JPH07215773A - 炭化珪素質流し込み材 - Google Patents

炭化珪素質流し込み材

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JPH07215773A
JPH07215773A JP1060694A JP1060694A JPH07215773A JP H07215773 A JPH07215773 A JP H07215773A JP 1060694 A JP1060694 A JP 1060694A JP 1060694 A JP1060694 A JP 1060694A JP H07215773 A JPH07215773 A JP H07215773A
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alumina
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隆 山村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、常温で硬化する結合剤を含
まない、水で混練されるタイプの流し込み材にあって、
保管時、搬送時の流動性低下という経時変化を大幅に抑
制し、且つ高温下において亀裂、割れが生じにくく、耐
用性に優れる炭化珪素質流し込み材を提供することにあ
る。 【構成】 本発明の炭化珪素質流し込み材は、炭化珪素
とアルミナを主たる耐火材料とし、常温で硬化する結合
剤を含有せず、水で混練することからなる炭化珪素質流
し込み材において、残留金属シリコン量を0.3〜4重量%
含有する炭化珪素原料を40〜90重量%、アルミナ超微粉
を3〜15重量%及びカーボン質原料を1〜8重量%含有す
ることを特徴とする。また、TiO2を0.5〜3.5重量%含有
し、粒気孔率が4%以下で、且つ粒径0.3mm以上電融アル
ミナを50重量%以下の量で含有することができる。更
に、アルミナ超微粉としてNa2O含有量が0.3重量%以下
であるものを使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化珪素質流し込み材
に関するものであり、更に詳細には、水を含有し、混練
された流し込み材であって、常温で硬化する結合剤を含
まない、特に高炉出銑樋に適した流し込み材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】最近、流し込み材、特に高炉出銑樋用流
し込み材として、炭化珪素含有量の多い耐食性、耐摩耗
性に優れた流し込み材が多く使用されるようになってお
り、微粉マトリックス部に各種の微粉を混合し、特性改
善が図られている。
【0003】例えば、特開平2−221164号公報には、炭
化珪素5〜90重量%と、アルミナセメント0.5〜1
0重量%と、残部耐火原料からなる配合100重量%に
対し窒化珪素鉄及び/又は鉄粉をFe換算で0.1〜5
重量%添加することを特徴とする炭化珪素含有キャスタ
ブル耐火物が示されている。また、該公報の実施例にお
いては、耐火原料として電融アルミナを添加した例も開
示されている。このキャスタブル耐火物は、炭化珪素の
もつ耐熱衝撃性や耐化学反応性を利用しつつ、窒化珪素
鉄や鉄粉を添加して耐酸化性を改善したものである。
【0004】また、特開平3−75276号公報には、鉄酸
化物系処理剤を用いる溶銑予備処理設備にライニングす
る耐火組成物において、炭化珪素を55〜90重量%含
有し、残部は他の耐火材及び結合剤を配合してなること
を特徴とする高炉鋳床脱珪樋用不定形耐火物が示されて
いる。この不定形耐火物は、鉄酸化物系処理剤を用いる
溶銑予備処理におけるスラグに対する耐食性を向上する
目的でなされたものであり、耐食性に優れる性質を有す
る炭化珪素量を増加させたものである。
【0005】更に、特開平3−164479号公報には、Si
C含有量が70重量%以上でかつ気孔率10%以下、充
填嵩比重が粗粒で1.25以上、中粒で1.60以上の炭
化珪素骨材を使用し、炭化珪素70〜95重量%、カー
ボン質原料1〜7重量%、アルミナ微粉3〜20重量%
及びシリカ超微粉0.5〜5重量%を含有する組成物に
分散剤、結合剤を添加することを特徴とする高炉出銑樋
用流し込み耐火材が示されている。この流し込み耐火材
は、高炭化珪素による高耐食性、耐摩耗性に加えて、炭
化硼素及びSiO2源となるシリカフラワー及びSi金
属等を添加して、微粉アルミナと反応させ、耐火物組織
の緻密化により耐食性、耐摩耗性を改良し、耐酸化性を
も改善したものである。
【0006】また、特開平4−243981号公報には、重量
割合において、炭化珪素を40〜90%、シリコン1〜
5%、残部がアルミナ及び炭素よりなり、かつ炭素/シ
リコンの比が3/7以下であることを特徴とする耐スラ
グ性と耐スポーリング性を兼ね備えた炭化珪素質流し込
み施工用耐火物が開示されている。なお、該公報の実施
例においては、アルミナセメントが使用されており、ま
た、炭素も添加されている。
【0007】更に、特開平5−70249号公報には、炭化
珪素を70重量%以上含有し、かつ粒径1μm以下を4
0重量%以上含む炭化珪素超微粉末を1〜25重量%含
有することを特徴とする高炉出銑樋用不定形耐火物が開
示されている。該公報に開示された耐火物は、炭化珪素
の含有量を増加することによる耐用性向上を目的に、炭
化珪素を超微粉域にまで拡大使用するものである。
【0008】また、特開平5−70250号公報には、炭化
珪素を70〜90重量%含有する母材に、金属シリコン
粉末1〜3重量%、炭化硼素粉末0.5〜3.0重量%及
び高融点ピッチ粉末1〜3重量%を添加してなることを
