JPH07213612A - シリンジ - Google Patents

シリンジ

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JPH07213612A
JPH07213612A JP6033183A JP3318394A JPH07213612A JP H07213612 A JPH07213612 A JP H07213612A JP 6033183 A JP6033183 A JP 6033183A JP 3318394 A JP3318394 A JP 3318394A JP H07213612 A JPH07213612 A JP H07213612A
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cylinder
plunger
syringe
synthetic resin
hydrophilic polymer
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JP6033183A
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English (en)
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Hiroyuki Asano
寛幸 浅野
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Piolax Inc
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Kato Hatsujo Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 注射器や、薬液持続注入器の薬液充填容器等
として使用されるシリンジにおいて、プランジャの摺動
抵抗が小さく、人体に対する悪影響が少なく、価格の安
い製品ものを提供する。 【構成】 シリンダ2と、シリンダ2の内壁面に密接し
て摺動するプランジャ3とから構成されるシリンジ1に
おいて、プランジャ3がシリンダ内壁に接触する部分、
例えばガスケット4などを合成樹脂により作製し、この
合成樹脂の表面に存在するイソシアネート基などの反応
性官能基と、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマ
ーとを結合させて、親水性ポリマーの被覆層10を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬液を人体に投与する
ためのシリンジに関し、特に、注射器や、薬液持続注入
器の薬液充填容器等として使用されるシリンジに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、シリンジは、シリンダと、この
シリンダ内に挿入されるプランジャと、プランジャの先
端に装着されるガスケットとから構成されている。ガス
ケットは、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性材
料を、シリンダの内径よりも若干大きな外径に成形した
ものである。そして、プランジャをシリンダ内に強く押
し込むと、ガスケットの外周がシリンダの内壁面に密接
し、これによってシリンダ内部の気密性が保たれるよう
になっている。
【0003】この場合、ガスケット摺動面に何らかの潤
滑処理を行わないと、ガスケットとシリンダ内壁との摺
動抵抗が大きくなり、プランジャを円滑に摺動させるこ
とができなくなる。このため、プランジャとシリンダと
の摺動面にシリコーンオイル等の潤滑油を塗布して、摺
動抵抗を小さくすることが行われている。
【0004】また、特開平5−57018号公報には、
熱可塑性エラストマーからなる摺動部材の表面に、シリ
コーンオイルなどの潤滑成分を含有させた動摩擦係数の
低い熱可塑性樹脂を被覆して、摺動抵抗を小さくする方
法が開示されている。
【0005】更に、特開平5−131029号公報に
は、シリコーンゴムに、シリコーンオイルやポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)粉末等の潤滑剤を配合し
て加硫成形し、摩擦抵抗の小さいガスケットを得る方法
が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ーンオイル等の潤滑油を塗布する方法では、潤滑油がシ
リンジ内の薬液中に混入して、人体に悪影響を及ぼす虞
れがあった。
【0007】また、特開平5−57018号公報や、特
開平5−131029号公報に開示された方法は、製造
工程が複雑なため、生産コストが高くなってしまうとい
う問題があった。更に、特開平5−131029号の方
