステル、フェ
ノール、セルロース等の有機繊維及びパルプの使用が提
案され、結合材としてのゴム材、このゴム材の加硫剤及
び充填材と共にシート化したものがノンアスベストシー
トとして注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記フ
ッ化炭化水素系冷媒は、従来より使用されていたジクロ
ロジフルオロメタンと異なり極性を有するため、有機材
料に対する腐食性、特に有機材料を溶解する能力が高
く、又、その中で代表的なHFC134aは、ジクロロ
ジフルオロメタンより分子サイズが小さく、ガスケット
に対して浸透したり透過したりする能力が高いという問
題がある。
【0008】一方、ガスケットについても、アスベスト
に代わり使用される上記無機及び有機繊維は、いずれも
アスベストに比べて繊維径が大きく、緻密な構造とする
ためには不利な形状であり、冷凍機等の圧縮機のガスケ
ットとして使用するには充分に満足し得るシール性を得
ることができない。
【0009】即ち、代表的には(ジクロロジフルオロメ
タン)/(鉱油系等)である従来の(冷媒)/(冷凍機
油)の組み合わせを、そのまま(HFC134a)/
(PAG系、エステル変性PAG系又はエステル系の合
成潤滑油から選ばれた冷凍機油)の組み合わせに変えた
場合、従来のノンアスベストシートによるガスケット
は、通常使用される前記NBR等の結合剤部分が腐食さ
れる結果、冷凍機用ガスケットとして要求される耐久性
に乏しく、且つ、シール性も不十分となってしまい、更
に前記ノンアスベストシート中に含まれる末反応の加硫
剤である硫黄や過酸化物が冷凍機油中に溶出し、冷凍機
油を酸化劣化させてしまい、その結果、潤滑性が低下
し、且つ、場合によっては分解により生成する脂肪酸に
より金属部分が腐食を受けたり、更には沈殿物が発生す
る等、圧縮機の性能を著しく損なう可能性が生じる。
【0010】本発明は、上述した従来技術の難点を解消
し、アスベストを使用することなく、フッ化炭化水素系
の冷媒と、該冷媒と共にポリアルキレングリコール系
(PAG系)、ポリアルキレングリコールの少なくとも
一方の末端をエステル化して変性したエステル変性PA
G系又はエステル系の合成潤滑油から選ばれた冷凍機油
を使用する冷凍機等の圧縮機に使用され、各部の気密を
十分に保持し、且つ、強度及び耐久性にも優れ、沈殿物
を生じたりすることのない冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
トを提供することを目的としてなされた。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用した冷凍機等の圧縮機用ガスケットの構
成は、少なくとも、アスベスト以外の無機充填材と、ポ
リカルボジイミド樹脂と、カルボジイミド基と反応性を
有する官能基を有するゴム材と、必要に応じ添加される
有機繊維又は無機繊維による繊維成分とよりなり、フッ
化炭化水素系冷媒、及び、ポリアルキレングリコール
系、エステル変性ポリアルキレングリコール系又はエス
テル系の合成潤滑油から選ばれた冷凍機油を用いる冷凍
機用の圧縮機において、各部の気密を保持するための所
定の形状を有するものであることを特徴とするものであ
る。
【0012】以下に本発明の詳細に説明する。
【0013】まず本発明の冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
トで使用される無機充填材としては、アスベスト以外の
無機充填材であればよく、特に制限はない。具体的に
は、ガラス繊維等の繊維類、及び、クレー、タルク、硫
酸バリウム、マイカ、バーミュライト、炭酸カルシウ
ム、シリカ、ウォラストナイト、硫酸マグネシウム、チ
タン酸カリウム、カーボンブラック等の粉末状、りんぺ
ん状或いはウイスカー状物、或いはこれらを適宜に混合
したものを例示することができる。
【0014】又、本発明で使用するポリカルボジイミド
樹脂それ自体は、周知ものか、或いは、周知のものと同
様にして製造することができるものであって{米国特許
第2,94l,956号明細書;特公昭47−3327
9号公報;J.Org.Chem.,28,2069〜
2075(1963)Chemical Review
l98l,vol.8l.No.4,6l9〜62l
等参照}、例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、有
機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によ
り容易に製造することができる。
【0015】上記ポリカルボジイミド樹脂の製造に使用
される有機ジイソシアネートとしては、脂肪族系、脂環
式系、芳香族系、芳香−脂肪族系等のいずれのタイプも
のであってもよく、これらは単独で用いても、或いは、
2種以上を組み合わせて共重合体として用いてもよい。
【0016】而して、本発明において使用されるポリカ
ルボジイミド樹脂には、下記式 −R−N=C=N− (但し、式中のRは有機ジイソシアネート残基を表す)
で示される少なくともl種の繰り返し単位からなる単独
重合体または共重合体が包含される。
【0017】有機ジイソシアネート残基である上記式に
おけるRとしては、中でも芳香族ジイソシアネート残基
が好適である(ここで、有機ジイソシアネート残基と
は、有機ジイソシアネート分子から2つのイソシアネー
ト基(NCO)を除いた残りの部分をいう)。このよう
な有機ジイソシアネートの具体例としては、式(1)、
【化4】 又は式(2)、
【化5】 又は式(3)、
【化6】 で表されるものを例示することができる。
【0018】上記式中の置換基について説明すれば、R
1、R2及びR3はメチル基、エチル基、プロピル基やブ
チル基等に代表される低級アルキル基又は対応する低級
アルコキシ基を、R4及びR5は水素原子、R1乃至R3
同様の低級アルキル基又は低級アルコキシ基を、Xは酸
素原子又はメチレン基を夫々表わしている。
【0019】具体的には、有機ジイソシアネートが上記
式(1)で表されるものとしては、2、4−トリレンジ
イソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレン
ジイソシアネートの混合物等のトリレンジイソシアネー
トや、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネー
ト等を、又、有機ジイソシアネートが上記式(2)で表
されるものとしては、0−トリジンジイソシアネート等
を、更に、有機ジイソシアネートが上記式(3)で表さ
れるものとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネー
トや3,3−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテル
ジイソシアネート等をそれぞれ挙げることができ、これ
らジイソシアネート類は、単独で又は2種以上の混合物
として使用することができる。
【0020】上記脂有機ジイソシアネートをポリカルボ
ジイミド樹脂へ変換する反応は、カルボジイミド化触媒
の存在下で行なうものであり、このカルボジイミド化触
媒としては、例えば3−メチル−1−フェニル−2−ホ
スホレン−1−オキシド等のホスホレンオキシド類を挙
げることができる。
【0021】本発明において使用されるポリカルボジイ
ミド樹脂の形状としては、パルプ状又は粉状を例示する
ことができ、例えば上記式(1)乃至(3)により表さ
れる有機ジイソシアネートよりポリカルボジイミドパル
プを製造するには、まず、有機ジイソシアネートを、カ
ルボジイミド化触媒の存在下に、溶媒として脂環式エー
テルを用いた重合反応に付すことによりポリカルボジイ
ミド樹脂のドープを得る。
【0022】上記した有機ジイソシアネートについては
脂環式エーテル中で反応を行うものであり、この脂環式
エーテルは、好ましくは室温で液体であり、分子内のエ
ーテル結合が2個以下であるものである。具体的には、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン
又はそれらの混合溶媒を例として挙げることができる
が、中でもテトラヒドロフランが好ましい。
【0023】又、有機ジイソシアネートとして上記説明