特徴とする出銑樋用流し込み樋材を示している。この樋
材はβ−SiCウイスカーの生成による強度の向上を図
った材料である。
【0009】更に、特開平5−221737号公報には、セメ
ントを用いず、水硬性アルミナを結合剤として使用して
いる炭化珪素20〜30重量%、アルミナ64〜78重
量%を含有してなる不定形耐火物が開示されており、こ
の不定形耐火物は熱間強度の向上、化学的侵食に対する
耐食性の向上、及び流動性に優れる特徴を有するもので
ある。
【0010】また、特開平5−58752号公報には、炭化
珪素の合計の含有量が、80〜98重量%である高炭化
珪素質の流し込み樋材であって、炭化モリブデンを1〜
10重量%含有することを特徴とする高炭化珪素質流し
込み樋材が開示されており、この樋材は耐用性を向上す
ることを目的とするものである。
【0011】一方、耐火物技術協会発行「耐火物」誌4
3(9)(1991)の第469〜470頁に記載されてい
るように、流し込み施工現場でミキサーを用いた混練作
業を削除して、施工の効率化を図った施工法が実施され
つつある。この方法においては、出銑樋に施工された後
に熱によって硬化する流し込み材が用いられ、流し込み
材は常温で硬化するものであってはならない。即ち、流
し込み材は施工現場以外、多くは流し込み材の製造工場
で水と混練され、流し込み可能な状態とし、これをバッ
グ等で保管、施工現場へ搬送し、枠掛けされた所定の施
工場所に直接またはホッパーやポンプ圧送装置を介して
施工される。従って、流し込み材は水と混練された後、
最も短時間でも搬送のために数時間以上、通常は保管期
間を含め2〜3日以上およそ数週間までの間、水と混練
された状態で保持される。このため、常温で硬化性を示
す結合剤を用いることができない。
【0012】そこで、本出願人が先に出願した特開昭63
−162579号公報には、耐火超微粉末と分散剤を使用し、
アルミナセメントを用いない熱硬化性不定形耐火物が開
示されている。この不定形耐火物はセメントに由来する
CaOがないので高耐火性が得られ、また、耐爆裂性を
改善することができる。
【0013】また、特開平4−83764号公報には、特定
の粒度構成をもった耐火性骨材に、特定粒度の珪酸ソー
ダガラスと所定量の水を含有する熱硬化性樋用流し込み
材が提案されている。この流し込み材は経時変化が少な
く、加熱により短時間で硬化し、高強度、高耐食性を得
ることができるものであった。
【0014】更に、特開平5−70246号公報には、感熱
結合剤として合成樹脂エマルジョンと感熱ゲル化剤を添
加した熱硬化性不定形耐火物が開示されている。この不
定形耐火物は加熱により短時間で硬化し、耐熱性が低下
せず、高耐食性を得ることができるものであった。
【0015】これらの技術は、常温で硬化しない熱硬化
性流し込み材の流動性、保管時の経時変化、硬化特性な
ど、結合様式及び結合剤に関する技術の開示であるが、
このようなセメント等の常温で硬化する結合剤を含まな
い流し込み材において、耐火材料が耐食性や耐割れ性、
あるいは経時変化に与える影響については検討されてい
ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、アル
ミナセメントや水硬性アルミナ等の常温硬化性の結合剤
を用いた高炭化珪素質出銑樋用流し込み材に関しては、
各種の添加剤を用いたり、微粉部の配合構成の改善によ
る高炭化珪素質材料の耐食性、耐摩耗性、耐酸化性等の
耐用性の改良方法が種々提案されている。また、施工現
場でミキサーを用いて混練を行わないタイプの、水と混
練された後保管され、搬送される、常温で硬化する結合
剤を含まない流し込み材に関しては、超微粉や結合剤に
ついての幾つかの提案がある。
【0017】常温で硬化する結合剤を含有する従来の流
し込み材では、当然のことながら水と混練された後は、
結合剤が反応し硬化するので、水と混練後の数日にわた
る経時変化については全く顧みられていない。また、常
温で硬化する結合剤は、水を伴いながら常温で何らかの
反応性をもったものであり、これは単に常温での硬化の
有無だけの差異に止まらず、加熱によって水を放水した
り、硬化反応物が分解したりする時点での高温下での反
応性も高い。
【0018】従って、施工現場でミキサーを用いて混練
を行わないタイプの、常温で硬化する結合剤を含有しな
い、水を含有し、混練された出銑樋用流し込み材におい
て、従来の常温硬化性のある結合剤を用いた流し込み材
と同様な高炭化珪素質耐火材料を用いると、幾つかの問
題が発生することが判った。
【0019】1つは、耐火材料自身が保管時、搬送時の
経時変化に大きな影響を与える場合があり、もう1つは
結合剤が従来の流し込み材に用いられているアルミナセ
メント等とは異なるため、出銑樋で使用される時の高温
での特性がかなり異なり、高炭化珪素の特徴が生かせな
いことがあると言う問題があった。例えば、常温で硬化
する結合剤を含有しない、水を含有し、混練された出銑
樋用流し込み材においては、耐火材料の気孔率や微量の
不純成分に起因する経時変化、即ち、保管中に材料の流
動性が低下してしまうという現象が生じることがあっ
た。また、高炭化珪素材料では、微粉マトリックス部を
各種添加剤を用いて強化しても、機械的、熱的衝撃によ
って亀裂が入り易く、割れ易いという欠点があった。
【0020】従って、本発明の目的は、常温で硬化する
結合剤を含まない、水で混練されるタイプの流し込み材
にあって、上記のような問題点を解決することにあり、
詳細には、保管時、搬送時の流動性低下という経時変化
を大幅に抑制し、且つ高温下において亀裂、割れが生じ
にくく、耐用性に優れる炭化珪素質流し込み材、特に高