法において、粉末状の潤滑剤を用いた場合、粉末がシリ
コーンゴム中に均一に分散されにくく、所望の性能が得
られないことがあった。
【0008】したがって、本発明の目的は、人体に対す
る悪影響が少なく、プランジャの摺動抵抗が小さく、価
格の安いシリンジを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のシリンジは、シリンダと、前記シリンダの
内壁面に密接して摺動するプランジャとから構成される
シリンジにおいて、前記プランジャの少なくとも前記シ
リンダ内壁に接触する部分が合成樹脂からなり、この合
成樹脂の表面に親水性ポリマーからなる被覆層が形成さ
れていることを特徴とする。
【0010】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
【0011】本発明において、シリンダの材質に制限は
なく、合成樹脂、ガラス、セラミックス、金属等各種の
ものが使用できるが、特に、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、ポリ(4−メチルペンテン−
1)、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
AS樹脂等の、透明又は半透明な硬質樹脂からなるもの
が好ましく用いられる。シリンダの形状は、先端部に薬
液流出口を有し、基端部が開放された筒状、好ましくは
円筒状をなすものであればよい。
【0012】また、プランジャの材質にも制限はなく、
合成樹脂、ガラス、セラミックス、金属等各種のものが
使用できるが、特に、高密度ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリ(4−メチルペンテン−
1)、ポリエチレンテレフタレート等の硬質樹脂からな
るものが好ましく用いられる。プランジャの形状は、上
記シリンダの内壁に密接して摺動できる形状であればよ
い。
【0013】本発明において、上記プランジャの少なく
ともシリンダ内壁に接触する部分は、合成樹脂により形
成される。この場合、プランジャ全体が合成樹脂により
形成されていてもよく、プランジャの外周面のみが合成
樹脂により形成されていてもよい。また、外周面のみが
合成樹脂からなる場合、外周面全体が合成樹脂により形
成されていてもよく、シリンダ内壁と実際に接触する部
分のみが合成樹脂により形成されていてもよい。更に、
プランジャの先端部外周にガスケットなどの合成樹脂か
らなる部材を被せたものであってもよい。
【0014】合成樹脂としては、例えば、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩
化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、ポ
リビニルアルコール、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレ
ンイミン、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、各種ラテ
ックス、あるいはこれらの各種共重合体、混合物等を用
いることができ、中でも、ポリウレタン、ポリエチレン
を用いるのが、潤滑効果の持続性の点から好ましい。な
お、上記合成樹脂中には、必要に応じて、各種添加剤を
含有させることもできる。また、複数の合成樹脂素材を
接合して成形したものも使用できる。
【0015】上記合成樹脂の表面には、後述する親水性
ポリマーを結合させるために、反応性官能基を設けるこ
とが必要である。このため、合成樹脂としては、反応性
官能基が残存する樹脂、又は、反応性官能基を有する化
合物と反応性を有する樹脂を使用することが好ましい。
複数の合成樹脂素材を接合して用いるような場合は、少
なくとも表面に、このような樹脂を使用することが好ま
しい。
【0016】反応性官能基としては、イソシアネート
基、ジアゾニウム基、アジド基、酸クロリド基、酸無水
物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル
基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等が挙げられる
が、特に、イソシアネート基が好ましい。
【0017】イソシアネート基が残存する樹脂として
は、例えば、多価アルコールに過剰のジイソシアネート
を反応させて、末端に遊離のイソシアネート基を残した
ポリウレタン樹脂等が好ましく用いられる。
【0018】また、イソシアネート基を有する化合物と
反応性を有する樹脂としては、例えば、ポリウレタン
系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル
系、ラテックス系の樹脂等を用いることができる。
