JPH0721501B2 - 乳癌抗原 - Google Patents

乳癌抗原

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JPH0721501B2
JPH0721501B2 JP60094560A JP9456085A JPH0721501B2 JP H0721501 B2 JPH0721501 B2 JP H0721501B2 JP 60094560 A JP60094560 A JP 60094560A JP 9456085 A JP9456085 A JP 9456085A JP H0721501 B2 JPH0721501 B2 JP H0721501B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はヒトの乳癌腫瘍に関係する抗原に関するもので
ある。
(従来の技術) 癌は初期に発見することが非常に好ましいが、これは極
めて困難なことでもある。この困難性は主として、100
%の感度(偽陰性のないこと)および100%の特異性
(偽陽性のないこと)を有する一般的な癌マーカーが存
在していないという事実に由来するものである。公知の
マーカーは感度および特異性が共に不足している。さら
に、このようなマーカーは全てのタイプの癌に適用でき
るというものではない。例えば最も良く知られたマーカ
ーである発癌抗原(CEA)は乳癌に関係するとは認めら
れない。
乳癌は女性において主要な癌であり、一般にも3つの主
要な癌のうちの1つである。乳癌が充分に早く発見され
れば回復のための予後は良好なものとなる。したがっ
て、乳癌の早期診断において医師の助けとなるような乳
癌マーカーを発見するための努力が絶えずなされてい
る。
このような努力の1つはバルトレリ(Bartorelli)等に
よる米国特許4,383,985号に開示されており、ここでは
乳癌腫瘍に関係する一連の抗原が記載されている。この
ような抗原は公知の方法、通常は溶媒抽出、イオン交換
および/もしくは吸着クロマトグラフィーおよびゲル濾
過の組み合せによってヒトの初期乳癌腫から分離され
た。充分に純粋な場合、このような抗原は抗CEA血清と
交差反応せず、糖蛋白質を用いてヒトの初期乳癌腫から
抽出可能であると記載されている。明らかにこのような
抗原は正常な乳細胞とは関係がない。
また、ヒト癌細胞の新規なマーカーがアショール(Asha
ll)等、Lancet,1982,ii:1〜6およびマッギー(Mc Ge
e)等,Lancet,1982,ii:7〜10により報告されている。要
約すれば、多様な悪性ヒト細胞系の細胞膜中に抗原が発
見されたが、この抗原は二倍体ヒト細胞株では発見され
なかった。この抗原は正常な成人もしくは胎児の組織の
ホモジネート中には存在しているとしても極めて低濃度
であった。この抗原は悪性細胞の抽出物に由来する特定
のモノクローナル抗体により免疫沈降させることができ
たが、良性細胞の抽出物に由来するものによっては不可
能であった。免疫沈降させた抗原はドデシル硫酸ナトリ
ウムアクリルアミド中でそれぞれ約390,000ドルトンお
よび約350,000ドルトンの分子量を有するバンドに分離
された。両成分は高い炭水化物含量を有する糖蛋白質の
ようであった。
さらに具体的な研究がセリアニ(Ceriani)およびテイ
ラー・パパディミトリュー(Taylor−Papadimitriou)
および彼らの共同研究者等によってヒト乳房上皮細胞抗
原に対して行なわれた。このような研究をここで詳細に
述べることは本項の範囲を越えるものであるが、選択さ
れた刊行物の概要はその実質的な要約となるのであろ
う。
セリアニ等、Proc,Natl,Acad,Sci,74,582(1977)はヒ
トの乳脂肪球に担持されたヒト乳房上皮細胞の表面分化
抗原を記載している。ウサギ抗ヒト乳房上皮細胞血清が
脱脂ヒト乳脂肪球に対して投与された。ドデシル硫酸ナ
トリウムを含有するポリアクリルアミドゲル中における
電気泳動、セファロース(SepharoseTM)4Bに結合した
前記抗血清を用いるアフィニティークロマトグラフィ
ー、免疫螢光染色、および間接免疫螢光染色を行なうこ
とによってヒト乳脂肪球上に存在する抗原性物質が特色
づけられ、かつ/もしくは分離された。
脱脂されたヒト乳脂肪球は少なくとも4つの主要な蛋白
質成分からなり、その2つは糖蛋白質のようである。ま
た、少なくとも4つの成分のうちの3つは抗原性であ
る。
脱脂されたヒト乳脂肪球に対して投与された抗体は器官
特異性のものと考えられる。抗血清は腎,肺,および結
腸に由来する上皮様細胞には結合しないことから、上記
の抗原性成分は乳房上皮細胞以外の細胞には存在しない
ようである。
抗血清によって検出された抗原は乳房上皮細胞表面上に
位置しており、ヒト乳脂肪球上に位置するものと同じも
のである。ヒト乳脂肪球は乳房細胞の頂端表面に由来す
るものであるため、抗原はこの特定表面に限定すること
ができる。
これらの抗原は乳腫細胞系中および乳腫転移部位中に連
続して発現する。しかしながら抗原性の発現は各乳腫細
胞系で異なっているようである。
上述した脱脂ヒト乳脂肪球膜の上皮細胞特異成分に対す
るモノクローナル抗体はテイラー・パパディミトリュー
等、Int,J.,Cancer,28,17(1981)に報告されている。
脱脂ヒト乳脂肪球に感作させたマウスの脾臓に由来する
細胞が骨髄腫系P3/NS1/1−Ag4−1に由来する細胞と融
合された。3つのハイブリドーマが分離され、これらは
脱脂ヒト乳脂肪球の成分に反応する抗体を産生した。し
かしながら、このような反応性はハイブリドーマによっ
て産生された3つのモノクローナル抗体の間で有意に異
なっていた。最も反応性の低い抗体は極めてわずかにし
か結合しなかった。最も反応性の高い抗体の反応性は最
も反応性の低いもののそれの約5倍であり、第3の抗体
のそれの2倍弱であった。
3つのモノクローナル抗体のうちの2つは人乳から培養
した上皮細胞および試験された8つの乳癌細胞系のうち
の7つと反応した。第3のモノクローナル抗体は人乳か
ら培養した上皮細胞に対しては反応せず、8つの乳癌細
胞系のうちのわずか2つに対してのみ反応性を有してい
た。上皮繊維芽細胞等、試験された4つの芽細胞系およ
び株のうちのいかなるものとも反応するモノクローナル
抗体は存在しなかった。モノクローナル抗体と反応する
抗原は試験された11のリンパ芽球細胞においては全く存
在しないか、極めて少量しか存在しないようである。
試験された7つの上皮細胞系のうちの5つはヒト腫瘍由
来のものであり、残りの2つはSV−40で形質転換させた
ヒトケラチン細胞およびマウス乳房細胞であった。これ
らの細胞系と前記3つのモノクローナル抗体との反応は
若干の例外を除いて主に陰性であった。3つの抗体は全
て強固ではないが確実に咽頭腫系と結合した。1つの抗
体は結腸腫系に結合し、他の2つの抗体はHe Laの派生
物に対する結合を示したが、全ての検定においてそうで
あったわけではない。
上述の3つのモノクローナル抗体のうちの2つは組織学
的に検定され、その結果はアークリー(Arklie)等,In
t.J.Cancer,28,23(1981)によって報告された。この組
織学的検定はフォルマリンで固定しかつパラフィンに埋
込んだ正常組織および腫瘍組織の切片と5%酢酸−メタ
ノール溶液で固定した凍結切片に対して間接免疫ペルオ
キシダーゼ染色法を実施したものであった。休息中の乳
房組織のうちの上皮細胞の多くとはいかなる抗体も反応
しなかった。休息乳房組織の非染色域には染色性の管腔
内物質が常に存在していた。抗体は双方とも上皮細胞に
対して強力な陽性反応を示し、また乳分泌中の乳房内に
おいて分泌された。良性病変において乳頭腫は常に強力
な陽性染色を示したが、線維腺腫中の上皮要素は10%未
満しか陽性に染色されなかった。
2つのモノクローナル抗体のうちの1つは試験された20
個の主要な乳腫の各々に対して陽性反応を示し、これら
のうちの6つに由来するリンパ節中の転移病変に対して
も陽性反応を示した。また、もう1方の抗体も初期の腫
に対しては反応したが、ムコイド型のものもしくはリン
パ節中の転移病変とは反応しなかった。陽性反応を示し
た非乳腫瘍は肺,卵巣および子宮の腺腫のみであった。
他の腫、特に腸管,頚管,鼻咽腔,および肝臓の腫は陰
性反応を示した。
2つの抗体のうちの1つは肝臓,膵臓,皮脂腺,小唾液
腺,腎臓,肺,汗腺,副睾丸,および子宮に由来する正
常組織に対して陽性染色を示した。双方の抗体に対して
陰性染色を示した組織には胃,小腸,大腸,盲腸,胸
腺,甲状腺,睾丸,ファロピオ管,膀胱,胆嚢,および