炉出銑樋用流し込み材を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に係る炭化
珪素質流し込み材は、炭化珪素とアルミナを主たる耐火
材料とし、常温で硬化する結合剤を含有せず、水で混練
することからなる炭化珪素質流し込み材において、残留
金属シリコン量を0.3〜4重量%含有する炭化珪素原
料を40〜90重量%、アルミナ超微粉を3〜15重量
%及びカーボン質原料を1〜8重量%含有することを特
徴とする。
【0022】更に、本発明に係る炭化珪素質流し込み材
は、炭化珪素とアルミナを主たる耐火材料とし、常温で
硬化する結合剤を含有せず、水で混練することからなる
炭化珪素質流し込み材において、残留金属シリコン量を
0.3〜4重量%含有する炭化珪素原料を40〜90重
量%、TiO2を0.5〜3.5重量%含有し、粒気孔率
が4%以下で、且つ粒径0.3mm以上電融アルミナを
50重量%以下、アルミナ超微粉を3〜15重量%及び
カーボン質原料を1〜8重量%含有することを特徴とす
る。
【0023】また、本発明に係る炭化珪素質流し込み材
は、炭化珪素とアルミナを主たる耐火材料とし、常温で
硬化する結合剤を含有せず、水で混練することからなる
炭化珪素質流し込み材において、残留金属シリコン量を
0.3〜4重量%含有する炭化珪素原料を40〜90重
量%、TiO2を0.5〜3.5重量%含有し、粒気孔率
が4%以下で、且つ粒径0.3mm以上電融アルミナを
50重量%以下、Na2O含有量が0.3重量%以下であ
るアルミナ超微粉を3〜15重量%及びカーボン質原料
を1〜8重量%含有することを特徴とする。
【0024】
【作用】本発明の炭化珪素質流し込み材のように、常温
で硬化する結合剤を含まず、水で混練された流し込み材
においては、経時変化を抑制するなどのため、従来の常
温で硬化する流し込み材とは結合剤が異なり、更に、微
粉粒度構成等も異なり、炭化珪素質流し込み材、特に高
炉出銑樋用流し込み材では割れや剥離を生ずることがあ
った。
【0025】恐らく、従来の常温で硬化する結合剤、例
えばアルミナセメントや水硬性アルミナ等を用いた高炭
化珪素質流し込み材では、高温下でこれら結合剤が結合
性とともに何らかのクッション性を与える作用があり、
割れや剥離が顕著ではなかったものと考えられる。アル
ミナセメントの場合、セメントに含有されるCaO成分
が、また、水硬性アルミナの場合、それ自体が活性であ
るため、他の微粉耐火材料と高温で反応し液相を生成す
ることが、割れや剥離を抑制していたものと考えられ
る。また、常温硬化性の燐酸塩結合剤等についても同様
であると考えられる。
【0026】炭化珪素原料は硬いという特徴を有し、耐
摩耗性に優れるが、それ故に使用中の機械的、熱的応力
が限界を越えると亀裂が容易に進展して割れ易い性質を
ももつ。炭化珪素原料中の残留金属シリコンは一般的に
は不純物と見なされているが、本発明の流し込み材で
は、高温での結合の安定性を得て機械的、熱的応力に対
する割れ性を改善するために必要な成分である。即ち、
炭化珪素原料中の残留金属シリコンは、従来から知られ
ているような粉末で、添加した金属シリコンと同様にカ
ーボン原料との反応で2次炭化珪素を生成したり、ある
いは酸素を含有する雰囲気に曝されたときSiO2を生
成してこれがアルミナ原料との反応でムライトを生成す
る。
【0027】ところが、微粉部に粉末の金属シリコンを
添加する従来の技術では、確かに微粉マトリックス部の
強化は可能であるが、炭化珪素粒子同士あるいは炭化珪
素粒子と微粉マトリックスとの結合は得られない。しか
しながら、炭化珪素原料自体が残留金属シリコンを含有
していることにより、金属シリコンは炭化珪素粒子内部
に存在するので、同時に混合使用される微粉部のカーボ
ン原料や超微粉アルミナ原料と炭化珪素粒子とが直接反
応し結合することができる。これにより、炭化珪素粒子
同士の自己結合組織を形成し、また、同時に、炭化珪素
粒子と微粉マトリックスとの高温での結合の安定性が格
段に向上する。このような結合組織の安定化によって、
熱的、機械的応力に対する割れ性を大幅に改善すること
が可能となった。
【0028】炭化珪素は、珪石とコークスを主体原料と
して添加物を加え、高温で反応させて製造されるが、シ
リカの還元分解過程で生成されるシリコンが、炭化珪素
の生成過程で未反応の金属シリコンとして残る場合があ
る。市販品は、通常SiC含有量で純度が区別されてお
り、SiC含有量の高いものほど高純度品とされてい
る。一般的には大きな意味で、高純度の炭化珪素原料ほ
ど残留金属シリコン量が少なく、逆に低純度品ほど残留
金属シリコン量が多い傾向はある。しかしながら、残留
金属シリコン量は、必ずしも炭化珪素原料のSiC含有
量と明瞭に相関するものではなく、SiC純度が98〜
99重量%程度でも、残留金属シリコン量は、0.05
重量%程度のものから0.6重量%程度のものまであ
る。一方、SiC純度が87〜89重量%程度でも、残
留金属シリコン量が0.2重量%程度で、不純物として
炭素や鉄を多く含むものもある。流し込み材には、これ
らの市販品の中で、耐食性、耐摩耗性を重視するときに
は、SiC含有量の高い高純度品が、コストを重視する
ときには、SiC含有量の比較的低い低価格のものが選
択され、使用されており、残留金属シリコン量について
は関心が払われておらず、流し込み材の特性との関連性
については検討されていなかった。
【0029】このような市販炭化珪素の中でも、本発明
の流し込み材では、前記のような高温での結合の安定性
を得るために、0.3〜4重量%の残留金属シリコンが
含有されている炭化珪素原料を用いる。更に、残留金属
シリコンの含有量が0.4〜2重量%である炭化珪素原