した種類のものを使用する場合、モノマー濃度30重量
%以下、好ましくは20重量%以下で反応を行うものと
する。モノマー濃度が30重量%以上になると、粉末状
又は繊維の太く固いパルプになるため好ましくなく、
又、生成したパルプ・粉末にもイソシアネート基が多く
存在することになるため、成形加工する場合等において
発泡が起こり好ましくない。更に、カルボジイミドパル
プの特徴である耐熱性の面でも、200℃以上で発泡が
起こるので、大幅に好ましい性質を損なうことになる。
このような問題を回避するためには、ドープにおけるN
CO%を3以下に、好ましくは2以下にすることが有利
である。
【0024】又、別法として末端封止をする方法があ
る。末端封止剤としては、モノイソシアネート、チオフ
ェノール、フェノール、アニリン、安息香酸及びこれら
に置換基を導入したものなどを挙げることができる。上
記置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、低級不飽和アルキル基などがある(ここに挙げたも
のは芳香族系のものであるが、要求される耐熱性の程度
等により、脂肪族系の化合物を使用できることは勿論で
ある。)。
【0025】この他にも、末端封止剤としては、−O
H、−NH2、−COOH、−SH、−NHアルキル末
端を有する化合物約1モルと、芳香族ジイソシアネート
2モルとの反応によって簡便に製造できるイソシアネー
ト末端化合物から誘導されるものでもよい。
【0026】上記のようにしてポリカルボジイミド樹脂
のパルプを合成する際、その分子量は少なくとも200
0以上であることが好ましい。
【0027】本発明において使用するポリカルボジイミ
ドパルプは、特開平5−195483号公報に記載され
ているように、上記のようにして製造したドープと凝固
液とを、例えばノズルを介して吐出することにより、両
者を相互に接触させることにより得られるものであり、
得られたドープが凝固液に対する優れた分散性と溶媒の
抜け易さと備えているものであるので、このような操作
に付すことにより、ドープ中のポリカルボジイミド重合
体が凝固液と接触した直後にパルプ化するのである。
【0028】このようにして得られたポリカルボジイミ
ドパルプは、前記のような式で表される繰り返し単位を
有するものであり、450℃以上という高い熱分解温度
を有している。尚、本発明で使用するポリカルボジイミ
ドパルプは、「実質的」に上記の式で表される繰り返し
単位を有するものであればよく、例えばその一部に枝分
れ構造を有するようなものでもよい。又、上記ポリカル
ボジイミドパルプは、その1種類を選択して使用して
も、2種以上を使用しても差しつかえない。
【0029】一方、本発明で使用する粉状のポリカルボ
ジイミドは、例えば特開平5−239223号公報に記
載されているポリカルボジイミド樹脂溶液を噴霧乾燥す
る方法、或いは、D. J. Lyman, Die Makromol. Chem.,
67, 1 (1963)に記載されている、一般的な溶媒中で反応
させて析出する粉状の生成物を捕集する方法等により得
ることができる。
【0030】又、本発明で使用されるゴム材は、前記ポ
リカルボジイミド樹脂のカルボジイミド基と反応性を有
する官能基を有するものであり、ここでいう「カルボジ
イミド基と反応性を有する官能基」とは、Frederick Ku
rzerらによる総説Advances in The Chemistry of carbo
diimide, Vol. 67 (2), 1967に記載されている官能基を
挙げることができ、それらの中でも特にカルボキシル
基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、1級又
は2級のアミノ基、エポキシ基、チオール基、カルボン
酸無水物の1種又はそれ以上を好ましいものとして例示
することができる。
【0031】上記のような官能基を有するゴム材として
は、アクリル系、アクリロニトリル−ブタジエン系、水
添アクリロニトリル−ブタジエン系等の化学的に合成可
能なものを挙げることができる。
【0032】更に、上記ゴム材は、それらのエマルジョ
ン又はラテックスとして使用することが好ましく、具体
的には、工業的に製造されているカルボキシ変性アクリ
ロニトリル−ブタジエン系ゴムラテックス、アクリルエ
マルジョン等の1種又はそれ以上を好ましいものとして
例示することができる。
【0033】而して、本発明では、上記ポリカルボジイ
ミド樹脂と、このポリカルボジイミド樹脂のカルボジイ
ミド基と反応性を有する官能基を有するゴム材とが、少
なくともそれらの一部において反応していて、通常、ポ
リカルボジイミド樹脂は、主に活性水素基を有する化合
物と比較的穏和な条件で反応することが知られており、
従ってポリカルボジイミド樹脂を、カルボジイミド基と
反応性を有する官能基を有する例えば生ゴムと混練して
使用しようとすると、混練中に反応が進行し、成形加工
性が失われ、シート材料の素材として使用することがで
きなかった。
【0034】ところが、例えば上記官能基を有するゴム
材のエマルジョン又はラテックス中では、上記ポリカル
ボジイミド樹脂は上記条件、即ち生ゴムであれば混練中
に反応が進行してしまうような条件下でもほとんど反応
を起こさず、又、エマルジョン又はラテックスの安定性
を損なわずに使用できることが判明したのである。
【0035】加えて、ポリカルボジイミド樹脂とゴム材
との反応により生成した組成物においては、エマルジョ
ン又はラテックスの欠点であった耐水性が向上すると同
時に、ゴム材の耐熱性や耐薬品性が改善され、更に、ポ
リカルボジイミド樹脂をゴム材の架橋剤として使用する
ことになるので、金属腐食の原因となる硫黄や過酸化物
等の加硫(架橋)剤を使用する必要もなく、従来は困難
であったゴム材の増量についても、へたりや金属腐食を
起こすことなく可能となり、耐熱性や耐薬品性に優れた
冷凍機等の圧縮機用ガスケットの製造が可能となったの
である。
【0036】上記のような特徴を有する本発明の冷凍機
等の圧縮機用ガスケットにおいて、ポリカルボジイミド
樹脂とゴム材とは、例えばカルボジイミド基と反応性を
有する官能基がカルボキシル基である場合、付加反応に
より
【化7】 のような構造を形成しており(同様に付加反応を起こす
官能基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水
酸基、アミノ基及びチオール基を挙げることができ
る)、又、上記カルボジイミド基と反応性を有する官能
基が酸無水物である場合、
【化8】 のような構造を形成している(同様に環化反応を起こす
官能基としては、エポキシ基を挙げることができ
る。)。
【0037】尚、本発明では更に上記成分に加え、必要
に応じ適宜の繊維成分を添加してもよく、この繊維成分
には有機繊維及び無機繊維が含まれ、具体的にはポリア
ミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリ
エステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維或いはそれら
のパルプ、セルロース類(綿、麻、パルプなど)等を例
示することができ、中でもアラミド繊維或いはそのパル
プ、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
【0038】更に、本発明では上記成分に加え、必要に
応じカルボジイミド基を反応性を有することのないゴム
材を、得られるガスケットに悪影響を及ぼすことのない
範囲で添加することもでき、このようなゴム材として
は、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレ
ンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、塩
素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ニト
リルイソプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天
然ゴム及びこれらのラテックスを例示することができ
る。
【0039】上記説明した各成分の割合は、使用目的或