皮膚が含まれていた。
流動細胞螢光測定法による単細胞レベルでの正常および
悪性の乳房細胞中のヒト乳房上皮細胞抗原の発現分析が
ピータースン(Peterson)等,Expl.Cell.Biol,49,1(19
81)によって報告されている。このような分析は間接免
疫螢光によって細胞表面を抗ヒト乳房上皮細胞膜血清で
ラベリングすると同時に細胞DNAをヨウ化プロピジウム
(propidium iodide)でラベリングすることによるもの
であった。螢光強度の分布曲線に対する非染色乳房細胞
の関与を除去した場合には、正常な乳房に由来する乳房
上皮細胞および乳房嚢様変性線維腫由来の上皮細胞に対
する抗血清の相対的な結合度は2つの乳癌細胞系のもの
に対するそれと同等以上のものであることが認められ
た。DNA単位で表現した場合、このような相対的な結合
度は2つの乳癌細胞系のそれよりも有意に高かった。
血清中におけるヒト乳房上皮細胞抗原の存在を測定する
ための固相ラジオイムノアッセイがセリアニ等,Proc.Na
tl.Acad.Sci,79,5420(1982)によって報告されてい
る。放射性同位体で標識した抗ヒト乳房上皮細胞膜血清
と、その抗原となる全脱脂ヒト乳脂肪球膜とを標準曲線
の作成に用いて多発性乳癌患者の血清から高レベルのヒ
ト乳房上皮細胞抗原が発見された。このようなレベルは
正常な女性および男性の血清中および良性乳房疾患およ
び初期乳癌,肺,神経組織および結腸の多発性の癌およ
び黒腫を有する女性患者の血清中に見出されるバックグ
ラウンドレベル(<30ng/ml)よりも統計的に有意に高
いことが認められた。3段階の免疫検出法を用い、分子
量がそれぞれ150,000ドルトン,70,000ドルトンおよび4
6,000ドルトンである3つの群の抗原をラジオイムノア
ッセイにおいて高レベルのヒト乳房上皮細胞抗原が認め
られた患者の血清から分離した。非乳房腫瘍を有する患
者の血清および正常な血清からは主として非特異的に結
合した小量のヒト血清アルブミンが得られたが、上述の
ような抗原は分離可能であった。46,000ドルトンのヒト
乳房上皮細胞抗原を標的とするモノクローナル抗体の代
りにポリクローナル抗血清を用いた場合にも同様の免疫
検出結果が得られた。
上記のモノクローナル抗体と他の2つがセリアニ等、So
matic,Cell,Genetics,,415(1983)に記載された。要
約すれば、正常なヒト乳房上皮細胞の3つの異なった表
面抗原に対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリ
ドーマがマウス骨髄腫細胞と、脱脂ヒト乳脂肪球を免疫
感作させたマウスもしくはラット由来の脾臓細胞とを融
合させることによって形成された。3つのモノクローナ
ル抗体が製造され、それぞれ見掛け分子量46,000ドルト
ン,70,000ドルトン,および400,000ドルトンの分子であ
ることが認められた。最も高分子量の抗原は高い糖含量
を有するムチン様糖蛋白質のようである。ラジオイムノ
バインディングアッセイを用いると、3つのモノクロー
ナル抗体は全てヒト乳脂肪球膜および4の異なった上皮
細胞起源乳癌細胞系に結合することが認められた。しか
しながら、このような抗体は11個の異なった非乳癌系も
しくは正常な乳房線維芽細胞とは結合しなかった。4つ
の乳癌細胞系のうちの3つにおいて最も高分子量の抗原
が測定され、このレベルは10倍の範囲を超えて変化する
ことが認められた。
ヒト乳脂肪球に対するモノクローナル抗体はバーシェル
(Burchell)等、.Immunol.131,508(1983)に記載さ
れている。このような2つのモノクローナル抗体は腫瘍
に関連すると思われる抗原決定基を標的とするものであ
る。抗原は乳分泌中の乳房上に発現するが、休息中の乳
房上には発現したとしてもわずかなものである。抗体は
双方とも分子量400,000を越えるヒト乳脂肪球成分中に
見出される決定基を認識する。しかしながら、第1の抗
体は第2の抗体と比較してかなり低い濃度で脱脂ヒト乳
脂肪球に結合するものであり、その差は明らかに10倍か
ら100倍の間にある。結合における同様の差はヒト乳房
上皮細胞および乳癌細胞系に関しても認められるが、ヒ
ト乳脂肪球に対する相対的結合レベルとほぼ同等な前者
細胞に対する相対的結合レベルは後者細胞においては逆
転される。第1の抗体はヒト乳脂肪球調製物中の高分子
量成分に類似するヒト乳房上皮細胞中の高分子量成分と
反応した。第2の抗体に対する高親和性部位はヒト乳房
上皮細胞および乳癌細胞系によって数種の低分子量成分
上に発現された。試験された他の乳腫系の全部と2人の
乳癌患者由来の転移細胞は様々な大きさの、すなわち分
子量80,000から400,000を超える成分上に第2の抗体に
対する高親和性結合部位を発現した。5つの細胞系のう
ちのわずか2つと2人の患者のうちの1人に由来する癌
細胞のみが第1の抗体に対する高親和性部位を発現し、
これらの部位は高分子量の、すなわち300,000〜400,000
の糖蛋白質上に見出された。
脱脂されたヒト乳脂肪球の膜フラクションから調製され
た3つのヒト乳房上皮細胞抗原は哺乳類宿主内における
癌の存在を診断する方法の基本となるものである。公開
された欧州特許出願第0,080,259号にはこれらが記載さ
れている。用いられた抗原にはセリアニ等に記載された
各々分子量が48,000,75,000,および150,000であるもの
が含まれている。要約すれば、この方法は患者の血漿サ
ンプルを分析し、正常な個体における存在レベルよりも
高いレベルを示す1つ以上の腫瘍関連抗原を求めること
からなる。乳癌が関与している場合、これらの抗原はセ
リアニ等によって記載された上述の抗原によって例証さ
れる。
そらに、癌の診断および治療において有用な抗原および
抗体が公開された英国特許出願GB2,121,417Aに記載され
ている。抗原は悪性細胞、特にヒト喉頭腫由来の培養細
胞に由来するものであった。この抗原は分子量が340,00
0〜400,000の範囲にあり、レクチン小麦胚凝集素に対す
る結合性,耐煮沸性,耐破壊性を有するものであり、あ
る特定の溶媒を用いて悪性細胞から抽出される。抗原に
対するモノクローナル抗体の結合性試験によれば、抗原
は大多数の悪性ヒト腫瘍細胞上に存在するが良性腫瘍も
しくは正常組織細胞上には存在しないようである。
(発明が解決しようとする問題点) 高度の感受性および特異性を有する癌マーカーの探究は
乳癌マーカーを含めて進歩してきているが、乳癌診断の
助けとなるようなマーカーに対する要求は依然として存
在している。本発明による新規な抗原はこのような要求
に向けられたものである。
したがって、本発明は正常および良性乳房上皮細胞膜上
および乳癌細胞中に見出されるほぼ純粋な抗原を提供す
ることをその目的とするものである。
(発明の構成) 本発明によって提供されるほぼ純粋な抗原は正常および
良性乳房上皮細胞膜上、主として小葉および管の管腔に
隣接する頂端表面上、および乳癌細胞中に、その細胞の
見掛け上全域にわたって存在し、以下の特性: A.少なくとも約300,000ドルトンの平均分子量を有する
こと; B.糖蛋白質であること; C.塩化セシウム勾配中における密度が通常の蛋白質の密
度と同等の範囲にあること; D.ヒト包皮線維芽細胞に存在しないこと; E.冠状動脈,心臓,肝臓,脾臓および皮膚の細胞に存在
しないこと; F.ヒト乳脂肪球に存在すること; G.皮脂腺,子宮頚内膜,卵巣,腎臓,腸,膵臓,および
肺の細胞上に存在すること; H.乳癌細胞によって取り込まれること; I.ヒト血漿サンプル中に存在すること;および J.分子量がDNA分解酵素およびコンドロイチナーゼによ
って影響されないこと を有している。
好ましい実施態様において、このような抗原は以下の付
加的な特性: A.正常乳房組織細胞もしくは良性腫瘍細胞の抗原と乳癌
細胞の抗原との間でその濃度が有意に変化しない、イム
ノアッセイにより測定される第1の決定基を有するこ
と; B.乳癌細胞の抗原におけるその濃度が正常乳房組織細胞
もしくは良性腫瘍細胞の抗原におけるその濃度よりも有
意に高い、イムノアッセイにより測定される第2の決定
基を有すること; C.前記第1および第2の決定基の抗原性がDNアーゼおよ
びコンドロイチナーゼによって影響されないこと; D.前記第1および第2の決定基の抗原性がプロテアーゼ
によって低下すること; E.前記第1および第2の決定基の抗原性が穏やかなアル
カリ処理によって低下すること; F.少なくともいくらかの炭水化物がセリンもしくはスレ
オニンに対するO−グリコシド結合によって蛋白質主鎖