【0019】合成樹脂として、反応性官能基が残存する
樹脂を用いた場合は、そのまま親水性被膜を形成させる
こともできるが、その他の樹脂を用いた場合は、樹脂の
表面に、反応性官能基を有する化合物を結合させる必要
がある。なお、反応性官能基が残存する樹脂を用いた場
合にも、必要に応じて、反応性官能基を有する化合物を
更に結合させてもよい。
【0020】反応性官能基を有する化合物としては、ポ
リイソシアネート類や、ポリイソシアネートとポリオー
ルのアダクト(付加体)又はプレポリマー、ポリアミン
類、ポリアルデヒド類、ポリエポキシド類等が挙げら
れ、中でもポリイソシアネート類が好ましく採用され
る。
【0021】ポリイソシアネートの例としては、エチレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン
ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、シク
ロヘキシレンジイソシアネート、トリフェニルメタント
リイソシアネート、トルエントリイソシアネートなどが
挙げられる。
【0022】合成樹脂の表面に、反応性官能基を有する
化合物を結合させるには、上記化合物を含む溶液と接触
させて反応させればよい。接触の方法としては、浸漬、
刷毛塗り、スピンナーコート等の方法が採用される。
【0023】この場合、溶媒としては、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン系、酢酸ブチル、酢酸エチル、カルシウム剤ビト
ールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエ
ステル系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テト
ラヒドロフラン等のエーテル系、トルエン、キシレン等
の芳香族系、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル
系、アルコール系等のいずれを用いてもよいが、特に、
メチルエチルケトン、トリクレン、シクロヘキサノン、
テトラヒドロフラン、キシレン、メチルアルコール等が
好ましい。
【0024】また、溶液中における、反応性官能基を有
する化合物の濃度は1〜10重量%が好ましく、合成樹
脂の表面に上記溶液を接触させる時間は30〜120秒
間が好ましい。
【0025】なお、合成樹脂膜の表面に反応性官能基を
有する化合物を含む溶液を接触させる前に、樹脂を膨潤
させる溶媒で処理して、樹脂表面を洗浄するとともに活
性化しておくと、反応性官能基が結合しやすくなり好ま
しい。これらの溶液で処理する時間は30〜120秒間
程度が好ましい。上記溶媒としては、メチルエチルケト
ン、トリクレン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラ
ン、キシレン、メチルアルコール等が好ましく、中でも
メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0026】上記合成樹脂の表面に、親水性ポリマーを
結合させることで、親水性被膜を形成させることができ
る。結合方法としては、共有結合、イオン結合、物理的
付着等が挙げられるが、持続性を考慮すると、共有結合
が好ましい。
【0027】親水性ポリマーとしては、カルボキシメチ
ルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、
ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプ
ロピルセルロース(HPC)等のセルロース系ポリマー
や、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール
等のポリエチレンオキサイド系ポリマー、親水性ナイロ
ン、ポリビニルピロリドン(PVP)から選ばれた1種
以上を使用するのが好ましく、中でも、ポリエチレング
リコール、PVPが好ましい。なお、この場合、ポリエ
チレングリコールの分子量は1万〜3万程度が好まし
く、PVPの分子量は1万〜200万程度が好ましい。
【0028】合成樹脂の表面に親水性ポリマーを結合さ
せるには、反応性官能基を有する合成樹脂の表面に、上
記親水性ポリマーの有機溶媒溶液を接触させればよい。
この場合に用いる有機溶媒は、上記反応性官能基と反応
しないもの、特に、イソシアネート基に対して反応性の
ないものが好ましい。具体的には、メチルエチルケト
ン、THF、アセトン等や、あるいは、トリクレン、ク
ロロホルム等の塩素系有機溶媒が好ましく、これらのう
ち、メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0029】また、上記溶液の濃度は、親水性ポリマー