いは条件等に応じ適宜決定すれば良いが、例えば、 アスベスト以外の無機充填材 30〜90重量% ゴム材 5〜50重量% ポリカルボジイミド樹脂 1〜50重量% 繊維成分 0〜50重量% カルボジイミド基と反応性を有する官能基を 有することのないゴム材 0〜30重量% という範囲を挙げることができる。尚、用途によって
は、ポリカルボジイミド樹脂を、カルボジイミド基と反
応性を有する官能基を有するゴム材と同量或いはそれ以
下使用するとよく、更に公知のゴム材の加硫(架橋)剤
の適宜量を併用しても差し支えない。
【0040】一方、上記のように特徴付けられる本発明
の冷凍機等の圧縮機用ガスケットは、アスベスト以外の
無機充填材と、ポリカルボジイミド樹脂と、カルボジイ
ミド基と反応性を有する官能基を有するゴム材と、必要
に応じ添加される有機繊維又は無機繊維による繊維成分
とをシート状物とした後、上記ポリカルボジイミド樹脂
の軟化点以上の温度で加熱し、必要とされる形状に成形
する方法により得ることができる。
【0041】各成分の混合、シート化及び得られたシー
ト状物の成形は、いずれも周知の手段を利用することに
より行うことができ、例えばシート化は抄造法(ビータ
ー法)により行うことができ、シート状物の成形はプレ
ス成型法やロール成型法により行うことができる。又、
加熱温度としては150℃以上300℃以下という数値
を例示することができる。尚、得られたシート状物は、
加熱の際に積層することもできる。
【0042】
【発明の効果】上記のように本発明冷凍機等の圧縮機用
ガスケットを製造することにより、 1)ガスケットにフッ化炭化水素系冷媒及び該冷媒と共
にに使用するポリアルキレングリコール系等の冷凍機油
に対する耐性を付与することができる。 2)ポリカルボジイミド樹脂の軟化点以上で形成される
ため、ポリカルボジイミド樹脂により従来品で問題とな
る繊維間の空隙がうめこまれ、シール性が向上する。 3)ポリカルボジイミド樹脂の軟化点以上で形成される
ため、ポリカルボジイミド樹脂により繊維成分と無機充
填材の結合力が増大し、加硫剤を使用することなく十分
な強度が得られる。即ち、冷凍機油の劣化が低減され、
金属腐食もなくなり、圧縮機を長寿命化することができ
る。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0044】実施例1 (1)ポリカルボジイミドパルプの製造 4口フラスコにジムロート冷却管、温度計、メカニカル
スターラーを取付けた後、原料投入口よりテトラヒドロ
フラン4000mlを加えた。次いで原料であるMDI
(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)65
0gを加え、更に原料イソシアネートに対して0.2重
量%の3−メチル−l−フェニル−2−ホスホレン−1
−オキシドを添加し、リフラックス下で反応を7時間行
い、ポリカルボジイミドのドープを得た。この際のモノ
マー濃度はl5.5%、NCO%は1.0であった。
【0045】上記のようにして製造したドープをオート
クレーブに投入し、一方をノズルに、他方をコンプレッ
サーに結ぎ込み、バック圧によりドープを吐出した。ノ
ズルとしては、二流体ノズル(スプレーイングシステム
社製)を使用した。この装置を用いて、ドープ吐出量を
10ml/分、凝固剤吐出量を1010ml/分になる
ようにバック圧にて調整し、凝固浴上に吐出させパルプ
化した。これを濾過、乾燥して目的物のパルプを得た。
尚、凝固浴を使用しない場合も、目的とするパルプが得
られた。
【0046】(2)ガスケットの製造 ポリカルボジイミド樹脂パルプ 15重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分])23重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% 無機充填材 52重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次にこのシート状物を200℃、200Kg/c
2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmのシ
ート状物を得た。得られたシート状物をφ32xφ48
mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
た。
【0047】実施例2 (1)ポリカルボジイミド粉末の製造 MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト)675gとフェニルイソシアネート71.4gと
を、テトラクロロエチレン2458g中でカルボジイミ
ド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン
−1−オキシド)1.5gと共に120℃で4時間反応
させ、淡黄色で透明のポリカルボジイミド溶液(樹脂濃
度20%)を得た。この溶液を12時間で40℃に冷却
し、粘度が270cPのスラリー状ポリカルボジイミド
を得た。このスラリー状ポリカルボジイミドを乾燥温度
60℃、空気圧力2Kg/cm2、スラリー供給量11
/hの条件で噴霧乾燥し、淡黄色の粉末を得た。
【0048】(2)ガスケットの製造 ポリカルボジイミド樹脂粉末 15重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分])20重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% 無機充填材 55重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を180℃、200Kg/
cm2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmの
シート状物を得た。得られたシート状物をφ32xφ4
8mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
た。
【0049】比較例1及び2 ガスケットとして市販の冷凍機用アスベストジョイント
シート(比較例1)、及び、冷凍機用ノンアスベストジ
ョイントシート(比較例2)を用意し、実施例1及び2
と同様の寸法のガスケットを製造した。
【0050】比較試験 1.シール性 実施例1、2及び比較例1、2のガスケットを、面粗さ
Rmax1.6のフランジにはさみ、面圧9.8MPa
となるようにフランジを締め付けた後、窒素ガスにより
内圧を加え、ガスケットの外周に塗布したセッケン水に
気泡が発生した内圧を漏れ圧として、シール特性を測定
した。結果を図1に示す。
【0051】2.熱処理後の引き裂き強度の測定 実施例1、2及び比較例l、2のガスケットについて、
JIS K6301に準じ、200℃、100時間の熱
処理後の引き裂き強度試験を行った。結果を以下の表1
に示す。
【表1】
【0052】3.実機試験 実施例l、2及ぴ比較例1、2のガスケットを、冷媒と
してHFC134a、冷凍機油としてエステル系合成潤
滑油を使用する冷凍機の圧縮機に組み込み、3ヶ月間の
実機運転を行った。実機運転終了後、冷凍機油の劣化を
全酸価析出物の有無により評価した。結果を以下の表2
に示す。
【表2】
【0053】実施例3 実施例2で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 10重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 15重量% アラミドパルプ(繊維成分) 12重量% 無機充填材 63重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0054】実施例4 (1)ポリカルボジイミド粉末の製造 MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト)600gとフェニルイソシアネート23.8gと
を、テトラクロロエチレン3840g中でカルボジイミ
ド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン
−1−オキシド)1.0gと共に120℃で4.5時間
反応させた。反応溶液を室温に冷却して沈殿物を生成さ
せ、この沈殿物を濾過、乾燥することにより、ポリカル
ボジイミドの粉末を得た。