に見掛け上結合していること; G.小麦胚凝集素カラムに結合することによってN−アセ
チルグルコサミンおよび/もしくはシアル酸の存在を示
すこと; H.前記第1の決定基の濃度の増加によって示される乳房
起源の組織培養細胞によるその蓄積がエストロゲンによ
って増加すること;および I.そのノイラミニダーゼ処理によって前記第1の決定基
の抗原性が増加し、かつ前記第2の決定基の抗原性が低
下すること を有している。
(実 施 例) A.ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体を産生する
組織培養細胞系 2つの乳腫細胞系であるZR−75−1BおよびMCF−7は米
国予防衛生研究所(the National Institute of Healt
h)から得たものであり、10容量%のウシ胎児血清、100
mMのグルタミン、10mg/mlのインシュリン、および50mg/
mlのゲンタマイシンを含有するダルベッコの改良イーグ
ル培地(Dulbecco′s modified Eagle medium)に1:10
の割合で継代して維持した。使用した他の細胞系はウシ
胎児血清,ゲンタマイシン,およびグルタミンを補充し
た適当な基本培地中に維持した。このような細胞系には
乳房細胞系のHBL−100,HSO578T,T47D,ZR−75−1,および
ZR−75−30;頚管細胞系のME−180,C33II,CASKI,およびD
OT;咽頭腫CCL138;肺腫CCL185;およびヒト包皮線維芽細
胞(HFF)が含まれていた。
膜小胞の調製 ZR−75−1B由来の細胞を40,890cm2のローラーボトル内
で集密的となるまで増殖した。細胞はスクレーピングに
よって採取し、カルシウムおよびマグネシウムを含有す
るダルベッコのリン酸緩衝溶液で3回洗浄した。細胞は
0.24Mのショ糖を含有するpH7.4の0.01Mトリス緩衝液(T
ris buffer)中に再び浮遊させ、Aペストルを備えたダ
ウンス(Dounce)ホモジナイザーの10回のストロークに
よって氷中において均質化した。次いで、ホモジネート
をポリトロン(PolytronTM)ホモジナイザー内で3回に
わたって20秒間バーストさせた。このようにして均質化
した物質は1000×gで10分間遠心し、ペレット化した物
質に対して均質化工程を繰り返した。再均質化した物質
の第2の遠心分離の後、均質化工程に由来する上澄液を
混合して48,000×gで45分間遠心分離し、粗膜フラクシ
ョンペレットを得た。
粗膜フラクションペレットは均質化緩衝液中に浮遊さ
せ、32%,36%,40%,45%のショ糖段階勾配上に重層し
た。勾配は90分間100,000×gで遠心分離した。最初の
2つの界面に存在する物質を血漿細胞膜フラクションと
して集めた。
免疫感作 融合のために、100μgの膜フラクション蛋白質を同体
積の完全フロイントアジュバンド(complete Freund′
s adjuvant)中に乳化したものを3匹のBalb/Cマウスに
腹腔内注射して、マウスに対して免疫感作を行なった。
7日後、免疫感作を繰り返した。第2の免疫感作の7日
後、マウスに100μgの可溶蛋白質を腹腔内注射した。
この注射の4日後、マウスを殺してその脾臓を融合用に
使用した。
融合工程 免疫感作させたマウスに由来する脾臓細胞を例えばコー
ラー(Kohler)等、Nature,256,495(1975)に記載され
るような公知の方法でSP2/0細胞と融合した。要約すれ
ば、これら2つの型の細胞の混合物の懸濁液を800×g
で10分間遠心分離してペレット化した、ペレットは穏や
かに粉砕し、37℃に温めた。粉砕したペレットに対して
分子量1000の37%ポリエチルングリコール(Koch−Ligh
t Laboratories,Ltd.)0.5mlを撹拌しながら50秒間以
上にわたって添加した。このようにして得た融合混合物
は5.0mlの無血清RPMI−1640培地(RPMI1640,2mMのグル
タミン,50mg/mlのゲンタマイシン,および5×10-5Mの
2−メルカプトエタトール)で2分間以上にわたって徐
々に希釈した。次いで1分間以上にわたって5.0mlの培
地を添加した。融合混合物は遠心分離し、細胞は50mlの
無血清培地で2回洗浄した。次いで細胞は10%のウシ胎
児血清を含有するRPMI−1640培地中に約5×106細胞/ml
の密度で浮遊させた。
4×103個のBalb/Cマウス腹腔内滲出細胞を10%ウシ胎
児血清を含有する50mlのRPMI−1640培地中に浮遊させた
ものを24時間前に播種しておいた96ウェルのマイクロタ
イタープレート(microtiter plate)の各ウェルに50μ
の前記融合細胞浮遊液を分注した。プレートは湿潤化
した5%CO2インキュベーター内で一晩37℃にインキュ
ベートした。インキュベーション後、2倍濃縮HAT(2
×10-4Mのヒポキサンチン,8×10-7Mのアミノプテリン,
および3.2×10-5Mのチミジン)を補充した100μの血
清含有培地を各ウェルに添加し、プレートをさらに5日
間インキュベートした。次いで、毎日、培地の一部を新
鮮な1倍HAT培地と交換することによって培地を供給し
た。
融合の2週間後、培地のいくつかには活発に増殖する細
胞が含まれており、脾臓細胞とSP2/0細胞との間の融合
の成功したことが示された。増殖陽性の培地に由来する
上澄液はZR−75−1B細胞およびヒト包皮線維芽細胞に対
する抗体性に対してスクリーニングした。前者に対して
活性を示すが後者については活性を示さない培地はBalb
/C胸腺細胞による希釈度を制限することによってサブク
ローン化した。陽性サブクローンは抗体含有上澄液を産
生するために培地中で増殖させるか、あるいは抗体含有
腹水を得るためにプリスタン感作(Pristane−primed)
Balb/Cマウスに2×106個の細胞を腹腔内注射した。
ZR−75−1Bに対して反応性を有する抗体の存在はプロテ
インA結合法[Brown etal,.Immunol,Methods,31,20
(1979)]によって示された。要約すれば、ZR−75−1B
細胞を採取し、予めポリ(D−レジン)でコーティング
したマイクロタイタープレートの各ウェルに5×104
の細胞をプレーティングした。次いでプレートは一晩37
℃にインキュベートした。ウェルを空にし、15%のウシ
胎児血清を含有する200μのRPMI−1640を各ウェルに
加えた。プレートは37℃で45分間インキュベートした。
再びウェルを空にし、各ウェルに試験すべき培地上澄液
50μを加えた。再びプレートを37℃で45分間インキュ
ベートした。ウェルを空にし、15%ウシ胎児血清を含有
するRPMI−1640で3回洗浄し、各ウェルにウサギ抗マウ
スIgの1:300希釈液200μを加えた。45分間37℃でイン
キュベートした後、2%のウシ血清アルブミン(BSA)
を含有するRPMI−1640でウェルを3回洗浄した。各ウェ
ルに、ヨウ素の放射性同位体で標識化したスタフィロコ
ッカスプロテインAを200μのBSA含有RPMI−1640中に
含有させたものを加え(50,000cpm/ウェル)、再度プレ
ートを37℃で45分間インキュベートした。次いでウェル
をBSA含有RPMI−1640で3回洗浄し、増感スクリーンに
重ねられたコダックX−OMATTMARフィルムに一晩露出し
た。次いで、フィルムをコダックX線フィルム現像液中
で現像した。抗体結合はフィルム上の可視スポットとし
て示された。これらの条件ではウェルあたり約400cpmの
比結合が検出可能である。
上述の工程を用いることによって、以下21DD5および21D
D7と称する2つのハイブリドーマはZR−75−1B細胞に対
して反応性を有する抗体を産生した。ヒト包皮線維芽細
胞に対する反応は認められなかった。これら2つのハイ
ブリドーマによって産生された抗体は乳房細胞系ZR−75
−1,ZR−75−30,T47D,およびMCF−7に対しても反応性
を有してした。また、このような抗体は肺腫細胞系CCL
−185に対しても反応性を有していたが、頚管細胞系のM
E−180,CASKI,およびC33IIもしくは乳房細胞系HBL−100
およびHSO578Tとは反応しなかった。興味深いことに、
このような抗体と反応しなかった2つの乳房細胞系は真
に形質転換した乳房上皮細胞として特徴づけられるもの
ではない。すなわち、HSO578Tは筋肉腫として分類され
るものであって恐らくは上皮細胞ではなく、HBL−100は
乳サンプルに由来するものであってその細胞は病理的と
は診断されなかった。
21DD5および21DD7によって産生されたモノクローナル抗