料が最も好ましい。0.3重量%未満では反応による結
合の安定化が充分ではない。また、残留金属シリコン量
が4重量%を超える炭化珪素原料では、通常他の不純物
量も増加するので好ましくない。
【0030】なお、炭化珪素原料は、一般に粒子表面の
凹凸が大きく、表面積が大きいので、流し込み材の流動
性や充填性の面では、なるべく緻密なもので表面が滑ら
かになるように粉砕処理されたものが好ましい。
【0031】本発明の流し込み材においても、従来の常
温硬化性のある流し込み材と同様に、耐食性、耐摩耗性
等の向上を目的に、40〜90重量%、好ましくは45
〜85重量%の炭化珪素原料を使用する。40重量%未
満では炭化珪素原料の特性が充分に生かされず、耐食性
や耐摩耗性が充分ではない。一方、90重量%を超えて
使用する場合は、本発明の特徴の1つである後述する電
融アルミナ原料やアルミナ超微粉を使用すると流動性や
充填性の点で流し込み材の形態をなさなくなる。
【0032】流し込み材の耐食性、耐摩耗性等の損傷が
部分的に進行しないように、炭化珪素原料は、全粒度域
の組成構成を考慮して8〜0.3mmの粗・中粒域から
0.3mm以下の微粉域の全体に使用されるのが好まし
い。例えば8〜0.3mmに15〜75重量%、好まし
くは20〜70重量%、0.3mm以下の微粉に5〜3
0重量%、好ましくは8〜28重量%の範囲で用いるの
が好ましい。
【0033】また、炭化珪素原料のSiC純度は80重
量%以上が好ましい。80重量%未満であると炭素や鉄
等の不純物が増加するため流動性や保管時の経時変化あ
るいは耐食性に影響を与えるので好ましくない。
【0034】なお、粗・中粒部の全域に炭化珪素原料だ
けを使用した場合、加熱、冷却を繰り返すと割れ易い傾
向が認められた。このことを考慮し、高温下での熱的、
機械的応力に対する割れ性を更に改善するために、粗・
中粒部にアルミナ原料を併用する方法に関しての検討を
行った。粗・中粒部に使用できるアルミナ原料として
は、例えば電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイ
ト、礬土頁岩、ムライト質原料等が考えられるが、この
中で本発明の流し込み材においては電融アルミナを使用
することが好ましい。電融アルミナについては、各種の
Al23純度のものが市販されているが、本発明の流し
込み材ではTiO2を0.5〜3.5重量%含有し、粒気
孔率が4%以下のものが使用される。耐火物原料として
多く使用されている、通常高純度品と言われるAl23
純度99%クラスの電融アルミナの場合、気泡が粒内部
に含有されており、粒の見掛気孔率が7〜8%以上と大
きいものがある。このような高気孔率の電融アルミナを
特に3mm程度以上の粗粒部に使用すると、本発明の流
し込み材のように、常温で硬化する結合剤を含まず、水
を含有し、混練された流し込み材においては、保管や搬
送中に粒内部の気孔が水分を徐々に吸収して流動性の低
下を招く経時変化が生じるので好ましくない。
【0035】一方、本発明者等は、硬度は多少低下する
が割れにくいという性質をもつことから従来から研磨材
として使用されていたTiO2を含有する電融アルミナ
に着目し、高炭化珪素質出銑樋用流し込み材の割れ易い
という欠点を解消することを可能とした。即ち、TiO
2を0.5〜3.5重量%含有する電融アルミナは、結晶
構造としてはα−Al23結晶からなり、充分な高耐食
性を有し、適度なTiO2の含有により、α−Al23
結晶中のAl3+を置換固溶し、格子歪みを生じ、これが
機械的、熱的衝撃エネルギーを吸収する。
【0036】本発明のような炭化珪素質樋用流し込み材
において、このようなTiO2含有電融アルミナを使用
すると、耐火物組成の中にあって機械的、熱的衝撃エネ
ルギーの吸収効果を発揮し、割れが発生しにくくなるこ
とが判った。TiO2含有量が0.5重量%未満である
と、耐割れ性改善効果が充分ではない。一方、3.5重
量%を超える場合、相対的にAl23純度が低下し、耐
スラグ侵食性が低下してくるので好ましくない。Al2
3純度は94重量%以上であることが好ましい。
【0037】上述ような電融アルミナを研磨材として使
用する場合には、細かく粉砕したものを用いるので粒の
気孔率は問題とはならないが、本発明の流し込み材で
は、水で混練されたものであるから、経時変化の点で粒
の気孔率は大変重要である。本発明の流し込み材では、
粒の見掛気孔率が4%以下の電融アルミナを使用する。
4%を超えると保管や搬送中に気孔が水分を徐々に吸収
し、流し込み材としての流動性が低下する経時変化を生
ずる。経時変化の点では粒気孔率は小さい方がよいの
で、2.5%以下の粒気孔率の電融アルミナが更に好ま
しいと言える。
【0038】このようなTiO2を0.5〜3.5重量%
含有し、粒気孔率が4%以下である電融アルミナは、
0.3mm以上の粗・中粒の領域に50重量%以下の範
囲で使用される。粗・中粒部とは通常8〜0.3mm程
度の粒度を指すが、8mmを超える粗大粒を使用しても
問題はない。0.3mm未満の微粉部に使用しても、粗
・中粒部に使用する場合と比べ割れ性改善効果が劣る傾
向にあるので余り意味がない。また、微粉部での使用量
が過剰に多いと、TiO2を含有している影響で、耐食
性が低下する場合があり、好ましくない。なお、過剰に
多いとは、0.3mm以下の微粉部におよそ15重量%
を超えて使用する場合である。炭化珪素原料及び後述す
るアルミナ超微粉やカーボン原料の必要量を確保する
と、粗・中粒部の電融アルミナが50重量%を超える場
合には、流動性や充填性等の流し込み材としての基本特
性を満足することが困難になる。
【0039】前記したように、残留金属シリコンを0.