【0055】(2)ガスケットの製造 上記ポリカルボジイミド樹脂粉末 5重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 15重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% カーボン繊維(繊維成分) 3重量% 無機充填材 67重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を200℃、200Kg/
cm2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmの
シート状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ4
8mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
た。。
【0056】実施例5 実施例1で製造したポリカルボジイミドパルプ 30重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 30重量% アラミドパルプ(繊維成分) 15重量% 無機充填材 25重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0057】実施例6 実施例1で製造したポリカルボジイミドパルプ 15重量% 実施例4で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 5重量% ゴム材(カルボキシ変性アクリルエマルジョン[固形分]) 10重量% アラミドパルプ(繊維成分) 3重量% カーボン繊維(繊維成分) 3重量% ガラス繊維(繊維成分) 2重量% 無機充填材 62重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0058】実施例7 実施例1で製造したポリカルボジイミドパルプ 5重量% 実施例2で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 3重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 10重量% ゴム材(カルボキシ変性アクリルエマルジョン[固形分]) 3重量% アラミドパルプ(繊維成分) 12重量% カーボン繊維(繊維成分) 1重量% 無機充填材 77重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0059】実施例8 実施例1で製造したポリカルボジイミドパルプ 17重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 16重量% ゴム材(水添NBRラテックス[固形分]) 7重量% アラミドパルプ(繊維成分) 11重量% 無機充填材 49重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧250K
g/cmでロールを3回通し、厚さ0.5mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0060】比較試験 1.引張強度及びシール性 実施例3乃至8及び比較例2のガスケットにつき引張強
度を測定すると共に、これらのガスケットをフランジ面
間に挿入して面圧100kg/cm2で締付けた後、フ
ランジの出口側を封止して入口側から窒素ガスを流して
内圧を上昇させ、フランジからの窒素ガスの洩れ量が5
ml/分に達した際の窒素ガスの圧力をシール特性を示
す値とした。結果を表3に示す。
【表3】
【0061】2.実機試験 実施例3乃至8のガスケットを、冷媒としてHFC13
4a、冷凍機油としてエステル系合成潤滑油を使用する
冷凍機の圧縮機に組み込み、3ヶ月間の実機運転を行っ
た。実機運転終了後、冷凍機油の劣化を全酸価析出物の
有無により評価した。結果を以下の表4に示す。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2及び比較例1、2のガスケットに
ついて行ったシール特性試験の結果を示すグラフであ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 冷凍機等の圧縮機用ガスケット
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、R1は水素原子、低級アルキ基又は低級アルコ
キシ基を示す) 又は式(2)、
【化2】 (式中、R2及びR3は水素原子、低級アルキ基又は低級
アルコキシ基を示す) 又は式(3)、
【化3】 (式中、R4及びR5は水素原子、低級アルキ基又は低級
アルコキシ基を、Xは酸素原子又はメチレン基を夫々示
す)で表される有機ジイソシアネートを、カルボジイミ
ド化触媒の存在下に重合させることにより得られるもの
である請求項1又は2に記載の冷凍機等の圧縮機用ガス
ケット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機等の圧縮機用ガ
スケットに関するものであり、更に詳しくは、特にフッ
化炭化水素系冷媒(HFC)と、ポリアルキレングリコ
ール系(PAG系)、ポリアルキレングリコールの少な
くとも一方の末端をエステル化して変性したエステル変
性PAG系又はエステル系の合成潤滑油から選ばれた冷
凍機油を用いる冷凍機等の圧縮機において、各部の気密
を保持するために使用されるシリンダーヘッドガスケッ
トやマフラーガスケット等のガスケットであって、アス
ベスト繊維を使用することなく、上記冷媒及び冷凍機油
に対し優れた強度、シール性及び耐性を示す冷凍機等の
圧縮機用ガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カーエアコン、冷蔵庫や空調機等
の冷凍サイクルにおいては、冷媒として極性基を有しな
いジクロロジフルオロメタン(CF2Cl2)を主に使用
していたため、冷凍機油としては主に鉱油等が用いられ
ていたが、昨今の地球の環境問題により、塩素原子を含
む前記ジクロロジフルオロメタンを使用できなくなり、
これに代わって1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(HFC134a)で代表される塩素原子を含まないフ
ッ化炭化水素系冷媒(HFC)のみが使用できるように
なりつつある。
【0003】しかしながら、1,1,1,2−テトラフ
ルオロエタンを代表とする前記塩素原子を含まないフッ
化炭化水素系冷媒は、極性基を有しているために鉱油等
との相溶性に欠け、これを冷凍サイクルに使用した場合
は、圧縮機の冷凍機油として従来の鉱油を使用すること
はできない。
【0004】そこで、この問題を解決するために、冷凍
機油として、構成する分子中に極性基を有するPAG
系、エステル変性PAG系又はエステル系の合成潤滑油
を使用することが提案されている。
【0005】一方、冷凍機等の圧縮機用として使用され
ているガスケットは、従来は基材繊維としてのアスベス
ト、結合材としてのアクリルニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)やクロロプレン(CR)等に代表されるゴム
材、このゴム材を加硫するための加硫剤、更に充填剤を
使用し、シール性や強度及び冷媒、冷凍機油に対する耐
性を持たせていたが、近年になってアスベストの人体に
対する悪影響が指摘され、その入手及び取り扱いが困難
になるに至り、使用ができなくなりつつある。
【0006】このため、アスベストに代わる繊維基材を
用いてなるアスベストシートの代替物を製造しようとい
う研究が盛んに行なわれており、例えばアスベストの代
替としてガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、
炭素繊維等の無機繊維、アラミド、ポリエステル、フェ
ノール、セルロース等の有機繊維及びパルプの使用が提
案され、結合材としてのゴム材、このゴム材の加硫剤及
び充填材と共にシート化したものがノンアスベストシー
トとして注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記フ
ッ化炭化水素系冷媒は、従来より使用されていたジクロ
ロジフルオロメタンと異なり極性を有するため、有機材