体のZR−75−1B膜小胞に対する結合は、2.5μgのZR−7
5−1B膜小胞蛋白質でコートしたマイクロタイタープレ
ートの各ウェルに20μの老廃ハイブリドーマ上澄液を
添加することによって示された。上述のインキュベーシ
ョンおよび洗浄の後、各ウェルに50μの125I−標識化
ウサギ抗マウスIgを加えた。プレートを再びインキュベ
ートおよび洗浄し、各ウェルをカウントした。ZR−75−
1B膜小胞蛋白質の代りに2.5μgのヒト乳脂肪球を用い
てこの工程を繰り返すと、このようなモノクローナル抗
体はヒト乳脂肪球にも結合することが示された。
冷凍乳房組織切片のイムノペルオキシダーゼ染色によれ
ば、21DD5および21DD7によって産生されたモノクローナ
ル抗体は、乳管を裏打ちする正常もしくは良性細胞の管
腔表面上に支配的に存在する抗原であって乳房上皮細胞
中に存在する抗原と反応することが認められた。乳房小
葉の正常もしくは良性細胞の全表面は小葉もしくは管由
来の乳腫瘍細胞と同様にこれらの抗原を担持している。
ハイブリドーマ21DD5および21DD7は1984年3月28日にア
メリカンタイプカルチャーコレクション(the American
Type Calture Collection,12301 Parkway Drive,Rock
ville,Maryland20852)に寄託され、それぞれATCC受託
番号HB8532およびHB8533が与えられた。
B.抗原の同定および分離 膜小胞の調製 上述のように小胞を調製した。
抗原の可溶化 ZR−75−1BおよびME−180小胞を48,000×gで遠心分離
し、1%のNP−40および1mMのフェニルメチルスルフォ
ニルフルロライドを含有する4℃のダルベッコのリン酸
緩衝液中に1時間浮遊させることによって、約50%の小
胞蛋白質を可溶化した。したがって、不溶性物質を除去
するためには48,000×gの遠心分離を繰り返さねばなら
なかった。上澄液は水に対して透析した後、−10℃で凍
結乾燥し、保存した。残渣は小胞調製用に用いた当初の
ものの半分の容量に相当するダルベッコのリン酸緩衝液
中に再び溶解し、180μg/mlの蛋白質を有するZR−75−1
B溶液および140μg/mlの蛋白質を有するME−180溶液を
得た。
抗原存在の測定 ポリビニルマイクロタイタープレート上に固定されたZR
−75−1B膜小胞に結合し得るモノクローナル抗体量のい
かなる低下をも検出できるような阻止系を設けた。要約
すれば、2.5μgのロウリープロテイン(Lowry protei
n)をZR−75−1B膜に含有させH2O中に添加したものをプ
レートの各ウェル内で乾固させた。次いで抗体の非特異
的結合を防止するため、15%のウシ胎児血清(FCS)を
含有するRPMI媒地にウェルを浸した。次いで、50μの
抗体含有溶液を添加し、プレートを5%CO2雰囲気中に
おいて37℃で45分間インキュベートした。ウェルは15%
FCS−RPMIで3回洗浄し、125I−標識化ウサギ抗マウスI
gを添加した。
まず、21DD5および21DD7ハイブリドーマ培養上澄液に存
在する一次抗体の滴定を行なった。滴定によって、ハイ
ブリドーマ培養上澄液の1:100もしくは1:500希釈液は容
易に検出可能な結合を示した。この希釈液は一次抗体と
共に阻害剤を含むに必要な体積をもたらすものであっ
た。様々な体積の阻害剤源を小量の未希釈抗体上澄液に
添加し、次いで充分な15%FCS−RPMIを加えることによ
って抗体を1:100〜1:500の最終濃度とし、阻害検定を行
なった。次いでこの阻害剤混合物を37℃で45分間インキ
ュベートした後、ZR−75−1Bでコートしたマイクロタイ
タープレートに50μの阻害剤混合物を添加して結合検
定を行なった。21DD5および21DD7上澄液のいずれにおい
ても、ZR−75−1B小胞と共にプレインキュベーション
(preincubation)した場合にはZR−75−1Bコートした
ウェルに対する結合量が減少した。
ZR−76−1B可溶化膜物質を含有する阻害溶液の不在下に
おけるcpm結合は阻害溶液存在下におけるcpm結合の3〜
4倍であり、この結果、希釈ハイブリドーマ上澄液中に
おける特定のモノクローナル抗体に結合した可溶性抗原
の存在が示された。
可溶化小胞調製物のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)レムリ(Laemml
i),Nature,227,680(1970)による不連続電気泳動法を
行なった。4%のスタッキングゲルに加えてそれぞれ2.
7%の架橋用ビスアクリルアミドを含有する8%,10%も
しくは12%の総アクリルアミド含量のゲルを使用した。
全試薬はバイオ−ラド(Bio−Rad)電気泳動グレードの
ものであり、全ての器具は1.5mm厚ゲル用に設置したホ
ーファーバーチカルスラブゲルアセンブリー(Hoefer v
ertical slabgel assemblies)によるものであった。分
離ゲルは必ず使用前日に注入し、スタッキングゲルはサ
ンプルを流す1〜2時間前に添加した。サンプルは2%
のドデシル硫酸ナトリウムと10%のグリセロールと5%
の2−メルカプトエタノールとを含むpH6.8の0.06Mトリ
ス緩衝液中において100℃で2〜5分間加熱した。電気
泳動緩衝液は0.192Mのグリシンと0.1%のドデシル硫酸
ナトリウムとを含有するpH8.3の0.25Mトリスであった。
電気泳動はゲルあたり30ミリアンペアの定常流で行な
い、トラッキング染料がゲルの底部から流れ出すまで継
続した。分子量測定のため、バイオ−ラド分子量蛋白質
マーカーを定常的に含有させた。各泳動後、直ちにゲル
をクーマシーブルーもしくはアップジョンシルバーステ
イン(Upjohn Silver Stain)で蛋白質同定のために染
色するか、あるいは直ちにウェスタンブロット(the We
stern Blot)法によってニトロセルロース紙に移し
た。
ウェスタンブロット法 ゲルからニトロセルロース紙への蛋白質の転移およびブ
ロット(blot)のラジオイムノアッセイのために用いた
基本的な方法はバーネット(Burnett)、Anal,Biochem,
112,195(1981)によるものであった。転移「サンドイ
ッチ」は常に20mMトリス、150mMグリシン、および20%
メタノールからなる転移緩衝液に浸漬して組合せた。使
用したホーファートランスファー(the Hoefer Transph
orTM)ユニットはサンドイッチ集積用の特殊なカセット
を有していた。カセットの背部はカセットに含まれる特
殊なスポンジと共に緩衝液中に浸漬した。次いで1枚の
厚い吸取紙をスポンジ上に配置し、さらに1枚のS&S
BA83ニトロセルロース紙を重ねた。これらの層が完全
に湿潤化し、層間から気泡が完全に除去されてから、ゲ
ルをニトロセルロース紙上に配置し、湿らせた2枚目の
吸取紙をゲルの上に配置し、カセットの上部を閉鎖し
た。通常カセットはゴムバンドで固定した。
サンドイッチはトランスファーユニット内においてニト
ロセルロース紙がゲルと陽極との間に位置するように配
置した。移転は100Vの定常電圧で少なくとも16時間行な
った。これらの条件下では10℃にセットした冷媒循環ユ
ニットでトランスファーユニットを冷却することが必要
であった。転移が完了してから、サンドイッチを分解
し、ゲルを通常はクーマシーブルーで染色した。場合に
よってはニトロセルロース紙も40%メタノールおよび10
%酢酸に含まれる0.2%クーマシーブルー溶液で5分間
染色した。いくらか変化させた90%メタノールおよび2
%酢酸溶液中で穏やかに撹拌することによって紙は約15
分で迅速に脱色した。紙は柔かくしわになりやすいため
に脱色中には注意を払った。脱色した紙はオートラジオ
グラフによる視覚化に先立って少なくとも30分間トリス
塩(0.9%塩化ナトリウムおよび10mMトリスヒドロクロ
リド,pH7.4)中で洗浄した。
脱色しかつ完全に洗浄した紙、もしくはトランスファー
ユニットから直接取り出した紙は37℃の5%ウシ血清ア
ルブミン(BSA)のトリス塩溶液中に1時間浸漬した。
紙は5%BSA−トリス塩溶液で1:6に希釈した適当なハイ
ブリドーマ上澄(21DD5もしくは21DD7)溶液に移し、環
境温度において振動しながら90分間インキュベートし
た。次いでニトロセルロース紙は200mlのトリス塩溶液
中で振動させながら洗浄し、0.05%NP−40を含有する20
0mlのトリス塩溶液2組で20分間洗浄し、最後に200mlの
トリス塩溶液のみを用いて10分間洗浄した。洗浄した紙
は100,000cpm/50μの125I−標識化ウサギ抗マウスIgG