の種類等に応じて適宜決定すればよいが、一般に、0.
1〜15重量%の範囲が好ましく、特に、0.5〜10
重量%が好ましい。
【0030】合成樹脂と親水性ポリマー溶液とを接触さ
せる方法は、浸漬、刷毛塗り、スピンナーコート等いず
れの方法を用いてもよい。
【0031】処理温度及び処理時間についても特に制限
はなく、親水性ポリマーの種類等に応じて適宜決定すれ
ばよいが、一般に、15〜80℃で、1秒〜48時間程
度処理するのが好ましい。
【0032】こうして親水性ポリマーを結合させた後、
水処理を行って過剰の反応性官能基を有する化合物や、
親水性ポリマーを除去することが好ましい。また、水処
理を行うことにより、親水性ポリマーをほぐして、親水
性を向上させることもできる。水処理は、15〜60℃
程度の水に10分以上浸漬するのが好ましく、6時間以
上行うのが特に好ましい。水処理の方法としては、上記
の他、水蒸気処理等の方法により行うこともできる。
【0033】なお、上記親水性ポリマーによる処理は、
必要に応じて2度以上繰り返して行うこともできる。
【0034】
【作用】本発明のシリンジは、プランジャの少なくとも
シリンダ内壁に接触する部分に、親水性ポリマーからな
る被覆層を形成させたものである。したがって、薬液等
と接触すると、親水性ポリマーが膨張して潤滑性を発揮
し、プランジャの摺動抵抗を著しく小さくすることがで
きる。
【0035】また、製造が容易なため、生産コストが少
なくてすみ、製品を安価で提供することができる。
【0036】更に、上記被覆層が、合成樹脂の表面に存
在する反応性官能基と、親水性ポリマーとを共有結合さ
せてなる場合には、ポリマーが強固に合成樹脂と結合し
ているので、繰り返し使用した後でも優れた潤滑性を維
持することができ、薬液中へのポリマーの混入も防止さ
れる。
【0037】
【実施例】図1〜3には、本発明によるシリンジの一実
施例が示されている。このシリンジ1は、シリンダ2
と、シリンダ2の基端側からその内部に挿入されたプラ
ンジャ3と、プランジャ3の先端に嵌着されたガスケッ
ト4とで構成されている。
【0038】シリンダ2の先端部は細径に成形されて、
薬液流出口5をなしている。この薬液流出口5には、図
示しない注射針やチューブ等が必要に応じて連結され
る。一方、シリンダ2の基端部は開放されており、作業
時にシリンダ2を保持するためのフランジ6が形成され
ている。
【0039】シリンダ2の構成材料としては、例えば、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リ(4−メチルペンテン−1)、メタクリル樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、AS樹脂等の、透明な硬質樹
脂が好ましく用いられる。
【0040】プランジャ3は、全体として円筒状をな
し、その先端部7は閉じられて、茸のような形状をなし
ている。また、その基端部も閉じられて、やや広径に成
形され、押圧部8をなしている。なお、プランジャ3の
形状としては、円筒状の他、円柱状や、プレート状部材
を十字に交叉させた断面形状であってもよい。
【0041】プランジャ3の構成材料としては、例え
ば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリエチレンテ
レフタレート等の硬質樹脂が好ましく用いられる。
【0042】プランジャ3の先端部7には、ガスケット
4が嵌着されている。ガスケット4の少なくとも一部
は、シリンダ2の内径より若干大きな外径に成形され、
プランジャ3がシリンダ2の内部に挿入された際に、シ
リンダ2の内壁面に密接して気密性を保つようにされて
いる。
【0043】図2及び図3を併せて参照すると、ガスケ
ット4は、全体として茸状の外観を有しており、底面に
はプランジャ3の先端部7と嵌合可能な形状の凹部9が
形成されている。そして、ガスケット4の表面には、親
水性ポリマーからなる被覆層10が形成されている。な
お、この被覆層10は、図2のようにガスケット4の外
周面全体に形成されていてもよく、図3のように、ガス
ケット4がシリンダ2と実際に摺接する拡径部分にのみ
形成されていてもよい。
【0044】ガスケット4の本体は、熱可塑性エラスト
マーを射出成形したり、生ゴムを加硫プレス成形したり
して製造することができる。熱可塑性エラストマーとし
ては、ポリウレタン系、ポリエチレン系、SBS系、S
EBS系、EP系のもの等が使用でき、加硫ゴムとして
は、ブチルゴム、SBR、EPR、NBR、天然ゴム、
イソプレンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム等が使
用できる。
【0045】また、親水性ポリマーからなる被覆層10
は、次のようにして形成したものである。まず、上記の