料に対する腐食性、特に有機材料を溶解する能力が高
く、又、その中で代表的なHFC134aは、ジクロロ
ジフルオロメタンより分子サイズが小さく、ガスケット
に対して浸透したり透過したりする能力が高いという問
題がある。
【0008】一方、ガスケットについても、アスベスト
に代わり使用される上記無機及び有機繊維は、いずれも
アスベストに比べて繊維径が大きく、緻密な構造とする
ためには不利な形状であり、冷凍機等の圧縮機のガスケ
ットとして使用するには充分に満足し得るシール性を得
ることができない。
【0009】即ち、代表的には(ジクロロジフルオロメ
タン)/(鉱油系等)である従来の(冷媒)/(冷凍機
油)の組み合わせを、そのまま(HFC134a)/
(PAG系、エステル変性PAG系又はエステル系の合
成潤滑油から選ばれた冷凍機油)の組み合わせに変えた
場合、従来のノンアスベストシートによるガスケット
は、通常使用される前記NBR等の結合剤部分が腐食さ
れる結果、冷凍機用ガスケットとして要求される耐久性
に乏しく、且つ、シール性も不十分となってしまい、更
に前記ノンアスベストシート中に含まれる末反応の加硫
剤である硫黄や過酸化物が冷凍機油中に溶出し、冷凍機
油を酸化劣化させてしまい、その結果、潤滑性が低下
し、且つ、場合によっては分解により生成する脂肪酸に
より金属部分が腐食を受けたり、更には沈殿物が発生す
る等、圧縮機の性能を著しく損なう可能性が生じる。
【0010】本発明は、上述した従来技術の難点を解消
し、アスベストを使用することなく、フッ化炭化水素系
の冷媒と、該冷媒と共にポリアルキレングリコール系
(PAG系)、ポリアルキレングリコールの少なくとも
一方の末端をエステル化して変性したエステル変性PA
G系又はエステル系の合成潤滑油から選ばれた冷凍機油
を使用する冷凍機等の圧縮機に使用され、各部の気密を
十分に保持し、且つ、強度及び耐久性にも優れ、沈殿物
を生じたりすることのない冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
トを提供することを目的としてなされた。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用した冷凍機等の圧縮機用ガスケットの構
成は、少なくとも、アスベスト以外の無機充填材と、ポ
リカルボジイミド樹脂と、カルボジイミド基と反応性を
有する官能基を有するゴム材と、必要に応じ添加される
有機繊維又は無機繊維による繊維成分とよりなり、フッ
化炭化水素系冷媒、及び、ポリアルキレングリコール
系、エステル変性ポリアルキレングリコール系又はエス
テル系の合成潤滑油から選ばれた冷凍機油を用いる冷凍
機用の圧縮機において、各部の気密を保持するための所
定の形状を有するものであることを特徴とするものであ
る。
【0012】以下に本発明の詳細に説明する。
【0013】まず本発明の冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
トで使用される無機充填材としては、アスベスト以外の
無機充填材であればよく、特に制限はない。具体的に
は、ガラス繊維等の繊維類、及び、クレー、タルク、硫
酸バリウム、マイカ、バーミュライト、炭酸カルシウ
ム、シリカ、ウォラストナイト、硫酸マグネシウム、チ
タン酸カリウム、カーボンブラック等の粉末状、りんぺ
ん状或いはウイスカー状物、或いはこれらを適宜に混合
したものを例示することができる。
【0014】又、本発明で使用するポリカルボジイミド
樹脂それ自体は、周知ものか、或いは、周知のものと同
様にして製造することができるものであって{米国特許
第2,94l,956号明細書;特公昭47−3327
9号公報;J.Org.Chem.,28,2069〜
2075(1963)Chemical Review
l98l,vol.8l.No.4,6l9〜62l
等参照}、例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、有
機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によ
り容易に製造することができる。
【0015】上記ポリカルボジイミド樹脂の製造に使用
される有機ジイソシアネートとしては、脂肪族系、脂環
式系、芳香族系、芳香−脂肪族系等のいずれのタイプも
のであってもよく、これらは単独で用いても、或いは、
2種以上を組み合わせて共重合体として用いてもよい。
【0016】而して、本発明において使用されるポリカ
ルボジイミド樹脂には、下記式 −R−N=C=N− (但し、式中のRは有機ジイソシアネート残基を表す)
で示される少なくともl種の繰り返し単位からなる単独
重合体または共重合体が包含される。
【0017】有機ジイソシアネート残基である上記式に
おけるRとしては、中でも芳香族ジイソシアネート残基
が好適である(ここで、有機ジイソシアネート残基と
は、有機ジイソシアネート分子から2つのイソシアネー
ト基(NCO)を除いた残りの部分をいう)。このよう
な有機ジイソシアネートの具体例としては、式(1)、
【化4】 (式中、R1は水素原子、低級アルキ基又は低級アルコ
キシ基を示す) 又は式(2)、
【化5】 (式中、R2及びR3は水素原子、低級アルキ基又は低級
アルコキシ基を示す) 又は式(3)、
【化6】 (式中、R4及びR5は水素原子、低級アルキ基又は低級
アルコキシ基を、Xは酸素原子又はメチレン基を夫々示
す)で表されるものを例示することができる。
【0018】上記式中の置換基について説明すれば、R
1、R2及びR3はメチル基、エチル基、プロピル基やブ
チル基等に代表される低級アルキル基又は対応する低級
アルコキシ基を、R4及びR5は水素原子、R1乃至R3
同様の低級アルキル基又は低級アルコキシ基を、Xは酸
素原子又はメチレン基を夫々表わしている。
【0019】具体的には、有機ジイソシアネートが上記
式(1)で表されるものとしては、2、4−トリレンジ
イソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレン
ジイソシアネートの混合物等のトリレンジイソシアネー
トや、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネー
ト等を、又、有機ジイソシアネートが上記式(2)で表
されるものとしては、0−トリジンジイソシアネート等
を、更に、有機ジイソシアネートが上記式(3)で表さ
れるものとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシア
ネートや3,3−ジメチル−4,4’−ジフェニルエ
ーテルジイソシアネート等をそれぞれ挙げることがで
き、これらジイソシアネート類は、単独で又は2種以上
の混合物として使用することができる。
【0020】上記脂有機ジイソシアネートをポリカルボ
ジイミド樹脂へ変換する反応は、カルボジイミド化触媒
の存在下で行なうものであり、このカルボジイミド化触
媒としては、例えば3−メチル−1−フェニル−2−ホ
スホレン−1−オキシド等のホスホレンオキシド類を挙
げることができる。
【0021】本発明において使用されるポリカルボジイ
ミド樹脂の形状としては、パルプ状又は粉状を例示する
ことができ、例えば上記式(1)乃至(3)により表さ
れる有機ジイソシアネートよりポリカルボジイミド樹脂
パルプを製造するには、まず、有機ジイソシアネート
を、カルボジイミド化触媒の存在下に、溶媒として脂環
式エーテルを用いた重合反応に付すことによりポリカル
ボジイミド樹脂のドープを得る。
【0022】上記した有機ジイソシアネートについては
脂環式エーテル中で反応を行うものであり、この脂環式
エーテルは、好ましくは室温で液体であり、分子内のエ
ーテル結合が2個以下であるものである。具体的には、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン
又はそれらの混合溶媒を例として挙げることができる
が、中でもテトラヒドロフランが好ましい。
【0023】又、有機ジイソシアネートとして上記説明
した種類のものを使用する場合、モノマー濃度30重量
%以下、好ましくは20重量%以下で反応を行うものと
する。モノマー濃度が30重量%以上になると、粉末状
又は繊維の太く固いパルプになるため好ましくなく、