を含有する5%BSA中で振動させながら30%間、環境温
度においてインキュベートした。この最後のインキュベ
ーションの後、紙は上記のように洗浄し、紙タオルでブ
ロットし、プラスチックラップ中に包み、−70℃におい
て増感スクリーンを設けたコダックXRTMフィルムに露出
した。
SDS−PAGEゲルから調製したウェスタンブロットのオー
トラジオグラフによる視覚化は21DD5および21DD7によっ
て産生したモノクローナル抗体と反応する抗原を決定的
に同定した。21DD5および21DD7上澄液において観察され
たオートラジオグラフパターンは抗原が8%のゲルにお
いても極めてわずかしかゲル中に浸入せず、12%ゲルに
おいては殆ど浸入しないという点で常に類似していた。
場合により、8%ゲル中には抗原が2つのバンドとして
認められた。分子量92,500のフォスフォリラーゼは非常
に大量にゲル中に侵入した。ゲルおよびニトロセルロー
ス紙を特定の蛋白質で染色処理すると抗原よりも低分子
量の数多い蛋白質バンドが認められた。21DD5および21D
D7抗体と反応する抗原は1つ以上の分子形態を有する可
能性もあるが、このような抗原は単一の名称AF−1で呼
ぶことにする。
C.AF−1の測定および部分的特色化 抗体のヨウ化 全抗体(2次抗体および直接標識化モノクローナル)は
ハンター(Hunter),Pro.Soc,Exp.Biol.Med,113,989(1
970)によって記載された方法の変形を用いてヨウ化し
た。要約すれば、まず親和性を純化した、あるいはプロ
テインA−純化した抗体とリン酸緩衝溶液(PBS)との1
mg/ml溶液100μにpH7.2の0.05Mリン酸50μを添加し
た。次いで、1ミリキュリーの無担体125−Iを添加
し、さらにメタ重亜硫酸ナトリウム10μgおよび10%ウ
シ胎児血清(FCS)のPBS溶液100mlを加えた。未反応の
試薬は10%FCS−PBS中のバイオラドAG1−X2陽イオン交
換樹脂カラムに通すことによってヨウ化蛋白質から分離
した。2mlの溶離液を集め、比活性を測定した。一般
に、この工程によって208μCi125I/蛋白質μgの比活性
を有する蛋白質調製物が得られた。
阻害性試験 前述の阻害系を用いて21DD5および21DD7の抗原性をMCF
−7もしくはZR−75−1B培養物の老廃培地上澄液中にお
いて検出してようとした当初の試みは決定的なものでは
なかった。しかしながら、培地を濃縮すると良好な阻害
性が検出された。すなわち、10倍濃縮したMCF−7もし
くはZR−75−1B培地は良好な抗体結合阻害性を示したが
ME−180培養物に由来する10倍濃縮培地は結合に対して
いかなる有意な影響を有していなかった。MCF−7培地
は常に最も優れた阻害性を示した。ZR−75−1B培地によ
って得られた阻害性は変化しやすく、MCF−7によって
得られたものよりは常に低かった。21DD5および21DD7抗
体と反応する抗原は培地中に取り込まれた。
MCF−7細胞に由来する培地はこの抗原の良好な源であ
り、またMCF−7細胞はウシ胎児血清の不在下で増殖可
能であるため、ウシ胎児血清を含まない老廃培地中にお
ける抗原の量を測定することを試みた。MCF−7培養物
に由来する血清含有培地はここでもこの系において有意
な阻害を生み出したが、HFF培養物に由来する新鮮培地
もしくは血清含有培地は阻害性を有していなかった。MC
F−7培養物に由来する無血清培地は阻害性を含んでい
なかった。この結果は2つの異なった実験で得られたも
のである。したがって、AF−1を上澄液内に取り込むた
めには培地中に血清が必要であると考えられる。培地中
における血清の存在は抗体の産生にとって必要条件では
ない。21DD5および21DD7およびMCF−7細胞の細胞同定
によれば、これらの細胞が血清の存在下で増殖したかど
うかに拘らず、細胞表面にはAF−1の存在が認められ
た。したがって、取り込み(shedding)のみが培地中の
血清によって影響を受けるものと考えられる。
SDS−PAGE試験において既に示されたように21DD5および
21DD7は高分子量の抗原と反応した。21DD5抗体親和性カ
ラムもしくは21DD7抗体親和性カラム上に吸着されたAF
−1調製物は互いに染色されるため、両抗体は恐らく同
一の抗原すなわちAF−1と反応するものと考えられる。
さらに、AF−1は21DD5のための反復決定基を有してい
るようでもある。なぜなら、ポリビニルマイクロタイタ
ープレートに吸着された21DD5抗体はMCF−7培地から得
られた部分的に純化されたAF−1を補捉し、一方後者は
125I−標識化21DD5抗体を補捉するからである。また、2
1DD5抗体の使用によってAF−1は第4段階(Stage IV)
の乳癌を有する患者の血清中に存在することが認められ
た。
D.AF−1の分離 培地の初期処理 硫酸アンモニウム(659g)を1.9リットルの老廃ZR−75
−1B培地に添加し、4℃において一晩撹拌した。翌日、
混合物を12,000×gで15分間遠心分離した。得られたペ
レットはリン酸バッファー溶液(PBS)中に再浮遊さ
せ、再び遠心分離した。混合した上澄液を4リットルの
PBSに対して透析し、約20mlのアリコートとして凍結し
た。ロウリー(Lowry),.Biol.Chem,193,256(195
1)の方法に従って蛋白質濃度を測定した。
セファクリル(SephacrylTM)S−300カラム処理アリコ
ートをセファクリルS−300カラム(Pharmacia)に66ml
/時の流速で流した。最初の蛋白質ピーク、すなわちフ
ラクション5〜30をプールしてS1と名付けた。
塩化セシウム勾配[Hascall et al,Methods in Enzymo
logy,82,769(1982)]を濃度段階として用いた。セフ
ァクリルS−300カラムから得たS1フラクション30mlに
塩化セシウムを添加した。こうして得た溶液は50Tiロー
ターを設けたベックマン(Beckman)L8−70超遠心機内
において64,000×gで49時間遠心分離した。温度は常に
10℃に維持した。最上部フラクションを除去し、ZR−T
と名付けた。
小麦胚凝集素分画化 小麦胚凝集素アガロース(Vector Lab)を小さなカラム
中に2mlの体積で詰めた。セファクルS−300カラムおよ
びコンコナバニン(conconavalin)A−セファロースカ
ラムに40倍濃縮ZR−75−1B培地を通すことによって部分
純化したAF−1を調製した。リン酸緩衝液(PBS)中に
入れた部分純化AF−1を1ml/6minの速度でゆっくりと小
麦胚凝集素カラム上に載せた。溶離液をフラクションと
して集め、カラムをPBS、10mM,50mM,100mM,および500mM
のN−アセチルグルコサミンPBS溶液で連続して洗浄し
た。フラクションは蒸留水に対して透析し、各フラクシ
ョンを50mlずつマイクロタイタープレートの各ウェルに
配し、ウェルを乾燥した。前述したように21DD5および2
1DD7を使用して結合性検定を行なった。全てのAF−1抗
原が小麦胚凝集素と結合した。21DD5抗体に対する結合
性のみを有するAF−1のフラクションが10mMおよび50mM
のN−アセチルグルコサミンを用いた際にカラムから溶
離された。21DD5および21DD7抗体活性の双方を有するAF
−1は100mMを超える濃度のN−アセチルグルコサミン
を用いた場合にのみ溶離された。
E.AF−1の特色化 膜小胞の調製、SDS−PAGE、ウェスタンブロット転移、
およびオートラジオグラフによる視覚化を全て前述の通
りに行なった。
イムノペルオキシダーゼアッセイ コルチャー(Colcher)等、Cancer.Research,41,1451
(1981)による間接4段階ペルオキシダーゼ−抗ペルオ
キシダーゼアッセイをパラフィン固定細識切片中におけ
るAF−1の視覚化のために用いた。切片をキシレンで脱
パラフィン化し、再び水和した後、0.3%過酸化水素メ
タノール溶液で30分間処理することによって内因性ペル
オキシダーゼ活性を阻害した。切片は3%正常ウマ血清
で20分間処理した後、未希釈の21DD5もしくは21DD7ハイ
ブリドーマ上澄液もしくはジニトロフェノール(DHK)
に対するモノクローナル抗体を含有するコントロール上
澄液と共に30分間インキュベートした。次いで、希釈率
1:1000のウサギ抗マウスIgG、希釈率1:200のヒツジ抗ウ
サギIgG、および希釈率1:1000のウサギ抗ペルオキシダ
ーゼ/ペルオキシダーゼ複合体と共に30分間のインキュ
ベーションを行なった。抗体の各インキュベーションの
間には10分間の緩衝液洗浄を行なった。最後に切片を0.