ようにして成形したガスケット本体を、メチルエチルケ
トンに20秒浸漬して表面を洗浄する。次に、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネートの10重量%メチ
ルエチルケトン溶液を外周面に刷毛塗りして、未反応の
イソシアネート基を形成する。更に、分子量2万のポリ
エチレングリコールを5重量%含有するジクロロメタン
溶液を刷毛塗りして、未反応のイソシアネート基にポリ
エチレングリコールを結合させる。最後に、水中に6時
間浸漬して水処理を行う。
【0046】こうして得られたシリンジ1は、ガスケッ
ト4の表面に形成された親水性ポリマーの被覆層10に
よって優れた潤滑性を有しており、シリンダ2とプラン
ジャ3との摺動抵抗が小さいので、操作がしやすく、薬
液の人体への注入作業を容易に行うことができた。
【0047】図4、5には、本発明によるシリンジを使
用した薬液持続注入器の一例が示されている。
【0048】この薬液持続注入器11は、比較的扁平な
形状に成形されたプラスチック製のケース12を有して
いる。このケース12内には、隔壁13で区画された気
密室14と、ボンベ収容室15とが設けられている。な
お、ケース12は、上面が開口しているが、この上面を
閉塞するケースの他の部分(図示せず)があり、両者が
貼り合わされて気密室14内が封止されるようになって
いる。
【0049】気密室14内には、シリンダ16と、その
内部に配置されたプランジャとからなる本発明のシリン
ジ17が収容されている。シリンダ16には目盛り18
が付されており、内部のプランジャの位置によって薬液
の残量を確認できるようになっている。このため、ケー
ス12の、上記目盛り18に対応する部分は、外部から
目盛り18が見えるように透明又は半透明となってい
る。
【0050】シリンダ16の一端には薬液流出口19が
形成され、この流出口19は、ケース12の外部に延出
されて開口されている。この流出口19に、適度な長さ
を有する可撓性のチューブ21が接続され、このチュー
ブ21の先端に流量制御弁22を介して注入針23が取
付けられている。流量制御弁22としては、後述する小
型ボンベの加圧力に対して、適切な流量が得られるよう
なものを選択する。
【0051】図5を併せて参照すると、シリンダ16内
に配置されたプランジャ31は、先端部外周が縮径され
て段部32aをなす合成樹脂製の円柱体32と、その先
端の段部32aに装着されるリング33と、このリング
33を固定するために円柱体32の先端に螺着されるキ
ャップ34とから構成されている。そして、リング33
の外周面には、親水性ポリマーからなる被覆層35が形
成されている。
【0052】ここで、リング33は、断面凹字型をなす
合成樹脂の環状のジャケット36の内部に、ステンレス
製のU字型スプリング37が配置されて構成されてい
る。このため、プランジャ31がシリンダ16内部に挿
入されると、スプリング37が拡がろうとする力によっ
て、リング33の外周がシリンダ内壁面に押し付けられ
て密接し、シリンダ内部の気密性が保たれるようになっ
ている。
【0053】また、親水性ポリマーからなる被覆層35
は、次のようにして形成することができる。まず、リン
グ33のジャケット36をメチルエチルケトンに20秒
浸漬して表面を洗浄する。次に、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネートの5重量%メチルエチルケトン
溶液に60秒間浸漬し、60℃で30分放置して反応さ
せることにより、合成樹脂のジャケット36の表面に未
反応のイソシアネート基を形成する。更に、分子量12
0万のPVPを2重量%含有するジクロロメタン溶液を
ジャケット36の外周に塗布し、未反応のイソシアネー
ト基にPVPを結合させる。最後に、純水中に15時間
浸漬して水処理を行い、60℃で24時間乾燥する。
【0054】一方、ボンベ収容室15には、金属の円筒
型カプセルに、例えば炭酸ガス、窒素ガス、空気などを
圧縮して充填した小型ボンベ24が収容されている。小
型ボンベ24のガス充填圧は、5〜8kg/cm2のものが好
ましい。この実施例では、窒素ガス0.05g を7.5 kg/cm2
の圧力で封入したボンベ(日本炭酸瓦斯株式会社製)を
用いている。
【0055】この小型ボンベ24は、口部25をケース
12の隔壁13に形成された管部29に挿入され、この
管部29内には隔壁13を連通させる針(図示しない)
が挿着されている。また、小型ボンベ24の後部には、
ケース12の壁を貫通して螺入された押しネジ26が当
接されており、この押しネジ26をねじ込んで小型ボン
ベ24の後部を押すと、口部25に針が突き刺さって開
封され、ボンベ24内の窒素ガスが針を通して気密室1
4内に流入するようになっている。
【0056】また、この薬液持続注入器11には、小型