3〜4重量%含有する炭化珪素原料を用いて、同時にア
ルミナ超微粉とカーボン原料を使用することにより、自
己結合組織を形成し、割れ性が改善されたが、更に、T
iO2を0.5〜3.5重量%含有し、粒気孔率が4%以
下である電融アルミナを少量でも使用することによっ
て、前記割れ性の改善効果を拡大することができる。従
って、好ましくはTiO2を0.5〜3.5重量%含有
し、粒気孔率が4%以下である電融アルミナを3〜50
重量%使用することが良い。
【0040】なお、焼結アルミナは、気孔率が低く、A
23純度99%クラスのものが市販されており、混合
使用するのに問題はないが、加熱冷却の繰り返しに対す
る耐割れ性を改善するという意味では添加の効果は少な
い。従って、焼結アルミナのうち粒気孔率が4%以下の
ものは、割れ性の改善には効果は少ないが、耐食性には
優れるので、TiO2を0.5〜3.5重量%含有し、粒
気孔率が4%以下である電融アルミナの一部を置換使用
することに問題はない。
【0041】高炉出銑樋用流し込み材では、多くの場
合、微粉あるいはアルミナ超微粉が混合使用される。即
ち、アルミナ超微粉は微粉組織を充填し、耐食性の低下
を生じにくく、流し込み材の流動性を改善する効果が大
きいため好んで使用されている。本発明の流し込み材に
おいても同様の効果が得られる。本発明の流し込み材で
は更に前記したように炭化珪素に含有される残留金属シ
リコンが酸化されたとき生成するSiO2と反応してム
ライトを生成することにより、炭化珪素粒子の自己結合
組織を形成するために必要な原料である。
【0042】本発明の流し込み材におけるアルミナ超微
粉の使用量は、3〜15重量%が良い。3重量%より少
ないと微粉部における前記ムライト生成の効果に劣り、
残留金属シリコンを含有した炭化珪素原料を用いても充
分な割れ性改善効果が得られない。また、微粉部の充填
や流動性改善の効果も少ない。15重量%を超えると高
炭化珪素質流し込み材にあって、微粉領域はアルミナ質
の成分構成に近くなり、流し込み材全体としてのバラン
スが好ましくなく、微粉部の先行損傷等の問題を生じる
ことがある。最も好ましい使用量の範囲は5〜12重量
%である。
【0043】本発明の流し込み材において、混練後の経
時変化は重要な課題である。一般には、流し込み材は常
温硬化性の結合剤を含有し、施工現場でミキサーを用い
て水と混練され、流し込み施工されるので、混練から流
し込み施工まで通常5分程度、長くても数十分程度であ
る。しかし、本発明の流し込み材のように、常温で硬化
する結合剤を含まず、水を含有し、混練された流し込み
材においては、保管や搬送中に経時変化が生じると、特
に流動性が低下し、流し込み施工が困難になってしま
う。
【0044】そこで、本発明者らは耐火材料が経時変化
に与える影響について種々検討を行った。市販されてい
るアルミナ超微粉としては、仮焼アルミナあるいは焼結
アルミナや電融アルミナを微粉砕したもの、活性度を改
良するため非晶質化したもの等がある。耐火物には、通
常これらのアルミナ超微粉の中でも高純度のもの、例え
ばAl23含有量99%程度か、それ以上のものが一般
に用いられる。これらのアルミナ超微粉には不純物とし
てNa2Oが含まれている。ファインセラミックス等の
分野で要求される高温下での強度低下を抑える等の目的
で、低ソーダ品も市販されている。種々のアルミナ超微
粉のNa2O含有量はおよそ0.03〜0.6重量%程度
の範囲にある。
【0045】本発明者らは、不純物成分中のNa2O含
有量の影響について試験を行ったところ、Na2O含有
量が経時変化に影響を与えることが判明した。常温で硬
化する結合剤を含まず、水を含有し、混練された状態の
流し込み材に、Na2O含有量が0.3〜0.5重量%程
度のAl23超微粉を使用しても、混練後3日程度は流
し込み施工がなんとか可能な範囲の流動性低下で収まる
が、一週間保管された後では流し込み施工は不可能な程
度に流動性が低下し経時変化する。即ち、Na2O含有
量が0.5重量%を超えると、保管、搬送中に徐々に粗
・中粒が沈降し、微粉と水とが混練物の上部に浮き出す
現象がみられ、結果として流動性が徐々に低下し、経時
変化が大きくなる。アルミナ超微粉に含有されるNa2
O量が0.3重量%以下であると、粗・中粒の沈降が生
じにくく、流動性低下が大幅に抑制されることが判っ
た。
【0046】この原因は、必ずしも明確ではないが、恐
らくアルミナ超微粉に含有されるNa2Oが流し込み材
の保管中もしくは搬送中に徐々に水に溶出するために、
耐火材料微粉の分散状態が変化することによって生じる
現象であろうと推定される。アルミナ超微粉の粒度は平
均粒子径が3μm以下のものが好ましい。なお、アルミ
ナ純度が99重量%程度以上であれば、その他の不純物
成分、例えばSiO2やFe23の含有量は、余り大き
な影響が認められないので、特に限定の必要はない。
【0047】本発明の流し込み材には、カーボン質原料
を1〜8重量%使用しなければならない。カーボン質原
料は2つの重要な役割をもつ。1つは前記したように残