01%の過酸化水素と0.05%のジアミノベンジンと共に5
分間インキュベーションするとアッセイによって抗体が
検出された場所の全てに茶色の沈澱が得られた。全ての
組織標本はペンシルバニア州セイアのガスリークリニッ
クのケネス・メイヤー博士(Dr.Kenneth Meyer of Gut
hrie Clinic,Sayre,Pennsylvania)もしくはニューヨ
ーク州エルマイラのアーノット・オグデン病院のチャー
ルズ・クオネン博士(Dr.Charles Kuonen of Arnot−Og
den Hospital,Elmira,New York)から提供されたもの
である。
抗原の純化 抗原は培地内に流し込まれるものであり、膜の可溶化が
不必要であるため、増殖MCF−7細胞から集めた培地を
選択した。老廃培地(1.6リットル)は0℃において硫
酸アンモニウムを用いて50%飽和させた。抗原含有沈澱
物は遠心分離によって集め、130mlのリン酸緩衝溶液(P
BS)中に再溶解した。PBSに対する透析の後、体積が80m
lに達した際に沈澱物が形成したために混合物濃縮の試
みを中止した。部分的に濃縮した溶液のうちの20mlをセ
ファクリルS−300ゲル濾過カラムに通した。カラムか
ら得た抗原性を有するフラクションを混合し、予め21DD
5モノクローナル抗体を共有結合させておいたアフィゲ
ル(AffigelTM)−10カラムに通した。この親和性カラ
ムは溶出液の280nmにおける吸光度がゼロとなるまで食
塩水で洗浄した。pH2.3の硫酸グリシンをこのカラムに
通して抗原を21DD5抗体から分離した。溶出物のpHを直
ちに約7.3まで上昇させるため、フラクションはpH8.0の
2Mトリス中に集めた。このカラムから回収された抗原性
は親和純化(affinity−purified)抗原と称し、S−30
0カラムから回収された抗原性は部分純化(partially p
urified)抗原と称する。
AF−1の炭水化物および蛋白質含量 親和純化抗原はロウリー法によって蛋白質を測定し、フ
ェノール−硫酸法[Dubois etal,Anal.Chem,28,350(19
56)]によって総糖分含量を測定した。このような測定
の結果は蛋白質132μg/mlおよび糖分300μg/mlであっ
た。これらの結果から、AF−1は糖蛋白質であると考え
られるが、炭水化物と蛋白質との割合は確立されていな
い。
アルカリ処理 部分純化抗原はセリンおよび/もしくはスレオニン部と
炭水化物部との間のO−グリコシド結合を分割するβ−
除去反応の影響を受けるか否かを測定するために一晩4
℃において0.1N水酸化ナトリウムで処理した。
このような穏やかなアルカリ処理により、より小さな分
子量の形態に関連づけられるべき抗原性が生じ、炭水化
物ユニットが少なくとも部分的にはO−グルコシド結合
によって蛋白質の主鎖に、恐らくはセリンもしくはスレ
オニンに結合していることが示された。
注入されたAF−1の分子量測定 ZR−75−1B細胞を増殖させた組織培養培地は10分間500
×gで遠心分離して細胞を除去した後、45分間48,000×
gで遠心分離した。ペレット化した物質には全てAF−1
活性が認められた。このようなペレット化物質は一晩4
℃において1%トリトン−X(Triton−XTM)100中で可
溶化した。得られた混合物は48,000×gで45分間遠心分
離し、上澄液は0.01%のトリトン−X100を含有するリン
酸緩衝液に対して透析した。透析した溶液をセファクリ
ルS−100カラム上に流すとAF−1活性の1つのピーク
が得られ、公知の分子量を有する蛋白質を用いたカラム
の標準化により、このピークは分子量約33,000に対応す
ることが明らかとなった。
酵素処理 抗原を酵素処理し、次いで上述のG項に記載されたウサ
ギ抗AF−1ラジオイムノアッセイによってこのような処
理の効果を測定することによってAF−1の特性に関する
他の情報を得た。
21DD5および21DD7抗体の双方に対して2組の結果を得る
ために様々な酵素処理を行なった。各組において、抗体
が使用されなかった際の結果を陽性とし、酵素処理のな
い場合の結果を陽性コントロールとした。このような酵
素処理は37℃で2時間行ない、その後、反応混合物を5
分間100℃に加熱することによって酵素を不活化した。
必要に応じてラジオイムノアッセイ実施前に水酸ナトリ
ウム水溶液の添加によって反応混合物のpHを7.4に調整
した。21DD5の組においてブランクはコントロールの約
9%であった。21DD7の組においてブランクはコントロ
ールの約7%であった。各組においてコントロールを含
む各々の結果からブランクを引いた。
このような酵素処理の結果の重要性はこのような処理の
21DD5および21DD7決定基に対する影響すなわちコントロ
ールに対するこのような処理の影響である。このような
効果は表Iに要約されており、各酵素処理における1分
あたりの結合カウントがコントロールに対する百分率で
表わされている。すなわち、100未満の百分率は21DD5も
しくは21DD7の決定基活性の減少を示し、100を超える百
分率はその増加を示す。
表から明らかなように、α−ガラクトシダーゼおよびβ
−N−アセチルグルコサミニダーゼが21DD5および21DD7
決定基に及ぼす影響はほぼ同等であった。すなわち、両
酵素はいずれの場合にもほぼ同等の効果を有し、決定基
活性を34〜40%減少させた。しかしながら、ノイラミニ
ダーゼの効果は著しく異なっていた。この酵素は21DD5
決定基活性をほぼ2倍としたのに反して21DD7決定基活
性をほぼ半分に低減した。
α−ガラクトシダーゼとノイラミニダーゼの組合せおよ
びβ−N−アセチルグルコサミニダーゼとノイラミニダ
ーゼの組合せによる21DD7決定基活性に対する効果はい
かなる単一の酵素処理よりも大きかった。しかしなが
ら、21DD5決定基活性における最終的な活性はノイラミ
ニダーゼ処理のみの場合よりかなり低いもののコントロ
ールよりは高かった。
抗原の位置 様々な型の乳房上皮細胞膜小胞を21DD5および21DD7決定
基活性に対するマイクロタイタープレートアッセイによ
って分析し、結果を表IIに示した。アッセイを行なった
各ウェルは全ての場合において3μgの蛋白質を含有し
ていたため、小胞調製間で相対比較をすることが可能で
ある。例えばインビトロの細胞系であるZR−75−1Bおよ
びMCF−7は乳房切除サンプルよりも多くの両決定基を
含有するように見えるが、物質の供給源を考慮しなけれ
ばならない。細胞系調製物の全ては腫もしくは少なくと
も形質転換された細胞であるが、乳房切除サンプルは腫
および「正常」上皮細胞および非上皮起源細胞を含んで
いる。この複雑性にも拘らず、恐らくはBM10を除く全て
の乳房上皮細胞膜はいくらかの抗原を含有していること
が認められる。また、このような結果は腫細胞膜のみな
らず、HMFGPに対する結合によって示されるように正常
細胞上にも抗原の生ずることを示している。
これらと同一の小胞調製物に対してSDS−PAGEおよびウ
ェスタンブロット法を用い、次いでラジオグラフによる
視覚化によって同様の分析を行なった。小胞調製物をSD
S処理し、アッセイに先立って還元条件とすることによ
って抗原検出に干渉するような抗原−抗体複合体は全て
分離することができた。さらに、これらの工程によって
各調製物における抗原形態の分子量に関する情報が得ら
れた。ラジオグラフの最も顕著な特徴は様々な小胞調製
物における抗原の分子形状の差異であった。ZR−75−1B
およびMCF−7小胞はいずれも3つの形状の抗原を有し
ていたが、MCF−7はZR−75−1Bよりも大きな分子量の
形状を有していた。この差はZR−75−1B調製物に出現す
る最小の形態がMCF−7調製物中には極わずかしか検出
され得なかったことから恐らく減成に起因するものと考
えられた。予想通り、ME−180小胞(頚管)は抗原を有
していなかった。4つの乳房切除小胞調製物のうち3つ
は抗原の分子形態を2つ有しており、これらはいずれも
ZR−75−1BもしくはMCF−7小胞調製物のその形態と同
じ位置にバンドを形成するものではなかった。BM10小胞
調製物は21DD5活性が検出できないという点で他と異な
っているが、21DD7活性はZR−75−1BおよびMCF−7調製
物の中位バンドと同様の位置に1本のバンドとして存在
した。HMFG調製物はこれと同一のバンドを21DD7に関し
て有していたが、21DD5活性に関してはより大きな分子
形態しか有していなかった。MCF−7培地から分離した
親和純化抗原はMCF−7調製物の最も高いバンドに対応
した。プレートした小胞調製物のラジオイムノアッセイ
で得た相対的な値とは必ずしも相関関係のない主要な量
的差異が認められた。例えば、ウェスタンブロットにお