ボンベ22からのガス送入口を開閉して、気密室14内
のガス圧を一定に保つ調圧弁27が設けられている。な
お、調圧弁27の動作圧力を任意に設定することによ
り、気密室14内の圧力を変えて薬液の流出速度を任意
に変更することができる。これによって、薬液注入開始
前のフラッシング(エア抜き)や注入時における薬液の
流出速度を任意に変更することができる。
【0057】一方、気密室14内のガス圧が何らかの原
因で過剰になると、薬液が大量に流出して危険な場合が
あるため、気密室14には、気密室14内の圧力を所定
値以下に保つ安全リーク弁28が設けられている。な
お、安全リーク弁28が開くときの気密室14内のガス
圧は、前記調圧弁27が閉じるときの気密室14内のガ
ス圧よりも高く設定されている。
【0058】この薬液持続注入器11の使用に際して
は、まず、薬液充填容器17のシリンダ16内に所定量
の薬液を充填し、薬液充填容器17をケース12の気密
室14内に配置する。また、小型ガスボンベ24をボン
ベ収容室15に設置して、その状態でケース12を密封
する。
【0059】そして、薬液充填容器17の流出口19に
チューブ21を接続し、チューブ21の先端に取付けら
れた注入針23を患者の静脈等に刺し込んで固定する。
その状態で、押しネジ28をねじ込んで小型ボンベ24
を押し込むと、針によって小型ボンベ24の口部25が
開封され、調圧弁27を介してガスが気密室14内に送
入される。
【0060】この場合、調圧弁27によって、気密室1
4内のガス圧が常時所定の圧力になるように、小型ボン
ベ24のガス送入口が開閉操作される。その結果、シリ
ンジ17のプランジャ31に常に一定の加圧力がかか
り、プランジャ31がシリンダ16内に徐々に押し込ま
れて、チューブ21、流量制御弁22及び注入針23を
通して薬液が流出し、患者に投与される。このとき、プ
ランジャ31の表面に形成されたPVPの被覆層35に
よって、プランジャ31は極めて滑らかにシリンダ16
内を摺動する。このため、薬液の流出速度を極めて小さ
く設定した場合でも、薬液を常に一定の速度で流出させ
ることができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシリンジ
によれば、プランジャの少なくともシリンダ内壁に接触
する部分が合成樹脂からなり、この合成樹脂の表面に、
親水性ポリマーからなる被覆層が形成されているので、
薬液を注入する際に、シリンダとプランジャとの摩擦抵
抗が非常に小さくなり、薬液の注入操作を容易に、か
つ、正確に行うことができる。また、製造が容易なた
め、低コストで生産でき、製品を安価に提供することが
できる。更に、合成樹脂の表面に存在する反応性官能基
と、親水性ポリマーとを共有結合させて被覆層を形成し
た場合には、ポリマーが強固に合成樹脂と結合している
ので、潤滑性が長期にわたって維持され、薬液中へのポ
リマーの混入も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリンジの一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】同シリンジのガスケットの一例を示す部分断面
図である。
【図3】同シリンジのガスケットの他の例を示す部分断
面図である。
【図4】本発明のシリンジを用いた薬液持続注入器の一
例を示す一部切欠き斜視図である。
【図5】同シリンジのプランジャの一例を示す部分断面
図である。
【符号の説明】
1、17 シリンジ 2、16 シリンダ 3、31 プランジャ 4 ガスケット 5、19 薬液流出口 10、35 被覆層 11 薬液持続注入器 32 基台 33 リング 34 キャップ 36 ジャケット 37 スプリング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダと、前記シリンダの内壁面に密
    接して摺動するプランジャとから構成されるシリンジに
    おいて、前記プランジャの少なくとも前記シリンダ内壁
    に接触する部分が合成樹脂からなり、この合成樹脂の表
    面に親水性ポリマーからなる被覆層が形成されているこ
    とを特徴とするシリンジ。
  2. 【請求項2】 前記被覆層が、前記合成樹脂の少なくと
    も表面に存在する反応性官能基に、ポリビニルピロリド
    ン、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド
    系高分子物質、水溶性ナイロンから選択された親水性ポ
    リマーを共有結合させたものからなる請求項1記載のシ
    リンジ。
  3. 【請求項3】 前記反応性官能基がイソシアネート基で
    ある請求項1又は2記載のシリンジ。
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