又、生成したパルプ・粉末にもイソシアネート基が多く
存在することになるため、成形加工する場合等において
発泡が起こり好ましくない。更に、カルボジイミドパル
プの特徴である耐熱性の面でも、200℃以上で発泡が
起こるので、大幅に好ましい性質を損なうことになる。
このような問題を回避するためには、ドープにおけるN
CO%を3以下に、好ましくは2以下にすることが有利
である。
【0024】又、別法として末端封止をする方法があ
る。末端封止剤としては、モノイソシアネート、チオフ
ェノール、フェノール、アニリン、安息香酸及びこれら
に置換基を導入したものなどを挙げることができる。上
記置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、低級不飽和アルキル基などがある(ここに挙げたも
のは芳香族系のものであるが、要求される耐熱性の程度
等により、脂肪族系の化合物を使用できることは勿論で
ある。)。
【0025】この他にも、末端封止剤としては、−O
H、−NH2、−COOH、−SH、−NHアルキル末
端を有する化合物約1モルと、芳香族ジイソシアネート
2モルとの反応によって簡便に製造できるイソシアネー
ト末端化合物から誘導されるものでもよい。
【0026】上記のようにしてポリカルボジイミド樹脂
のパルプを合成する際、その分子量は少なくとも200
0以上であることが好ましい。
【0027】本発明において使用するポリカルボジイミ
樹脂パルプは、特開平5−195483号公報に記載
されているように、上記のようにして製造したドープと
凝固液とを、例えばノズルを介して吐出することによ
り、両者を相互に接触させることにより得られるもので
あり、得られたドープが凝固液に対する優れた分散性と
溶媒の抜け易さと備えているものであるので、このよう
な操作に付すことにより、ドープ中のポリカルボジイミ
ド重合体が凝固液と接触した直後にパルプ化するのであ
る。
【0028】このようにして得られたポリカルボジイミ
樹脂パルプは、前記のような式で表される繰り返し単
位を有するものであり、450℃以上という高い熱分解
温度を有している。尚、本発明で使用するポリカルボジ
イミド樹脂パルプは、「実質的」に上記の式で表される
繰り返し単位を有するものであればよく、例えばその一
部に枝分れ構造を有するようなものでもよい。又、上記
ポリカルボジイミド樹脂パルプは、その1種類を選択し
て使用しても、2種以上を使用しても差しつかえない。
【0029】一方、本発明で使用する粉状のポリカルボ
ジイミドは、例えば特開平5−239223号公報に記
載されているポリカルボジイミド樹脂溶液を噴霧乾燥す
る方法、或いは、D. J. Lyman, Die Makromol. Chem.,
67, 1 (1963)に記載されている、一般的な溶媒中で反応
させて析出する粉状の生成物を捕集する方法等により得
ることができる。
【0030】又、本発明で使用されるゴム材は、前記ポ
リカルボジイミド樹脂のカルボジイミド基と反応性を有
する官能基を有するものであり、ここでいう「カルボジ
イミド基と反応性を有する官能基」とは、Frederick Ku
rzerらによる総説Advances in The Chemistry of carbo
diimide, Vol. 67 (2), 1967に記載されている官能基を
挙げることができ、それらの中でも特にカルボキシル
基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、1級又
は2級のアミノ基、エポキシ基、チオール基、カルボン
酸無水物の1種又はそれ以上を好ましいものとして例示
することができる。
【0031】上記のような官能基を有するゴム材として
は、アクリル系、アクリロニトリル−ブタジエン系、水
添アクリロニトリル−ブタジエン系等の化学的に合成可
能なものを挙げることができる。
【0032】更に、上記ゴム材は、それらのエマルジョ
ン又はラテックスとして使用することが好ましく、具体
的には、工業的に製造されているカルボキシ変性アクリ
ロニトリル−ブタジエン系ゴムラテックス、アクリルエ
マルジョン等の1種又はそれ以上を好ましいものとして
例示することができる。
【0033】而して、本発明が特徴とするところは、上
記ポリカルボジイミド樹脂と、このポリカルボジイミド
樹脂のカルボジイミド基と反応性を有する官能基を有す
るゴム材とを、少なくともそれらの一部分において反応
させることにある。即ち、ゴム材がエマルジョン又はラ
テックスの場合は、シートを製造する際、固体のポリカ
ルボジイミド樹脂とエマルジョン又はラテックスとの混
合系になると共に、温度的にも室温であるため、反応は
ほとんど起こらず、抄造によりシート化することがで
き、このシートをポリカルボジイミド樹脂の軟化点以上
の温度で加熱加圧成形する際に、ポリカルボジイミド樹
脂と、ポルボジイミド基と反応性を有する官能基を有す
るゴム材とが反応するのである。
【0034】尚、ポリカルボジイミド樹脂と、カルボジ
イミド基と反応性を有する官能基を有する生ゴムとを混
練して使用しようとすると、混練中に発生する熱で反応
が進行し、成形加工性が失われ、シート材料の素材とし
て使用できないことがあるので、混練する場合は、冷却
しながら行なう必要があり、例えば、混練中の温度は4
0℃以下、好ましくは30℃以下になるよう冷却しなが
ら混練するのが好ましい。又、別法として、ポリカルボ
ジイミド樹脂の表面を前記ゴムに対し不活性なものでコ
ート(カプセル化)し、混練しシート化したのち加熱・
加圧し、反応を進行させる方法も採用することができ
る。
【0035】加えて、ポリカルボジイミド樹脂とゴム材
との反応により生成した組成物においては、エマルジョ
ン又はラテックスの欠点であった耐水性が向上すると同
時に、ゴム材の耐熱性や耐薬品性が改善され、更に、ポ
リカルボジイミド樹脂をゴム材の架橋剤として使用する
ことになるので、金属腐食の原因となる硫黄や過酸化物
等の加硫(架橋)剤を使用する必要もなく、従来は困難
であったゴム材の増量についても、へたりや金属腐食を
起こすことなく可能となり、耐熱性や耐薬品性に優れた
冷凍機等の圧縮機用ガスケットの製造が可能となったの
である。
【0036】上記のような特徴を有する本発明の冷凍機
等の圧縮機用ガスケットにおいて、ポリカルボジイミド
樹脂とゴム材とは、例えばカルボジイミド基と反応性を
有する官能基がカルボキシル基である場合、付加反応に
より
【化7】 のような構造を形成しており(同様に付加反応を起こす
官能基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水
酸基、アミノ基及びチオール基を挙げることができ
る)、又、上記カルボジイミド基と反応性を有する官能
基が酸無水物として脱水結合した2つのカルボキシル基
である場合、
【化8】 のような構造を形成している(同様に環化反応を起こす
官能基としては、エポキシ基を挙げることができ
る。)。
【0037】尚、本発明では更に上記成分に加え、必要
に応じ適宜の繊維成分を添加してもよく、この繊維成分
には有機繊維及び無機繊維が含まれ、具体的にはポリア
ミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリ
エステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維或いはそれら
のパルプ、セルロース類(綿、麻、パルプなど)等を例
示することができ、中でもアラミド繊維或いはそのパル
プ、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
【0038】更に、本発明では上記成分に加え、必要に
応じカルボジイミド基を反応性を有することのないゴム
材を、得られるガスケットに悪影響を及ぼすことのない
範囲で添加することもでき、このようなゴム材として
は、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレ
ンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、塩
素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ニト
リルイソプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天