留金属シリコンを含有する炭化珪素原料の内部のシリコ
ンと反応して2次炭化珪素を生成し、炭化珪素粒子同士
の自己結合組織を形成し、組織の結合強度を安定化さ
せ、これによって高温下での熱的、機械的応力に対する
割れ性を改善する働きがある。もう1つの役割は、高温
下での過剰焼結を防止することである。即ち、高温下で
長時間保持されると焼結が進行し、耐火物組織が過剰に
緻密化し、せっかくの耐割れ性が低下してしまうことが
ある。これらに必要なカーボン質原料の使用量は1〜8
重量%である。1重量%未満であると、炭化珪素中の残
留金属シリコンとの反応による2次炭化珪素の生成、炭
化珪素粒子同士の自己結合組織による結合の安定化、割
れ性改善の効果に乏しい。8重量%を超えると流動性及
び充填性が低下するので好ましくない。最も好ましいの
は1.5〜5重量%である。
【0048】カーボン質原料としては、およそ0.5m
m以下の粉末状にした、天然黒鉛、人造黒鉛、コーク
ス、各種ピッチ、高分子量のフェノール樹脂及びカーボ
ンブラック等の1種または2種以上を用いる。カーボン
質原料の好ましい使用法としては、カーボン質原料使用
量1〜8重量%のうち、カーボンブラックを少なくとも
0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜2.5重量%使用
するのが良い。カーボンブラックは超微粉なので炭化珪
素に含有される残留金属シリコンとの反応結合性が良好
で、割れに対する抵抗性の向上が顕著であり、焼結防止
効果にも優れる。しかし、3重量%を超えて使用すると
流し込み材としての流動性が低下する傾向にあり、水分
を多く必要とするので、流し込み施工体の密度が不十分
となることがある。
【0049】なお、本発明の流し込み材のカーボン原料
としてピッチ類またはフェノール樹脂を使用する場合、
加熱されても余り流動しないものの方が好ましい。従来
のアルミナセメント等を使用した流し込み材では、セメ
ント中のCaO成分等の液相生成によりセラミック結合
が維持されるので、流動性のよいピッチ等の使用は問題
なく、焼結抑制の面でむしろ好ましいものであった。し
かしながら、本発明のように、常温で硬化する結合剤を
含まない流し込み材においては、ピッチ類やフェノール
樹脂の流動性が良いと微粉マトリックス部に浸潤し、焼
結抑制効果は向上するが、加熱と共にカーボン化が進行
し、所謂カーボン結合のような状態を形成する。本発明
のような、常温で硬化する結合剤を含有しない出銑樋用
流し込み材としては、このカーボン結合状態は、割れや
剥離の面で余り好ましくない。流動性の指標としては例
えばJIS K6910のような樹脂の流れ性を測定する方法を
用いて、加熱温度をピッチや樹脂の軟化温度に設定して
測定したとき、20mm以下のものが好ましい。
【0050】本発明の流し込み材は、水を含有し混練さ
れてなるものであるから、水は必須要素である。水は材
料に流動性を与えるために必要であり、また、前記した
ように施工現場での混練作業をなくし、作業性を向上す
るために、本発明の流し込み材では予め水と粉体とが混
練されてなる。本発明の流し込み材に用いられる水は、
通常飲料水として供されるものであれば問題ない。ま
た、工業用水であっても、従来のセメント結合流し込み
材に使用して急激な凝結や硬化不良が生じないような工
業用水であれば、本発明の流し込み材にも用いることが
できる。水の添加量は、流し込み材の流動性によって適
宜調整されるものであるが、通常外掛で3〜12重量%
である。流動性を安定化し、且つ密度の高い施工体を得
るためには好ましくは外掛で4〜8重量%が良い。
【0051】本発明の流し込み材における常温硬化性の
ない結合剤としては、有機質、無機質の各種のものが使
用できる。例えば有機質結合剤としては、メチルセルロ
ーズ、カルボキシメチルセルローズ等のセルローズ類や
その変成品、糖類、澱粉類、デキストリンやこれらの各
種変成品、ポリビニルアルコール等の水溶性各種合成樹
脂や酢酸ビニル等の合成樹脂エマルジョン、あるいはリ
グニンスルホン酸ソーダ、アラビアゴム、カゼイン、ア
ルギン酸塩、グルコマンナン等が使用可能である。無機
質のものとしては常温での反応性を充分抑制した、珪酸
ガラス類や燐酸ガラス類等のガラスや、シリカ質、アル
ミナ質のコロイドなどが挙げられる。結合剤の添加量
は、結合剤の種類によって調整されるべきであるが、通
常外掛で固形分で0.01〜2重量%、好ましくは0.0
2〜1.5重量%であるが、おのずと混練後の流動性変
化がなく、経時安定性が確保されれば、結合剤の種類、
量共に特に限定されるものではない。
【0052】本発明の流し込み材には、従来から出銑樋
用高炭化珪素質流し込み材に用いられる各種添加剤を使
用することができる。例えば、流動性改善の目的で、シ
リカフラワーや粘土を0.2〜6重量%程度、耐酸化性
改善のために炭化硼素等の硼素化合物を0.2〜4重量
%程度、また、微粉部強化のために金属シリコンやシリ
コンを含有する合金あるいは窒化珪素鉄のような珪素化
合物等を添加することができる。