いてはHMFG調製物は21DD5活性よりも大きな21DD7活性を
示したが、ラジオイムノアッセイでは正反対であった。
パラフィン固定組織サンプル中における抗原の位置の直
接視覚化はイムノペルオキシダーゼアッセイによって得
た。表IIIに示す通り、これらのアッセイは試験された
全ての乳房組織が上皮細胞上に局在した抗原を担持して
いることを示した点で小胞調製物で得た結果を立証する
ものであった。良性乳房組織もしくは正常上皮細胞は管
腔に隣接した頂端表面に局在した抗原を有しているよう
であった。腫細胞はより多くの抗原を有しており、抗原
は頂端表面のみならず全細胞にわたって存在しているよ
うであった。多くの場合、21DD7で得た染色は21DD5で得
たものよりも大きかった。抗原はこれまで試験した組織
のうち皮脂腺,卵巣,肺,腎臓および子宮頚内膜組織内
に存在することが見出された。
最後に発癌抗原(CEA)、ヘパリン、および硫酸コンド
ロイチンを用いてウェスタンブロットを行なったが、い
ずれも21DD5抗体に対していかなる反応性も示さなかっ
た。
したがって、21DD5および21DD7モノクローナル抗体は同
一の抗原分子に特異的に結合するが、その異なった決定
基を検出するものと考えられる。抗原は明らかに上皮細
胞起源のものであり、乳房,子宮頚管,および卵巣等の
ような正常な分泌組織に主として関係しているものと考
えられる。抗原上の21DD7決定基の量は乳腫の存在によ
って増加する。
F.エストロゲン刺激試験 要約すれば、デキストランコートした木炭で処理してス
テロイドを除去した10%のウシ胎児血清(DCC−FCS)に
ZR−75−1B細胞を5日間さらすことによってステロイド
を枯渇させた。次いで、この枯渇細胞に10-8M(17β)
−エストラジオールを含有するDCC−FCSを2日,6日,も
しくは9日間再供給し、さらに無血清下で3日間ホルモ
ンにさらした。コントロールとしては枯渇細胞にDCC−F
CSのみを2日,6日,もしくは9日間再供給した後、無血
清培地を3日間供給した。細胞は溶解し、細胞蛋白質は
5〜16%SDS−PAGEで処理し、前述のウェスタンブロッ
ト転移法を行なった。オートグラフによる視覚化におい
て前述のように21DD5および21DD7抗体を用いた。細胞は
ホルモンにさらした後5日目,9日目,および12日目にサ
ンプリングした。培地は12日目にサンプリングした。
これらの実験によれば10-8M(17β)−エストラジオー
ルが培地内に増殖した乳癌細胞中の21DD5決定基の蓄積
を刺激し、また21DD5決定基に富んだ抗原は培地内に取
り込まれたことが明らかとなった。ZR−75−1B細胞内に
おいてエストロゲン効果は主として細胞と関連する。使
用された実験条件下においては比較的小量の21DD決定基
に富んだ抗原が培地内に取り込まれたが、培地内におい
て測定可能であれば細胞によって取り込まれた量もまた
エストロゲンによって刺激された。MCF−7細胞系にお
いてはエストロゲンは培地内に取り込まれる抗原を極め
てより多く増大する。21DD5決定基はエストロジェンに
よって最初(2日目)は細胞内で刺激され、次いで細胞
から減少し、培地内で(5日目に)蓄積が増大するよう
であった。エストロゲンは21DD7決定基増大させるもの
とは考えられなかった。
21DD5決定基のエストロゲン刺激はエストロゲン操作に
反応する腫瘍を有する乳癌患者の同定にとって有用とな
るものである。21DD5決定基のようなエストロゲンで変
化する最終産物を用いた場合、エストロゲンが腫瘍
(癌)の成長を制御する能力を鑑みれば、75〜80%とい
う従来技術の方法の精度よりもより決定的な診断が可能
であろう。
G.乳癌の診断および予後 21DD5および21DD7抗体によって認識される2つの決定基
の測定を可能とするイムノアッセイを行なうため、多価
異種ウサギ抗血清を形成した。要約すれば、等体積の完
全フロインドアジュバント中に乳化した100μの標準A
F−1調製物でウサギを免疫した。免疫化は3回繰返
し、最後の注射の7日後にウサギの耳から放血を行なっ
た。抗血清由来の抗体は部分純化したAF−1のS1フラク
ション(D項参照)を結合したセファロースCHカラム上
で親和純化した。
これらの親和純化した抗体を以下のラジオイムノアッセ
イにおける固定相として用いた場合、21DD5もしくは21D
D7抗体の使用により、このようなウサギ抗体に補捉され
た特定の決定基を含有する分子の量を測定することが可
能となった。
以下に記載する結果は、21DD7決定基活性の絶対量およ
び21DD7決定基活性の21DD5決定基活性に対する割合の双
方が進行乳癌の指標を与えるものであることを示してい
る。
55人の異なった個体から得た血漿サンプルを試験した。
27サンプルは正常な女性もしくは良性の乳疾患を有する
女性に由来するものであり、28サンプルは乳癌もしくは
他の癌患者に由来するものであった。
モノクローナル抗体 21DD5および21DD7抗体の形成は前述の通りである。全て
の抗体は老廃培地上澄液の最適な希釈液として用いた。
AF−1 前述した手順にほぼ従って、ZR−75−1B細胞老廃上澄液
から標準抗原調製物を得た。要約すれば、老廃培地を50
%硫酸アンモニウムで沈澱させた。沈澱物を集め、再可
溶化し、セファクリルS−300カラムで分画した。排除
したフラクションはAF−1活性についてスクリーニング
を行ない、21DD5決定基活性を含むフラクションをプー
ルした。プールした物質は21DD5抗体カラム上のアフィ
ニティクロマトグラフィーで純化し、pH2.3の0.2M硫酸
グリシンによる溶離液をこの実験に用いる純化AF−1と
した。
ウザギ抗AF−1ラジオイムノアッセイ ウザギ抗AF−1はS1親和性カラムから回収した未濃縮ス
トック溶液の1:2希釈液として用いた。血漿は1%ウシ
血清アルブミンを含有するリン酸緩衝溶液で1.2,1.4,も
しくは1.8倍に希釈した。21DD5抗体はハイブリドーマ培
地上澄液の1:10希釈液として用い、21DD7抗体は1:5希釈
液として用いた。ウサギ抗マウスIgは約5×106cpm/μ
gの比活性を有するものを用いた。
検定を行なうため、ポリビニルマイクロタイタープレー
トの各ウェルを50μのウサギ抗AF−1でコートした。
プレートは4℃で一晩インキュベートした。ウェルはpH
7.4のリン酸緩衝溶液で1回洗浄した後、非特異性部位
を封鎖するために1%ウシ血清アルブミンを含有するpH
7.4のリン酸緩衝溶液(BSA−PBS)に浸した。次いで各
ウェルに純化した50μのAF−1溶液を添加した。プレ
ートは37℃で45分間インキュベートした。ウェルはBSA
−PBSで4回洗浄した。各ウェルに適当なモノクローナ
ル抗体溶液(21DD5もしくは21DD7)を50μ添加した。
プレートは再び37℃で45分間インキュベートし、次いで
BSA−PBSで4回洗浄した。100,000cpmの125I−標識化ウ
サギ抗マウスIgを含有する50μのBSA−PBSを各ウェル
に添加した。プレートは37℃で45分間、3回目のインキ
ュベートを行なった。以前と同様にプレートを4回洗浄
した後、各ウェルの1分あたりの結合カウントを測定し
た。各アッセイは3回ずつ行ない、結果は平均±標準偏
差で示した。
患者の血漿サンプルは通常ヘパリン処理した管に採取
し、直ちにアリコート化して−70℃で凍結した。若干の
サンプルは以前の実験に由来するもので、そのうちのい
くつかは数回の凍結−解凍サイクルを経たものであっ
た。一般に凍結および解凍による明白な結果の変動は認
められなかった。
最初の実験においては正常な3検体、良性乳房疾患の3
検体、および第4段階の乳癌患者4検体に由来する血漿
をアッセイにおいて試験した。系は1連のAF−1希釈液
(1:20〜1:160)を1つのプレート上に流し、これら希
釈液のうちの2つ(1:20および1:80)を全ての隣接した
プレートに流すことによって内部標準化した。この結
果、各プレートの特性に対して内部コントロールが得ら
れ、結合性には20〜25%以下の変動が生じたが、多くの
プレートはこのような変動よりも互いにより近くなっ
た。血漿No.11および14は同一の女性に由来する連続し
た放血であり、極めて類似した結果を示した。いかなる
統計操作においてもNo.11のみが包含される。表IVにお
けるデータは3回の測定の平均値であり、同様の結合値
を与えるAF−1ストックの希釈率の逆数として表わし
た。次いでこの値を希釈率に換算した。各特性に対する
値を100倍するとAF−1ストック中に存在する抗原の百
分率が表わされる。また、21DD5/21DD7比を希釈率1:4の
各血漿において計算した。正常もしくは良性乳房疾患患
者6検体において得た比は1.91〜2.50で平均は2.18±0.