然ゴム及びこれらのラテックスを例示することができ
る。
【0039】上記説明した各成分の割合は、使用目的或
いは条件等に応じ適宜決定すれば良いが、例えば、 アスベスト以外の無機充填材 30〜90重量% ゴム材 5〜50重量% ポリカルボジイミド樹脂 1〜50重量% 繊維成分 0〜50重量% カルボジイミド基と反応性を有する官能基を 有することのないゴム材 0〜30重量% という範囲を挙げることができる。尚、用途によって
は、ポリカルボジイミド樹脂を、カルボジイミド基と反
応性を有する官能基を有するゴム材と同量或いはそれ以
下使用するとよく、更に公知のゴム材の加硫(架橋)剤
の適宜量を併用しても差し支えない。
【0040】一方、上記のように特徴付けられる本発明
の冷凍機等の圧縮機用ガスケットは、アスベスト以外の
無機充填材と、ポリカルボジイミド樹脂と、カルボジイ
ミド基と反応性を有する官能基を有するゴム材と、必要
に応じ添加される有機繊維又は無機繊維による繊維成分
とをシート状物とした後、上記ポリカルボジイミド樹脂
の軟化点以上の温度で加熱し、必要とされる形状に成形
する方法により得ることができる。
【0041】各成分の混合、シート化及び得られたシー
ト状物の成形は、いずれも周知の手段を利用することに
より行うことができ、例えばシート化は抄造法(ビータ
ー法)により行うことができ、シート状物の成形はプレ
ス成型法やロール成型法により行うことができる。又、
加熱温度としては150℃以上300℃以下という数値
を例示することができる。尚、得られたシート状物は、
加熱の際に積層することもできる。
【0042】
【発明の効果】上記のように本発明冷凍機等の圧縮機用
ガスケットを製造することにより、 1)ガスケットにフッ化炭化水素系冷媒及び該冷媒と共
にに使用するポリアルキレングリコール系等の冷凍機油
に対する耐性を付与することができる。 2)ポリカルボジイミド樹脂の軟化点以上で形成される
ため、ポリカルボジイミド樹脂により従来品で問題とな
る繊維間の空隙がうめこまれ、シール性が向上する。 3)ポリカルボジイミド樹脂の軟化点以上で形成される
ため、ポリカルボジイミド樹脂により繊維成分と無機充
填材の結合力が増大し、加硫剤を使用することなく十分
な強度が得られる。即ち、冷凍機油の劣化が低減され、
金属腐食もなくなり、圧縮機を長寿命化することができ
る。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0044】実施例1 (1)ポリカルボジイミド樹脂パルプの製造 4口フラスコにジムロート冷却管、温度計、メカニカル
スターラーを取付けた後、原料投入口よりテトラヒドロ
フラン4000mlを加えた。次いで原料であるMDI
(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)65
0gを加え、更に原料イソシアネートに対して0.2重
量%の3−メチル−l−フェニル−2−ホスホレン−1
−オキシドを添加し、リフラックス下で反応を7時間行
い、ポリカルボジイミドのドープを得た。この際のモノ
マー濃度はl5.5%、NCO%は1.0であった。
【0045】上記のようにして製造したドープをオート
クレーブに投入し、一方をノズルに、他方をコンプレッ
サーに結ぎ込み、バック圧によりドープを吐出した。ノ
ズルとしては、二流体ノズル(スプレーイングシステム
社製)を使用した。この装置を用いて、ドープ吐出量を
10ml/分、凝固剤吐出量を1010ml/分になる
ようにバック圧にて調整し、凝固浴上に吐出させパルプ
化した。これを濾過、乾燥して目的物のパルプを得た。
尚、凝固浴を使用しない場合も、目的とするパルプが得
られた。
【0046】(2)ガスケットの製造 ポリカルボジイミド樹脂パルプ 15重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分])23重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% 無機充填材 52重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次にこのシート状物を200℃、200Kg/c
2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmのシ
ート状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48
mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
た。
【0047】実施例2 (1)ポリカルボジイミド樹脂粉末の製造 MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト)675gとフェニルイソシアネート71.4gと
を、テトラクロロエチレン2458g中でカルボジイミ
ド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン
−1−オキシド)1.5gと共に120℃で4時間反応
させ、淡黄色で透明のポリカルボジイミド溶液(樹脂濃
度20%)を得た。この溶液を12時間で40℃に冷却
し、粘度が270cPのスラリー状ポリカルボジイミド
を得た。このスラリー状ポリカルボジイミドを乾燥温度
60℃、空気圧力2Kg/cm2、スラリー供給量11
/hの条件で噴霧乾燥し、淡黄色の粉末を得た。
【0048】(2)ガスケットの製造 ポリカルボジイミド樹脂粉末 15重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分])20重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% 無機充填材 55重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を180℃、200Kg/
cm2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmの
シート状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ4
8mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
た。
【0049】比較例1及び2 ガスケットとして市販の冷凍機用アスベストジョイント
シート(比較例1)、及び、冷凍機用ノンアスベストジ
ョイントシート(比較例2)を用意し、実施例1及び2
と同様の寸法のガスケットを製造した。
【0050】比較試験 1.シール性 実施例1、2及び比較例1、2のガスケットを、面粗さ
Rmax1.6のフランジにはさみ、面圧9.8MPa
となるようにフランジを締め付けた後、窒素ガスにより
内圧を加え、ガスケットの外周に塗布したセッケン水に
気泡が発生した内圧を漏れ圧として、シール特性を測定
した。結果を図1に示す。
【0051】2.熱処理後の引き裂き強度の測定 実施例1、2及び比較例l、2のガスケットについて、
JIS K6301に準じ、200℃、100時間の熱
処理後の引き裂き強度試験を行った。結果を以下の表1
に示す。
【表1】
【0052】3.実機試験 実施例l、2及比較例1、2のガスケットを、冷媒と
してHFC134a、冷凍機油としてエステル系合成潤
滑油を使用する冷凍機の圧縮機に組み込み、3ヶ月間の
実機運転を行った。実機運転終了後、冷凍機油の劣化を
全酸価析出物の有無により評価した。結果を以下の表2
に示す。
【表2】
【0053】実施例3 実施例2で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 10重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 15重量% アラミドパルプ(繊維成分) 12重量% 無機充填材 63重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0054】実施例4 (1)ポリカルボジイミド樹脂粉末の製造 MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト)600gとフェニルイソシアネート23.8gと