【0053】本発明の流し込み材には、流動性を改善
し、混練水分量を減少するために、微粉の分散剤を少量
添加することができる。分散剤としては、例えばアルカ
リ金属燐酸塩、カルボン酸やアルカリ金属カルボン酸
塩、アルカリ金属フミン酸塩、リグニンスルホン酸塩、
ポリカルボン酸アルカリ塩、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホ
ン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ナトリウムな
どが挙げられる。これらは1種または2種以上を混合し
て使用される。添加量は、通常外掛0.01〜1重量
%、好ましくは0.02〜0.5重量%程度である。な
お、分散剤は微粉の種類によってその効果に相性がある
ので、当然上記以外の分散剤を用いても、本発明の趣旨
とする特徴が影響されるものではない。
【0054】その他、経時変化抑制の助剤として、粒子
の分離防止剤や沈澱防止剤等を少量添加可能である。
【0055】
【実施例】
実施例 以下の表1には、実施例及び比較例で使用する4種の炭
化珪素原料の化学成分を示すものである。A、B及びC
の3種は、残留金属シリコン含有量が本発明の流し込み
材に適当な量である炭化珪素原料であるが、Dは残留金
属シリコン含有量が少ない。
【0056】
【表1】
【0057】表2は、実施例及び比較例で使用する電融
アルミナ原料の化学成分と粒の見掛気孔率及び嵩比重を
示すものである。A及びBはTiO2を含有し、粒気孔
率が小さい。Cは高純度であるが、TiO2含有量が少
なく、粒の気孔率も大きい。
【0058】
【表2】
【0059】表3は、実施例及び比較例で使用するアル
ミナ超微粉の化学成分と中心粒径及び主要構成鉱物を示
す。Bは低Na2O品であり、A及びCは普通品である
が、CのNa2O含有量が多い。
【0060】
【表3】
【0061】これらの原料を用いて、表4に示す種々の
配合物を作成した。分散剤、結合剤及び水分は外掛%で
ある。
【0062】
【表4】
【0063】表4には、分散剤、結合剤と記してある
が、本発明例1及び2並びに比較例1には、分散剤とし
て縮合燐酸ソーダとポリアクリル酸ソーダとの混合物を
使用し、結合剤にはメチルセルローズと糖類との混合物
を使用した。その他の例では全て分散剤にカルボン酸ソ
ーダとナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物との混合
物を、結合剤にポリアクリル酸エステル系エマルジョン
とその感熱ゲル化剤との混合物を使用した。
【0064】なお、表4において、混練物の流動性を表
す特性値として、フロー値(JIS R2521のフロー試験に準
ずる)を測定した。材料を混練した直後から7日後、1
4日後のフロー値の変化を経時的に測定した。14日後
のフロー値及び流動の状態から流し込み施工可否の判定
を付記した。
【0065】また、高温下での結合強度を比較するた
め、1400℃曲げ強度を測定した。各混練物を40×
40×160mmの型枠に流し込み成形し、100℃で
3時間養生後脱枠し、105℃で24時間乾燥した後、
加熱して3点曲げ強度を測定した。
【0066】更に、割れや剥離に対する抵抗性を比較す
るための1つの方法として、上記と同様の40×40×
160mmの乾燥後試料の弾性率を基準として、150
0℃で30分間加熱、自然空冷30分間を10サイクル
繰り返した後の弾性率の低下率を比較した。
【0067】もう1つの割れ性評価の方法は、各混練物
を230×114×65mmの形状に流し込み成形し、
上記と同様の養生、乾燥を行った試料を作成し、150
0℃で30分間加熱し、強制空冷15分間を10サイク
ル繰り返した後の、試料の亀裂、剥離の状況を比較し
た。この方法では、試料形状が大きいので、亀裂が発生
し易く、数値比較は困難だが、状況把握が容易である。
【0068】耐食性の評価は、回転ドラム侵食試験装置
を用いて、高炉スラグによる1500℃で2.5時間の
試験を行い、侵食深さの平均値で比較した。
【0069】本発明例1〜7は、いずれもフロー値の経
時変化が少なく、14日後でも良好な流動性を示してお
り、1400℃曲げ強度も高く、割れ性のテストにおけ
る弾性率の低下も少なく大型形状によるテストでの亀裂
の発生も軽微であり、さらに耐食性も良好であった。
【0070】比較例1は炭化珪素使用量が少なく、しか
も炭化珪素原料として残留金属シリコンの少ない原料を
用いており、TiO2含有量が少なく気孔率の高い電融
アルミナを用いているのでフロー値の経時変化が大き
く、1400℃曲げ強度も小さく、耐食性に劣る。
【0071】比較例2は、本発明例3における炭化珪素
原料と電融アルミナ原料が異なるだけであるが、フロー
値の経時変化が大きく、割れ性テストでも割れ易い結果
となり、更に1400℃曲げ強度も低い。
【0072】比較例3は、本発明例7に類似の配合物で
あるが、炭化珪素原料が異なり、カーボン原料の量も少
ない配合物である。フロー値の低下はそれほど大きくな
く、耐食性も良好であるが、1400℃曲げ強度が低