205(SD)であった。これに対し、第4段階の乳癌患者
に由来する血漿においてこの値は2.75〜56.6で平均は2
2.12±25.3(SD)であった。この限定的な実験において
これらの範囲は全く重複せず、コントロール群で得られ
た値の分布は極めて狭かった。21DD7値をそれだけで比
較すると癌患者に由来する血漿は高い値の21DD7を有し
ているが、血漿No.13は明らかに正常群領域に入る値を
示した。これら2つの群の間における21DD7値の差は小
さい。この結果から、21DD5決定基は正常組織抗原を反
映するものであり、21DD7決定基の増加もしくは21DD7決
定基の21DD5決定基に対する相対的な増加は新生変化を
反映するものであると解釈することが可能である。
2つの付加的な実験においては55人の異なった患者の値
を含むようにデータを広げた。これらのデータを表Vお
よびVIに示す。ひれらの拡大したデータはもはやコント
ロールおよび癌患者の間に非重複領域を示すものではな
いが、多くの癌患者においては増加した21DD7値もしく
は増加した21DD7/21DD5比が残存している。
表VおよびVIにおけるデータの分析を平均値の形で表VI
IおよびVIIIに示す。データをより小さなグループに分
けることは明らかに統計上いくらかの困難性を伴なうも
のであるが、いくつかの観察は可能であろう。どの値を
考えても正常な個体に由来するサンプルは良性乳房疾患
を有する女性から得たものとは識別不可能である。一般
にこれらの値は極めて小さな標準偏差を有している。第
4段階の癌に由来する21DD7値および21DD7/21DD5値は双
方とも極めて大きいが、また極めて大きな範囲の標準偏
差も観察される。一般に21DD7値および21DD7/21DD5比は
腫瘍の程度が進むにつれて(コントロールから第1段
階,第3段階,第4段階)増加する。
表VIIIの第1の部分は乳癌の存在を示す閾値を偽陰性の
生じないように選択した場合(すなわち100%特異性)
に得られる結果を示すものである。しかしながら、表VI
IIの第2の部分に示されるようにこのような閾値は感度
および特異性の双方を考慮した検定特性を最適なものと
するように選択することも可能である。このようにデー
タを考慮すると試験された全ての癌のうちの72%が陽性
であり、第4段階乳癌の92%,第3段階乳癌の100%、
および第1段階乳癌の40%が正常域を超える値を示す。
上述のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を
用いるサンドイッチアッセイ法はいかなる抗原もしくは
ハプテンの定量化にも応用できるものである。さらに、
使用する標識は放射性同位体である必要はない。すなわ
ち、酵素,螢光体,化学発光剤等を用いることができ
る。
(発明の効果) 本発明による抗原、これに特異性を有する抗体、この抗
体を産生する細胞系,組成物およびこの抗原の検定法は
乳癌の診断に絶大な効果をもたらすものであって、その
利用価値は極めて大である。
フロントページの続き (72)発明者 メアリー ルイーズ ニコルソン アメリカ合衆国 ニユーヨーク州 14830 コーニング ルート 3 ボツクス 159 エイ (72)発明者 カレン ルイス トラヴイス アメリカ合衆国 ニユーヨーク州 コーニ ング イースト フアースト ストリート 321 (72)発明者 アルバート オーガスト ルーデラー アメリカ合衆国 マサチユーセツツ州 02050 マーシユフイールド スモーク ヒル リツジ ロード 21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の特性: A.少なくとも約300,000ドルトンの平均分子量を有する
    こと; B.糖蛋白質であること; C.塩化セシウム勾配中における密度が通常の蛋白質の密
    度と同等の範囲にあること; D.ヒト包皮線維芽細胞に存在しないこと; E.冠状動脈,心臓,肝臓,脾臓および皮膚の細胞に存在
    しないこと; F.ヒト乳脂肪球に存在すること; G.皮脂腺,子宮頸内膜,卵巣,腎臓,腸,膵臓,および
    肺の細胞上に存在すること; H.乳癌細胞によって取り込まれること; I.ヒト血漿サンプル中に存在すること;および J.分子量がDNA分解酵素およびコンドロイチナーゼによ
    って影響されないこと を有し、正常および良性乳房上皮細胞膜上、主として小
    葉および管の管腔に隣接する頂端表面上、および乳癌細
    胞中に、その細胞の見掛け上全域にわたって存在するほ
    ぼ純粋な抗原。
  2. 【請求項2】以下の特性: A.少なくとも約300,000ドルトンの平均分子量を有する
    こと; B.糖蛋白質であること; C.塩化セシウム勾配中における密度が通常の蛋白質の密
    度と同等の範囲にあること; D.ヒト包皮線維芽細胞に存在しないこと; E.冠状動脈,心臓,肝臓,脾臓および皮膚の細胞に存在
    しないこと; F.ヒト乳脂肪球に存在すること; G.皮脂腺,子宮頸内膜,卵巣,腎臓,腸,膵臓,および
    肺の細胞上に存在すること; H.乳癌細胞によって取り込まれること; I.ヒト血漿サンプル中に存在すること;および J.分子量がDNA分解酵素およびコンドロイチナーゼによ
    って影響されないこと を有し、正常および良性乳房上皮細胞膜上、主として小
    葉および管の管腔に隣接する頂端表面上、および乳癌細
    胞中に、その細胞の見掛け上全域にわたって存在するほ
    ぼ純粋な抗原であって、以下の特性: a.正常乳房組織細胞もしくは良性腫瘍細胞の抗原と乳癌
    細胞の抗原との間でその濃度が有意に変化しない、イム
    ノアッセイにより測定される第1の決定基を有するこ
    と; b.乳癌細胞の抗原におけるその濃度が正常乳房組織細胞
    もしくは良性腫瘍細胞の抗原におけるその濃度よりも有
    意に高い、イムノアッセイにより測定される第2の決定
    基を有すること; c.前記第1および第2の決定基の抗原性がDNA分解酵素
    およびコンドロイチナーゼによって影響されないこと; d.前記第1および第2の決定基の抗原性がプロテアーゼ
    によって低下すること; e.前記第1および第2の決定基の抗原性が穏やかなアル
    カリ処理によって低下すること; f.少なくともいくらかの炭水化物がセリンもしくはスレ
    オニンに対するO−グリコシド結合によって蛋白質主鎖
    に見掛け上結合していること; g.小麦胚凝集素カラムに結合することによってN−アセ
    チルグルコサミンおよび/もしくはシアル酸の存在を示
    すこと; h.前記第1の決定基の増加によって示される乳房起源の
    組織培養細胞によるその合成がエストロゲンによって増
    加すること;および i.そのノイラミニダーゼ処理によって前記第1の決定基
    の抗原性が増加し、かつ前記第2の決定基の抗原性が低
    下すること が含まれていることを特徴とする抗原。
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