を、テトラクロロエチレン3840g中でカルボジイミ
ド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン
−1−オキシド)1.0gと共に120℃で4.5時間
反応させた。反応溶液を室温に冷却して沈殿物を生成さ
せ、この沈殿物を濾過、乾燥することにより、ポリカル
ボジイミドの粉末を得た。
【0055】(2)ガスケットの製造 上記ポリカルボジイミド樹脂粉末 5重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 15重量% アラミドパルプ(繊維成分) 10重量% カーボン繊維(繊維成分) 3重量% 無機充填材 67重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を200℃、200Kg/
cm2で10分間加熱加圧成形して、厚さ0.5mmの
シート状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ4
8mmに打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造し
【0056】実施例5 実施例1で製造したポリカルボジイミド樹脂パルプ 30重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 30重量% アラミドパルプ(繊維成分) 15重量% 無機充填材 25重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0057】実施例6 実施例1で製造したポリカルボジイミド樹脂パルプ 15重量% 実施例4で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 5重量% ゴム材(カルボキシ変性アクリルエマルジョン[固形分]) 10重量% アラミドパルプ(繊維成分) 3重量% カーボン繊維(繊維成分) 3重量% ガラス繊維(繊維成分) 2重量% 無機充填材 62重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0058】実施例7 実施例1で製造したポリカルボジイミド樹脂パルプ 5重量% 実施例2で製造したポリカルボジイミド樹脂粉末 3重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 10重量% ゴム材(カルボキシ変性アクリルエマルジョン[固形分]) 3重量% アラミドパルプ(繊維成分) 12重量% カーボン繊維(繊維成分) 1重量% 無機充填材 77重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧300K
g/cmでロールを2回通し、厚さ0.8mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0059】実施例8 実施例1で製造したポリカルボジイミド樹脂パルプ 17重量% ゴム材(カルボキシ変性NBRラテックス[固形分]) 16重量% ゴム材(水添NBRラテックス[固形分]) 7重量% アラミドパルプ(繊維成分) 11重量% 無機充填材 49重量% 上記配合の組成物を混合し、抄造してシート状物を作成
した。次に、このシート状物を220℃、線圧250K
g/cmでロールを3回通し、厚さ0.5mmのシート
状物を得た。得られたシート状物をφ32×φ48mm
に打ち抜いて、本発明ガスケットの一例を製造した。
【0060】比較試験 1.引張強度及びシール性 実施例3乃至8及び比較例2のガスケットにつき引張強
度を測定すると共に、これらのガスケットをフランジ面
間に挿入して面圧100kg/cm2で締付けた後、フ
ランジの出口側を封止して入口側から窒素ガスを流して
内圧を上昇させ、フランジからの窒素ガスの洩れ量が5
ml/分に達した際の窒素ガスの圧力をシール特性を示
す値とした。結果を表3に示す。
【表3】
【0061】2.実機試験 実施例3乃至8のガスケットを、冷媒としてHFC13
4a、冷凍機油としてエステル系合成潤滑油を使用する
冷凍機の圧縮機に組み込み、3ヶ月間の実機運転を行っ
た。実機運転終了後、冷凍機油の劣化を全酸価析出物の
有無により評価した。結果を以下の表4に示す。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2及び比較例1、2のガスケットに
ついて行ったシール特性試験の結果を示すグラフであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、アスベスト以外の無機充填
    材と、ポリカルボジイミド樹脂と、カルボジイミド基と
    反応性を有する官能基を有するゴム材と、必要に応じ添
    加される有機繊維又は無機繊維による繊維成分とよりな
    り、フッ化炭化水素系冷媒、及び、ポリアルキレングリ
    コール系、エステル変性ポリアルキレングリコール系又
    はエステル系の合成潤滑油から選ばれた冷凍機油を用い
    る冷凍機用の圧縮機において、各部の気密を保持するた
    めの所定の形状を有するものであることを特徴とする冷
    凍機等の圧縮機用ガスケット。
  2. 【請求項2】 ポリカルボジイミド樹脂と、カルボジイ
    ミド基と反応性を有する官能基を有するゴム材とは、少
    なくともそれらの一部が反応している請求項1に記載の
    冷凍機等の圧縮機用ガスケット。
  3. 【請求項3】 ポリカルボジイミド樹脂が、式(1)、 【化1】 又は式(2)、 【化2】 又は式(3)、 【化3】 で表される有機ジイソシアネートを、カルボジイミド化
    触媒の存在下に重合させることにより得られるものであ
    る請求項1又は2に記載の冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
    ト。
  4. 【請求項4】 ゴム材が、アクリル系、アクリロニトリ
    ル−ブタジエン系、水添アクリロニトリル−ブタジエン
    系のものである請求項1又は2に記載の冷凍機等の圧縮
    機用ガスケット。
  5. 【請求項5】 ゴム材を、そのエマルジョン又はラテッ
    クスとして使用する請求項4に記載の冷凍機等の圧縮機
    用ガスケット。
  6. 【請求項6】 必要に応じ添加される繊維成分が、ポリ
    アミド繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル繊
    維、ポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、ガラ
    ス繊維、ロックウール、セラミック繊維である請求項1
    に記載の冷凍機等の圧縮機用ガスケット。
  7. 【請求項7】 アスベスト以外の無機充填材を30〜9
    0重量%、ゴム材を5〜50重量%、ポリカルボジイミ
    ド樹脂を1〜50重量%及び繊維成分を0〜50重量%
    含有する請求項1に記載の冷凍機等の圧縮機用ガスケッ
    ト。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008503660A (ja) * 2004-06-25 2008-02-07 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー アクリルおよびパラ−アラミドパルプならびにその製造方法
JP2008503661A (ja) * 2004-06-25 2008-02-07 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー セルロースおよびパラ−アラミドパルプならびにその製造方法
JP2008127518A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Nippon Zeon Co Ltd 圧縮機用シール部材用アクリルゴム組成物、その架橋体及び圧縮機用シール部材
KR102010040B1 (ko) * 2018-12-30 2019-08-12 제일이엔에스(주) 저비중 가스켓의 제조방법

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