く、割れ性テストでの弾性率低下が著しく、大型形状で
は亀裂が大きく、剥落も観察された。また、本発明例8
と比較例4は炭化珪素含有量は同じであるが、比較例4
はアルミナ超微粉量が本発明範囲より少ない。このため
熱間曲げ強度が低く、割れ性テストでは弾性率低下が大
きく、大型形状テストでは剥落も観察された。
【0073】表5には、表4の本発明例3と共にアルミ
ナ超微粉を変えた時のフロー値の経時変化を調査した結
果を示す。
【0074】
【表5】
【0075】アルミナ超微粉A及びBを使用した本発明
例3及び9では、14日後でもフロー値の低下が少な
く、良好な流動性を保っている。本発明例10は、3日
後までは流動性が良好であるが、14日後では施工が困
難な程度に流動性が低下する。一方、本発明例3、9及
び10と化学組成が同等である表4の比較例2におい
て、更にアルミナ超微粉をCに変えた比較例5は、比較
例2よりも更に流動性の低下が著しく、3日後でも流し
込み施工が困難な程度にフロー値が低下する。この結果
により、アルミナ超微粉に含有されるNa2O量が多い
と、フロー値の経時変化を促進する働きがあることが判
る。
【0076】参考例 本発明品(本発明例3)と従来品(比較例2)とをA製鉄所
の大樋に施工し、実炉比較テストを行った。本発明品
は、製造工場で水と混練した3日後に流し込み施工され
たが、流動性には全く問題はなかった。一方、従来品
は、製造工場で水と混練した翌日に流し込み施工された
が、やや流動性が不満足な状態であった。従来品は、使
用開始後47,000トンの通樋で大亀裂が発生し、そ
の後亀裂部からの剥離が生じたため吹き付け補修が実施
された。無補修通銑量は61,900トンであった。こ
れに対し、本発明品では、微細な亀裂はあるもののその
数は少なく、剥離等の重大な損傷には至らず、86,8
00トンまで無補修で使用され、従来品のおよそ40%
の寿命向上が認められた。
【0077】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の炭化珪素質
流し込み材は、保管時、搬送時の流動性低下という経時
変化を大幅に抑制し、且つ高炭化珪素含有量による高耐
食性を維持しつつ、高温下での結合安定性を強化し、亀
裂、割れが発生しにくいという特徴を有する。また、経
時変化を少なくしたことにより、1週間以上の保管が可
能であるので、使用に合わせた製造時期の設定に余裕が
あり、計画生産が可能となった。更に、単に、微粉域に
おける結合強化を図ったものではなく、粗・中粒部に特
定の原料を使用し、同時にアルミナ超微粉とカーボン質
原料を使用することにより、高炭化珪素質の特徴である
高耐食性が低下することなく、高温下の結合安定性が向
上し、1400℃曲げ強度で従来のおよそ2倍の強度が
あり、割れに対する抵抗性が大幅に向上した。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化珪素とアルミナを主たる耐火材料と
    し、常温で硬化する結合剤を含有せず、水で混練するこ
    とからなる炭化珪素質流し込み材において、残留金属シ
    リコン量を0.3〜4重量%含有する炭化珪素原料を4
    0〜90重量%、アルミナ超微粉を3〜15重量%及び
    カーボン質原料を1〜8重量%含有することを特徴とす
    る炭化珪素質流し込み材。
  2. 【請求項2】 炭化珪素とアルミナを主たる耐火材料と
    し、常温で硬化する結合剤を含有せず、水で混練するこ
    とからなる炭化珪素質流し込み材において、残留金属シ
    リコン量を0.3〜4重量%含有する炭化珪素原料を4
    0〜90重量%、TiO2を0.5〜3.5重量%含有
    し、粒気孔率が4%以下で、且つ粒径0.3mm以上電
    融アルミナを50重量%以下、アルミナ超微粉を3〜1
    5重量%及びカーボン質原料を1〜8重量%含有するこ
    とを特徴とする炭化珪素質流し込み材。
  3. 【請求項3】 炭化珪素とアルミナを主たる耐火材料と
    し、常温で硬化する結合剤を含有せず、水で混練するこ
    とからなる炭化珪素質流し込み材において、残留金属シ
    リコン量を0.3〜4重量%含有する炭化珪素原料を4
    0〜90重量%、TiO2を0.5〜3.5重量%含有
    し、粒気孔率が4%以下で、且つ粒径0.3mm以上電
    融アルミナを50重量%以下、Na2O含有量が0.3重
    量%以下であるアルミナ超微粉を3〜15重量%及びカ
    ーボン質原料を1〜8重量%含有することを特徴とする
    炭化珪素質流し込み材。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114890802A (zh) * 2022-05-31 2022-08-12 湛江自立高温材料有限公司 适用于冶炼洁净钢的防粘渣喷涂料及其制备方法和应用

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